JP2003096217A - 芳香族ポリアミドフィルムおよび磁気記録媒体 - Google Patents

芳香族ポリアミドフィルムおよび磁気記録媒体

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JP2003096217A
JP2003096217A JP2001293417A JP2001293417A JP2003096217A JP 2003096217 A JP2003096217 A JP 2003096217A JP 2001293417 A JP2001293417 A JP 2001293417A JP 2001293417 A JP2001293417 A JP 2001293417A JP 2003096217 A JP2003096217 A JP 2003096217A
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aromatic polyamide
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polyamide film
particle
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Shinsuke Yamashita
伸介 山下
Akimitsu Tsukuda
佃  明光
Nobuaki Ito
伸明 伊藤
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 耐摩耗性、巻き姿、磁気記録媒体としたとき
の電磁変換特性を向上でき、磁気記録媒体用ベースフィ
ルムとして好適に用いることができる芳香族ポリアミド
フィルムを提供する。 【解決手段】 粒子と粒子分散剤とを含む芳香族ポリア
ミドフィルムであって、一方の面をA面とし、他方の面
をB面としたとき、次の(1)〜(3)を同時に満足し
ている芳香族ポリアミドフィルムとする。 (1)A面の十点平均粗さRzが10〜50nm (2)A面の高さ10nm以上の突起密度が1〜1,5
00万個/mm2 (3)2≦|θA−θB|≦30 θA:A面の水に対する接触角(°) θB:B面の水に対する接触角(°)

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は耐摩耗性に優れ、ロ
ール体としたときの巻き姿が良好で、磁気記録媒体とし
たときの電磁変換特性にも優れた、磁気記録媒体用ベー
スフィルムとして好適に用いることができる芳香族ポリ
アミドフィルムに関する。
【0002】
【従来の技術】芳香族ポリアミドフィルムはその優れた
耐熱性、機械特性を生かしてさまざまな用途に展開され
ている。特にパラ配向系の芳香族ポリアミドフィルムは
剛性、強度等の機械特性が他のポリマーより優れている
ため、薄物化に非常に有利であり、プリンターリボン、
磁気テープ、コンデンサー、太陽電池等の用途が考えら
れている。
【0003】この中でも特に磁気記録媒体用途ではハー
ドディスクの急速な記録密度の向上に対応するために磁
気テープの大容量化が求められており、その点において
薄膜化可能な芳香族ポリアミドフィルムは、従来用いら
れてきたポリエチレンテレフタレートやポリエチレンナ
フタレートよりも有利な素材である。磁気記録媒体用の
ベースフィルムとしては、電磁変換特性を損なわない平
滑性とともに、走行性や製造工程における搬送性、ロー
ルでの巻き姿を高めるために高度な易滑性が要求され
る。この易滑性を得るために、例えばフィルムを形成す
るポリマー中に無機あるいは有機微粒子を含有せしめる
方法(特開昭60−127523号公報、特開昭60−
201914号公報)や、フィルム成型時あるいは成形
後に微粒子を含有したスラリーをコーティングして表面
突起を形成する方法(特開平3−119512号公
報)、水との接触角について言及した方法(特開平8−
287447号公報)などが開示されている。しかしハ
ードディスクの急激な記録密度の向上に対応するために
磁気テープの更なる高密度化が求められている昨今で
は、従来の表面形成法では、その高い要求を満たすこと
が困難になりつつある。特により精緻な表面を要求され
る蒸着用ベースフィルム用途ではその傾向が顕著であ
る。
【0004】また、特開平3−237135号公報に
は、芳香族ポリアミドと可溶性樹脂からなり、可溶性樹
脂の重量分率が10重量%〜95重量%の耐熱性フィル
ムが開示されている。しかし、可溶性樹脂を芳香族ポリ
アミドに対して多く含むために、芳香族ポリアミドの特
徴である高い機械特性、特に高ヤング率特性が失われて
いる。例えば、該公報の実施例においては、最もヤング
率の高いものでも、6.2GPa(実施例2)に過ぎな
い。この他に、特開平3−286680号公報、特開平
3−227290号公報、特開平4−117433号公
報、特開平4−27110号公報等があるがいずれも同
様である。
【0005】また、特開平4−8763号公報には、芳
香族ポリアミド/ポリエーテルスルホン組成物の製造方
法において、芳香族ポリアミド重合完了前にポリエーテ
ルスルホンを添加する方法が開示されているが、成形体
(フィルムなど)の製造方法及び特性については一切記
載されていない。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】本発明は上記した従来
の問題を解決し、耐摩耗性に優れ、ロール体としたとき
の巻き姿も良好、かつ、磁気記録媒体としたときの電磁
変換特性にも優れた磁気記録媒体用ベースフィルムとし
て好適に用いることができる芳香族ポリアミドフィルム
を提供することを目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】上記した本発明の目的
は、粒子と粒子分散剤とを含む芳香族ポリアミドフィル
ムであって、一方の面をA面とし、他方の面をB面とし
たとき、次の(1)〜(3)を同時に満足している芳香
族ポリアミドフィルムによって達成される。 (1)A面の十点平均粗さRzが10〜50nm (2)A面の高さ10nm以上の突起密度が1〜1,5
00万個/mm2 (3)2≦|θA−θB|≦30 θA:A面の水に対する接触角(°) θB:B面の水に対する接触角(°)
【0008】
【発明の実施の形態】本発明で用いる芳香族ポリアミド
としては、次の式(I)および/または式(II)で表
される繰り返し単位を有するものを用いることができ
る。
【0009】
【化2】
【0010】
【化3】 ここで、Ar1、Ar2、Ar3の基としては、例え
ば、
【0011】
【化4】 などが挙げられ、X、Yは−O−、−CH2−、−CO
−、−S−、−C(CH32−などから選ばれる基であ
るが、これらに限定されるものではない。
【0012】更にこれらの芳香環上の水素原子の一部
が、フッ素や臭素、塩素などのハロゲン基(特に塩
素)、ニトロ基、メチルやエチル、プロピルなどのアル
キル基(特にメチル基)、メトキシやエトキシ、プロポ
キシなどのアルコキシ基などの置換基で置換されている
ものも含まれ、また、重合体を構成するアミド結合中の
水素が他の置換基によって置換されているものも含まれ
る。また、本発明に用いる芳香族ポリアミドは、上記の
芳香環がパラ配向性を有しているものが、全芳香環の8
0モル%以上、より好ましくは90モル%以上を占めて
いることが好ましい。ここでいうパラ配向性とは、芳香
核上主鎖を構成する2価の結合手が互いに同軸または平
行にある状態をいう。このパラ配向性が80モル%未満
の場合、フィルムの剛性および耐熱性が不十分なことが
あり好ましくない。
【0013】本発明のフィルムは、少なくともフィルム
の片面(以下A面という)における十点平均粗さRzが
10〜50nmである。Rzが10nmを下回ると磁気
記録媒体としたときの電磁変換特性には優れるが、耐摩
耗性に劣ることがある。逆にRzが50nmを上回ると
耐摩耗性には優れるが、電磁変換特性が悪化することが
ある。より好ましくは10〜45nm、さらに好ましく
は10〜40nmである。
【0014】本発明の芳香族ポリアミドフィルムはま
た、上記A面における高さ10nm以上の突起密度が1
〜1,500万個/mm2である。これにより、平滑性
と耐摩耗性の両立を図ることができ、磁気記録媒体とし
たとき良好な電磁変換特性を得ることができる。好まし
くは5〜1,200万個/mm2、更に好ましくは10
〜1,000万個/mm2である。高さ10nm以上の
突起密度が1万個/mm2未満の時は磁気記録媒体とし
たときの電磁変換特性には優れるが、摩擦が大きくな
り、耐摩耗性、巻き姿に劣ることがある。逆に高さ10
nm以上の突起密度が1,500万個/mm2を超える
場合は、平滑性が損なわれるために磁気記録媒体とした
ときの電磁変換特性が劣ることがある。
【0015】本発明の芳香族ポリアミドフィルムは、上
記A面の反対側の面をB面とし、それぞれの面の水に対
する接触角をθA、θBとしたとき、2≦|θA−θB
|≦30である。好ましくは2≦|θA−θB|≦2
5、更に好ましくは3≦|θA−θB|≦20である。
この特性を満足していれば巻き姿が良好になる。|θA
−θB|が2未満であるとA、B面のぬれ性が近くなっ
てしまうためブロッキングを起こし、巻き姿が悪化す
る。逆に|θA−θB|が30を超えるようであると、
フィルム同士の相互作用が弱くロール体として巻き取っ
たときに巻きずれを起こすことがある。ここでθAとθ
Bはどちらが低くても構わないが、磁気記録媒体とした
とき磁性層とフィルムの親和性が高まることから、磁性
層をA面に設ける場合は、その接触角(θA)の方が低
い(θA<θB)ほうが好ましい。
【0016】本発明の芳香族ポリアミドフィルムはA、
B面いずれも水の接触角が40°以上であると好まし
い。好ましくは45°以上、更に好ましくは50°以上
であると易滑性と巻き姿性の向上を共に図ることができ
る。ベースフィルム表面の水に対する接触角が40°未
満であると、磁気テープ加工工程中の各種ロール、高速
ダビング機のガイドロール、ビデオデッキあるいはカセ
ットに設置されている金属ピンなどとフィルムとの摩擦
が大きくなるために耐摩耗性が低下しやすい。ベースフ
ィルム表面の水に対する接触角の上限は特に限定されな
いが、ベースフィルム表面の水に対する接触角が120
°以上であると、磁気テープ製造工程中のロールにおい
てフィルムが揺動し、巻き取り時にシワが入るなどの問
題が生じることがある。
【0017】本発明の芳香族ポリアミドフィルムは、2
層以上の層構成を有していると好ましく、この場合、A
層(A面を形成する層)の厚みをd1、フィルムの全厚
みをdとしたときd1 /d≦0.7であると好まし
い。d1/dが0.7を超えると吸湿性が悪化し、湿度
による寸法変化やカールを招くことがあるため、磁気記
録媒体としたときの電磁変換特性が劣ることがある。d
1/dの値は好ましくは0.6以下、更に好ましくは
0.55以下である。
【0018】本発明の芳香族ポリアミドフィルムは、少
なくとも一種の粒子を含有している。粒子の含有量はそ
れぞれの系で適切に設計されるものではあるが、0.0
1〜5重量%、好ましくは0.05〜4重量%、更には
0.1〜3重量%であることが好ましい。かかる粒子の
含有量が0.01重量%未満のときは、磁気記録媒体と
したときの耐摩耗性に劣ることがある。また5重量%以
上の場合、粒子同士の凝集が起こりやすくなり粗大な突
起を形成してしまうことがあるばかりでなく、フィルム
のヤング率が低下し芳香族ポリアミドフィルムの大きな
特徴である高い剛性を保てなくなることがある。
【0019】また、本発明のフィルムは、粒子分散剤を
含有している。ここでいう粒子分散剤とは粒子と何らか
の相互作用を生ぜしめることにより粒子の分散性を向上
させる機能を有する物質のことをいう。この相互作用と
しては、たとえば、粒子表面に粒子分散剤が吸着または
結合することなどがあり、これにより、粒子の表面エネ
ルギーを低下させ粒子を安定的に分散させることができ
る。この粒子分散剤の含有量は、それぞれの系によって
適切に設計されるものであるが、粒子含有量の1〜30
倍、好ましくは1.5〜25倍、さらには2〜20倍で
あると好ましい。かかる粒子分散剤の含有量が1倍未満
のときは、粒子分散剤が粒子と芳香族ポリアミドとの仲
立ちをするのに充分な量ではなく、粒子の凝集が起こり
磁気記録媒体としたときに電磁変換特性の低下を招くこ
とがある。また粒子分散剤の含有量が30倍以上のとき
は、粒子の分散性には優れるが、吸湿率の上昇やヤング
率の低下などフィルムの他特性に影響を及ぼすことがあ
る。
【0020】粒子分散剤としては、例えば脂肪酸せっけ
ん,アルキルベンゼンスルホン酸塩などのアニオン性界
面活性剤、長鎖アルキルアンモニウム塩などのカチオン
性界面活性剤、ポリオキシエチレンノニルフェニルエー
テルなどに代表されるノニオン性界面活性剤、ポリマー
などが用いられるが特にポリマー、さらには主鎖や側鎖
に極性の高い官能基を持つポリマーが、芳香族ポリアミ
ドや粒子と水素結合などの高い結合性の相互作用を形成
することができるので好ましい。また、粒子分散剤が、
式(4)〜(6)からなる群から選ばれる少なくとも一
種の繰り返し単位を有する化合物を含んでいることが好
ましい。この場合、上記繰り返し単位の構成割合が50
モル%以上のポリマーであると、芳香族ポリアミドと粒
子の結合性の相互作用が極めて良くなるためにより好ま
しい。
【0021】
【化5】 さらに好ましいのは、ポリビニルピロリドン、ポリジメ
チルアクリルアミドであり、ポリビニルピロリドンが最
も好ましい。このポリビニルピロリドンは、側鎖中に極
性の高いカルボニル基を有するため、芳香族ポリアミド
のアミド基、およびシリカのシラノール基と強い結合力
を持つ。また上記粒子分散剤は前記した式(4)〜
(6)の繰り返し単位のうちの少なくとも一種をmモル
%、式(7)〜(11)の繰り返し単位のうちの少なく
とも一種をnモル%含有し、かつmとnの比が 0.5≦m/n≦2 の範囲である共重合ポリマーであってもよく、更に他の
重合単位が共重合されていてもよい。
【0022】
【化6】 上記に示すような主鎖や側鎖に極性の高い官能基を持つ
ポリマーを粒子分散剤として含んでいると、粒子を安定
的に分散させ、電磁変換特性に優れた磁気記録媒体を製
造するのに好適な芳香族ポリアミドフィルムを得られる
ばかりでなく、同時に接触角を低下させる効果もあわせ
もつため、本発明の規定する接触角差を得るためにはさ
らに好適である。
【0023】本発明の芳香族ポリアミドフィルムには粒
子および粒子分散剤がA面、B面を形成するいずれの層
に含まれていても差し支えないが、粒子分散剤は少なく
ともA面を形成する層に含有されることが好ましい。ま
た、A面を形成する層に含まれる含有量と、B面を形成
する層に含まれる含有量とに差を設けておくと、後述す
るように熱処理時における熱風温度差等をつけなくても
所定の接触角差を得ることができるため好ましい。この
効果をさらに得るためには、A面を形成する層のみに粒
子分散剤が含有され、B面を形成する層には含有されて
いないことが好ましい態様である。このような構成の場
合、上記のようにA面の親水性が増し、接触角θが低下
するため、本発明の規定する接触角差|θA−θB|を
得る上で有利である。同一粒子分散剤のみがA、B両面
に実質的に等量含まれているとき、もしくはA、B面い
ずれにも含まれていない場合、製膜条件によっては接触
角差が本発明の範囲を満たさないことがあり得る。
【0024】本発明の芳香族ポリアミドフィルムは、粒
子の凝集率が1〜30%であることが好ましい。ここで
粒子の凝集率とは以下の式によって表される値のことで
ある。
【0025】 凝集率(%)=(凝集ユニット数/全粒子数)×100 ここで凝集ユニット数とは、凝集している粒子ひとかた
まりをひとつと数えたときの値であり、全粒子数とは凝
集の有無に関わらず突起を形成している全ての粒子の数
である。凝集率が1〜30%であると、均一な突起を形
成することができる。好ましくは1〜25%、更に好ま
しくは1〜20%である。凝集率が30%を超えると、
その凝集によって形成される突起により、磁気記録媒体
としたときの電磁変換特性が悪化することがある。また
凝集率は少ない方が好ましいが、通常下限は1%程度で
ある。
【0026】上記した粒子の平均粒径は5nm以上10
0nm以下であることが好ましい。より好ましくは7n
m以上80nm以下、更に好ましくは10nm以上50
nm以下である。粒子の平均粒径が5nm未満のとき
は、単位重量あたりの表面自由エネルギーが大きくなり
その凝集を抑えるのが困難となる場合がある。また粒径
が100nmを超える場合はそれにより形成される突起
の高さが本発明の範囲を上回ってしまう場合がある。
【0027】なお、上記の平均粒径は粒子分散液では動
的光散乱法により求めることができ、また、粒子含有粒
子分散剤やフィルムでは、超薄膜切片法にて透過型電子
顕微鏡を用い、粒子20個の平均値を平均粒径とする。
【0028】本発明のフィルムの吸湿率は、5%以下、
より好ましくは4%以下、更に好ましくは3%以下であ
ることが、湿度変化によるテープの寸法変化が小さく、
良好な電磁変換特性を保つために望ましい。ただし通常
下限は0.3%程度であり、あまり低くしようとすると
他の物性が低下することがある。
【0029】本発明の芳香族ポリアミドフィルムは、少
なくとも一方向の引張りヤング率が、好ましくは9.8
GPa以上、更に好ましくは11.7GPa以上、特に
好ましくは12.7GPa以上であるものがよい。本発
明の芳香族ポリアミドフィルムにおいては、特に、長手
方向と幅方向ともに、また、全ての方向について、ヤン
グ率が9.8GPa以上であることが好ましいことはい
うまでもない。これらの特性を満たすためには、前述し
たように、本発明に用いる芳香族ポリアミドの芳香環が
パラ配向性を有しているものが、全芳香環の好ましくは
80モル%以上、より好ましくは90モル%以上を占め
ていることがよい。
【0030】本発明のフィルムの伸度は10%以上、よ
り好ましくは20%以上、更に好ましくは30%以上で
あることが、テープに適度な柔軟性を持たせるために望
ましい。ただし通常上限は100%程度であり、あまり
大きいと芳香族ポリアミドフィルム本来の剛性が損なわ
れる場合がある。ここでいう伸度とは引っ張り試験機を
用いて23℃、相対湿度65%において測定したもので
あり、試験片の元の長さをL0、破断時の長さをLとし
たとき次式によって求められる値のことである。
【0031】 伸度(%)=((L−L0)/L0)×100 なお、試験片は10mm幅で50mm長さ、引っ張り速
度は300mm/分である。
【0032】本発明のフィルムの200℃、10分間で
の熱収縮率は0.5%以下が好ましく、より好ましくは
0.3%以下であることが、温度変化によるテープの寸
法変化が小さく良好な電磁変換特性を保つために望まし
い。ただし通常下限は0.01%程度である。ここでい
う熱収縮率とはフィルム断面に対して9.8MPa(1
kgf/mm2)の荷重をかけた状態での加熱前後の試
験片の長さ(それぞれL0、L)から次式によって求め
られる値のことである。
【0033】 熱収縮率(%)=((L−L0)/L0)×100 本発明は、上記フィルムの少なくとも一面に磁性層を設
けて磁気記録媒体として用いることができる。このとき
本発明の要件を満たす表面(A面)に磁性層を設けるこ
とが好ましい。
【0034】本発明のフィルムが適用される高密度記録
媒体の磁性層は、特に限定されないが、強磁性金属薄膜
層であればよい。強磁性金属薄膜層の形成手段として
は、例えば、真空蒸着法、スパッタリング法、イオンプ
レーティング法が好ましく用いられるが、強磁性粉と有
機バインダからなる磁性層を塗布法により形成してもよ
い。強磁性金属材料としては、Co、Ni、Cr、Fe
などの金属やこれらを主成分とする合金などを用いるこ
とができる。
【0035】磁性層を形成後、ダイヤモンドライクコー
ティングの付与および/または潤滑保護層の付与を行う
ことは磁気記録媒体の耐摩耗性向上の点で好ましい。更
に、磁性層と反対側の面により走行性を向上させるため
に、バックコート層を設けてもよい。
【0036】本発明の芳香族ポリアミドフィルムは、フ
レキシブルプリント基板、コンデンサー、プリンタリボ
ン、音響振動板、太陽電池のベースフィルムなど種々の
用途に好ましく用いられるが、少なくとも片面に磁性層
を設けた磁気記録媒体として用いられると高い電磁変換
特性、高耐摩耗性を兼ね備えた本発明の芳香族ポリアミ
ドフィルムの効果が充分に発揮されるため特に好まし
い。
【0037】また本発明は磁気記録媒体として、民生
用、プロ用、D−1やD−2、D−3等の放送局用デジ
タルビデオカセット用途、DDS、データ8mm、AI
T、“mammoth”、SDLT、LTO等のデータ
ストレージ用途に好適に用いることができるが、データ
欠落等の信頼性が最も重視されるデータストレージ用途
に最適に用いることができる。
【0038】本発明のフィルムは、例えば、次のような
方法で製造できるが、本発明はこれに限定されるもので
はない。
【0039】芳香族ポリアミドを、芳香族ジ酸クロリド
と芳香族ジアミンとから得る場合には、N−メチルピロ
リドン、ジメチルアセトアミド、ジメチルホルムアミド
などの非プロトン性有機極性溶媒中で溶液重合により製
造される。
【0040】このとき、低分子量物の生成を抑制するた
め、反応を阻害するような水、その他の物質の混入は避
けるべきであり、効率的な攪拌手段をとることが好まし
い。また、原料の当量性は重要であるが、製膜性を損な
う恐れのある時は、適当に調整することができる。ま
た、溶解助剤として塩化カルシウム、塩化マグネシウ
ム、塩化リチウム、臭化リチウム、硝酸リチウムなどを
添加してもよい。
【0041】単量体として芳香族ジ酸クロリドと芳香族
ジアミンを用いると塩化水素が副生するが、これを中和
する場合には周期律表I族かII族のカチオンと水酸化
物イオン、炭酸イオンなどのアニオンからなる塩に代表
される無機の中和剤、またエチレンオキサイド、プロピ
レンオキサイド、アンモニア、トリエチルアミン、トリ
エタノールアミン、ジエタノールアミンなどの有機の中
和剤が使用される。また、基材フィルムの湿度特性を改
善する目的で、塩化ベンゾイル、無水フタル酸、酢酸ク
ロリド、アニリン等を重合の完了した系に添加し、ポリ
マーの末端を封鎖してもよい。
【0042】本発明のフィルムを得るためには芳香族ポ
リアミドの固有粘度(ポリマー0.5gを硫酸中で10
0mlの溶液として30℃で測定した値)は、0.5以
上であることが好ましい。
【0043】製膜原液としては、中和後の芳香族ポリア
ミド溶液をそのまま用いてもよいし、また、一旦、芳香
族ポリアミドを単離後、有機溶媒に再溶解したものを用
いてもよい。
【0044】本発明における粒子は粉末、ゾルなど様々
な出発原料から製造することができるが、なかでも水分
散シリカゾル、シリカオルガノゾルなどの粒子分散ゾル
を出発原料に用いると好適である。更に本発明において
用いる粒子は粒子分散ゾルにリチウム塩、例えば水酸化
リチウム、硝酸リチウム、硫酸リチウム、リン酸リチウ
ム、塩化リチウム、炭酸リチウムなどを加えて、粒子表
面をリチウムにイオン交換することが好ましい。このよ
うにして得られた粒子を芳香族ポリアミドに添加する際
には以下の方法をとることが本発明の効果を発揮するた
めに極めて有効である。
【0045】まず、粒子を添加した液に粒子分散剤(例
えばポリビニルピロリドン)を添加し、溶解後に乾燥、
減圧などの手段により溶剤(たとえば水)の除去を行
う。この溶剤除去時に突沸を起こさないよう徐々に乾燥
していくことが、粒子の単分散性を確保する上で重要で
ある。この後得られた粒子含有粒子分散剤を粉砕器など
を用いて粉体とする。このとき粒子含有粒子分散剤の粒
径範囲が0.1〜2.8mmとなるよう粉砕、ふるいわ
けを行うことが本発明のフィルムを得るために重要であ
る。そのために粉砕後の粒子含有粒子分散剤を6.5メ
ッシュのふるいでふるい、ふるい落ちた分を更に140
メッシュのふるいにかけ、残った分を使用するとよい。
粒径が0.1mmより小さい(140メッシュのふるい
からふるい落ちるもの)場合、ポリマー溶液に添加した
場合早く溶けすぎるために、粒子同士の衝突確率が増
し、結果として凝集が発生することがある。逆に粒径が
2.8mmより大きい(6.5メッシュのふるいに残る
もの)場合はポリマー溶液に溶けきらず、残った未溶解
物が粗大突起を形成してしまうことがある。
【0046】次いで上記の粒子含有粒子分散剤を芳香族
ポリアミド溶液に添加し混合する。この際、芳香族ポリ
アミド溶液の温度を80℃以下としておくことが重要で
ある。芳香族ポリアミド溶液の温度が80℃を超えると
粒子含有粒子分散剤がポリマー溶液に早く溶解しすぎる
ために、粒子同士が充分な間隔を持つことができず凝集
を招きやすくなることがある。
【0047】従来の微粒子分散液を加える方法では、重
合前、もしくはポリマー溶解前の溶媒など低粘度の溶液
に添加しなくてはならなかったのに比べて、本製造法は
より高粘度のポリマー溶液に粒子含有粒子分散剤を添加
することが有効であり、本製造法の大きな特徴をなすも
のである。
【0048】混合の方法としては、重合槽あるいは溶解
槽中で、パドル翼、ヘリカル翼、アンカー翼などにより
攪拌混合する方法、またはスタティックミキサーなどを
利用して混練混合する方法が好ましい。
【0049】こうして得られた粒子および粒子分散剤を
含有したポリマーは少なくともA面を形成する層に用い
られることが好ましい。さらにはB面を形成する層には
粒子分散剤を含有したポリマーを用いないことが、接触
角差を本願の範囲に制御する上で好ましい。しかしなが
ら後述するようにこれに限定されるものではない。
【0050】本発明の芳香族ポリアミドフィルムを得る
方法は、上記方法に限定されるものではない。
【0051】製膜原液中のポリマー濃度は2重量%以上
40重量%以下が好ましい。
【0052】上記のように調製された製膜原液は、乾式
法、乾湿式法、湿式法、半乾半湿式法等によりフィルム
化が行われるが、表面形態を制御しやすい点で、乾湿式
法が好ましく、以下乾湿式法を例にとって説明する。
【0053】上記原液を口金からドラム、エンドレスベ
ルト等の支持体上に押し出して薄膜とし、次いでかかる
薄膜層から溶媒を飛散させ、薄膜を乾燥する。乾燥温度
は100℃以上210℃以下が好ましく、120℃以上
190℃以下がより好ましい。乾燥時間は、0.5分以
上12分以下が好ましく、1分以上10分以下がより好
ましい。
【0054】次いで、乾式工程を終えたフィルムは支持
体から剥離されて、湿式工程に導入され、脱塩、脱溶媒
などが行われる。フィルムを支持体から剥離するときの
ポリマー濃度は30重量%以上60重量%以下であるこ
とが好ましく、40重量%以上50重量%以下であるこ
とがより好ましい。ポリマー濃度が30重量%未満の場
合は、フィルムの自己支持性が不十分で破れやすくなる
ことがあり、60重量%を超える場合は、延伸が充分に
行えない場合がある。
【0055】本発明の芳香族ポリアミドフィルムは、支
持体から剥離されて湿式工程に導入される間に、ゲルフ
ィルムの状態でフィルムの長手方向に延伸されることが
好ましい。延伸倍率は1.05倍以上4.0倍以下が好
ましく、更に1.05倍以上2.0倍以下が好ましい。
長手方向の延伸倍率が1.05倍未満では長手方向のヤ
ング率が不十分なことがあり、4.0倍を超えると伸度
の低いもろいフィルムとなることがある。また、湿式工
程を通さずにそのまま剥離したゲルフィルムに延伸およ
び熱処理を行うと、表面が大きくあれたり、カールが発
生することがある。
【0056】湿式工程を経たフィルムは水分を乾燥後、
フィルムの幅方向に延伸が行われる。延伸温度は150
℃以上400℃以下であることが好ましく、より好まし
くは200℃以上350℃以下、更に好ましくは220
℃以上280℃以下である。延伸温度がこの範囲より低
いと延伸時にフィルムが破れやすく、かつカールが大き
くなることがある。また高すぎると分子が配向しにくく
なりヤング率が不十分なことがある。
【0057】幅方向の延伸倍率は1.05倍以上4.0
倍以下であることが好ましく、より好ましくは1.05
倍以上2.0倍以下である。幅方向の延伸倍率が1.0
5倍未満では幅方向のヤング率が不十分なことがあり、
4.0倍を超えると伸度の低いもろいフィルムとなった
り、長手方向のヤング率が大きく低下することがある。
【0058】延伸倍率は面倍率で1.2倍以上8倍以下
(面倍率とは延伸後のフィルム面積を延伸前のフィルム
の面積で除した値)の範囲内、より好ましくは1.2倍
以上6倍以下の範囲とすることが優れた機械物性のフィ
ルムを安定して製膜できる点で好ましい。
【0059】フィルムの延伸中あるいは延伸後に熱処理
が行われるが、熱処理温度は150℃以上400℃以下
の範囲にあることが好ましい。より好ましくは、180
℃以上320℃以下であり、更に好ましくは200℃以
上260℃以下である。熱処理温度が150℃未満の場
合、フィルムのヤング率が低下することがあり、400
℃を超えるとフィルムの結晶化が進みすぎて堅くてもろ
いフィルムとなったりすることがある。
【0060】本発明が規定するA、B面の接触角差を得
る方法としては、湿式工程後の水分の乾燥や熱処理工程
においてA、B面での熱風温度を変える方法、コーティ
ングによりフィルム表面に塗膜を形成する方法、親水性
ポリマーを添加するなどの方法があり、いずれの方法に
よって形成されていても構わないが、|θA−θB|の
値を比較的容易に制御できることから、A、B面の熱風
温度を変える方法を好ましく用いることができる。熱風
温度により接触角が変化する詳細な理由は明らかではな
いが、熱風温度が上がるにつれフィルム表面での結晶化
が進み水との親和性が低下するためではないかと推察す
る。
【0061】A、B面での熱風温度差で本発明が規定す
るA、B面の接触角差を得るためには、A面の温度TA
(℃)と、B面の温度TB(℃)とが、下記式を満たし
ていることが好ましい。
【0062】10≦|TA−TB|≦50 また、|TA−TB|が10℃より小さいときは、熱処
理温度差が小さく|θA−θB|が規定より小さくなっ
てしまうことがある。逆に|TA−TB|が50℃より
大きいときには|θA−θB|が規定より大きくなり、
ブロッキングを起こしてしまうことがある。
【0063】また粒子分散剤をA面を形成する層に含有
し、B面を形成する層に含有していない場合でも上記条
件をとると、A、B面に親水性の差のみならず結晶化度
にも差がつくため、A、B面の接触角差を本願規定の範
囲にするためにはさらに有利である。こうして得られた
フィルムを所定長さになるまで巻き取ってフィルムロー
ルが完成する。
【0064】本発明のフィルムは単層フィルムであって
も良好な表面特性を実現することができるが、積層フィ
ルムであっても構わない。積層フィルムとする場合に
は、例えば2層の場合には、重合した芳香族ポリアミド
溶液を二分し、少なくとも一方に粒子分散剤および粒子
を添加した後、積層する。更に3層以上の場合も同様で
ある。これら積層の方法としては、例えば、口金内での
積層、複合管での積層や、一旦1層を形成しておいてそ
の上に他の層を形成する方法などを用いればよい。
【0065】
【実施例】本発明の物性の測定方法、効果の評価方法は
次の方法による。 (1)十点平均粗さRzと突起密度 原子間力顕微鏡(AFM)を用いて以下の条件で場所を
変えて測定を3回行い、その平均値を求めた。Rzは走
査範囲30μm×30μm、走査速度0.5Hzで測定
し、平坦化処理(Flatten Auto)を行った後、Roughness
コマンドにおいて、表示される値を用いた。突起密度は
走査範囲5μm×5μm、走査速度1.0Hzで測定
し、平坦化処理(Flatten Auto)を行った後、Grain size
コマンドにおいて、表示される値を用いた。
【0066】装置 :NanoScope IIIa version
3.20 AFM (Digital Instruments社製) カンチレバー :シリコン単結晶 走査モード :タッピングモード (2)水の接触角 23℃、65%RHの条件下でマイクロメーターを用い
てフィルム表面にイオン交換水(電気伝導率1μS/c
m以下)の水滴を接触させ、水滴とフィルム表面のなす
角を接触角計CA−D型(協和界面科学(株)製)で測
定した。
【0067】サンプルにつき5回測定し、最大値と最小
値を除いたn=3で平均を求めた。 (3)A層厚み(d1)とフィルム厚み(d) フィルムの断面を透過型電子顕微鏡(TEM)を用い
て、倍率20,000倍で観察し、透過電子線密度の違
いから添加物の種類や量の変化を観察し、A層の厚さd
1(μm)を観測点10点の平均値から求めた。
【0068】フィルム厚み(d)は電子マイクロ厚み計
(アンリツ製K351)を用いて、10点の平均値から
求めた。 (4)テンター熱風温度 フィルムの幅方向を10等分し、それぞれの中心点で
A、B両面とも熱風温度をそれぞれ熱電対を用いて測定
を行い、その平均値を熱風温度とした。なお、測定は熱
電対をフィルムに貼り付けた状態でフィルムを走行させ
て(製膜中に)行った。 (5)凝集率(%) フィルムの任意の場所を電界放射型走査型反射型電子顕
微鏡(UHR−FE−SEM)で10点観察した。
【0069】 装置 :日立(株)製S−900H 加速電圧:5kV 試料調製:直接法、Agシャドーイング、傾斜角5° 倍率 :3万倍 得られた写真から、凝集率を下記式から求めた。
【0070】 凝集率(%)=(凝集ユニット数/全粒子数)×100 ここで凝集ユニット数とは、2個以上凝集している粒子
ひとかたまりをひとつと数えたときの値であり、全粒子
数とは凝集の有無に関わらず突起を形成している全ての
粒子の数である。 (6)電磁変換特性 フィルムに対して、連続斜め蒸着法で、厚さ170nm
のCo−O磁性層を形成した。次に磁性層上にスパッタ
法にて、厚さ5nmのダイヤモンドライクコーティング
膜を形成し、更にその上に有機防錆剤0.1重量%をグ
ラビアロールを用いて塗布し、100℃のドライヤーで
乾燥させた。その後に潤滑剤としてパーフルオロ・ポリ
エーテル誘導体からなる有機物を主体とした0.5重量
%溶液を同様にグラビアロールにて塗布乾燥させた。次
に、フィルムの反対面にカーボンを主体とし、結合材と
して酢酸ビニル系を使用した厚さ0.3μmのバックコ
ート層を形成した。以上のようにして得られた磁気記録
媒体原反を幅6.35mm、長さ150mにスリット
し、カセットに組みこんだ後、6.5MHzの正弦波を
最適記録電流で記録し、再生出力を市販のDVCテープ
を標準とし、その差から以下の基準で評価した。
【0071】 ○:標準テープとのずれが+0.5dB以上 △:標準テープとの差が−0.5dB以上+0.5dB
未満 ×:標準テープとの差が−0.5dB未満 (7)耐摩耗性 フィルムを細幅(2.54cm)にスリットしたテープ
状ロールを、テープ走行試験機TBT−300((株)
横浜システム研究所製)を使用し、ステンレス鋼SUS
−304製ガイドロールに下記条件で擦りつけ、ガイド
ロール表面に発生した白粉量によって次の4段階にラン
ク付けした。
【0072】測定条件 おもり:90g、走行速度:
3.3cm/秒、走行長さ:10cm、 繰り返し数:50回、巻き付け角:90度 ◎:白粉発生全くなし ○:白粉発生少量あり △:白粉発生やや多量あり ×:白粉発生多量あり (8)巻き姿 巻き上げたフィルムロールを23℃、80%RHの雰囲
気中で3日放置したのち目視にて観察し、しわ(長手お
よび幅方向)の発生および巻きずれがないものを○、し
わあるいは巻きずれが生じたものを×と評価した。 (9)吸湿率 フィルムを100mm×100mmに切りとり、200
℃のオーブン中で1時間加熱脱湿後、乾燥窒素雰囲気下
で降温し、そのときの脱湿時の重量(W0)を測定し
た。ついでこのフィルムを75%RH中で48時間放置
後に取り出した吸湿後の重量(W)を測定し、次式によ
り吸湿率(%)を求めた。
【0073】 吸湿率(%)=((W−W0)/W0)×100 (10)ヤング率 ロボットテンシロンRTA100(オリエンテック社
製)を用いて20℃、相対湿度60%において測定し
た。試験片は10mm幅で50mm長さ、引っ張り速度
は300mm/分である。
【0074】以下に実施例に基づいて本発明をより具体
的に説明するが、本発明はこれらに限定されるものでな
い。なお、以下の実施例中、NMPはN−メチル−2−
ピロリドン、CTPCは2−クロルテレフタル酸クロリ
ド、CPAは2−クロルパラフェニレンジアミン、DP
Eは4,4’−ジアミノジフェニルエーテルを表す。 (実施例1)芳香族ポリアミドの溶液は次の様に合成し
た。脱水したNMPに90モル%に相当するCPAと1
0モル%に相当するDPEとを溶解させ、これに98.
5モル%に相当するCTPCを添加し、2時間攪拌によ
り重合後、炭酸リチウムで中和を行い、ポリマー濃度1
0重量%の芳香族ポリアミドの溶液を得た。
【0075】一方、粒径25nmのコロイダルシリカの
水溶液に、ポリビニルピロリドン(PVP)K90を重
量比でシリカの10倍となるように徐々に添加し、完全
に溶解させた。次いでこの溶液をロータリーエバポレー
ターを用いて突沸が起こらないよう注意しながら、水分
を除去した。得られた粉末を粉砕して、14メッシュと
18.5メッシュのふるいにかけて粒径分布が0.9〜
1.2mmのシリカ含有PVP粉体を得た。このシリカ
含有PVP粉体を、前記の芳香族ポリアミド溶液中に粉
体のままシリカ濃度が芳香族ポリアミドに対して1.5
重量%となるよう添加し、50℃で2時間攪拌混合させ
製膜原液を得た。
【0076】上記の様に調整したポリマー溶液を押し出
し機で口金に供給し表面が鏡面状のステンレス製ベルト
上に流延した。
【0077】この流延されたポリマー溶液を160℃の
熱風で2分間加熱して溶媒を蒸発させた。次に水槽内へ
フィルムを2分間通して残存溶媒と中和で生じた無機塩
の水抽出を行った。この間に、フィルムの長手方向に
1.2倍延伸を行った。この後、テンター中で、温度2
60℃の熱風下に、フィルムの幅方向に1.6倍で延伸
を行った後、A面側265℃、B面側280℃で1.5
分間熱処理を行った。こうして総厚み4.4μmの芳香
族ポリアミドフィルムを得た。このフィルムの特性は表
1に示したとおりであった。
【0078】このフィルムを用いて得られた磁気テープ
は、電磁変換特性が○、耐摩耗性が○、巻き姿○であ
り、吸湿率が2.6%とやや高いが使用可能レベルであ
った。 (実施例2)A面(層)側のポリマーは実施例1で調整
したものを用い、B面(層)側のポリマー溶液は次のよ
うに重合した。脱水したNMP中に一次平均粒径80n
mのシリカ粒子を20重量%添加し、超音波分散器で1
0時間分散後濾過した。この粒子の溶液を重合前のモノ
マー溶液に、シリカ粒子が芳香族ポリアミドに対し1.
5重量%になるように添加後、実施例1と同様の方法で
重合した。
【0079】上記の様に調整したポリマー溶液を2台の
押し出し機で口金に供給し、口金内で2層に積層して表
面が鏡面状のステンレス製ベルト上に流延した。PVP
を含有する溶液(A層用の溶液)がベルトに接触しない
側になるようにし、押し出し量を調節することでd1/
dの値を0.5にした。あとは実施例1と同様に重合、
製膜し、芳香族ポリアミドフィルムを得た。このフィル
ムの特性は表に示したとおりであり、電磁変換特性が
○、耐摩耗性が◎、巻き姿○、吸湿率2.1%と優れた
特性を示した。 (実施例3)A、B面とも280℃で1.5分間熱処理
を行った以外は実施例2と同様に重合、製膜し、芳香族
ポリアミドフィルムを得た。このフィルムの特性は表に
示したとおりであり、電磁変換特性が○、耐摩耗性が
○、巻き姿○、吸湿率1.9%と良好な特性を示した。 (実施例4)シリカ含有PVP粉体を粉砕後、6.5メ
ッシュと7.5メッシュのふるいにかけて流刑分布を
2.4〜2.8mmとし、A面側273℃、B面側28
0℃で1.5分間熱処理を行ったほかは実施例2と同様
に重合、製膜し、芳香族ポリアミドフィルムを得た。こ
のフィルムの特性は表に示したとおりであり、電磁変換
特性が○、耐摩耗性が△、巻き姿○、吸湿率2.4%と
使用可能レベルであった。 (実施例5)80nmのコロイダルシリカを0.1重量
%添加し、PVPの添加量を1.5倍とし、シリカ含有
PVP粉体を粉砕後、60メッシュと83メッシュのふ
るいにかけて粒径分布を0.2〜0.3mmとし、d1
/dを0.3にし、A面側225℃、B面側270℃で
1.5分間熱処理を行ったほかは実施例2と同様に重
合、製膜し、芳香族ポリアミドフィルムを得た。このフ
ィルムの特性は表に示したとおりであり、PVPの量が
少ないために表面がやや削れやすいものであったが、電
磁変換特性が△、耐摩耗性が△、巻き姿○、吸湿率1.
5%と使用可能レベルであった。 (実施例6)粒子の添加量を2.5重量%とした以外は
実施例2と同様に重合、製膜し、芳香族ポリアミドフィ
ルムを得た。このフィルムの特性は表に示したとおりで
あり、電磁変換特性が△、耐摩耗性が○、巻き姿○、吸
湿率2.4%と使用可能レベルであった。 (比較例1)シリカ含有PVP粉体を粉砕後、4.7メ
ッシュと5.5メッシュのふるいにかけて粒径分布を
3.4〜4.0mmとしたほかは実施例2と同様に重
合、製膜し、芳香族ポリアミドフィルムを得た。このフ
ィルムの特性は表に示したとおりであり、シリカ含有P
VP粉体の粒径が大きかったために、この粉体が溶解し
きれず粗大な突起を形成したため電磁変換特性が×、耐
摩耗性が×、巻き姿○、吸湿率1.9%と総合的に見て
劣ったものであった。 (比較例2)シリカ粒子の添加量を0.005重量%と
したほかは実施例2と同様に重合、製膜し、芳香族ポリ
アミドフィルムを得た。このフィルムの特性は表に示し
たとおりであり、シリカ粒子の添加量が少なかったため
に、10nm以上の突起個数が少なく、電磁変換特性が
○、耐摩耗性が△、巻き姿×、吸湿率1.4%と総合的
に見て劣ったものであった。 (比較例3)A面側278℃、B面側280℃で1.5
分間熱処理を行ったほかは実施例2と同様に重合、製膜
し、芳香族ポリアミドフィルムを得た。このフィルムの
特性は表に示したとおりであり、熱処理温度差が小さか
ったためために、巻き姿が悪く、電磁変換特性が○、耐
摩耗性が△、巻き姿×、吸湿率2.1%と総合的に見て
劣ったものであった。 (比較例4)シリカ粒子の添加量を2.5重量%とし、
A面側225℃、B面側280℃で1.5分間熱処理を
行ったほかは実施例2と同様に重合、製膜し、芳香族ポ
リアミドフィルムを得た。このフィルムの特性は表に示
したとおりであり、接触角差が大きいために巻きずれが
起こり、電磁変換特性が△、耐摩耗性が△、巻き姿×、
吸湿率3.8%と劣ったものであった。 (比較例5)シリカ粒子の添加量を5.0重量%とした
ほかは実施例2と同様に重合、製膜し、芳香族ポリアミ
ドフィルムを得た。このフィルムの特性は表に示したと
おりであり、10nm以上の突起個数が多いために電磁
変換特性が悪く、電磁変換特性×、耐摩耗性が△、巻き
姿△、吸湿率5.5%と劣ったものであった。 (比較例6)A面(層)側のポリマー溶液は次のように
重合した。脱水したNMP中に一次平均粒径25nmの
シリカ粒子を20重量%添加し、超音波分散器で10時
間分散後濾過した。この粒子の溶液を重合前のモノマー
溶液に、シリカ粒子が芳香族ポリアミドに対し1.5重
量%になるように添加後、実施例1と同様の方法で重合
した。
【0080】このほかは実施例2と同様に製膜し、芳香
族ポリアミドフィルムを得た。このフィルムの特性は表
に示したとおりであり、粒子分散剤を含まないために表
面が粗く電磁変換特性、×、耐摩耗性×、巻き姿○、吸
湿率1.4%と総合的にみて劣ったものであった。 (比較例8)d1/dを1にし、A、B面ともに280
℃で1.5分間熱処理を行ったほかは実施例2と同様に
重合、製膜し、芳香族ポリアミドフィルムを得た。この
フィルムの特性は表に示したとおりであり、接触角に差
がないため巻きずれが起こり、電磁変換特性○、耐摩耗
性○、巻き姿×、吸湿率3.0%と総合的にみて劣った
ものであった。
【0081】
【表1】
【0082】
【発明の効果】本発明の芳香族ポリアミドフィルムは、
耐摩耗性に優れ、巻き姿も良好で、磁気記録媒体とした
ときの電磁変換特性にも優れ、磁気記録媒体用ベースフ
ィルムとして好適に用いることができる。
フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) C08L 77/10 C08L 77/10 79/00 79/00 Z G11B 5/73 G11B 5/73 Fターム(参考) 4F071 AA35 AA37 AA54 AA55 AE10 AF13 AF22 AF27 AF36 AF38 AH14 BB07 BC01 4F100 AA20A AA20B AA20H AH03A AH03H AH03K AK21 AK47A AK47B BA02 BA04 BA07 BA10C BA10D CA18A CA19A CA19B DD07A EH46 EJ37 GB41 JB04A JB04B JG06C JG06D JK09 YY00A 4J002 BG122 BJ002 CL001 CL021 CL031 DJ016 FD01 FD31 GS01 5D006 CB03 CB05 CB07 CB08

Claims (8)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 粒子と粒子分散剤とを含む芳香族ポリア
    ミドフィルムであって、一方の面をA面とし、他方の面
    をB面としたとき、次の(1)〜(3)を同時に満足し
    ている芳香族ポリアミドフィルム。 (1)A面の十点平均粗さRzが10〜50nm (2)A面の高さ10nm以上の突起密度が1〜1,5
    00万個/mm2 (3)2≦|θA−θB|≦30 θA:A面の水に対する接触角(°) θB:B面の水に対する接触角(°)
  2. 【請求項2】 少なくとも2層の層構成を有し、A面を
    形成する層の厚みをd1、フィルム全体の厚みをdとし
    たとき、d1/d≦0.7を満足している、請求項1に
    記載の芳香族ポリアミドフィルム。
  3. 【請求項3】 粒子の含有量が0.01〜5重量%であ
    り、粒子分散剤の含有量が粒子の含有量の1〜30倍で
    ある、請求項1または2に記載の芳香族ポリアミドフィ
    ルム。
  4. 【請求項4】 粒子分散剤がA面を形成する層に含まれ
    ている、請求項1〜3のいずれかに記載の芳香族ポリア
    ミドフィルム
  5. 【請求項5】 粒子分散剤が次式(4)〜(6)からな
    る群から選ばれる少なくとも一種の繰り返し単位を有す
    る化合物を含んでいる、請求項1〜4のいずれかに記載
    の芳香族ポリアミドフィルム。 【化1】
  6. 【請求項6】 粒子が平均粒径5nm以上100nm以
    下のシリカ粒子であり、粒子の凝集率が1〜30%であ
    る、請求項1〜5のいずれかに記載の芳香族ポリアミド
    フィルム。
  7. 【請求項7】 請求項1〜6のいずれかに記載の芳香族
    ポリアミドフィルムの少なくとも片面に磁性層を形成し
    てなる磁気記録媒体。
  8. 【請求項8】 粒子分散剤中に粒子が分散した状態で含
    有され、粒径分布範囲が0.1〜2.8mmである粒子
    含有粒子分散剤。
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