JP2003096080A - 新規活性物質pf1233a物質およびpf1233b物質、それらの製造法ならびに医薬組成物 - Google Patents

新規活性物質pf1233a物質およびpf1233b物質、それらの製造法ならびに医薬組成物

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JP2003096080A
JP2003096080A JP2001288005A JP2001288005A JP2003096080A JP 2003096080 A JP2003096080 A JP 2003096080A JP 2001288005 A JP2001288005 A JP 2001288005A JP 2001288005 A JP2001288005 A JP 2001288005A JP 2003096080 A JP2003096080 A JP 2003096080A
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pf1233a
pf1233b
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JP2001288005A
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Nobuaki Kushida
伸明 櫛田
Takashi Yaguchi
貴志 矢口
Naoko Miike
直子 三池
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Meiji Seika Kaisha Ltd
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Meiji Seika Kaisha Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】電位依存性ナトリウムチャネル阻害活性を有
し、医薬として有用な新規物質を見出すこと。 【解決手段】新規電位依存性ナトリウムチャネル阻害活
性物質である式(1)で表されるPF1233A物質および式
(2)で示されるPF1233B物質、それらの製造法ならびに
それらの医薬組成物を提供する。 【化1】 【化2】

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は新規電位依存性ナト
リウムチャネル阻害活性物質PF1233A物質およびPF1233B
物質、それらの製造法ならびに医薬組成物に関するもの
である。
【0002】
【従来の技術】電位依存性ナトリウムチャネルは、神経
細胞や筋細胞など興奮性細胞の細胞膜に存在し、活動電
位の発生および興奮伝播における主要な役割を果たして
いる膜蛋白分子である。従来、神経系の電位依存性ナト
リウムチャネルの構成としては、約260 kDaのαサブユ
ニット、約36 kDaのβ1サブユニットと約33 kDaのβ2サ
ブユニットが報告されており( Robert P. Hartshorneお
よびWilliam A. Catterall、J. Biol. Chem.、259巻、1
667-1675頁、1984年)、さらに近年になりβ3サブユニッ
トが発見されている( Kevin Morganら、Proc. Natl. Ac
ad. Sci. U. S. A.、97巻、2308-2313頁、2000年)。こ
のチャネルの異常により、抑制性神経伝達系と興奮性神
経伝達系のアンバランスが起こり、様々な疾患を生ずる
ことが知られている。
【0003】現在、電位依存性ナトリウムチャネル阻害
作用を有する薬剤は、局所麻酔薬、抗不整脈薬、抗てん
かん薬などとして臨床で用いられている。しかしなが
ら、抗不整脈薬や抗てんかん薬においては、既存薬が無
効な症例が見られ、さらに様々な副作用が問題となって
いる。
【0004】この他にも電位依存性ナトリウムチャネル
は、脳の神経細胞に存在して神経伝達系のバランスをコ
ントロールするため、その阻害剤は疼痛治療薬、脳保護
薬、向精神薬などとしても有用であると期待される。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】現在臨床で使用されて
いる電位依存性ナトリウムチャネル阻害活性を有する薬
剤として、抗不整脈薬ではリドカイン、プロカインアミ
ド、フレカイニドなどがあるが、全ての不整脈に有効な
薬剤はなく、催不整脈作用による生命予後の悪化や陰性
変力作用による心機能低下などの副作用がみられる。ま
た、抗てんかん薬にはカルバマゼピン、フェニトインな
どがあるが、これら薬剤では発作の抑制が困難な難治性
てんかんの症例があり、重篤な肝障害や血液障害など多
くの副作用を伴うため、新たな薬剤の開発が求められて
いる。さらに、疼痛、脳保護、精神疾患に対する電位依
存性ナトリウムチャネル阻害剤の開発においては、実用
化されているものは少なく、臨床的に有用である阻害剤
の開発が求められている。本発明は、電位依存性ナトリ
ウムチャネル阻害活性を有し、これらを有効成分とする
医薬組成物を提供することを目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、上記の考
えに基づき、より有効で且つ安全な新規電位依存性ナト
リウムチャネル阻害活性物質を見出すべく、微生物産物
から新規化合物を探索した。そして本発明者らが土壌よ
り新たに分離したPF1233株と命名したアスペルギルス属
の一菌株(Aspergillus niveus PF1233)の培養物中に
電位依存性ナトリウムチャネル阻害活性を示す物質が生
産、蓄積されることを見出した。さらにこれらの活性物
質が前記の式(1)および式(2)で表される化学構造を有
することを見出し、新規な物質であることを確認して、
本物質をPF1233A物質およびPF1233B物質と命名した。
【0007】
【発明の実施の形態】本発明の第1の要旨とするところ
は、式(1)で表され、下記の理化学的性状を有する新規
電位依存性ナトリウムチャネル阻害活性物質PF1233A物
質にある。
【0008】 1.PF1233A物質の理化学的性状 (1)色および性状:白色粉末 (2)分子式:C27H28N2O6 (3)マススペクトル (HRFAB-MS):実測値 477.2010 (M+H)+ 計算値 477.2026 (4)融点:143〜145℃ (5)比旋光度:[α]D 25 = +173°(c 1.0, CHCl3) (6)紫外線吸収スペクトル[λmax nm (ε)]: MeOH溶液 217 (10400), 230 (4280), 304 (1380) MeOH-1N HCl溶液 (9:1) 217 (10400), 230 (4280), 304 (1380) MeOH-1N NaOH溶液 (9:1) 216 (11100), 244 (4760), 331 (1150), 356(1140) (7)赤外線吸収スペクトル[νmax cm-1 (KBr)]: 3389, 2980, 2934, 1771, 1750, 1680, 1663, 1601, 1497, 1339, 1229, 754, 742 (8)1H-NMRスペクトル(400 MHz, CDCl3) δ(ppm):1.38 (3H, s), 1.46 (3H, s), 1.98 (3H, s), 2.79 (1H, dd, J= 10.5, 14.2 Hz), 2.90 (1H, dd, J= 8.8, 15.1 Hz), 3.33 (1H, dd, J= 3.4,15.1 Hz), 4.19 (1H, dd, J= 1.7, 14.2 Hz), 4.37 (1H, dd, J= 1.7, 10.5 Hz), 4.76 (1H, dd, J= 3.4, 8.8 Hz), 5.11 (1H, dd, J= 1.0, 10.7 Hz), 5.16 (1H, dd, J= 1.0, 17.3 Hz), 6.33 (1H, dd, J= 10.7, 17.3 Hz), 6.65 (1H, m), 6.67 (1H, m), 7.19 (2H, m), 7.21 (1H, m), 7.24 (2H, m), 7.25 (1H, m) (9)13C-NMRスペクトル(100 MHz, CDCl3) δ(ppm):168.7, 167.2, 166.0, 144.1, 141.3, 137.2, 136.1, 129.5 (x2), 128.4 (x2), 127.5, 126.8, 121.0, 120.7, 117.9, 112.8, 98.6, 91.8, 78.3, 58.5, 45.4, 34.9, 34.6, 25.5, 24.9, 21.6 (10)溶解性:クロロホルム、メタノールに可溶、水に難溶。
【0009】本発明の第2の要旨とするところは、式
(2)で表され、下記の理化学的性状を有する新規電位依
存性ナトリウムチャネル阻害活性物質PF1233B物質にあ
る。
【0010】 2. PF1233B物質の理化学的性状 (1)色および性状:白色粉末 (2)分子式:C25H26N2O5 (3)マススペクトル (HRFAB-MS):実測値 435.1918 (M+H)+ 計算値 435.1920 (4)融点:142〜144℃ (5)比旋光度:[α]D 25 = +104°(c 0.5, CHCl3) (6)紫外線吸収スペクトル[λmax nm (ε)]: MeOH溶液 218 (10400), 230 (5990), 301 (1620) MeOH-1N HCl溶液 (9:1) 218 (10400), 230 (5990), 300 (1610) MeOH-1N NaOH溶液 (9:1) 219 (10900), 240 (8200), 360 (1710) (7)赤外線吸収スペクトル[νmax cm-1 (KBr)]: 3389, 2979, 2932, 1763, 1668, 1605, 1496, 1341, 1219, 752, 743 (8)1H-NMRスペクトル(400 MHz, CDCl3) δ(ppm):1.38 (3H, s), 1.38 (3H, s), 2.41 (1H, s), 2.81 (1H, dd, J= 10.5, 13.9 Hz), 2.88 (1H, dd, J= 9.0, 15.1 Hz), 3.24 (1H, dd, J= 2.2, 13.9 Hz), 3.31 (1H, dd, J= 3.4, 15.1 Hz), 4.32 (1H, dd, J= 2.2, 10.5 Hz), 4.77 (1H, dd, J= 3.4, 9.0 Hz), 5.13 (1H, dd, J= 1.0, 10.7 Hz), 5.19 (1H, dd, J= 1.0, 17.3 Hz), 5.73 (1H, s), 6.33 (1H, s), 6.38 (1H, dd, J= 10.7, 17.3 Hz), 6.67 (1H, m), 6.68 (1H, m), 6.88 (1H, m), 7.18 (2H, m), 7.20 (1H, m), 7.21 (2H, m) (9)13C-NMRスペクトル(100 MHz, CDCl3) δ(ppm):167.5, 166.1, 143.9, 141.6, 136.0, 136.0, 131.1, 129.5 (x2), 128.4 (x2), 126.8, 121.2, 117.5, 116.8, 113.8, 95.1, 88.5, 78.5, 57.2, 45.0, 36.7, 34.7, 25.7, 23.4 (10)溶解性:クロロホルム、メタノールに可溶、水に難溶。
【0011】本発明化合物は、塩として存在することが
でき、そのような塩としては例えばナトリウム、カリウ
ムなどのアルカリ金属塩あるいはカルシウム、バリウム
などのアルカリ土類金属塩、さらに塩酸、硫酸、硝酸、
燐酸などの無機酸との塩あるいは酢酸、クエン酸、安息
香酸、アスコルビン酸などの有機酸との塩などが挙げら
れる。
【0012】本発明の第3の要旨とするところは、アス
ペルギルス属に属して且つ前記の式(1)に示されるPF12
33A物質および式(2)に示されるPF1233B物質を生産する
菌を培養し、その培養物からPF1233A物質およびPF1233B
物質を採取することを特徴とする、PF1233A物質およびP
F1233B物質の製造法である。
【0013】上記のPF1233A物質およびPF1233B物質の生
産菌としては、例えば本発明者らが新たに分離したPF12
33株が挙げられる。なお、本発明で用いられるPF1233A
物質およびPF1233B物質の生産菌は、本明細書に記載の
特定の微生物に限定されるものではなく、PF1233A物質
およびPF1233B物質を生産する能力を有している菌であ
ればPF1233A物質およびPF1233B物質生産菌としていずれ
を用いてもよい。使用できる微生物の例としては、PF12
33株、あるいはこれらの菌株の継代培養物、人工変異株
ならびに自然変異株、遺伝子組換え株などが挙げられ
る。PF1233株の菌学的性状は以下の通りである。
【0014】3.PF1233株の菌学的性状 (1)コロニーの性状 ツァペック酵母エキス寒天培地上で生育が良く、25℃、
7日間の培養でコロニーの直径は30〜40 mmに達する。淡
茶白色〜黄白色、ベルベット状、放射状のしわを生じ、
密な菌糸層からなる。分生子を豊富に形成し、淡黄色の
可溶性色素を生成する。裏面は淡茶色となる。麦芽エキ
ス寒天培地上ではやや抑制的な生育を示し、25℃、7日
間の培養でコロニーの直径は18〜20 mmに達する。黄白
色〜白色、羊毛状、平坦、緩やかな菌糸層からなる。分
生子を豊富に形成する。裏面は黄土色となる。37℃の培
養では、どの培地上でも25℃の培養とほぼ同様の生育を
示す。 (2)形態的性状 分生子頭は白色〜クリーム色、円筒状となる。分生子柄
は滑面、厚膜、頂のうは亜球形〜へら形、幅7.5〜10 μ
m、1/2〜2/3にメトレを形成する。アスペルジラは1
列、2列のものが混在するが、通常2列である。メトレ
は5〜8 x 2.5〜3.5 μm、フィアライドは5〜8 x 2〜
3 μmである。分生子は球形〜亜球形、滑面、2.5〜3
μmである。
【0015】以上の菌学的性状よりPF1233株を不完全菌
類アスペルギルス・ニベウス(Aspergillus niveus)に
属する糸状菌と同定した。同定のための参考文献として
TheGenus Aspergillus (1973年、K. B. Raper、D. I. F
ennell著、Robert E. Krieger Publishing Company出
版)を使用した。なお、PF1233株は独立行政法人産業技
術総合研究所特許生物寄託センターに受託番号 FERM P
-18394として寄託されている。
【0016】4. PF1233A物質およびPF1233B物質生産菌
の培養法 本発明の方法では、アスペルギルス・ニベウスに属する
PF1233株を、通常の微生物が利用し得る栄養物を含有す
る培地で培養する。
【0017】栄養源としては、従来カビの培養に利用さ
れている公知のものが使用できる。例えば、炭素源とし
ては、グルコース、シュクロース、水飴、デキストリ
ン、澱粉、グリセロール、糖蜜、動植物油などを使用し
得る。また、窒素源としては、大豆粉、大豆粕、小麦胚
芽、コーン・スティープ・リカー、綿実粕、肉エキス、
ペプトン、酵母エキス、硫酸アンモニウム、硝酸ナトリ
ウム、尿素などを使用し得る。その他必要に応じてナト
リウム、カリウム、カルシウム、マグネシウム、コバル
ト、塩素、燐酸、硫酸およびその他のイオンを生成する
ことができる無機塩類を添加することは有効である。ま
た、菌の発育を助け、PF1233A物質およびPF1233B物質の
生産を促進するような有機および無機物を適当に添加す
ることができる。
【0018】培養法としては、好気的条件での培養法、
特に静置培養法が最も適している。培養に適当な温度は
25〜30℃であるが、多くの場合28℃付近で培養する。PF
1233A物質およびPF1233B物質の生産は、培地や培養条件
によって異なるが、静置培養、振盪培養、ジャー(Jar)
培養のいずれにおいても、通常2〜14日間でその蓄積が
最高に達する。培養物中のPF1233A物質およびPF1233B物
質の蓄積が最高になった時に培養を停止し、培養物から
目的物質を単離、精製する。
【0019】5.PF1233A物質およびPF1233B物質の精製
法 本発明によって得られるPF1233A物質およびPF1233B物質
は、上記の理化学的性状を有するので、その性状に従っ
て培養物から精製することが可能である。例えば、有機
溶媒を用いて培養物よりPF1233A物質およびPF1233B物質
を抽出した後、吸着剤を用いた吸脱着法、ゲル濾過剤を
用いた分子分配法、適当な溶剤からの再結晶法などを用
いて精製することが可能である。
【0020】例えば、活性成分を含む培養物から酢酸エ
チルにより抽出する。抽出液を減圧濃縮し、この抽出物
を少量のクロロホルム、メタノールなどの有機溶媒に溶
解してシリカゲルカラムに付し、クロロホルム/メタノ
ール、ヘキサン/酢酸エチルなどの溶媒系でカラムクロ
マトグラフィーを行う。その後、クロロホルム/メタノ
ール、ヘキサン/アセトンなどの溶媒系で分取薄層クロ
マトグラフィーを行い、さらにアセトニトリル/水など
の溶媒系で分取HPLCを行うことにより、PF1233A物質お
よびPF1233B物質を単離、精製することができる。さら
に、ヘキサン、クロロホルム、メタノール、水などの溶
剤を用いることで再結晶化することが可能である。
【0021】本発明のPF1233A物質およびPF1233B物質
は、後記の試験例に示すように電位依存性ナトリウムチ
ャネル阻害活性を有し、ヒトを含む動物に医薬として投
与することが有用である。具体的には、局所麻酔薬、抗
不整脈薬、抗てんかん薬、疼痛治療薬、脳保護薬、向精
神薬などとして有用である。
【0022】本発明のPF1233A物質およびPF1233B物質を
医薬として投与する場合、種々の投与形態または使用形
態に合わせて、常法に従い製剤化する。
【0023】経口投与のための製剤としては、錠剤、丸
剤、顆粒剤、カプセル剤、散剤、液剤、懸濁剤、シロッ
プ剤、舌下剤などが挙げられる。また非経口投与のため
の製剤としては、注射剤、経皮吸収剤、吸入剤、座剤な
どが挙げられる。製剤化に際しては、界面活性剤、賦形
剤、安定化剤、湿潤剤、崩壊剤、溶解補助剤、等張剤、
緩衝剤、着色剤、着香料などの医薬用添加剤を適宜使用
する。
【0024】医薬としての投与量は、患者の年齢、体
重、疾病の種類や程度、投与経路により異なるが、ヒト
に経口投与する場合には、成人一人当たり一日に0.02〜
200 mg/kg、静脈内投与の場合には同じく0.01〜100 mg
/kgの範囲内で投与する。
【0025】
【実施例】以下に本発明の実施例および試験例を示す
が、本発明はこれに限定されるものではなく、ここに示
さなかった変法あるいは修飾手段の全てを包括する。
【0026】実施例1 1.PF1233A物質およびPF1233B物質生産菌の培養 種培地として、澱粉 2.0%、グルコース 1.0%、ポリペ
プトン 0.5%、小麦胚芽 0.6%、酵母エキス 0.3%、大
豆粕 0.2%および炭酸カルシウム 0.2% の組成からな
る培地(殺菌前pH7.0)を用いた。また、生産培地とし
ては、充分吸水した米に大豆粕2.5%を添加した固形培
地を用いた。
【0027】前記の種培地20 mlを分注した100 ml容三
角フラスコを120℃で15分間殺菌し、これにPF1233株(F
ERM P-18394)の斜面寒天培養の1白金耳を植菌後、25℃
で2日間振とう培養した。次いで、生産培地100 gを分
注した500 ml容三角フラスコを120℃で15分間殺菌し、
これに上記種培養液を4 mlずつ植菌し、よく撹拌後、28
℃で14日間静置培養した。得られた培養物5 kgを67%ア
セトン水10 Lで抽出し、抽出液を減圧濃縮してアセトン
を留去した。
【0028】2.PF1233A物質およびPF1233B物質の精製 得られた濃縮液4 Lを1N水酸化ナトリウム溶液でpH 9に
調整後、酢酸エチル4 Lで抽出し、酢酸エチル層を減圧
濃縮して2.4 gの粗抽出物を得た。得られた粗抽出物を
メタノール50 mlに溶解し、7 gのシリカゲル(ワコーゲ
ル C-300、和光純薬社製)を加えた後、減圧下でメタノ
ールを留去し、粗抽出物をシリカゲルに均一に吸着させ
た。これをグラスフィルター上のシリカゲル14 gに重層
してクロロホルム溶液400 mlで溶出し、活性成分を含む
画分を集めて減圧濃縮し、PF1233A物質を含む残渣を1.4
gとPF1233B物質を含む残渣を200 mg得た。
【0029】PF1233A物質を含む残渣をメタノール20 ml
に溶解し、7.0 gのシリカゲルを加えた後、減圧下でメ
タノールを留去し、粗抽出物をシリカゲルに均一に吸着
させた。これをグラスフィルター上のシリカゲル14 gに
重層し、ヘキサン/酢酸エチル溶液(酢酸エチル濃度が
0, 1, 3, 10, 30, 100%をそれぞれ400 ml)で溶出し、
活性成分を含む画分を集めて減圧濃縮し、PF1233A物質
を含む残渣361 mgを得た。
【0030】PF1233A物質を含む残渣を少量のメタノー
ルに溶解し、アセトニトリル/0.005%リン酸= 55/45
の溶液で充填したHPLC(カラム:イナートシルODS-2、内
径20 mm×250 mm、ジーエルサイエンス社)に注入し、ア
セトニトリル/0.005%リン酸=55/45の溶液で溶出し
た。活性成分を含む画分を集めてアセトニトリルを減圧
下留去し、酢酸エチルで抽出後、減圧濃縮して白色粉末
状のPF1233A物質45 mgを得た。その一部を用いてヘキサ
ン/クロロホルム溶液での再結晶化により、PF1233A物
質を無色針状結晶として得た。
【0031】PF1233B物質を含む残渣をクロロホルム/
メタノール(10:1)、次いでヘキサン/酢酸エチル(1:1)
溶液を展開溶媒とする分取薄層クロマトグラフィー(キ
ーゼルゲル60、0.5 mm、メルク社)を行い、白色粉末状
のPF1233B物質80 mgを得た。その一部を用いてヘキサン
/クロロホルム溶液での再結晶化により、PF1233B物質
を無色針状結晶として得た。
【0032】本発明により得られるPF1233A物質およびP
F1233B物質は電位依存性ナトリウムチャネル阻害活性を
有する。PF1233A物質およびPF1233B物質の電位依存性ナ
トリウムチャネル阻害活性を次の試験例の通り調べた。
【0033】試験例 バトラコトキシン結合阻害活性 ラット前脳を10倍量の0.32 Mシュクロース液中でテフロ
ン(登録商標)-ガラスホモジナイザーを用いてホモジ
ナイズし、得られたホモジネートを1000 x gで10分間遠
心分離した。上清を39000 x gで20分間遠心分離し、沈
査を得た。この沈査をアッセイ緩衝液(50 mM ヘペス/ト
リス (pH 7.4), 130 mM 塩化コリン, 5.5 mM グルコー
ス, 0.8 mM MgSO4, 5.4 mM KCl)にて遠心洗浄した。こ
の操作を2回行い、最終的に得られた膜画分を電位依存
性ナトリウムチャネル膜画分とした。結合阻害実験は、
得られた膜画分と放射性リガンド[3H]-バトラコトキシ
ニン A20-α-ベンゾエイト, [ベンゾイル-2,5-3H]-(49.
0 Ci/mmol)を用いて行った。PF1233A物質あるいはPF123
3B物質存在下、1 mg/ml ウシ血清アルブミン, 1 μM テ
トロドトキシン, 0.03 mg/ml サソリ毒を含むアッセイ
緩衝液100 μl中に膜画分(タンパク量50 μg)と終濃度1
0 nMの[3H]- バトラコトキシニン A 20-α-ベンゾエイ
ト, [ベンゾイル-2,5-3H]-を加えて、37℃で90分間イン
キュベーションした。ユニフィルター GF/Bフィルター
(パッカード社)で濾過し、200 μlのアッセイ緩衝液で3
回洗浄した。50℃で1時間乾燥後、シンチレーターとし
てマイクロシンチ-20(パッカード社)を30 μlを添加
し、放射活性をトップカウント(パッカード社)を用いて
計測した。非特異的結合は、大過剰のベラトリジン(終
濃度0.3 mM)を加えることにより決定した。PF1233A物質
あるいはPF1233B物質存在下でのバトラコトキシンの結
合阻害率は以下の式によって算出した。
【式1】
【0034】上記の方法により、PF1233A物質およびPF1
233B物質のバトラコトキシン結合阻害率を測定し、50%
阻害する濃度(IC50)をバトラコトキシン結合阻害活性と
した結果を表1に示す。
【0035】
【表1】
【0036】本発明のPF1233A物質およびPF1233B物質
は、表1に示したように電位依存性ナトリウムチャネル
阻害活性を示した。
【0037】
【発明の効果】本発明のPF1233A物質およびPF1233B物質
は、試験例に示したように、電位依存性ナトリウムチャ
ネル阻害活性を有しており、これらを有効成分とする薬
剤は局所麻酔、不整脈、てんかん、疼痛、脳保護、精神
疾患などの治療に有用である。
フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) A61P 25/18 A61P 25/18 25/28 25/28 43/00 105 43/00 105 C12N 1/14 C12N 1/14 A C12P 17/18 C12P 17/18 C //(C12N 1/14 C12R 1:66 C12R 1:66) (C12P 17/18 C12R 1:66) Fターム(参考) 4B064 AE58 BA05 BE07 BE09 BG01 BH01 BH02 BH04 BH05 BH06 BH07 CA05 CE07 CE09 DA01 DA08 4B065 AA60 AC14 BB02 BB15 BB18 BB26 BB29 BC31 CA18 CA44 4C072 AA01 AA06 BB03 BB06 CC02 CC11 EE07 FF03 GG07 HH02 JJ10 UU01 4C086 AA01 AA02 AA03 AA04 CB22 MA01 MA04 NA14 ZA06 ZA08 ZA15 ZA18 ZA38 ZB21

Claims (9)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】式(1) 【化1】 で表されるPF1233A物質または薬理学的に許容されるそ
    の塩。
  2. 【請求項2】式(2) 【化2】 で表されるPF1233B物質または薬理学的に許容されるそ
    の塩。
  3. 【請求項3】アスペルギルス属に属する微生物を培養
    し、その培養物から請求項1記載のPF1233A物質および
    請求項2記載のPF1233B物質ならびに薬理学的に許容さ
    れるその塩の少なくとも1つを採取することを特徴とす
    る、PF1233A物質およびPF1233B物質ならびに薬理学的に
    許容されるその塩の製造法。
  4. 【請求項4】請求項1記載のPF1233A物質および請求項
    2記載のPF1233B物質ならびに薬理学的に許容されるそ
    の塩の少なくとも1つを有効成分とする医薬組成物。
  5. 【請求項5】局所麻酔、不整脈、てんかん、疼痛、脳保
    護、精神疾患の治療もしくは予防に用いられる請求項4
    記載の医薬組成物。
  6. 【請求項6】請求項1記載のPF1233A物質および請求項
    2記載のPF1233B物質ならびに薬理学的に許容されるそ
    の塩の少なくとも1つを有効成分とする電位依存性ナト
    リウムチャネル阻害剤。
  7. 【請求項7】アスペルギルス属に属する微生物が、アス
    ペルギルス・ニベウス(Aspergillusniveus)である請求
    項3記載の製造法。
  8. 【請求項8】アスペルギルス属に属する微生物が、アス
    ペルギルス・ニベウス・PF1233株(Aspergillus niveus
    PF1233)(FERM P-18394)である請求項3記載の製造法。
  9. 【請求項9】請求項1記載のPF1233A物質および請求項
    2記載のPF1233B物質ならびに薬理学的に許容されるそ
    の塩の少なくとも1つを生産する特性を有し、独立行政
    法人産業技術総合研究所特許生物寄託センターに、受託
    番号FERM P-18394として寄託されたPF1233株。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
CN108929334A (zh) * 2018-07-16 2018-12-04 中山大学 一种吗啉二酮类天然生物碱及其衍生物的制备方法

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