JP2002249499A - 新規抗真菌物質sf2822物質、その製造法およびその用途 - Google Patents

新規抗真菌物質sf2822物質、その製造法およびその用途

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JP2002249499A
JP2002249499A JP2001282971A JP2001282971A JP2002249499A JP 2002249499 A JP2002249499 A JP 2002249499A JP 2001282971 A JP2001282971 A JP 2001282971A JP 2001282971 A JP2001282971 A JP 2001282971A JP 2002249499 A JP2002249499 A JP 2002249499A
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methanol
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Nobuaki Kushida
伸明 櫛田
Yasuhiro Osakabe
泰宏 刑部
Maiko Iida
真依子 飯田
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Meiji Seika Kaisha Ltd
Original Assignee
Meiji Seika Kaisha Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 抗真菌活性を有し、各種の用途の医薬として
有用な新規化合物を見出すこと。 【解決手段】 式(1)で表わされる新規抗真菌物質SF
2822物質、その製造法およびその用途を提供する。 【化1】

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は新規抗真菌物質SF28
22物質、その製造法およびその用途に関するものであ
る。
【0002】
【従来の技術】1950年代以降の抗生物質に関する研究開
発の急速な進歩およびその広範な普及により、感染症に
対する多くの治療薬が開発されてきた。その一方で、普
段は無害な弱病原性微生物による感染症、いわゆる日和
見感染症が近年大きな問題となってきている。この日和
見感染症は、免疫不全症や悪性腫瘍などの疾病、免疫抑
制剤や抗炎症剤などの投与による免疫機能の低下、また
は抗生物質の投与による共生菌の抑制から生じる菌交代
などが原因とされている。このような日和見感染症の中
で真菌が原因である症例が数多く報告されている。しか
しながら、真菌が人と同じ真核生物であるため、選択的
に真菌に有効な薬剤の開発は非常に困難であり、現在臨
床で使用されている薬剤の種類は少なく、新たな抗真菌
剤が望まれている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】現在臨床で使用されて
いる主な抗真菌剤としては、ポリエンマクロライド系、
アゾール系およびフルシトシンなどがある。表在性真菌
症の治療においては、主に外用剤として、イミダゾール
系薬剤のほかに、チオカルバメート系薬剤、アリルアミ
ン系薬剤およびモルホリン系薬剤などが用いられてい
る。一方、深在性真菌症の治療において、臨床で用いら
れている薬剤は少なく、アゾール系薬剤であるフルコナ
ゾールが、その高い安全性から多用されているが、抗菌
スペクトルが狭いことが難点とされている。さらに近年
では、アゾール系薬剤に対する耐性株の出現と増加が問
題となりつつある。また、ポリエンマクロライド系薬剤
であるアムホテリシンBは、抗菌スペクトルが広く、有
効性は高いが、毒性が強いという問題がある。
【0004】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、より有効
で且つ安全な新規抗真菌物質を見出すべく、微生物産物
から新規化合物の探索を行った。そして本発明者らが土
壌より新たに分離したSF2822株と命名したストレプトマ
イセス属の一菌株(Streptomyces sp. SF2822)の培養
物中に抗真菌活性を示す物質が生産、蓄積されることを
見出した。さらにこの抗真菌物質が前記の式(1)で表さ
れる化学構造を有することを見出し、新規な化合物であ
ることを確認して、本物質をSF2822物質と命名した。
【0005】
【発明の実施の形態】本発明の第1の要旨とするところ
は、前記の式(1)で表わされ、下記の理化学的性状を有
する新規抗真菌物質SF2822物質にある。
【0006】〈 SF2822物質の理化学的性状 〉 (1) 色および性状:無色針状結晶 (2) 分子式:C37H50N10O8 (3) マススペクトル (HRFAB-MS):実測値 763.3914 (M
+H)+ 計算値 763.3892 (4) 融点:189.5〜190.5℃ (5) 比旋光度:[α]D 25 = −355°(c 1.0, CHCl3) (6) 紫外線吸収スペクトル[λmax nm (ε), MeOH]:21
2 (15800), 233 (12200), 299 (2900) (7) 赤外線吸収スペクトル[νmax cm-1 (KBr)]:343
5, 3303, 2963, 1661, 1638, 1541, 1472, 1406, 1233,
1196, 1169, 1078, 967, 930 (8) 1H-NMRスペクトル(400 MHz, CDCl3) δ(ppm):0.93 (3H, d, J= 7.1 Hz), 0.95 (3H, t, J=
7.3 Hz), 1.22 (3H,d, J= 6.8 Hz), 1.30 (1H, m), 1.4
4 (1H, m), 1.48 (2H, m), 1.74 (1H, m),1.83 (2H,
m), 1.94 (1H, m), 2.10 (1H, dd, J= 13.7, 8.3 Hz),
2.29 (1H, m), 2.42 (2H, m), 2.76 (1H, m), 2.76 (1
H, dd, J= 13.7, 1.7 Hz), 2.81 (1H,m), 2.88 (3H,
s), 3.01 (1H, m), 3.20 (1H, m), 3.61 (3H, s), 4.83
(1H, d,J= 11.7 Hz), 4.94 (1H, d, J= 12.5 Hz), 5.1
4 (1H, dd, J= 8.3, 1.7 Hz), 5.18 (1H, d, J= 6.1 H
z), 5.19 (1H, d, J= 5.9 Hz), 5.27 (1H, t, J= 3.9 H
z), 5.46 (1H, dd, J= 5.1, 1.0 Hz), 5.62 (1H, q, J=
6.8 Hz),5.70 (1H, dd,J= 10.3, 4.2 Hz), 5.94 (1H,
d, J= 5.9 Hz), 5.96 (1H, d, J= 6.1 Hz), 5.99(1H,
s), 6.72 (1H, d, J= 7.8 Hz), 6.80 (1H, d, J= 2.9 H
z), 6.86 (1H, dd, J= 7.6, 7.3 Hz), 7.16 (1H, ddd,
J= 7.8, 7.6, 1.0 Hz), 7.32 (1H, dd, J=7.3, 1.0 H
z), 7.73 (1H, d, J= 10.3 Hz) (9) 13C-NMRスペクトル(100 MHz, CDCl3) δ(ppm):174.7, 174.4, 172.5, 170.5, 170.1, 168.8,
147.2, 146.3, 135.7, 131.5, 129.5, 122.9, 120.4,
111.7, 93.1, 90.5, 86.0, 61.6, 54.7,53.6, 53.1, 5
1.6, 50.1, 48.3, 47.9, 43.8, 39.3, 36.0, 31.1, 26.
9, 25.2,24.1, 19.9, 19.4, 14.5, 14.2, 11.7 (10) 溶解性:クロロホルム、メタノールに可溶、水に
難溶。
【0007】本発明化合物は、塩として存在することが
でき、そのような塩としては例えば塩酸、硫酸、硝酸、
リン酸などの無機塩との塩、例えば酢酸、クエン酸、安
息香酸、アスコルビン酸などの有機塩との塩などが挙げ
られる。
【0008】本発明の第2の要旨とするところは、前記
の式(1)で表わされるSF2822物質を生産するストレプト
マイセス属に属する菌を培養し、その培養物からSF2822
物質を採取することを特徴とする、SF2822物質の製造法
である。
【0009】上記のSF2822物質生産菌としては、例えば
本発明者らが土壌から新たに分離したSF2822株が挙げら
れる。なお、本発明で用いられるSF2822物質生産菌は、
本明細書に記載の特定の微生物に限定されるものではな
く、SF2822物質を生産する能力を有している菌であれば
SF2822物質生産菌としていずれを用いてもよい。使用で
きる微生物の好適な例としては、SF2822株、あるいはこ
れらの菌株の継代培養株、人工変異株ならびに自然変異
株、遺伝子組換え株などが挙げられる。SF2822株の菌学
的性状は以下の通りである。
【0010】I.菌学的性質 (a)形態的性質:よく伸長分岐した基生菌糸より気中
菌糸を伸長する。成熟した気中菌糸の先端はRF型で、数
十個の円筒形の胞子からなる胞子連鎖を形成する。胞子
のうや運動性胞子の形成は認められない。胞子の大きさ
は 0.3×0.7〜1.1μm位で胞子の表面は平滑状(smoot
h)あるいは若干、しわ状(warty)を示す。
【0011】(b)培養的性質:28℃で 14日間培養後
のSF2822株の生育、気菌糸の着生状態ならびに色、コロ
ニーの裏面の色、可溶性色素産生の有無は以下の通りで
ある。 (1) イースト・麦芽寒天培地(ISP-2); 生育は良好で、
気菌糸の着生は豊富で薄橙色である。裏面は橙色を呈す
る。可溶性色素は産生しない。 (2) オートミール寒天培地(ISP-3); 生育は良好で、気
菌糸の着生は豊富で桃色である。裏面は赤茶色を呈す
る。可溶性色素は産生しない。 (3) スターチ・無機塩寒天培地(ISP-4); 生育は良好
で、気菌糸の着生は豊富で薄桃色である。裏面は赤茶色
を呈する。可溶性色素は産生しない。 (4) グリセリン・アスパラギン寒天培地(ISP-5); 生育
は良好で、気菌糸の着生は豊富で桃色である。裏面は橙
色を呈する。可溶性色素は産生しない。 (5) チロシン寒天培地(ISP-7); 生育は良好で、気菌糸
の着生は豊富で薄橙色である。裏面は薄赤色を呈する。
可溶性色素は産生しない。 (6) ペプトン・イースト・鉄寒天培地(ISP-6); 生育は
良好で、気菌糸の着生は見られない。裏面は灰褐色を呈
する。可溶性色素は産生しない。 (7) スターチ・イースト寒天培地; 生育は良好で、気菌
糸の着生は豊富で薄桃色である。裏面は橙色を呈する。
可溶性色素は産生しない。 (8) ベネット寒天培地; 生育は良好で、気菌糸の着生は
豊富で桃色である。裏面は橙褐色を呈する。可溶性色素
は産生しない。
【0012】(c)生理学的性質: (1) メラニン様色素の生成;ペプトン・イースト・鉄
寒天培地(ISP-6)およびチロシン寒天培地(ISP-7)で
メラニン様色素を産生しない。 (2) ゼラチンの液化;28℃および37℃でゼラチンを液
化しない。 (3) ミルクの凝固・ペプトン化;28℃および 37℃で
ミルクをペプトン化し、ごく弱く凝固する。 (4) スターチの加水分解;スターチを加水分解する。 (5) 生育温度範囲;20℃および 37℃で生育するが42
℃で生育しない。生育至適温度は28℃である。 (6) 耐塩性;食塩濃度 5%で生育するが10%で生育し
ない。 (7) 炭素源の利用(+/+;強く利用する、+;利用す
る、±;利用するか否か疑わしい、-/+;グルコースよ
り大きく劣る、−;利用しない) D-グルコース +/+, L-アラビノース +/+, D-キシロース
+, D-フルクトース+/+, シュクロース -, L-ラムノー
ス -, ラフィノース -, イノシトール +/+,D-マンニト
ール +/+, ガラクトース +/+, トレハロース +/+
【0013】(d)セルロース薄層クロマトグラフィー
による全菌体加水分解物の分析から、LL−ジアミノピ
メリン酸(LL−A2Pm)を含むこと、および形態的
特徴から、本SF2822株は、ストレプトマイセス属に属
し、気菌糸の色調は“Red”シリーズ、気菌糸先端はRF
型で、胞子表面は平滑、生育裏面の色調は橙〜赤茶色
で、メラニンなどの可溶性色素を生成しない菌株と要約
できる。さらに16S rRNA遺伝子の全塩基配列を決定し、
データベース上でホモロジー検索を行ったところ、Stre
ptomyces avermitilis、Streptomyces galilaeusなど
と高い相同性を示した。以上の結果、本発明者らは本菌
株を、ストレプトマイセス エスピー SF2822(Streptom
yces sp. SF2822)と命名して、工業技術院生命工学工
業技術研究所に、FERM P-18017として寄託した。
【0014】II.SF2822物質生産菌の培養法 本発明の菌株を用いてSF2822物質を得るには、培地に該
菌株を接種し、常法に従って培養すれば良い。培地とし
ては、微生物が同化し得る炭素源、資化し得る窒素源お
よび無機物、さらに必要に応じてその他の栄養物をほど
よく含有する合成培地または天然培地を使用することが
できる。
【0015】同化し得る炭素源としては、例えばブドウ
糖、澱粉、グリセリン、グルコース、フラクトース、マ
ルトース、マンニトール、キシロース、ガラクトース、
デキストリンまたはその加水分解物などの種々の炭水化
物が利用できる。その濃度は通常、培地に対して 0.1〜
5%が好ましい。また、グルコン酸、ピルビン酸、乳
酸、酢酸などの各種有機酸、グリシン、グルタミン酸、
アラニン酸などの各種アミノ酸、さらにはメタノール、
エタノールなどのアルコール類、植物もしくは動物性の
各種油脂なども使用できる。資化し得る窒素源として
は、通常ペプトン、肉エキス、酵母エキス、コーンステ
ィープリカー、オートミール、小麦胚芽、カゼイン加水
分解物、大豆粕および大豆粕加水分解物などを使用する
が、アンモニウム塩(例えば、塩化アンモニウム、硫酸
アンモニウム、硝酸アンモニウム、リン酸アンモニウム
など)、尿素、アミノ酸などの無機および有機の窒素化
合物も有効である。なおこれらの炭素源および窒素源は
それぞれ併用することができる。
【0016】必要な場合には、リン酸第一カリウム、リ
ン酸第二カリウム、リン酸マグネシウム、硫酸マグネシ
ウム、塩化ナトリウム、硫酸第一鉄、硫酸マンガン、硫
酸銅、塩化ニッケル、塩化コバルト、炭酸カルシウムま
たはその他の無機塩類を培地に添加してもよい。また培
地が発泡する場合には、液体パラフィン、動物油、植物
油、鉱物油またはシリコンなどを添加することができ
る。
【0017】SF2822物質生産菌の培養は、振盪培養また
は深部通気撹拌培養などにより好気的条件下で行う。培
養温度は、SF2822物質生産菌が目的物質を生産する範囲
内で適宜変更しうるが、好ましくは 20〜37℃がよい。
培養時間は通常1〜10日間である。
【0018】III.SF2822物質の精製法 本発明によって得られるSF2822物質は、上記の理化学的
性状を有するので、その性状に従って培養物から精製す
ることが可能である。例えば、有機溶媒を用いて培養物
よりSF2822物質を抽出した後、吸着剤を用いた吸脱着
法、ゲル濾過剤を用いた分子分配法、適当な溶剤からの
再結晶法などを用いて精製することが可能である。
【0019】例えば、活性成分を含む培養物を酢酸エチ
ルにより抽出する。抽出液を減圧濃縮し、この抽出物を
少量のクロロホルム、メタノールなどの有機溶媒に溶解
してシリカゲルカラムに付し、クロロホルム/メタノー
ル、ヘキサン/酢酸エチルなどの溶媒系でカラムクロマ
トグラフィーを行う。その後、メタノールなどの展開溶
媒を用いたセファデックスLH-20(ファルマシアファイ
ンケミカルズ社製)などのゲル濾過を行い、さらにアセ
トニトリル/水などの溶媒系で分取HPLCを行う。最後に
クロロホルム/メタノール、ヘキサン/アセトンなどの
溶媒系で分取薄層クロマトグラフィーを行うことによ
り、SF2822物質を単離、精製することができる。さら
に、エーテル、ヘキサン、アセトン、メタノール、水な
どの溶剤を用いることで再結晶化することが可能であ
る。
【0020】本発明の第3の要旨するところは、前記の
式(1)で表わされるSF2822物質または薬理学的に許容
されるその塩を含有する医薬にある。本発明のSF2822物
質は、試験例に示すように病原性真菌に対して発育阻害
活性を有し、ヒトを含む動物に医薬として投与すること
が有用である。具体的には、抗真菌剤として有効であ
る。
【0021】本発明のSF2822物質を医薬として投与する
場合、種々の投与形態または使用形態に合わせて、常法
に従い製剤化することができる。
【0022】経口投与のための製剤としては、錠剤、丸
剤、顆粒剤、カプセル剤、散剤、液剤、懸濁剤、シロッ
プ剤、舌下剤などが挙げられる。また非経口投与のため
の製剤としては、注射剤、経皮吸収剤、吸入剤、座剤な
どが挙げられる。製剤化に際しては、界面活性剤、賦形
剤、安定化剤、湿潤剤、崩壊剤、溶解補助剤、等張剤、
緩衝剤、着色剤、着香料などの医薬用添加剤を適宜使用
する。
【0023】医薬としての投与量は、患者の年齢、体
重、疾病の種類や程度、投与経路により異なるが、ヒト
に経口投与する場合には、成人一人当たり一日に0.0
2〜200mg/kg、静脈投与の場合には同じく0.
01〜100mg/kgの範囲内で投与する。
【0024】
【実施例】以下に本発明の実施例を示すが、本発明はこ
れに限定されるものではなく、ここに示さなかった変法
あるいは修飾手段の全てを包括する。
【0025】実施例1 1.SF2822物質生産菌の培養 グルコース 1.0%、可溶性澱粉 2.0%、酵母エキス 0.3
%、ポリぺプトン 0.5%、小麦胚芽 0.6%、大豆粕 0.2
%および炭酸カルシウム 0.2%を含み、6N NaOHでpH 7.
0に調整した前培養培地を200mL容エレンマイヤーフラス
コ6本に40 mLずつ分注し、120℃で20分間滅菌した。こ
れに寒天平板培養のSF2822株(FERM P-18017)を一白金
耳ずつ植菌し、28℃で3日間振盪培養して種培養液とし
て用いた。
【0026】一方、水飴 2.0%、大豆粕 1.0%、ファー
マメディア 0.5%、サングレイン 0.25%、サラダ油 0.
15%、炭酸カルシウム 0.1%、硫化鉄 0.0005%、塩化
ニッケル 0.00005%および塩化コバルト 0.00005%を含
み、6N NaOHでpH 7.0に調整した生産用培地を500mL容
エレンマイヤーフラスコ100本に80 mLずつ分注し、120
℃で20分間滅菌した。その後、 先に得た種培養液を2
%分ずつ無菌的に接種し、28℃で5日間、撹拌を200 rp
mで行い培養した。
【0027】2.SF2822物質の精製 得られた培養物7 Lを1N塩酸でpH 2.0に調整後、酢酸エ
チル7 L で抽出し、酢酸エチル層を減圧濃縮して約10 g
の粗抽出物を得た。得られた粗抽出物をメタノール100
mLに溶解し、30 gのシリカゲル(ワコーゲル C-300、和
光純薬社製)を加えた後、減圧下でメタノールを留去
し、粗抽出物をシリカゲルに均一に吸着させた。これを
グラスフィルター上のシリカゲル80 gに重層し、クロロ
ホルム/メタノール溶液(メタノール濃度が0, 1, 3%
をそれぞれ1000 mL)で溶出し、活性成分を含む画分を
集めて減圧濃縮し、1.9 gの油状物質を得た。
【0028】この油状物質をメタノール50 mLに溶解
し、9.5 gのシリカゲルを加えた後、減圧下でメタノー
ルを留去し、油状物質をシリカゲルに均一に吸着させ
た。これをグラスフィルター上のシリカゲル19 gに重層
し、ヘキサン/酢酸エチル溶液(酢酸エチル濃度が10, 3
0, 50, 100%をそれぞれ500 mL)で溶出し、活性成分を
含む画分を集めて減圧濃縮し、褐色残渣820 mgを得た。
【0029】得られた残渣を少量のメタノールに溶解さ
せ、あらかじめメタノールで充填したセファデックスLH
-20カラム(ファルマシアファインケミカルズ社製)に供
してメタノールで溶出した。次いで活性成分を含む画分
を集めて減圧濃縮し、褐色残渣260 mgを得た。
【0030】得られた残渣を少量のメタノールに溶解
し、60%アセトニトリル/水で充填したHPLC(カラム:イ
ナートシルODS-2、内径20 mm×250 mm、ジーエルサイエ
ンス社)に注入し、60%アセトニトリル/水で溶出した。
次いで活性成分を含む画分を集めてアセトニトリルを減
圧下留去し、酢酸エチルで抽出後、減圧濃縮して黄白色
残渣170 mgを得た。
【0031】得られた残渣をクロロホルム/メタノール
(20:1)、次いでヘキサン/アセトン(1:1)溶液を展開溶
媒とする分取薄層クロマトグラフィー(キーゼルゲル6
0、0.5mm、メルク社製)を行い、白色粉末状のSF2822物
質を100 mg得た。その一部を用いてアセトン/ジイソプ
ロピルエーテル溶液での再結晶化により、SF2822物質を
無色針状結晶として得た。
【0032】本発明により得られるSF2822物質は病原性
真菌に対して発育阻害活性を有する。SF2822物質の抗真
菌活性は次の試験例にしたがって測定した。
【0033】試験例 方法は日本医真菌学会法によった。SF2822物質の抗真菌
活性を微量液体希釈法により、各種菌株に対する80%発
育阻止濃度を測定し、その値を最小発育阻止濃度(MI
C)とした。培地としてRPMI1640(GIBCOBRL)を用い、
各種酵母株は35℃で24時間、糸状菌株は30℃で48時間培
養後、測定を行った。その結果を表1に示した。
【0034】
【表1】
【0035】本発明のSF2822物質は、表1に示したよう
に抗真菌活性を有しており、特にCandida albicansに対
してはMICが4μg/mLと強い発育阻害活性を示した。
【0036】
【発明の効果】本発明のSF2822物質は、試験例に示した
ように、医療上問題となっているCandida albicansに対
して強い抗真菌活性を有しており、これを有効成分とす
る抗真菌剤は、Candida albicansなどを起因菌とする真
菌症の治療に有用である。
フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) //(C12N 1/20 C12R 1:465) C12R 1:465) (C12P 21/02 (C12P 21/02 C12R 1:465) C12R 1:465) A61K 37/02 Fターム(参考) 4B064 AE57 CA03 DA03 4B065 AA50X AC14 BC01 BC08 CA24 CA44 4C084 AA02 AA06 AA07 BA17 BA24 CA04 NA14 ZB35 4H045 AA10 AA20 AA30 BA14 BA35 CA11 EA29 FA73

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 式(1) 【化1】 で表わされるSF2822物質、または薬理学的に許容される
    その塩。
  2. 【請求項2】 請求項1記載の式(1)で表わされるSF
    2822物質を生産するストレプトマイセス属に属する菌を
    培養し、その培養物よりSF2822物質を採取することを特
    徴とするSF2822物質の製造法。
  3. 【請求項3】 請求項1記載の式(1)で表わされるSF28
    22物質、または薬理学的に許容されるその塩を含有する
    医薬。
  4. 【請求項4】 請求項1記載の式(1)で表わされるSF28
    22物質、または薬理学的に許容されるその塩を含有する
    抗真菌剤。
  5. 【請求項5】 ストレプトマイセス属に属する微生物で
    あって、請求項1記載の式(1)で表わされるSF2822物
    質を生産する特徴を有し、工業技術院生命工学工業技術
    研究所におけるFERM P-18017の受託番号を有するSF2822
    株、またはその変異株。
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