JP2003093828A - 分離膜モジュールを備えた蒸留装置、および蒸留塔 - Google Patents

分離膜モジュールを備えた蒸留装置、および蒸留塔

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JP2003093828A
JP2003093828A JP2001297226A JP2001297226A JP2003093828A JP 2003093828 A JP2003093828 A JP 2003093828A JP 2001297226 A JP2001297226 A JP 2001297226A JP 2001297226 A JP2001297226 A JP 2001297226A JP 2003093828 A JP2003093828 A JP 2003093828A
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separation membrane
tubular
membrane module
vapor
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JP2001297226A
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Yoshio Morigami
好雄 森上
Atsushi Abe
淳 阿部
Takanobu Oishi
孝信 大石
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Mitsui Engineering and Shipbuilding Co Ltd
Original Assignee
Mitsui Engineering and Shipbuilding Co Ltd
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  • Separation Using Semi-Permeable Membranes (AREA)
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 エントレーナを必要とせず、省スペース化お
よび省エネルギー化された蒸留装置を提供すること。 【解決手段】 蒸留装置201は、対象混合液を加熱し
て沸騰させる蒸留部51と、この蒸留部51と連通し、
加熱により生じた目的物質の蒸気を冷却した後、貯留す
る回収部(コンデンサー53、貯留部71)と、蒸留部
51と回収部の間の蒸気の経路上において、蒸気からベ
ーパーパーミエーション法により夾雑成分を除去する分
離膜モジュール101と、を備えている。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、ベーパーパーミエ
ーション(VP)法による目的物質の精製機能を備えた
蒸留装置および蒸留塔に関する。
【0002】
【従来の技術】従来より、複数の物質を含む液状混合物
から、目的物質を精製する手段として蒸留装置が使用さ
れている。蒸留装置としては、例えば図11に示すよう
な構成のものが用いられてきた。この蒸留装置200で
は、例えば水とエチルアルコールなどの混合物を導入部
55から蒸留塔51内に供給し、図示しない加熱手段に
よって沸騰させることにより、目的物質(エチルアルコ
ール)を主成分とする蒸気を生成させる。蒸留塔51の
排出部57から排出された目的物質の蒸気は、通常、6
%程度の水分等の夾雑成分を含むため、一旦コンデンサ
ー53で冷却して液体とした後、さらに精留塔61内へ
導入して精製する必要があった。特に、共沸混合物から
目的物質の精製を行うためには、蒸留塔51と精留塔6
1を組み合わせることは必須であり、しかも精留工程で
は、共沸をブレークするためのエントレーナ(例えば、
ベンゼン、トルエン、キシレン、シクロヘキサンなど)
の添加が不可欠であった。
【0003】従って、従来の蒸留装置200では、蒸留
塔51と精留塔61の設置スペースが必要であり、エネ
ルギー消費量も大きくならざるを得なかった。また、共
沸混合物の精製に使用されるエントレーナは、再生利用
のため別途分離用の蒸留塔を必要とする。
【0004】ところで、近年ではゼオライトなどの無機
質材料を用いた物質分離膜が注目を集めており、例え
ば、NaA型ゼオライト膜(特許第2501825号公
報)や多孔質支持体上にA型ゼオライト膜を析出させた
もの(特開平8−318141号公報)などが提案され
ている。また、図12(a)に示すようにセラミックな
どの多孔質支持体311表面にゼオライトなどの材料3
12を担持させた管状(チューブ状)分離膜31を用
い、図12(b)に示すように、管板35に装着した管
状分離膜31の周囲を円筒形状等のケーシング(枠体2
1)で囲って分離対象となる混合流体を通過させる流路
を形成した、シェル&チューブ形式の膜モジュール10
0が実用化されている。この形式の膜モジュール100
は、管状分離膜31の内部を図示しない真空ポンプ等に
より真空もしくは減圧にした状態で、混合流体を流体入
口27から導入し、流体出口28へ向けて流通させるこ
とにより、分離対象とする物質を管状分離膜31の表面
から内部に選択的に透過させて分離するものである。管
状分離膜31を透過した対象物質は、気体の状態で管の
内部空間を減圧室25へ向けて運ばれ、回収口29から
分離回収される。
【0005】液体混合物の精製においても、図11のよ
うな蒸留塔と精留塔との組み合わせではなく、図12
(b)のような分離膜を備えた物質分離装置を精留塔に
代えて使用する方式が採用されつつある。かかる方式で
は、蒸留塔からの蒸気を一旦冷却して液化した後、物質
分離装置の分離膜を用いてパーベーパレーション法によ
る精製が行われることになる。すなわち、この方式で
は、精留塔は省略できるが、替わりに分離膜を備えた物
質分離装置を別途設置することが必要となる。このた
め、省スペース化は困難であり、蒸留により生成した蒸
気を一旦液化してからパーベーパレーション法で処理
し、得られた蒸気を再度液化する必要があるためエネル
ギー的にも損失が多い。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】本発明の課題は、エン
トレーナを必要とせず、省スペース化および省エネルギ
ー化された蒸留装置を提供することにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】上記課題を解決するた
め、請求項1に記載の蒸留装置の発明は、対象混合液を
加熱して沸騰させる蒸留部と、該蒸留部と連通し、加熱
により生じた目的物質の蒸気を冷却した後貯留する回収
部と、前記蒸留部と前記回収部の間の蒸気の経路上にお
いて、目的物質の蒸気からベーパーパーミエーション法
により夾雑成分を除去する分離膜モジュールと、を備え
たことを特徴とする。
【0008】この特徴によれば、蒸留部と回収部の間の
蒸気の経路上に、目的物質から夾雑成分を除去する分離
膜モジュールを設けたため、従来の蒸留装置のように精
留塔を設けなくても、蒸気中から直接夾雑成分を分離除
去できる。従って、精留塔に要していた設置スペースお
よびエネルギーを大幅に省略できる。また、精留工程を
省略できる結果、エントレーナも不要となる。しかも、
分離膜は温度上昇に比例して透過性能が向上するため、
蒸気の経路上に分離膜モジュールを設置して、高温の蒸
気から直接夾雑成分を分離除去することは、分離膜の性
能を十分に引き出すことになり、迅速で高効率の精製が
実現する。
【0009】また、請求項2に記載の蒸留装置の発明
は、請求項1において、前記分離膜モジュールを、前記
蒸留部の直上位置に設けたことを特徴とする。この特徴
によれば、蒸留部の直上に分離膜モジュールを設けたた
め、蒸留装置の設置面積を増加させることがなく、最大
限に省スペース化が図られる。また、蒸留部の直上に分
離膜モジュールを設けることで、蒸気の上昇流をそのま
ま利用して膜モジュールに導入できるとともに、高温状
態のまま分離膜による処理に移行するため、前記したよ
うに分離膜性能を最大限に発揮させ得る点でも有利であ
る。
【0010】また、請求項3に記載の蒸留装置の発明
は、請求項1または請求項2において、前記分離膜モジ
ュールが、表面に蒸気を接触させて夾雑成分の分離を行
う管状分離膜と、前記蒸気を通過させる流路を規定する
ケーシングとを備え、複数の前記管状分離膜を同一平面
内に平行に配列するとともに、配列された前記管状分離
膜が前記流路内に所定間隔で層をなし、かつ隣接する層
における前記管状分離膜の軸方向をずらすようにして配
備された分離膜モジュールであることを特徴とする。こ
の特徴によれば、ベーパーパーミエーション法により物
質の分離を行う管状分離膜を同一平面内に平行に並べ、
蒸気の流路内に所定間隔で層をなすように、かつ隣接す
る層における管状分離膜の軸方向を(例えば90度)ず
らして配備したので、管状分離膜同士の間隔を狭めるこ
とが可能であり、限られた容積のケーシング内に、より
多くの管状分離膜を配備できる。このように、管状分離
膜の充填率を向上させることによって、目的物質の分離
効率に優れ、かつ、小型化された分離膜モジュールは、
蒸留装置への組み込みが容易である。また、管状分離膜
の充填率を向上させるとケーシング内の蒸気の流速を速
くすることができるため、より一層処理効率が向上す
る。
【0011】また、上記した管状分離膜の配備の仕方
は、流路内を通過する蒸気への乱流形成効果が高いた
め、ケーシング内の蒸気の濃度むら等を解消させること
が可能になる。よって、バッフル等を設けなくても効率
的な分離が実現可能になり、膜モジュールの構成も簡素
で済む。
【0012】さらに、ケーシング内に管状分離膜を層状
に配備した分離膜モジュールは、流路の方向を例えば鉛
直、水平、斜めなど自由に設定できるため、設置場所の
制約を受けにくく、蒸留部から連なる配管やダクトなど
の蒸気経路上に容易に組み込むことができる。
【0013】また、請求項4に記載の蒸留装置の発明
は、請求項3において、前記分離膜モジュールが、四角
筒状の前記ケーシングの側壁に前記管状分離膜を装着す
るとともに、対向する側壁に装着した管状分離膜同士を
同一平面内で交互に配列したものであることを特徴とす
る。この特徴によれば、四角筒状体のケーシングにおい
て、対向する側壁に装着した管状分離膜同士を同一平面
内で交互に配列することにより、管状分離膜同士の間隔
を狭くして限られた容積のケーシング内に、よりいっそ
う多くの管状分離膜を配備できることになり、上記した
乱流形成効果も向上する。従って、分離膜モジュールは
一層小型化されたものとなり、蒸留装置へ組み込んでも
装置全体を大型化させずに省スペース化を図ることがで
きる。
【0014】また、請求項5に記載の蒸留塔の発明は、
対象混合液を加熱して沸騰させ、目的物質を精製する蒸
留塔であって、上部に、蒸気からベーパーパーミエーシ
ョン法により夾雑成分を除去するための膜分離手段を備
えたことを特徴とする。この特徴によれば、蒸留塔の上
部に膜分離手段を設けたため、蒸気中に含まれる夾雑成
分を効率良く分離除去することが可能であり、高い精製
効率が得られる。すなわち、蒸留塔の上部に膜分離手段
を設けることで、蒸気の上昇流をそのまま利用出来ると
ともに、高温状態で分離膜による処理が行われるため、
分離膜の性能を最大限に発揮させることが可能である。
また、蒸留塔と一体的に分離手段を配備したので、省ス
ペース化および省エネルギー化が図られる。
【0015】
【発明の実施の形態】以下、図面に基づき本発明の実施
の形態を説明する。図1は、本発明の一実施形態に係る
蒸留装置201の概略図である。この蒸留装置201
は、蒸留部としての蒸留塔51と、この蒸留塔51の直
上に設置された分離膜モジュール101と、分離膜モジ
ュール101を通過した蒸気を冷却するコンデンサー5
3と、コンデンサー53で冷却され、液化された目的物
質の貯留容器71とを主要な構成として備えている。こ
こでは、コンデンサー53および貯留容器71は回収部
を構成している。
【0016】蒸留塔51は、図示しない加熱手段を備え
たものであり、既知の構成のものを利用することができ
る。蒸留塔51の底部には、対象混合液中に含まれる、
蒸気圧が低く揮発しにくい成分(高沸点成分:例えば、
水−エチルアルコール混合系における水)を排出するた
めの抜出部59が設けられている。
【0017】蒸留塔51の直上位置には、隣接して管状
分離膜31(図2〜図9参照)を内蔵した膜モジュール
101が配備されている。ここで、「膜モジュール」と
は、装置の一部または一単位であって、物質分離膜を備
え、物質分離機能を担う部分を意味する。膜モジュール
101の詳細については後述する。回収部としてのコン
デンサー53および貯留容器71は、既知の構成のもの
を利用できる。
【0018】本発明の蒸留装置201においては、例え
ば水とエチルアルコールなどの混合液を導入部55から
蒸留塔51内に供給し、図示しない加熱手段によって沸
騰させることにより、エチルアルコールを含む蒸気は蒸
留塔51を上昇する。蒸留塔51の排出部57より塔外
へ出た蒸気は、蒸留塔51の直上部のダクト81中に組
み込まれた膜モジュール101内にそのまま導入され
る。蒸留により生じた蒸気は、通常、6%程度の夾雑成
分(例えば上記水−エチルアルコール混合系では水)を
含むが、膜モジュール101の分離作用により、夾雑成
分が分離除去される。つまり、夾雑成分(ここでは、水
分)のみが膜モジュール101中の管状分離膜31を透
過して減圧状態のチューブ内に移行し、回収口29から
回収される。
【0019】膜モジュール101を通過した蒸気は、膜
モジュール101の分離機能により、大部分の夾雑成分
が除かれて十分に精製された状態になっており、高純度
の蒸気としてコンデンサー53に送られ、冷却、液化さ
れて貯留部71に回収される。
【0020】このように、蒸留装置201では、蒸留塔
51の直上位置に膜モジュール101を配備すること
で、精留塔を設けなくても目的物質を高純度に精製する
ことが可能になる。
【0021】次に、膜モジュール101の構成について
例を挙げて詳細に説明する。図2は、本発明の蒸留装置
201に好適に使用可能な分離膜モジュール101の概
略構成を示す斜視図であり、部分的に内部構造を示して
いる。図3は、図2の断面構造を示す図面である。この
膜モジュール101は、分離膜としてセラミック支持体
にゼオライトを担持させた管状分離膜31(図12
(a)参照)を用い、流体経路上に配備するのに適した
膜モジュール101であり、例えば、水−エチルアルコ
ール混合蒸気などの混合流体から水分をベーパーパーミ
エーション法によって分離する場合などに好適に使用で
きるものである。本発明では、図2のような形式の膜モ
ジュール101を用いることによってはじめて、別々の
装置としてではなく、蒸留装置内に分離膜による分離機
能を組み込むことが可能になった。
【0022】ケーシングとしての四角筒状の枠体21
は、蒸気を通過させる流路11を画定するとともに、複
数の管状分離膜31を所定間隔で装着可能な取付孔(図
示せず)を備えており、管状分離膜31を支持固定して
いる。枠体21の材質は、内部を通過させる蒸気により
腐食、変質等を受け難く、所定の強度を有する部材であ
れば制限なく使用可能であり、例えばSUS鋼板などを
利用できる。
【0023】図2および図3中、仮想線で示す減圧室2
5a、25bは、取付孔を介して管状分離膜31と連通
されるとともに、図示しない真空ポンプ等の減圧手段と
接続されており、管状分離膜31内を減圧状態にしてベ
ーパーパーミエーション法による物質の分離を可能にし
ている。つまり、流路11内を通過する蒸気が管状分離
膜31と接触することにより、水などの夾雑成分のみが
選択的に管状分離膜31を透過して管内空間に移動し、
気体の状態で減圧室25a、25bに送られる。減圧室
25a、25bは、さらに図示しない貯留手段に接続さ
れており、夾雑成分は必要に応じて液化されて回収され
る。
【0024】なお、図2では図示していないが、必要に
応じて流路11内に枠体21に連結した管状分離膜31
の支持部材を配備することも可能である。
【0025】膜モジュール101では、管状分離膜31
は、枠体21の側壁22a、22bに形成された取付孔
に、取付部材33によりねじ止めなどの機構で装着され
ている。管状分離膜31は、その軸方向が蒸気の流れ方
向に対して略直交するように流路内に突出している。ま
た、管状分離膜31は、互いに約90度角度をずらした
2方向から交互に層をなすように配列されている。すな
わち、側壁22aに装着された管状分離膜31a(ここ
では5本)は、同一平面上に配列されてチューブ列を形
成しており、側壁22bに装着された5本の管状分離膜
31bは、管状分離膜31aと略直交する方向で、別の
平面上に配列されてチューブ列を形成している。このよ
うに管状分離膜31を取付けることにより、高い乱流促
進効果が得られるほか、同じ容積の枠体21により多く
の管状分離膜31を装着することが可能になる。なお、
この例では管状分離膜31を二つの側壁22aおよび2
2bに装着しているが、4つの側壁すべてに、チューブ
列の高さ位置を順次ずらして装着していくことも可能で
ある。
【0026】図2の膜モジュール101における管状分
離膜31同士の間隔、および層状をなすチューブ列とチ
ューブ列との間隔は、後述するように、管状分離膜31
の充填率を上げるため、なるべく小さく設定することが
好ましい。なお、管状分離膜31の径や長さ、同一平面
に並べる本数、流れ方向に層状に配備するチューブ列の
数、枠体21の長さや幅は、蒸気の種類やそこに含まれ
る物質の濃度、膜の性能、設置スペース等に応じて設定
できる。
【0027】次に、本発明で使用する管状分離膜の取付
構造を、図4〜図7を参照しながら説明する。図4は、
管状分離膜の取付構造を説明するための原理図である。
図2と同様に管状分離膜31は、枠体21の内部に、そ
の軸方向が矢印で示す蒸気の流れ方向に対して略直交す
る向きで流路11に突出して配備されている。図4から
見て取れるように、ここでは各5本のチューブが流路を
横切るように同一平面に並び、蒸気の流れ方向に所定の
間隔(L)で層をなすようにチューブ列31a〜31
g・・・31nを形成している。なお、説明の便宜上、
図4では減圧部25および取付部33は図示を省略し、
枠体21は仮想線で示している。
【0028】図4において、管状分離膜31は、その軸
方向が蒸気の流れを遮るように流路に突出して配備され
ている。このように管状分離膜31が蒸気の流れの障害
になるように配置することで、別途バッフルなどを設け
なくとも枠体21内での乱流形成が可能になる。乱流
は、攪拌と類似の作用で枠体21内における蒸気の濃度
むらを減少させるため、分離対象物質の分離効率を高め
る。
【0029】また、図4では、任意のチューブ列32
は、その上下のチューブ列32に対して管状分離膜31
の軸方向をずらしている(例えば、図4では、チューブ
列32bは、上下のチューブ列32a、32cと約90
度軸角度を変えて配置されている)。このような配置に
よって、層状をなすチューブ列32同士の間隔Lを狭
めることが可能であり、同じ容積の枠体21により多く
の管状分離膜31を装着することが可能になる。管状分
離膜31の取付部33の周囲には、管状分離膜31の装
脱着操作を行うために、一定の領域を確保する必要があ
り、管状分離膜31を装着するためには、1本あたりの
チューブの外径寸法よりもはるかに大きな径を確保しな
ければならない。このことは、限られた体積の枠体21
内での管状分離膜31の実質的な表面積を減少させてし
まうことになり、分離効率の低下を招くことになる。そ
こで、以下のような検討を行った。
【0030】図5〜図7は、枠体21への管状分離膜3
1の取付方法の代表的な例を示しており、各図において
それぞれ(a)は平面図、(b)は要部正面図を示す。
なお、説明の便宜上、減圧部25は図示を省略する。
【0031】図5は、枠体21の一つの側壁22のみに
管状分離膜31(ここではチューブ列32a〜32dと
して示す)を装着した場合を示している。図5では、5
本の管状分離膜31からなるチューブ列32a(32c
・・・)と4本の管状分離膜31からなるチューブ列3
2b(32d・・・)が、同方向であるが取付位置を1
/2ピッチずつずらして層状に装着されている。
【0032】図6は、枠体21の対向する二つの側壁2
2から管状分離膜31(ここではチューブ列32a〜3
2dとして示す)を装着した場合を示している。図6で
は、5本の管状分離膜31からなるチューブ列32a
(32c)と4本の管状分離膜31からなるチューブ列
32b(32d)が、互いに向き合う方向で交互に1/
2ピッチずつ位置をずらして層状に装着されている。こ
の場合、各チューブ列32a〜32dにおける管状分離
膜31は平行(軸方向は同じ)である。
【0033】図7は、枠体21の四つの側壁22から管
状分離膜31(ここではチューブ列32a〜32d、3
2a’〜32d’として示す)を装着した場合を示して
いる。図7では、5本の管状分離膜31からなるチュー
ブ列32aと4本の管状分離膜31からなるチューブ列
32a’が、互いに向き合う方向で同一平面内に装着さ
れ、このチューブ列32a、32a’と高さ位置を変え
て略90度方向をずらしてチューブ列32bとチューブ
列32b’が、互いに向き合う方向で同一平面内に装着
される、という繰り返し構造になっている。この場合、
同一平面内(例えば、チューブ列32aと32a’)の
管状分離膜31は平行(軸方向は同じ)であるが、隣接
するチューブ列32同士は管状分離膜31の軸方向が直
交する関係になる。
【0034】図5では、枠体21内での各管状分離膜3
1の長さをLmm、各管状分離膜31間のピッチを2
2mmと仮定すると、1本の管状分離膜31を装着する
ために周囲に必要とする面積は、同一平面内で隣合う2
本の管状分離膜31と、隣接するチューブ列のうちの最
短距離にある隣合う2本と、の4本の管状分離膜31の
中心を結ぶ平行四辺形で示される面積と考えられる。
【0035】したがって、図5の場合に1本の管状分離
膜31が枠体21内で占有する体積は、 22mm×19.05mm×L=419.1×Lmm (ここで、19.05は平行四辺形の高さ)となる。な
お、図5のように1方向から取付ける場合に、隣接する
チューブ列32の取付位置を1/2ピッチずらさない場
合には、さらに多くの体積を必要とすることは容易に類
推できる。
【0036】図6では、同一の側壁22だけをみれば、
各管状分離膜31間のピッチは22mmで変わらない
が、対向する側壁22から高さ位置を変え、1/2ピッ
チ取付位置をずらして装着された管状分離膜31が逆向
きで間に挿入されるため、1本の管状分離膜31が必要
とする周囲の面積は、一方の側壁22内で互いに近接す
る4本の管状分離膜31の中心を結ぶ四角形で示される
面積の半分でよいと考えられる。
【0037】したがって、図6の場合に、1本の管状分
離膜31が枠体21内で占有する体積は、 1/2×22mm×22mm×L=242×Lmm となり、管状分離膜31の充填本数を大幅に増加させる
ことができる。
【0038】図6と類似の充填率の向上効果は、隣接す
るチューブ列32(例えばチューブ列32a、32b、
32c、32d)を、対向する側壁22に装着するので
はなく隣接する二つの側壁22(あるいは四つの側壁2
2)に軸方向を90度ずつずらして装着していく場合で
も得られることが容易に理解される。
【0039】図7の場合は、充填率をより一層向上させ
ることが可能である。図7の装着方法では、同一平面内
に対向する向きで交互に管状分離膜31が挿入されるこ
と、および隣接するチューブ列を直交させることによ
り、管状分離膜31の装脱着のために周囲に確保すべき
面積の大部分を事実上無視できる。つまり、同一の側壁
22での見掛け上のピッチとは無関係に、管状分離膜3
1の径にかなり近い距離まで、実質的なピッチを縮小で
きる。例えば、ピッチを14mmまで縮小できたと仮定
すると、図7の場合に、1本の管状分離膜31が枠体2
1内で占有する体積は、 14mm×14mm×L=196×Lmm となり、管状分離膜31の充填本数をさらに大幅に増加
させることができる。
【0040】以上の説明から容易に理解されるように、
隣接するチューブ列32同士で、管状分離膜31の軸方
向をずらすことによって、チューブ列32同士の間隔L
を狭めることが可能であり、同じ容積の枠体21によ
り多くの管状分離膜31を装着することが可能になるの
である。また、チューブ列毎に管状分離膜31の配列方
向を例えば直角にずらすことは、前記した蒸気の乱流形
成効果をより高めることにもなる。
【0041】図8は、上記とは別の例の膜モジュール1
02の概略構成を示す斜視図であり、部分的に内部構造
を示している。図9は、図8の断面構造を示す図面であ
る。膜モジュール102は、前記した図7と同様の取付
け構造を採用したものであり、枠体21の四つの側壁2
2a、22b、22c、22dから管状分離膜31(こ
こでは管状分離膜31a〜31dとして示す)を装着し
ている。図8では、5本の管状分離膜31aと4本の管
状分離膜31cが、互いに向き合う方向で交互に同一平
面内に装着され、このチューブ列32と高さ位置をずら
して、略直交する方向で5本の管状分離膜31bと4本
の管状分離膜31dが、互いに向き合う方向で交互に同
一平面内に装着される、という繰り返し構造になってい
る。前記したように、かかる装着方法を採用することに
よって、管状分離膜31が高い充填率で装着されるこ
と、および乱流形成が促進されることから、膜モジュー
ル102は特に優れた分離効率を発揮する。なお、他の
構成は図2と同様であるため、同一の構成には同一の符
号を付して説明を省略する。
【0042】なお、上記実施形態では、ケーシングとし
て断面四角形の枠体21を用いたが、ケーシングの形態
はこれに限るものではなく、断面三角形や六角形などの
枠体や円筒形の枠体も目的に応じて使用できる場合があ
る。なお、管状分離膜の装着の容易さや充填効率の点で
は、断面四角形状のものが最も好ましい。また、ケーシ
ングは筒状に限らず、蒸気の入口や出口を絞った形状に
することもできる。
【0043】また、図2や図8では、膜モジュールの流
路11を鉛直方向に描いているが、これに限らず水平方
向や斜め方向に設定してもよい。つまり、膜モジュール
は縦横斜め方向に自在に流路を形成できるものであり、
設置場所の制約を受けにくい。
【0044】図10は、本発明の別の実施形態に係る蒸
留装置202の概略構成を示す図面である。蒸留装置2
02は、上部に分離手段としての膜分離部104を備え
た蒸留塔52を有するものである。つまり、前記した膜
モジュール101、102等が蒸留塔52と一体になっ
て備えられている。蒸留塔52上部の壁体は、前記した
膜モジュール101等のケーシング(枠体21)に対応
する部分として構成され、図示しない取付孔を有し、管
状分離膜31を装着できるようになっており、壁体の周
囲には、真空ポンプ等の減圧手段に連通した減圧室25
が配備されている(図2参照)。分離手段としての管状
分離膜31は、前記した様々な取付け構造による装着が
可能である。このように蒸留塔52の上部に一体的に膜
分離部104を設けることによって、精留塔を設けなく
ても、目的物質を高純度に精製することが可能になる。
図10における他の構成は、図1と同様であるため、同
一の構成には同一の符号を付して説明を省略する。
【0045】以上、本発明を種々の実施形態に関して述
べたが、本発明は上記実施形態に限られるものではな
く、特許請求の範囲に記載された発明の範囲内で、他の
実施形態についても適用されるものであることは勿論で
ある。例えば、図1の蒸留装置101では、ダクト81
上に膜モジュール101を配備したが、あたかも蒸留塔
51に載置するような形で連結して配備することも可能
である。
【0046】
【発明の効果】本発明の蒸留装置によれば、蒸留部と回
収部の間の蒸気の経路上に、目的物質から夾雑成分を除
去する分離膜モジュールを設けたため、従来の蒸留装置
のように精留塔を設けなくても、蒸気中から直接夾雑成
分を分離除去できる。従って、精留塔に要していた設置
スペースおよびエネルギーを大幅に省略でき、実用性に
優れている。また、精留工程を省略できる結果、エント
レーナも不要となる。しかも、分離膜は温度上昇に比例
して透過性能が向上するため、蒸気の経路上に分離膜モ
ジュールを設置して、高温の蒸気から直接夾雑成分を分
離除去することは、分離膜の性能を十分に引き出すこと
になり、迅速で高効率の精製が実現する。
【0047】また、本発明の蒸留塔によれば、蒸気中に
含まれる夾雑成分を効率良く分離除去することが可能で
あり、高い精製効率が得られる。すなわち、蒸留部の直
上位置に膜分離手段を設けることで、蒸気の上昇流をそ
のまま利用出来るとともに、高温状態で分離膜による処
理が行われるため、分離膜性能を最大限に発揮させるこ
とが可能である。また、蒸留塔の上部に一体的に分離手
段を配備したので、省スペース化および省エネルギー化
が図られる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施形態に係る蒸留装置の概略構成
を示す図面。
【図2】蒸留装置に組み込み可能な膜モジュールの概略
を示す斜視図。
【図3】図2の膜モジュールの断面図。
【図4】膜モジュールの原理図。
【図5】管状分離膜の配列方法を説明する図面であり、
(a)は平面図、(b)は要部正面図。
【図6】管状分離膜の別の配列方法を説明する図面であ
り、(a)は平面図、(b)は要部正面図。
【図7】管状分離膜のさらに別の配列方法を説明する図
面であり、(a)は平面図、(b)は要部正面図。
【図8】蒸留装置に組み込み可能な別の実施形態に係る
膜モジュールの概略を示す斜視図。
【図9】図8の膜モジュールの断面図。
【図10】本発明の別の実施形態に係る蒸留装置の概略
構成を示す図面。
【図11】従来の蒸留装置の概略構成を示す図面。
【図12】膜モジュールの説明に供する図面であり、
(a)は管状分離膜の断面構造を示し、(b)は膜モジ
ュールの概略を示す。
【符号の説明】
11 流路 21 枠体 22 側壁 25、25a、25b 減圧室 27 混合流体入口 28 混合流体出口 29 回収口 31 管状分離膜 32 チューブ列 33 取付部 35 管板 51 蒸留塔 52 蒸留塔 53 コンデンサー 55 導入部 57 排出部 59 抜出部 61 精留塔 63 コンデンサー 65 導入部 67 排出部 71 貯留部 81 ダクト 101、102、103 膜モジュール 200、201、202 蒸留装置 311 セラミック支持体 312 ゼオライト膜
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 大石 孝信 岡山県玉野市玉3丁目1番1号 三井造船 株式会社玉野事業所内 Fターム(参考) 4D006 GA41 HA28 JA25C JA53A JA70A KA31 KB18 MA02 MA06 MC03 PA03 PB20 PB65 4D076 AA16 AA22 BB03 BC01 CD22 FA03 FA19 FA34 HA11 JA03

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 対象混合液を加熱して沸騰させる蒸留部
    と、 該蒸留部と連通し、加熱により生じた目的物質の蒸気を
    冷却した後貯留する回収部と、 前記蒸留部と前記回収部の間の蒸気の経路上において、
    蒸気からベーパーパーミエーション法により夾雑成分を
    除去する分離膜モジュールと、 を備えたことを特徴とする、蒸留装置。
  2. 【請求項2】 請求項1において、前記分離膜モジュー
    ルを、前記蒸留部の直上位置に設けたことを特徴とす
    る、蒸留装置。
  3. 【請求項3】 請求項1または請求項2において、前記
    分離膜モジュールが、 表面に蒸気を接触させて夾雑成分の分離を行う管状分離
    膜と、前記蒸気を通過させる流路を規定するケーシング
    とを備え、複数の前記管状分離膜を同一平面内に平行に
    配列するとともに、配列された前記管状分離膜が前記流
    路内に所定間隔で層をなし、かつ隣接する層における前
    記管状分離膜の軸方向をずらすようにして配備された分
    離膜モジュールであることを特徴とする、蒸留装置。
  4. 【請求項4】 請求項3において、前記分離膜モジュー
    ルが、四角筒状の前記ケーシングの側壁に前記管状分離
    膜を装着するとともに、対向する側壁に装着した管状分
    離膜同士を同一平面内で交互に配列したものであること
    を特徴とする、蒸留装置。
  5. 【請求項5】 対象混合液を加熱して沸騰させ、目的物
    質を精製する蒸留塔であって、 上部に、蒸気からベーパーパーミエーション法により夾
    雑成分を除去するための膜分離手段を備えたことを特徴
    とする、蒸留塔。
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