JP2004016928A - 内部熱交換型蒸留塔 - Google Patents

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Abstract

【課題】コストの増大を招くことなく、蒸留部における気液接触状態に偏りが少なく、目標とする蒸留性能を発揮させることが可能な内部熱交換型蒸留塔を提供する。
【解決手段】充填物が充填される管外側の空間を、区画壁15により各管25の周囲毎に分割するとともに、区画壁15により分割された各領域(区画領域)16の水平断面形状が同一形状となるようする。
区画壁15により分割された各区画領域16の水平断面形状を正六角形、十二角形、及び円形のいずれかとする。
本体胴1の内壁と、最外側の管の周囲の管外側空間を仕切る区画壁15(15a)との間に形成される空間17を蒸留部としないようにする。
区画領域16の水平断面形状が、十二角形又は円形である場合において、互いに隣り合う3本の管25の区画壁15により形成される、管25を包囲しない空間18を蒸留部としないようにする。
【選択図】     図2

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、低圧塔と高圧塔を備え、高圧塔(濃縮部)側から、低圧塔(回収部)側に熱移動させることにより両者の間で熱交換を行う内部熱交換型蒸留塔に関する。
【0002】
【従来の技術及び発明が解決しようとする課題】
省エネルギー性に優れた蒸留塔として、低圧塔と高圧塔とを備え、両者の間で熱交換を行うように構成され、他との熱の授受を必要としない内部熱交換型の蒸留塔が知られている。この内部熱交換型蒸留塔は、蒸留操作の省エネルギー化を進める見地からすれば、省エネルギーに最も忠実な理論であることは、原理的にも当然であり、また、学問上からも認められているところである。
【0003】
また、内部熱交換型蒸留塔として、複数の管を両端管板によって本体胴と連結させることにより、本体胴の内部において、各管の管内と管外が隔離された構造とし、管内及び管外のそれぞれに気液の出入口を設け、管内側と管外側の操作圧力に差をつけることにより操作温度を異ならせ、各管の管壁を伝熱面として、高圧側から低圧側に熱移動させることにより、高圧側を濃縮部、低圧側を回収部として一つの蒸留塔を構成するようにした構造が提案されている(特開平8−66601号(特許第2694425号))。
【0004】
この内部熱交換型蒸留塔は、図5に示すように、本体胴1と、本体胴1内に挿入された複数の管25を両端管板(上側管板(塔頂側管板)3a及び下側管板(塔底側管板)3b)によって本体胴1と連結させることにより形成されている。そして、各管25の管内4と管外5は互いに隔離された構造を有しており、管内4が高圧側の濃縮部となり、管外5が低圧側の回収部となるように構成されている。
【0005】
また、本体胴1の上部には、管外(回収部)5に液を供給するための回収部液入口6、管外(回収部)5からの蒸気を抜き出す回収部蒸気出口7が配設されており、上側管板3aより上側の、管内(濃縮部)4と連通する端室14aには、管内(濃縮部)4に液を供給するための濃縮部液入口8が配設され、また、管内(濃縮部)4からの蒸気を抜き出す濃縮部蒸気出口9が配設されている。
【0006】
一方、本体胴1の下部には、管外(回収部)5に蒸気を供給するための回収部蒸気入口10、管外(回収部)5からの液を抜き出す回収部液出口11が配設されており、下側管板3bより下側の、管内(濃縮部)4と連通する端室14bには、管内(濃縮部)4に蒸気を供給するための濃縮部蒸気入口12が配設され、また、管内(濃縮部)4からの液を抜き出す濃縮部液出口13が配設されている。
【0007】
ところで、このような内部熱交換型蒸留塔においては、濃縮部あるいは回収部を構成する、管内側及び管外側の蒸留部における気液接触の状態が、蒸留作用に大きな影響を与えるため、例えば、図5の内部熱交換型蒸留塔のように、管外に充填物を充填して回収部(充填塔)としているような場合において、気液の流れに偏りがあると、目標とするような蒸留効果を得ることができなくなる。
すなわち、充填塔の塔頂で充填層上面に表面積当たり均等に散布された液は、引力により充填物表面を流下し、塔底に供給された蒸気は、塔頂・塔底間の圧力差を推進力として充填物間の隙間を上昇し、充填塔内で液と蒸気が接触することによって蒸留が行われるが、充填塔における気液の流れについてみると、通常、上昇蒸気は下降液量の少ないところに流れ、下降液は上昇蒸気量の少ないところに流れる傾向があるため、少しの偏流が加速度的に大きな偏流を引き起こすことになる。したがって、下降液量と上昇蒸気量の割合の位置的な偏りが、塔頂から塔底にむかって増大し、結果として、設計どおりの気液接触効果、すなわち蒸留性能を得ることができなくなる。
【0008】
そこで、従来の充填塔では、必ず所定の充填層高さ毎に(塔径にもよるが、一般的には2〜5m毎に)、充填層を区切り、この区切り部分に充填層受け、集液具、液体分散具などを配設し、設計どおりの気液接触効果が得られるようにしている。しかしながら、このような構成とした場合、設備構造が複雑になるだけでなく、充填層受け、集液具、液体分散具などの配設されるスペースは、蒸留作用を行う蒸留部としては機能しないことから、蒸留塔の高さがその分だけ高くなり、設備の大型化及びコストの増大を招くという問題点がある。
【0009】
また、管外に充填物を充填して充填塔とした場合、管外の水平断面形状は複雑で、気液接触状態の偏りが生じやすく、上述の充填塔の問題(気液接触状態の偏りによる問題)はより顕著となり、水平断面上の単位面積当たりの気液接触状態を均一にすることはますます困難になる傾向がある。
【0010】
本発明は、上記問題点を解決するものであり、コストの増大を招くことなく、蒸留部における気液接触状態に偏りが少なく、目標とする蒸留性能を発揮させることが可能な内部熱交換型蒸留塔を提供することを目的とする。
【0011】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために、本発明(請求項1)の内部熱交換型蒸留塔は、
複数の管を両端管板によって本体胴と連結することにより、本体胴の内部において各管の管内と管外が隔離され、かつ、管内及び管外のそれぞれが気液の出入口を備えた構造とし、
少なくとも各管の周囲に充填物を配設するとともに、
管内側と管外側の操作圧力に差をつけることにより操作温度を異ならせ、各管の管壁を伝熱面として、高圧側から低圧側に熱移動させることにより、高圧側が濃縮部、低圧側が回収部として機能するように構成された内部熱交換型蒸留塔であって、
(a)充填物が配設される前記管外側の空間を、区画壁により各管の周囲毎に分割するとともに、
(b)区画壁により分割された各領域(区画領域)の水平断面形状がそれぞれ同一形状になるようにしたこと
を特徴としている。
【0012】
管外側の空間を、区画壁により各管の周囲毎に分割するとともに、区画壁により分割された各領域(区画領域)の水平断面形状が同一形状となるようにした場合、下降液及び上昇蒸気の水平方向の流れが区画壁により遮断され、管外を流下する液の流れる範囲は各区画領域内に限定されるとともに、上昇蒸気が各区画領域を流下する均一な液量の下降液を抵抗として、各区画領域毎に上昇することになるため、充填物が充填された管外の下部より、各管1本当たりについて均一な量の蒸気が各区画領域、すなわち、各管1本毎の管の周囲に供給されることになる。
【0013】
したがって、各区画領域を通過する気液量は同一(一定)となり、目標とする設計通りの気液接触を充填物が充填された管外(各区画領域)で行わせて、所望の蒸留性能を発揮させることが可能になる。
また、各区画領域の水平断面積は十分に小さくすることができるので、塔頂・塔底間の途中で集液・再分布を行うことを不要にして、装置の複雑化を招くことを回避することができる。
なお、本発明の内部熱交換型蒸留塔において、管外に配設される好適な充填物としては、層状構造を有し、各層状部材が略縦向きになるように配設される規則充填物などが例示されるが、その他の種々の充填物を用いることが可能である。また、本発明の内部熱交換型蒸留塔においては、管内に充填物を充填した構造とすることも可能であり、また、充填物を充填しない構造とすることも可能である。また、管内に充填物を充填する場合の好適な充填物としては、層状構造を有し、各層状部材が略縦向きになるように配設される規則充填物などが例示されるが、これ以外の充填物を用いることも可能である。
【0014】
また、請求項2の内部熱交換型蒸留塔は、前記区画壁により分割された各領域(区画領域)の水平断面形状が、正六角形、十二角形、及び円形のいずれかであることを特徴としている。
【0015】
区画壁により分割された各区画領域の水平断面形状を正六角形、十二角形、及び円形のいずれかとすることにより、気液接触状態に偏りが生じにくい平面形状を有する管外領域を形成することが可能になるとともに、管外のスペースを有効に利用することが可能になり、本発明を実効あらしめることが可能になる。
【0016】
また、請求項3の内部熱交換型蒸留塔は、前記本体胴の内壁と、前記複数の管のうちの最外側に位置する管の周囲を仕切る区画壁との間に形成される空間を蒸留部としないことを特徴としている。
【0017】
本体胴の内壁と、最外側の管の周囲の管外側空間を仕切る区画壁との間に形成される空間を蒸留部としないようにすることにより、気液接触状態に偏りが生じにくい平面形状を有する管外領域を容易に形成することが可能になり、本発明をさらに実効あらしめることができる。
なお、この場合、本体胴の内壁と、最外側に位置する管の周囲を仕切る区画壁との間に形成される空間は蒸留部とならないので、設備がいくらか大型化することになるが、最外側に位置する管の周囲を仕切る区画壁との間に形成される空間の水平断面積は本体胴の水平断面積に比べて小さく、実用上問題となるほどの設備の大型化を招くことはない。
【0018】
また、請求項4の内部熱交換型蒸留塔は、前記区画壁により分割された各領域(区画領域)の水平断面形状が、十二角形又は円形である場合において、互いに隣り合う3本の管の区画壁により形成される、管を包囲しない空間を蒸留部としないことを特徴としている。
【0019】
区画領域の水平断面形状が、十二角形又は円形である場合において、互いに隣り合う3本の管の区画壁により形成される、管を包囲しない空間を蒸留部としないようにすることにより、水平断面形状が、十二角形又は円形である区画領域を形成して、気液接触状態に偏りが生じにくくすることが可能になる。
なお、互いに隣り合う3本の管の周囲の区画壁によって形成される管を包囲しない空間は蒸留部とならないので、設備がいくらか大型化することになるが、管を包囲しない空間の水平断面積は本体胴の水平断面積に比べて小さく、実用上問題となるほどの設備の大型化を招くことはない。
【0020】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態を示して、その特徴とするところを詳しく説明する。
【0021】
[実施形態1]
図1は本発明の一実施形態にかかる内部熱交換型蒸留塔の主要部の構成を模式的に示す正面断面図、図2は平面断面図である。
この内部熱交換型蒸留塔は、本体胴1と、本体胴1内に挿入された複数の管25を上側管板3a及び下側管板3bによって本体胴1と連結させることにより形成されている。そして、各管25の管内4と管外5は互いに隔離された構造を有しており、管内4が高圧側の濃縮部となり、管外5が低圧側の回収部となるように構成されている。
【0022】
また、本体胴1の上部には、管外(回収部)5に液を供給するための回収部液入口6、管外(回収部)5からの蒸気を抜き出す回収部蒸気出口7が配設されており、上側管板3aより上側の、管内(濃縮部)4と連通する端室14aには、管内(濃縮部)4に液を供給するための濃縮部液入口8が配設され、また、管内(濃縮部)4からの蒸気を抜き出す濃縮部蒸気出口9が配設されている。
【0023】
一方、本体胴1の下部には、管外(回収部)5に蒸気を供給するための回収部蒸気入口10、管外(回収部)5からの液を抜き出す回収部液出口11が配設されており、下側管板3bより下側の、管内(濃縮部)4と連通する端室14bには、管内(濃縮部)4に蒸気を供給するための濃縮部蒸気入口12が配設され、また、管内(濃縮部)4からの液を抜き出す濃縮部液出口13が配設されている。
【0024】
そして、この実施形態の内部熱交換型蒸留塔においては、図2に示すように、管25の周囲の空間である管外(管外側の空間)5が、区画壁15により、各管25の周囲毎に分割されている。そして、区画壁15により分割された各領域(区画領域)16の水平断面形状がそれぞれ正六角形の同一形状になるように構成されている。なお、ここで区画領域16の形状とは、区画壁15に囲まれた、管外5、管25及び管内4を含む領域の形状をいう。
また、この内部熱交換型蒸留塔においては、管内4及び区画領域16(管外5)には充填物(規則充填物)4a,5aが充填されている。
【0025】
また、本体胴1の内壁と、最外側の管25の周囲に配設された区画壁15(15a)との間に形成される空間(外周領域)17には気液が供給されないように(すなわち、蒸留部として機能しないように)構成されている。
【0026】
このように構成された内部熱交換型蒸留塔においては、管外(管外側の空間)5を、各管25の周囲毎に分割する区画壁15を設けるとともに、区画壁15により分割された各領域(区画領域)16の水平断面形状がいずれも正六角形で同一の形状となるようにしているので、下降液及び上昇蒸気の水平方向の流れが区画壁により遮断され、充填物が配設された管外5を流下する液の流れる範囲が各区画領域16内に限定されるとともに、上昇蒸気が各区画領域16を流下する均一な液量の下降液を抵抗として、各区画領域16毎に上昇することになるため、管外5(すなわち各区画領域16)の下部より、各管25の1本当たりについて均一な量の蒸気が各管25の周囲の区画領域16に供給されることになる。
【0027】
したがって、充填塔である各区画領域16を通過する気液量は、各区画領域16間で一定となり、管外5(区画領域16)において目標とする設計通りの気液接触を行わせることが可能になり、所望の蒸留性能を得ることができるようになる。
また、各区画領域16の水平断面積は十分に小さいので、塔頂・塔底間の途中で集液・再分布を行うことが不要になり、装置の複雑化を招くことを回避することができる。
【0028】
[実施形態2]
図3は本発明の他の実施形態(実施形態2)にかかる内部熱交換型蒸留塔の内部構造を示す平面断面図である。なお、図3において、図2と同一符号を付した部分は同一又は相当する部分を示している。
この実施形態2の内部熱交換型蒸留塔においては、管25の周囲の空間である管外(管外側の空間)5が、区画壁15により、各管25の周囲毎に分割されているとともに、区画壁15により分割された各領域(区画領域)16の水平断面形状がそれぞれ円形の同一形状になるように構成されている。また、この内部熱交換型蒸留塔においても、管内4及び区画領域16(管外5)には充填物(規則充填物)4a,5aが充填されている。
【0029】
また、本体胴1の内壁と、最外側の管25の周囲に配設された区画壁15(15a)との間に形成される空間(外周領域)17には気液が供給されないように(すなわち、蒸留部として機能しないように)構成されている。
さらに、この実施形態2の内部熱交換型蒸留塔においては、互いに隣り合う3本の管25の周囲の区画壁15により形成される、管25を包囲しない空間18にも気液が供給されないように(すなわち、蒸留部として機能しないように)構成されている。
【0030】
このように構成された実施形態2の内部熱交換型蒸留塔においては、管外(管外側の空間)5を、各管25の周囲毎に分割する区画壁15を設けるとともに、区画壁15により分割された各領域(区画領域)17の水平断面形状がいずれも円形で同一の形状となるようにしているので、上記実施形態1の場合と同様に、下降液及び上昇蒸気の水平方向の流れが区画壁15により遮断され、管外5を流下する液の流れる範囲が各区画領域16内に限定されるとともに、上昇蒸気が各区画領域16を流下する均一な液量の下降液を抵抗として、各区画領域16毎に上昇することになるため、管外5(すなわち各区画領域16)の下部より、各管25の1本当たりについて均一な量の蒸気が各管25の周囲の区画領域16に供給されることになる。
【0031】
したがって、各区画領域16を通過する気液量は、各区画領域16で一定となり、管外5(区画領域16)において目標とする設計通りの気液接触を行わせて、所望の蒸留性能を得ることができる。
さらに、この実施形態2の内部熱交換型蒸留塔においては、各区画領域16が円形であることから、管外における気液接触状態の偏りをさらに確実に抑制することが可能になる。
【0032】
また、この実施形態2の場合も、各区画領域16の水平断面積は十分に小さいので、塔頂・塔底間の途中で集液・再分布を行うことが不要になり、装置の複雑化を招くことを回避することができる。
但し、この実施形態2の場合には、互いに隣り合う3本の管25の周囲の区画壁15によって、管25を包囲しない空間18が形成されることになるが、その水平断面積は本体胴1の水平断面積に比べて小さく、実用上問題となるほどの設備の大型化を招くことはない。
【0033】
[実施形態3]
図4は本発明のさらに他の実施形態(実施形態3)にかかる内部熱交換型蒸留塔の内部構造を示す水平断面図である。なお、図4において、図2,3と同一符号を付した部分は同一又は相当する部分を示している。
この実施形態3の内部熱交換型蒸留塔においては、管25の周囲の空間である管外(管外側の空間)5が、区画壁15により、各管25の周囲毎に分割されているとともに、区画壁15により分割された各領域(区画領域)16の水平断面形状がそれぞれ十二角形の同一形状になるように構成されている。
【0034】
また、本体胴1の内壁と、最外側の管25の周囲の管外側空間5を仕切る区画壁15(15a)との間に形成される空間(外周領域)17には気液が供給されないように(すなわち、蒸留部として機能しないように)構成されている。
さらに、この実施形態3の内部熱交換型蒸留塔においては、互いに隣り合う3本の管25の周囲の区画壁15により形成される、管25を包囲しない三角形の空間18にも気液が供給されないように(すなわち、蒸留部として機能しないように)構成されている。
【0035】
このように構成された内部熱交換型蒸留塔においても、上記実施形態1及び2の内部熱交換型蒸留塔と同様の作用効果を得ることが可能で、管外5(区画領域16)で目標とする設計通りの気液接触を行わせることが可能になり、所望の蒸留性能を得ることができるようになる。
なお、この実施形態3の内部熱交換型蒸留塔においては、各区画領域16が円形に近い十二角形であることから、管外5(区画領域16)における気液接触状態の偏りを効率よく抑制することが可能になる。
また、この実施形態3の場合には、互いに隣り合う3本の管25の周囲の区画壁15によって、管25を包囲しない三角形の空間18が形成されることになるが、その水平断面積は本体胴1の水平断面積に比べて小さく、実用上問題となるほどの設備の大型化を招くことはない。
【0036】
なお、上記実施形態1〜3では、区画領域の形状が正六角形、円形、及び十二角形である場合を例にとって説明したが、区画領域の形状はこれに限られるものではなく、管の配設態様などに応じて、四角形、八角形その他の種々の形状とすることが可能である。
【0037】
また、上記実施形態では、管外が回収部である場合を例にとって説明したが、管内が回収部となるように構成された内部熱交換型蒸留塔にも適用することが可能であり、その場合にも上記実施形態の場合と同様の効果を得ることが可能である。
【0038】
本発明はさらにその他の点においても上記実施形態に限定されるものではなく、発明の範囲内において、種々の応用、変形を加えることが可能である。
【0039】
【発明の効果】
上述のように、本発明(請求項1)の内部熱交換型蒸留塔は、管外側の空間を、区画壁により各管の周囲毎に分割するとともに、区画壁により分割された各領域(区画領域)の水平断面形状が同一形状となるようにしているので、下降液及び上昇蒸気の水平方向の流れが区画壁により遮断され、管外を流下する液の流れる範囲は各区画領域内に限定されるとともに、上昇蒸気が各区画領域を流下する均一な液量の下降液を抵抗として、各区画領域毎に上昇することになるため、充填物が充填された管外の下部より、各管1本当たりについて均一な量の蒸気を各区画領域、すなわち、各管1本毎の管の周囲に供給することが可能になる。したがって、各区画領域を通過する気液量を同一(一定)として、各区画領域で、目標とする設計通りの気液接触を行わせて、所望の蒸留性能を発揮させることが可能になる。
また、各区画領域の水平断面積は十分に小さくすることができるので、塔頂・塔底間の途中で集液・再分布を行うことを不要にして、装置の複雑化を招くことを回避することができる。
【0040】
また、請求項2の内部熱交換型蒸留塔のように、区画壁により分割された各区画領域の水平断面形状を正六角形、十二角形、及び円形のいずれかの形状とした場合、気液接触状態に偏りが生じにくい平面形状を有する管外領域を形成することが可能になるとともに、管外のスペースを有効に利用することが可能になり、本発明を実効あらしめることが可能になる。
【0041】
また、請求項3の内部熱交換型蒸留塔のように、本体胴の内壁と、最外側の管の周囲の管外側空間を仕切る区画壁との間に形成される空間を蒸留部としないようにすることにより、気液接触状態に偏りが生じにくい平面形状を有する管外領域を容易に形成することが可能になり、本発明をさらに実効あらしめることができる。
なお、本体胴の内壁と、最外側に位置する管の周囲を仕切る区画壁との間に形成される空間は蒸留部とならないので、設備がいくらか大型化することになるが、最外側に位置する管の周囲を仕切る区画壁との間に形成される空間の水平断面積は本体胴の水平断面積に比べて小さく、実用上問題となるほどの設備の大型化を招くことはない。
【0042】
また、請求項4の内部熱交換型蒸留塔のように、区画領域の水平断面形状が、十二角形又は円形である場合において、互いに隣り合う3本の管の区画壁により形成される、管を包囲しない空間を蒸留部としないようにすることにより、水平断面形状が、十二角形又は円形である区画領域を形成して、気液接触状態に偏りが生じにくくすることが可能になる。
なお、互いに隣り合う3本の管の周囲の区画壁によって形成される管を包囲しない空間は蒸留部とならないので、設備がいくらか大型化することになるが、管を包囲しない空間の水平断面積は本体胴の水平断面積に比べて小さく、実用上問題となるほどの設備の大型化を招くことはない。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施形態にかかる内部熱交換型蒸留塔の主要部を示す正面断面図である。
【図2】本発明の一実施形態(実施形態1)にかかる内部熱交換型蒸留塔の内部構造を示す平面断面図である。
【図3】本発明の他の実施形態(実施形態2)にかかる内部熱交換型蒸留塔の内部構造を示す平面断面図である。
【図4】本発明のさらに他の実施形態(実施形態3)にかかる内部熱交換型蒸留塔の内部構造を示す平面断面図である。
【図5】本発明が関連する従来の内部熱交換型蒸留塔の構成を示す図である。
【符号の説明】
1    本体胴
3a   上側管板
3b   下側管板
4    管内(濃縮部)
4a   管内に配設された充填物(規則充填物)
5    管外(回収部)
5a   管外に配設された充填物(規則充填物)
6    回収部液入口
7    回収部蒸気出口
8    濃縮部液入口
9    濃縮部蒸気出口
10   回収部蒸気入口
11   回収部液出口
12   濃縮部蒸気入口
13   濃縮部液出口
14a,14b  端室
15   区画壁
15a  最外側の管の周囲の管外側空間を仕切る区画壁
16   区画領域
17   外周領域
18   管を包囲しない空間
25   管

Claims (4)

  1. 複数の管を両端管板によって本体胴と連結することにより、本体胴の内部において各管の管内と管外が隔離され、かつ、管内及び管外のそれぞれが気液の出入口を備えた構造とし、
    少なくとも各管の周囲に充填物を配設するとともに、
    管内側と管外側の操作圧力に差をつけることにより操作温度を異ならせ、各管の管壁を伝熱面として、高圧側から低圧側に熱移動させることにより、高圧側が濃縮部、低圧側が回収部として機能するように構成された内部熱交換型蒸留塔であって、
    (a)充填物が配設される前記管外側の空間を、区画壁により各管の周囲毎に分割するとともに、
    (b)区画壁により分割された各領域(区画領域)の水平断面形状がそれぞれ同一形状になるようにしたこと
    を特徴とする内部熱交換型蒸留塔。
  2. 前記区画壁により分割された各領域(区画領域)の水平断面形状が、正六角形、十二角形、及び円形のいずれかであることを特徴とする請求項1記載の内部熱交換型蒸留塔。
  3. 前記本体胴の内壁と、前記複数の管のうちの最外側に位置する管の周囲を仕切る区画壁との間に形成される空間を蒸留部としないことを特徴とする請求項1又は2記載の内部熱交換型蒸留塔。
  4. 前記区画壁により分割された各領域(区画領域)の水平断面形状が、十二角形又は円形である場合において、互いに隣り合う3本の管の区画壁により形成される、管を包囲しない空間を蒸留部としないことを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の内部熱交換型蒸留塔。
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