JP2003091024A - 電気泳動材料、およびそれを用いた光学素子 - Google Patents

電気泳動材料、およびそれを用いた光学素子

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JP2003091024A JP2001284562A JP2001284562A JP2003091024A JP 2003091024 A JP2003091024 A JP 2003091024A JP 2001284562 A JP2001284562 A JP 2001284562A JP 2001284562 A JP2001284562 A JP 2001284562A JP 2003091024 A JP2003091024 A JP 2003091024A
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 色純度に優れ、粒子凝集の抑制し、安定性に
優れ、且つ低電圧駆動を持った電気泳動材料、及びそれ
を備える光学素子を提供すること。 【解決手段】 高分子ゲル粒子(31)と絶縁性液体
(32)とを有し、且つ、前記高分子ゲル粒子(31)
が前記絶縁性液体(32)の一部を内部に含む電気泳動
材料(30)、及び、当該電気泳動材料(30)と、第
一の電極(21)と、第二の電極(71)と、を備える
光学素子である。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、高分子ゲル粒子を
泳動粒子として用いた電気泳動材料およびそれを用いた
光学素子に関するものである。本発明の電気泳動材料
は、通電に応じて色変化する、光散乱する、幅広い波長
において透過光量や反射光量を調節できる、多彩な色調
を呈示する、多彩なパターンを表示できるなどの特性を
有するものである。したがい、本発明は、表示素子、調
光ガラス、調光素子等透過型素子や積層型カラー素子と
して好適に利用可能な電気泳動材料及びそれを用いた光
学素子に関する。
【0002】
【従来の技術】近年、高度情報化社会の進展にともない
カラー表示システム、大面積表示システムへのニーズが
増大している。これらを実現する技術としてCRT、液
晶、EL、LED、プラズマなどの表示技術が開発され
てきた。一方、これらの自発光システムのほかに、低消
費電力である、人間の目に違和感の少ない反射型表示シ
ステムの開発が検討されている。反射型表示システムと
しては、反射型液晶技術などが有力なものとなってい
る。一方、安価な大面積カラー表示システム、あるいは
安価な大面積表示システムへのニーズが大きいが、それ
を実現する有望な技術が確立されていないのが現状であ
る。
【0003】このような候補技術として有望なものとし
て電気泳動技術が知られている。電気泳動表示技術とし
ては、米国特許USP3612758号公報、米国特許
USP3668106号公報や特開昭59−17193
0号公報等に開示されている。これらの電気泳動技術で
は一般に染料等によって着色させた絶縁性溶液中に酸化
チタン等の白色粒子を分散した溶液を用い、電界の付与
による白色粒子の移動によって、モノクロの表示を行う
ものである。泳動粒子は電極面に対して垂直方向に泳動
し、泳動粒子が観測者側の基板面に付着した場合には白
色の粒子色(この状態を発色時と呼ぶ)を確認でき、一
方、対極基板上に移動した場合には着色溶液の色が示さ
れるものとなる。一方、特開平9−211499、特公
平6−52358、特開平11−219135では泳動
粒子として着色した高分子粒子等を用いた技術が開示さ
れている。
【0004】これらは、非発色時には入射光が透明液体
部分を通過するために、透過型表示素子としての利用も
可能となる。特開平9−211499のシステムにおい
ては、一対の電極が入射光に対し垂直および水平方向に
配置されている構成であり、発色時には泳動粒子を入射
光に対して垂直な電極面上に、非発色時には水平な電極
上に泳動させ、調光を行うものである。特公平6−52
358の技術は着色粒子を電極面に対し垂直方向に移動
させるものであるが、各電極の面積が異なっているため
に各電極上に付着した着色粒子の形成する着色部の面積
に変化が生じ、調光を行うものである。一方、特開平1
1−219135のシステムにおいては、入射光に対し
て垂直方向の基板面に面積の異なる一対の電極を設け、
着色粒子を基板に対し水平方向に泳動させ、各電極上に
付着した粒子が形成する着色部の面積を変化させること
で調光を行うものである。
【0005】一方、電気泳動粒子としての材料を改善す
る技術として特許公報第2551783号にはマイクロ
カプセルに電気泳動材料を内包化したものが、特開20
00−352946号公報には泳動粒子が色材を含むマ
イクロカプセルから形成されていることを特徴とする技
術が開示されている。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】従来の電気泳動表示技
術には様々な課題がある。特開昭59−171930号
等に開示されている電気泳動技術では泳動粒子の凝集に
より安定性が悪いこと、染料によって泳動粒子が着色さ
れてしまうこと、着色溶液に含まれる染料が化学的に不
安定であること、泳動粒子がON−OFFにともない各
基板上交互に移動し付着されるが、その付着状態が安定
に保持できずメモリ性が低いこと、その構成から一般に
反射表示のみであり透過型の表示素子には応用できずそ
の応用が限定されることや、一般的に単色表示しかでき
ないなどの課題がある。
【0007】本技術においてカラー表示はカラーフィル
ターとの組み合わせにより実現の可能性はあるが、カラ
ーフィルターの光利用効率は10〜20%程度と低いた
めに、明るい表示を行うことは難しい。
【0008】一方、泳動粒子として着色した高分子やマ
イクロカプセルを用いて上記の課題を改善しようという
技術もあるが、同様に均一に粒子を泳動させることが難
しいことや、前述と同様に粒子の凝集が起こり易いなど
の課題がある。また、着色した高分子材料からなる泳動
粒子が電極上に付着、積層した発色状態においては、入
射光が粒子に吸収されると同時にその表面で散乱されて
しまう。つまり、発色時において光散乱が生じ、色純度
が悪くなってしまう。したがい、シアン、マゼンタ、イ
エローの3色のパネルを積層してカラー表示を行うよう
な一般的な構成に応用することが難しいなどの課題があ
る。
【0009】従って、本発明は、前記従来における諸問
題を解決し、以下の目的を達成することを課題とする。
即ち、本発明の目的は、色純度に優れ、粒子凝集の抑制
し、安定性に優れ、且つ低電圧駆動を持った電気泳動材
料、及びそれを備える光学素子を提供することである。
【0010】
【課題を解決するための手段】上記課題は、以下の手段
により解決される。即ち、本発明は、 <1>高分子ゲル粒子と絶縁性液体とを有し、且つ、前
記高分子ゲル粒子が前記絶縁性液体の一部を内部に含む
ことを特徴とする電気泳動材料である。 <2>前記高分子ゲル粒子による前記絶縁性液体の含有
量が、1g/g〜50g/gであることを特徴とする前
記<1>に記載の電気泳動材料である。 <3>前記高分子ゲル粒子と前記絶縁性液体との屈折率
差が、0.02以下であることを特徴とする前記<1>
又は<2>に記載の電気泳動材料である。 <4>前記絶縁性液体中に、色材を含むことを特徴とす
る前記<1>〜<3>のいずれかに記載の電気泳動材料
である。 <5>前記高分子ゲル粒子中に、調光用材料を含むこと
を特徴とする前記<1>〜<4>のいずれかに記載の電
気泳動材料である。 <6>前記<1>〜<5>のいずれかに記載の電気泳動
材料と、第一の電極と、第二の電極と、を備えることを
特徴とする光学素子である。 <7>前記第一の電極と前記第二の電極とが、略平行に
配置されてなることを特徴とする前記<5>に記載の光
学素子である。 <8>前記電気泳動材料を介し、前記第一の電極と前記
第二の電極とが配置されてなることを特徴とする前記<
7>に記載の光学素子である。 <9>前記電気泳動材料に対し、前記第一の電極と前記
第二の電極とが同一側に配置されてなることを特徴とす
る前記<7>に記載の光学素子である。 <10>前記第二の電極が、その外周端の少なくとも一
部を前記第一の電極の外周端よりも外側に位置するよう
配置されてなることを特徴とする前記<9>に記載の光
学素子である。 <11>前記第一の電極と、前記第二の電極とが、略垂
直して配置されてなることを特徴とする前記<6>に記
載の光学素子である。 <12>前記第一の電極及び前記第二の電極の少なくと
も一方が、その表面に絶縁層又は誘電層が設けられてな
ることを特徴とする前記<6>〜<11>のいずれかに
記載の光学素子である。
【0011】
【発明の実施の形態】以下、本発明を詳細に説明する。 (電気泳動材料)本発明の電気泳動材料は、高分子ゲル
粒子と絶縁性液体とを有し、且つ、前記高分子ゲル粒子
が前記絶縁性液体の一部を内部に含むことを特徴とす
る。高分子ゲル粒子とは、高分子の架橋体であって、絶
縁性液体を含む絶縁性液体含浸粒子である。高分子ゲル
粒子は、自重の数倍以上の液体を内部に含むことが可能
であり、ゴム弾性体に類似した物性を有し、さらには粒
子自体あるいはその表面がソフトである。そのために、
粒子の凝集の抑制、安定なメモリ性付与が可能であり、
かつ大きな帯電量をもつことから低電圧での泳動が可能
である。従って、絶縁性液体を内部に含む高分子ゲル粒
子を用いた本発明の電気泳動材料は、色純度に優れ、粒
子凝集の抑制し、安定性に優れ、且つ低電圧駆動を持
つ。このような電気泳動材料は、反射型の光学素子のみ
ならず、透過型の光学素子にも請好適に利用可能であ
り、さらには積層型のカラー表示を行う光学素子にも好
適に利用可能である。さらには、後述するが、本発明の
電気泳動材料は、色材や調光用材料等を高分子ゲル材料
中、或いは絶縁性液体中に均一に分散すると、高分子ゲ
ル粒子と絶縁性液体との屈折率差を低減することがで
き、発色時の光散乱性を大幅に低減させることが可能
で、より色純度が向上するとともに積層型の表示素子等
に好適に応用できる。
【0012】まず、高分子ゲル粒子について説明する。
高分子ゲル粒子としては、上記特性を有するものであれ
ば、特に制限はないが、親油性高分子ゲルが好適に挙げ
られる。具体的には、以下に列挙するモノマから選択さ
れる1種以上のモノマからなる単独重合体の架橋体や2
種以上のモノマからなる共重合体の架橋体が好適に挙げ
られる。
【0013】モノマ群:(メタ)アクリロニトリル、
(メタ)アクリル酸、(メタ)アクリル酸アルキルエス
テル、(メタ)アクリル酸ジアルキルアミノアルキルエ
ステル、(メタ)アクリルアミド、2−アクリルアミド
−2−メチルプロパンスルフォン酸、エチレン、プロピ
レン、ブタジエン、イソプレン、イソブチレン、スルフ
ォン酸ビニル、N−ジアルキル置換(メタ)アクリルア
ミド、ビニルピリジン、ビニルアミン、アリルアミン、
スチレン、ビニルカルバゾール、ビニルピロリドン、ス
チレン、スチレン誘導体、エチレングリコールジ(メ
タ)アクリレート、2−ヒドロキシエチル(メタ)アク
リレート、グリセリル(メタ)アクリレート、ポリエチ
レングリコールモノ(メタ)アクリレート、塩化ビニ
ル、塩化ビニリデン、エチレングリコールジ(メタ)ア
クリレート、メチレンビスアクリルアミド、イソプレ
ン、ブタジエン、ジビニルベンゼン、エチレングリコー
ルジ(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールジ
(メタ)アクリレート、ブタンジオールジ(メタ)アク
リレート、ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、
アジピン酸ジビニルなどが挙げられる。なお、例示した
化合物の表記において(メタ)アクリレート等の記述
は、アクリルレートおよびメタアクリレート(メタクリ
レート)のいずれをも含む表現である。
【0014】高分子ゲル粒子としては、その他にも、ポ
リエステル系高分子の架橋体、ポリビニルアセタール誘
導体の架橋体、ポリウレタン系高分子の架橋体、ポリウ
レア系高分子の架橋体、ポリエーテル系高分子の架橋
体、ポリアミド系高分子の架橋体、ポリカーボネート系
高分子の架橋体などが好適に挙げられる。
【0015】高分子ゲル粒子の粒子状としては、球体、
立方体、楕円体、多面体、多孔質体、繊維状、星状、針
状、中空状、リング状などのものが適用できる。粒子の
大きさは、絶縁性液体を内部に含まない状態において平
均粒径で0.1μm〜200μmの範囲であることが好
ましく、より好ましくは1μm〜100μmの範囲であ
る。粒径が0.1μm以下であると粒子のハンドリング
が困難になる、優れた光学特性が得られないなどの問題
を生じることがある。一方、粒径が100μmよりも大
きくなると、泳動速度が遅くなるなどの問題が生じるこ
とがある。
【0016】高分子ゲル粒子は、物理的粉砕法によって
粉砕する方法や架橋前の高分子を物理的粉砕法や化学的
粉砕法によって粒子化した後に架橋してゲルとする方
法、あるいは乳化重合法、懸濁重合法、分散重合法など
の粒子化重合法などの一般的な方法によって、粒子化し
製造することができる。なお、高分子ゲル粒子を架橋さ
せるためには、前記したような種々の架橋性モノマ(多
官能性モノマ)や架橋剤(多官能性化合物)を重合時あ
るいは重合後に添加し反応させる、あるいは高分子に電
子線、γ線などの放射線を照射する、加熱する、さらに
は過酸化物を添加するなどの一般的な方法が適用でき
る。
【0017】高分子ゲル粒子は、電気泳動粒子として用
いるが、このためには、絶縁性液体中において該粒子を
帯電させる必要がある。このような帯電は、絶縁性液体
と高分子ゲルとの接触帯電によって可能であるが、高分
子ゲルの帯電に寄与する官能基を材料中に導入するこ
と、種々の帯電付与化合物を添加することも好ましい。
例えば、高分子ゲル材料中に導入する官能基としては、
アミノ基、アンモニウム基、ハロゲン基、水酸基、カル
ボキシル基、スルフォン酸基、リン酸基、アミド基、チ
オール基などが挙げられる。一方、帯電付与化合物とし
ては各種界面活性剤、アミン類、ホウ素類、ハロゲン化
合物などが挙げられる。また、帯電付与化合物としては
モノアゾ染料の金属錯塩、サリチル酸、アルキルサリチ
ル酸、ジアルキルサリチル酸、ナフトエ酸の金属錯塩、
ニグロシン系化合物、有機四級アンモニウム塩なども挙
げられる。さらには、高分子ゲル材料中に含有させる調
光用材料に帯電性の機能をもたせても構わない。
【0018】高分子ゲル粒子による絶縁性液体の含有量
は、1g/g〜50g/gの範囲が好ましく、より好ま
しくは、2g/g〜30g/gの範囲がより好ましい。
この含有量が、1g/g未満では、高分子ゲル粒子間の
凝集抑制の効果や色純度の改善効果が低減することがあ
り、50g/gを超えると高分子ゲル材料中に含ませる
ことができる調光用材料などの濃度が低下し、調光コン
トラストが低下する恐れが生じる。
【0019】高分子ゲル粒子中には、調光用材料を含む
ことが好適である。この高分子ゲル粒子中に調光用材料
を含ませることで、絶縁性液体との屈折率差を低減させ
たり、発色時の光散乱性を大幅に低減させたりすること
が可能であり、色純度を向上させることができる。
【0020】調光用材料としては、染料、顔料や光散乱
材などが挙げられる。この、調光用材料は高分子ゲル粒
子中に物理的あるいは化学的に固定化されることが好ま
しい。
【0021】染料の好適な具体例としては、例えば、黒
色のニグロシン系染料や赤、緑、青、シアン、マゼン
タ、イエローなどのカラー染料であるアゾ染料、アント
ラキノン系染料、インジゴ系染料、フタロシアニン系染
料、カルボニウム染料、キノンイミン染料、メチン染
料、キノリン染料、ニトロ染料、ベンゾキノン染料、ナ
フトキノン染料、ナフタルイミド染料、ベリノン染料な
どが挙げられ、特に光吸収係数が高いものが望ましい。
例えば、C.I.ダイレクトイエロー1、8、11、1
2、24、26、27、28、33、39、44、5
0、58、85、86、87、88、89、98、15
7、C.I.アシッドイエロー1、3、7、11、1
7、19、23、25、29、38、44、79、12
7、144、245、C.I.ベイシックイエロー1、
2、11、34、C.I.フードイエロー4、C.I.
リアクティブイエロー37、C.I.ソルベントイエロ
ー6、9、17、31、35、100、102、10
3、105、C.I.ダイレクトレッド1、2、4、
9、11、13、17、20、23、24、28、3
1、33、37、39、44、46、62、63、7
5、79、80、81、83、84、89、95、9
9、113、197、201、218、220、22
4、225、226、227、228、229、23
0、231、C.I.アシッドレッド1、6、8、9、
13、14、18、26、27、35、37、42、5
2、82、85、87、89、92、97、106、1
11、114、115、118、134、158、18
6、249、254、289、C.I.ベイシックレッ
ド1、2、9、12、14、17、18、37、C.
I.フードレッド14、C.I.リアクティブレッド2
3、180、C.I.ソルベントレッド5、16、1
7、18、19、22、23、143、145、14
6、149、150、151、157、158、C.
I.ダイレクトブルー1、2、6、15、22、25、
41、71、76、78、86、87、90、98、1
63、165、199、202、C.I.アシッドブル
ー1、7、9、22、23、25、29、40、41、
43、45、78、80、82、92、93、127、
249、C.I.ベイシックブルー1、3、5、7、
9、22、24、25、26、28、29、C.I.フ
ードブルー2、C.I.ソルベントブルー22、63、
78、83〜86、191、194、195、104、
C.I.ダイレクトブラック2、7、19、22、2
4、32、38、51、56、63、71、74、7
5、77、108、154、168、171、C.I.
アシッドブラック1、2、7、24、26、29、3
1、44、48、50、52、94、C.I.ベイシッ
クブラック2、8、C.I.フードブラック1、2、
C.I.リアクティブブラック31、C.I.フードバ
イオレット2、C.I.ソルベントバイオレット31、
33、37、C.I.ソルベントグリーン24、25、
C.I.ソルベントブラウン3、9等が挙げられる。ま
た、染料としては、高分子ゲルに固定化するために、不
飽和二重結合基などの重合可能な基を有した構造の染料
や高分子ゲルと反応可能ないわゆる反応性染料なども好
適に挙げられる。これらの染料は、単独で使用してもよ
く、所望とする色を得るために2種以上を混合して使用
してもよい。
【0022】染料の高分子ゲル粒子中における濃度は、
2重量%から70重量%の範囲であることが好ましく、
特に好ましくは5重量%から50重量%の範囲である。
2重量%よりも少ない場合は調光作用が低下することが
あり、70重量%よりも多い場合は良好な強度を有する
材料を得ることが難しくなることがある。
【0023】顔料および光散乱材の好適な具体例として
は、黒色顔料であるブロンズ粉、チタンブラック、各種
カーボンブラック(チャネルブラック、ファーネスブラ
ック等)、白色顔料である酸化チタン、シリカなどの金
属酸化物、炭酸カルシウムや金属紛などの光散乱材、カ
ラー顔料である例えばフタロシアニン系のシアン系顔
料、ベンジジン系のイエロー系顔料、ローダミン系のマ
ゼンタ系顔料、あるいはこの他にもアントラキノン系、
アゾ系、アゾ金属錯体、フタロシアニン系、キナクリド
ン系、ペリレン系、インジゴ系、イソインドリノン系、
キナクリドン系、アリルアミド系、硫化亜鉛などの各種
顔料や光散乱材が挙挙げられる。イエロー系顔料として
は、例えば、縮合アゾ化合物、イソインドリノン化合
物、アンスラキノン化合物、アゾ金属錯体、メチン化合
物、アリルアミド化合物に代表される化合物が用いられ
る。より詳細には、C.I.ピグメントイエロー12、
13、14、15、17、62、74、83、93、9
4、95、109、110、111、128、129、
147、168等が特に好適に挙げられる。マゼンタ系
顔料としては、例えば、縮合アゾ化合物、ジケトピロロ
ピロール化合物、アンスラキノン、キナクリドン化合
物、塩基染料レーキ化合物、ナフトール化合物、ベンズ
イミダゾロン化合物、チオインジゴ化合物、ペリレン化
合物が用いられる。より詳細には、C.I.ピグメント
レッド2、3、5、6、7、23、48;2、48;
3、48;4、57;1、81;1、144、146、
166、169、177、184、185、202、2
06、220、221、254が特に好適に挙げられ
る。シアン系顔料としては、銅フタロシアニン化合物及
びその誘導体、アンスラキノン化合物、塩基染料レーキ
化合物等が利用できる。具体的には、例えば顔料として
は、C.I.ピグメントブルー1、7、15、15:
1、15:2、15;3、15:4、60、62、66
等が特に好適に挙げられる。
【0024】顔料や光散乱材の粒径としては、1次粒子
の平均粒径で0.001μm〜1μmの範囲であること
が好ましく、特に好ましくは0.01μm〜0.5μm
の範囲が好ましい。これは粒径が0.01μm未満では
高分子ゲル粒子からの流出が起こり易くなることがあ
り、また、0.5μmを超えるとでは発色特性が悪くな
る恐れを生じることがあるためである。
【0025】顔料や光散乱材は、高分子ゲル粒子中に極
力、均一な分散状態として含み、且つ、高分子ゲル材料
中から流出しないことが必要である。そのためには高分
子ゲルの架橋密度を最適化して顔料や光散乱材を高分子
網目中に物理的に閉じ込めること、高分子ゲルとの電気
的、イオン的、その他物理的な相互作用が高い顔料や光
散乱材を用いること、表面を化学修飾した顔料や光散乱
材を用いることなどが好ましい。具体的には、例えば、
表面を化学修飾した顔料や光散乱材としては、表面にビ
ニル基などの不飽和基や不対電子(ラジカル)などの高
分子ゲルと化学結合する基を導入したものや、高分子材
料をグラフト結合したもの、表面を高分子等で被覆ある
いはカプセル化されたものなどが好適に挙げられる。
【0026】顔料や光散乱材の高分子ゲル粒子中におけ
る濃度は、一般的には2重量%〜70重量%の範囲が好
ましい。この濃度が2重量%よりも少ない場合は調光作
用が低下することがあり、70重量%よりも多い場合は
良好な強度を有する材料を得ることが難しくなることが
ある。
【0027】このような調光用材料を含む高分子ゲル粒
子は、架橋前の高分子に調光用材料を均一に分散、混合
した後に架橋する方法や重合時に高分子前駆体モノマ組
成物に調光用材料を添加して重合する方法によって製造
することができる。重合時において顔料や光散乱材を添
加する場合には前記したように重合性基や不対電子(ラ
ジカル)をもつ顔料や光散乱材を使用し、高分子ゲル粒
子に化学結合することも好ましく実施される。また、調
光用材料は高分子ゲル粒子中に極力均一に分散されてい
ることが好ましいため、特に、高分子への分散に際し
て、機械的混練法、攪拌法やあるいは分散剤などを利用
して均一に分散させることが好適である。
【0028】次に絶縁性液体について説明する。絶縁性
液体は、電気泳動材料において、高分子ゲル粒子内及び
外に位置する液体であり、具体的には、例えば、ヘキサ
ン、シクロヘキサン、トルエン、キシレン、デカン、ヘ
キサデカン、ケロセン、パラフィン、イソパラフィン、
シリコーンオイル、ジクロロエタン、トリクロロエタ
ン、ジクロロエチレン、トリクロロエチレン、パークロ
ロエチレン、高純度石油、エチレングリコール、エーテ
ル類、エステル類、ジメチルホルムアミド、ジメチルア
セトアミド、ジメチルスルホオキシド、プロピレンカー
ボネート、エチレンカーボネート、ベンジン、ジイソプ
ロピルナフタレン、オリーブ油、イソプロパノール、ト
リクロロトリフルオロエタン、テトラクロロエタン、ジ
ブロモテトラフルオロエタンなどや、これらの混合物が
挙げられる。
【0029】絶縁性液体には、高分子ゲルの分散安定性
を向上させるための各種界面活性剤、着色させるための
各種染料や顔料などの色材を添加しても構わない。この
ような色材である顔料や染料としては、高分子ゲル材料
中に調光用材料として添加させるものと同様な種々の化
合物が挙げられる。
【0030】本発明の電気泳動材料においては、高分子
ゲル粒子と絶縁性液体との屈折率差が0.02以下であ
ることが好ましく、より好ましくは0.01以下であ
る。このように屈折率差が小さもの同士を組み合わせる
ことで、より好適に、高分子ゲル粒子界面での光散乱性
が低減し、色純度を向上させることができる。このよう
な屈折差が低いものを用いることで、着色高分子ゲル粒
子を用いた場合に、発色時においても入射される光が散
乱されず、透過することから、透過型の光学素子に好適
に利用することも可能となる。また、このような屈折率
を調整する目的で、高分子ゲル材料中や絶縁性液体中に
種々の化合物や高分子を絶縁性液体に溶解あるいは分散
させても構わない。
【0031】本発明の電気泳動材料は、高分子膜でカプ
セル化したマイクロカプセルとしてその利用形態を拡大
することもできる。これらの技術は特許公報第2551
783号と同様にして実施できる。マイクロカプセル化
は高分子材料の不溶化を利用したいわゆるコアセルベー
ション法、分散粒子の界面で重合を行いカプセル膜を形
成するいわゆる界面重合マイクロカプセル化法、in
situマイクロカプセル化重合法、液中乾燥法、液中
硬化被覆マイクロカプセル化法、気体中に液滴を噴霧す
ることでその表面にカプセル膜を形成するスプレードラ
イングマイクロカプセル化法などを用いて実施すること
ができる。これら技術の詳細は「近藤保著、新版マイク
ロカプセル・その製法・性質・応用 三共出版」などの
成書に記述されている。カプセル化によって他の樹脂中
に分散する等によってその用途範囲を拡大することが可
能となる。
【0032】本発明の電気泳動材料は、表示素子、調光
ガラス、調光素子等の透過型素子や積層型カラー素子と
して好適に利用可能である。以下、これら光学素子につ
いて詳細に説明する。
【0033】(光学素子)本発明の光学素子は、前記本
発明の電気泳動材料と、第一の電極と、第二の電極とを
備える。本発明の光学素子は、前記本発明の電気泳動材
料を備える以外の構成は、特に制限はなく、従来公知の
電気泳動表示技術に準じて構成することができる。例え
ば、電極の個数、形状、配置位置などにより、様々な表
示形態が可能である。
【0034】以下、図を参照しつつ、本発明の光学素子
を説明する。なお、同様の機能を有する部材には、全図
面通して同じ符合を付し、その説明を省略する場合があ
る。
【0035】(第一の形態)図1は、本発明の光学素子
(電気泳動セル)の一例を示す概略断面構成図である。
図1に示す光学素子は、互いに略平行に対向させて配置
された、画像が表示される側の表示電極基板10と電極
基板20との間に、電気泳動材料30を封入された構成
となっている。電気泳動材料30は、絶縁性液体32
と、高分子ゲル粒子31を含み、高分子ゲル粒子31
が、絶縁性液体32を内部に含む絶縁性液体含浸粒子で
ある。表示電極基板10には、基板12表面に電極11
(第二の電極)が設けられている。同様に、電極基板2
0には、基板22表面に電極21(第一の電極)が設け
られている。このように電極21(第一の電極)及び電
極11(第二の電極)は、電気泳動材料30を介して配
置されてなる。表示電極基板10と電極基板20は、ス
ペーサー40を介し互いの電極同士を向き合わせて配置
されている。このスペーサー40は封止材の役割も担っ
ている。表示電極基板10の電極11、及び電極基板2
0の電極21は、それぞれ電源50と接続されている。
なお、矢印Sは、目視方向を示す。
【0036】図1に示す光学素子では、表示電極基板1
0の電極11と、電極基板20の電極21との間に、電
源50により、電圧を印加することで電界を付与する。
図1(A)に示すように、表示電極基板10の電極11
を、電気泳動材料30における高分子ゲル粒子31の帯
電極性とは逆の極性となるように電圧を印加すると、高
分子ゲル粒子31が、表示電極基板10側に集まり、表
示電極基板10側からは高分子ゲル粒子31の色が支配
的に表示される。一方、図1(B)に示すように、表示
電極基板10の電極11を、電気泳動材料30における
高分子ゲル粒子31の帯電極性とは同じ極性となるよう
に、即ち電極基板20の電極21を高分子ゲル粒子31
とは逆の極性となるように電圧を印加すると、電極基板
20の電極21側に、高分子ゲル粒子31が集まり、表
示電極基板10側からは絶縁性液体32の色が支配的に
表示される。
【0037】図1に示す光学素子のように、目視方向と
略平行に高分子ゲル粒子を移動(泳動)させる構成の場
合は、白色あるいは着色した高分子ゲル粒子と着色され
た絶縁性液体とを含む電気泳動材料でることが好適であ
る。
【0038】(第二の形態)図2は、本発明の光学素子
(電気泳動セル)の他の一例を示す概略断面構成図であ
る。図2に示す光学素子は、互いに略平行に対向させて
配置された、画像が表示される側の表示基板60と電極
基板20との間に、電気泳動材料30を封入された構成
となっている。さらに、2つの側面電極基板70を、電
極基板20に対し、略垂直に設けた構成となっている。
電気泳動材料は、絶縁性液体32と、高分子ゲル粒子3
1を含み、高分子ゲル粒子31が、絶縁性液体32を内
部に含む絶縁性液体含浸粒子である。電極基板20は、
基板22表面に電極21(第一の電極)が設けられてい
る。同様に2つの側面電極基板70は、基板72表面に
電極71(第二の電極)が設けられ、該電極71を互い
に対向させて配置されている。側面電極基板70は、表
示基板60と電極基板20との間の空間を保持し、且つ
電気泳動材料30を封止するスペーサ(隔壁)の役割を
担う構成となっている。表示基板60には、その表示側
表面に遮蔽層61が設けられている。遮蔽層61、目視
方向から側面電極基板70周辺が隠れる位置に設けられ
ている。表示基板60と電極基板20は、側面電極基板
70を介し電極基板20の電極21が表示基板60と向
き合うように配置されている。電極基板20の電極2
1、及び側面電極基板70の電極71は、それぞれ電源
50と接続されている。なお、矢印Sは、目視方向を示
す。
【0039】図2に示す光学素子では、電極基板20の
電極21と、2つの側面電極基板70の電極71との間
に、電源50により、電圧を印加することで電界を付与
する。図2(A)に示すように、電極基板20の電極2
1を、電気泳動材料30における高分子ゲル粒子31の
帯電極性とは逆の極性となるように電圧を印加すると、
高分子ゲル粒子31が、電極基板20側に集まり、表示
基板60側からは高分子ゲル粒子31の色が支配的に表
示される(絶縁性液体32が着色されている場合、この
色も含めて表示される)。一方、図2(B)に示すよう
に、電極基板20の電極21を、電気泳動材料30にお
ける高分子ゲル粒子31の帯電極性とは同じ極性となる
ように、即ち側面電極基板70の電極71を高分子ゲル
粒子31とは逆の極性となるように電圧を印加すると、
側面電極基板70の電極71側に、高分子ゲル粒子31
が集まり、表示基板60側からは絶縁性液体32の色の
みが支配的が表示される。なお、図2に示す光学素子で
は、遮蔽層61により、側面電極基板70の電極71側
に集まった高分子ゲル粒子31は目視できず、高分子ゲ
ル粒子の色は表示されない。
【0040】(第三の形態)図3は、本発明の光学素子
(電気泳動セル)の一例を示す概略断面構成図である。
図3に示す光学素子は、互いに略平行に対向させて配置
された、画像が表示される側の表示基板60と電極基板
80との間に、電気泳動材料30を封入された構成とな
っている。電気泳動材料は、絶縁性液体32と、高分子
ゲル粒子31を含み、高分子ゲル粒子31が、絶縁性液
体32を内部に含む絶縁性液体含浸粒子である。電極基
板80には、基板83表面側に目視方向から見た面の面
積が異なる2つの電極81(第一の電極)、電極82
(第二の電極)が、互いに略平行に対向して設けられて
いる。このように2つの電極81(第一の電極)及び電
極82(第二の電極)は電気泳動材料30に対して同一
側に配置されてなる。表示基板60に対して遠いほうの
電極82(第二の電極)の面積は、表示基板60に対し
て近いほうの電極81(第一の電極)の面積よりも大き
い構成となっている。このため、電極82(第二の電
極)は、その外周端を電極81(第一の電極)の外周端
よりも外側(対向方向(目視方向)に対して略直交する
方向に向かって外側)に位置するよう配置され、目視方
向から見て、電極82(第二の電極)は、電極81(第
一の電極)と重ならない部分が存在する。表示基板60
と電極基板80とは、スペーサー40を介し電極基板8
0の電極81、82が表示基板60と向き合うように配
置されている。このスペーサー40は、封止材の役割も
になっている。電極基板80の電極81(第一の電
極)、電極82(第一の電極)は、それぞれ電源50と
接続されている。なお、矢印Sは、目視方向を示す。
【0041】図3に示す光学素子では、電極81(第一
の電極)と、電極82(第一の電極)との間に、電源5
0により、電圧を印加することで電界を付与する。図3
(A)に示すように、電極81(第一の電極)を、電気
泳動材料30における高分子ゲル粒子31の帯電極性と
は逆の極性となるように電圧を印加すると、高分子ゲル
粒子31が、電極81(第一の電極)側に集まり、表示
基板60側からは、電極81(第一の電極)の部分のみ
高分子ゲル粒子31の色が支配的に表示される。一方、
図3(B)に示すように、電極81(第一の電極)を、
電気泳動材料30における高分子ゲル粒子31の帯電極
性とは同じ極性となるように、即ち電極81(第二の電
極)を高分子ゲル粒子31とは逆の極性となるように電
圧を印加すると、電極82(第二の電極)における電極
81(第一の電極)と重ならない部分に、高分子ゲル粒
子31が集まり、表示基板60側からは電極82(第二
の電極)における電極81(第一の電極)と重ならない
部分のみに高分子ゲル粒子31の色が支配的に表示され
る。
【0042】図3に示す光学素子では、目視方向から見
た、電極81(第一の電極)の面積、及び電極82(第
二の電極)における電極81(第一の電極)と重ならな
い部分の面積を適宜調整することで、所望とする高分子
ゲル粒子31の色が支配的に表示される部分(面積)を
調整することができる。図3では、電極81(第一の電
極)の面積を大きくし、電極82(第二の電極)におけ
る電極81(第一の電極)と重ならない部分の面積を小
さくしてあるので、高分子ゲル粒子31が電極81(第
一の電極)に集まった場合、光学素子としては高分子ゲ
ル粒子31の色が支配的に表示される。一方、高分子ゲ
ル粒子31が電極82(第二の電極)における電極81
(第一の電極)と重ならない部分に集まった場合、光学
素子としては絶縁性液体32の色が支配的に表示される
こととなる。また、電極82(第二の電極)における電
極81(第一の電極)と重ならない部分の面積は、互い
に異なる面積の電極を用いるだけでなく、単に、電極8
2(第二の電極)の配置位置を対向方向(目視方向)に
対して略直交する方向に適宜変移させることでも調整す
ることもできる。さらに、電極81(第一の電極)と電
極82(第二の電極)とは、対向して配置させる必要は
なく、基板83の同一面上に並べて配置してもよい。
【0043】図2〜3に示す光学素子のように、目視方
向に対して略垂直方向に高分子ゲルを移動(泳動)させ
る構成では、着色した高分子ゲル粒子と透明な絶縁性液
体とを含む電気泳動材料を用いることが好適である。ま
た、このような構成では、シアン、マゼンタ、イエロー
の3色の高分子ゲル粒子を含む3つの調光層(電気泳動
材料を封入したセル)を積層したセル構造体(例えば4
枚の基板からなる積層体であり、各基板間に各色の3つ
の調光層(電気泳動材料を封入したセル)を配置したも
のも実現可能であり、その場合には各調光層を任意に駆
動することでカラー表示が行えるものとなる。さらに
は、モノクロの調光素子とR,G,Bカラーフィルター
を積層したカラー表示素子も実現可能である。
【0044】なお、図1〜3で示す光学素子では、単一
の電気泳動材料を封入したセルを一例として示している
が、図4、図5に示すような構成の微小セルが複数存在
する構造体、つまり光学素子として2枚の基板間に多数
の独立したセルをマトリック状に形成したものも適用可
能である。これらの光学素子では各微小なセルを通電す
ることで画像等をドット表示したり、各微小セルごとに
異なった色の泳動粒子を封入することでカラー表示を行
うことも可能である。なお、図4、5では各電極表面に
絶縁層90を設けてなる。また、セルのギャップ(基板
間の目視方向の厚さ)は一般に1μm〜2mmであり、
より好ましくは10μm〜500μmである。さらに、
図中には記載していないが、駆動用の配線やTFT(薄
膜トランジスタ)、MIM(金属/絶縁材/金属構造素
子)、バリスタ、キャパシタ、強誘電体などの構成用件
を設けることも従来技術と同様に好ましく実施される。
【0045】以下、図1〜3で示す光学素子の共通する
事項について説明する。なお、各部材の符号は省略して
説明する。
【0046】電極としては、ITO、酸化錫などの透明
電極、アルミニウム、銀、銅、カーボンブラック分散材
料などの一般的な材料が使用できる。また、電極上には
絶縁層や誘電体層を形成しても構わない。特に絶縁層や
誘電体層は電極表面に付着しや泳動粒子が電界を切った
後にも保持される効果(メモリ効果)を高めるために有
効である。さらには、泳動粒子の付着力を制御するため
の無機物層、高分子層、着色層、光反射層等を形成する
ことも好ましく実施される。
【0047】基板としては、ポリエステル、ポリイミ
ド、ポリメタクリル酸メチル、ポリスチレン、ポリプロ
ピレン、ポリエチレン、ナイロン、ポリ塩化ビニル、ポ
リ塩化ビニリデン、ポリカーボネート、ポリエーテルス
ルフォン、セルロース誘導体などの高分子のフイルムや
板状基板、ガラス基板、金属基板、セラミック基板など
の無機基板を使用することができる。フイルム基材とし
ては、ポリエステル、ポリイミド、ポリメタクリル酸メ
チル、ポリスチレン、ポリプロピレン、ポリエチレン、
ナイロン、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、ポリ
カーボネート、ポリエーテルスルフォン、セルロース誘
導体、フッ素樹脂、金属フイルムなどが使用できる。基
板の厚みや面積は所望の光学素子によって様々なものが
利用でき、特に限定はしないが、厚みの好ましい範囲は
10μmから20mmである。。なお、少なくとも一方
の基板は光学的に透明であることが必要である。また、
透過型光学素子の場合は基板の全てが透明であるこが好
ましい。
【0048】
【実施例】以下、本発明を、実施例を挙げてさらに具体
的に説明する。ただし、これら各実施例は、本発明を制
限するものではない。
【0049】(実施例1) ―白色高分子ゲル粒子の作製― 酸化チタン(白色顔料)を含有した白色高分子ゲル粒子
を以下ようなプロセスによって作製した。1次粒径約
0.2μmの表面処理酸化チタン5g、ジメチルアミノ
エチルメタアクリレート5g、メチルメタアクリレート
10g、架橋剤としてヘキサンジオールジアクリレート
150mgをテトラヒドロフラン(THF)20mlに
溶解したモノマ溶液を調製し、この溶液を攪拌機を用い
て攪拌し、顔料を均一に分散した。さらに重合開始剤と
してアゾイソブチロニトリル75mgを添加し、70
℃、10時間、重合を行った。重合後、生成した高分子
ゲルをTHFを含ませさせて洗浄後、乾燥させた。本高
分子ゲルのキシレンの含有量は自重の約10倍量、つま
り10g/gであった。次に、この高分子ゲルをジェッ
トミルを用いて粉砕することで粒子径が2μmから6μ
mの白色高分子ゲル粒子を作製した。
【0050】―電気泳動材料の調製− キシレン(絶縁性液体)に青色染料(アントラキノン系
ブルー:濃度1%)を溶解させた着色溶液20mlに、
上記作製した白色高分子ゲル粒子0.1gを分散し、電
気泳動材料を調製した。この電気泳動材料中の白色高分
子ゲルは、着色溶液(キシレン)を内部に含む、絶縁性
液体含浸粒子となっていた。
【0051】−光学素子(電気泳動セル)の作製− 以下に示すように、図1に示す光学素子と同様な構成の
光学素子を作製した。ITO電極(電極11、21)を
形成したガラス基板(基板12、22:厚み2mm、大
きさ50mm×50mm)、それぞれ表示電極基板1
0、電極基板20としてを用いた。2つの基板をITO
電極側同士を、50μmのスペーサーを介して対向させ
て重ね合わせ、2つのガラス基板間の周縁部を注入用開
口部を除き熱接着剤で封止してセルを作製した。続い
て、注入用開口部から、2つのガラス基板間に電気泳動
材料(30)を注入し、その後、注入用開口部を封止し
て、光学素子(電気泳動セル)を作製した。
【0052】―評価― 得られた光学素子における白色高分子ゲル粒子(泳動粒
子)はキシレン溶液中で正帯電していた。白色高分子ゲ
ル粒子(泳動粒子)は直流電圧を印加した場合、極性反
転によって負極上に泳動、付着する性質をもっていた。
電極間に10Vの直流電圧を印加したところ、白色高分
子ゲル粒子(泳動粒子)を泳動させ、色を変化させるこ
とが可能であり、低電圧で駆動できることがわかった。
観測者側を正極とした場合には、青色のキシレン溶液色
を、負極とした場合には白色高分子ゲル粒子色を表わす
ことができた。反射率から求めたコントラスト比は20
以上あり、視認性に優れていた。一方、10V印加電圧
の極性反転による繰り返しを100万回実施したが、粒
子の凝集は観測されず、極めて安定であることも確認で
きた。
【0053】(実施例2) ―黒色高分子ゲルの作製― カーボンブラック(黒色顔料)を含有した黒色高分子ゲ
ル粒子を以下ようなプロセスによって作製した。1次粒
径約0.2μmの表面処理カーボンブラック8g、ジメ
チルアミノエチルメタアクリレート5g、スチレン10
g、架橋剤としてヘキサンジオールジアクリレート15
0mgをテトラヒドロフラン(THF)20mlに溶解
したモノマ溶液を調製し、この溶液を攪拌機を用いて攪
拌し、顔料を均一に分散した。さらに重合開始剤として
アゾイソブチロニトリル200mgを添加し、70℃、
10時間、重合を行った。重合後、生成した高分子ゲル
をTHFを含ませて洗浄後、乾燥させた。本高分子ゲル
のキシレンの含有量は自重の約8倍量、つまり約8g/
gであった。次にこの高分子ゲルをジェットミルを用い
て粉砕することで粒子径が2μmから6μmの黒色高分
子ゲル粒子を作製した。
【0054】―電気泳動材料の調製− キシレン(透明絶縁性液体)20mlに、上記作製した
黒色高分子ゲル粒子0.1gを分散し、さらに、屈折率
調整のために分子量30万のポリスチレン1gを溶解し
た電気泳動材料を調製した。この電気泳動材料中の黒色
高分子ゲルは、キシレンを内部に含む、絶縁性液体含浸
粒子となっていた。
【0055】―光学素子(電気泳動セル)の作製― 以下に示すように、図2に示す光学素子と同様な構成
(図4に示す構成)の光学素子を作製した。微小なセル
構造を複数有する基板をリソグラフィー法により作製
し、これを重ねてた。(図中、隔壁(側面電極基板7
0)の間隔は150μm、基板間(表示基板60及び電
極基板20間)の厚みは約50μm)。続いて、各セル
に電気泳動材料(30)を注入し、その後、封止して、
光学素子(電気泳動セル)を作製した。 ―評価― 得られた光学素子における黒色高分子ゲル粒子(泳動粒
子)はキシレン溶液中で正帯電していた。黒色高分子ゲ
ル粒子(泳動粒子)は直流電圧を印加した場合、極性反
転によって負極上に泳動、付着する性質をもっていた。
ここで入射光に対し垂直面の電極を第1電極、水平面の
電極を第2電極(側面電極)とする。分散された泳動粒
子は溶液中で正帯電していた。泳動粒子は直流電圧を印
加した場合、極性反転によって負極上に泳動、付着する
性質をもっていた。したがい、電極基板20における電
極21(第一の電極)を負極とすると、黒色高分子ゲル
粒子は電極21(第一の電極)上に泳動し、素子の表示
色は黒色となった。反対に電極基板20における電極2
1(第一の電極)を正極とすると黒色高分子ゲル粒子は
側面電極基板70における電極71(第二の電極)上に
泳動し、素子の表示色は透明となった。また、15Vと
いう低電圧の直流電圧で、黒色高分子ゲル粒子を各電極
間に泳動させ、調光することが可能であった。透過率か
ら求めたコントラスト比は30以上あり、大きな調光特
性を持っていた。また黒色を表示した場合の色彩を測定
した結果、色純度に優れていた。これは、高分子ゲル粒
子と絶縁性液体との屈折率差が0.01以下であるため
に光散乱が抑制されているためと考えられる。一方、1
5V印加電圧の極性反転による繰り返しを100万回実
施したが、粒子の凝集は観測されず、極めて安定である
ことも確認できた。
【0056】(実施例3) ―青色高分子ゲル粒子の作製― 重合容器内に2−アクリルアミド−2−メチルプロパン
スルホン酸(AMPS)5g、メチルメタアクリレート
(MMA)10gをジメチルホルムアミド(DMF)2
0mlに溶解したモノマ溶液を調製し、重合開始剤とし
てアゾイソブチロニトリル75mgを添加し、70℃、
10時間、重合を行った。生成したポリマを大量のメタ
ノールに再沈精製し、ろ過後、乾燥して目的の2−アク
リルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸−メチルメ
タアクリレート共重合体(P(AMPS−co−MM
A))を13.8g得た。ゲルパーミエーション(GP
C)の測定結果から得られた共重合体の重量平均分子量
は約9.3万であった。また、元素分析結果をもとに計
算から共重合率はほぼ仕込み比と同等であった。ジメチ
ルホルムアミド(DMF)36mlにP(AMPS−c
o−MMA) 8gを溶解した後、フタロシアニン系青
色顔料(大日精化工業(株)社製、No.26)3.6
g(固形分)を添加し、攪拌機を用いて攪拌し、顔料を
均一に分散した。デナコールEX−810(ナガセ化成
工業(株)社製エチレングリコールジグリシジルエーテ
ル)を0.4g添加し再度攪拌することで反応溶液を作
製した。反応溶液中で顔料の凝集はなく分散性は良好で
あった。反応溶液を、ソルビトール系界面活性剤(第一
工業製薬製:ソルゲン30)16gを流動パラフィン2
リットルに溶解した溶液に加え、ウルトラトラックスを
用いて5000rpmで10分間攪拌して安定した懸濁
状態を得た後、懸濁液を70℃に昇温し300rpmで
攪拌しながら6時間反応させ青色の高分子ゲル粒子を得
た。乾燥状態のゲル粒子の粒子径は2μm〜7μmであ
った。本高分子ゲル粒子のDMFの含有量は自重の14
倍量、つまり14g/gであった。
【0057】―電気泳動材料の調整― DMF(透明な絶縁性液体)20mlに、上記作製した
青色高分子ゲル粒子0.1gを分散し、電気泳動材料を
調製した。この電気泳動材料中の青色高分子ゲルは、D
MFを内部に含む、絶縁性液体含浸粒子となっていた。
【0058】―光学素子(電気泳動セル)の作製― 以下に示すように、図3に示す光学素子と同様な構成
(図5に示す構成)の光学素子を作製した。微小なセル
構造を複数有する基板をリソグラフィー法により作製
し、これを重ねた(図中、基板間(表示基板60及び電
極基板80間)の間隔は50μm、隔壁(スペーサー4
0)の間隔は150μmである)。続いて、各セルに電
気泳動材料(30)を注入し、その後、封止して、光学
素子(電気泳動セル)を作製した。
【0059】―評価― 得られた光学素子における青色高分子ゲル粒子(泳動粒
子)はDMF溶液中で負帯電していた。青色高分子ゲル
粒子(泳動粒子)は直流電圧を印加した場合、極性反転
によって正極上に泳動、付着する性質をもっていた。し
たがい、電極81(第一の電極)を正極とすると、青色
高分子ゲル粒子は電極81(第一の電極)上に泳動し、
素子の表示色は青色となった。反対に電極81(第一の
電極)を負極とすると、青色高分子ゲル粒子は電極82
(第二の電極)上(目視方向から見て電極81とは重な
らない部分)に泳動し透明となった。また、15Vとい
う低電圧の直流電圧で、粒子を各電極間に泳動させ、調
光することが可能であった。透過率から求めたコントラ
スト比は20以上あり、大きな調光特性を持っていた。
また青色を表示した場合の色彩を測定した結果、色純度
に優れていた。これは、高分子ゲル粒子と絶縁性液体と
の屈折率差が0.01以下であるため光散乱が抑制され
ているためと考えられる。一方、15V印加電圧の極性
反転による繰り返しを100万回実施したが、粒子の凝
集は観測されず、極めて安定であることも確認できた。
【0060】(比較例1) ―電気泳動材料(白色顔料である酸化チタンを泳動粒子
として使用)の調製− 絶縁性液体としてアイソパー(商品名:エッソ社製)に
青色染料(アントラキノン系ブルー:濃度1%)を溶解
させた着色溶液20mlに、泳動粒子として表面処理酸
化チタン粒子(白色顔料:1次粒径約0.2μm)0.
2gと非イオン性界面活性剤(エマルゲン:花王(株)
製)とを混合、分散させて、電気泳動材料を調製した。
【0061】−光学素子(電気泳動セル)の作製− 以下に示すように、図1に示す光学素子と同様な構成の
光学素子を作製した。ITO電極(電極11、21)を
形成したガラス基板(基板12、22:厚み2mm、大
きさ50mm×50mm)、それぞれ表示電極基板1
0、電極基板20としてを用いた。2つの基板をITO
電極側同士を、50μmのスペーサーを介して対向させ
て重ね合わせ、2つのガラス基板間の周縁部を注入用開
口部を除き熱接着剤で封止してセルを作製した。続い
て、注入用開口部から、2つのガラス基板間に電気泳動
材料(30)を注入し、その後、注入用開口部を封止し
て、光学素子(電気泳動セル)を作製した。
【0062】―評価― 得られた光学素子における酸化チタン粒子(泳動粒子)
は着色溶液中で正帯電していた。酸化チタン粒子粒子
(泳動粒子)は直流電圧を印加した場合、極性反転によ
って負極上に泳動、付着する性質をもっていた。電極間
に15Vの直流電圧を印加したところ、酸化チタン粒子
(泳動粒子)を泳動させ、色を変化させることが可能で
あった。観測者側を正極とした場合には、青色の着色溶
液色を、負極とした場合には酸化チタン粒子色(白色)
を表わすことができた。反射率から求めたコントラスト
比は10以上あり、視認性に優れていた。一方、15V
印加電圧の極性反転による繰り返しを1万回実施したと
ころ、粒子の凝集によって初期のコンストラストに比べ
大幅に劣化してしまった。
【0063】これら実施例から、電気泳動粒子として、
電気泳動粒子として高分子ゲル粒子を用いることで、粒
子間の凝集の抑制効果、帯電性の増大による駆動電圧の
低下、粒子間の光散乱性の抑制による色純度の向上や透
過型素子への適用性という改善効果が得られることがわ
かる。
【0064】
【発明の効果】以上、本発明によれば、色純度に優れ、
粒子凝集の抑制し、安定性に優れ、且つ低電圧駆動を持
った電気泳動材料、及びそれを備える光学素子を提供す
ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の光学素子の一例を示す概略断面構成
図である。
【図2】 本発明の光学素子の他の一例を示す概略断面
構成図である。
【図3】 本発明の光学素子の他の一例を示す概略断面
構成図である。
【図4】 本発明の光学素子の他の一例を示す概略断面
構成図である。
【図5】 本発明の光学素子の他の一例を示す概略断面
構成図である。
【符号の説明】
10 表示電極基板 20 電極基板 30 電気泳動材料 31 高分子ゲル粒子 32 絶縁性液体 40 スペーサー 50 電源 60 表示基板 61 遮蔽層 70 側面電極基板 80 電極基板
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) G01N 27/26 315Z (72)発明者 筒井 浩明 神奈川県南足柄市竹松1600番地 富士ゼロ ックス株式会社内 (72)発明者 川原 淳 神奈川県南足柄市竹松1600番地 富士ゼロ ックス株式会社内

Claims (12)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 高分子ゲル粒子と絶縁性液体とを有し、
    且つ、前記高分子ゲル粒子が前記絶縁性液体の一部を内
    部に含むことを特徴とする電気泳動材料。
  2. 【請求項2】 前記高分子ゲル粒子による絶縁性液体の
    含有量が、1g/g〜50g/gであることを特徴とす
    る請求項1に記載の電気泳動材料。
  3. 【請求項3】 前記高分子ゲル粒子と前記絶縁性液体と
    の屈折率差が、0.02以下であることを特徴とする請
    求項1又は2に記載の電気泳動材料。
  4. 【請求項4】 前記絶縁性液体中に、色材を含むことを
    特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の電気泳動材
    料。
  5. 【請求項5】 前記高分子ゲル粒子中に、調光用材料を
    含むことを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の
    電気泳動材料。
  6. 【請求項6】 請求項1〜5のいずれかに記載の電気泳
    動材料と、第一の電極と、第二の電極と、を備えること
    を特徴とする光学素子。
  7. 【請求項7】 前記第一の電極と前記第二の電極とが、
    略平行に配置されてなることを特徴とする請求項6に記
    載の光学素子。
  8. 【請求項8】 前記電気泳動材料を介し、前記第一の電
    極と前記第二の電極とが配置されてなることを特徴とす
    る請求項7に記載の光学素子。
  9. 【請求項9】 前記電気泳動材料に対し、前記第一の電
    極と前記第二の電極とが同一側に配置されてなることを
    特徴とする請求項7に記載の光学素子。
  10. 【請求項10】 前記第二の電極が、その外周端の少な
    くとも一部を前記第一の電極の外周端よりも外側に位置
    するよう配置されてなることを特徴とする請求項9に記
    載の光学素子。
  11. 【請求項11】 前記第一の電極と前記第二の電極と
    が、略垂直して配置されてなることを特徴とする請求項
    6に記載の光学素子。
  12. 【請求項12】 前記第一の電極及び前記第二の電極の
    少なくとも一方が、その表面に絶縁層又は誘電層が設け
    られてなることを特徴とする請求項6〜11のいずれか
    に記載の光学素子。
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