JP2003089304A

JP2003089304A - 耐外傷性にすぐれる空気入りラジアルタイヤおよびそれの装着方法

Info

Publication number: JP2003089304A
Application number: JP2001284226A
Authority: JP
Inventors: Eiji Ichihara; 永司市原
Original assignee: Bridgestone Corp
Current assignee: Bridgestone Corp
Priority date: 2001-09-19
Filing date: 2001-09-19
Publication date: 2003-03-25

Abstract

(57)【要約】【課題】タイヤサイド部への外傷の発生をより有効に
防止する。【解決手段】トレッド部１、サイド部２およびビード
部３を具えるとともに、それらの部分を補強するラジア
ルカーカス４および、トレッド部を補強するベルトを具
えるものであり、ラジアルカーカス４の外側で、ビード
部側から測ったタイヤ最大幅位置高さＡの半分の高さＡ
／２の位置Ｑと、ベルト側縁位置近傍との間の半径方向
領域内に、仮想ラジアル線分Ｘに対して１０〜８０°の
範囲の角度で延びる、有機繊維コード８よりなる補強層
７を配設し、この有機繊維コード８の延在方向を、車両
への装着姿勢のタイヤの正面視で、逆ハ字状としてな
る。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【発明の属する技術分野】この発明は、耐外傷性にすぐ
れる空気入りラジアルタイヤおよびそれの装着方法に関
し、とくに、縁石その他への衝接、乗り上げ等に際して
のタイヤサイド部への、カット、クラック等の外傷の発
生を有効に防止するものである。

【０００２】空気入りタイヤのサイド部の、耐外傷性の
向上を目的として提案されている従来技術としては、特
開平６−１９９１１３号公報、特開平７−２９０９１１
号公報等に開示されたものがある。

【０００３】前者はとくに、カーカスのタイヤ外側に、
カーカスに沿って半径方向内側に延びるポリアミド繊維
層を設け、ポリアミド繊維層のトレッド側端部と、第１
ベルトの端部との間の距離を０より大きく１５ｍｍより
小さくするとともに、ポリアミド繊維層のコードをタイ
ヤ半径方向に対して３０〜９０度の角度で配列したもの
であり、ポリアミド繊維層それ自体によってサイドウォ
ール部の耐外傷性を高め、また、カーカスと、３０〜９
０度の角度をもって配列したポリアミド繊維コードとが
網目状をなすことでその耐外傷性を一層高めることがで
きるとするものである。

【０００４】また、後者の技術は、とくに、ラジアルカ
ーカスのコード角より小さい角度で延びるテキスタイル
コードを有するコード層を、環状リブの形成領域のサイ
ドプロテクターとラジアルカーカスとの間に、そのラジ
アルカーカスから離間し、かつサイドプロテクターをカ
バーする範囲で備えるラリー用空気入りラジアルタイヤ
において、テキスタイルコード層のコードの、タイヤ周
方向に対する角度を２５°〜５０°としたものである。

【０００５】そして、この構成によれば、テキスタイル
コード層のコード角を、タイヤ周方向に対して２５°〜
５０°とすることによって、コード角が７０°〜８５°
である従来技術に比べコード長さを長くし、コードを構
成する糸の伸びを長くして応力の集中を緩和し、更に、
コード間のゴムの伸びにより応力を吸収してエッジセパ
レーションを防止することができるとし、その理由とし
て、コード角が２５°以下であれば、コード間のゴム層
が伸びすぎてここに亀裂を生じ易く、一方、５０°以上
であればコードの伸びが小さく応力吸収が小さくなると
するものである。

【０００６】その上、コード層の径外端をベルト層とト
レッドカーカスとで挟着することによって該径外端の自
由な動きが防止され、径内端をビードコアとホイールリ
ムとでロックすることによって自由な動きが防止される
ので、径内外端の双方を挟着することでコード層の自由
な動きは完ぺきに阻止されるとする。

【０００７】

【発明が解決しようとする課題】しかるに、これらのい
ずれの従来技術によっても、タイヤの、縁石乗り上げ時
等の、サイド部の耐外傷性を満足できるほどには高める
ことができず、このことは、タイヤの軽量化のためにサ
イド部の厚さを低減させたもの、タイヤの偏平化によっ
て断面高さを低くしたもの等において特に重大であっ
た。

【０００８】そこで発明者は、タイヤの、縁石への乗り
上げ等によって、タイヤサイド部に生じるカット傷等の
外傷の発生態様についての検討を行ったところ、多くの
外傷は、図４に例示するようなタイヤの側面視で、外傷
の中央部分に引いた仮想ラジアル線分Ｘに対し、タイヤ
の回転方向前方側で、タイヤ半径方向内方に向けて４５
°前後の角度をなして延びることを見出し、このような
延在形態をとる外傷にとくに有効に対抗できる対策を講
じることとした。

【０００９】すなわち、この発明は、タイヤサイド部に
発生する上述したような外傷に対し、それの延在方向と
交差する方向、とくには直交する方向のサイド部抗力を
十分に高めるべく補強層コードの延在方向を選択するこ
とで、タイヤサイド部への外傷の発生を一層効果的に防
止できる、耐外傷性にすぐれる空気入りラジアルタイヤ
およびそれの装着方法を提供することを目的とするもの
である。

【００１０】

【課題を解決するための手段】この発明に係る、耐外傷
にすぐれる空気入りラジアルタイヤは、トレッド部、サ
イド部およびビード部を具えるとともに、それらの部分
を補強するラジアルカーカスおよび、トレッド部を補強
するベルトを具えるものであり、ラジアルカーカスの外
側、すなわち、ラジアルカーカスの、タイヤ幅方向外側
で、ビード部側から測ったタイヤ最大幅位置高さの半分
の高さ位置と、ベルト側縁位置近傍との間の半径方向領
域内の全体もしくは一部に、仮想ラジアル線分に対して
１０〜８０°の範囲、より好ましくは３０〜６０°の範
囲の角度で延びる、有機繊維コードよりなる補強層を配
設し、その有機繊維コードの延在方向を、車両への装着
姿勢のタイヤの正面視で逆ハ字状としたものである。

【００１１】転動するタイヤが縁石等に乗り上げる場合
には、そのタイヤは、縁石高さと対応する、たとえばタ
イヤ最大幅位置近傍部分で縁石上縁に衝接することによ
って、その衝接個所にカット傷等を生じ易いことに加
え、このようにして一旦外傷が発生した場合には、それ
は、タイヤの回転下でのそれと縁石との継続的な接触に
起因して、タイヤの回転方向とは逆方向へその傷を広げ
ることにもなるので、タイヤサイド部に生じるこのよう
な外傷は、タイヤの、車両への装着姿勢での正面視でハ
字状に延在することになる。これに対し、この発明に係
るタイヤでは、補強層を形成する有機繊維コードを、同
様のタイヤ姿勢の下で逆ハ字状に延在させていることか
ら、タイヤサイド部のこのような外傷に対する抗力を大
きく高めて、外傷の発生を効果的に抑制することができ
る。

【００１２】このラジアルタイヤでは、補強層の有機繊
維コード、たとえば、芳香族もしくは脂肪族ポリアミド
繊維コード、ポリエチレンテレフタレート繊維コード、
ポリエチレンナフタレート繊維コード等を、車両への装
着姿勢のタイヤの正面視で逆ハ字状をなす方向に、仮想
ラジアル線分に対して１０〜８０°の範囲の角度で延在
させることにより、タイヤサイド部を、その補強層をも
って、とくには、先に述べた外傷の延在方向とは交差す
る方向、より好ましくは直交する方向から十分に補強す
ることができるので、タイヤの縁石乗り越し等に際する
サイド部への外傷の発生を有効に抑制することができ
る。

【００１３】いいかえれば、上記角度が１０°未満で
は、外傷の発生に対する高い拘束力を発揮することが難
しく、このことは、８０°を越える場合にもまた同様で
ある。そしてこれらのことは、有機繊維コードの延在角
度を３０〜６０°の範囲とした場合にとくに顕著であ
る。

【００１４】その上ここでは、補強層を、タイヤの半径
方向で、ビード部側から測ったタイヤの最大幅位置高さ
の半分の高さ位置とベルト側縁位置近傍との間の範囲内
に配設することで、カット傷等が発生するおそれのある
範囲を、補強層をもって十分に保護することができる。
ここでより好ましくは、補強層を、タイヤ最大幅位置と
ベルト側縁位置近傍との間の半径方向領域内に配設する
ことにより、カット傷等の発生のおそれの高い部分を有
効に保護してなお、タイヤ重量および縦ばね定数等の増
加を抑制して、燃費性能の低下、車両への乗心地の悪化
等を有利に防止することができる。

【００１５】また好ましくは、タイヤの扁平率を５０％
以下とする。タイヤの断面高さが低い高扁平度タイヤ
は、トレッド踏面からタイヤ最大幅位置までの半径方向
距離が短く、その最大幅位置付近が縁石等ととくに接触
し易いので、かかるタイヤにこの発明を用いることで、
上記作用効果をより効果的に発揮させることができる。
しかも、この種のタイヤは、サイド部高さの低減の下
に、サイド部全体の剛性が高くなって、急激な入力に対
する変形性が低く、カット等を生じ易いので、この発明
を用いることにより効果はより一層向上する。

【００１６】また、この発明に係る空気入りラジアルタ
イヤの装着方法は、先に述べたいずれかのタイヤを、車
両の操舵輪に適用するものである。縁石等によるタイヤ
サイド部の外傷は、多くは、車輪の操舵によって舵角の
ついたタイヤが、それに衝接等することによって発生す
るので、この発明に係るタイヤは、操舵輪に適用してと
くに有効である。

【００１７】

【発明の実施の形態】以下にこの発明の実施の形態を図
面に示すところに基づいて説明する。図１はこの発明の
実施形態をタイヤの半部について示す幅方向断面図であ
り、他の半部はこれと対称となる。図中１はトレッド部
を、２は、トレッド部１の側縁から半径方向内方へ延び
るサイド部を、そして３は、サイド部２の半径方向内端
に設けたビード部をそれぞれ示す。

【００１８】ここでは、一枚以上のカーカスプライから
なってトロイダルに延びるラジアルカーカス４で上記各
部１，２，３を補強するとともに、このラジアルカーカ
ス４のそれぞれの側部部分を、ビード部３に配設したビ
ードコア５の周りで半径方向外方に巻き上げ、かかるラ
ジアルカーカス４のクラウン部の外周側に、トレッド部
１の補強に寄与する、一層以上のベルト層からなるベル
ト６を配設する。

【００１９】またここでは、ラジアルカーカス４の外側
において、タイヤ最大幅位置Ｐの、ビード部側から測っ
た高さＡの半分の高さＡ／２の位置Ｑと、ベルト側縁位
置Ｅの近傍との間の半径方向領域Ｒの全体もしくは一部
内に、有機繊維コードからなる補強層７を配設する。

【００２０】ここで、補強層７を形成する、たとえば、
芳香族もしくは脂肪族ポリアミド繊維コード、ポリエチ
レンテレフタレート繊維コード、ポリエチレンナフタレ
ート繊維コード等の有機繊維コードは、図２にタイヤを
側面図で示すように、仮想ラジアル線分Ｘに対し、タイ
ヤの回転方向の後方側で、タイヤ半径方向内方に向けて
１０〜８０°、より好ましくは３０〜６０°の範囲の角
度で延在させ、これにより、タイヤのそれぞれの側部で
のその有機繊維コード８の延在方向を、図３に示すよう
に、車両への装着姿勢のタイヤの正面視で、相互にほぼ
逆ハ字状とする。

【００２１】補強層７をこのように構成してなるこのタ
イヤによれば、車輪への舵角の付与等によるタイヤの、
縁石乗り越しその他に当って外傷の発生し易い、タイヤ
最大幅位置近傍部分からベルト側縁位置近傍部分までの
範囲内の部分が、仮想ラジアル線分Ｘに対して、タイヤ
の回転方向前方側で、タイヤ半径方向内方に向けて４５
°前後の角度をなして延在する傾向の強いカット傷等の
外傷に有効に対抗し得る方向に延びる有機繊維コード８
によって十分に保護されることになるので、タイヤサイ
ド部への外傷の発生を有利に抑制することができ、この
ことは、有機繊維コード８の延在角度を３０〜６０°の
範囲として、そのコード８と、外傷の発生し易い方向と
の交角を９０°に近づけた場合にとくに顕著である。

【００２２】なおここで、補強層７の配設域を、タイヤ
サイド部２の、とくに外傷を受け易い範囲、すなわち、
タイヤ最大幅位置Ｐと、ベルト側縁位置Ｅの近傍との間
の半径方向領域だけに特定した場合には、上述したとこ
ろに加えて、タイヤ重量およびタイヤの縦ばね定数、す
なわち縦剛性の増加を有利に抑制することができる。

【００２３】

【実施例】サイズを２１５／４５ＺＲ１７とし、適用
リムを７ＪＪとするとともに、充填空気圧を２３０ｋＰ
ａとしたタイヤを実車に装着して、高さ６０ｍｍの縁石
に４５°の角度で進入したときの、タイヤサイド部への
故障の発生速度を測定したところ表１に指数値をもって
示す通りとなった。なお、表１にはタイヤ重量および縦
剛性をも併せて表示した。表中の指数値は、比較タイヤ
１をコントロールとし、値が大きいものほど大きい値と
した。

【００２４】ところで、表中の比較タイヤ１は、補強層
７を設けない点を除いて、図１に示す構成を有するもの
であり、実施例タイヤ１，２はともに、図１に示す構成
を有するものであって、補強層７を形成するポリエチレ
ンテレフタレート繊維コードを、仮想ラジアル線分に対
して４５°の角度で延在させたものであり、比較タイヤ
２は、ポリエチレンテレフタレート繊維コードを、仮想
ラジアル線分に対して、実施例タイヤとは逆方向に４５
°傾けて延在させたものである。なお、実施例タイヤ
１、比較タイヤ２ともに、補強層は一層とし、それの半
径方向内端を、最大幅位置高さＡの５０％位置Ｑに、そ
してその外端を、ベルト側縁位置近傍にそれぞれ位置さ
せた。また、実施例タイヤ２では、補強層の半径方向内
端を最大幅位置Ｐに位置させた。

【００２５】

【表１】

【００２６】表１によれば、実施例タイヤでは、故障に
至る衝接速度を、比較タイヤのいずれに対しても十分に
高めることができる。なかでも実施例タイヤ２では、こ
れに加えて、重量および縦剛性の増加を有効に抑制する
ことができる。

【００２７】

【発明の効果】かくしてこの発明によれば、補強層を形
成する有機繊維コードの延在方向および延在角度を特定
することで、縁石乗り越し等に当っての、タイヤサイド
部への外傷の発生を効果的に防止することができ、ま
た、その補強層の配設域を特定することで、タイヤ重量
および縦剛性の増加を有利に抑制することができる。

【図面の簡単な説明】

【図１】この発明の実施の形態を示すタイヤ幅方向断
面図である。

【図２】有機繊維コードの延在方向および延在角度を
示すタイヤ側面図である。

【図３】タイヤの正面視での有機繊維コードの延在方
向を示す図である。

【図４】外傷の延在形態を例示するタイヤ側面図であ
る。

【符号の説明】

１トレッド部２サイド部３ビード部４ラジアルカーカス５ビードコア７補強層８有機繊維コードＰタイヤ最大幅位置Ｑ位置Ｅベルト側縁位置Ｒ半径方向領域Ｘ仮想ラジアル線分

Claims

【特許請求の範囲】

【請求項１】トレッド部、サイド部およびビード部を
具えるとともに、それらの部分を補強するラジアルカー
カスおよび、トレッド部を補強するベルトを具える空気
入りラジアルタイヤであって、ラジアルカーカスの外側で、ビード部側から測ったタイ
ヤ最大幅位置高さの半分の高さ位置と、ベルト側縁位置
近傍との間の半径方向領域内に、仮想ラジアル線分に対
して１０〜８０°の範囲の角度で延びる、有機繊維コー
ドよりなる補強層を配設し、その有機繊維コードの延在
方向を、車両への装着姿勢のタイヤの正面視で、逆ハ字
状としてなる耐外傷性にすぐれる空気入りラジアルタイ
ヤ。
【請求項２】補強層を、タイヤ最大幅位置とベルト側
縁位置近傍との間の半径方向領域内に配設してなる請求
項１に記載の耐外傷性にすぐれる空気入りラジアルタイ
ヤおよびそれの装着方法。
【請求項３】有機繊維コードの延在角度を３０〜６０
°の範囲としてなる請求項１もしくは２に記載の耐外傷
性にすぐれる空気入りラジアルタイヤ。
【請求項４】扁平率を５０％以下としてなる請求項１
〜３のいずれかに記載の耐外傷性にすぐれる空気入りラ
ジアルタイヤ。
【請求項５】請求項１〜４のいずれかに記載のタイヤ
を、車両の操舵輪に適用してなる空気入りラジアルタイ
ヤの装着方法。