JP2003084479A - トナー - Google Patents

トナー

Info

Publication number
JP2003084479A
JP2003084479A JP2001278500A JP2001278500A JP2003084479A JP 2003084479 A JP2003084479 A JP 2003084479A JP 2001278500 A JP2001278500 A JP 2001278500A JP 2001278500 A JP2001278500 A JP 2001278500A JP 2003084479 A JP2003084479 A JP 2003084479A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
toner
compound
acid
mass
resin
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Granted
Application number
JP2001278500A
Other languages
English (en)
Other versions
JP3990886B2 (ja
Inventor
Yojiro Hotta
洋二朗 堀田
Takayuki Itakura
隆行 板倉
Takaaki Kashiwa
孝明 栢
Kazuhiko Hayami
一彦 速見
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Canon Inc
Original Assignee
Canon Inc
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Canon Inc filed Critical Canon Inc
Priority to JP2001278500A priority Critical patent/JP3990886B2/ja
Publication of JP2003084479A publication Critical patent/JP2003084479A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP3990886B2 publication Critical patent/JP3990886B2/ja
Anticipated expiration legal-status Critical
Expired - Fee Related legal-status Critical Current

Links

Landscapes

  • Developing Agents For Electrophotography (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【課題】 ワックスを添加することによっても帯電性の
立ち上がりが良好で、充分な摩擦帯電性を有し、色調が
プロセスインキのシアンと合っているトナーを提供す
る。 【解決手段】 (i)a)ポリエステル樹脂、b)ビニ
ル系共重合体、c)ポリエステルユニットとビニル系共
重合体ユニットとを有するハイブリッド樹脂、及びd)
それらの混合物からなるグループから選択される1種以
上の結着樹脂;(ii)ワックス;(iii)下記一般式で
示される化合物(1);(iv)下記一般式で示される化
合物(2);(v)芳香族オキシカルボン酸の金属化合
物;とを含有し、前記化合物(1)の含有量Wa、前記
化合物(2)の含有量Wb、前記芳香族オキシカルボン
酸の金属化合物の含有量Wcが下記式(1)、(2)を
満たすトナーとする。 【数1】2≦Wa+Wb≦10、 Wa>0 、Wb>
0 式(1) 0.01≦Wb/Wc≦1 式(2) (尚、各含有量は結着樹脂100質量部当たりの質量部
数を示す。) 【化1】 【化2】 (式中、Xの位置は、フッ素、塩素、臭素から選ばれる
ハロゲン基で一部又は全て置換されている。)

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は静電荷現像又はトナ
ージェット方式のトナーに関し、より詳しくは高温オフ
セットを防止するためのワックスを添加することによっ
ても、帯電性の立ち上がりが良好で、カブリが少なく、
環境安定性に優れ、高精細性を発現するトナーに関す
る。
【0002】
【従来の技術】近年、提案されているフルカラー複写機
においては、4つの感光体とベルト状転写体を用い、各
感光体上にそれぞれ形成された静電荷像をシアントナ
ー、マゼンタトナー、イエロートナー及びブラックトナ
ーを用い現像後、感光体とベルト転写体間に転写材を搬
送しストレートパス間で転写後、フルカラー画像を形成
させる方法や、感光体に対向させた転写体表面に静電気
力やグリッパーの如き機械的作用により転写材を巻き付
け、現像−転写工程を4回実施することでフルカラー画
像を得る方法が一般的に利用されている。
【0003】これらフルカラー用複写機に搭載されるト
ナーとしては、色再現性の向上やオーバーヘッドプロジ
ェクター(OHP)画像の透明性を損なうことなく加熱
加圧定着工程で各トナーが十分混色することが必要であ
る。一般の白黒複写機用黒トナーとくらべフルカラー画
像用トナーは、シャープメルト性を有する低分子量結着
樹脂が好ましい。しかしながら、通常、シャープメルト
性結着樹脂を用いると加熱加圧定着工程でトナーが溶融
した際、結着樹脂の自己凝集力が低いため耐高温オフセ
ット性に問題を生じ易い。一般の白黒複写機用黒トナー
では、定着時の耐高温オフセット性を向上させるためポ
リエチレンワックスやポリプロピレンワックスに代表さ
れる比較的高結晶性のワックスが離型剤として用いられ
ている(例えば特公昭52−3304号公報、特公昭5
2−3305号公報、特開昭57−52574号公報に
提案されている)。
【0004】フルカラー画像用トナーにおいも、白黒複
写機用黒トナーと同様に比較的高結晶性のワックスを離
型剤として用いると、この離型剤自身の高結晶性やOH
P用シートの材質との屈折率の違いのためOHPで透映
した際、透明性が阻害され、投影像は彩度や明度が低く
なる。
【0005】この問題を解決するため、造核材をワック
スと併用することでワックスの結晶性を低下させる方法
が、特開平4−149559号公報や特開平4−107
467号公報に提案されている。さらに結晶化度の低い
ワックスを用いる方法が特開平4−301853号公報
や特開平5−61238号公報に提案されている。比較
的透明性が良く融点の低いワックスとしてモンタン系ワ
ックスがあり、モンタン系ワックスの使用が、特開平1
−185660号公報、特開平1−185661号公
報、特開平1−185662号公報、特開平1−185
663号公報、特開平1−238672号公報に提案さ
れている。しかしながら、これらのワックスは、OHP
での透明性と加熱加圧定着時の低温定着性及び耐高温オ
フセット性の全てが十分満足されるものではない。
【0006】一方で、カラー複写機がコントローラーを
介してコンピューターと接続され、高品位カラープリン
ターとして使われるケースが増加するにつれて、システ
ム全体を色管理するカラーマネージメントシステムが提
案される様になってきた。その結果特定のユーザーにお
いては、電子写真方式のカラー複写機で出力される出力
画像がプロセスインキをベースとした印刷の出力画像と
色味の点で一致することを強く望む様になり、プロセス
インキと同様の色調を有するトナーというものも要求さ
れる様になってきている。
【0007】カラートナーの中でシアントナーの着色剤
としては、従来、C.I.ピグメントブルー15:3、
同15:4、C.I.ソルベントブルー25、同35、
同68、同70、同111などのシアン有彩色を示す公
知の各種染料、顔料が使用されている。また、シアン系
顔料と同色顔料・染料との併用、他色顔料・染料との併
用なども提案されている。例えば、特公昭50−777
号公報にはシアン系顔料とイエロー系顔料の併用、特開
昭61−7844号公報にはシアン系顔料と同系染料の
併用、特開昭62−280779号公報にはシアン系顔
料とマゼンタ系顔料の併用等が提案されている。これら
はいずれも色味を調整する目的のためにのみ顔料及び染
料を併用している。
【0008】また、このように離型剤を添加することに
よって、トナー粒子の流動性が悪化し、帯電性の立ち上
がりに弊害をもたらす。特開平3−276163号公報
には、C.I.ピグメントブルー15:3と、C.I.
ピグメントグリーン7の併用が開示されている。ここで
は、シアン顔料の色味調整を行う目的のためだけにC.
I.ピグメントグリーン7を併用している。さらに、特
開平8−262802では、ベンジル酸誘導体の金属塩
を荷電制御剤に使用しているが、帯電性においてさらに
改善すべき点がある。特開2000−98661号公
報、特開2000−214638号公報ではポリエステ
ルを主成分として離型剤を含有するトナーに関して記載
されているが帯電安定性に問題がある。このようにワッ
クスを添加することによっても、良好なトナーの帯電性
が得られることが強く要求されるようになっている。
【0009】さらには、特開2001−5221号公報
ではC.I.ピグメントブルー15:3と、C.I.ピ
グメントグリーン36の併用が開示されている。しかし
定着性能に関して、さらなる改善が必要である。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は、上述
の問題点を解決したトナーを提供するものである。すな
わち、本発明の目的は、ワックスを添加することによっ
ても帯電性の立ち上がりが良好で、充分な摩擦帯電性を
有し、画像品質を高める光沢性が高く、高温オフセット
が十分に防止され、定着可能温度が広く、現像器内、す
なわち、スリーブ、ブレード、塗布ローラーなどの部品
へのトナー融着がなく、さらにクリーニング性が良好で
あり、感光体へのフィルミングをしないトナーを提供す
るものである。
【0011】本発明の目的は、保存安定性、耐熱性、耐
ブロッキング性に優れたトナーを提供するものである。
【0012】本発明の目的は、低濃度から高濃度までの
広いダイナミックレンジをカバーする高着色力を有し、
彩度及び明度が高く、OHP透明性に優れ、着色剤の分
散性に優れ、高耐光性を有し、さらに色調がプロセスイ
ンキのシアンと合っているトナーを提供するものであ
る。
【0013】本発明の目的は、カブリがなく、ハイライ
ト再現性に優れ、ベタ均一性に優れ、耐久安定性に優れ
たトナーを提供するものである。
【0014】
【課題を解決するための手段】本発明者らは鋭意検討の
結果、ワックスを添加することによっても負帯電性の立
ち上がりと帯電安定性に優れ、オイル塗布を行わない加
熱加圧定着手段においても、耐高温オフセット性に優
れ、かつ、高温環境下における長期保存安定性と低温定
着性の両立を達成するためには、トナーが下記の要件を
満足することが有効であることを見出した。
【0015】すなわち本発明のトナーは、以下のとおり
である。 (i)a)ポリエステル樹脂、b)ビニル系共重合体、
c)ポリエステルユニットとビニル系共重合体ユニット
とを有するハイブリッド樹脂、及びd)それらの混合物
からなるグループから選択される1種以上の結着樹脂; (ii)ワックス; (iii)下記一般式で示される化合物(1);
【0016】
【化6】 (iv)下記一般式で示される化合物(2);
【0017】
【化7】 (式中、Xの位置は、フッ素、塩素、臭素から選ばれる
ハロゲン基で一部又は全て置換されている。) (v)芳香族オキシカルボン酸の金属化合物;とを含有
し、前記化合物(1)の含有量をWaとし、前記化合物
(2)の含有量をWbとし、前記芳香族オキシカルボン
酸の金属化合物の含有量をWcとしたとき、Wa、W
b、Wcが下記式(1)、(2)を満たすことを特徴と
するトナー。
【0018】
【数2】 2≦Wa+Wb≦10、 Wa>0 、Wb>0 式(1) 0.01≦Wb/Wc≦1 式(2) (尚、各含有量は結着樹脂100質量部当たりの質量部
数を示す。)
【0019】
【発明の実施の形態】<1>本発明のトナー 本発明のトナーに関して詳細に説明する。
【0020】本発明のトナーに用いられる結着樹脂は、
a)ポリエステル樹脂、b)ビニル系共重合体、c)ポ
リエステルユニットとビニル系共重合体ユニットとを有
するハイブリッド樹脂、及びd)それらの混合物からな
るグループから選択される1種以上の結着樹脂が好まし
い。
【0021】その中でも、結着樹脂成分のゲルパーミエ
ーションクロマトグラフィー(GPC)により測定され
る分子量分布において、メインピークを分子量3,50
0〜10,000の領域に有し、好ましくは分子量4,
000〜9,000の領域に有し、Mw/Mnが5.0
以上である結着樹脂が好ましい。
【0022】メインピークが分子量3,500未満の領
域にある場合には、トナーの耐ホットオフセット性が不
十分である傾向がある。一方、メインピークが分子量1
0,000超の領域にある場合には、十分なトナーの低
温定着性が得られないうえ、OHPの透過性が不十分と
なる傾向のため好ましくない。また、Mw/Mnが5.
0未満である場合には良好な耐オフセット性を得ること
が不可能となる。
【0023】結着樹脂としてのポリエステル樹脂は、ア
ルコール成分と、カルボン酸、もしくはカルボン酸無水
物、カルボン酸エステル等の酸成分とを原料モノマーと
して用い縮重合させたものを用いることができる。
【0024】具体的にアルコール成分としては、2価以
上のアルコールであれば特に限定はないが、2価アルコ
ール成分としては、例えばポリオキシプロピレン(2,
2)−2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパ
ン、ポリオキシプロピレン(3,3)−2,2−ビス
(4−ヒドロキシフェニル)プロパン、ポリオキシエチ
レン(2,0)−2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニ
ル)プロパン、ポリオキシプロピレン(2,0)−ポリ
オキシエチレン(2,0)−2,2−ビス(4−ヒドロ
キシフェニル)プロパン、ポリオキシプロピレン(6)
−2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン等
のビスフェノールAのアルキレンオキシド付加物、エチ
レングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレン
グリコール、1,2−プロピレングリコール、1,3−
プロピレングリコール、1,4−ブタンジオール、ネオ
ペンチルグリコール、1,4−ブテンジオール、1,5
−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、1,
4−シクロヘキサンジメタノール、ジプロピレングリコ
ール、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコ
ール、ポリテトラメチレングリコール、ビスフェノール
A、水素添加ビスフェノールA等が挙げられる。
【0025】3価以上のアルコール成分としては、例え
ばソルビトール、1,2,3,6−ヘキサンテトロー
ル、1,4−ソルビタン、ペンタエリスリトール、ジペ
ンタエリスリトール、トリペンタエリスリトール、1,
2,4−ブタントリオール、1,2,5−ペンタントリ
オール、グリセロール、2−メチルプロパントリオー
ル、2−メチル−1,2,4−ブタントリオール、トリ
メチロールエタン、トリメチロールプロパン、1,3,
5−トリヒドロキシメチルベンゼン等が挙げられる。
【0026】酸性分としては、フタル酸、イソフタル酸
及びテレフタル酸等の芳香族ジカルボン酸類又はその無
水物;こはく酸、アジピン酸、セバシン酸及びアゼライ
ン酸等のアルキルジカルボン酸類又はその無水物;炭素
数6〜12のアルキル基で置換されたこはく酸又はその
無水物;フマル酸、マレイン酸及びシトラコン酸等の不
飽和ジカルボン酸類又はその無水物;等が挙げられる。
【0027】それらの中でも、特に、下記化合物(6)
で代表されるビスフェノール誘導体をジオール成分と
し、2価以上のカルボン酸又はその酸無水物、又はその
低級アルキルエステルとからなるカルボン酸成分(例え
ば、フマル酸、マレイン酸、無水マレイン酸、フタル
酸、テレフタル酸、トリメリット酸、ピロメリット酸
等)を酸成分として、これらを縮重合したポリエステル
樹脂は、カラートナーに用いた場合、カラートナーが良
好な帯電特性を有するので好ましい。
【0028】
【化8】 結着樹脂としてのビニル系共重合体は、以下のビニル系
モノマーを重合させたものである。スチレン;o−メチ
ルスチレン、m−メチルスチレン、p−メチルスチレ
ン、α−メチルスチレン、p−フェニルスチレン、p−
エチルスチレン、2,4−ジメチルスチレン、p−n−
ブチルスチレン、p−tert−ブチルスチレン、p−
n−ヘキシルスチレン、p−n−オクチルスチレン、p
−n−ノニルスチレン、p−n−デシルスチレン、p−
n−ドデシルスチレン、p−メトキシスチレン、p−ク
ロルスチレン、3,4−ジクロルスチレン、m−ニトロ
スチレン、o−ニトロスチレン、p−ニトロスチレン等
のスチレン及びその誘導体;エチレン、プロピレン、ブ
チレン、イソブチレン等のスチレン不飽和モノオレフィ
ン類;ブタジエン、イソプレン等の不飽和ポリエン類;
塩化ビニル、塩化ビニリデン、臭化ビニル、フッ化ビニ
ル等のハロゲン化ビニル類;酢酸ビニル、プロピオン酸
ビニル、ベンゾエ酸ビニル等のビニルエステル類;メタ
クリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸プ
ロピル、メタクリル酸n−ブチル、メタクリル酸イソブ
チル、メタクリル酸n−オクチル、メタクリル酸ドデシ
ル、メタクリル酸2−エチルヘキシル、メタクリル酸ス
テアリル、メタクリル酸フェニル、メタクリル酸ジメチ
ルアミノエチル、メタクリル酸ジエチルアミノエチル等
のα−メチレン脂肪族モノカルボン酸エステル類;アク
リル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸プロピ
ル、アクリル酸n−ブチル、アクリル酸イソブチル、ア
クリル酸n−オクチル、アクリル酸ドデシル、アクリル
酸2−エチルヘキシル、アクリル酸ステアリル、アクリ
ル酸2−クロルエチル、アクリル酸フェニル等のアクリ
ル酸エステル類;ビニルメチルエーテル、ビニルエチル
エーテル、ビニルイソブチルエーテル等のビニルエーテ
ル類;ビニルメチルケトン、ビニルヘキシルケトン、メ
チルイソプロペニルケトン等のビニルケトン類;N−ビ
ニルピロール、N−ビニルカルバゾール、N−ビニルイ
ンドール、N−ビニルピロリドン等のN−ビニル化合
物;ビニルナフタリン類;アクリロニトリル、メタクリ
ロニトリル、アクリルアミド等のアクリル酸もしくはメ
タクリル酸誘導体等が挙げられる。
【0029】さらに、マレイン酸、シトラコン酸、イタ
コン酸、アルケニルコハク酸、フマル酸、メサコン酸等
の不飽和二塩基酸;マレイン酸無水物、シトラコン酸無
水物、イタコン酸無水物、アルケニルコハク酸無水物等
の不飽和二塩基酸無水物;マレイン酸メチルハーフエス
テル、マレイン酸エチルハーフエステル、マレイン酸ブ
チルハーフエステル、シトラコン酸メチルハーフエステ
ル、シトラコン酸エチルハーフエステル、シトラコン酸
ブチルハーフエステル、イタコン酸メチルハーフエステ
ル、アルケニルコハク酸メチルハーフエステル、フマル
酸メチルハーフエステル、メサコン酸メチルハーフエス
テル等の不飽和二塩基酸のハーフエステル;ジメチルマ
レイン酸、ジメチルフマル酸等の不飽和二塩基酸エステ
ル;アクリル酸、メタクリル酸、クロトン酸、ケイヒ酸
等のα,β−不飽和酸;クロトン酸無水物、ケイヒ酸無
水物等のα,β−不飽和酸無水物、前記α,β−不飽和
酸と低級脂肪酸との無水物;アルケニルマロン酸、アル
ケニルグルタル酸、アルケニルアジピン酸、これらの酸
無水物及びこれらのモノエステル等のカルボキシル基を
有するモノマーが挙げられる。
【0030】さらに、2−ヒドロキシエチルアクリレー
ト、2−ヒドロキシエチルメタクリレート、2−ヒドロ
キシプロピルメタクリレートなどのアクリル酸又はメタ
クリル酸エステル類;4−(1−ヒドロキシ−1−メチ
ルブチル)スチレン、4−(1−ヒドロキシ−1−メチ
ルヘキシル)スチレン等のヒドロキシ基を有するモノマ
ーが挙げられる。
【0031】本発明のトナーにおいて、結着樹脂のビニ
ル系共重合体は、ビニル基を2個以上有する架橋剤で架
橋された架橋構造を有していてもよい。この場合に用い
られる架橋剤は、ジビニルベンゼン、ジビニルナフタレ
ン等の芳香族ジビニル化合物;エチレングリコールジア
クリレート、1,3−ブチレングリコールジアクリレー
ト、1,4−ブタンジオールジアクリレート、1,5−
ペンタンジオールジアクリレート、1,6ヘキサンジオ
ールジアクリレート、ネオペンチルグリコールジアクリ
レート等のアルキル鎖で結ばれたジアクリレート化合物
類及び以上の化合物のアクリレートをメタクリレートに
代えたジメタクリレート化合物類;ジエチレングリコー
ルジアクリレート、トリエチレングリコールジアクリレ
ート、テトラエチレングリコールジアクリレート、ポリ
エチレングリコール#400ジアクリレート、ポリエチ
レングリコール#600ジアクリレート、ジプロピレン
グリコールジアクリレート等のエーテル結合を含むアル
キル鎖で結ばれたジアクリレート化合物類及び以上の化
合物のアクリレートをメタクリレートに代えたジメタク
リレート化合物類;ポリオキシエチレン(2)−2,2
−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパンジアクリレ
ート、ポリオキシエチレン(4)−2,2−ビス(4−
ヒドロキシフェニル)プロパンジアクリレート等の芳香
族基及びエーテル結合を含む鎖で結ばれたジアクリレー
ト化合物類及び以上の化合物のアクリレートをメタクリ
レートに代えたジメタクリレート化合物類が挙げられ
る。
【0032】また、ペンタエリスリトールトリアクリレ
ート、トリメチロールエタントリアクリレート、トリメ
チロールプロパントリアクリレート、テトラメチロール
メタンテトラアクリレート、オリゴエステルアクリレー
ト及び以上の化合物のアクリレートをメタクリレートに
代えたもの;トリアリルシアヌレート、トリアリルトリ
メリテート等の多官能の架橋剤も用いることができる。
【0033】本発明のビニル系共重合体を製造する場合
に用いられる重合開始剤としては、例えば、2,2'−
アゾビスイソブチロニトリル、2,2'−アゾビス(4
−メトキシ−2,4−ジメチルバレロニトリル)、2,
2'−アゾビス(−2,4−ジメチルバレロニトリ
ル)、2,2'−アゾビス(−2メチルブチロニトリ
ル)、ジメチル−2,2'−アゾビスイソブチレート、
1,1'−アゾビス(1−シクロヘキサンカルボニトリ
ル)、2−(カーバモイルアゾ)−イソブチロニトリ
ル、2,2'−アゾビス(2,4,4−トリメチルペン
タン)、2−フェニルアゾ−2,4−ジメチル−4−メ
トキシバレロニトリル、2,2'−アゾビス(2−メチ
ル−プロパン)、メチルエチルケトンパーオキサイド、
アセチルアセトンパーオキサイド、シクロヘキサノンパ
ーオキサイド等のケトンパーオキサイド類、2,2−ビ
ス(t−ブチルパーオキシ)ブタン、t−ブチルハイド
ロパーオキサイド、クメンハイドロパーオキサイド、
1,1,3,3−テトラメチルブチルハイドロパーオキ
サイド、ジ−t−ブチルパーオキサイド、t−ブチルク
ミルパーオキサイド、ジ−クミルパーオキサイド、α,
α'−ビス(t−ブチルパーオキシイソプロピル)ベン
ゼン、イソブチルパーオキサイド、オクタノイルパーオ
キサイド、デカノイルパーオキサイド、ラウロイルパー
オキサイド、3,5,5−トリメチルヘキサノイルパー
オキサイド、ベンゾイルパーオキサイド、m−トリオイ
ルパーオキサイド、ジ−イソプロピルパーオキシジカー
ボネート、ジ−2−エチルヘキシルパーオキシジカーボ
ネート、ジ−n−プロピルパーオキシジカーボネート、
ジ−2−エトキシエチルパーオキシカーボネート、ジ−
メトキシイソプロピルパーオキシジカーボネート、ジ
(3−メチル−3−メトキシブチル)パーオキシカーボ
ネート、アセチルシクロヘキシルスルホニルパーオキサ
イド、t−ブチルパーオキシアセテート、t−ブチルパ
ーオキシイソブチレート、t−ブチルパーオキシネオデ
カノエイト、t−ブチルパーオキシ2−エチルヘキサノ
エート、t−ブチルパーオキシラウレート、t−ブチル
パーオキシベンゾエイト、t−ブチルパーオキシイソプ
ロピルカーボネート、ジ−t−ブチルパーオキシイソフ
タレート、t−ブチルパーオキシアリルカーボネート、
t−アミルパーオキシ2−エチルヘキサノエート、ジ−
t−ブチルパーオキシヘキサハイドロテレフタレート、
ジ−t−ブチルパーオキシアゼレート等が挙げられる。
【0034】本発明に用いられる「ハイブリッド樹脂」
とは、ビニル系共重合体ユニットとポリエステルユニッ
トが化学的に結合された樹脂を意味する。具体的には、
ポリエステルユニットと(メタ)アクリル酸エステル等
のカルボン酸エステル基を有するモノマーを重合したビ
ニル系共重合体ユニットとがエステル交換反応によって
形成されるものであり、好ましくはビニル系共重合体を
幹重合体、ポリエステルユニットを枝重合体としたグラ
フト共重合体(あるいはブロック共重合体)を形成する
ものである。以下にハイブリッド樹脂について説明す
る。
【0035】結着樹脂としてのハイブリッド樹脂は、先
に挙げたビニル系共重合体、ポリエステル樹脂、ビニル
系モノマー及びポリエステルモノマーと反応しうるモノ
マー成分を含むポリマーが存在しているところで、どち
らか一方もしくは両方の樹脂の重合反応をさせることに
より得る方法が好ましい。
【0036】本発明では、ビニル系共重合体及び/又は
ポリエステル樹脂中に、両樹脂成分と反応し得るモノマ
ー成分を含むことが好ましい。ポリエステル樹脂を構成
するモノマーのうちビニル系共重合体と反応し得るもの
としては、例えば、フタル酸、マレイン酸、シトラコン
酸、イタコン酸等の不飽和ジカルボン酸又はその無水物
などが挙げられる。ビニル系共重合体を構成するモノマ
ーのうちポリエステル樹脂と反応し得るものとしては、
カルボキシル基又はヒドロキシ基を有するものや、アク
リル酸もしくはメタクリル酸エステル類が挙げられる。
【0037】本発明のトナーに用いられるハイブリッド
樹脂を調製できる製造方法としては、例えば、以下の
(1)〜(5)に示す製造方法を挙げることができる。 (1)ビニル系共重合体製造後に、これの存在下にポリ
エステル樹脂及びハイブリッド樹脂を製造する方法。ハ
イブリッド樹脂はビニル系共重合体(必要に応じてビニ
ル系モノマーも添加できる)とポリエステルモノマー
(アルコール、カルボン酸)及び/又はポリエステル樹
脂との反応により製造される。この場合、適宜、有機溶
剤を使用することができる。 (2)ポリエステル樹脂製造後に、これの存在下にビニ
ル系共重合体及びハイブリッド樹脂を製造する方法。ハ
イブリッド樹脂はポリエステル樹脂(必要に応じてポリ
エステルモノマーも添加できる)とビニル系モノマー及
び/又はビニル系共重合体との反応により製造される。 (3)ビニル系共重合体及びポリエステル樹脂製造後
に、これらの重合体存在下にビニル系モノマー及び/又
はポリエステルモノマー(アルコール、カルボン酸)を
添加することによりハイブリッド樹脂を製造する方法。
この場合も適宜、有機溶剤を使用することができる。 (4)ハイブリッド樹脂を製造後、ビニル系モノマー及
び/又はポリエステルモノマー(アルコール、カルボン
酸)を添加して付加重合及び/又は縮重合反応を行うこ
とにより、ビニル系共重合体及びポリエステル樹脂を製
造する方法。この場合、ハイブリッド樹脂は上記(2)
〜(4)の製造方法により製造されるものを使用するこ
ともでき、必要に応じて公知の製造方法により製造され
たものを使用することもできる。さらに、適宜、有機溶
剤を使用することができる。 (5)ビニル系モノマー及びポリエステルモノマー(ア
ルコール、カルボン酸等)を混合して付加重合及び縮重
合反応を連続して行うことによりビニル系共重合体、ポ
リエステル樹脂及びハイブリッド樹脂を製造する方法。
さらに、適宜、有機溶剤を使用することができる。
【0038】上記(1)〜(5)の製造方法において、
ビニル系共重合体及び/又はポリエステル樹脂は複数の
異なる分子量、架橋度を有する重合体ユニットを使用す
ることができる。
【0039】結着樹脂としてポリエステルユニットとビ
ニル系共重合体ユニットを有しているハイブリッド樹脂
を用いる場合、さらに良好なワックス分散性と、低温定
着性、耐オフセット性の向上が期待できる。
【0040】また、本発明のトナーに用いる結着樹脂
は、上記のポリエステル樹脂、ビニル系共重合体、ハイ
ブリッド樹脂の混合物であることも好ましい形態であ
る。
【0041】混合の方法としては、ビニル系共重合体、
ポリエステル樹脂及びハイブリッド樹脂成分をそれぞれ
製造後にブレンドする方法が挙げられ、ブレンドは有機
溶剤(例えば、キシレン)に溶解・膨潤した後に有機溶
剤を留去することにより行うか、乾式ブレンドによって
も行うことができる。
【0042】本発明のトナーに含有される結着樹脂のガ
ラス転移温度は40〜90℃が好ましく、より好ましく
は45〜85℃である。
【0043】結着樹脂のガラス転移温度の調整は、原料
モノマー混合物中の重合開始剤あるいは触媒量の調整、
反応条件の選択により容易に行うことができる。具体的
には、原料モノマー混合物中の重合開始剤及び触媒の量
を多くすれば結着樹脂のガラス転移温度が高くなる傾向
がみられ、また、反応条件として、反応温度を高くし反
応時間を長くすることにより、結着樹脂のガラス転移温
度が高くなるようにすることができる。樹脂が混合物の
場合、混合する樹脂単体のガラス転移温度、また、混合
比率によって調整することが可能である。
【0044】結着樹脂の酸価は1〜40mgKOH/g
であることが好ましい。これは、結着樹脂の酸価が高す
ぎると安定した高帯電量が得られず、かつ高温高湿時に
おける帯電安定性も悪くなる傾向がある。また、小さす
ぎると樹脂の負帯電性が小さくなるためである。
【0045】本発明のトナーにおいて用いられる顔料に
関して説明する。
【0046】顔料としては下記化合物(1)で示される
銅フタロシアニン顔料及び化合物(2)で示される構造
を有する銅フタロシアニンのベンゼン環にハロゲン原子
を導入したものが挙げられる。化合物(2)のXのハロ
ゲン原子としてはフッ素、塩素、臭素、より好ましくは
塩素、臭素であることがよい。また、置換するハロゲン
の数としては5個以上であることが好ましい。
【0047】
【化9】
【0048】
【化10】 化合物(2)について具体的に例示すると、化合物
(3)、化合物(4)、化合物(5)が挙げられる。
【0049】
【化11】
【0050】
【化12】
【0051】
【化13】 本発明のトナーにおける化合物(2)は、特に例示され
ている顔料に限定するものではない。
【0052】これまでシアン顔料としては、化合物
(1)に示されている顔料が広く用いられているが、こ
れは帯電的に若干正帯電性の性質を有しており、特にワ
ックスを含有するトナーにおいては負帯電性を阻害す
る。さらに、プロセスインキのシアンに色相を合わせる
ためには化合物(1)の顔料では赤みが強すぎる。
【0053】本発明者らは、これらの問題を解決するた
めに、化合物(1)の含有量をWaとし、化合物(2)
の含有量をWbとし、後述の芳香族オキシカルボン酸の
金属化合物の含有量をWcとしたときのWa、Wb及び
Wcが下記式(1)、(2)であれば、迅速に帯電が立
ち上がり、かつ十分な摩擦帯電性が得られ、色相をプロ
セスインキのシアンに合せることが可能であることを見
出した。つまり、トナー中に若干の正帯電性を示す化合
物(1)とワックスとを含有する場合、芳香族オキシカ
ルボン酸による負帯電性を化合物(2)が補助すること
が考えられる。このメカニズムについては、定かではな
いが、銅フタロシアニンのベンゼン環に置換したハロゲ
ンが高い電子親和力を有しているために、芳香族オキシ
カルボン酸の負帯電力を補助していることが考えられ
る。
【0054】
【数3】 2≦Wa+Wb≦10、 Wa>0 、Wb>0 式(1) 0.01≦Wb/Wc≦1 式(2) (尚、各含有量は結着樹脂100質量部当たりの質量部
数を示す。) 化合物(1)と化合物(2)の含有量の合計が2質量部
より少ない場合には、トナーの着色力が低下してしま
い、これではいくら顔料の分散性を向上しても高画像濃
度の高品位画像が得られにくい。10質量部を超える場
合には、トナーの透明性が低下してしまい、トランスペ
アレンシー(OHT)透明性が低下する傾向があり、加
えて中間色の再現性も低下してしまう。さらにはトナー
の帯電性も不安定になり低温低湿環境下でのカブリ、高
温高湿環境下でのトナー飛散といった問題も引き起こし
やすい。
【0055】Wb/Wc<0.01の場合、化合物
(2)の帯電補助的効果がなくなり、特にワックスをト
ナーに添加したときに、帯電立ち上がりが遅く、トナー
飛散やカブリが発生しやすくなる。Wb/Wc>10の
場合、化合物(2)で示される化合物の分散性が悪化
し、トナーの帯電性が不均一になり、かつOHT透過性
が悪くなる。芳香族カルボン酸誘導体の金属化合物が顔
料の分散性を向上させる理由は定かではないが、結着樹
脂と芳香族カルボン酸誘導体の金属化合物との相互作用
によって、一部架橋反応が進み、混練時の着色剤にかか
るシェアーを増大させることによって、化合物(2)の
顔料の分散性が上がったものと考えられる。
【0056】本発明においては、化合物(1)と化合物
(2)とが、好ましくは98:2〜70:30の質量比
で混合されていることが良く、より好ましくは98:2
〜80:20が良い。化合物(2)の割合が2より小さ
いときは、本発明の目的のひとつである色調のコントロ
ールが不充分であり、プロセスインキの色調とは大きく
違いが生じてくる。逆に化合物(2)の割合が30より
大きいときはトナーの帯電能力が異常に大きくなり、チ
ャージアップしてしまう。加えて、色味が大きく赤味へ
シフトしてしまい、カラー画像の場合は、色材の3原色
である、イエロー、マゼンタ、シアンの3色又はそれに
黒を加えた4色で色再現するため、シアンの色調が大き
く赤色に変化しすぎてしまうと、イエローとの減法混色
によって出力可能な緑系の色の再現性が大きく低下して
しまい、好ましくない。
【0057】本発明のトナーは、芳香族カルボン酸誘導
体の金属化合物を含有する。これは、帯電制御剤として
機能するばかりでなく、化合物(1)、化合物(2)で
示される化合物の分散性向上にも寄与する。
【0058】芳香族カルボン酸誘導体の金属化合物が顔
料の分散性を向上させる理由は定かではないが、結着樹
脂と芳香族カルボン酸誘導体の金属化合物との相互作用
によって、一部架橋反応が進み、混練時の着色剤にかか
るシェアーを増大させることによって、難分散性の化合
物(1)、(2)の顔料の分散性が上がったものと考え
られる。
【0059】芳香族カルボン酸としては、下記3種の化
合物(7)〜(9)が挙げられる。
【0060】
【化14】 (式中、R1〜R7は同一又は異なる基を示し、水素原
子、炭素数1〜12のアルキル基、炭素数2〜12のア
ルケニル基、−OH,−NH2,−NH(CH3),−N
(CH32,−OCH3,−O(C25),−COOH
又は−CONH2を示す。) 好ましいR1としては、ヒドロキシル基、アミノ基及び
メトキシ基が挙げられるが、中でもヒドロキシル基が好
ましい。芳香族カルボン酸としては、特にジ−tert
−ブチルサリチル酸等のジアルキルサリチル酸が好まし
い。
【0061】有機金属化合物を形成する金属としては、
Mg2+,Ca2+,Sr2+,Pb2+,Fe2+,Co2+,N
2+,Zn2+,Cu2+,Al3+,Cr3+,Fe3+,Zr
4+が挙げられる。本発明においては、有機金属化合物と
して、ジ−tert−ブチルサリチル酸のアルミニウム
化合物が好ましい。
【0062】具体的な金属化合物としては、以下の化合
物(10)〜(17)が例示される。金属は2価以上の
金属であり、アルミニウム、亜鉛、クロムが挙げられ
る。
【0063】
【化15】
【0064】
【化16】 芳香族カルボン酸の金属化合物は、例えば、芳香族カル
ボン酸を水酸化ナトリウム水溶液に溶解させ、アルミニ
ウム、亜鉛、クロムの2価以上の金属原子を溶融してい
る水溶液を水酸化ナトリウム水溶液に滴下し、加熱撹拌
し、次に水溶液のpHを調整し、室温まで冷却した後、
ろ過水洗することにより芳香族カルボン酸の金属化合物
を合成し得る。ただし、上記の合成方法だけに限定され
るものではない。
【0065】芳香族カルボン酸の金属化合物は、結着樹
脂100質量部当たり1〜10質量部、好ましくは1〜
6質量部、より好ましくは1.5〜8質量部使用するの
がトナーの貯蔵弾性率特性及び摩擦帯電特性を調整する
点で好ましい。
【0066】芳香族カルボン酸の金属化合物が結着樹脂
100質量部当たり1質量部より少ないときは、帯電制
御剤としてあまり機能しないばかりでなく、良好な顔料
分散性が達成できない。一方、10質量部よりも多いと
きは、架橋が進みすぎてしまい、トナーとしての定着性
が損なわれてしまう。
【0067】本発明のトナーは、その帯電性をさらに安
定化させるために必要に応じて上記芳香族カルボン酸の
金属化合物以外の化合物を帯電制御剤としてさらに用い
ても良い。
【0068】本発明のトナーは、低温定着性と耐ブロッ
キング性を両立するという観点から、示差熱分析(DS
C)測定における吸熱曲線において、温度30〜200
℃の範囲に1個又は複数の吸熱ピークを有し、該吸熱ピ
ーク中の最大吸熱ピークのピーク温度が60〜110℃
の範囲にあることが望ましい。より好ましくは60〜9
5℃の範囲に吸熱曲線の最大ピークがあることが望まし
い。最大吸熱ピークのピーク温度が60℃未満である場
合はトナーの耐ブロッキング性が悪くなり、逆に最大吸
熱ピークのピーク温度が110℃超の場合は定着性が低
下する傾向がある。
【0069】次に本発明に用いられるワックスについて
説明する。
【0070】本発明のトナーは、1種又は2種以上のワ
ックスを含有していることが望ましい。
【0071】本発明に用いられるワックスの一例として
は、次のものが挙げられる。低分子量ポリエチレン、低
分子量ポリプロピレン、マイクロクリスタリンワック
ス、パラフィンワックスなどの脂肪族炭化水素系ワック
ス、また酸化ポリエチレンワックスなどの脂肪族炭化水
素系ワックスの酸化物、又はそれらのブロック共重合
物;カルナバワックス、サゾールワックス、モンタン酸
エステルワックスなどの脂肪酸エステルを主成分とする
ワックス類、及び脱酸カルナバワックスなどの脂肪酸エ
ステル類を一部又は全部を脱酸化したものなどが挙げら
れる。
【0072】さらに、パルミチン酸、ステアリン酸、モ
ンタン酸などの飽和直鎖脂肪酸類;ブランジン酸、エレ
オステアリン酸、バリナリン酸などの不飽和脂肪酸類;
ステアリルアルコール、アラルキルアルコール、ベヘニ
ルアルコール、カルナウビルアルコール、セリルアルコ
ール、メリシルアルコールなどの飽和アルコール類;ソ
ルビトールなどの多価アルコール類;リノール酸アミ
ド、オレイン酸アミド、ラウリン酸アミドなどの脂肪酸
アミド類;メチレンビスステアリン酸アミド、エチレン
ビスカプリン酸アミド、エチレンビスラウリン酸アミ
ド、ヘキサメチレンビスステアリン酸アミドなどの飽和
脂肪酸ビスアミド類;エチレンビスオレイン酸アミド、
ヘキサメチレンビスオレイン酸アミド、N,N'−ジオ
レイルアジピン酸アミド、N,N'−ジオレイルセバシ
ン酸アミドなどの不飽和脂肪酸アミド類;m−キシレン
ビスステアリン酸アミド、N,N'−ジステアリルイソ
フタル酸アミドなどの芳香族系ビスアミド類;ステアリ
ン酸カルシウム、ラウリン酸カルシウム、ステアリン酸
亜鉛、ステアリン酸マグネシウムなどの脂肪族金属塩
(一般に金属石けんといわれているもの);脂肪族炭化
水素系ワックスにスチレンやアクリル酸などのビニル系
モノマーを用いてグラフト化させたワックス類;ベヘニ
ン酸モノグリセリドなどの脂肪酸と多価アルコールの部
分エステル化物;植物性油脂の水素添加などによって得
られるヒドロキシル基を有するメチルエステル化合物な
どが挙げられる。
【0073】本発明において特に好ましく用いられるワ
ックスとしては、パラフィンワックスが挙げられる。パ
ラフィンワックスとしては、例えば、アルキレンを高圧
下でラジカル重合あるいは低圧下でチーグラー触媒で重
合した低分子量のアルキレンポリマー;高分子量のアル
キレンポリマーを熱分解して得られるアルキレンポリマ
ー;一酸化炭素及び水素を含む合成ガスからアーゲ法に
より得られる炭化水素の蒸留残分から、あるいはこれら
を水素添加して得られる合成炭化水素ワックスがよい。
【0074】さらにプレス発汗法、溶剤法、真空蒸留の
利用や分別結晶方式により炭化水素ワックスの分別を行
ったものが、より好ましく用いられる。母体としての炭
化水素は、金属酸化物系触媒(多くは2種以上の多元
系)を使用した一酸化炭素と水素の反応によって合成さ
れるもの(例えばジントール法、ヒドロコール法(流動
触媒床を使用)によって合成された炭化水素化合物);
ワックス状炭化水素が多く得られるアーゲ法(同定触媒
床を使用)により得られる炭素数が数百ぐらいまでの炭
化水素;エチレンなどのアルキレンをチーグラー触媒に
より重合した炭化水素が、分岐が少なくて小さく、飽和
の長い直鎖状炭化水素であるので好ましい。特にアルキ
レンの重合によらない方法により合成されたワックスが
その分子量分布からも好ましいものである。
【0075】ワックスの分子量分布では、メインピーク
が分子量400〜2400の領域にあることが好まし
く、430〜2000の領域にあることがより好まし
い。ワックスにこのような分子量分布をもたせることに
よりトナーに好ましい熱特性を付与することができる。
【0076】また、トナーの定着時により有効に機能さ
せるために、上記ワックスの融点は、60〜110℃に
あることが好ましく、60〜85℃にあることがより好
ましい。
【0077】ワックスは結着樹脂100質量部当たり
0.1〜20質量部、好ましくは0.5〜10質量部使
用するのが良い。
【0078】ワックスは通常、結着樹脂を溶剤に溶解し
結着樹脂溶液温度を上げ、撹拌しながら添加混合する方
法や、混練時に混合する方法で結着樹脂に含有させる。
【0079】本発明に使用するカラートナーを作製する
には、上記のトナー構成材料、すなわち、結着樹脂及び
着色剤としての顔料(化合物(1)及び化合物
(2))、ワックス、芳香族オキシカルボン酸の金属化
合物、さらに必要に応じて帯電制御剤、その他の添加剤
等をボールミルの如き混合機により充分予備混合してか
ら、該予備混合物を加熱ロール、ニーダー、エクストル
ーダーの様な熱混練機を用いて溶融・捏和及び練肉し
て、前記結着樹脂とその他のトナー構成材料を分散さ
せ、冷却固化後粉砕及び厳密な分級を行ってカラートナ
ー粒子を得ることができる。該カラートナー粒子に、必
要により流動性向上剤等の外添剤を加えてカラートナー
が得られる。
【0080】カラートナー粒子中の顔料の分散状態を向
上させるには、カラートナーを以下のように製造すれば
よい。第1の結着樹脂と、分散媒に対して不溶性の顔料
5〜50質量%を含有するペースト顔料とを混練機又は
混合機に仕込み、非加圧下で混合しながら加熱して第1
の結着樹脂を溶融させ、ペースト顔料(すなわち液相中
の顔料)を、加熱されている第1の結着樹脂の溶融樹脂
相に移行させた後、第1の結着樹脂及び顔料を溶融混練
し、液体分を除去蒸発させて乾燥し、第1の結着樹脂及
び顔料を有する第1の混練物を得、次いで第1の混練物
に第2の結着樹脂、さらに必要に応じて帯電制御剤等の
添加物等を加えた混合物を、加熱溶融混練して第2の混
練物を得、得られた第2の混練物を冷却後粉砕及び分級
してトナー化することが好ましい。ここで、第1の結着
樹脂と第2の結着樹脂は、同じであっても異なる樹脂で
あっても構わない。
【0081】上記ペースト顔料は、第1の混練物を得る
工程において顔料がただの一度も乾燥工程を経ずに存在
している状態が望ましい。換言すれば、顔料がほぼ一次
粒子の状態で全ペースト顔料に対して5〜50質量%存
在している状態である。ペースト顔料中の残りの約50
〜95質量%は若干の分散剤及び助剤などと共に大部分
の揮発性の液体が占めている。該揮発性の液体は、一般
の加熱によって蒸発する液体であれば特に何ら限定する
ものではないが、エコロジー的にも好ましく用いられる
液体は水である。
【0082】混練装置としては、加熱ニーダー、一軸押
し出し機、二軸押し出し機、ニーダーなどが挙げられ、
特に好ましくは加熱ニーダーが挙げられる。
【0083】本発明のカラートナーは、重量平均粒径が
4〜10μmであることが好ましい。また、本発明のカ
ラートナーは、個数平均粒径が3.5〜9.5μmであ
り、カラートナーの個数分布における粒径4μm以下の
粒子が5〜50個数%であり、カラートナーの体積分布
における粒径12.70μm以上の粒子が7体積%以下
であることが好ましい。
【0084】トナーの重量平均粒径が10μmより大き
い場合は、高画質化に寄与し得る微粒子が少ないことを
意味し、高い画像濃度が得られ易く、トナーの流動性に
優れるというメリットがあるものの、感光ドラム上の微
細な静電荷像上には忠実に付着しづらく、ハイライト部
の再現性が低下し、さらに解像性も低下する。また、必
要以上にトナーが静電荷像に乗りすぎが起こり、トナー
消費量の増大を招きやすい傾向にもある。
【0085】逆にトナーの重量平均粒径が4μmより小
さい場合には、トナーの単位質量当たりの帯電量が高く
なり、画像濃度の低下、特に低温低湿下での画像濃度の
低下が顕著となる。これでは、特にグラフィック画像の
如き画像面積比率の高い用途には不向きである。さら
に、トナーの重量平均粒径が4μmより小さいときに
は、キャリアなどの帯電付与部材との接触帯電がスムー
ズに行われにくく、充分に帯電し得ないトナーが増大
し、非画像部への飛び散りによるカブリが目立つ様にな
る。これに対処すべくキャリアの比表面積を稼ぐために
キャリアの小径化が考えられるが、重量平均径が4μm
未満のトナーでは、トナー自己凝集も起こり易く、キャ
リアとの均一混合が短時間では達成されにくく、トナー
の連続補給耐久においては、カブリが生じてしまう傾向
にある。
【0086】また本発明のトナーは、個数分布における
粒径4μm以下のトナー粒子を全粒子数の5〜50個数
%、好ましくは5〜25個数%であることが好ましい。
4μm以下の粒径のトナー粒子が5個数%未満である
と、高画質のために必須な成分である微小のトナー粒子
が少ないことを意味し、特に、コピー又はプリントアウ
トを続けることによってトナーが連続的に使われるに従
い、有効なトナー粒子成分が減少して、本発明で示すト
ナーの粒度分布のバランスが悪化し、画質がしだいに低
下する傾向を示す。
【0087】また、4μm以下の粒径のトナー粒子が5
0個数%を超えると、トナー粒子相互の凝集状態が生じ
易く、本来の粒径以上のトナー塊として、挙動すること
も多くなり、その結果、あれた画像が形成されやすく、
解像性を低下させたり、又は静電荷像のエッジ部と内部
との濃度差が大きくなり、中抜け気味の画像となり易
い。
【0088】さらに、体積分布における粒径12.70
μm以上の粒子が7体積%以下であることが画質向上の
上で好ましい。
【0089】さらに、本発明のトナー粒子には、流動性
向上剤が外添されていることが画質向上、高温環境下で
の保存性の点で好ましい。流動性向上剤としては、シリ
カ、酸化チタン、酸化アルミニウム等の無機微粉体が好
ましい。該無機微粉体は、シランカップリング剤、シリ
コーンオイル又はそれらの混合物の如き疎水化剤で疎水
化されていることが好ましい。
【0090】疎水化剤としては、シランカップリング
剤、チタネートカップリング剤、アルミニウムカップリ
ング剤、ジルコアルミネートカツプリング剤等のカップ
リング剤が挙げられる。
【0091】具体的に例えばシランカップリング剤とし
ては、化合物(18)で表されるものが好ましい。
【0092】
【化17】 RmSiYn 化合物(18) (式中、Rはアルコキシ基を示し、mは1〜3の整数を
示し、Yはアルキル基、ビニル基、フェニル基、メタア
クリル基、アミノ基、エポキシ基、メルカプト基又はこ
れらの誘導体を示し、nは1〜3の整数を示す。ただ
し、m+n=4である。) 例えばビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシ
シラン、γ−メタクリルオキシプロピルトリメトキシシ
ラン、メチルトリメトキシシラン、メチルトリエトキシ
シラン、イソブチルトリメトキシシラン、ジメチルジメ
トキシシラン、ジメチルジエトキシシラン、トリメチル
メトキシシラン、ヒドロキシプロピルトリメトキシシラ
ン、フェニルトリメトキシシラン、n−ヘキサデシルト
リメトキシシラン、n−オクタデシルトリメトキシシラ
ン等を挙げることができる。その処理量は、無機微粉体
100質量部に対して、好ましくは1〜60質量部、よ
り好ましくは3〜50質量部である。
【0093】本発明において、無機微粉体の疎水化剤と
して特に好適なのは、化合物(19)で示されるアルキ
ルアルコキシシランカップリング剤である。
【0094】
【化18】 (式中、nは4〜12の整数を示し、mは1〜3の整数
を示す。) 化合物(19)のアルキルアルコキシシランカップリン
グ剤において、nが4より小さいと処理は容易となるが
疎水化度が低いため、好ましくない。nが12より大き
いと疎水性が十分になるが、酸化チタン微粒子同士の合
一が多くなり、流動性付与能が低下しやすい。mは3よ
り大きいと、アルキルアルコキシシランカップリング剤
の反応性が低下して疎水化を良好に行いにくくなる。よ
り好ましくは、アルキルアルコキシシランカップリング
剤のnが4〜8であり、mが1〜2であるのが良い。
【0095】アルキルアルコキシシランカップリング剤
の処理量は、無機微粉体100質量部に対して、好まし
くは1〜60質量部、より好ましくは3〜50質量部が
良い。
【0096】疎水化処理は1種類の疎水化剤単独で行っ
ても良いし、2種類以上の疎水化剤を使用しても良い。
例えば1種類のカップリング剤単独で疎水化処理を行っ
ても良いし、2種類のカップリング剤で同時に、又はカ
ップリング剤での疎水化処理を行った後、別のカップリ
ング剤でさらに疎水化処理を行っても良い。
【0097】流動性向上剤は、トナー粒子100質量部
に対して0.01〜5質量部添加することが好ましく、
0.05〜3質量部添加することがより好ましい。
【0098】本発明のカラートナーは、一成分系現像剤
及び二成分系現像剤に適用できるものであり、特に何ら
これを限定するものではないが、本発明のカラートナー
を二成分系現像剤に用いる場合に、併用される磁性キャ
リア粒子としては、例えば表面酸化又は未酸化の鉄、ニ
ッケル、銅、亜鉛、コバルト、マンガン、クロム、希土
類等の金属及びそれらの合金又は酸化物及びフェライト
などが使用できる。
【0099】特に、マンガン、マグネシウム及び鉄成分
を主成分として形成されるMn−Mg−Feの3元素の
磁性フェライト粒子が磁性キャリア粒子として好まし
い。磁性キャリア粒子は、樹脂で被覆されていることが
好ましく、被覆樹脂としてはシリコーン樹脂が好まし
い。特に、含窒素シリコーン樹脂又は、含窒素シランカ
ップリング剤とシリコーン樹脂とが反応することにより
生成した変性シリコーン樹脂が、本発明のカラートナー
へのマイナスの摩擦電荷の付与性、環境安定性、磁性キ
ャリア粒子の表面の汚染に対する抑制の点で好ましい。
【0100】磁性キャリア粒子は、平均粒径が15〜6
0μm、より好ましくは25〜50μmがカラートナー
の重量平均粒径との関係で好ましい。磁性キャリア粒子
を上記の平均粒径及び特定の粒度分布を有するように調
製する方法としては、例えば、篩を用いる分級によって
行うことが可能である。特に、精度良く分級を行うため
に、適当な目開きの篩を用いて複数回繰り返してふるう
ことが好ましい。また、メッシュの開口の形状をメッキ
等によって制御したものを使うことも有効な手段であ
る。
【0101】二成分系現像剤を調製する場合、その混合
比率は現像剤中のトナー濃度として、2〜15質量%、
好ましくは4〜13質量%にすると通常良好な結果が得
られる。トナー濃度が2%未満では画像濃度が低くなり
やすく、15質量%を超える場合ではカブリや機内飛散
が増加しやすい。
【0102】また本発明のトナーの貯蔵弾性率に関して
説明する。
【0103】まず、温度80℃における貯蔵弾性率
(G'80)は、トナーの高温環境下における保存性、耐
熱性、耐ブロッキング性を良好にするために、5×10
4〜1×109N/m2が好ましく、さらには5×104
5×108N/m2がより好ましい。貯蔵弾性率
(G'80)が5×104N/m2よりも小さい場合には、
高温環境下における保存性、耐熱性、耐ブロッキング性
が悪く、トナー粒子同士が合一し、トナーの大きな凝集
体を形成する傾向があるため好ましくない。近年、複写
機、プリンターの出力スピードの高速化や本体の小型化
が進んでいるため、マシン機内の温度が高くなる傾向に
あり、高精細・高画質の画像を安定して得るためには、
トナーが高温環境下における十分な保存性、耐熱性、耐
ブロッキング性を有することは重要である。また、貯蔵
弾性率(G'80)が1×109N/m2より大きい場合に
は、保存性、耐熱性、耐ブロッキング性は十分であるも
のの、低い温度での十分な定着性が得られないため好ま
しくない。
【0104】また、温度120〜180℃における貯蔵
弾性率(G'120-180)は、十分な定着性と耐高温オフセ
ット性と両立させるために、さらには均一なグロスを有
する画像を得るために、1×102〜1×105N/m2
好ましく、さらには1×10 2〜5×104N/m2がよ
り好ましい。貯蔵弾性率(G'120-180)が1×102
/m2よりも小さい場合には、トナーの十分な耐高温オ
フセット性を得られにくいため好ましくない。また、貯
蔵弾性率(G'120-180)が1×105N/m2より大きい
場合には、トナーを十分に定着させることができず、ト
ナーの発色性は著しく低下する傾向がある。 <2>トナーの物性の測定法 次に各物性の測定方法について以下に説明する。 (1)トナーの貯蔵弾性率の測定方法 トナーを直径25mm、厚さ約2〜3mmの円板状の試
料に加圧成形する。次にパラレルプレートにセットし、
50〜200℃の温度範囲内で徐々に昇温させ、温度分
散測定を行う。昇温速度は2℃/minとし、角周波数
(ω)は6.28rad/secに固定し、歪率は自動
とする。横軸に温度、縦軸に貯蔵弾性率(G')を取
り、各温度における値を読み取る。測定にあたっては、
RDA−II(レオメトリックス社製)を用いる。 (2)トナーの吸熱ピーク、結着樹脂のガラス転移点及
びワックスの融点の測定方法 示差走査熱量計(DSC測定装置)、DSC−7(パー
キンエルマー社製)を用いてASTM D3418−8
2に準じて測定する。
【0105】測定試料は2〜10mg、好ましくは5m
gを精密に秤量する。これをアルミパン中に入れ、リフ
ァレンスとして空のアルミパンを用い、測定温度範囲3
0〜200℃の間で、昇温速度10℃/minで常温常
湿下で測定を行う。
【0106】この昇温過程で、温度30〜200℃の範
囲におけるDSC曲線の吸熱ピークから、トナーの吸熱
ピーク、結着樹脂のガラス転移点及びワックスの融点が
得られる。 (3)GPC測定 ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)に
よるクロマトグラムの分子量は次の条件で測定される。
【0107】40℃のヒートチャンバー中でカラムを安
定化させ、この温度におけるカラムに溶媒としてテトラ
ヒドロフラン(THF)を毎分1mlの流速で流し、試
料濃度として0.05〜0.6質量%に調整した樹脂の
THF試料溶液を約50〜200μl注入して測定す
る。試料の分子量測定にあたっては、試料の有する分子
量分布を数種の単分散ポリスチレン標準試料により作成
された検量線の対数値とカウント数(リテンションタイ
ム)との関係から算出する。検量線作成用の標準ポリス
チレン試料としては、例えば東ソー社製あるいはPre
ssure Chemical Co.製の分子量が6
×102、2.1×103、4×103、1.75×1
4、5.1×104、1.1×105、3.9×105
8.6×10 5、2×106、4.48×106のものを
用い、少なくとも10点程度の標準ポリスチレン試料を
用いるのが適当である。検出器にはRI(屈折率)検出
器を用いる。
【0108】カラムとしては、103〜2×106の分子
量領域を的確に測定するために、市販のポリスチレンジ
ェルカラムを複数本組み合せるのが良く、例えば昭和電
工社製のshodex GPC KF−801,80
2,803,804,805,806,807の組み合
わせや、Waters社製のμ−styragel 5
00、103、104、105の組み合わせを挙げること
ができる。
【0109】上記条件にて、樹脂、ワックス及びトナー
の体積平均分子量(Mw)、数平均分子量(Mn)を検
量線により求める。 (4)酸価の測定方法 試料2〜10gを200〜300mlの三角フラスコに
秤量し、メタノール:トルエン=30:70の混合溶媒
約50ml加えて樹脂を溶解する。溶解性が悪いようで
あれば少量のアセトンを加えても良い。0.1%のブロ
ムチモールブルーとフェノールレッドの混合指示薬を用
い、あらかじめ標定されたN/10水酸化カリウム〜ア
ルコール溶液で滴定し、アルコールカリウム液の消費量
から次の計算式で酸価を求める。 酸価=KOH(ml数)×f×56.1/試料質量 (ただしfはN/10KOHのファクター) (5)トナー粒子又はトナーの粒度分布の測定 測定装置としては、コールターカウンターTA−II或い
はコールターマルチサイザーII(コールター社製)を用
いる。電解液は、1級塩化ナトリウムを用いて、約1%
NcCl水溶液を調製する。例えば、ISOTON(登
録商標)−II(コールターサイエンティフィックジャパ
ン社製)が使用できる。測定方法としては、前記電解水
溶液100〜150ml中に分散剤として、界面活性剤
(好ましくはアルキルベンゼンスルホン塩酸)を、0.
1〜5mlを加え、さらに測定試料を2〜20mg加え
る。試料を懸濁した電解液は、超音波分散器で約1〜3
分間分散処理を行い、前記測定装置により、アパーチャ
ーとして100μmアパーチャーを用いて、トナー粒子
の体積及び個数を各チャンネルごとに測定して、トナー
の体積分布と個数分布とを算出する。それから、トナー
粒子の体積分布から求めた質量基準のトナー粒子又はト
ナーの質量平均粒径(D4)及び体積平均粒径(Dv)
(各チャンネルの中央値をチャンネル毎の代表値とす
る)を求める。
【0110】チャンネルとしては、2.00〜2.52
μm;2.52〜3.17μm;3.17〜4.00μ
m;4.00〜5.04μm;5.04〜6.35μ
m;6.35〜8.00μm;8.00〜10.08μ
m;10.08〜12.70μm;12.70〜16.
00μm;16.00〜20.20μm;20.20〜
25.40μm;25.40〜32.00μm;32〜
40.30μmの13チャンネルを用いる。
【0111】
【実施例】以下、本発明の具体的実施例について説明す
るが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではな
い。 (ハイブリッド樹脂製造例1)ビニル系共重合体とし
て、スチレン1.9mol、2−エチルヘキシルアクリ
レート0.21mol、フマル酸0.15mol、α−
メチルスチレンの2量体0.03mol、ジクミルパー
オキサイド0.05molを滴下ロートに入れる。ま
た、ポリオキシプロピレン(2,2)−2,2−ビス
(4−ヒドロキシフェニル)プロパン7.0mol、ポ
リオキシエチレン(2,2)−2,2−ビス(4−ヒド
ロキシフェニル)プロパン3.0mol、テレフタル酸
3.0mol、無水トリメリット酸2.0mol、フマ
ル酸5.0mol及び酸化ジブチル錫0.2gをガラス
製4リットルの4つ口フラスコに入れ、温度計、撹拌
棒、コンデンサー及び窒素導入管を取りつけマントルヒ
ーター内においた。
【0112】次にフラスコ内を窒素ガスで置換した後、
撹拌しながら徐々に昇温し、145℃の温度で撹拌しつ
つ、先の滴下ロートよりビニル系共重合体の単量体、架
橋剤及び重合開始剤を4時間かけて滴下した。次いで2
00℃に昇温を行い、4時間反応せしめてハイブリッド
樹脂(1)を得た。GPCによる分子量測定と樹脂の酸
価の結果を表1に示す。 (ハイブリッド樹脂製造例2)スチレン3.8mol、
α−メチルスチレンの2量体0.07mol、ジクミル
パーオキサイド0.1molを使用すること以外は、ハ
イブリッド樹脂製造例1と同様に反応させ、ハイブリッ
ド樹脂(2)を得た。GPCによる分子量測定と樹脂の
酸価の結果を表1に示す。 (ハイブリッド樹脂製造例3)フマル酸5.0molに
代えてマレイン酸4.0molとイタコン酸3.5mo
lを使用すること、ジクミルパーオキサイド0.05m
olに代えてイソブチルパーオキサイド0.1molを
使用すること以外は、ハイブリッド樹脂製造例1と同様
に反応させ、ハイブリッド樹脂(3)を得た。GPCに
よる分子量測定と樹脂の酸価の結果を表1に示す。 (ハイブリッド樹脂製造例4)テレフタル酸3.0mo
l、無水トリメリット酸2.0mol、の替わりに無水
トリメリット酸5.2molにしてハイブリッド樹脂製
造例1と同様に反応させ、ハイブリッド樹脂(4)を得
た。GPCによる分子量測定の結果と樹脂の酸価を表1
に示す。 (ポリエステル樹脂製造例1)ポリオキシプロピレン
(2,2)−2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)
プロパン3.6mol、ポリオキシエチレン(2,2)
−2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン
1.6mol、テレフタル酸1.7mol、無水トリメ
リット酸1.1mol、フマル酸2.4mol及び酸化
ジブチル錫0.1gをガラス製4リットルの4つ口フラ
スコに入れ、温度計、撹拌棒、コンデンサー及び窒素導
入管を取りつけマントルヒーター内においた。窒素雰囲
気下で、215℃で5時間反応させ、ポリエステル樹脂
(5)を得た。GPCによる分子量測定と樹脂の酸価の
結果を表1に示す。 (ポリエステル樹脂製造例2)ポリオキシプロピレン
(2,2)−2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)
プロパン1.6mol、ポリオキシエチレン(2,2)
−2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン
3.3mol、テレフタル酸1.6mol、無水トリメ
リット酸0.3mol、フマル酸3.2molのモノマ
ー構成で上記と同様に反応させ、ポリエステル樹脂
(6)を得た。GPCによる分子量測定と樹脂の酸価の
結果を表1に示す。 (ビニル系樹脂の製造例1)スチレン2.2mol、2
−エチルヘキシルアクリレート0.23mol、ジクミ
ルパーオキサイド0.08mol、酸化ジブチル錫3.
2gを、温度計,ステンレス製撹拌棒,流下式コンデン
サー及び窒素導入管を装備した3リットルの4つ口フラ
スコに入れ、マントルヒーター中で、窒素雰囲気にて2
25℃の温度で撹拌しつつ反応させ、ビニル系樹脂
(7)を得た。GPCによる分子量測定と樹脂の酸価の
結果を表1に示す。
【0113】
【表1】 なお、本発明に用いたワックスを表2に記載した。
【0114】
【表2】
【0115】
【実施例1】<1>トナーの作製 以下の方法でトナー1を作製した。 (第一の混練工程) ・ハイブリッド樹脂(1) 60質量部 ・化合物(1)を含有するペースト状顔料 100質量部 (顔料スラリーから水をある程度除去し、ただの一度も
乾燥工程を経ずに得た固形分40質量%の第1のペース
ト状顔料(残りの60質量%は水)) 上記の原材料を上記の処方でまずニーダー型ミキサーに
仕込み、混合しながら非加圧下で昇温させる。最高温度
(ペースト中の溶媒の沸点により必然的に決定される。
この場合は90〜100℃程度)に達した時点で水相中
の顔料が、溶融樹脂相に分配もしくは移行したのを確認
した後、さらに30分間加熱溶融混練させ、ペースト中
の顔料を充分に移行させる。その後、一旦、ミキサーを
停止させ、熱水を排出した後、さらに130℃まで昇温
させ、約30分間加熱溶融混練を行い、顔料を分散させ
るとともに水分を留去した。該工程を終了した後、冷却
させ、混練物を取り出し顔料マスターバッチ1を得た。 ・ハイブリッド樹脂(1) 60質量部 ・化合物(3)を含有するペースト状顔料 100質量部 (顔料スラリーから水をある程度除去し、ただの一度も
乾燥工程を経ずに得た固形分40質量%の第1のペース
ト状顔料(残りの60質量%は水) 上記の材料を用いること以外は、顔料マスターバッチ1
と同様にして、顔料マスターバッチ2を得た。 (第二の混練工程) ・顔料マスターバッチ1(顔料粒子の含有量40質量%) 15.0質量部 ・顔料マスターバッチ2(顔料粒子の含有量40質量%) 1.3質量部 ・ハイブリッド樹脂(1) 90.3質量部 ・ワックス(A) 5.0質量部 ・ジ−ターシャリブチルサリチル酸のアルミニウム化合物:化合物(10) 5.0質量部 上記処方をヘンシェルミキサーにより予備混合を行い、
二軸押出し混練機で温度を100℃に設定し溶融混練
し、冷却後ハンマーミルを用いて約1〜2mm程度に粗
粉砕し、次いでエアージェット方式による微粉砕機で2
0μm以下の粒径に微粉砕した。さらに得られた微粉砕
物を分級して、粒度分布における体積平均径が7.2μ
mになるように選択してトナー粒子(分級品)を得た。
【0116】流動性向上及び帯電特性付与を目的とし
て、i−C49Si(OCH33:25質量部で処理し
た疎水性酸化アルミニウム(BET170m2/g)
を、上記トナー粒子100質量部に対して、1.0質量
部を合せてトナー1とした。 <2>トナーの評価 上記トナー1と、シリコーン樹脂で表面被覆した磁性フ
ェライトキャリア粒子(平均粒径45μm)とを、トナ
ー濃度が7質量%になるように混合し、二成分系現像剤
1とした。
【0117】この二成分系現像剤1を用いて、カラー複
写機CLC−800(キヤノン製)の定着ユニットのオ
イル塗布機構を取り外した改造機を用い、単色モードで
常温低湿環境下(23℃/5%)、高温高湿環境下(3
0℃/80%)で画像面積比率20%のオリジナル原稿
を用いて、1万枚の耐刷試験と常温常湿度環境下(23
℃/60%)で定着試験を行った。さらに定着可能領域
の評価については、定着ユニットを手動で定着温度が設
定できるように改造した。
【0118】1万枚の耐久後でもカブリのないオリジナ
ルを忠実に再現するシアン色画像が得られ、色再現性に
優れていた。複写機内での搬送、現像剤濃度検知も良好
で安定した画像濃度が得られた。定着開始温度は、定着
後の画像を折り曲げても被画像部が剥離しない状態にな
った時の温度のことをさし、トナー1においては120
℃より定着開始した。また、定着温度設定170℃にし
て1万枚の繰り返し複写でも定着ローラーへのオフセッ
トは全く生じなかった。なお、定着ローラーへのオフセ
ットの発生状況は、繰り返し複写後の定着ローラーの表
面を目視により観察することによって行った(高温オフ
セット開始温度)。
【0119】トナーの帯電量の立ち上がりを評価するた
めに高温高湿下(30℃/80%)において1万枚耐久
後、一昼夜放置後帯電量を測定し、前日の帯電量と比較
した。すると、前日の帯電量との差が0.1mC/kg
と良好な立ち上がりを示した。帯電量は以下の方法によ
り測定した。
【0120】図1はトナーの帯電電荷量を測定する装置
の説明図である。底に500メッシュのスクリーン3の
ある金属製の測定容器2に摩擦帯電量を測定しようとす
るトナーとキャリアの質量比1:19の混合物を50〜
100ml容量のポリエチレン製のビンに入れ、5〜1
0分間手で振盪し、該混合物(現像剤)約0.5〜1.
5gを入れ金属製のフタ4をする。このときの測定容器
2全体の質量を秤りW l(g)とする。次に、吸引機1
(測定容器2と接する部分は少なくとも絶縁体)におい
て、吸引口7から吸引し風量調節弁6を調整して真空計
5の圧力を250mmAqとする。この状態で充分、好
ましくは2分間吸引を行いトナーを吸引除去する。
【0121】このときの電位計9の電位をV(ボルト)
とする。ここで8はコンデンサーであり容量をC(μ
F)とする。吸引後の測定容器全体の質量を秤りW
2(g)とする。このトナーの摩擦帯電量(mC/k
g)は下記式の如く計算される。
【0122】
【数4】 カラー複写画像の評価方法として、画像表面のグロス
(光沢度)を測定することにより、カラー画像の良否を
判定する方法がある。すなわち、グロス値が高いほど画
像表面が平滑でつやのある彩度の高いカラー品質と判断
され、逆にグロス値が低いと、くすんだ彩度のとぼし
い、画像表面があれたものと判断される。実施例1にお
いてコントラスト電位300Vでの画像濃度は1.70
(マクベス反射濃度)であり、そのときのグロスは21
%であった。
【0123】グロス(光沢度)の測定には、日本電色社
製PG−3型光沢度計を用いた。測定にあたっては、投
光角度、受光角度をそれぞれ75°に合わせ、0点調整
及び標準板を用い、標準設定の後に試料台の上に白紙を
3枚重ね、その上に前記試料画像を置き測定を行い、標
示部に示される数値を%単位で読みとった。
【0124】得られた画像の色度は目標とするものが得
られた。すなわちa*=−40.2、b*=−50.1
であった。
【0125】トナーの色調は1976年に国際照明委員
会(CIE)で規格された表色系の定義に基づき、定量
的に測定した。その際、画像濃度は1.70に固定し、
a*、b*(a*、b*は色相と彩度を示す色度L*
(明度)を測定した。測定器にはX−Rite社製分光
測色計タイプ938を用い、観察用光源はC光源、視野
角は2°とした。
【0126】さらにトランスペアレンシーフィルムに形
成したカラー画像をオーバーヘッドプロジェクター(O
HP)に投影したOHT画像の透明性も良好なものであ
った。
【0127】上記の実施例におけるOHT画像の透明性
については、市販のオーバーヘッドプロジェクターを用
いて、トランスペアレンシーフィルムに形成したカラー
画像を投影して、以下の評価基準に基づいて評価した。
【0128】(評価基準) A:透明性に優れ、明暗ムラもなく、色再現性も優れ
る。(良) B:若干明暗ムラがあるものの、実用上問題ない。
(可) C:明暗ムラがあり、色再現性に乏しい。(不可) また、このトナーの粘弾性特性は、温度80℃における
貯蔵弾性率(G'80)が5.2×105N/m2であり、
また、温度120〜180℃における貯蔵弾性率(G'
120-180)の最大値が1.3×104、最小値が3.4×
103N/m2となった。
【0129】得られた結果を表4に示す。
【0130】
【実施例2〜4】顔料マスターバッチ1、顔料マスター
バッチ2、ジ−ターシャリブチルサリチル酸のアルミニ
ウム化合物の添加部数以外は実施例1と同様にして表3
に示すように、トナー2〜4を得た。これらのトナーを
実施例1と同様に評価した。評価結果を表4に示す。
【0131】化合物(3)とジ−ターシャリブチルサリ
チル酸のアルミニウム化合物との比率が小さくなると、
トナー2(Wb/Wc=0.02)のように帯電立ち上
がりの効果が小さくなり、またトナー3(Wb/Wc=
0.95)のように大きくなると、黄味が強すぎて青味
の色再現性が若干劣るが、それぞれ実用上全く問題ない
レベルであった。
【0132】またトナー4(Wa+Wb=9.5)では
顔料の添加部数を上げることにより、OHT透明性がや
や劣っているが、実用上問題ないレベルであった。
【0133】
【実施例5、6】顔料マスターバッチ2の顔料として化
合物(4)、(5)を用いること以外は実施例1と同様
にして表3に示すようにトナー5、6を得た。これらの
トナーを実施例1と同様に評価した。評価結果を表4に
示す。
【0134】トナー5は若干黄味が強くなり、反対にト
ナー6は青味が強くなるが、画像形成上全く問題なく色
設計を行うことができた。また帯電量の立ち上がりに関
しても良好であった。
【0135】
【実施例7〜11】メインバインダーを変更すること以
外は実施例1と同様にして表3に示すようにトナー7〜
11を得た。これらのトナーを実施例1と同様に評価し
た。評価結果を表4に示す。
【0136】トナー8は、若干トナーが硬く定着開始温
度が高めだが、耐高温オフセットラチチュードが広がり
実用上問題ない。混色性も問題がなかった。
【0137】トナー9では逆に低温側にラチチュードが
広がっている。トナー10では耐久時の帯電安定性が若
干劣っている傾向が見られたが、帯電の立ち上がりでは
問題なかった。
【0138】
【実施例12、13】芳香族オキシカルボン酸の金属化
合物として、化合物(13)、(14)を使用する以外
は、実施例1と同様にして表3に示すようにトナー1
2、13を得た。これらのトナーを実施例1と同様に評
価した。評価結果を表4に示す。
【0139】帯電の立ち上がりが若干劣るものの実用上
は全く問題がないレベルであった。
【0140】
【実施例14、15】ワックスとしてワックス(B)、
(D)を使用すること以外は実施例1と同様にして表3
に示すようにトナー14、15を得た。これらのトナー
を実施例1と同様に評価した。評価結果を表4に示す。
【0141】それぞれ低温定着性が若干劣るものの、実
用上では全く問題ないレベルであった。
【0142】
【比較例1】顔料マスターバッチ2を添加しないこと以
外は実施例1と同様にして表3に示すようにトナー20
(Wb/Wc=0)を得た。このトナーを実施例1と同
様に評価した。評価結果を表4に示す。
【0143】高温高湿下における帯電立ち上がりが劣っ
ており、帯電量が元の値に立ち上がるまでに現像剤をポ
リ瓶に入れ、100回手振りを行う必要があった。ま
た、鮮やかなシアン色のトナーが得られたものの、プロ
セスインキのシアンの色調と比較すると、大きく青味に
よっていた。青色の再現性は優れるものの赤領域での色
再現性が低下してしまった。すなわち画像濃度1.70
の画像の色度は、a*=−28.0、b*=−50.1
であった。
【0144】
【比較例2】顔料マスターバッチ2の添加部数を多くす
ること以外は実施例1と同様にして表3に示すようにト
ナー21(Wb/Wc=1.2)を得た。このトナーを
実施例1と同様に評価した。評価結果を表4に示す。
【0145】耐久時にトナー飛散が発生し、さらには紙
上カブリも劣悪なものであり、チャージアップする傾向
があった。また、OHT透明性も悪く、明暗ムラがあ
り、色再現性に乏しい画像であった。
【0146】
【比較例3】顔料マスターバッチ1を添加しないこと以
外は実施例1と同様にして表3に示すようにトナー22
を(Wa=0)得た。このトナーを実施例1と同様に評
価した。評価結果を表4に示す。
【0147】帯電的には問題がないものの、プロセスイ
ンキのシアンの色調と比較すると、全く別の色味になっ
ていた。実際にマゼンタとイエローとの色空間を評価し
たが、青色の色域が狭く、使用可能なレベルではなかっ
た。
【0148】
【比較例4】ワックスを添加しないこと以外は実施例1
と同様にして表3に示すようにトナー23を得た。この
トナーを実施例1と同様に評価した。評価結果を表4に
示す。
【0149】定着点がなく、色味の評価は不可能であっ
た。
【0150】
【実施例16、17】メインバインダーを変更すること
以外は実施例1と同様にして表3に示すようにトナー1
6、17を得た。これらのトナーを実施例1と同様に評
価した評価結果を表4に示す。
【0151】トナー16はMw/Mnの大きな樹脂から
なり、その結果80℃におけるG'も大きくなり比較的
硬いトナーとなった。本トナーではOHTの透過性が若
干悪く、また、低温定着性も悪化したが実用上は問題な
いレベルであった。
【0152】またトナー17は、Mw/Mnの小さな樹
脂からなり、その結果120〜180℃におけるG'も
小さい値を示し、定着試験において、低い温度(140
℃)側に定着温度がシフトしたがOHT透明性も良好で実
用上問題はなかった。
【0153】
【実施例18、19】ワックスを変更すること以外は実
施例1と同様にして表3に示すようにトナー18、19
を得た。これらのトナーを実施例1と同様に評価した評
価結果を表4に示す。
【0154】トナー18では低温定着性には優れるが、
耐高温オフセット性は若干悪化していた。しかし、実用
上問題ないレベルであった。
【0155】トナー19はワックスの融点が若干高いた
めに定着温度幅が狭くなっている。しかし、帯電立ち上
がりは良好で実用上問題はなかった。
【0156】
【比較例5】芳香族オキシカルボン酸の金属化合物の変
わりに、ベンジル酸ホウ素化合物を使用する以外は、実
施例1と同様にして表3に示すようにトナー24を得
た。このトナーを実施例1と同様に評価した評価結果を
表4に示す。
【0157】定着性能、保存安定性、帯電性すべてが実
用不可レベルであった。
【0158】
【比較例6】芳香族オキシカルボン酸の金属化合物を添
加しないこと以外は、実施例1と同様にして表3に示す
ようにトナー25を得た。このトナーを実施例1と同様
に評価した評価結果を表4に示す。定着性能、保存安定
性、帯電性すべてが実用不可レベルであった。
【0159】
【表3】
【0160】
【表4】
【0161】
【発明の効果】本発明により、ワックスを添加すること
によっても帯電性の立ち上がりが良好で、充分な摩擦帯
電性を有し、画像品質を高める光沢性が高く、高温オフ
セットが十分に防止され、定着可能温度が広く、現像器
内、すなわち、スリーブ、ブレード、塗布ローラーなど
の部品へのトナー融着がなく、さらにクリーニング性が
良好であり、感光体へのフィルミングをしないトナーを
提供することができる。さらに色調がプロセスインキの
シアンと合っているトナーを提供できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 トナーの帯電量を測定する装置を説明する図
を示す。
【符号の説明】
1 吸引機 2 測定容器 3 スクリーン 4 フタ 5 真空計 6 風量調節弁 7 吸引口 8 コンデンサー 9 電位計
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) G03G 9/08 344 (72)発明者 栢 孝明 東京都大田区下丸子3丁目30番2号 キヤ ノン株式会社内 (72)発明者 速見 一彦 東京都大田区下丸子3丁目30番2号 キヤ ノン株式会社内 Fターム(参考) 2H005 AA01 AA06 AA21 CA02 CA04 CA05 CA06 CA08 CA14 CA22 CA30 DA01 DA06 EA03 EA07 EA10

Claims (10)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 (i)a)ポリエステル樹脂、b)ビニ
    ル系共重合体、c)ポリエステルユニットとビニル系共
    重合体ユニットとを有するハイブリッド樹脂、及びd)
    それらの混合物からなるグループから選択される1種以
    上の結着樹脂; (ii)ワックス; (iii)下記一般式で示される化合物(1); 【化1】 (iv)下記一般式で示される化合物(2); 【化2】 (式中、Xの位置は、フッ素、塩素、臭素から選ばれる
    ハロゲン基で一部又は全て置換されている。) (v)芳香族オキシカルボン酸の金属化合物;とを含有
    し、前記化合物(1)の含有量をWaとし、前記化合物
    (2)の含有量をWbとし、前記芳香族オキシカルボン
    酸の金属化合物の含有量をWcとしたとき、Wa、W
    b、Wcが下記式(1)、(2)を満たすことを特徴と
    するトナー。 【数1】 2≦Wa+Wb≦10、 Wa>0 、Wb>0 式(1) 0.01≦Wb/Wc≦1 式(2) (尚、各含有量は結着樹脂100質量部当たりの質量部
    数を示す。)
  2. 【請求項2】 前記芳香族オキシカルボン酸の金属化合
    物は、前記結着樹脂100質量部に対して、1〜10質
    量部含有することを特徴とする請求項1に記載のトナ
    ー。
  3. 【請求項3】 前記芳香族オキシカルボン酸の金属化合
    物は、芳香族オキシカルボン酸のアルミニウム化合物で
    あることを特徴とする請求項1又は2に記載のトナー。
  4. 【請求項4】 前記ワックスはパラフィンワックスであ
    ることを特徴とする請求項1〜3のいずれか一項に記載
    のトナー。
  5. 【請求項5】 示差熱分析(DSC)測定における吸熱
    曲線において、温度30〜200℃の範囲に1個又は複
    数の吸熱ピークを有し、該吸熱ピーク中の最大吸熱ピー
    クのピーク温度が60〜110℃の範囲にあることを特
    徴とする請求項1〜4のいずれか一項に記載のトナー。
  6. 【請求項6】 前記化合物(2)は、下記一般式で示さ
    れる化合物(3)の顔料であることを特徴とする請求項
    1〜5のいずれか一項に記載のトナー。 【化3】
  7. 【請求項7】 前記化合物(2)は、下記一般式で示さ
    れる化合物(4)の顔料であることを特徴とする請求項
    1〜5のいずれか一項に記載のトナー。 【化4】
  8. 【請求項8】前記化合物(2)は、下記一般式で示され
    る化合物(5)の顔料であることを特徴とする請求項1
    〜5のいずれか一項に記載のトナー。 【化5】
  9. 【請求項9】 トナーの80℃における貯蔵弾性率
    (G'80)が5×104〜1×109N/m2の範囲にあ
    り、120〜180℃における貯蔵弾性率
    (G'120 -180)が1×102〜1×105N/m2の範囲
    にあることを特徴とする請求項1〜8のいずれか一項に
    記載のトナー
  10. 【請求項10】 前記結着樹脂は、酸価が1〜40mg
    KOH/gであることを特徴とする請求項1〜9のいず
    れか一項に記載のトナー。
JP2001278500A 2001-09-13 2001-09-13 シアントナー Expired - Fee Related JP3990886B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2001278500A JP3990886B2 (ja) 2001-09-13 2001-09-13 シアントナー

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2001278500A JP3990886B2 (ja) 2001-09-13 2001-09-13 シアントナー

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2003084479A true JP2003084479A (ja) 2003-03-19
JP3990886B2 JP3990886B2 (ja) 2007-10-17

Family

ID=19102860

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2001278500A Expired - Fee Related JP3990886B2 (ja) 2001-09-13 2001-09-13 シアントナー

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP3990886B2 (ja)

Also Published As

Publication number Publication date
JP3990886B2 (ja) 2007-10-17

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP4757278B2 (ja) カラートナーキット及びフルカラー画像形成方法
JP4387613B2 (ja) マゼンタトナー
EP1467258A2 (en) Color toner
JP4174328B2 (ja) イエロートナー
JP2009271545A (ja) トナーの製造方法
JP2007065446A (ja) トナー及び電子写真装置
JP4280668B2 (ja) フルカラートナーキット
JP3950676B2 (ja) イエロートナー
JP3697070B2 (ja) トナー
JP4498100B2 (ja) イエロートナー
JP2002091084A (ja) トナー及びフルカラー画像形成方法
JP2003280276A (ja) イエロートナー
JP2005106932A (ja) イエロートナー
JP4125210B2 (ja) イエロートナー
JP3990886B2 (ja) シアントナー
JP3927805B2 (ja) イエロートナー
JP2002258535A (ja) 画像形成方法、画像形成装置及びカラートナー
JP2003280265A (ja) 画像形成方法
JP2004170825A (ja) イエロートナー
JP2003084497A (ja) ブラックトナー
JP3943878B2 (ja) トナー
JP2005352131A (ja) カラートナーの製造方法及びカラートナー
JP4566483B2 (ja) トナー
JP2003195569A (ja) 黒色トナー
JP2005010246A (ja) 画像形成方法

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20041210

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20060711

A521 Written amendment

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20060907

A02 Decision of refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A02

Effective date: 20070410

A521 Written amendment

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20070528

A911 Transfer of reconsideration by examiner before appeal (zenchi)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A911

Effective date: 20070615

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20070710

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20070723

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20100727

Year of fee payment: 3

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20100727

Year of fee payment: 3

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20110727

Year of fee payment: 4

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20120727

Year of fee payment: 5

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20120727

Year of fee payment: 5

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20130727

Year of fee payment: 6

LAPS Cancellation because of no payment of annual fees