JP2003082440A - 製造性およびエッチング性に優れた低熱膨張合金薄板 - Google Patents
製造性およびエッチング性に優れた低熱膨張合金薄板Info
- Publication number
- JP2003082440A JP2003082440A JP2002195691A JP2002195691A JP2003082440A JP 2003082440 A JP2003082440 A JP 2003082440A JP 2002195691 A JP2002195691 A JP 2002195691A JP 2002195691 A JP2002195691 A JP 2002195691A JP 2003082440 A JP2003082440 A JP 2003082440A
- Authority
- JP
- Japan
- Prior art keywords
- thermal expansion
- low thermal
- alloy thin
- amount
- present
- Prior art date
- Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
- Pending
Links
Landscapes
- Electrodes For Cathode-Ray Tubes (AREA)
Abstract
(57)【要約】
【課題】 優れた低熱膨張特性および良好なエッチング
性を有し、製造安定性に優れた低熱膨張合金薄板を提供
すること。 【解決手段】 質量%で、Ni:35.0〜37.0
%、Mn:0.01〜0.09%、Si:0.01〜
0.04%、Al:0.01〜0.04%を含有し、残
部が実質的にFeからなる組成とし、Mn/S:20〜
300およびMn+Si+Al≦0.15%を満足し、
20℃から100℃の平均熱膨張係数が1.0×10
−6/K以下とすることにより、製造性およびエッチン
グ性に優れた低熱膨張合金薄板を得る。
性を有し、製造安定性に優れた低熱膨張合金薄板を提供
すること。 【解決手段】 質量%で、Ni:35.0〜37.0
%、Mn:0.01〜0.09%、Si:0.01〜
0.04%、Al:0.01〜0.04%を含有し、残
部が実質的にFeからなる組成とし、Mn/S:20〜
300およびMn+Si+Al≦0.15%を満足し、
20℃から100℃の平均熱膨張係数が1.0×10
−6/K以下とすることにより、製造性およびエッチン
グ性に優れた低熱膨張合金薄板を得る。
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、エッチング加工等
を施して使用されるブラウン管シャドウマスク等の電子
部品用材料に関し、特に製造性およびエッチング性に優
れた低熱膨張合金薄板に関する。
を施して使用されるブラウン管シャドウマスク等の電子
部品用材料に関し、特に製造性およびエッチング性に優
れた低熱膨張合金薄板に関する。
【0002】
【従来の技術】Niを約36%含むFe−Ni合金は室
温付近での熱膨張率が極めて低く、温度変動による寸法
変化を嫌う精密機器、バイメタル、およびコンピュータ
やテレビのブラウン管の構成部品として幅広く使用され
ている。その多くは、室温付近から100℃の平均熱膨
張係数が約1.2〜2.0×10−6/K程度の材料が
使用されている。中でも、ブラウン管シャドウマスク
は、近年、高輝度化と高画質化との要望が強まるととも
に、より低熱膨張特性に優れた材料が求められている。
温付近での熱膨張率が極めて低く、温度変動による寸法
変化を嫌う精密機器、バイメタル、およびコンピュータ
やテレビのブラウン管の構成部品として幅広く使用され
ている。その多くは、室温付近から100℃の平均熱膨
張係数が約1.2〜2.0×10−6/K程度の材料が
使用されている。中でも、ブラウン管シャドウマスク
は、近年、高輝度化と高画質化との要望が強まるととも
に、より低熱膨張特性に優れた材料が求められている。
【0003】従来より、Fe−36%Ni合金において
FeおよびNi以外の元素の含有量を低減するほど熱膨
張率を低減することができることが知られており、例え
ば特許第2694864号公報には、Niを34%以
上、Mnを0.1%以下、Cを0.009%未満、残部
がFeおよび不可避的不純物であり、室温付近から10
0℃の平均熱膨張係数が1×10−6/K未満の低熱膨
張合金薄板が開示されている。
FeおよびNi以外の元素の含有量を低減するほど熱膨
張率を低減することができることが知られており、例え
ば特許第2694864号公報には、Niを34%以
上、Mnを0.1%以下、Cを0.009%未満、残部
がFeおよび不可避的不純物であり、室温付近から10
0℃の平均熱膨張係数が1×10−6/K未満の低熱膨
張合金薄板が開示されている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】しかし、上記の従来技
術に係る低熱膨張合金薄板は、分塊圧延、熱間圧延、冷
間圧延等の製造工程で割れや破断、疵が発生する等、製
造安定性に問題があったり、製造が可能であっても目的
とする低熱膨張特性が安定的に得られなかったり、エッ
チング加工で形状不良や寸法精度の不均一が発生したり
する等種々の問題がある。
術に係る低熱膨張合金薄板は、分塊圧延、熱間圧延、冷
間圧延等の製造工程で割れや破断、疵が発生する等、製
造安定性に問題があったり、製造が可能であっても目的
とする低熱膨張特性が安定的に得られなかったり、エッ
チング加工で形状不良や寸法精度の不均一が発生したり
する等種々の問題がある。
【0005】本発明はかかる事情に鑑みてなされたもの
であって、優れた低熱膨張特性および良好なエッチング
性を有し、製造安定性に優れた低熱膨張合金薄板を提供
することを目的とする。
であって、優れた低熱膨張特性および良好なエッチング
性を有し、製造安定性に優れた低熱膨張合金薄板を提供
することを目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、上記課題
を解決するために、従来技術における問題の原因を調査
した結果、従来技術には記載されていない、以下の知見
を得た。 (1)熱膨張率を低減するためにMn、Si、Alを低
減することは有効であるが、これら強力な硫化物形成元
素や脱酸元素の量を過度に低減すると、固溶Sや酸化物
系介在物が増加し、熱間加工時の割れや破断、冷間圧延
時の割れや疵、エッチング不良につながること。 (2)これらの元素量を適正範囲に制御しない場合に
は、介在物の量が変動し、それが組織形成にも影響を及
ぼし安定して1.0×10−6/K以下の低熱膨張率が
得られないこと。 (3)さらに、Mn、Si、Alの個別の添加量のみな
らず、その合計量、すなわち、Mn+Si+Al量を
0.15%以下に制御することにより、安定して低熱膨
張率が得られること。
を解決するために、従来技術における問題の原因を調査
した結果、従来技術には記載されていない、以下の知見
を得た。 (1)熱膨張率を低減するためにMn、Si、Alを低
減することは有効であるが、これら強力な硫化物形成元
素や脱酸元素の量を過度に低減すると、固溶Sや酸化物
系介在物が増加し、熱間加工時の割れや破断、冷間圧延
時の割れや疵、エッチング不良につながること。 (2)これらの元素量を適正範囲に制御しない場合に
は、介在物の量が変動し、それが組織形成にも影響を及
ぼし安定して1.0×10−6/K以下の低熱膨張率が
得られないこと。 (3)さらに、Mn、Si、Alの個別の添加量のみな
らず、その合計量、すなわち、Mn+Si+Al量を
0.15%以下に制御することにより、安定して低熱膨
張率が得られること。
【0007】本発明は上記知見に基づいてなされたもの
であって、以下の(1)〜(3)を提供する。 (1) 質量%で、Ni:35.0〜37.0%、M
n:0.01〜0.09%、Si:0.01〜0.04
%、Al:0.01〜0.04%を含有し、残部が実質
的にFeからなり、Mn/S:20〜300およびMn
+Si+Al≦0.15%を満足し、20℃から100
℃の平均熱膨張係数が1.0×10−6/K以下である
ことを特徴とする製造性およびエッチング性に優れた低
熱膨張合金薄板。
であって、以下の(1)〜(3)を提供する。 (1) 質量%で、Ni:35.0〜37.0%、M
n:0.01〜0.09%、Si:0.01〜0.04
%、Al:0.01〜0.04%を含有し、残部が実質
的にFeからなり、Mn/S:20〜300およびMn
+Si+Al≦0.15%を満足し、20℃から100
℃の平均熱膨張係数が1.0×10−6/K以下である
ことを特徴とする製造性およびエッチング性に優れた低
熱膨張合金薄板。
【0008】(2) 上記(1)において、質量%で、
O≦0.005%であることを特徴とする製造性および
エッチング性に優れた低熱膨張合金薄板。
O≦0.005%であることを特徴とする製造性および
エッチング性に優れた低熱膨張合金薄板。
【0009】(3) 上記(1)または(2)におい
て、質量%で、S≦0.002%であることを特徴とす
る製造性およびエッチング性に優れた低熱膨張合金薄
板。
て、質量%で、S≦0.002%であることを特徴とす
る製造性およびエッチング性に優れた低熱膨張合金薄
板。
【0010】
【発明の実施の形態】以下、本発明について具体的に説
明する。室温から100℃程度までの環境で使用され、
高い測定精度や動作精度が要求される精密機器や、照射
される電子ビームにより100℃程度まで温度変化が発
生する高輝度、高画質のブラウン管シャドウマスクで
は、20℃から100℃の平均熱膨張係数が1.0×1
0−6/K以下の素材が求められており、本発明ではこ
のような特性を安定して発揮できるように合金薄板の成
分組成を規定した。
明する。室温から100℃程度までの環境で使用され、
高い測定精度や動作精度が要求される精密機器や、照射
される電子ビームにより100℃程度まで温度変化が発
生する高輝度、高画質のブラウン管シャドウマスクで
は、20℃から100℃の平均熱膨張係数が1.0×1
0−6/K以下の素材が求められており、本発明ではこ
のような特性を安定して発揮できるように合金薄板の成
分組成を規定した。
【0011】すなわち、本発明における合金薄板の成分
組成は、質量%で、Ni:35.0〜37.0%、M
n:0.01〜0.09%、Si:0.01〜0.04
%、Al:0.01〜0.04%であり、Mn/S:2
0〜300およびMn+Si+Al≦0.15%を満足
する。また、望ましくはO≦0.005%、および/ま
たは、S≦0.002%の範囲とする。以下、各成分を
このように規定した理由について説明する。
組成は、質量%で、Ni:35.0〜37.0%、M
n:0.01〜0.09%、Si:0.01〜0.04
%、Al:0.01〜0.04%であり、Mn/S:2
0〜300およびMn+Si+Al≦0.15%を満足
する。また、望ましくはO≦0.005%、および/ま
たは、S≦0.002%の範囲とする。以下、各成分を
このように規定した理由について説明する。
【0012】Niは、低熱膨張性を得るために必須の元
素であり、20℃〜100℃の平均熱膨張係数を1.0
×10−6/K以下とするために、その量を35.0%
以上37.0%以下とした。
素であり、20℃〜100℃の平均熱膨張係数を1.0
×10−6/K以下とするために、その量を35.0%
以上37.0%以下とした。
【0013】Mn、Si、Alは、いずれも強力な脱酸
元素であり、これらの元素により酸化物系介在物の生成
を抑えることによって、熱間加工や冷間圧延における破
断、割れや疵の発生を防止すること、エッチング不良を
防止すること、さらには、不均一な組織形成を防止して
所望の低熱膨張性を得ることおよびその製造ごとの変動
を低減することができる。これらの効果を得るために
は、Mn、Si、Alのそれぞれを少なくとも0.01
%添加する必要がある。その一方で、過剰に添加すると
薄板の製造工程における熱処理で鋼板表層において優先
酸化されて微細酸化物を形成しエッチング性を劣化させ
たり、ブラウン管シャドウマスクのように電子線散乱防
止や熱放散性増加を目的として材料表面に酸化膜を形成
させて使用する場合に緻密で黒色度の高い被膜形成を阻
害する原因となる。さらに、Mn、Si、Alは熱膨張
率を増加させる効果も高い。したがって、被膜形成阻害
を防止し、低熱膨張性を確保するために、それぞれ0.
09%以下、0.04%以下、0.04%以下とする必
要がある。また、低熱膨張を得るためには、Mn、S
i、Alを単独で規定するのみならず、これらを合計で
規定する必要がある。図1は、後述する実施例のデータ
に基づいて、横軸にMn+Si+Al量をとり、縦軸に
20〜100℃の平均熱膨張係数をとって、これらの関
係を示す図であるが、Mn+Si+Al量が0.15%
以下のときに熱膨張係数が1.0×10− 6/K以下と
なることがわかる。すなわち、熱膨張係数を1.0×1
0−6/K以下とするためにはMn、Si、Alの合計
量を0.15%以下に規制する必要がある。以上によ
り、Mnは0.01%以上0.09%以下、Siは0.
01%以上0.04%以下、Alは0.01%以上0.
04%以下とし、Mn+Si+Al≦0.15%を満足
することとした。
元素であり、これらの元素により酸化物系介在物の生成
を抑えることによって、熱間加工や冷間圧延における破
断、割れや疵の発生を防止すること、エッチング不良を
防止すること、さらには、不均一な組織形成を防止して
所望の低熱膨張性を得ることおよびその製造ごとの変動
を低減することができる。これらの効果を得るために
は、Mn、Si、Alのそれぞれを少なくとも0.01
%添加する必要がある。その一方で、過剰に添加すると
薄板の製造工程における熱処理で鋼板表層において優先
酸化されて微細酸化物を形成しエッチング性を劣化させ
たり、ブラウン管シャドウマスクのように電子線散乱防
止や熱放散性増加を目的として材料表面に酸化膜を形成
させて使用する場合に緻密で黒色度の高い被膜形成を阻
害する原因となる。さらに、Mn、Si、Alは熱膨張
率を増加させる効果も高い。したがって、被膜形成阻害
を防止し、低熱膨張性を確保するために、それぞれ0.
09%以下、0.04%以下、0.04%以下とする必
要がある。また、低熱膨張を得るためには、Mn、S
i、Alを単独で規定するのみならず、これらを合計で
規定する必要がある。図1は、後述する実施例のデータ
に基づいて、横軸にMn+Si+Al量をとり、縦軸に
20〜100℃の平均熱膨張係数をとって、これらの関
係を示す図であるが、Mn+Si+Al量が0.15%
以下のときに熱膨張係数が1.0×10− 6/K以下と
なることがわかる。すなわち、熱膨張係数を1.0×1
0−6/K以下とするためにはMn、Si、Alの合計
量を0.15%以下に規制する必要がある。以上によ
り、Mnは0.01%以上0.09%以下、Siは0.
01%以上0.04%以下、Alは0.01%以上0.
04%以下とし、Mn+Si+Al≦0.15%を満足
することとした。
【0014】また、Mnは強力な硫化物形成元素とし
て、熱間加工で粒界脆化をもたらすSを硫化物として固
定することによって熱間加工性を改善し、分塊圧延、鍛
造、熱間圧延等における割れや破断、割れた部分が酸化
されることにより発生する各種欠陥を防止する働きがあ
る。よって、熱間加工性を確保する観点から、鋼中のS
に対するMnの比率Mn/Sを20以上とした。一方、
Mn/Sが300を超えて高くなるとMnが0.09%
以下であっても過剰なMnにより低熱膨張性が確保でき
なくなるためMn/Sを300以下とした。
て、熱間加工で粒界脆化をもたらすSを硫化物として固
定することによって熱間加工性を改善し、分塊圧延、鍛
造、熱間圧延等における割れや破断、割れた部分が酸化
されることにより発生する各種欠陥を防止する働きがあ
る。よって、熱間加工性を確保する観点から、鋼中のS
に対するMnの比率Mn/Sを20以上とした。一方、
Mn/Sが300を超えて高くなるとMnが0.09%
以下であっても過剰なMnにより低熱膨張性が確保でき
なくなるためMn/Sを300以下とした。
【0015】Oは、製鋼工程で酸化物を形成して熱間加
工での割れや冷間圧延での疵発生、エッチング不良発生
の原因になるばかりでなく、薄板の製造工程やそれ以降
の熱処理においても結晶粒成長性を阻害するなど組織形
成に影響を与え、安定して低熱膨張性が得られなくなる
原因にもなるため、望ましい範囲を0.005%以下と
した。
工での割れや冷間圧延での疵発生、エッチング不良発生
の原因になるばかりでなく、薄板の製造工程やそれ以降
の熱処理においても結晶粒成長性を阻害するなど組織形
成に影響を与え、安定して低熱膨張性が得られなくなる
原因にもなるため、望ましい範囲を0.005%以下と
した。
【0016】Sは、熱間加工を行う温度域において粒界
脆化をもたらすため、分塊圧延、鍛造、熱間圧延におい
て、割れや破断の原因となる。また、Sが過剰に存在す
るとMn等で固定しきれないSが増加するとともに、偏
析の強い部分で熱間加工性やエッチング性が大きく低下
する原因にもなるため、望ましい範囲を0.002%以
下とした。
脆化をもたらすため、分塊圧延、鍛造、熱間圧延におい
て、割れや破断の原因となる。また、Sが過剰に存在す
るとMn等で固定しきれないSが増加するとともに、偏
析の強い部分で熱間加工性やエッチング性が大きく低下
する原因にもなるため、望ましい範囲を0.002%以
下とした。
【0017】次に、本発明の合金薄板の製造方法につい
て説明する。本発明の合金薄板は、通常実施されている
溶製、精錬、鋳造、熱間圧延、冷間圧延、焼鈍により製
造することができる。例えば、上記成分組成を有する合
金を溶製し、連続鋳造法または造塊法により、厚さ10
0〜400mmのスラブとする。この際、鋳造塊または
スラブについて1050℃以上で十分な均質化熱処理を
行うか、または鋳造処理により偏析を低減することが望
ましい。次いで、800℃以上で熱間圧延を行い、厚さ
2〜4mmの鋼板とし、さらに冷間圧延および焼鈍を1
回から複数回施すことにより、所望の薄板とする。
て説明する。本発明の合金薄板は、通常実施されている
溶製、精錬、鋳造、熱間圧延、冷間圧延、焼鈍により製
造することができる。例えば、上記成分組成を有する合
金を溶製し、連続鋳造法または造塊法により、厚さ10
0〜400mmのスラブとする。この際、鋳造塊または
スラブについて1050℃以上で十分な均質化熱処理を
行うか、または鋳造処理により偏析を低減することが望
ましい。次いで、800℃以上で熱間圧延を行い、厚さ
2〜4mmの鋼板とし、さらに冷間圧延および焼鈍を1
回から複数回施すことにより、所望の薄板とする。
【0018】
【実施例】以下、本発明の合金薄板をブラウン管シャド
ウマスクの素材として使用する場合の実施例について説
明する。表1に示す成分組成のNo.1〜21の合金を
溶製し、分塊圧延、熱間圧延により熱延鋼板とし、さら
に酸洗を施した後、冷間圧延と焼鈍、必要に応じてテン
ションレベラー処理や歪取焼鈍を施して、それぞれ0.
1mmおよび0.2mmの薄板を作製した。各合金から
の薄板の製造性について、問題なく製造できたものにつ
いては○、破断や疵が生じたものについては×と評価
し、その評価結果を表2に示す。
ウマスクの素材として使用する場合の実施例について説
明する。表1に示す成分組成のNo.1〜21の合金を
溶製し、分塊圧延、熱間圧延により熱延鋼板とし、さら
に酸洗を施した後、冷間圧延と焼鈍、必要に応じてテン
ションレベラー処理や歪取焼鈍を施して、それぞれ0.
1mmおよび0.2mmの薄板を作製した。各合金から
の薄板の製造性について、問題なく製造できたものにつ
いては○、破断や疵が生じたものについては×と評価
し、その評価結果を表2に示す。
【0019】以上のようにして得られた薄板について、
850℃で15minの熱処理を施した後に光干渉式熱
膨張計によって20℃から100℃の平均熱膨張係数を
測定し、熱膨張特性を評価した。この評価では、各合金
について10個ずつ測定してその最大値を評価するとと
もに、最大値と最小値との差が0.5×10−6/Kを
超えるものは×評価とした。各合金の評価結果を表2に
併せて示す。
850℃で15minの熱処理を施した後に光干渉式熱
膨張計によって20℃から100℃の平均熱膨張係数を
測定し、熱膨張特性を評価した。この評価では、各合金
について10個ずつ測定してその最大値を評価するとと
もに、最大値と最小値との差が0.5×10−6/Kを
超えるものは×評価とした。各合金の評価結果を表2に
併せて示す。
【0020】また、上記の薄板のエッチング性を評価し
た。具体的には、上記薄板表面に開孔径90μmの円型
の孔を多数配したレジスト膜を形成し、液温40℃以
上、濃度40%以上の塩化第二鉄液を30〜50MPa
の圧力で噴射して、薄板に直径100〜200μmの孔
をエッチング穿孔し、各条件について100個の孔に関
して孔形状の異常の有無と、孔径のバラツキとを評価し
た。孔径のバラツキは平均径に対する寸法精度で評価
し、孔形状の真円度が低いもの、または、孔径のバラツ
キが寸法精度で±3%を超えるものは、×評価とした。
各合金の評価結果を表2に併せて示す。
た。具体的には、上記薄板表面に開孔径90μmの円型
の孔を多数配したレジスト膜を形成し、液温40℃以
上、濃度40%以上の塩化第二鉄液を30〜50MPa
の圧力で噴射して、薄板に直径100〜200μmの孔
をエッチング穿孔し、各条件について100個の孔に関
して孔形状の異常の有無と、孔径のバラツキとを評価し
た。孔径のバラツキは平均径に対する寸法精度で評価
し、孔形状の真円度が低いもの、または、孔径のバラツ
キが寸法精度で±3%を超えるものは、×評価とした。
各合金の評価結果を表2に併せて示す。
【0021】
【表1】
【0022】
【表2】
【0023】表2に示すように、本発明例のNo.1〜
10においては、いずれも熱間圧延や冷間圧延における
割れや破断の発生がなく製造性が良好であり、また、エ
ッチング性も良好であるとともに、優れた低熱膨張特性
が得られていた。これに対して、比較例であるNo.1
1〜21は、いずれかの特性が劣っていた。すなわち、
No.11においては、Mn量、Si量、Al量はいず
れも本発明範囲内にあるものの、その合計量であるMn
+Si+Alの値が本発明範囲を超えたため、低熱膨張
性が劣っており、No.12においては、Mn量、Si
量、Mn+Si+Alの値およびMn/Sの割合が本発
明範囲を超えたためやはり低熱膨張性が劣っていた。N
o.13においては、Mn量およびMn/Sの割合が本
発明範囲よりも低いため熱間圧延で割れ、破断が発生
し、製造性が劣っていた。No.14においてはMn量
およびMn+Si+Alの値が本発明範囲を超えたた
め、No.15においてはSi量およびMn+Si+A
lの値が本発明範囲を超えたため、いずれも低熱膨張性
が劣っていた。No.16においてはSi量およびAl
量が本発明範囲よりも低いため、熱間圧延で割れ、破断
が発生し、製造性が劣っていた。No.17においては
Si量およびAl量が本発明範囲よりも低く、No.1
8においてはAl量が本発明範囲よりも低いため、いず
れも冷間圧延で疵が発生し、製造性が劣っていた。ま
た、製造できた薄板についても熱膨張係数のバラツキが
大きく、エッチングの孔径のバラツキも大きくなった。
No.19においてはAl量が本発明範囲を超えるため
低熱膨張性、エッチング性ともに劣っていた。No.2
0においてはNi量が本発明範囲を超えるため、No.
21においてはNi量が本発明範囲よりも低いとともに
Si量が本発明範囲よりも高いため、いずれも低熱膨張
性が劣っていた。
10においては、いずれも熱間圧延や冷間圧延における
割れや破断の発生がなく製造性が良好であり、また、エ
ッチング性も良好であるとともに、優れた低熱膨張特性
が得られていた。これに対して、比較例であるNo.1
1〜21は、いずれかの特性が劣っていた。すなわち、
No.11においては、Mn量、Si量、Al量はいず
れも本発明範囲内にあるものの、その合計量であるMn
+Si+Alの値が本発明範囲を超えたため、低熱膨張
性が劣っており、No.12においては、Mn量、Si
量、Mn+Si+Alの値およびMn/Sの割合が本発
明範囲を超えたためやはり低熱膨張性が劣っていた。N
o.13においては、Mn量およびMn/Sの割合が本
発明範囲よりも低いため熱間圧延で割れ、破断が発生
し、製造性が劣っていた。No.14においてはMn量
およびMn+Si+Alの値が本発明範囲を超えたた
め、No.15においてはSi量およびMn+Si+A
lの値が本発明範囲を超えたため、いずれも低熱膨張性
が劣っていた。No.16においてはSi量およびAl
量が本発明範囲よりも低いため、熱間圧延で割れ、破断
が発生し、製造性が劣っていた。No.17においては
Si量およびAl量が本発明範囲よりも低く、No.1
8においてはAl量が本発明範囲よりも低いため、いず
れも冷間圧延で疵が発生し、製造性が劣っていた。ま
た、製造できた薄板についても熱膨張係数のバラツキが
大きく、エッチングの孔径のバラツキも大きくなった。
No.19においてはAl量が本発明範囲を超えるため
低熱膨張性、エッチング性ともに劣っていた。No.2
0においてはNi量が本発明範囲を超えるため、No.
21においてはNi量が本発明範囲よりも低いとともに
Si量が本発明範囲よりも高いため、いずれも低熱膨張
性が劣っていた。
【0024】
【発明の効果】以上説明したように、本発明によれば、
分塊圧延、熱間圧延、冷間圧延等の製造工程で割れや破
断、疵が発生することがなく安定的に製造することがで
き、エッチング性が良好であるとともに、優れた低熱膨
張特性を有する低熱膨張合金薄板を得ることができる。
分塊圧延、熱間圧延、冷間圧延等の製造工程で割れや破
断、疵が発生することがなく安定的に製造することがで
き、エッチング性が良好であるとともに、優れた低熱膨
張特性を有する低熱膨張合金薄板を得ることができる。
【図1】Mn+Si+Al量と20〜100℃の平均熱
膨張係数との関係を示すグラフ。
膨張係数との関係を示すグラフ。
─────────────────────────────────────────────────────
フロントページの続き
(72)発明者 冨田 邦和
東京都千代田区丸の内一丁目1番2号 日
本鋼管株式会社内
(72)発明者 村田 宰一
東京都千代田区丸の内一丁目1番2号 日
本鋼管株式会社内
(72)発明者 飯塚 俊治
東京都千代田区丸の内一丁目1番2号 日
本鋼管株式会社内
(72)発明者 松岡 秀樹
東京都千代田区丸の内一丁目1番2号 日
本鋼管株式会社内
Fターム(参考) 5C031 EE05 EH04 EH05
Claims (3)
- 【請求項1】 質量%で、Ni:35.0〜37.0
%、Mn:0.01〜0.09%、Si:0.01〜
0.04%、Al:0.01〜0.04%を含有し、残
部が実質的にFeからなり、Mn/S:20〜300お
よびMn+Si+Al≦0.15%を満足し、20℃か
ら100℃の平均熱膨張係数が1.0×10−6/K以
下であることを特徴とする製造性およびエッチング性に
優れた低熱膨張合金薄板。 - 【請求項2】 質量%で、O≦0.005%であること
を特徴とする請求項1に記載の製造性およびエッチング
性に優れた低熱膨張合金薄板。 - 【請求項3】 質量%で、S≦0.002%であること
を特徴とする請求項1または請求項2に記載の製造性お
よびエッチング性に優れた低熱膨張合金薄板。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2002195691A JP2003082440A (ja) | 2001-07-05 | 2002-07-04 | 製造性およびエッチング性に優れた低熱膨張合金薄板 |
Applications Claiming Priority (3)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2001204212 | 2001-07-05 | ||
JP2001-204212 | 2001-07-05 | ||
JP2002195691A JP2003082440A (ja) | 2001-07-05 | 2002-07-04 | 製造性およびエッチング性に優れた低熱膨張合金薄板 |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JP2003082440A true JP2003082440A (ja) | 2003-03-19 |
Family
ID=26618166
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP2002195691A Pending JP2003082440A (ja) | 2001-07-05 | 2002-07-04 | 製造性およびエッチング性に優れた低熱膨張合金薄板 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP2003082440A (ja) |
-
2002
- 2002-07-04 JP JP2002195691A patent/JP2003082440A/ja active Pending
Similar Documents
Publication | Publication Date | Title |
---|---|---|
US5252151A (en) | Fe-Ni alloy sheet for shadow mask having a low silicon segregation and method for manufacturing same | |
WO2000077269A1 (fr) | Materiau a base de fe-ni pour masque perfor | |
JP2871414B2 (ja) | プレス成形性に優れたシャドウマスク用合金薄板およびその製造方法 | |
JPH0826437B2 (ja) | シャドウマスク用Fe―Ni合金薄板およびその製造方法 | |
JP2003082440A (ja) | 製造性およびエッチング性に優れた低熱膨張合金薄板 | |
JP3327903B2 (ja) | Fe−Ni系シャドウマスク用材料 | |
KR100519615B1 (ko) | 저열팽창 합금박판 및 이를 이용한 새도우 마스크 | |
JPH07116558B2 (ja) | シャドウマスク用Fe―Ni合金薄板およびその製造方法 | |
JP3348565B2 (ja) | 脱脂性に優れた電子部品用Fe−Ni系合金薄板ならびにFe−Ni−Co系合金薄板の製造方法 | |
JPH0762217B2 (ja) | シャドウマスク用Fe―Ni合金薄板およびその製造方法 | |
JP2929881B2 (ja) | エッチング加工性に優れたシャドウマスク用金属薄板 | |
JP3584209B2 (ja) | シャドウマスク素材用スラブ、そのスラブの製造方法、およびすじむら品位および表面品質に優れたシャドウマスク素材の製造方法 | |
JP3336691B2 (ja) | エッチング加工性に優れた電子用合金薄板 | |
JP2002030389A (ja) | エッチング穿孔性に優れたFe−Ni系合金シャドウマスク用素材 | |
JPH11269609A (ja) | 電子部品用Fe−Ni系合金薄板 | |
JP3360033B2 (ja) | シャドウマスク用Fe−Ni合金及びその製造方法 | |
KR20040045877A (ko) | 내식성이 우수한 섀도우 마스크 소재용 FeNi계 합금및 섀도우 마스크 재료 | |
JP3288656B2 (ja) | Fe−Ni系シャドウマスク用材料 | |
JPH07116559B2 (ja) | シャドウマスク用Fe―Ni合金薄板およびその製造方法 | |
JP2795028B2 (ja) | エッチング加工性に優れたシャドウマスク用金属薄板 | |
JP3327902B2 (ja) | Fe−Ni系シャドウマスク用材料 | |
JPH1150144A (ja) | 高精細エッチング加工に適した電子部品用低熱膨張合金薄板およびその製造方法 | |
JPH1180839A (ja) | スジむら抑制効果に優れた電子部品用低熱膨張合金薄板の製造方法 | |
JPH0762495A (ja) | エッチング加工性に優れた電子機器用合金薄板 | |
JP3509643B2 (ja) | 薄板化した後のエッチング性に優れた低熱膨張合金鋼スラブおよびその製造方法 |
Legal Events
Date | Code | Title | Description |
---|---|---|---|
A621 | Written request for application examination |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621 Effective date: 20050324 |
|
A977 | Report on retrieval |
Effective date: 20070112 Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007 |
|
A131 | Notification of reasons for refusal |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131 Effective date: 20070206 |
|
A02 | Decision of refusal |
Effective date: 20070717 Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A02 |