JP2003082420A - 亜鉛精鉱浸出法および浸出装置 - Google Patents
亜鉛精鉱浸出法および浸出装置Info
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Abstract
備、硫酸回収設備、独立した二価の鉄イオンの酸化設備
等の多くの設備が必要であり、さらに、亜鉛の浸出に多
くの工程が必要で長時間を要し、浸出時間の短縮、設備
費の削減が求められる。 【解決手段】 オートクレーブ中に遊離硫酸と二価の鉄
イオンとを含有する液と亜鉛精鉱とを装入したのち加圧
雰囲気内で酸素ガスを供給し90〜120℃の温度にす
ることによって液中の二価の鉄イオンを酸化して三価の
鉄イオン濃度を2〜60g/Lにするとともに亜鉛精鉱
の加圧浸出を同時に一工程中で行う。さらに、加圧浸出
後のスラリーをボールミル等の粉砕機を用いて、浸出処
理を受けて亜鉛精鉱の粒子表面に副生した単体硫黄を剥
離して浸出する磨鉱浸出工程を行い、次いでこの磨鉱浸
出後のスラリーについて再度上記加圧浸出を行う。
Description
金、銀等の有価金属元素を含有する硫化物である亜鉛精
鉱(単に、亜鉛精鉱という。)から亜鉛、更には鉛、
金、銀等の有価金属元素および副生する単体硫黄(単
に、硫黄という。)を回収する湿式亜鉛製錬法における
亜鉛精鉱の浸出に関するものである。
しては、特許公報第2856933号および特公平6−
43619号に開示された方法が知られている。まず、
特許公報第2856933号によれば、次に述べるよう
な方法を用いて亜鉛精鉱を処理している。すなわち、亜
鉛精鉱の浸出自体が二段階の工程で行われるものであっ
て、亜鉛精鉱を浸出に先立ってまず焙焼して亜鉛カ焼物
(焼鉱)を生成後、中性浸出を行う。次いで電解処理工
程において得られた戻し酸を用いて強酸浸出を行い、未
浸出亜鉛精鉱及び焙焼により生成した難溶性のジンクフ
ェライトを溶解する。亜鉛の浸出に必要な三価の鉄(第
二鉄ということがある。)イオンはジンクフェライトの
分解によって生じる鉄量だけでは不十分のため、浸出後
において液中の二価の鉄(第一鉄ということがある。)
イオンを酸化することで再利用するという方法により浸
出を行っている。この結果90〜95℃において6〜1
0時間かけて99%前後の亜鉛回収率を達成している。
また、浸出時に生成する残渣は、溶鉱炉を用いて乾式冶
金処理して有価金属を回収するか、または浸出残渣を浮
選にかけて有価金属を濃縮し回収している。
ている亜鉛精鉱の処理方法は、亜鉛精鉱の浸出工程自体
が少なくとも二段階以上の工程からなる方法であり、ま
ず亜鉛精鉱を微粉砕して微粒化した後、第1段階浸出で
は、温度125〜160℃、最終遊離硫酸濃度20〜6
0g/L、第二鉄イオン濃度1〜5g/Lとなるように酸
素圧をかけた状態で加圧浸出を行い、亜鉛を一旦不完全
浸出する。その後の第2段階浸出では、大気圧下におい
て、電解処理工程で発生する戻り酸を過剰に用い、遊離
硫酸濃度60〜160g/L、第二鉄イオン濃度2〜3
g/Lとなるように酸素を供給した加圧状態で浸出を行
い、硫酸亜鉛溶液と浸出残渣を形成させる。この際形成
される残渣には残留亜鉛、銅、鉄、大部分の鉛及び貴金
属が含まれているので、浮選により分離回収を実施す
る。
は、湿式亜鉛製錬の既存の焙焼−浸出−電解工程への組
み込みが可能であり、かつ既存の設備の増強が比較的少
なくて済むという利点があった。また、亜鉛精鉱からの
亜鉛回収率も比較的高く、かつ鉛、貴金属等有価金属元
素の回収も行うことが可能であるというすぐれた点があ
る。しかし、特許公報第2856933号に開示された
方法では焙焼設備、硫酸回収設備、さらに、二価の鉄イ
オンの酸化設備が別途必要であって建設費が高いという
問題と、亜鉛を液中へ完全に浸出するのに要する時間が
長いという問題とがあり、一方、特公平6−43619
号に開示された方法では微粉砕工程を要すること、浸出
工程自体が多段階になること、浸出温度が高くコスト高
であること、また高い亜鉛浸出率が得られず、さらに亜
鉛精鉱の浸出によって副生された硫黄が高温の浸出液中
で溶融してしまい亜鉛精鉱からの亜鉛の浸出反応を妨げ
て浸出時間が長く、また、浸出率が低くなる等の問題を
抱えていた。
点を解決するために本発明者らは種々の検討を重ねた結
果、加圧雰囲気中において酸素を供給して遊離硫酸と二
価の鉄イオンとを含有する液を酸化して鉄含有酸性溶液
を得ること、次いでこの鉄含有酸性溶液で亜鉛精鉱を浸
出することまたはこの加圧雰囲気中で引き続き亜鉛精鉱
を浸出することによって液中の二価の鉄イオンの酸化と
亜鉛精鉱の加圧浸出を一工程中で行うこと、その後磨鉱
しながら浸出したのち、再度、鉄含有酸性溶液で浸出し
または加圧雰囲気中で再度酸化浸出することによって亜
鉛精鉱中の亜鉛、また同時に、カドミウム、銅等の浸出
速度および浸出率が飛躍的に向上することを見いだした
ものである。さらに、この浸出法を実施するに当たっ
て、オートクレーブ等の加圧槽を用い、酸素ガス供給
口、鉄含有酸性溶液または浸出されたスラリーの抜き出
し口等を槽内の所定個所に設けて酸素ガスを供給して加
圧処理することにより、二価の鉄イオンの酸化反応速度
が向上することによって、亜鉛精鉱の浸出反応速度、浸
出率とも向上させることができ、浸出装置の規模も大幅
に低コスト化することに成功した。
気中において遊離硫酸と鉄イオンとを含有する液を酸化
し鉄含有酸性溶液を得る加圧酸化工程と、該鉄含有酸性
溶液中において亜鉛精鉱を磨鉱し該亜鉛精鉱中の亜鉛を
浸出する磨鉱浸出工程とからなることを特徴とする亜鉛
精鉱浸出法;第2に、加圧酸化雰囲気中において遊離硫
酸と鉄イオンとを含有する液を酸化し得られた鉄含有酸
性溶液によって亜鉛精鉱中の亜鉛を浸出する加圧酸化浸
出工程と、該加圧酸化浸出によって生じたスラリーを磨
鉱し該スラリー中の亜鉛を浸出する磨鉱浸出工程とから
なることを特徴とする亜鉛精鉱浸出法;第3に、加圧酸
化雰囲気中において遊離硫酸と鉄イオンとを含有する液
を酸化し鉄含有酸性溶液を得る加圧酸化工程と、該鉄含
有酸性溶液によって亜鉛精鉱中の亜鉛を浸出する浸出工
程と、該浸出によって生じたスラリーを磨鉱し該スラリ
ー中の亜鉛を浸出する磨鉱浸出工程とからなることを特
徴とする亜鉛精鉱浸出法;第4に、前記磨鉱浸出によっ
て生じたスラリーを前記鉄含有酸性溶液中において磨鉱
し該スラリー中の亜鉛を浸出する再磨鉱浸出工程を有す
る、第1または3記載の亜鉛精鉱浸出法;第5に、加圧
酸化雰囲気中において前記磨鉱浸出によって生じたスラ
リーを酸化して再生した鉄含有酸性溶液によって該スラ
リー中の亜鉛を浸出する再加圧酸化浸出工程を有する、
第2記載の亜鉛精鉱浸出法;第6に、前記再加圧酸化浸
出によって生じたスラリーを磨鉱し該スラリー中の亜鉛
を浸出する再磨鉱浸出工程を有する、第5記載の亜鉛精
鉱浸出法;第7に、前記加圧酸化を90℃以上の液温で
行う、第1、3または4記載の亜鉛精鉱浸出法;第8
に、前記加圧酸化浸出、再加圧酸化浸出を90〜120
℃の液温で行う、第2、5または6記載の亜鉛精鉱浸出
法;第9に、前記浸出終了時のスラリー中の遊離硫酸濃
度が2g/L以上である、第1〜8のいずれかに記載の
亜鉛精鉱浸出法;第10に、前記鉄含有酸性溶液中の三
価の鉄イオン濃度が2g/L以上である、第1〜9のい
ずれかに記載の亜鉛精鉱浸出法;第11に、少なくとも
遊離硫酸と鉄イオンとを含有する液が内部に装入される
加圧槽内において撹拌機下方に該槽外からの酸素ガス供
給配管の酸素ガス供給口が開口され、該液の反応によっ
て生じた鉄含有酸性溶液またはスラリーの該槽外への排
出配管の抜き出し口が該槽内下方に開口されたことを特
徴とする亜鉛精鉱浸出装置、を提供するものである。
囲気中において、亜鉛電解処理工程で発生する遊離硫酸
濃度が好ましくは150〜200g/L の電解工程戻り
酸および鉄を除去した後に発生する亜鉛溶液等を用いて
調製された遊離硫酸と鉄イオンとを含有する液が酸化さ
れ、液温が好ましくは90℃以上、さらに好ましくは9
0〜120℃まで昇温させて酸化して鉄含有酸性溶液を
得る。この鉄含有酸性溶液によって引き続き加圧雰囲気
中または大気雰囲気中で亜鉛精鉱を浸出する。加圧雰囲
気中の液温を90℃以上に昇温させることによって鉄イ
オンの酸化速度を向上させることができる。加圧雰囲気
中で液の酸化のほかに亜鉛精鉱の浸出も行う場合は、液
温を90〜120℃に昇温させることによって鉄イオン
の酸化速度を向上させながら亜鉛精鉱の浸出によって副
生する硫黄の溶融を防止でき亜鉛精鉱中の亜鉛の浸出
率、浸出速度とも向上させることができる。さらに、浸
出温度として90〜120℃を採用した場合には、液中
のFe、Cuの再沈殿が起こることはなく、これら金属
の回収率向上と反応時間の短縮を両立できる。ここで、
浸出反応は以下の通りである。 ZnS+Fe2(SO4)3 → ZnSO4+2FeSO4+S・・A式 A式の反応を促進するために必要な三価の鉄イオンは、
処理する亜鉛精鉱中の鉄を用いるが、この場合に浸出時
の液中の三価の鉄イオン濃度は2g/L以上、好ましく
は2〜60g/Lの範囲、さらに好ましくは2〜15g
/Lの範囲である。三価の鉄イオン濃度が2g/L未満
ではA式の反応速度が不十分であり、60g/L以上で
は酸化効果が飽和し、また工業的ではない。また、亜鉛
精鉱中の銅、カドミウム等については上記亜鉛と同様に
浸出される。
が、液温120℃以下で亜鉛精鉱が浸出された場合は浸
出反応により副生する硫黄が溶融しないものの未浸出亜
鉛精鉱粒子の表面に多少付着するために浸出反応界面が
多少減少し、その結果その後の浸出反応速度が低下し、
亜鉛精鉱中の全ての亜鉛を浸出させるためには多大の時
間を要するという問題がある。この問題を解決するにあ
たって本発明では、A式の反応で副生され、亜鉛精鉱粒
子表面に付着した硫黄を剥離または分離させるためにボ
ールミル等の粉砕機を用いて、亜鉛精鉱浸出後のスラリ
ーについて磨鉱を行う。磨鉱に使用する粉砕機は、亜鉛
精鉱の粒子表面の硫黄を剥離または分離する目的に適す
る装置であれば、ボールミルに限定されない。このよう
な粉砕機には、例えばロッドミル、タワーミル、振動ミ
ル、アトリションミル等がある。また、磨鉱により亜鉛
精鉱が微細化され比表面積が増えるためさらに磨鉱後の
スラリーの浸出が促進されることになる。亜鉛精鉱およ
び磨鉱後のスラリーの粒度は、浸出の時間を短縮するた
めには小さい方が望ましく、好ましくはメジアン径が1
〜100μm、90%粒子径が50〜1000μmであ
る。この範囲より細かいと亜鉛精鉱の移送時に飛散しや
すくなり原料歩留まりの低下を招き、逆に大きいと浸出
効果が十分に得られない。
が、浸出条件によっては、反応時に鉛ジャロサイトが生
成する。この鉛ジャロサイトが存在すると、生成する浸
出残渣量が増大するために、残渣処理に要するコストが
増大する。従って、浸出反応時にはジャロサイト生成を
抑制するために浸出終了時点での浸出液中の遊離硫酸濃
度を2g/L 以上、好ましくは40g/L 以上にする必
要がある。
に、亜鉛精鉱の浸出が進行するに伴い、浸出に必要な三
価の鉄イオンが消費され減少してくる。三価の鉄イオン
がなくなればA式の反応は進行せず、浸出反応が停止す
る。これを防ぐための方法としては、亜鉛精鉱中の亜鉛
量に対応する量の三価の鉄イオンを繰り返すか、反応に
より発生した二価の鉄イオンを酸化することで三価の鉄
イオンを再生させ、再利用する方法がある。この酸化反
応はB式に示す通りである。 2FeSO4+1/2O2+H2SO4→Fe2(SO4)3+H2O・・B 式 鉄イオンの酸化反応を大気圧下で行うことも可能ではあ
るが、この酸化反応は非常に速度が遅い。本発明におい
ては加圧酸化雰囲気中で遊離硫酸と鉄イオンとを含有す
る液を酸化して鉄含有酸性溶液を得るものであり、場合
によってはこの加圧酸化雰囲気中においてこの液の酸化
反応と亜鉛精鉱の浸出反応を一工程で行うことに特徴が
ある。すなわち、オートクレーブなどの加圧槽を使用し
た加圧雰囲気中において、遊離硫酸と二価の鉄イオンと
を含有する液中の溶存酸素濃度を上げるために酸素等の
酸化剤を供給して三価の鉄イオンに酸化して鉄含有酸性
溶液を得て、場合によっては引き続きこの加圧雰囲気中
でこの鉄含有酸性溶液によって亜鉛精鉱中の亜鉛を加圧
浸出する。また、大気雰囲気中でこの鉄含有酸性溶液に
よって亜鉛精鉱中の亜鉛を浸出することもできる。な
お、加圧槽内での液中の二価の鉄イオンの酸化は酸素ガ
ス吹き込みによって行うが、酸素ガス吹き込みに代えて
酸化剤の添加によって酸素を供給することもできる。
1は加圧槽内において液の酸化とともに得られた鉄含有
酸性溶液によって亜鉛精鉱の浸出も一工程で行うもので
ある。図1において、加圧槽1は酸に耐えるとともに酸
素ガスによる劣化を防ぐため内壁として、例えばチタン
ライニング層3を形成するのが好ましい。酸化剤として
は酸素ガスを使用し、純度99.5%以上のものが好ま
しい。また、酸素の供給方法については図1に示すよう
に酸素吹き込み配管2を用いて液中へ導入する。この場
合、特に撹拌機6の下方に酸素吹き込み配管2の酸素ガ
ス供給口を開口させると、液中に吹き込まれた酸素ガス
が撹拌機6の回転で分散、散細分化され、かつ気液接触
が促進され、液中の二価の鉄イオンの酸化効率が向上す
る。また、酸素の供給量は加圧槽1中雰囲気の酸素分圧
が好ましくは0.7〜1.0 MPaの範囲での一定圧
力となるよう制御し、また、この酸素供給量を調整する
ことで酸化速度、浸出速度を制御することもできる。酸
素分圧は0.7MPa以上とすることで二価の鉄イオン
の酸化速度が向上し、また加圧槽等の設備の耐腐食の観
点から1.0MPa以下が好ましい。さらに、酸素吹き
込み配管2の径は、供給酸素ガス量によるが液中の酸素
ガスの気泡が細かくなるように径が細い方が好ましい。
板7を設け、反応の進捗に応じて槽内のスラリーが流動
するようにするのが望ましい。また、槽を個別にしポン
プなどで液送しても良い。撹拌機6は、仕切られた区画
内毎に取り付ける。この際撹拌機6の撹拌羽は、タービ
ン式のものが好ましい。これは、タービン式の方が供給
口から吹き込まれる酸素ガスの気泡が細かくかつタービ
ンの半径方向に拡散されるため該酸素ガスのガス溜まり
が生じず、液中の2価の鉄イオンの酸化反応速度が向上
する。これに応じ加圧槽1の壁面に邪魔板を設置しても
良い。
区画において遊離硫酸と二価の鉄イオンとを含有する液
と亜鉛精鉱とのスラリーを最初に装入する区画から次の
区画に移送するにあたり、最初に導入された区画の下方
にチャージ配管4の装入開口を設けて、ここから上記の
液と亜鉛精鉱とのスラリーを装入して加圧酸化雰囲気中
において二価の鉄イオンの酸化、亜鉛精鉱の浸出を行
い、最初の区画での反応後に次の区画に移送するのが好
ましい。最初に酸化、浸出を行ったスラリーは、浸出が
完全でない部分は、未反応の亜鉛精鉱を多く含むため比
重が大きく下方から抜き出す方が次の浸出区画での浸出
が効率的に行われる。また、酸素吹き込みにより液面に
泡が多数あるため液面から抜き出すのは効率的ではな
い。同様に、すべての区画内において酸化、浸出を行っ
たスラリーは最後の区画内の下方の排出口からデスチャ
ージ配管5によって槽外に排出して、磨鉱を行う。な
お、上記の加圧槽1内での加圧酸化浸出工程→加圧槽1
外での磨鉱浸出工程によって得られたスラリーを、必要
に応じて、再度、加圧槽1内に装入して加圧酸化雰囲気
中において酸化および浸出を行う再加圧酸化浸出工程を
行って酸化と浸出を行うことができる。以上のように磨
鉱浸出工程を間挿して加圧槽内での酸化および浸出の工
程を繰り返し行うことにより亜鉛精鉱の浸出速度、浸出
率とも大幅に向上させることができる。
出後の液は浄液工程を経て、電解処理工程へと送液され
て液中から亜鉛が電気亜鉛として回収される。また、浸
出残渣中には鉛、金、銀その他の有価金属および硫黄が
混入しているためにこれらを分離して除去回収する必要
がある。そのため、浸出残渣を浮選工程へ送り、硫化物
及び硫黄とその他の金属を分離し処理する。この場合、
浸出後に固液分離操作を行って浸出残渣を濃縮スラリー
とした後、空気を吹き込みながら実液のまま浮選を行
う。これにより、硫黄及び硫化物は浮鉱側へ、鉛、珪酸
および金、銀は尾鉱側へと移行する。得られた浮鉱中の
硫黄は融点以上の温度に加熱して気化させその後冷却し
て分離回収する。尾鉱には鉛、金および銀が含有されて
いるので、乾式冶金処理によりこれらの鉛、金、銀を回
収する。
イオンの酸化のみを行う場合は、加圧槽1のチャージ配
管4からは遊離硫酸と二価の鉄イオンとを含有する液の
みを装入して、加圧槽中で酸化して鉄含有酸性溶液を得
て、この液をディスチャージ配管5から加圧槽1外へ排
出し、大気雰囲気中において亜鉛精鉱中の亜鉛の浸出、
または磨鉱浸出を行うことができるのはいうまでもな
い。
が、本発明の技術的範囲はこれに限定されるものではな
い。
ルミルの容量は4.5L(64mmφ×350mm
H)、材質はSUS316、モーター回転数は55rp
m、使用ボールはアルミナボール(9mmφ、約9.5
kg投入)である。液として、亜鉛濃度を110g/
L、二価の鉄イオン濃度を15g/L、遊離硫酸濃度を9
6g/Lに調整した水溶液を用意した。亜鉛精鉱は、表
1の組成(重量%を単に%という。)を有する亜鉛精鉱
を使用した。Zn、Fe、Pb、Cd、Cu等の金属元
素は、硫化物の形で亜鉛精鉱中に含有されている。亜鉛
精鉱の粒度は、メジアン径が25μm、90%粒子径が
70μmである。
4.0Lを内容積5Lのオートクレーブに装入し、95
℃まで昇温した。昇温後、オートクレーブ内へ直接酸素
を吹き込んで酸素分圧0.8MPaとして酸化および浸
出反応を開始し20分経過後に減圧して、スラリーを槽
外へ取り出した。このスラリーをボールミルによって磨
鉱(1パス、5分間)した後に、再度オートクレーブで
上記同様の加圧酸化雰囲気として10分間酸化および浸
出反応を行った。この反応後に減圧してスラリーを取り
出しボールミルで再度磨鉱(1パス、5分間)し、再々
度オートクレーブへ装入して上記加圧酸化雰囲気で10
分間の酸化および浸出反応を行った。上記の20分、1
0分、10分の加圧浸出反応後ではスラリーをそれぞれ
サンプリングしており、採取した各サンプルは濾過し、
ケーキ(残渣)を十分水洗した後、残渣品位を測定し、
亜鉛精鉱の量、品位と残渣の量、品位から亜鉛浸出率を
求めた。上記の条件で試験を実施した結果、表2に示す
亜鉛浸出率が得られ、僅か合計40分間の浸出で98%
以上の亜鉛浸出率を達成できることが確認された。ま
た、表3に積算加圧浸出時間40分の反応の後に得られ
た浸出残渣の品位を示す。
素を供給して酸化することによって液中の二価の鉄イオ
ンの酸化速度を向上させることができ、また液の加圧酸
化と亜鉛精鉱の加圧浸出を一工程中で行うこともでき、
浸出時間の短縮、設備の合理化等の大幅な低コスト化を
はかることができる。さらに本発明によれば、浸出後の
スラリーについてボールミル等の粉砕機を使用し、浸出
処理を受けた亜鉛精鉱の粒子表面に副生した単体硫黄を
剥離する磨鉱工程を行ったのち再度上記浸出することに
よって、従来6〜10時間程度必要であった浸出時間を
その10分の1以下まで短縮することが可能になった。
すなわち、従来技術に比べて反応時間を大幅に短縮する
ことができ、建設費、操業コストの大幅な低コスト化が
可能となった。また、本発明は、既存の亜鉛製錬プロセ
スへの組み込みが可能であり、小規模の設備付加等によ
って亜鉛生産量の増産を行うことが可能になった。
出装置の概略断面図である。
Claims (11)
- 【請求項1】 加圧酸化雰囲気中において遊離硫酸と鉄
イオンとを含有する液を酸化し鉄含有酸性溶液を得る加
圧酸化工程と、該鉄含有酸性溶液中において亜鉛精鉱を
磨鉱し該亜鉛精鉱中の亜鉛を浸出する磨鉱浸出工程とか
らなることを特徴とする亜鉛精鉱浸出法。 - 【請求項2】 加圧酸化雰囲気中において遊離硫酸と鉄
イオンとを含有する液を酸化し得られた鉄含有酸性溶液
によって亜鉛精鉱中の亜鉛を浸出する加圧酸化浸出工程
と、該加圧酸化浸出によって生じたスラリーを磨鉱し該
スラリー中の亜鉛を浸出する磨鉱浸出工程とからなるこ
とを特徴とする亜鉛精鉱浸出法。 - 【請求項3】 加圧酸化雰囲気中において遊離硫酸と鉄
イオンとを含有する液を酸化し鉄含有酸性溶液を得る加
圧酸化工程と、該鉄含有酸性溶液によって亜鉛精鉱中の
亜鉛を浸出する浸出工程と、該浸出によって生じたスラ
リーを磨鉱し該スラリー中の亜鉛を浸出する磨鉱浸出工
程とからなることを特徴とする亜鉛精鉱浸出法。 - 【請求項4】 前記磨鉱浸出によって生じたスラリーを
前記鉄含有酸性溶液中において磨鉱し該スラリー中の亜
鉛を浸出する再磨鉱浸出工程を有する、請求項1または
3記載の亜鉛精鉱浸出法。 - 【請求項5】 加圧酸化雰囲気中において前記磨鉱浸出
によって生じたスラリーを酸化し再生した鉄含有酸性溶
液によって該スラリー中の亜鉛を浸出する再加圧酸化浸
出工程を有する、請求項2記載の亜鉛精鉱浸出法。 - 【請求項6】 前記再加圧酸化浸出によって生じたスラ
リーを磨鉱し該スラリー中の亜鉛を浸出する再磨鉱浸出
工程を有する、請求項5記載の亜鉛精鉱浸出法。 - 【請求項7】 前記加圧酸化を90℃以上の液温で行
う、請求項1、3または4記載の亜鉛精鉱浸出法。 - 【請求項8】 前記加圧酸化浸出、再加圧酸化浸出を9
0〜120℃の液温で行う、請求項2、5または6記載
の亜鉛精鉱浸出法。 - 【請求項9】 前記浸出終了時のスラリー中の遊離硫酸
濃度が2g/L以上である、請求項1〜8のいずれかに
記載の亜鉛精鉱浸出法。 - 【請求項10】 前記鉄含有酸性溶液中の三価の鉄イオ
ン濃度が2g/L以上である、請求項1〜9のいずれか
に記載の亜鉛精鉱浸出法。 - 【請求項11】 少なくとも遊離硫酸と鉄イオンとを含
有する液が内部に装入される加圧槽内において撹拌機下
方に該槽外からの酸素ガス供給配管の酸素ガス供給口が
開口され、該液の反応によって生じた鉄含有酸性溶液ま
たはスラリーの該槽外への排出配管の抜き出し口が該槽
内下方に開口されたことを特徴とする亜鉛精鉱浸出装
置。
Priority Applications (8)
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