JP2003079649A - 環軸椎固定用スペーサ - Google Patents

環軸椎固定用スペーサ

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JP2003079649A JP2001277057A JP2001277057A JP2003079649A JP 2003079649 A JP2003079649 A JP 2003079649A JP 2001277057 A JP2001277057 A JP 2001277057A JP 2001277057 A JP2001277057 A JP 2001277057A JP 2003079649 A JP2003079649 A JP 2003079649A
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Abstract

(57)【要約】 【課題】環軸椎後方固定において、整復位を確実に維持
することができる環軸椎固定用スペーサを提供するこ
と。 【解決手段】本発明の環軸椎固定用スペーサ1は、環軸
椎後方固定術において、環椎および軸椎の後方中央部に
装着されるものであり、基部2と、基部2から下方に突
出する左右一対の脚部3aおよび3bと、基部2から前
方に突出する挿入部4と、基部2から上方に突出する当
接部5とを備えている。この環軸椎固定用スペーサ1
は、脚部3a、3b間に軸椎の棘突起が挿入し、環椎後
弓と軸椎椎弓との間に挿入部4が挿入し、当接面51に
環椎後弓の後面が当接した状態で装着される。挿入部4
は、適正な頚椎アライメントが得られるような厚さにな
っている。挿入部4の前端部41は、中央部が凹むよう
に彎曲している。当接面51は、中央部が凹むような彎
曲凹面をなしている。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、環軸椎後方固定に
用いる環軸椎固定用スペーサに関する。
【0002】
【従来の技術】慢性関節リウマチや、外傷、先天異常な
どによる環軸椎脱臼に対する治療として、Brooks環軸椎
後方固定術が行われている。Brooks環軸椎後方固定術に
おいては、環椎後弓と軸椎椎弓との間に左・右2つの移
植骨片(腸骨等の自家骨)を置き、環椎後弓と軸椎椎弓
とに例えばワイヤー等の固定部材(締結部材)を通して
締結する。このBrooks環軸椎後方固定術は、環軸椎脱臼
に対し、優れた術式であり、多く実施されている。
【0003】しかしながら、骨粗鬆症、慢性関節リウマ
チ、または小児の患者等の場合には、移植骨が脆弱であ
るために、移植骨が圧潰して偽関節となったり、整復位
を維持できず頚椎アライメントの不良をきたしたりする
場合がある。また、骨粗鬆症患者等でなくても、骨癒合
が得られるまでに移植骨の吸収により、不安定性を生じ
る場合がある。
【0004】また、移植骨の圧潰がない場合でも、骨移
植できる部分が軸椎棘突起上部の両側に限られるため、
環椎後弓と軸椎棘突起との間の狭窄が生じる場合があ
る。
【0005】また、移植骨の採骨量には限りがあり、十
分な移植骨を確保できない場合もある。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は、環軸
椎後方固定において、整復位を確実に維持することがで
きる環軸椎固定用スペーサを提供することにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】このような目的は、下記
(1)〜(14)の本発明により達成される。
【0008】(1) 環軸椎後方固定に用いる環軸椎固
定用スペーサであって、下方に突出する一対の脚部と、
前方に突出し、前記環椎の後弓と前記軸椎の椎弓との間
に挿入される挿入部と、前記環椎の後弓の後面に当接し
得る当接面を有する当接部とを備え、前記両脚部の間に
前記軸椎の棘突起の少なくとも一部が挿入した状態で装
着されることを特徴とする環軸椎固定用スペーサ。
【0009】これにより、環軸椎後方固定において整復
位を確実に維持することができる環軸椎固定用スペーサ
を提供することができる。
【0010】(2) 前記環椎および前記軸椎に装着し
た状態で前記棘突起の上に位置する基部を有し、前記挿
入部、前記脚部および前記当接部は、それぞれ、前記基
部から突出するように形成されている上記(1)に記載
の環軸椎固定用スペーサ。
【0011】これにより、環軸椎後方固定において整復
位を確実に維持することができる環軸椎固定用スペーサ
を提供することができる。
【0012】(3) 前記両脚部の間に形成される空間
の幅が下方に向かって漸増する部分を有する上記(1)
または(2)に記載の環軸椎固定用スペーサ。これによ
り、軸椎の棘突起に対し、より適合した形状となる。
【0013】(4) 前記挿入部の前端部は、平面視で
中央部が凹むように彎曲している上記(1)ないし
(3)のいずれかに記載の環軸椎固定用スペーサ。これ
により、脊髄を圧迫するようなことをより確実に防止す
ることができる。
【0014】(5) 前記挿入部は、前方に向かって厚
さが漸減する部分を有する上記(1)ないし(4)のい
ずれかに記載の環軸椎固定用スペーサ。これにより、環
椎後弓と軸椎椎弓との間隙に対し、より適合した形状と
なる。
【0015】(6) 前記当接面は、平面視で中央部が
凹むような彎曲凹面になっている上記(1)ないし
(5)のいずれかに記載の環軸椎固定用スペーサ。これ
により、環椎後弓に対し、より適合した形状となる。
【0016】(7) 後面のほぼ中央に上下方向に沿っ
て溝が形成されている上記(1)ないし(6)のいずれ
かに記載の環軸椎固定用スペーサ。これにより、固定部
材のズレ、緩み等をより確実に防止することができる。
【0017】(8) 前記溝は、前記当接部の上面付近
まで連続して形成されている上記(7)に記載の環軸椎
固定用スペーサ。これにより、固定部材のズレ、緩み等
をより確実に防止することができる。
【0018】(9) Brooks環軸椎後方固定術と併用可
能である上記(1)ないし(8)のいずれかに記載の環
軸椎固定用スペーサ。
【0019】これにより、環軸椎後方固定において整復
位をより確実に維持することができる。
【0020】(10) セラミックス材料を構成材料と
してなる上記(1)ないし(9)のいずれかに記載の環
軸椎固定用スペーサ。これにより、加工性に優れた環軸
椎固定用スペーサを得ることができる。
【0021】(11) 前記セラミックス材料は、リン
酸カルシウム系化合物からなる上記(10)に記載の環
軸椎固定用スペーサ。
【0022】これにより、優れた生体親和性を有する環
軸椎固定用スペーサを得ることができる。
【0023】(12) 前記リン酸カルシウム系化合物
は、Ca/P比が1.0〜2.0である上記(11)に
記載の環軸椎固定用スペーサ。
【0024】これにより、より優れた生体親和性を有す
る環軸椎固定用スペーサを得ることができる。
【0025】(13) 前記リン酸カルシウム系化合物
は、ハイドロキシアパタイトである上記(11)または
(12)に記載の環軸椎固定用スペーサ。
【0026】これにより、特に優れた生体親和性を有す
る環軸椎固定用スペーサを得ることができる。
【0027】(14) 前記セラミックスの気孔率が0
〜70%である上記(10)ないし(13)のいずれか
に記載の環軸椎固定用スペーサ。これにより、環軸椎固
定用スペーサの骨組織への癒合が促進される。
【0028】
【発明の実施の形態】以下、本発明の環軸椎固定用スペ
ーサを添付図面に示す好適な実施形態に基づいて詳細に
説明する。図1および図2は、それぞれ、本発明の環軸
椎固定用スペーサの実施形態を示す斜視図、図3は、図
1および図2に示す環軸椎固定用スペーサの平面図、図
4は、図3中のX−X線での断面側面図、図5および図
6は、それぞれ、図1および図2に示す環軸椎固定用ス
ペーサを環軸椎後方に装着した状態を示す側面図および
背面図である。
【0029】なお、以下の説明では、特に断らない限
り、環軸椎固定用スペーサを患者の環軸椎に装着した状
態を基本として、方向を特定する。すなわち、患者の腹
側(図4および図5中の右側)を「前」、背側(図4お
よび図5中の左側)を「後」と言い、患者の頭側(図4
および図5中の上側)を「上」、脚側(図4および図5
中の下側)を「下」、患者の左側(図6中の左側)を
「左」、患者の右側(図6中の右側)を「右」と言う。
【0030】これらの図に示す環軸椎固定用スペーサ1
は、環軸椎後方固定術において、環椎(第1頚椎)10
0および軸椎(第2頚椎)200の後方中央部に装着さ
れるものである。
【0031】図1および図2に示すように、環軸椎固定
用スペーサ1(以下、単に「スペーサ1」と言う)は、
基部2と、基部2から下方に突出する左右一対の脚部3
aおよび3bと、基部2から前方に突出する挿入部4
と、基部2から上方に突出する当接部5とを備えてお
り、ほぼ左右対称な形状をなしている。
【0032】本実施形態では、基部2、脚部3a、3
b、挿入部4および当接部5の両側面は、それぞれ、連
続したほぼ平面になっている。また、基部2、挿入部4
および当接部5の幅(左右方向の長さ)は、互いにほぼ
同じになっている。また、脚部3aの外側の側面と、脚
部3bの外側の側面との距離も、これらの幅とほぼ同じ
になっている。すなわち、スペーサ1の左側の側面11
と、右側の側面12とは、それぞれ、ほぼ平面になって
おり、互いにほぼ平行になっている。
【0033】図5および図6に示すように、基部2は、
スペーサ1が環椎100および軸椎200の後方中央部
に装着された状態(以下、「装着状態」と言う)におい
て、軸椎200の棘突起210の上(上方)に位置す
る。
【0034】脚部3a、3bは、それぞれ、左・右に設
けられており、基部2から下方に突出するように形成さ
れている。
【0035】図6に示すように、装着状態では、脚部3
aと脚部3bとの間に形成される空間31に棘突起21
0の一部(上側の部分)が挿入する。すなわち、脚部3
a、3bは、棘突起210をまたぐように位置する。こ
れにより、スペーサ1は、装着位置を安定的に維持する
ことができ、よって、術後に位置ズレ(特に左右方向の
位置ズレ)を生じるようなことを確実に防止することが
できる。
【0036】また、空間31の幅(左右方向の長さ)
は、下方に向かって漸増している。換言すれば、脚部3
aの内面(内側の側面)32aと、脚部3bの内面(内
側の側面)32bとは、背面視でほぼ「ハ」字状をなす
ように傾斜している(図6参照)。これにより、脚部3
a、3bは、棘突起210により適合した形状になって
いる。
【0037】図1に示すように、挿入部4は、基部2か
ら前方に突出するように形成されている。図5に示すよ
うに、この挿入部4は、装着状態で、環椎100の後弓
110と、軸椎200の椎弓220との間に挿入され
る。
【0038】挿入部4が環椎100の後弓110と、軸
椎200の椎弓220との間に挿入されることにより、
後弓110と椎弓220との間隔(距離)を好適(適
正)な大きさで確実に維持(保持)することができる。
【0039】図3に示す平面視で、挿入部4の前端部
(前端面)41は、中央部が凹むように彎曲(湾曲)し
ている。これにより、前端部41が脊柱管300内に突
出するようなことがなく、脊髄を圧迫するようなことを
より確実に防止することができる。
【0040】図4に示すように、挿入部4の上面は、上
下方向に対しほぼ垂直な第1上面43と、第1上面43
の前方に形成され、前下がりに傾斜する第2上面44と
で構成されている。また、挿入部4の下面42は、前上
がりに傾斜している。
【0041】このような構成により、挿入部4は、その
厚さ(上下方向の長さ)が前方に向かって漸減してい
る。これにより、挿入部4は、後弓110と椎弓220
との間隙により適合した形状になっている。
【0042】また、挿入部4の下面42は、彎曲凹面に
なっており、これにより、挿入部4の厚さは、中央部で
やや薄くなっている。
【0043】なお、挿入部4の厚さは、最適(適正)な
整復位(頚椎アライメント)が得られるよう、症例に応
じて適宜設定される。
【0044】当接部5は、基部2から上方に突出するよ
うに形成されている。図5に示すように、装着状態で、
当接部5の前面(当接面51)には、後弓110の後面
111が当接する。
【0045】当接面51は、第1上面43に対しほぼ垂
直(上下方向にほぼ平行)に形成されている。すなわ
ち、当接面51と第1上面43とは、ほぼ270°の角
度で角部を形成しており、装着状態では、この角部が後
弓110を受けるようになっている。
【0046】当接面51は、図3に示す平面視で、中央
部が凹むような彎曲凹面になっている。これにより、当
接面51は、後弓110の後面111の彎曲形状により
適合した形状になっている。
【0047】このような当接部5が設けられていること
により、スペーサ1は、装着位置を安定的に維持するこ
とができ、よって、術後に位置ズレ(特に前後方向の位
置ズレ)を生じるようなことを確実に防止することがで
きる。
【0048】図5および図6に示すように、スペーサ1
は、空間31に棘突起210が挿入し、後弓110と椎
弓220との間に挿入部4が挿入し、当接面51に後弓
110の後面111が当接した状態で装着される。
【0049】このようなスペーサ1は、Brooks環軸椎後
方固定術(Brooks法)と併用可能である。すなわち、ス
ペーサ1の両側(図6中の矢印A部)にBrooks法による
骨移植を行うことができる。
【0050】以上説明したように、本発明のスペーサ1
によれば、挿入部4を設けたことにより、後弓110と
椎弓220との間隔(距離)を好適(適正)な大きさに
することができる。また、脚部3a、3bおよび当接部
5が設けられていることにより、環椎100および軸椎
200の後方に適合(フィット)した形状になってお
り、安定的に装着することができる。
【0051】よって、本発明のスペーサ1を用いること
により、環軸椎後方固定術において、良好な頚椎アライ
メントが得られ、術後も整復位を確実に維持することが
できる。
【0052】したがって、Brooks法等による移植骨(自
家骨)の骨癒合が得られるまでの間に、移植骨の吸収に
よって不安定性を生じるようなことを確実に防止するこ
とができる。また、例えば骨粗鬆症患者のように、移植
骨が脆弱であるような場合であっても、移植骨が圧潰し
て偽関節となったり、整復位を維持できず頚椎アライメ
ントの不良をきたしたりするようなことを確実に防止す
ることができる。また、後弓110と椎弓220(棘突
起210)との間の狭窄を生じるようなことも防止する
ことができる。
【0053】また、本発明のスペーサ1は、前述したよ
うに、安定的に装着することができ、術後の位置ズレが
防止される。よって、例えばスペーサ1が脊柱管300
内に突出、脱落するようなことが確実に防止され、安全
性が高い。
【0054】図2に示すように、スペーサ1の後面のほ
ぼ中央には、上下方向に沿って溝(凹部)6が形成され
ている。この溝6は、当接部5の上面を横断し、縁部5
2付近まで連続して形成されている。
【0055】図5および図6に示すように、スペーサ1
は、図中の一点鎖線で示す線状(帯状)の固定部材(締
結部材)50を用いて締め付け、固定される。
【0056】固定部材50は、後弓110および椎弓2
20の内側を挿通し、棘突起210の下部およびスペー
サ1の後部を通った状態で締結される(締め付けられ
る)。この固定部材50により、スペーサ1の緩み、位
置ズレ(特に後方への緩み、位置ズレ)等が確実に防止
され、整復位をより確実に維持することができる。
【0057】図5に示すように、スペーサ1の後部に位
置する固定部材50は、溝6内に挿入する。これによ
り、締結された固定部材50のズレ、緩み等をより確実
に防止することができる。
【0058】なお、スペーサ1の全長(図3中の
)、全幅(図3中のL)、全高(図4中のL
等の各寸法は、症例に応じて適宜決定される。
【0059】このようなスペーサ1は、セラミックス材
料を構成材料としてなることが好ましい。セラミックス
材料は加工性に優れているため、旋盤、ドリル等を用い
た切削加工によりその形状、大きさ等を調整することが
容易である。
【0060】セラミックス材料としては、各種のセラミ
ックス材料が挙げられるが、特にアルミナ、ジルコニ
ア、リン酸カルシウム系化合物等のバイオセラミックス
が好ましい。なかでもリン酸カルシウム系化合物は、優
れた生体親和性を備えているため、スペーサ1の構成材
料として特に好ましい。
【0061】リン酸カルシウム系化合物としては、例え
ばハイドロキシアパタイト、フッ素アパタイト、炭酸ア
パタイト等のアパタイト類、リン酸二カルシウム、リン
酸三カルシウム、リン酸四カルシウム、リン酸八カルシ
ウム等が挙げられ、これらを1種または2種以上を混合
して用いることができる。また、これらのリン酸カルシ
ウム系化合物のなかでもCa/P比が1.0〜2.0の
ものが好ましく用いられる。
【0062】このようなリン酸カルシウム系化合物のう
ち、ハイドロキシアパタイトがより好ましい。ハイドロ
キシアパタイトは、骨の無機質主成分と同様の構造であ
るため、優れた生体適合性を有している。また、スペー
サ1を製造する際、原料のハイドロキシアパタイト粒子
は、500〜1000℃で仮焼成されたものがより好ま
しい。かかる温度で仮焼成されたハイドロキシアパタイ
ト粒子は、ある程度活性が抑えられるため、焼結が急激
に進行すること等による焼結ムラが抑制され、強度にム
ラのない焼結体を得ることができる。
【0063】本発明では、セラミックスの気孔率は0〜
70%であることが好ましく、30〜50%がより好ま
しい。気孔率をこの範囲とすることにより、強度を維持
しつつ、良好な生体親和性を発揮し、骨伝導による骨新
生を促進することができる。
【0064】本発明のスペーサ1の構成材料としては、
上記セラミックス材料の他、該セラミックス材料とチタ
ン等の生体為害性の小さい金属材料との複合材料等を用
いることも可能である。
【0065】以上、本発明の環軸椎固定用スペーサを図
示の実施形態について説明したが、本発明は、これに限
定されるものではなく、環軸椎固定用スペーサを構成す
る各部は、同様の機能を発揮し得る任意の構成のものと
置換することができる。
【0066】
【実施例】水酸化カルシウムスラリーとリン酸水溶液か
ら公知の湿式合成法によりハイドロキシアパタイトスラ
リー(Ca/P比=1.67)とした。これを噴霧熱乾
燥法により乾燥した後、大気炉において700℃で仮焼
成を行うことにより球状粉体を得た。
【0067】次に、得られたハイドロキシアパタイトの
球状粉体と高分子化合物水溶液とを混合・撹拌した後、
この混合物を乾燥させることによりハイドロキシアパタ
イトのブロック体を得た。
【0068】このブロック体から焼結後の収縮を計算
し、旋盤、ドリル等を用いて、所望のスペーサ形状の成
形体を作製した。
【0069】この成形体を電気炉に入れ、1200℃で
4時間焼結することにより、図1〜図4に示す形状の環
軸椎固定用スペーサを作製した。
【0070】本実施例の環軸椎固定用スペーサの各部の
寸法は、全長L:13mm、全幅L:13mm、全
高L:15mm、挿入部4の付け根部の中央における
厚さL(図4参照):5mmとした。また、ハイドロ
キシアパタイトの気孔率は40%とした。
【0071】この環軸椎固定用スペーサを併用して、環
軸椎脱臼の患者10例に対し、Brooks環軸椎後方固定術
を施した。
【0072】その結果、全ての患者において、環椎と軸
椎とを適正なアライメントで整復固定することができ
た。術後の経過も良好で、環軸椎固定用スペーサと移植
骨とが一塊となり、環椎および軸椎にしっかりと固定さ
れていることが確認された。また、環軸椎固定用スペー
サの脊柱管内への突出や後方への緩み等は、見られなっ
た。術後長期間経過しても、適正な整復位が維持され、
脊髄の除圧も良好であった。
【0073】
【発明の効果】以上述べたように、本発明によれば、環
椎後弓と軸椎椎弓との間隔を好適な大きさにすることが
でき、良好な頚椎アライメントが得られる。また、環軸
椎後方に適合した形状をなしていることから、位置ズレ
等を防止し、安定的に装着することができる。よって、
術後も、確実に整復位を維持することができる。また、
環椎後弓と軸椎椎弓との間の狭窄を生じることも防止す
ることができる。
【0074】さらに、環軸椎固定用スペーサの脊柱管内
への突出、脱落等のおそれもなく、安全性が高い。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の環軸椎固定用スペーサの実施形態を示
す斜視図(斜め前方から見た図)である。
【図2】本発明の環軸椎固定用スペーサの実施形態を示
す斜視図(斜め後方から見た図)である。
【図3】図1および図2に示す環軸椎固定用スペーサの
平面図である。
【図4】図3中のX−X線での断面側面図である。
【図5】図1および図2に示す環軸椎固定用スペーサを
環軸椎後方に装着した状態を示す側面図である。
【図6】図1および図2に示す環軸椎固定用スペーサを
環軸椎後方に装着した状態を示す背面図である。
【符号の説明】
1 環軸椎固定用スペーサ 2 基部 3a、3b 脚部 31 空間 32a、32b 内面 4 挿入部 41 前端部 42 下面 43 第1上面 44 第2上面 5 当接部 51 当接面 52 縁部 6 溝 11、12 側面 50 固定部材 100 環椎 110 後弓 111 後面 200 軸椎 210 棘突起 220 椎弓 300 脊柱管
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 中島 武彦 東京都板橋区前野町2丁目36番9号 旭光 学工業株式会社内 (72)発明者 吉田 貴光 東京都板橋区前野町2丁目36番9号 旭光 学工業株式会社内 Fターム(参考) 4C060 LL13 LL20 MM24 4C097 AA10 BB01 CC05 CC13 DD07 FF03

Claims (14)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 環軸椎後方固定に用いる環軸椎固定用ス
    ペーサであって、 下方に突出する一対の脚部と、 前方に突出し、前記環椎の後弓と前記軸椎の椎弓との間
    に挿入される挿入部と、 前記環椎の後弓の後面に当接し得る当接面を有する当接
    部とを備え、 前記両脚部の間に前記軸椎の棘突起の少なくとも一部が
    挿入した状態で装着されることを特徴とする環軸椎固定
    用スペーサ。
  2. 【請求項2】 前記環椎および前記軸椎に装着した状態
    で前記棘突起の上に位置する基部を有し、前記挿入部、
    前記脚部および前記当接部は、それぞれ、前記基部から
    突出するように形成されている請求項1に記載の環軸椎
    固定用スペーサ。
  3. 【請求項3】 前記両脚部の間に形成される空間の幅が
    下方に向かって漸増する部分を有する請求項1または2
    に記載の環軸椎固定用スペーサ。
  4. 【請求項4】 前記挿入部の前端部は、平面視で中央部
    が凹むように彎曲している請求項1ないし3のいずれか
    に記載の環軸椎固定用スペーサ。
  5. 【請求項5】 前記挿入部は、前方に向かって厚さが漸
    減する部分を有する請求項1ないし4のいずれかに記載
    の環軸椎固定用スペーサ。
  6. 【請求項6】 前記当接面は、平面視で中央部が凹むよ
    うな彎曲凹面になっている請求項1ないし5のいずれか
    に記載の環軸椎固定用スペーサ。
  7. 【請求項7】 後面のほぼ中央に上下方向に沿って溝が
    形成されている請求項1ないし6のいずれかに記載の環
    軸椎固定用スペーサ。
  8. 【請求項8】 前記溝は、前記当接部の上面付近まで連
    続して形成されている請求項7に記載の環軸椎固定用ス
    ペーサ。
  9. 【請求項9】 Brooks環軸椎後方固定術と併用可能であ
    る請求項1ないし8のいずれかに記載の環軸椎固定用ス
    ペーサ。
  10. 【請求項10】 セラミックス材料を構成材料としてな
    る請求項1ないし9のいずれかに記載の環軸椎固定用ス
    ペーサ。
  11. 【請求項11】 前記セラミックス材料は、リン酸カル
    シウム系化合物からなる請求項10に記載の環軸椎固定
    用スペーサ。
  12. 【請求項12】 前記リン酸カルシウム系化合物は、C
    a/P比が1.0〜2.0である請求項11に記載の環
    軸椎固定用スペーサ。
  13. 【請求項13】 前記リン酸カルシウム系化合物は、ハ
    イドロキシアパタイトである請求項11または12に記
    載の環軸椎固定用スペーサ。
  14. 【請求項14】 前記セラミックスの気孔率が0〜70
    %である請求項10ないし13のいずれかに記載の環軸
    椎固定用スペーサ。
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