JP2003077803A - 電子ビーム描画方法及びその方法にて描画された基材並びに電子ビーム描画装置 - Google Patents

電子ビーム描画方法及びその方法にて描画された基材並びに電子ビーム描画装置

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JP2003077803A
JP2003077803A JP2001265415A JP2001265415A JP2003077803A JP 2003077803 A JP2003077803 A JP 2003077803A JP 2001265415 A JP2001265415 A JP 2001265415A JP 2001265415 A JP2001265415 A JP 2001265415A JP 2003077803 A JP2003077803 A JP 2003077803A
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beam diameter
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diameter
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Kazumi Furuta
和三 古田
Osamu Masuda
修 増田
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Konica Minolta Inc
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 本発明は、ビーム径の僅かな違いが生じるこ
とを防止して、焦点深度内におけるドーズ条件等の細か
い変更を要しない電子ビーム描画方法及びその方法にて
描画された基材並びに電子ビーム描画装置を提供する。 【解決手段】 基材に対して電子ビームを走査すること
により前記基材に所定の描画パターンを描画する電子ビ
ーム描画である。描画パターンを現像してレジスト形状
を形成する際の現像進行度に前記電子ビームのビーム径
に応じた差異が生じ得ない第1のビーム径(DA変換器
のドットのほぼ1倍)より、描画パターン形成面に荒れ
が生じ得ない第2のビーム径(前記ドットのほぼ4倍)
までの範囲内にて前記基材に対する描画を行う。この範
囲では、ビーム径に差異が生じないために、焦点深度内
でのドーズ等の細かな変更を要しない。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、電子ビーム描画方
法及びその方法にて描画された基材並びに電子ビーム描
画装置に関し、特に、微細な形状を有する精密な光学素
子の光学機能面に回折構造などを描画するものに関す
る。
【0002】
【従来の技術】近年、情報記録媒体として、例えばC
D、DVD等が広く使用されており、これらの記録媒体
を読み取る読取装置などの精密機器には、多くの光学素
子が利用されている。これらの機器に利用される光学素
子、例えば光レンズなどは、低コスト化並びに小型化の
観点から、ガラス製の光レンズよりも樹脂製の光レンズ
を用いることが多い。このような樹脂製の光レンズは、
一般の射出成形によって製造されており、射出成形用の
成形型も、一般的な切削加工によって形成されている。
【0003】また、光学素子などを含む基材の表面上に
所望の形状を描画加工するものとしては、光露光などの
手法を用いた露光装置などによって加工を行うことが行
われている。
【0004】さらに、昨今、前記基材の表面に所望の描
画パターンを形成するものとして、電子ビームを用いて
描画パターンの描画を行うことが試みられている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】ところで、電子ビーム
を用いて3次元的に表面高さが変化する基材に描画を行
う際に、基材の表面高さが各々の平面位置で異なると、
例えばある一方の平面位置に照射されている電子ビーム
の径と、前記一方の平面位置と異なる高さ位置に形成さ
れる他方の平面位置に照射されている電子ビームの径と
は異なり、表面高さの変化に応じて電子ビームのビーム
径が変化する。
【0006】ただし、この種の電子ビームの焦点深度
は、一般的に光学顕微鏡等に比較して大きい。ここで、
焦点深度とは、図21に示すように、照射される電子ビ
ームBにおいて、ビーム径(ビームウエスト)BWが有
効な範囲の高さFZを示す。この焦点深度が大きいため
に、前記表面高さの変位によるビーム径の変化率は、数
ナノメートルオーダーで小さく、ビーム径の表面高さの
変位が原因で描画に係る解像度が著しく低下してくるよ
うなことは起こりにくいとされている。
【0007】しかしながら、電子ビームによる描画に利
用されるDA変換器の1ドットの領域に対し、ビーム径
の値を小さい値に設定にすると、ビーム径の僅かな違い
により、ある一方のビーム径により描画された第1部分
と他方のビーム径により描画された第2部分とで、描画
実施後の現像処理の際に現像処理の進行速度に差が生
じ、同じドーズ量にて描画したにもかかわらず、現像後
に出来上がった第1部分と第2部分とのレジストの形状
に差が生じてしまっていた。
【0008】例えば、図22に示すように、同じドーズ
量の部分D1、D2を比較すると、図23に示すよう
に、一方の部分DT2は、他方の部分DT1に比して、
現像処理が速く進行し、溝も深く形成されてしまう。こ
れは、同一ドーズ量が大きいほどその傾向が顕著とな
る。このため、同一のドーズ量にもかかわらず、現像後
に想定されていた溝深さより深かったり、逆に浅かった
りして形成されてしまい、最適な最終生成品が形成でき
ない。
【0009】また、このような現像進行性の差異による
点を解消しようとすると、3次元電子ビーム描画を行う
際に、焦点深度内でもドーズ条件を細かく変更する必要
が生じてしまう。
【0010】本発明は、上記事情に鑑みてなされたもの
であり、その目的とするところは、ビーム径の僅かな違
いが生じることを防止して、焦点深度内におけるドーズ
条件等の細かい変更を要しない電子ビーム描画方法及び
その方法にて描画された基材並びに電子ビーム描画装置
を提供することにある。
【0011】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するため
に、請求項1に記載の発明は、基材に対して電子ビーム
を走査することにより前記基材に所定の描画パターンを
描画する電子ビーム描画方法であって、前記描画パター
ンを現像してレジスト形状を形成する際の現像進行度に
前記電子ビームのビーム径に応じた差異が生じ得ない第
1のビーム径より大となる径にて前記基材に対する描画
を行う描画ステップを有することを特徴としている。
【0012】また、請求項2に記載の発明は、基材に対
して電子ビームを走査することにより前記基材に所定の
描画パターンを描画する電子ビーム描画方法であって、
前記描画パターンを現像してレジスト形状を形成する際
の現像進行度に前記電子ビームのビーム径に応じた差異
が生じ得ない第1のビーム径より、前記描画パターン形
成面に荒れが生じ得ない第2のビーム径までの範囲内に
て前記基材に対する描画を行う描画ステップを有するこ
とを特徴としている。
【0013】また、請求項3に記載の発明は、前記第1
のビーム径は、描画に利用されるDA変換器の最小時間
分解能に相当する単位距離の略1倍の幅を有し、前記第
2のビーム径は、前記DA変換器の最小時間分解能に相
当する単位距離の略4倍の幅を有することを特徴として
いる。
【0014】また、請求項4に記載の発明は、電子ビー
ムにより描画され、少なくとも前記電子ビームの焦点深
度よりも長い厚さを有してなる被描画層を含む基材に対
して、前記焦点深度の少なくとも高さ位置を前記被描画
層内の描画位置に応じて前記電子ビームの焦点位置を変
化させることにより描画を行う、電子ビーム描画方法で
あって、前記描画位置の3次元の基準座標系における高
さ位置を算出する算出ステップと、前記電子ビームの焦
点位置による位置調整もしくは前記基材の移動による位
置調整のいずれか一方又は双方により、算出された前記
高さ位置に前記電子ビームの焦点位置がくるように位置
調整を行う位置調整ステップと、前記位置調整を行いな
がら、前記被描画層に対する描画を行う描画ステップ
と、を含み、前記位置調整ステップでは、焦点深度の範
囲を、前記描画パターンを現像してレジスト形状を形成
する際の現像進行度に前記電子ビームのビーム径に応じ
た差異が生じ得ない第1のビーム径より、前記描画パタ
ーン形成面に荒れが生じ得ない第2のビーム径までの範
囲内として調整することを特徴としている。
【0015】また、請求項5に記載の発明は、前記第1
のビーム径は、描画に利用されるDA変換器の最小時間
分解能に相当する単位距離のほぼ1倍の幅を有し、前記
第2のビーム径は、前記DA変換器の最小時間分解能に
相当する単位距離のほぼ4倍の幅を有し、前記位置調整
ステップにおいて前記ビーム径を前記ほぼ1倍〜ほぼ4
倍の範囲内として調整することを特徴としている。
【0016】また、請求項6に記載の発明は、前記電子
ビーム照射中に位置調整を行うことを特徴としている。
【0017】また、請求項7に記載の発明は、前記電子
ビームの焦点位置が電子レンズの電流値に基づき制御さ
れるステップを含むことを特徴としている。
【0018】また、請求項8に記載の発明は、前記描画
ステップで、前記基材上に回折格子を形成することを特
徴としている。
【0019】また、請求項9に記載の発明は、前記電子
ビームを照射した基材を現像し、現像された前記基材の
表面で電鋳を行い、成形用の金型を形成するステップを
さらに有することを特徴としている。
【0020】また、請求項10に記載の発明は、前記電
子ビームを照射した基材を現像し、エッチング処理した
前記基材に電鋳を行い、成形用の金型を形成するステッ
プをさらに有することを特徴としている。
【0021】また、請求項11に記載の発明は、前記基
材として成形用の金型用い、少なくとも前記算出ステッ
プ、位置調整ステップ、前記描画ステップにより当該金
型に描画を行うステップを有することを特徴としてい
る。
【0022】また、請求項12に記載の発明は、基材に
対して電子ビームを走査することにより前記基材に所定
の描画パターンを描画する電子ビーム描画方法であっ
て、前記電子ビームの描画に利用されるDA変換器の最
小時間分解能に相当する単位距離より大きいビーム径に
て前記基材に対する描画を行う描画ステップを有するこ
とを特徴としている。
【0023】また、請求項13に記載の発明は、前記描
画ステップにおいて、前記単位距離の4倍以下のビーム
径にて前記基材に対する描画を行うことを特徴としてい
る。
【0024】また、請求項14に記載の発明は、上述の
描画方法にて描画された基材を定義している。また、請
求項15に記載の発明は、前記基材は、光学素子である
ことを特徴としている。
【0025】また、請求項16に記載の発明は、基材に
対して前記電子ビームを走査することにより前記基材の
描画パターンの描画を行う電子ビーム描画装置であっ
て、前記描画パターンを現像してレジスト形状を形成す
る際の現像進行度に前記電子ビームのビーム径に応じた
差異が生じ得ない第1のビーム径に関する情報を格納し
た格納手段と、前記格納手段の第1のビーム径に基づい
て、前記電子ビームのビーム径が前記第1のビーム径よ
りやや大となる径の場合にのみ、前記基材に対する描画
を行うように制御する制御手段と、を含むことを特徴と
している。
【0026】また、請求項17に記載の発明は、電子ビ
ームを照射する電子ビーム照射手段と、前記電子ビーム
照射手段にて照射された電子ビームの焦点位置を可変と
するための電子レンズと、前記電子ビームを照射するこ
とで描画される描画パターンを有する基材を載置する載
置台と、前記基材上に描画される描画位置を測定するた
めの測定手段と、前記描画パターンを現像してレジスト
形状を形成する際の現像進行度に前記電子ビームのビー
ム径に応じた差異が生じ得ない第1のビーム径に関する
情報を格納した格納手段と、前記測定手段にて測定され
た前記描画位置に基づき、前記電子レンズの電流値を調
整して前記電子ビームの焦点位置を前記描画位置に応じ
て可変制御するとともに、前記焦点位置における焦点深
度が、前記第1のビーム径よりやや大となるビーム径の
範囲に制限されるように調整制御する制御手段と、を含
むことを特徴としている。
【0027】また、請求項18に記載の発明は、電子ビ
ームを照射する電子ビーム照射手段と、前記電子ビーム
を照射することで描画される被描画面に曲面を有する基
材を載置する載置台と、前記載置台を駆動する駆動手段
と、前記基材上に描画される描画位置を測定するための
測定手段と、前記描画パターンを現像してレジスト形状
を形成する際の現像進行度に前記電子ビームのビーム径
に応じた差異が生じ得ない第1のビーム径に関する情報
を格納した格納手段と、前記測定手段にて測定された前
記描画位置に基づき、前記駆動手段により前記載置台を
昇降させて、前記電子ビーム照射手段にて照射された電
子ビームの焦点位置を前記描画位置に応じて可変制御す
るとともに、前記焦点位置における焦点深度が、前記第
1のビーム径よりやや大となるビーム径の範囲に制限さ
れるように調整制御する制御手段と、を含むことを特徴
としている。
【0028】また、請求項19に記載の発明は、前記第
1のビーム径を設定入力するための設定手段をさらに有
し、前記制御手段は、前記設定手段にて設定された第1
のビーム径よりやや大となる範囲に基づいて、前記電子
ビームを制御することを特徴としている。
【0029】また、請求項20に記載の発明は、前記第
1のビーム径は、描画に利用されるDA変換器の最小時
間分解能に相当する単位距離のほぼ1倍の幅を有するこ
とを特徴としている。
【0030】また、請求項21に記載の発明は、基材に
対して前記電子ビームを走査することにより前記基材の
描画パターンの描画を行う電子ビーム描画装置であっ
て、前記描画パターンを現像してレジスト形状を形成す
る際の現像進行度に前記電子ビームのビーム径に応じた
差異が生じ得ない第1のビーム径と、前記描画パターン
形成面に荒れが生じ得ない第2のビーム径とに関する情
報を格納した格納手段と、前記格納手段の第1、第2の
各ビーム径に基づいて、前記電子ビームのビーム径が前
記第1のビーム径より前記第2のビーム径の範囲内とな
る場合にのみ、前記基材に対する描画を行うように制御
する制御手段と、を含むことを特徴としている。
【0031】また、請求項22に記載の発明は、電子ビ
ームを照射する電子ビーム照射手段と、前記電子ビーム
照射手段にて照射された電子ビームの焦点位置を可変と
するための電子レンズと、前記電子ビームを照射するこ
とで描画される描画パターンを有する基材を載置する載
置台と、前記基材上に描画される描画位置を測定するた
めの測定手段と、前記描画パターンを現像してレジスト
形状を形成する際の現像進行度に前記電子ビームのビー
ム径に応じた差異が生じ得ない第1のビーム径と、前記
描画パターン形成面に荒れが生じ得ない第2のビーム径
とに関する情報を格納した格納手段と、前記測定手段に
て測定された前記描画位置に基づき、前記電子レンズの
電流値を調整して前記電子ビームの焦点位置を前記描画
位置に応じて可変制御するとともに、前記焦点位置にお
ける焦点深度が、前記第1のビーム径より前記第2のビ
ーム径の範囲に制限されるように調整制御する制御手段
と、を含むことを特徴としている。
【0032】また、請求項23に記載の発明は、電子ビ
ームを照射する電子ビーム照射手段と、前記電子ビーム
を照射することで描画される被描画面に曲面を有する基
材を載置する載置台と、前記載置台を駆動する駆動手段
と、前記基材上に描画される描画位置を測定するための
測定手段と、前記描画パターンを現像してレジスト形状
を形成する際の現像進行度に前記電子ビームのビーム径
に応じた差異が生じ得ない第1のビーム径と、前記描画
パターン形成面に荒れが生じ得ない第2のビーム径とに
関する情報を格納した格納手段と、前記測定手段にて測
定された前記描画位置に基づき、前記駆動手段により前
記載置台を昇降させて、前記電子ビーム照射手段にて照
射された電子ビームの焦点位置を前記描画位置に応じて
可変制御するとともに、前記焦点位置における焦点深度
が、前記第1のビーム径より前記第2のビーム径の範囲
に制限されるように調整制御する制御手段と、を含むこ
とを特徴としている。
【0033】また、請求項24に記載の発明は、前記第
1、第2のビーム径のいずれか一方又は双方を設定する
ための設定手段をさらに有し、前記制御手段は、前記設
定手段にて設定された第1,第2のビーム径の範囲に基
づいて、前記電子ビームを制御することを特徴としてい
る。
【0034】また、請求項25に記載の発明は、前記第
1のビーム径は、描画に利用されるDA変換器の最小時
間分解能に相当する単位距離のほぼ1倍の幅を有し、前
記第2のビーム径は、前記DA変換器の最小時間分解能
に相当する単位距離のほぼ4倍の幅を有することを特徴
としている。
【0035】
【発明の実施の形態】以下、本発明の好適な実施の形態
の一例について、図面を参照して具体的に説明する。
【0036】[第1の実施の形態] (電子ビーム描画装置の全体構成)先ず、本発明の特徴
は、基材に対して電子ビームで3次元的に描画してブレ
ーズ形状の回折格子を形成する際に、電子ビーム描画装
置に搭載されるDA変換器(以下、「DAC」と称呼す
る場合がある)の1dotの領域に対し、電子ビームの
ビーム径を前記1dotのほぼ1倍の大きさのビーム径
(第1のビーム径)より大きくする、ないしは僅かに大
きくするようにして、前記基材に対する描画を行う点に
ある。なおここに、1dotとは、DA変換器の最小時
間分解能に相当する単位距離dにおいて、(図9に示
す)d×dの領域を示し、本実施形態においては、ある
例においては例えば、1dot=10[nm]×10
[nm]にて条件設定されている場合や、また他の例に
おいては、例えば、1dot=20[nm]×20[n
m]にて条件設定されている場合などが挙げられるが、
いずれにしてもDA変換器の性能により変動することと
なる。
【0037】さらに好ましくは、前記第1のビーム径よ
り、描画パターン形成面に荒れが生じ得ない(解像度の
劣化が起き得ない)第2のビーム径までの範囲内にて前
記基材に対する描画を行う。この第1のビーム径は、例
えば、上述した1dotの大きさであり、要は、描画パ
ターンを現像してレジスト形状を形成する際の現像進行
度に電子ビームのビーム径に応じた差異が生じ得ない径
であれば条件によりいずれでもよい。また、第2のビー
ム径は、例えば1dotのほぼ4倍の大きさにする(そ
の根拠は後述する)ことが好ましい。
【0038】このようにしてビーム径の大きさに範囲を
設けて制限することにより、ビーム径の僅かな変位に伴
う描画実施後における現像進行性の差異がなくなるとと
もに、解像度の劣化もおきず、しかも、焦点深度内での
ドーズ条件を同一にして描画することができ、ドーズ条
件の細かな変更を要せず描画できるものである。
【0039】このような特徴的なビーム径の上限及び下
限に関する上述の機能を達成するための具体的構造の説
明に先立って、先ず前提となる電子ビーム描画装置の全
体の概略構成について、図1を参照して説明する。図1
は、本例の電子ビーム描画装置の全体構成を示す説明図
である。
【0040】本例の電子ビーム描画装置1は、図1に示
すように、大電流で高解像度の電子線プローブを形成し
て高速に描画対象の基材2上を走査するものであり、高
解像度の電子線プローブを形成し、電子ビームを生成し
てターゲットに対してビーム照射を行う電子ビーム生成
手段である電子銃12と、この電子銃12からの電子ビ
ームを通過させるスリット14と、スリット14を通過
する電子ビームの前記基材2に対する焦点位置を制御す
るための電子レンズ16と、電子ビームが出射される経
路上に配設されたアパーチャー18と、電子ビームを偏
向させることでターゲットである基材2上の走査位置等
を制御する偏向器20と、偏向を補正する補正用コイル
22と、を含んで構成されている。なお、これらの各部
は、鏡筒10内に配設されて電子ビーム出射時には真空
状態に維持される。
【0041】さらに、電子ビーム描画装置1は、描画対
象となる基材2を載置するための載置台であるXYZス
テージ30と、このXYZステージ30上の載置位置に
基材2を搬送するための搬送手段であるローダ40と、
XYZステージ30上の基材2の表面の基準点を測定す
るための測定手段である測定装置80と、XYZステー
ジ30を駆動するための駆動手段であるステージ駆動手
段50と、ローダを駆動するためのローダ駆動装置60
と、鏡筒10内及びXYZステージ30を含む筐体11
内を真空となるように排気を行う真空排気装置70と、
これらの制御を司る制御手段である制御回路100と、
を含んで構成されている。
【0042】なお、電子レンズ16は、高さ方向に沿っ
て複数箇所に離間して設置される各コイル17a、17
b、17cの各々の電流値によって電子的なレンズが複
数生成されることで各々制御され、電子ビームの焦点位
置が制御される。
【0043】測定装置80は、基材2に対してレーザー
を照射することで基材2を測定する第1のレーザー測長
器82と、第1のレーザー測長器82にて発光されたレ
ーザー光(第1の照射光)が基材2を反射し当該反射光
を受光する第1の受光部84と、前記第1のレーザー測
長器82とは異なる照射角度から照射を行う第2のレー
ザー測長器86と、前記第2のレーザー測長器86にて
発光されたレーザー光(第2の照射光)が基材2を反射
し当該反射光を受光する第2の受光部88と、を含んで
構成されている。なお、本例の第1のレーザー測長器と
第1の受光部とで本発明の「第1の光学系」を構成し、
第2のレーザー測長器と第2の受光部とで本発明の「第
2の光学系」を構成している。
【0044】ステージ駆動手段50は、XYZステージ
30をX方向に駆動するX方向駆動機構52と、XYZ
ステージ30をY方向に駆動するY方向駆動機構54
と、XYZステージ30をZ方向に駆動するZ方向駆動
機構56と、XYZステージ30をθ方向に駆動するθ
方向駆動機構58と、を含んで構成されている。これに
よって、XYZステージ30を3次元的に動作させた
り、アライメントを行うことができる。
【0045】制御回路100は、電子銃12に電源を供
給するための電子銃電源部102と、この電子銃電源部
102での電流、電圧などを調整制御する電子銃制御部
104と、電子レンズ16(複数の各電子的なレンズを
各々)を動作させるためのレンズ電源部106と、この
レンズ電源部106での各電子レンズに対応する各電流
を調整制御するレンズ制御部108と、を含んで構成さ
れる。
【0046】さらに、制御回路100は、補正用コイル
22を制御するためのコイル制御部110と、偏向器2
0にて成形方向の偏向を行う成形偏向部112aと、偏
向器20にて副走査方向の偏向を行うための副偏向部1
12bと、偏向器20にて主走査方向の偏向を行うため
の主偏向部112cと、成形偏向部112aを制御する
ためにデジタル信号をアナログ信号に変換制御する高速
D/A変換器114aと、副偏向部112bを制御する
ためにデジタル信号をアナログ信号に変換制御する高速
D/A変換器114bと、主偏向部112cを制御する
ためにデジタル信号をアナログ信号に変換制御する高精
度D/A変換器114cと、を含んで構成される。
【0047】さらに、制御回路100は、偏向器20に
おける位置誤差を補正する、乃ち、位置誤差補正信号な
どを各高速D/A変換器114a、114b、及び高精
度D/A変換器114cに対して供給して位置誤差補正
を促すあるいはコイル制御部110に対して当該信号を
供給することで補正用コイル22にて位置誤差補正を行
う位置誤差補正回路116と、これら位置誤差補正回路
116並びに各高速D/A変換器114a、114b及
び高精度D/A変換器114cを制御して電子ビームの
電界を制御する電界制御手段である電界制御回路118
と、描画パターンなどを前記基材2に対して生成するた
めのパターン発生回路120と、を含んで構成される。
【0048】またさらに、制御回路100は、第1のレ
ーザー測長器82を上下左右に移動させることによるレ
ーザー照射位置の移動及びレーザー照射角の角度等の駆
動制御を行う第1のレ−ザー駆動制御回路130と、第
2のレーザー測長器86を上下左右に移動させることに
よるレーザー照射位置の移動及びレーザー照射角の角度
等の駆動制御を行う第2のレ−ザー駆動制御回路132
と、第1のレーザー測長器82でのレーザー照射光の出
力(レーザーの光強度)を調整制御するための第1のレ
ーザー出力制御回路134と、第2のレーザー測長器8
6でのレーザー照射光の出力を調整制御するための第2
のレーザー出力制御回路136と、第1の受光部84で
の受光結果に基づき、測定結果を算出するための第1の
測定算出部140と、第2の受光部88での受光結果に
基づき、測定結果を算出するための第2の測定算出部1
42と、を含んで構成される。
【0049】さらにまた、制御回路100は、ステージ
駆動手段50を制御するためのステージ制御回路150
と、ローダ駆動装置60を制御するローダ制御回路15
2と、上述の第1、第2のレーザー駆動回路130、1
32・第1、第2のレーザー出力制御回路134、13
6・第1、第2の測定算出部140、142・ステージ
制御回路150・ローダ制御回路152を制御する機構
制御回路154と、真空排気装置70の真空排気を制御
する真空排気制御回路156と、測定情報を入力するた
めの測定情報入力部158と、入力された情報や他の複
数の情報を記憶するための記憶手段であるメモリ160
と、各種制御を行うための制御プログラムを記憶したプ
ログラムメモリ162と、後述する本発明の特徴的な構
成である各部を備えた本発明の特徴的な制御系300
(詳細は後述する)と、これらの各部の制御を司る例え
ばCPUなどにて形成された制御部170と、を含んで
構成されている。
【0050】なお、本例の第1の測定算出部と第2の測
定算出部とで、本発明の「測定算出手段」を構成でき
る。
【0051】上述のような構成を有する電子ビーム描画
装置1において、ローダ40によって搬送された基材2
がXYZステージ30上に載置されると、真空排気装置
70によって鏡筒10及び筐体11内の空気やダストな
どを排気したした後、電子銃12から電子ビームが照射
される。
【0052】電子銃12から照射された電子ビームは、
電子レンズ16を介して偏向器20により偏向され、偏
向された電子ビームB(以下、この電子レンズ16を通
過後の偏向制御された電子ビームに関してのみ「電子ビ
ームB」と符号を付与することがある)は、XYZステ
ージ30上の基材2の表面、例えば曲面部(曲面)2a
上の描画位置に対して照射されることで描画が行われ
る。
【0053】この際に、測定装置80によって、基材2
上の描画位置(描画位置のうち少なくとも高さ位置)、
もしくは後述するような基準点の位置が測定され、制御
回路100は、当該測定結果に基づき、電子レンズ16
のコイル17a、17b、17cなどに流れる各電流値
などを調整制御して、電子ビームBの焦点深度の位置、
すなわち焦点位置を制御し、当該焦点位置が前記描画位
置となるように移動制御される。
【0054】あるいは、測定結果に基づき、制御回路1
00は、ステージ駆動手段50を制御することにより、
前記電子ビームBの焦点位置が前記描画位置となるよう
にXYZステージ30を移動させる。
【0055】また、本例においては、電子ビームの制
御、XYZステージ30の制御のいずれか一方の制御に
よって行っても、双方を利用して行ってもよい(なお、
焦点位置の移動制御の詳細については後述する)。
【0056】(測定装置)次に、測定装置80につい
て、図3を参照しつつ説明する。測定装置80は、より
詳細には、図3に示すように、第1のレーザー測長器8
2、第1の受光部84、第2のレーザー測長器86、第
2の受光部88などを有する。
【0057】第1のレーザー測長器82により電子ビー
ムと交差する方向から基材2に対して第1の光ビームS
1を照射し、基材2を透過する第1の光ビームS1の受
光によって、第1の光強度分布が検出される。
【0058】この際に、図3に示すように、第1の光ビ
ームS1は、基材2の底部2cにて反射されるため、第
1の強度分布に基づき、基材2の平坦部2b上の(高
さ)位置が測定算出されることになる。しかし、この場
合には、基材2の曲面部2a上の(高さ)位置を測定す
ることができない。
【0059】そこで、本例においては、さらに第2のレ
ーザー測長器86を設けている。すなわち、第2のレー
ザー測長器86によって、第1の光ビームS1と異なる
電子ビームとほぼ直交する方向から基材2に対して第2
の光ビームS2を照射し、基材2を透過する第2の光ビ
ームS2が第2の受光部88に含まれるピンホール84
を介して受光されることによって、第2の光強度分布が
検出される。
【0060】この場合、図4(A)〜(C)に示すよう
に、第2の光ビームS2が曲面部2a上を透過すること
となるので、前記第2の強度分布に基づき、基材2の平
坦部2bより突出する曲面部2a上の(高さ)位置を測
定算出することができる。
【0061】具体的には、第2の光ビームS2がXY基
準座標系における曲面部2a上のある位置(x、y)の
特定の高さを透過すると、この位置(x、y)におい
て、図4(A)〜(C)に示すように、第2の光ビーム
S2が曲面部2aの曲面にて当たることにより散乱光S
S1、SS2が生じ、この散乱光分の光強度が弱まるこ
ととなる。このようにして、図5に示すように、第2の
受光部88にて検出された第2の光強度分布に基づき、
位置が測定算出される。
【0062】この算出の際には、図5に示すように、第
2の受光部88の信号出力Opは、図6に示す特性図の
ような、信号出力Opと基材の高さとの相関関係を有す
るので、制御回路100のメモリ160などにこの特
性、すなわち相関関係を示した相関テーブルを予め格納
しておくことにより、第2の受光部88での信号出力O
pに基づき、基材の高さ位置を算出することができる。
【0063】そして、この基材の高さ位置を、例えば描
画位置として、前記電子ビームの焦点位置の調整が行わ
れ描画が行われることとなる。
【0064】(描画位置算出の原理の概要)次に、本例
の特徴である電子ビーム描画装置1における、描画を行
う場合の原理の概要について、説明する。
【0065】先ず、基材2は、図2(A)(B)に示す
ように、例えば樹脂等による光学素子例えば光レンズ等
にて形成されることが好ましく、断面略平板状の平坦部
2bと、この平坦部2bより突出形成された曲面をなす
曲面部2aと、を含んで構成されている。この曲面部2
aの曲面は、球面に限らず、非球面などの他のあらゆる
高さ方向に変化を有する自由曲面であってよい。
【0066】このような基材2において、予め基材2を
XYZステージ30上に載置する前に、基材2上の複数
例えば3個の基準点P00、P01、P02を決定して
この位置を測定しておく(第1の測定)。これによっ
て、例えば、基準点P00とP01によりX軸、基準点
P00とP02によりY軸が定義され、3次元座標系に
おける第1の基準座標系が算出される。ここで、第1の
基準座標系における高さ位置をHo(x、y)(第1の
高さ位置)とする。これによって、基材2の厚み分布の
算出を行うことができる。
【0067】一方、基材2をXYZステージ30上に載
置した後も、同様の処理を行う。すなわち、図2(A)
に示すように、基材2上の複数例えば3個の基準点P1
0、P11、P12を決定してこの位置を測定しておく
(第2の測定)。これによって、例えば、基準点P10
とP11によりX軸、基準点P10とP12によりY軸
が定義され、3次元座標系における第2の基準座標系が
算出される。
【0068】さらに、これらの基準点P00、P01、
P02、P10、P11、P12により第1の基準座標
系を第2の基準座標系に変換するための座標変換行列な
どを算出して、この座標変換行列を利用して、第2の基
準座標系における前記Ho(x、y)に対応する高さ位
置Hp(x、y)(第2の高さ位置)を算出して、この
位置を最適フォーカス位置、すなわち描画位置として電
子ビームの焦点位置が合わされるべき位置とすることと
なる。これにより、上述の基材2の厚み分布の補正を行
うことができる。
【0069】なお、上述の第2の測定は、電子ビーム描
画装置1の第1の測定手段である測定装置80を用いて
測定することができる。
【0070】そして、第1の測定は、予め別の場所にお
いて他の測定装置を用いて測定しおく必要がある。この
ような、基材2をXYZステージ30上に載置する前に
予め基準点を測定するための測定装置としては、上述の
測定装置80と全く同様の構成の測定装置(第2の測定
手段)を採用することができる。この場合、測定装置か
らの測定結果は、例えば図1に示す測定情報入力部15
8にて入力されたり、制御回路100と接続される不図
示のネットワークを介してデータ転送されて、メモリ1
60などに格納されることとなる。もちろん、この測定
装置が不要となる場合も考えられる。
【0071】上記のようにして、描画位置が算出され
て、電子ビームの焦点位置が制御されて描画が行われる
こととなる。
【0072】具体的には、図2(C)に示すように、電
子ビームの焦点深度FZ(ビームウエストBW)の焦点
位置を、3次元基準座標系における単位空間の1フィー
ルド(m=1)内の描画位置に調整制御する。(この制
御は、上述したように、電子レンズ16による電流値の
調整もしくはXYZステージ30の駆動制御のいずれか
一方又は双方によって行われる。)なお、本例において
は、1フィールドの高さ分を焦点深度FZより長くなる
ように、フィールドを設定してあるがこれに限定される
ものではない。ここで、焦点深度FZとは、図21に示
すように、電子レンズ16を介して照射される電子ビー
ムBにおいて、ビームウエストBWが有効な範囲の高さ
を示す。なお、電子ビームBの場合、図21に示すよう
に、電子レンズ16の幅D、電子レンズ16よりビーム
ウエスト(ビーム径の最も細い所)BWまでの深さfと
すると、D/fは、0.01程度であり、例えば50n
m程度の解像度を有し、焦点深度は例えば数十μ程度あ
る。
【0073】そして、図2(C)に示すように、例えば
1フィールド内をY方向にシフトしつつ順次X方向に走
査することにより、1フィールド内の描画が行われるこ
ととなる。さらに、1フィールド内において、描画され
ていない領域があれば、当該領域についても、上述の焦
点位置の制御を行いつつZ方向に移動し、同様の走査に
よる描画処理を行うこととなる。
【0074】次に、1フィールド内の描画が行われた
後、他のフィールド、例えばm=2のフィールド、m=
3のフィールドにおいても、上述同様に、測定や描画位
置の算出を行いつつ描画処理がリアルタイムで行われる
こととなる。このようにして、描画されるべき描画領域
について全ての描画が終了すると、基材2の表面におけ
る描画処理が終了することとなる。
【0075】なお、本例では、この描画領域を被描画層
とし、この被描画層における曲面部2aの表面の曲面に
該当する部分を被描画面としている。
【0076】さらに、上述のような各種演算処理、測定
処理、制御処理などの処理を行う処理プログラムは、プ
ログラムメモリ162に予め制御プログラムとして格納
されることとなる。
【0077】(本実施の形態の特徴的構成)次に、本実
施の形態の特徴、すなわち、所定のビーム径の範囲にて
描画を行うための制御系の具体的構成について図7を用
いて説明する。図7には、本実施の形態の特徴的構成の
電子ビーム描画装置の制御系の機能ブロック図が開示さ
れている。
【0078】同図に示すように、ビーム径の範囲を規定
するための制御系300は、ビーム径の上限、下限の範
囲を規定するのに必要とされる各種演算情報を格納した
格納手段であるメモリ310と、このメモリ310の各
種情報に基づいて、ビーム径の範囲を規定したりその範
囲での描画実行を促すための種々の演算処理を行う各種
の処理プログラムを備えたプログラムメモリ320と、
ビーム径の上限値又は下限値のいずれか一方又は双方を
設定するための設定手段であるビーム径設定手段330
と、これら各部の制御を司るとともに、前記制御部17
0と連携して他の制御系との信号並びにデータの授受を
行うためのビーム系制御手段340と、を含んで構成さ
れている。
【0079】メモリ310には、ビーム径に関連する情
報を格納したビーム径関連情報格納部311と、描画後
の現像処理における現像進行速度ないしは現像進行性な
どの情報、あるいはシャープ度(後述する)に関する情
報などをビーム径と対応させて格納した現像処理進行速
度情報315と、これらに準じる各種ビーム径の制御に
類するその他の各種情報であるその他の情報316など
が格納されている。
【0080】ビーム径関連情報格納部311は、予め設
定されたないしはビーム径設定手段330からの操作入
力により設定されたビーム径の上限値に関するビーム径
上限値情報(第2のビーム径)312と、同様にして設
定されたビーム径の下限値に関するビーム径下限値情報
(第1のビム径)313と、DA変換器の性能に応じた
DA変換器の1dotの大きさに関するDAC情報31
4などが格納されている。
【0081】一方、プログラムメモリ320には、これ
らの処理を行う処理プログラム(より詳細には、例えば
後述する図15のS121〜S126までの一連の処理
など)などを格納してあり、より具体的には、DA変換
器の1dotがどの程度の大きさのものであるかに関す
るDAC情報を取得して前記メモリ310の所定領域に
格納するプログラムであるDAC情報取得手段321
と、ビーム径上限値情報312とビーム径下限値情報3
13とに基づいて、ビーム径の範囲を規定するビーム径
範囲規定手段322と、現在のビーム径とビーム径上限
値情報312とを比較して、当該ビーム径が上限値より
も大きい場合には処理を停止し、当該ビーム径が上限値
より小さい場合にはビーム径範囲規定手段322を起動
させる上限値比較手段324と、現在のビーム径とビー
ム径下限値情報313とを比較して、当該ビーム径が下
限値よりも小さい場合には処理を停止し、当該ビーム径
が下限値より大きい場合にはビーム径範囲規定手段32
2を起動させる下限値比較手段325と、その他の各種
演算処理を行うプログラム(例えば、DAC情報から下
限値及び上限値を一義的に算出して前記メモリに格納す
るプログラム等)であるその他の処理プログラム236
などが構成されている。
【0082】なお、本実施の形態のメモリ310にて本
発明の「格納手段」を構成でき、また、本実施の形態の
プログラムメモリ320とビーム制御手段340と制御
部170とで本発明の「制御手段」を構成できる。ま
た、上限値比較手段324と下限値比較手段325とで
比較手段を構成できる。
【0083】上記のような構成を有する制御系300に
おいて、DAC情報取得手段321はDA変換器の1d
otの大きさに関する情報(例えば、20[nm]×2
0[nm]等)を取得してメモリ310にDAC情報3
14として格納する。なお、ビーム径関連情報格納部3
11には、ビーム径の上限値がDAC1dotの何倍で
あるのか(本実施の形態ではほぼ4倍)といった上限値
倍数情報、さらには下限値がDAC1dotの何倍であ
るのか(本実施の形態ではほぼ1倍)といった下限値倍
数情報も格納されることとなり、この際、その他の処理
プログラム326などに含まれる演算プログラムによ
り、DAC情報314、上限値倍数情報、及び下限値倍
数情報に基づき、ビーム径上限値情報312ならびにビ
ーム径下限値情報312などを算出してメモリ310に
格納することとなる。これによって、DA変換器の性能
に応じた上限値及び下限値が一義的に算出されることと
なる。
【0084】一方、これとは別に、ビーム径設定手段3
30などにおいて、装置使用者が任意にビーム径の上限
値及び下限値を設定入力も行えることもでき、入力され
た情報をビーム径上限値情報312やビーム径下限値情
報313として設定登録がなされることとなる。なお、
設定入力された情報がDA変換器から理論上算出される
上限値及び下限値とあまりにもかけ離れている場合に
は、設定登録を不可としたり、エラーメッセージで通知
することもできる。また、ビーム径の設定の仕方は、マ
ニュアルあるいはリモートのいずれであってもよい。
【0085】次に、上限値比較手段324により、現在
のビーム径とビーム径上限値情報312とを比較して、
当該ビーム径が上限値よりも大きい場合には処理を停止
し、当該ビーム径が上限値より小さい場合にはビーム径
範囲規定手段322を起動させる一方、下限値比較手段
325により、現在のビーム径とビーム径下限値情報3
13とを比較して、当該ビーム径が下限値よりも小さい
場合には処理を停止し、当該ビーム径が下限値より大き
い場合にはビーム径範囲規定手段322を起動させる。
【0086】このようにしてビーム径が所定の制限範囲
内にあることが確認されると、ビーム径範囲規定手段3
22は、ビーム径上限値情報312とビーム径下限値情
報313とに基づいて、ビーム径の範囲を規定するとと
もに、ビーム径制御手段340は、前記範囲内にて描画
が実行されるように逐次制御することとなる。これによ
って、電子ビームにより基材に対して照射に描画を行う
際には、必ず上記ビーム径の制限範囲を規定する処理が
同時に行われ、ビーム径が許容範囲を逸脱して現像進行
性の差異や解像度の劣化を生じ得ないよう好適に制御さ
れる。
【0087】(ビーム径の上限値と下限値について)次
に、ビーム径の上限値及び下限値が先に述べたように、
DA変換器のほぼ所定倍に規定されてる理由について、
図8を参照しつつ説明する。図8には、電子ビーム描画
装置におけるビーム径の変位と現像進行性の変位並びに
シャープ度の変位との関係を示した特性図が開示されて
いる。
【0088】ここに、現像進行性Dとは、図8に示すよ
うに、ブレーズの立ち上がり部分の側壁の高さ(現像進
行の深さ)をいう。また、シャープ度Δは、ブレーズの
溝部の横方向の幅を示し、この幅が小さい程シャープで
あることを示す。図8の特性図は、縦軸に前記現像進行
性D及びシャープ度Δを、横軸にビーム径の大きさを示
している。なお、この図においては、1dotを20
[nm]×20[nm]であるものとした場合を例示し
ている。
【0089】同図に示すように、現像進行性Dの特性
は、ビーム径が0nmから略20nm付近までは除々に
値が小さくなるように変化し、一方、ビーム径が略20
nm付近から略90nm付近までは値が一定であり、他
方、ビーム径が略100nm以上となると値が小さくな
るように変化する特徴を有している。また、シャープ度
Δは、ビーム径がほぼ80nm付近まで値が一定であ
り、それ以上になると除々に値が増大する特性を有する
こととなる。
【0090】ここで、現像進行度Dのみの観点から、現
像進行度の値が変化しない(言い換えれば、描画パター
ンを現像してレジスト形状を形成する際の現像進行度に
ビーム径に応じた差異が生じ得ない)のは、図から明ら
かなように、第1のビーム径(BW1)より、第3のビ
ーム径(BW3)までの範囲となり、その上限値(BW
3)は、例えば略100nm付近の値となり、下限値
(BW1)は、例えば略10nm付近の値となる。これ
をDA変換器の1dotの倍数値に換算すると、ほぼ1
倍からほぼ5倍の範囲となる。
【0091】一方、シャープ度Δのみの観点から、値が
変化しない(溝部の形状がシャープでブレーズ形状が良
好となる、あるいは解像度の劣化ないしは荒れが生じ得
ない)のは、図から明らかなように、第2のビーム径
(BW2)以下の範囲となり、その上限値(BW3)
は、例えば略80nm付近の値となる。これをDA変換
器の1dotの倍数値に換算すると、ほぼ4倍以下の範
囲となる。
【0092】以上のことから、溝部の形状がシャープで
あって、なおかつ、現像進行性が変化しない領域BWL
は、第1のビーム径(BW1)から第2のビーム径(B
W2)の範囲となり、結果として好ましいのはDA変換
器の1dotのほぼ1倍からほぼ4倍の範囲ということ
になる。
【0093】なお、1dotのほぼ1倍に相当するビー
ム径は、例えば、図9に示すBW1による領域であり、
1dotのほぼ4倍に相当するビーム径は、例えば、図
9に示すBW4による領域である。
【0094】また、上述の例では、DA変換器の1do
tが20[nm]×20[nm]の場合につき例示した
が、この数値に限定される趣旨ではなく、図8の特性や
値も1dotの基準値の変化に応じて変化することとな
るが、前記倍数値は変化しないことは言うまでもない。
【0095】以上のような、DA変換器の倍数値による
上限値及び下限値の範囲による描画を行った際のブレー
ズ形状の一例を図10、図11に示す。なお、これら図
の結果では、1dotを10[nm]×10[nm]と
した場合を例示している。
【0096】図10では、ビーム径が10nm(乃ち、
DA変換器の倍数値がほぼ1倍)の場合を示し、ブレー
ズ形状401が、傾斜部401a、側壁部401b、溝
部401cで各々良好に、解像度の劣化も生じ得ず、荒
くもなく形成されているのがわかる。一方、図11で
は、ビーム径が40nm(乃ち、DA変換器の倍数値が
ほぼ4倍)の場合を示し、同様にして、ブレーズ形状4
02が、傾斜部402a、側壁部402b、溝部402
cで各々良好に、解像度の劣化も生じ得ず、荒くもなく
形成されているのがわかる。
【0097】このように、DA変換器の1dotの1倍
から4倍という上記範囲の条件を満たしていれば、DA
変換器の性能が変化したとしても、良好なブレーズ形状
を得ることができるのである。
【0098】ここで、仮に、上記範囲の条件を逸脱した
場合を説明すると、例えば、ドーズを同一にしてビーム
径を変化された場合の現像進行性に伴うブレーズの形状
は、前記倍数値を1dotの1倍よりも小さくした場合
には、図12(A)に示すように、前記倍数値を1do
tの4倍よりかなり大きくした場合には、図12(B)
に示すようになることが考えられよう。
【0099】乃ち、図12(A)のようにビーム径が極
端に小さく現像進行性が著しい場合には、ブレーズ形状
の溝部403は、基板部分の平面部を含むほど扁平に形
成される。一方、図12(B)のようにビーム径が極端
に大きく現像進行性の値が小さい場合には、ブレーズ形
状の溝部404が基板にまで到達しない。いずれにして
も前記規定範囲を超えた場合には、良好な形状が得られ
ない。
【0100】また、1dotの倍数値がさらにほぼ15
倍近くになった場合には、荒さや解像度の劣化が生じ、
図13に示すように、ブレーズ形状405が、傾斜部4
05a、側壁部405b、溝部405cのいずれの箇所
においても、各種段差が発生し、表面が荒く形成されて
しまうことがわかる。
【0101】以上、ビーム径の大きさに範囲を設けて制
限することにより、ビーム径の僅かな変位に伴う描画実
施後における現像進行性の差異がなくなるとともに、解
像度の劣化もおきず、しかも、焦点深度内でのドーズ条
件を同一にして描画することができ、ドーズ条件の細か
な変更を要せず描画できる。
【0102】(処理手順について)次に、上述のような
構成の電子ビーム描画装置にて基材上に描画を行う場合
の処理手順の詳細について、図14〜図19を参照しつ
つ説明する。
【0103】(描画全体処理)先ず、描画処理の全体の
概略的な処理の流れについて、図14を参照しつつ説明
する。
【0104】予め、基材の3基準点P0n=(xn、y
n、zn)、n=1〜3の各測定、並びに基材の各部の
高さHo(x、y)の測定を測定装置200により行う
(S101)。
【0105】次に、電子ビーム描画装置1に測定された
基材2のセットを行い、描画開始準備を行う(S10
2)。なお、このステップでは、前記測定装置200に
て測定された測定結果を、電子ビーム描画装置1の測定
情報入力部158を用いて入力を行う。入力された測定
結果は、メモリ160等に記憶されることとなる。
【0106】なお、電子ビーム描画装置1と測定装置2
00とを一つのクリーンルームもしくはチャンバ内にて
ネットワーク接続し、測定装置200にて測定された測
定結果が一義的に電子ビーム描画装置1内のメモリ16
0内に格納される「システム」を構成している場合に
は、上述の入力作業は不要となる。この「システム」
は、上述のセット前に予め基材を測定するための測定装
置(第2の測定装置)と、セット後に基材を測定するた
めの測定装置(第1の測定装置)との都合2つの測定装
置を含む電子ビーム描画装置として定義してもよい。さ
らには、これらの測定装置を一つにして双方の測定を兼
用できる構成(例えば基材をチャックしてからステージ
上に搬送する間の搬送路において、セット前の測定位置
(第1位置)とセット後の測定位置(第2位置)との間
を測定装置が移動するとともに、セット前測定用の測定
ステージを前記第1位置に、ステージを第2位置に位置
させる構成、あるいは、測定ステージとステージとを用
意しておき、描画位置の測定位置に必要に応じていずれ
かのステージを位置させる構成等)としてもよい。
【0107】次に、基材2の3基準点P1n(Xn、Y
n、Zn)の測定を、電子ビーム描画装置1の描画領域
に設けられた測定装置80を用いて測定を行う(S10
3)。
【0108】すると、電子ビーム描画装置1では、上記
S101にて予め測定された3基準点P0n(xn、y
n、zn)の情報及び各部の高さHo(x、y)の情報
(第1の座標系)と、上記S103にて測定された3基
準点P1n(Xn、Yn、Zn)の情報(第2の座標
系)と、に基づき、電子ビーム描画装置1内におけるビ
ームの最適フォーカス位置Hp(x、y)の算出を行う
(S104)。なお、この算出を行うための演算アルゴ
リズムを具現化した処理プログラムは、例えばプログラ
ムメモリに格納されて、制御部によって他の処理プログ
ラムとともに必要に応じて処理されることとなる。この
処理プログラムは、例えば制御部170及びプログラム
メモリ162を含む最適フォーカス位置算出手段を構成
できる(なお、座標系の変換処理等の詳細については後
述する。)。
【0109】ところで、このS104は、あくまでも1
フィールド(例えば0.5×0.5×0.05mm等の
単位空間)(m=1)についてである。因みに、この1
フィールド内をビームが走査することで後述する描画が
行われる。
【0110】次いで、XYZステージ30を、m分割さ
れた特定の1フィールドに移動し、焦点深度f内にある
位置について描画を実施する処理を行う(S105)。
【0111】また、焦点深度内にある位置で、未だ描画
されていない部分があれば、当該部分について描画を行
うこととなる(S106)。なお、前記S105、S1
06においては、後述するS121〜S127に示され
るビーム径の範囲を制限しながら描画処理が行われるこ
ととなる。これによって、ビーム径の大きさに範囲を設
けて制限することにより、ビーム径の僅かな変位に伴う
描画実施後における現像進行性の差異がなくなるととも
に、解像度の劣化もおきず、しかも、焦点深度内でのド
ーズ条件を同一にして描画することができ、焦点深度内
におけるドーズ条件の細かな変更制御が不要となる。
【0112】そして、当該1フィールドの描画が完了し
たか否かの判断処理を行う(S107)。この判断処理
において、当該フィールドについて描画が完了したもの
と判断された場合には、m←m+1とする処理を行い
(S111)、次の一フィールド(第2フィールド)に
ついて同様の処理を行うこととなる。
【0113】一方、S107の判断処理において、当該
第1フィールドについて描画が完了していないものと判
断された場合には、XYZステージ30及び鏡筒10の
いずれか一方又は双方を相対移動させることで、Z軸を
微小移動させ、電子ビームのフォーカス位置を微小移動
させる(第1処理)。もしくは、電磁レンズの電流をレ
ンズ制御部によって調整制御することでビームのフォー
カス位置を微小移動させる(第2処理)。あるいは、第
1処理及び第2処理の双方の制御によってフォーカス位
置の調整制御を行う(S108)。
【0114】次に、フォーカス電流を変更した場合に
は、この電流値に対応する描画位置x、yの補正を行う
補正処理を実行する(S109)。
【0115】そして、全ての描画が完了したか否かの判
断処理を行い(S110)、全ての描画が完了していな
いものと判断された場合には、S108に戻り、全ての
描画が完了したものと判断された場合には、処理を終了
する。
【0116】(ビーム径範囲制限処理)ここで、ビーム
径の上限値と下限値によりビーム径の範囲を制限しなが
ら描画を行われるためのビーム径範囲制限処理につい
て、図15を参照しつつ説明する。
【0117】先ず、現在のビーム径に関する情報を取得
する(S121)。そして、焦点深度以上に表面高さが
異なるか否かの判断処理を行うこととなる(S12
2)。この判断処理において、焦点深度以上に表面高さ
が異ならないと判断された場合には、S124に進む。
一方、前記判断処理において、焦点深度以上に表面高さ
が異なる場合には、被描画面上のビーム径の調整を行う
こととなる(S123)。
【0118】次に、ビーム径がDA変換器の1ドット
(dot)のほぼ1倍より大きいか否かの判断処理を行
う(S124)。この判断処理において、ほぼ1倍より
も大きい径であると判断された場合には、S125に進
む。一方、S124の判断処理において、ほぼ1倍より
も大きい径ではないと判断された場合には、描画停止を
するかあるいは、ドーズ条件を変更する等を処理を行う
こととなる(S127)。
【0119】加えて、ビーム径がDA変換器の1ドット
(dot)のほぼ4倍より小さいか否かの判断処理を行
う(S125)。この判断処理において、ほぼ4倍より
も小さい径であると判断された場合には、ビーム径を前
記1ドットのほぼ1倍〜ほぼ4倍の範囲内となるように
焦点深度の範囲を制限しつつ、処理を行うこととする
(S126)。
【0120】一方、S125の判断処理において、ほぼ
4倍よりも小さい径ではないと判断された場合には、描
画停止をするかあるいは、ドーズ条件を変更する等を処
理を行うこととなる(S127)。
【0121】このようにして、ビーム径の範囲を制限し
ながらの描画処理を促すことが可能となり、これによっ
て、ビーム径の大きさに範囲を設けて制限することによ
り、ビーム径の僅かな変位に伴う描画実施後における現
像進行性の差異がなくなるとともに、解像度の劣化もお
きず、しかも、焦点深度内でのドーズ条件を同一にして
描画することができ、焦点深度内におけるドーズ条件の
細かな変更制御が不要となる。
【0122】(XYZステージを制御する場合)次に、
測定装置80を用いて、基材を載置したXYZステージ
をZ方向に制御する場合の処理手順について、図16を
参照しつつ説明する。
【0123】なお、測定装置80を略してSHS(スロ
ープハイトセンサー)と呼ぶことがある。
【0124】また、1フィールドの広さは、x、yの描
画範囲及びz焦点深度で規定される範囲であるが、本例
では、例えば0.5×0.5×0.05mm等とするこ
とが好ましい。
【0125】先ず、XYZステージ30上に予め用意さ
れている基準ゲージAの先端部によって、SHSのビー
ムが半ば散乱されている状態(出力Op)で、基準ゲー
ジA(図6参照)の先端部に電子線の焦点を合わせる
(S201)。
【0126】次に、XYZステージ30を移動させ、基
材の平坦部に電子ビームの焦点を合わせ、平坦部を測定
する高さ測定器(FHS)の出力をゼロアジャスト(調
整)する(S202)。
【0127】そして、基材2上の基準マークを検出後、
電子ビーム描画装置1内での基材2の位置を認識後、X
YZステージ30を余裕をもって下降させた後、最初の
フィールドへステージを移動させる(S203)。
【0128】次いで、XYZステージ30を、SHSの
出力がOpになるかあるいはFHSの出力が0になるま
で、上昇させる(S204)。
【0129】さらに、このフィールド(焦点深度内)の
描画を行う(S205)。なお、前記S205において
は、前記S121〜S127に示されるビーム径の範囲
を制限しながら描画処理が行われることとなる。これに
よって、ビーム径の大きさに範囲を設けて制限すること
により、ビーム径の僅かな変位に伴う描画実施後におけ
る現像進行性の差異がなくなるとともに、解像度の劣化
もおきず、しかも、焦点深度内でのドーズ条件を同一に
して描画することができ、焦点深度内におけるドーズ条
件の細かな変更制御が不要となる。そして、XYZステ
ージ30を上昇させ、次のフィールドにステージを移動
させる(S206)。
【0130】次に、全ての描画が完了したか否かの判断
処理を行う(S207)。この判断処理において、全て
の描画が完了していないのと判断されると、S205に
戻る。一方、前記判断処理において、すべての描画が完
了していないものと判断されると、処理が終了する。
【0131】(電子レンズを制御する場合)次に、測定
装置を用い、電子レンズに流す電流Irを制御する場合
の処理手順について、図17を参照しつつ説明する。
【0132】なお、電流Irとビームフォーカス位置の
関係は、ビーム電流、電子線のエナルギーに影響され、
かつ、それ自身ヒステリシスを持つことを考慮し、制御
を行う必要がある(以下、ビーム電流、電子線のエネル
ギーを固定し、電流Irは一方向から設定することとす
る)。なお、この場合の処理においては、1フィールド
を例えば0.5×0.5mm程度に設定することが好ま
しい。
【0133】先ず、XYZステージ30上に予め用意さ
れている基準ゲージAの先端部によって、SHSのビー
ムが半ば散乱されている状態(出力Op)でIrを調整
し、当該基準ゲージAの先端部に電子線の焦点を合わせ
る(S301)。なお、この調整された電流をIr1と
する。なお、図7に示すように、SHSのセンサー出力
がOpの位置は、丁度電子ビームのフォーカス位置に相
当する。
【0134】次に、XYZステージ30を移動し、基材
2の平坦部2bに電子ビームの焦点を合わせ、平坦部2
bを測定する高さ測定器(FHS)の出力をゼロアジャ
スト(調整)する(S302)。
【0135】そして、基材2上の基準マークを検出後、
電子ビーム描画装置1内での基材2の位置を認識後、X
YZステージ30を余裕をもって下降させた後、描画す
べき最初のフィールドで設計寸法上最も低い(高い)部
分にSHSビームの測定位置(x、y)に合うように、
XYZステージ30を移動させる(S303)。
【0136】次いで、SHSの出力がOpになるか、あ
るいはFHSの出力が0になるまでステージを上昇させ
る(S304)。このフィールドで基材の設計寸法が焦
点深度(ΔZ〜0.05mm)範囲のみ描画を行う(S
305)。
【0137】次に、電流Irを変更し、電子ビーム焦点
を0.05mm程度短く(長く)し、予め求めたN(I
r)に基づき、ビーム偏向電圧を制御し、このフォーカ
ス位置で焦点深度内にある範囲を描画する(S30
6)。なお、前記S305、S306においては、前記
S121〜S127に示されるビーム径の範囲を制限し
ながら描画処理が行われることとなる。これによって、
ビーム径の大きさに範囲を設けて制限することにより、
ビーム径の僅かな変位に伴う描画実施後における現像進
行性の差異がなくなるとともに、解像度の劣化もおき
ず、しかも、焦点深度内でのドーズ条件を同一にして描
画することができ、焦点深度内におけるドーズ条件の細
かな変更制御が不要となる。
【0138】そして、該当フィールドで全ての位置の描
画が終了するまで、上記S305〜S306を繰り返す
(S307)。
【0139】さらに、電子レンズ16を調整する電流を
Ir1に戻し、XYZステージ30を余裕を持ち、下降
させた後、次に描画すべきフィールドの設計寸法上最も
低い(高い)部分にSHSビームの測定位置(x、y)
に合うようにXYZステージ30を移動させる(S30
8)。
【0140】そして、すべての領域の描画が終了するま
で、S305〜S308までを繰り返し行うこととなる
(S309)。
【0141】なお、電子線のエネルギーとビーム電流を
固定した時に、ビームの偏向電圧(Vx、Vy)と焦点
部でのビーム位置(x、y)は、以下の関係で表され
る。(x、y)=M(Ir)×(Vx、Vy)(Vx、
Vy)=N(Ir)×(x、y)ここで、Nは、Mの逆
行列である。また、予め使用するエネルギー、ビーム電
流にて、N(Ir)をテスト描画より求めておくものと
する。さらに、Ir1付近で精度を高めておくことが望
ましい。
【0142】(描画すべき位置を換算する処理)次に、
電子ビーム描画装置1にセットする前に、予め基材の各
部を測定しておき、電子ビーム描画装置1内で基準点を
再度測定し、該装置内で描画すべき位置(x、y、z)
を換算し、描画を実施する場合の処理手順について、図
18を参照しつつ説明する。
【0143】図18には、基材2上に描画すべき位置を
換算するための処理手順が開示されている。なお、本例
では、フィールドの広さは、xyの描画範囲で規定され
る範囲(ば0.5×0.5mm程度等)とすることが好
ましい。
【0144】先ず、描画位置に基材2をセットする前に
予め基材の基準点P00(x0、y0、z0)、P01
(x1、y1、z1)、P02(x2、y2、z2)、
及び基材の被照射部Q0(x、y、z)を、適当なピッ
チ(例えば10μm×10μm等)で3次元測定機にて
測定をしておく(S401)。
【0145】次いで、基材2を電子ビーム描画装置2へ
セットし、基材2の基準点を描画位置の電子線像が画面
中央になる位置と、ハイトセンサーの出力が0になる位
置P10(X0、Y0、Z0)、P11(X1、Y1、
Z1)、P12(X2、Y2、Z2)を、電子ビーム描
画装置1のXYZステージ30の値から測定する(S4
02)。さらに、P00〜P02とP10〜P12によ
り変換行列Mを求める(S403)。
【0146】描画すべき点Q1(X、Y、Z)を、対応
するQ0(x、y、z)からQ1=M×Q0により算出
する。
【0147】以降、Q1の値(群)によりXYZステー
ジ30の制御を行う。ただし、該当する位置がQ1群に
無い場合は、X、Y、Zそれぞれに近傍点qx1、qx
2、・・・から直接近似等により算出する(S40
4)。
【0148】最初に描画するフィールドの最も低い(高
い)部分へXYZステージ30を移動させる。このフィ
ールドでQ1の値が焦点深度(例えば約0.05mm
等)範囲のみ描画を行う(S405)。
【0149】また、XYZステージ30を、例えば約
0.05mm等下降(上昇)させる該当フィールドで、
未だ描画されておらず、焦点深度内の部分の描画を行う
(S406)。なお、前記S405、S406において
は、前記S121〜S127に示されるビーム径の範囲
を制限しながら描画処理が行われることとなる。これに
よって、ビーム径の大きさに範囲を設けて制限すること
により、ビーム径の僅かな変位に伴う描画実施後におけ
る現像進行性の差異がなくなるとともに、解像度の劣化
もおきず、しかも、焦点深度内でのドーズ条件を同一に
して描画することができ、焦点深度内におけるドーズ条
件の細かな変更制御が不要となる。
【0150】そして、該当フィールドの描画が終了する
まで、S405〜S406を繰り返す。そして、次のフ
ィールドの最も低い(高い)部分にステージを移動させ
る(S407)。
【0151】全ての描画が完了するまでS405〜S4
07を繰り返す(S408)。
【0152】(行列Mの算出手順)次に、上述のS40
3にて演算される行列Mの算出手順について、図19を
参照しつつ説明する。
【0153】図19に示すように、基材2を電子ビーム
描画装置1にセットする前では、測定結果に基づき、図
示のように基準位置を算出して第1の座標系の座標軸を
決定する(S501)。
【0154】次に、基材2を電子ビーム描画装置1にセ
ットする後では、測定結果に基づき、図示のように基準
位置を算出して第2の座標系の座標軸を決定する(S5
02)。
【0155】ここで、S501にて定義された各基準位
置P00、P01、P02と、S502にて定義された
各基準位置P10、P11、P12との関係は、第1の
座標系を第2の座標系に変換する座標変換行列をMとす
ると、図示の式(1)〜(3)のように表すことができ
る。
【0156】同様にして、S501における基材2の任
意の位置Q0と、S502における基材のQ0に対応す
る位置Q1との関係は、図示の式(4)にて表すことが
できる。
【0157】このようにして座標変換行列Mの定義を行
う(S503)。すなわち、このステップを、よりハー
ドウエアに近いレベルでの処理についてみると、予め定
義された座標変換行列Mの定義式(1)〜(4)をメモ
リ上の所定領域から呼び出す処理を行う。
【0158】次に、座標変換行列Mを算出するための前
段階として上記定義式(1)〜(3)を一括して扱い、
図示のように行列化を行う(S504)。
【0159】そして、座標変換行列Mを算出するための
演算式が導き出される(S505)。なお、本例におい
ては、理解を容易にするために、座標変換行列Mを算出
するための演算式を算出する手順を順を追って説明した
が、S503〜S505は一つのステップとし、前記演
算式のみを予めメモリ上の所定領域に記憶しておいて、
必要に応じて、S501、S502での測定算出結果に
基づき演算を行う構成としてよい。これにより、座標変
換行列Mを算出することができる。
【0160】このようにして座標変換行列Mが算出され
ると、上述のS404以降の処理が行われることとな
る。すなわち、座標変換行列Mに基づき、S503の式
(4)を用いて、電子ビーム描画装置2にセットした後
の任意の位置を得ることができる。
【0161】以上のように本実施の形態によれば、ビー
ム径の大きさに範囲を設けて制限することにより、ビー
ム径の僅かな変位に伴う描画実施後における現像進行性
の差異がなくなるとともに、解像度の劣化もおきず、し
かも、焦点深度内でのドーズ条件を同一にして描画する
ことができ、焦点深度内におけるドーズ条件の細かな変
更制御が不要となる。
【0162】とりわけ、DACの1ドットの領域に対し
て、わずかにビーム径を大きくすることが好ましく、さ
らには、ビーム径を1ドットのほぼ1倍からほぼ4倍の
範囲とすることが溝部のシャープさや現像進行性の安定
化の観点から好ましい。
【0163】なお、他の効果としては、エネルギー線例
えば電子ビームによる直接描画・直接加工技術を利用す
れば、電子ビームは、例えばレーザービーム等に比べる
と、波長が短いことから、非常に精密な加工に適してい
る。しかも、電子ビームは、ビーム照射方向(加工物の
厚さ方向)について、加工精度の点で有利であり、基材
と電子ビーム照射手段(例えば光源等)とを相対的に移
動させても、十分に位置精度を確保することができる。
このため、3次元形状を有する立体的な対象物、特に連
続した曲面を有する基材を加工することが容易に可能に
なる。従って、球面あるいは非球面形状の光学機能面に
回折構造を有する光学素子を形成することができ、より
立体的な加工が容易に実現できる。
【0164】なお、この場合、予め基材の形状を測定装
置により把握しておいてフィードバック等の制御により
焦点位置を容易に算出できるので、曲面を有する基材に
おいても容易に精度良く描画を行うことができる。
【0165】[第2の実施の形態]次に、本発明にかか
る第2の実施の形態について、図20に基づいて説明す
る。なお、以下には、前記第1の実施の形態の実質的に
同様の構成に関しては説明を省略し、異なる部分につい
てのみ述べる。
【0166】上述の第1の実施の形態では、電子ビーム
により基材上に回折光子などの精密加工を施す工程を開
示したが、本例では、上記工程を含むプロセス全体の工
程、特に、光学素子等の光レンズを成形によって製造す
るための金型等を製造する工程を説明する。
【0167】先ず、機械加工により金型(無電解ニッケ
ル等)の非球面加工を行う(加工工程)。次に、図20
(A)に示すように、金型により前記半球面を有する基
材200の樹脂成形を行う(樹脂成形工程)。さらに、
基材200を洗浄した後に乾燥を行う。
【0168】次いで、樹脂の基材200の表面上の処理
を行う(樹脂表面処理工程)。この工程では、例えばA
u蒸着などの工程を行うこととなる。具体的には、図2
0(B)に示すように、基材200の位置決めを行い、
レジストLを滴下しつつスピナーを回転させて、スピン
コートを行う。また、プリペークなども行う。
【0169】スピンコーティングの後には、当該レジス
ト膜の膜厚測定を行い、レジスト膜の評価を行う(レジ
スト膜評価工程)。具体的には、図20(C)に示すよ
うに、基材200の位置決めを行い、当該基材200を
X、Y、Z軸にて各々制御しつつ露光を行う。
【0170】次に、基材200上のレジスト膜Lの表面
平滑化処理を行う(表面平滑化工程)。さらに、図20
(D)に示すように、基材200の位置決めなどを行い
つつ、現像処理を行う(現像工程)。さらにまた、表面
硬化処理を行う。
【0171】次いで、SEM観察や膜厚測定器などによ
り、レジスト形状を評価する工程を行う(レジスト形状
評価工程)。
【0172】さらに、その後、基材200のレジスト表
面への金属202の蒸着を行う(金属蒸着工程)。そし
て、ドライエッチングなどによりエッチング処理を行
う。
【0173】次に、表面処理がなされた基材200に対
する金型204を作成するために、図20(E)に示す
ように、金型電鋳前処理を行った後、電鋳処理などを行
い、図20(F)に示すように、基材200と金型20
4とを剥離する処理を行う。
【0174】表面処理がなされた基材と剥離した金型2
04に対して、表面処理を行う(金型表面処理工程)。
そして、金型204の評価を行う。評価後、当該金型2
04を用いて成形品を作成する。その後、当該成形品の
評価を行う。
【0175】以上のように、本実施の形態によれば、上
述の光学素子を射出成形するための成形型をも容易に製
造できる。
【0176】なお、本発明にかかる装置と方法は、その
いくつかの特定の実施の形態に従って説明してきたが、
本発明の主旨および範囲から逸脱することなく本発明の
本文に記述した実施の形態に対して種々の変形が可能で
ある。例えば、上述の実施の形態では、ビーム径の範囲
をドットのほぼ1倍からほぼ4倍とする例について説明
したが、当然の事ながら、ほぼ1倍よりやや大きい場合
や、ほぼ1倍以上の場合の下限値のみであってもよい。
また、現像進行性の観点からは、ほぼ1倍からほぼ5倍
としてもよく、逆にシャープさの観点からは、ほぼ4倍
以下としてもよい。
【0177】また、少なくとも曲面部を有する基材に対
して、回折格子の少なくとも1ピッチ部分を傾けて形成
する場合、基材に少なくとも溝部(あるいは稠密なピッ
チで溝部が形成される場合)を有する構成であってもよ
い。さらに、基材としては、曲面部を有しなくとも、少
なくとも傾斜面が形成されているものであってもよい。
また、基材が平面あるいは傾斜面であって、電子ビーム
を所定角度で傾斜した状態で照射する場合であってもよ
い。
【0178】さらに、上述の実施の形態では、光レンズ
等の光学素子の基材を、直接描画する場合について説明
したが、樹脂等の光レンズを射出成形により形成するた
めの成形型(金型)を加工する場合に、上述の原理や処
理手順、処理手法を用いてもよい。また、基材として
は、DVDやCDなどに用いられるピックアップレンズ
が好ましい。
【0179】また、基材上の複数の基準点を測定し、こ
の測定結果に基づき基準座標系を算出し、この座標系を
もとに基材の厚み分布を測定するステップを、電子ビー
ム照射中に行う構成としてもよい。さらに、厚み分布に
基づき、最適焦点位置を算出する算出ステップ並びに描
画位置に当該焦点位置を合わせるように調整するステッ
プを、電子ビーム照射中に行う構成としてもよい。この
場合、ある一の描画位置にて描画を行っている電子ビー
ム照射中に、他の描画位置での前記焦点位置の算出等の
演算処理を行いつつ、次に電子ビーム照射に備える構成
とすることが好ましい。また、電子ビーム照射中に算出
ステップにて算出できるものとしては、基材の厚み分布
の他、厚み分布の補正等の処理も含まれる。
【0180】また、上述の第1の実施の形態の電子ビー
ム描画装置において処理される処理プログラム、説明さ
れた処理、メモリ内のデータ(各種テーブル等)の全体
もしくは各部を情報記録媒体に記録した構成であっても
よい。この情報記録媒体としては、例えばROM、RA
M、フラッシュメモリ等の半導体メモリ並びに集積回路
等を用いてよく、さらに当該情報を他のメディア例えば
ハードディスク等に記録して構成して用いてよい。
【0181】さらに、上記実施形態には種々の段階が含
まれており、開示される複数の構成要件における適宜な
組み合わせにより種々の発明が抽出され得る。つまり、
上述の各実施の形態同士、あるいはそれらのいずれかと
各変形例のいずれかとの組み合わせによる例をも含むこ
とは言うまでもない。また、実施形態に示される全構成
要件から幾つかの構成要件が削除された構成であっても
よい。
【0182】
【発明の効果】以上説明したように本発明によれば、3
次元描画を行う際に、ビーム径の大きさに範囲を設けて
制限することにより、ビーム径の僅かな変位に伴う描画
実施後における現像進行性の差異がなくなるとともに、
解像度の劣化もおきず、しかも、焦点深度内でのドーズ
条件を同一にして描画することができ、焦点深度内にお
けるドーズ条件の細かな変更制御が不要となり、現像後
所望のレジスト形状を得ることができる。
【0183】とりわけ、DACの1ドットの領域に対し
て、わずかにビーム径を大きくすることが好ましく、さ
らには、ビーム径を1ドットのほぼ1倍からほぼ4倍の
範囲とすることが溝部のシャープさや現像進行性の安定
化の観点から好ましい。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の電子ビーム描画装置の全体の概略構成
を示す説明図である。
【図2】同図(A)(B)は、図1の電子ビーム描画装
置にて描画される基材を示す説明図であり、同図(C)
は、描画原理を説明するための説明図である。
【図3】測定装置の原理を説明するための説明図であ
る。
【図4】同図(A)〜(C)は、基材の面高さを測定す
る手法を説明するための説明図である。
【図5】測定装置の投光と受光との関係を示す説明図で
ある。
【図6】信号出力と基材の高さとの関係を示す特性図で
ある。
【図7】電子ビーム描画装置において、所定のビーム径
の範囲にて描画を行うための制御系の一例を示す機能ブ
ロック図である。
【図8】電子ビーム描画装置におけるビーム径の変位と
現像進行性の変位並びにシャープ度の変位との関係を示
した特性図である。
【図9】ビーム径の上限及び下限と1dotとの関係を
説明するための説明図である。
【図10】ビーム径を10nmとした場合のブレーズの
形状を示す説明図である。
【図11】ビーム径を40nmとした場合のブレーズの
形状を示す説明図である。
【図12】同図(A)(B)は、ドーズを同一にしてビ
ーム径を変化された場合の現像進行性に伴うブレーズの
形状を示す説明図であり、同図(A)は、現像進行性が
著しい場合、同図(B)は、ビーム径の変位により現像
進行性に差異が生じ得ない場合をそれぞれ示す。
【図13】ビーム径を150nmとした場合のブレーズ
の形状を示す説明図である。
【図14】本発明の電子ビーム描画装置にて基材を描画
する場合の処理手順を示すフローチャートである。
【図15】電位ビーム描画装置における電子ビームのビ
ーム径の上限下限を制限するため制御にかかる処理手順
の一例を示すフローチャートである。
【図16】基材を載置ずるステージをZ方向に制御する
手順を示すフローチャートである。
【図17】本発明の電子ビーム描画装置にて電子レンズ
に流す電流を制御する処理手順を示すフローチャートで
ある。
【図18】描画中に補正する処理手順を示すフローチャ
ートである。
【図19】基材上の描画すべき位置を換算する場合の処
理手順を示す説明図である。
【図20】同図(A)〜(F)は、基材を用いて成形用
の金型を形成する場合の全体の処理手順を説明するため
の説明図である。
【図21】電子ビーム描画装置におけるビームウエスト
を説明するための説明図である。
【図22】同一ドーズでビーム径の僅かな変位により現
像進行性に差異が出てくる現象において、そのドーズ分
布を説明した説明図である。
【図23】同一ドーズでビーム径の僅かな変位により現
像進行性に差異が出てくる現象において、その現像進行
性を説明した説明図である。
【符号の説明】
1 電子ビーム描画装置 2 基材 10 鏡筒 12 電子銃 14 スリット 16 電子レンズ 18 アパーチャー 20 偏向器 22 補正用コイル 30 XYZステージ 40 ローダ 50 ステージ駆動手段 60 ローダ駆動装置 70 真空排気装置 80 測定装置 82 第1のレーザ測長器 84 第1の受光部 86 第2のレーザー測長器 88 第2の受光部 100 制御回路 110 コイル制御部 112a 成形偏向部 112b 副偏向部 112c 主偏向部 116 位置誤差補正回路 118 電界制御回路 120 パターン発生回路 130 第1のレーザー駆動制御回路 132 第2のレーザー駆動制御回路 134 第1のレーザー出力制御回路 136 第2のレーザー出力制御回路 140 第1の測定算出部 142 第2の測定算出部 150 ステージ制御回路 152 ローダ制御回路 154 機構制御回路 156 真空排気制御回路 158 測定情報入力部 160 メモリ 162 プログラムメモリ 170 制御部 300 制御系 311 ビーム径関連情報格納部 312 ビーム径上限値情報 313 ビーム径下限値情報 330 ビーム径設定手段 340 ビーム径制御手段

Claims (25)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 基材に対して電子ビームを走査すること
    により前記基材に所定の描画パターンを描画する電子ビ
    ーム描画方法であって、 前記描画パターンを現像してレジスト形状を形成する際
    の現像進行度に前記電子ビームのビーム径に応じた差異
    が生じ得ない第1のビーム径より大となる径にて前記基
    材に対する描画を行う描画ステップを有することを特徴
    とする電子ビーム描画方法。
  2. 【請求項2】 基材に対して電子ビームを走査すること
    により前記基材に所定の描画パターンを描画する電子ビ
    ーム描画方法であって、 前記描画パターンを現像してレジスト形状を形成する際
    の現像進行度に前記電子ビームのビーム径に応じた差異
    が生じ得ない第1のビーム径より、前記描画パターン形
    成面に荒れが生じ得ない第2のビーム径までの範囲内に
    て前記基材に対する描画を行う描画ステップを有するこ
    とを特徴とする電子ビーム描画方法。
  3. 【請求項3】 前記第1のビーム径は、描画に利用され
    るDA変換器の最小時間分解能に相当する単位距離の略
    1倍の幅を有し、 前記第2のビーム径は、前記DA変換器の最小時間分解
    能に相当する単位距離の略4倍の幅を有することを特徴
    とする請求項2に記載の電子ビーム描画方法。
  4. 【請求項4】 電子ビームにより描画され、少なくとも
    前記電子ビームの焦点深度よりも長い厚さを有してなる
    被描画層を含む基材に対して、前記焦点深度の少なくと
    も高さ位置を前記被描画層内の描画位置に応じて前記電
    子ビームの焦点位置を変化させることにより描画を行
    う、電子ビーム描画方法であって、 前記描画位置の3次元の基準座標系における高さ位置を
    算出する算出ステップと、 前記電子ビームの焦点位置による位置調整もしくは前記
    基材の移動による位置調整のいずれか一方又は双方によ
    り、算出された前記高さ位置に前記電子ビームの焦点位
    置がくるように位置調整を行う位置調整ステップと、 前記位置調整を行いながら、前記被描画層に対する描画
    を行う描画ステップと、 を含み、 前記位置調整ステップでは、焦点深度の範囲を、前記描
    画パターンを現像してレジスト形状を形成する際の現像
    進行度に前記電子ビームのビーム径に応じた差異が生じ
    得ない第1のビーム径より、前記描画パターン形成面に
    荒れが生じ得ない第2のビーム径までの範囲内として調
    整することを特徴とする電子ビーム描画方法。
  5. 【請求項5】 前記第1のビーム径は、描画に利用され
    るDA変換器の最小時間分解能に相当する単位距離のほ
    ぼ1倍の幅を有し、 前記第2のビーム径は、前記DA変換器の最小時間分解
    能に相当する単位距離のほぼ4倍の幅を有し、 前記位置調整ステップにおいて前記ビーム径を前記ほぼ
    1倍〜ほぼ4倍の範囲内として調整することを特徴とす
    る請求項4に記載の電子ビーム描画方法。
  6. 【請求項6】 前記電子ビーム照射中に位置調整を行う
    ことを特徴とする請求項4又は請求項5に記載の電子ビ
    ーム描画方法。
  7. 【請求項7】 前記電子ビームの焦点位置が電子レンズ
    の電流値に基づき制御されるステップを含むことを特徴
    とする請求項6に記載の電子ビーム描画方法。
  8. 【請求項8】 前記描画ステップで、前記基材上に回折
    格子を形成することを特徴とする請求項4に記載の電子
    ビーム描画方法。
  9. 【請求項9】 前記電子ビームを照射した基材を現像
    し、現像された前記基材の表面で電鋳を行い、成形用の
    金型を形成するステップをさらに有することを特徴とす
    る請求項4乃至請求項8のうちいずれか一項に記載の電
    子ビーム描画方法。
  10. 【請求項10】 前記電子ビームを照射した基材を現像
    し、エッチング処理した前記基材に電鋳を行い、成形用
    の金型を形成するステップをさらに有することを特徴と
    する請求項4乃至請求項8のうちいずれか一項に記載の
    電子ビーム描画方法。
  11. 【請求項11】 前記基材として成形用の金型用い、少
    なくとも前記算出ステップ、位置調整ステップ、前記描
    画ステップにより当該金型に描画を行うステップを有す
    ることを特徴とする請求項4乃至請求項10のうちいず
    れか一項に記載の電子ビーム描画方法。
  12. 【請求項12】 基材に対して電子ビームを走査するこ
    とにより前記基材に所定の描画パターンを描画する電子
    ビーム描画方法であって、 前記電子ビームの描画に利用されるDA変換器の最小時
    間分解能に相当する単位距離より大きいビーム径にて前
    記基材に対する描画を行う描画ステップを有することを
    特徴とする電子ビーム描画方法。
  13. 【請求項13】 前記描画ステップにおいて、前記単位
    距離の4倍以下のビーム径にて前記基材に対する描画を
    行うことを特徴とする請求項12に記載の電子ビーム描
    画方法。
  14. 【請求項14】 請求項1乃至請求項13のいずれか一
    項に記載の電子ビームの描画方法にて描画された基材。
  15. 【請求項15】 前記基材は、光学素子であることを特
    徴とする請求項14に記載の基材。
  16. 【請求項16】 基材に対して前記電子ビームを走査す
    ることにより前記基材の描画パターンの描画を行う電子
    ビーム描画装置であって、 前記描画パターンを現像してレジスト形状を形成する際
    の現像進行度に前記電子ビームのビーム径に応じた差異
    が生じ得ない第1のビーム径に関する情報を格納した格
    納手段と、 前記格納手段の第1のビーム径に基づいて、前記電子ビ
    ームのビーム径が前記第1のビーム径よりやや大となる
    径の場合にのみ、前記基材に対する描画を行うように制
    御する制御手段と、 を含むことを特徴とする電子ビーム描画装置。
  17. 【請求項17】 電子ビームを照射する電子ビーム照射
    手段と、 前記電子ビーム照射手段にて照射された電子ビームの焦
    点位置を可変とするための電子レンズと、 前記電子ビームを照射することで描画される描画パター
    ンを有する基材を載置する載置台と、 前記基材上に描画される描画位置を測定するための測定
    手段と、 前記描画パターンを現像してレジスト形状を形成する際
    の現像進行度に前記電子ビームのビーム径に応じた差異
    が生じ得ない第1のビーム径に関する情報を格納した格
    納手段と、 前記測定手段にて測定された前記描画位置に基づき、前
    記電子レンズの電流値を調整して前記電子ビームの焦点
    位置を前記描画位置に応じて可変制御するとともに、前
    記焦点位置における焦点深度が、前記第1のビーム径よ
    りやや大となるビーム径の範囲に制限されるように調整
    制御する制御手段と、 を含むことを特徴とする電子ビーム描画装置。
  18. 【請求項18】 電子ビームを照射する電子ビーム照射
    手段と、 前記電子ビームを照射することで描画される被描画面に
    曲面を有する基材を載置する載置台と、 前記載置台を駆動する駆動手段と、 前記基材上に描画される描画位置を測定するための測定
    手段と、 前記描画パターンを現像してレジスト形状を形成する際
    の現像進行度に前記電子ビームのビーム径に応じた差異
    が生じ得ない第1のビーム径に関する情報を格納した格
    納手段と、 前記測定手段にて測定された前記描画位置に基づき、前
    記駆動手段により前記載置台を昇降させて、前記電子ビ
    ーム照射手段にて照射された電子ビームの焦点位置を前
    記描画位置に応じて可変制御するとともに、前記焦点位
    置における焦点深度が、前記第1のビーム径よりやや大
    となるビーム径の範囲に制限されるように調整制御する
    制御手段と、 を含むことを特徴とする電子ビーム描画装置。
  19. 【請求項19】 前記第1のビーム径を設定入力するた
    めの設定手段をさらに有し、 前記制御手段は、前記設定手段にて設定された第1のビ
    ーム径よりやや大となる範囲に基づいて、前記電子ビー
    ムを制御することを特徴とする請求項16乃至請求項1
    8のうちいずれか一項に記載の電子ビーム描画装置。
  20. 【請求項20】 前記第1のビーム径は、描画に利用さ
    れるDA変換器の最小時間分解能に相当する単位距離の
    ほぼ1倍の幅を有することを特徴とする請求項16乃至
    請求項19のうちいずれか一項に記載の電子ビーム描画
    装置。
  21. 【請求項21】 基材に対して前記電子ビームを走査す
    ることにより前記基材の描画パターンの描画を行う電子
    ビーム描画装置であって、 前記描画パターンを現像してレジスト形状を形成する際
    の現像進行度に前記電子ビームのビーム径に応じた差異
    が生じ得ない第1のビーム径と、前記描画パターン形成
    面に荒れが生じ得ない第2のビーム径とに関する情報を
    格納した格納手段と、 前記格納手段の第1、第2の各ビーム径に基づいて、前
    記電子ビームのビーム径が前記第1のビーム径より前記
    第2のビーム径の範囲内となる場合にのみ、前記基材に
    対する描画を行うように制御する制御手段と、 を含むことを特徴とする電子ビーム描画装置。
  22. 【請求項22】 電子ビームを照射する電子ビーム照射
    手段と、 前記電子ビーム照射手段にて照射された電子ビームの焦
    点位置を可変とするための電子レンズと、 前記電子ビームを照射することで描画される描画パター
    ンを有する基材を載置する載置台と、 前記基材上に描画される描画位置を測定するための測定
    手段と、 前記描画パターンを現像してレジスト形状を形成する際
    の現像進行度に前記電子ビームのビーム径に応じた差異
    が生じ得ない第1のビーム径と、前記描画パターン形成
    面に荒れが生じ得ない第2のビーム径とに関する情報を
    格納した格納手段と、 前記測定手段にて測定された前記描画位置に基づき、前
    記電子レンズの電流値を調整して前記電子ビームの焦点
    位置を前記描画位置に応じて可変制御するとともに、前
    記焦点位置における焦点深度が、前記第1のビーム径よ
    り前記第2のビーム径の範囲に制限されるように調整制
    御する制御手段と、 を含むことを特徴とする電子ビーム描画装置。
  23. 【請求項23】 電子ビームを照射する電子ビーム照射
    手段と、 前記電子ビームを照射することで描画される被描画面に
    曲面を有する基材を載置する載置台と、 前記載置台を駆動する駆動手段と、 前記基材上に描画される描画位置を測定するための測定
    手段と、 前記描画パターンを現像してレジスト形状を形成する際
    の現像進行度に前記電子ビームのビーム径に応じた差異
    が生じ得ない第1のビーム径と、前記描画パターン形成
    面に荒れが生じ得ない第2のビーム径とに関する情報を
    格納した格納手段と、 前記測定手段にて測定された前記描画位置に基づき、前
    記駆動手段により前記載置台を昇降させて、前記電子ビ
    ーム照射手段にて照射された電子ビームの焦点位置を前
    記描画位置に応じて可変制御するとともに、前記焦点位
    置における焦点深度が、前記第1のビーム径より前記第
    2のビーム径の範囲に制限されるように調整制御する制
    御手段と、 を含むことを特徴とする電子ビーム描画装置。
  24. 【請求項24】 前記第1、第2のビーム径のいずれか
    一方又は双方を設定するための設定手段をさらに有し、 前記制御手段は、前記設定手段にて設定された第1,第
    2のビーム径の範囲に基づいて、前記電子ビームを制御
    することを特徴とする請求項21乃至請求項23のいず
    れか一項に記載の電子ビーム描画装置。
  25. 【請求項25】 前記第1のビーム径は、描画に利用さ
    れるDA変換器の最小時間分解能に相当する単位距離の
    ほぼ1倍の幅を有し、 前記第2のビーム径は、前記DA変換器の最小時間分解
    能に相当する単位距離のほぼ4倍の幅を有することを特
    徴とする請求項21乃至請求項24のいずれか一項に記
    載の電子ビーム描画装置。
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