JP2003075656A - プラスチック光ファイバの製造方法 - Google Patents

プラスチック光ファイバの製造方法

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JP2003075656A
JP2003075656A JP2001264475A JP2001264475A JP2003075656A JP 2003075656 A JP2003075656 A JP 2003075656A JP 2001264475 A JP2001264475 A JP 2001264475A JP 2001264475 A JP2001264475 A JP 2001264475A JP 2003075656 A JP2003075656 A JP 2003075656A
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optical fiber
polymerization
plastic optical
preform
jig
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JP2001264475A
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English (en)
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Masataka Sato
真隆 佐藤
Takahito Miyoshi
孝仁 三好
Yukio Shirokura
幸夫 白倉
Toru Ogura
徹 小倉
Yasuhiro Koike
康博 小池
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Fujifilm Holdings Corp
Original Assignee
Fuji Photo Film Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 高い生産性でプラスチック光ファイバを製造
可能な方法を提供する。 【解決手段】 互いに屈折率が異なるコア部およびクラ
ッド部を有するプラスチック光ファイバの製造方法であ
って、前記クラッド部となる構造体の中空部で加圧重合
を行うことにより前記コア部となる領域を形成し、前記
コア部および前記クラッド部に各々対応する領域を有す
るプリフォームを得るコア部の加圧重合工程を含み、前
記加圧重合工程において、前記構造体を挿入可能な中空
部を有する形状維持用の治具により前記構造体を支持す
ることを特徴とするプラスチック光ファイバの製造方法
である。好ましくは、前記治具が前記構造体の外径に対
して0.1%〜40%だけ大きい内径を有することを特
徴とする前記プラスチック光ファイバの製造方法であ
る。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、プラスチック光フ
ァイバの製造方法の技術分野に属し、特に、屈折率分布
型プラスチック光ファイバの製造に好ましく用いられる
プラスチック光ファイバの製造方法の技術分野に属す
る。
【0002】
【従来の技術】光信号伝送用のプラスチック光ファイバ
は、良好な可撓性を有し、その加工性の良さ、および低
コストであることから、主に、短距離用の光通信の伝送
媒体として種々検討されている。プラスチック光ファイ
バは、一般的には、重合体をマトリックスとする有機化
合物からなる芯(本明細書において「コア部」と称す
る)とコア部と屈折率が異なる(一般的には低屈折率
の)有機化合物からなる外殻(本明細書において「クラ
ッド部」と称する)とから構成される。特に、中心から
外側に向かって屈折率の分布を有するコア部を備えた屈
折率分布型プラスチック光ファイバは、高い伝送容量を
有する光ファイバとして最近注目されている。この屈折
率分布型プラスチック光ファイバの製法の一つに、界面
ゲル重合法を利用して、光ファイバ母材(本明細書にお
いて、「プリフォーム」と称する)を作製し、その後、
前記プリフォームを延伸する方法がある。この製造方法
では、まず、メチルメタクリレート(MMA)等の重合
性モノマーを、充分な剛性のある重合容器に入れて、該
容器を回転させつつ、モノマーを重合させて、ポリメタ
クリレート(PMMA)等の重合体からなる円筒管を作
製する。該円筒管はクラッド部となる。次に、該円筒管
の中空部にコア部の原料となるMMA等のモノマー、開
始剤、連鎖移動剤および屈折率調整剤などを注入して、
円筒管内部で界面ゲル重合を行い、コア部を形成する。
界面ゲル重合により形成されたコア部には、含有される
屈折率調整剤等の濃度分布があり、そのことによって、
コア部には屈折率の分布が生じる。このようにして得ら
れたプリフォームを、180℃〜250℃程度の雰囲気
中で熱延伸することにより、屈折率分布型プラスチック
光ファイバが得られる。
【0003】前記コア部の形成の際に、重合に伴う体積
収縮現象によりボイドが発生することが知られている。
このボイドの発生を抑制するために、重合系内に不活性
ガスを送り込み、加圧重合を行い、禁止剤となり得る酸
素を除去することがしばしば行われる。しかしながら、
クラッド部を構成する重合体からなる円筒管を重合容器
に密着させた状態で加圧重合を行うと、前記重合体から
なる円筒管と重合容器との密着性により、収縮応答の緩
和がコア部の中心に集中し、その結果、長尺なプリフォ
ームを効率よく得ることが困難になる。そのため、クラ
ッド部の重合の後、形成された重合体からなる円筒管を
重合容器から取り外し、加圧重合の際は該重合体からな
る円筒管を単独で用いるのが一般的である。しかしなが
ら、加圧状態での重合のため、前記円筒管は形状を維持
できず、得られるプリフォームには反りなどが発生し、
プラスチック光ファイバの生産性を著しく低下させるこ
とになる。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】本発明は前記諸問題に
鑑みなされたものであって、コア部形成時の加圧重合工
程におけるプリフォームの形状変化およびボイドの発生
を軽減し、高い生産性でプラスチック光ファイバを製造
可能な方法を提供することを課題とする。
【0005】
【課題を解決するための手段】前記課題を解決するた
め、本発明のプラスチック光ファイバの製造方法は、互
いに異なる屈折率を有するコア部およびクラッド部を有
するプラスチック光ファイバの製造方法であって、前記
クラッド部となる構造体の中空部で加圧重合を行うこと
により前記コア部となる領域を形成し、前記コア部およ
び前記クラッド部に各々対応する領域を有するプリフォ
ームを得るコア部の加圧重合工程を含み、前記加圧重合
工程において、前記クラッド部となる構造体を挿入可能
な中空部を有する形状維持用の治具により前記構造体を
支持することを特徴とする。
【0006】本発明の製造方法では、加圧重合の際にク
ラッド部となる構造体を支持する治具を用いる。クラッ
ド部となる構造体の中空部で加圧重合が進行している
間、該構造体は前記治具の中空部に挿入された状態にあ
り、治具は、該構造体の形状が加圧によって変化するの
を抑制する。また、加圧重合が進むにつれて、コア部と
なる領域は収縮する傾向にあるが、前記構造体は前記治
具に挿入された状態で非密着状態で支持されているの
で、前記構造体はコア部となる領域の収縮を一様に緩和
することができ、コア部となる領域の収縮によるボイド
の発生を軽減することができる。従って、プリフォーム
の形状変化およびボイド発生を軽減することができ、プ
ラスチック光ファイバの生産性向上に寄与する。特に、
屈折率分散型のプラスチック光ファイバを作製する場合
は、プリフォームの形状変化を抑制することで屈折率分
布を均一に維持することができ、良好な光伝送特性を有
するプラスチック光ファイバを生産性高く作製すること
ができる。
【0007】本発明の好ましい態様として、前記治具が
前記クラッド部の構造体の外径に対して0.1%〜40
%だけ大きい内径となる中空を有することを特徴とする
上記プラスチック光ファイバの製造方法が提供される。
【0008】また、本発明の好ましい態様として、前記
冶具の中空部を構成している内面にまたは前記治具の中
空部と該中空部に挿入された前記構造体との間の空隔部
に、接着防止層を有することを特徴とする上記いずれか
のプラスチック光ファイバの製造方法が提供される。こ
の態様によれば、加圧重合によって形成されたプリフォ
ームが、前記治具の内面に接触した場合であっても、貼
り付いたりせず、速やかに治具から取り出せるので、よ
り生産性を向上できる。
【0009】また、本発明の好ましい態様として、前記
コア部となる領域が、中心から外側に向かって屈折率の
分布を有することを特徴とする上記いずれかのプラスチ
ック光ファイバの製造方法が提供される。この態様で
は、得られるプリフォームを加熱延伸することにより、
容易に高い伝送容量を有する屈折率分布型のプラスチッ
ク光ファイバを提供することができる。なお、屈折率の
分布は、前記第2の工程において、屈折率調整剤を混合
したモノマーを重合することによって、または前記第2
の工程において界面重合法を利用することによって、コ
ア部となる領域に容易に導入することができる。また、
本明細書において、「中心から外側に向かって屈折率の
分布を有する」とは、中心から外側に向かう特定の方向
において屈折率の分布があればよく、例えば、前記コア
部となる領域が円柱形状の場合は、該円柱の断面の中心
から半径方向外側に向かって屈折率の分布があれば足り
るものであり、円柱の高さ方向にも屈折率の分布がある
ことを必要とするものではない。
【0010】また、別の観点から、互いに異なる屈折率
を有するコア部およびクラッド部を有するプラスチック
光ファイバの製造方法であって、前記クラッド部となる
構造体の中空部で加圧重合を行うことにより前記コア部
となる領域を形成し、前記コア部および前記クラッド部
に各々対応する領域からなるプリフォームを得る加圧重
合工程を含み、前記加圧重合工程において、前記クラッ
ド部となる構造体が変形するのを抑制するとともに、前
記加圧重合によって形成される前記コア部となる領域の
収縮を少なくとも緩和可能に前記構造体を支持する支持
手段を用いることを特徴とするプラスチック光ファイバ
の製造方法が提供される。この製造方法によれば、クラ
ッド部となる構造体の中空部で加圧重合が進行している
間、該構造体は、前記支持手段によってその変形が抑制
されるとともに、前記加圧重合によって形成されるコア
部となる領域の収縮が少なくとも緩和される。従って、
プリフォームの形状変化およびボイド発生を軽減するこ
とができ、プラスチック光ファイバの生産性向上に寄与
する。
【0011】なお、本明細書において、「プラスチック
光ファイバ」という用語は最も広義に解釈する必要があ
り、延伸処理工程の有無に係わらずプラスチックからな
る円筒状の光部材全般を含む概念として用いる。
【0012】
【発明の実施の形態】以下、本発明について詳細に説明
する。まず本発明の製造方法に用いられるプラスチック
光ファイバの種々の原材料について説明する。本発明に
おいて、プラスチック光ファイバのクラッド部は重合体
からなる。クラッド部は、伝送される光信号をコア部に
留めるため、コア部の屈折率より低い屈折率を有してい
るのが好ましく、また、伝送される光に対して透過性で
あるのが好ましい。例えば、ポリメチルメタクリレート
(PMMA)、重水素化ポリメチルメタクリレート(P
MMA−d8)、ポリトリフルオロエチルメタクリレー
ト(P3FMA)、ポリヘキサフルオロイソプロピル2
−フルオロアクリレート(HFIP 2−FA)などの
ホモポリマー、これらモノマーの2種以上からなる共重
合体、およびそれらの混合物が挙げられる。コア部を構
成する重合体と同一の原料を用いるのが、透明性が保持
できる点で好ましい。
【0013】本発明において、プラスチック光ファイバ
のコア部は重合体からなる。コア部は、伝送される光に
対して光透過性である限り特に制約はないが、伝送され
る光信号の伝送損失が少ない材料を用いるのが好まし
い。例えば、ポリメチルメタクリレート(PMMA)、
や重水素化ポリメチルメタクリレート(PMMA−d
8)、ポリトリフルオロエチルメタクリレート(P3F
MA)、ポリヘキサフルオロイソプロピル2−フルオロ
アクリレート(HFIP 2−FA)などのホモポリマ
ーなどのホモポリマー、これらモノマーの2種以上から
なる共重合体、およびそれらの混合物が挙げられる。塊
状重合が容易である原料を選択し、単一ポリマーにてコ
ア部を形成するのが好ましい。
【0014】コア部およびクラッド部の原料であるモノ
マーを重合する際に、重合状態や重合速度を制御した
り、熱延伸工程に適する分子量に制御することを目的と
して、重合開始剤および連鎖移動剤を添加することがで
きる。重合開始剤としては、用いるモノマーに応じて適
宜選択することができるが、過酸化ベンゾイル(BP
O)、t−ブチルパーオキシ−2−エチルヘキサネート
(PBO)、ジ−t−ブチルパーオキシド(PBD)、
t−ブチルパーオキシイソプロピルカーボネート(PB
I)、n−ブチル4,4,ビス(t−ブチルパーオキ
シ)バラレート(PHV)などが挙げられる。連鎖移動
剤は、主に重合体の分子量の調整のために用いられ、モ
ノマーに応じて適宜選択することができるが、1−ブタ
ンチオール、ドデシルメルカプタンなどが挙げられる。
それぞれを2種類以上併用してもよい。
【0015】コア部が、中心から外側に向かって屈折率
の分布を有している(以下、「屈折率分布型コア部」と
称する)と、高い伝送容量を有する屈折率分布型プラス
チック光ファイバとなるので好ましい。屈折率分布型コ
ア部は、屈折率調整剤を用いることにより形成できる。
屈折率調整剤は、コア部の原料となるモノマーに添加し
た後、該モノマーを重合することにより、コア部に含有
させることができる。屈折率調整剤は、これを含有する
重合体が無添加の重合体と比較して、屈折率が高くなる
性質を有するものをいう。この性質を有し、重合体と安
定して共存可能で、且つ前述の原料である重合性モノマ
ーの重合条件(加熱および加圧等の重合条件)下におい
て安定であるものを、いずれも用いることができる。例
えば、安息香酸ベンジル(BEN)、硫化ジフェニル
(DPS)、リン酸トリフェニル(TPP)、フタル酸
ベンジルnブチル(BBP)、フタル酸ジフェニル(D
PP)、ビフェニル(DP)、ジフェニルメタン(DP
M)、リン酸トリクレジル(TCP)、ジフェニルスル
ホキシド(DPSO)などが挙げられ、中でも、BE
N、DPS、TPP、DPSOが好ましい。
【0016】屈折率調整剤の、コア部における濃度およ
び分布を調整することによって、プラスチック光ファイ
バの屈折率を所望の値に変化させることができる。その
添加量は、用途および組み合わされるコア部原料などに
応じて適宜選ばれる。
【0017】その他、コア部およびクラッド部には、光
伝送性能を低下させない範囲で、その他の添加剤を添加
することができる。例えば、クラッド部およびコア部の
耐候性や耐久性などを向上させる目的で、安定剤を添加
することができる。また、光伝送性能の向上を目的とし
て、光信号増幅用の誘導放出機能化合物を添加すること
もできる。該化合物を添加することにより、減衰した信
号光を励起光により増幅することが可能となり、伝送距
離が向上するので、光伝送リンクの一部にファイバ増幅
器として使用することができる。これらの添加剤も、前
記原料モノマーに添加した後、重合することによって、
コア部およびクラッド部に含有させることができる。
【0018】次に、本発明の実施の形態を詳細に説明す
る。本発明の実施の形態として、クラッド部となる円筒
管を作製する第1の工程と、前記円筒管の中空部で加圧
重合を行うことによりコア部となる領域を形成し、コア
部およびクラッド部に各々対応する領域からなるプリフ
ォームを作製する第2の工程と、得られたプリフォーム
を延伸する第3の工程とを有し、前記第2の工程におい
て、前記構造体を挿入可能な中空部を有する治具により
前記構造体を支持することを特徴とするプラスチック光
ファイバの製造方法が挙げられる。
【0019】本実施の形態において、前記第1の工程で
は、クラッド部となる円筒管を作製する。例えば、円筒
形状の重合容器に、前述のクラッド部の原料となるモノ
マーを注入し、該重合容器を回転(好ましくは、円筒の
軸を水平に維持した状態で回転)させつつ、前記モノマ
ーを重合させることにより、重合体からなる円筒管を作
製することができる。重合容器内には、モノマーととも
に、重合開始剤、連鎖移動剤、および所望により添加さ
れる安定剤などを注入することができる。その添加量に
ついては、用いるモノマーの種類等に応じて好ましい範
囲を適宜決定することができるが、重合開始剤は、一般
的にはモノマーに対して、0.10〜1.00質量%添
加するのが好ましく、0.40〜0.60質量%添加す
るのがより好ましい。前記連鎖移動剤は、一般的にはモ
ノマーに対して、0.10〜0.40質量%添加するの
が好ましく、0.15〜0.30質量%添加するのがよ
り好ましい。重合温度および重合時間は、用いるモノマ
ーによって異なるが、一般的には、重合温度は60〜9
0℃であるのが好ましく、重合時間は5〜24時間であ
るのが好ましい。
【0020】前記クラッド部となる円筒管は、第2の工
程でコア部の原料となるモノマーを注入できるように、
底部を有しているのが好ましい。底部は前記円筒管を構
成している重合体と密着性および接着性に富む材質であ
るのが好ましい。また、底部を、前記円筒管と同一の重
合体で構成することもできる。重合体からなる底部は、
例えば、重合容器を回転させて重合する(以下、「回転
重合」という場合がある)前もしくは後に、重合容器を
垂直に静置した状態で、重合容器内に少量の重合性モノ
マーを注入し、重合することによって形成することがで
きる。
【0021】前記回転重合後に、残存するモノマーや開
始剤を完全に反応させることを目的として、該回転重合
の重合温度より高い温度で得られた構造体に加熱処理を
施してもよい。
【0022】また、前記第1の工程では、一旦、重合体
を作製した後、押し出し成形等の成形技術を利用して、
所望の形状(本実施の形態では円筒形状)の構造体を得
ることもできる。
【0023】前記第2の工程では、前記第1の工程で作
製したクラッド部となる円筒管の中空部に前述の原料で
あるモノマーを注入し、加圧状態で該モノマーを重合す
る(本明細書において、「加圧重合」とは加圧状態で重
合を行うことをいう)。前記モノマーとともに、重合開
始剤、連鎖移動剤および所望により添加される屈折率調
整剤などを注入することができる。その添加量について
は、用いるモノマーの種類等に応じて好ましい範囲を適
宜決定することができるが、重合開始剤は、一般的には
モノマーに対して、0.005〜0.050質量%添加
するのが好ましく、0.010〜0.020質量%添加
するのがより好ましい。前記連鎖移動剤は、一般的には
モノマーに対して、0.10〜0.40質量%添加する
のが好ましく、0.15〜0.30質量%添加するのが
より好ましい。なお、本実施の形態では、屈折率調整剤
を用いなくても、モノマーを2種以上用いる等により、
屈折率の分布をコア部となる領域に導入することもでき
る。
【0024】前記第2の工程では、前記クラッド部とな
る円筒管内に充填された重合性モノマーが重合する。前
記重合性モノマーの重合は、前記円筒管の表面から断面
の半径方向、中心に向かって進行する。2種以上の重合
性モノマーを用いた場合は、前記円筒管を構成している
重合体に対して親和性の高いモノマーが前記円筒管の表
面に偏在して主に重合し、該モノマーの比率の高い重合
体が形成される。中心に向かうに従って、形成された重
合体中の前記親和性の高いモノマーの比率は低下し、他
のモノマーの比率が増加する。このようにして、コア部
となる領域内にモノマー組成の分布が生じ、その結果、
屈折率の分布が導入される。また、重合性モノマーに屈
折率調整剤を添加して重合すると、前記円筒管を構成し
ている重合体に対して親和性の高いモノマーが前記円筒
管表面に偏在して重合し、外側には屈折率調整剤濃度が
低い重合体が形成される。中心に向かうに従って、形成
された重合体中の該屈折率調整剤の比率は増加する。こ
のようにして、コア部となる領域内に屈折率調整剤の濃
度分布が生じ、その結果、屈折率の分布が導入される。
【0025】前記モノマーを注入したクラッド部となる
円筒管を、治具の中空部に挿入して、治具に支持された
状態で重合を行う。前記治具は、前記構造体を挿入可能
な中空部を有する形状であり、該中空部は前記構造体と
類似の形状を有しているのが好ましい。本実施の形態で
は、クラッド部となる構造体が円筒管であるので、前記
治具も円筒形状であるのが好ましい。治具は、加圧重合
中に前記円筒管が変形するのを抑制するとともに、加圧
重合が進むに従ってコア部となる領域が収縮するのを緩
和可能に支持する。前記円筒管が治具に密着状態で支持
されている場合は、前述した様に、コア部となる領域が
収縮するのを円筒管によって緩和できず、中央部にボイ
ドが発生し易い。従って、治具は、前記クラッド部とな
る円筒管の外径より大きい径の中空部を有し、前記クラ
ッド部となる円筒管を非密着状態で支持するのが好まし
い。前記治具の中空部は、前記クラッド部となる円筒管
の外径に対して0.1%〜40%だけ大きい径を有して
いるのが好ましく、10〜20%だけ大きい径を有して
いるのがより好ましい。本実施の形態では、前記治具は
円筒形状なので、前記治具の内径が、前記クラッド部と
なる円筒管の外径に対して0.1%〜40%だけ大きい
のが好ましく、10〜20%だけ大きいのがより好まし
い。
【0026】前記クラッド部となる円筒管を治具の中空
部に挿入した状態で、重合容器内に配置することができ
る。重合容器内において、前記クラッド部となる円筒管
は、円筒の高さ方向を垂直にして配置されるのが好まし
い。前記治具に支持された状態で前記クラッド部となる
円筒管を、重合容器内に配置した後、前記重合容器内を
加圧する。窒素等の不活性ガスで重合容器内を加圧し、
不活性ガス雰囲気下で加圧重合を進行させるのが好まし
い。重合時の加圧の好ましい範囲については、用いるモ
ノマーによって異なるが、重合時の圧は、一般的には
0.2〜1.0MPa程度が好ましい。また、重合時間
は、一般的には24〜96時間であるのが好ましい。重
合は加熱下で行ってもよく、一般的には重合温度は90
〜140℃であるのが好ましい。
【0027】加圧重合によって製造されたプリフォーム
が、治具の内壁に接した場合においても、速やかに治具
から剥離し取り出せるのが、生産性向上のために好まし
い。プリフォームを速やかに取り出すには、前記冶具の
中空部を構成している内面にまたは前記治具の中空部と
該中空部に挿入された前記構造体との間の空隔部に、接
着防止層または潤滑層を形成するのが好ましい。前記接
着防止層および潤滑層は、クラッド部となる構造体を腐
食等しないように、前記クラッド部となる構造体に対し
て不活性である必要がある。前記接着防止層は、治具の
内面にシラン処理等を施すことによって、またはテフロ
ン(登録商標)コーティング等を施すことによって形成
することができる。また、前記潤滑層は、前記クラッド
部となる円筒管を治具の中空部に挿入した後、該円筒管
と治具の内面との間に形成された空隔部に流体を注入す
ることによって形成できる。前記流体としては、クラッ
ド部となる円筒管を構成している重合体に対して不活性
であるものを用いる。前記流体の沸点は、クラッド部と
なる円筒管を構成している重合体の(Tg(ガラス転移
点)+30)℃以上であるのが好ましい。中でも、シリ
コーンオイルなどを潤滑層して用いるのが好ましい。
【0028】前記冶具の素材については、前述の圧力に
耐えうる素材であれば特に制限はなく、ガラスなども好
ましく用いることができるが、より好ましい素材として
はステンレス、チタン合金、アルミ合金などが挙げられ
る。
【0029】前記第3の工程では、前記第2の工程で作
製されたプリフォームを延伸して、プラスチック光ファ
イバを得る。前記第2の工程で作製されたプリフォーム
は、加圧重合の際に生じる形状変化およびボイドの発生
が軽減されているので、高い利用効率で前記プリフォー
ムからプラスチック光ファイバが得られる。特に、プリ
フォームのコア部となる領域が屈折率分布を有する場合
は、プリフォームの形状変化を抑制することにより、屈
折率分布を均一に維持することができ、その結果、均一
な光伝送能を有するプラスチック光ファイバを生産性高
く製造することができる。
【0030】延伸時はプリフォームを加熱するのが好ま
しい。加熱温度は、プリフォームの材質等に応じて、適
宜決定することができるが、一般的には、180〜25
0℃が好ましい。延伸条件(延伸温度等)は、得られた
プリフォームの径、所望のプラスチック光ファイバの径
および用いた材料等を考慮して、適宜決定することがで
きる。保護や補強を目的として、前記プリフォームを保
護層で被覆した後、延伸処理を施すこともできる。
【0031】
【実施例】以下に実施例を挙げて本発明をさらに具体的
に説明する。以下の実施例に示す材料、試薬、割合、操
作等は、本発明の精神から逸脱しない限り適宜変更する
ことができる。従って、本発明の範囲は以下に示す具体
例に制限されるものではない。
【0032】[例1]予定するプリフォームの外径に対
応する内径を有する十分な剛性を持った内径22mmお
よび長さ600mmの円筒状の重合容器に、水分を充分
に除去したメチルメタクリレート(MMA)の液体を所
定量注入した。重合開始剤として脱水精製した過酸化ベ
ンゾイルをMMAに対して0.5質量%、連鎖移動剤
(分子量調整剤)としてn−ブチルメルカプタンをMM
Aに対して0.28質量%配合した。MMA溶液の注入
された重合容器を70℃湯浴中に入れ、震盪を加えなが
ら2時間予備重合を行った。その後、該重合容器を70
℃下にて水平状態(円筒の高さ方向が水平となる状態)
に保持し、3000rpmにて回転させながら3時間加
熱重合した。その後、90℃で24時間の熱処理し、ポ
リメチルメタクリレート(PMMA)からなる円筒管を
得た。
【0033】次に、PMMAからなる円筒管の中空部
に、コア部の原料であるMMA(水分を充分に除去した
もの)と、屈折率調整剤として硫化ジフェニルを12.
5質量%混合した溶液を、精度0.2mmの四フッ化エ
チレン製メンブランフィルターで濾過しつつ、濾液を直
接注入した。開始剤としてジ−t−ブチルパーオキサイ
ドをMMAに対し0.013質量%、連鎖移動剤として
ドデシルメルカプタンをMMAに対し0.27重量%配
合した。このMMA等を注入したPMMAからなる円筒
管を、該PMMA円筒管外径に対し10%だけ広い内径
を持つガラス管内に挿入した状態で、加圧重合容器に垂
直に静置した。その後、加圧重合容器内を窒素雰囲気に
置換した後、0.6Mpaまで加圧し、120℃にて4
8時間加熱重合しプリフォームを得た。得られたプリフ
ォームは長手方向に渡り直棒状態を維持し、反り等も生
じていなかった。また、コア部領域の収縮緩和量はプリ
フォーム長さに対し16.6%であった。
【0034】このプリフォームを230℃の熱延伸によ
り線引きを行ったところ、700〜800mm径のプラ
スチック光ファイバ300mを安定して得ることができ
た。
【0035】[例2]PMMAからなる円筒管の外径に
対し60%の広い内径を有するガラス管を治具として用
いた以外は、例1と同様の方法でプリフォームの作製を
試みた。得られたプリフォームは、体積収縮の応答と加
圧により、プリフォームの中心軸がプリフォーム径に対
し最大で60%ふれた形状変化(反り)がみられた。延
伸工程において調芯制御をして光ファイバを作製した
が、生産効率は例1と比較して若干低下した(700〜
800mm径のプラスチック光ファイバ250mを得
た)。
【0036】[例3]治具を用いないで重合した以外
は、例1と同様の方法で光ファイバーの作製を試みた。
得られたプリフォームには、体積収縮の応答と重合時の
加圧により、プリフォームの中心軸がプリフォーム径に
対し100%近くふれた形状変化(反り)が認められ
た。延伸工程において調芯制御をして光ファイバを作製
したが、生産効率は例1と比較して著しく低下した(7
00〜800mm径のプラスチック光ファイバ100m
を得た)。
【0037】[例4]PMMAからなる円筒管を作製す
る際に、重合容器としてガラス管を用い、重合完了時に
PMMAからなる円筒管をガラス管から取り外さずに、
該ガラス管に密着して支持された状態で、例1と同様の
方法でプリフォームの作製を試みた。得られたプリフォ
ームは、寸度安定性には優れていたが、重合完了時にコ
ア部領域の中心部での収縮応答が顕著であり、プリフォ
ームの長さ方向の上部30〜40%のコア部領域が収縮
空洞となり、延伸処理によりファイバとなり得るプリフ
ォーム領域を大きく損なう結果となった。得られたプリ
フォームを220℃の熱延伸により線引きを行ったとこ
ろ、700〜800m径のプラスチック光ファイバを2
00mしか得ることができなかった。
【0038】[例5]加圧重合を行う際に、PMMAか
らなる円筒管と治具であるガラス管との間の空隙部に、
シリコーンオイル(信越化学KF−96)を充填し、接
着防止層を形成した以外は、例1と同様の方法でプリフ
ォームの作製を試みた。例1では、プリフォームとガラ
ス管との接触部位が密着し、剥離させるのが困難で、延
伸工程に使用できない領域が生じる場合もあったが、接
着防止層としてシリコーンオイルを満たすことにより取
出し性が向上し、生産性が更に向上した。
【0039】
【発明の効果】本発明によれば、コア部形成時の加圧重
合工程におけるプリフォームの形状変化およびボイドの
発生を軽減し、高い生産性でプラスチック光ファイバを
製造可能な方法を提供することができる。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 三好 孝仁 静岡県富士宮市大中里200番地 富士写真 フイルム株式会社内 (72)発明者 白倉 幸夫 静岡県富士宮市大中里200番地 富士写真 フイルム株式会社内 (72)発明者 小倉 徹 静岡県富士宮市大中里200番地 富士写真 フイルム株式会社内 (72)発明者 小池 康博 神奈川県横浜市青葉区市が尾534番地23 Fターム(参考) 2H050 AA16 AA20 AB43Z AB47Z AB49Z AB50Z AC05

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 屈折率が互いに異なるコア部およびクラ
    ッド部を有するプラスチック光ファイバの製造方法であ
    って、前記クラッド部となる構造体の中空部で加圧重合
    を行うことにより前記コア部となる領域を形成し、前記
    コア部および前記クラッド部に各々対応する領域を有す
    るプリフォームを得るコア部の加圧重合工程を含み、前
    記加圧重合工程において、前記構造体を挿入可能な中空
    部を有する形状維持用の治具により前記構造体を支持す
    ることを特徴とするプラスチック光ファイバの製造方
    法。
  2. 【請求項2】 前記治具の中空部は、前記構造体の外径
    に対して0.1%〜40%だけ大きい径を有することを
    特徴とする請求項1に記載のプラスチック光ファイバの
    製造方法。
  3. 【請求項3】 前記冶具の中空部を構成している内面に
    または前記治具の中空部と該中空部に挿入された前記構
    造体との間の空隔部に、接着防止層または潤滑層を有す
    ることを特徴とする請求項1または2に記載のプラスチ
    ック光ファイバの製造方法。
  4. 【請求項4】 前記コア部となる領域が、中心から外側
    に向かって屈折率の分布を有することを特徴とする請求
    項1〜3のいずれか1項に記載のプラスチック光ファイ
    バの製造方法。
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Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2005316358A (ja) * 2004-04-02 2005-11-10 Fuji Photo Film Co Ltd プラスチック光ファイバプリフォーム及びその製造方法

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JP2005316358A (ja) * 2004-04-02 2005-11-10 Fuji Photo Film Co Ltd プラスチック光ファイバプリフォーム及びその製造方法

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