JP2003073783A - フラッパーバルブ用析出硬化型マルテンサイト系ステンレス鋼板及びその製造方法 - Google Patents

フラッパーバルブ用析出硬化型マルテンサイト系ステンレス鋼板及びその製造方法

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JP2003073783A
JP2003073783A JP2001265761A JP2001265761A JP2003073783A JP 2003073783 A JP2003073783 A JP 2003073783A JP 2001265761 A JP2001265761 A JP 2001265761A JP 2001265761 A JP2001265761 A JP 2001265761A JP 2003073783 A JP2003073783 A JP 2003073783A
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Naoto Hiramatsu
直人 平松
Hiroki Tomimura
宏紀 冨村
Seiichi Isozaki
誠一 磯崎
Naohito Kumano
尚仁 熊野
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Nippon Steel Nisshin Co Ltd
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Nisshin Steel Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 (修正有) 【課題】耐食性と高い疲労特性を兼ね備え、かつ高硬度
で打抜き加工後の形状変化が小さい、フラッパーバルブ
用の析出硬化型マルテンサイト系ステンレス鋼板を提供
する。 【解決手段】C:0.15質量%以下、Si:2.0質
量%以下、Mn:2.0質量%以下、P:0.060質
量%以下、S:0.020質量%以下、Ni:3.0〜
10.0質量%、Cr:12.0〜20.0質量%、M
o:4.0質量%以下、N:0.10質量%以下、T
i:0.50質量%以下、O:0.02質量%以下を含
み、以下の(1)式で定義されるMd(N)が100以
上の値となり、残部が実質的にFeからなり、マルテン
サイト単相からなる組織を有し、ビッカース硬度400
以上で、変態歪みや冷間圧延歪みに起因する残留応力が
除去された鋼板とする。 Md(N)=580-520C-2Si-16Mn-16Cr-23Ni-26Cu-300N-10Mo・・・・(1)

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、耐食性とともに高強度
および高い疲労特性が要求される圧縮機の弁(フラッパ
ーバルブ)用析出硬化型マルテンサイト系ステンレス鋼
板およびその製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】従来、フラッパーバルブ用としては、炭
素を1%程度含有する特殊鋼に焼き入れ・焼き戻し処理
を施した鋼板が使用されている。しかし、フラッパーに
特殊鋼を用いた場合、特殊鋼自体が耐酸化性に乏しく、
熱処理時に形成された表面酸化物や表面近傍の内部酸化
層を除去することが必要で、このために酸洗を施した
り、表面を湿式研磨等で研磨しなければならなくなる。
この研磨で発生する表面凹凸は、疲労特性を低下させる
主原因となる。したがって、この表面凹凸をなくし平滑
化するためにさらにバレル研磨等の後処理が必要になっ
て、生産性が低下している。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】他方、地球環境保護の
観点から空調機器等の冷媒であるフロンガスの撤廃によ
り、新たな二酸化炭素系ガス等が代替ガスとして登場し
てきた。これにより、使用環境がより高圧・低温化にな
り、自ずとフラッパーバルブ素材に耐食性や疲労特性の
向上が要求されるが、現行の特殊鋼においてはこの要求
に応じられないと言う課題が生じてきている。また、こ
のような使用環境が厳しくなり、さらには圧縮機の大型
化やシール性が要求され、これにはフラッパーバルブへ
の打抜き加工後の形状変化が小さいことが必要となって
きた。
【0004】本発明は、このような問題を解消すべく案
出されたものであり、特殊鋼を用いることなく、耐食性
と高い疲労特性を兼ね備え、かつビッカース硬度が40
0以上で打抜き加工後の形状変化が小さい、フラッパー
バルブ用の析出硬化型マルテンサイト系ステンレス鋼板
を提供することを目的とする。
【0005】
【課題を解決するための手段】本発明のフラッパーバル
ブ用析出硬化型マルテンサイト系ステンレス鋼板は、そ
の目的を達成するため、C:0.15質量%以下、S
i:2.0質量%以下、Mn:2.0質量%以下、P:
0.060質量%以下、S:0.020質量%以下、N
i:3.0〜10.0質量%、Cr:12.0〜20.
0質量%、Mo:4.0質量%以下、N:0.10質量
%以下、Ti:0.50質量%以下、O:0.02質量
%以下を含み、以下の(1)式で定義されるMd(N)
が100以上の値となり、残部が実質的にFeからなる
組成を有し、かつマルテンサイト単相からなる組織を有
し、ビッカース硬度400以上で、変態歪みや冷間圧延
歪みの除去処理が施されていることを特徴とする。 Md(N)=580-520C-2Si-16Mn-16Cr-23Ni-26Cu-300N-10Mo・・・・(1) さらに5.0質量%以下のCu、0.50質量%以下の
Nb、0.2質量%以下のAl、0.015質量%以下
のB、0.2質量%以下のREM、0.2質量%以下の
Y、0.10質量%以下のCa、0.10質量%以下の
Mgの1種または2種以上を含有することもできる。上
記のような組成を有する鋼を、溶体化処理後、600℃
以下に時効処理を施すことにより、あるいは溶体化処理
後、冷間圧延を施し、その後600℃以下に時効処理を
施すことにより製造することができる。
【0006】
【作用】本発明者らは、特殊鋼に代わる耐食性に優れ、
疲労特性に優れる材料、さらには打抜き加工後の形状変
化が小さいフラッパーバルブ材を検討した。その結果、
溶体化処理後冷却中に生成するマルテンサイト、ならび
に冷間圧延で誘起された加工誘起マルテンサイトを加熱
し、そのときの時効による析出硬化によって疲労特性を
向上させることができた。また、時効処理により、溶体
化処理後室温までの冷却中にマルテンサイト変態するこ
とで発生する変態歪みや冷間圧延での板厚方向の不均一
歪みを均一にし、打抜き前の残留応力変動を小さくする
ことで、打抜き後の形状変化を小さくすることができ
る。単にマルテンサイト系ステンレス鋼を用いるのでは
なく、溶体化処理後、600℃以下に時効処理を施すこ
とにより、あるいは溶体化処理後、冷間圧延を施し、そ
の後600℃以下に時効処理を施すことにより、Ni16
Cr6Si7金属間化合物(G相)等を析出させ、ビッカ
ース硬度を400以上に高めて疲労特性を向上させ、ま
た打抜き前の残留応力の変動を小さくし、打抜き加工後
の形状変化が小さい形状平坦度に優れたフラッパーバル
ブ用析出硬化型マルテンサイト系ステンレス鋼板を製造
することができる。
【0007】次に本発明を特定する事項について説明す
る。なお、以下の各元素の含有量を示す「%」は「質量
%」を意味する。C:0.15%以下 Cはオーステナイト形成元素であり、高温で生成するδ
フェライトの抑制やマルテンサイト相の強化に極めて有
効である。しかし、炭素含有量の増大に伴い、溶体化処
理後の冷却中や時効処理で粒界にCr炭化物が析出し、
耐粒界腐食や疲労特性低下の原因となる。熱処理条件や
冷却速度で工業的に回避できることを鑑みても、許容で
きるCの上限は0.15%である。
【0008】Si:2.0%以下 Siはフェライト形成元素であり、マルテンサイト相に
固溶してこれを硬化させ、冷間加工後の強度を大きくす
る。さらに時効処理においては歪み時効により時効硬化
能を促進する。このようにSiには種々の効果がある
が、過度の添加は高温割れを誘発しやすく等、製造上の
問題も生じる。このためSiの上限は2.0%とする。
【0009】Mn:2.0%以下 Mnは高温域でのδフェライト相の生成を抑制する。し
かし、多量のMn含有は焼鈍後の残留オーステナイト量
を多くし、強度低下の原因となる。したがって、Mn含
有量は2.0%以下とした。P:0.060%以下 Pは固溶強化能が大きい元素であるが、靭性に悪影響を
与えることがあるため、通常許容されている程度の0.
060%以下とする。
【0010】S:0.020%以下 Sは熱間圧延での耳切れ発生の面から好ましくない元素
であり、低いほど好ましい。ただ、Bを添加することで
許容されるS量も拡大されるので、S量の上限としては
0.02%までは許容される。Ni:3.0〜10.0% Niも、Mnと同様に高温域でのδフェライト層の生成
を抑制する。さらに、析出効果能に有効に寄与する元素
であるが、多量のNi含有は焼鈍後の残留オーステナイ
ト量を多くし、強度低下の原因となる。したがってNi
含有量の範囲は3.0〜10.0%とする。
【0011】Cr:12.0〜20.0% Crは耐食性を持たせる上で必須の成分である。意図す
る耐食性を付与するには少なくとも12.0%のCrを
必要とする。しかし、Crはフェライト形成元素でもあ
るので、高くしすぎると高温でδフェライト相が多量に
生成してしまう。そこで、δフェライト相抑制のために
オーステナイト形成元素(C,N,Ni,Mn,Cu
等)を添加しなければならないが、これら元素の過度の
添加は室温でオーステナイトの安定化をもたらし、時効
処理後に高強度を得ることが不可能になる。このためC
r含有量の上限は20.0%とした。
【0012】Mo:4.0%以下 Moは耐食性を向上させ、時効処理時に炭窒化物を微細
に分散させる効果がある。また、Moは高温時効での急
激な歪みの解放を抑制するうえで非常に有効な元素であ
る。さらに、Moは時効処理した際に強度向上に寄与す
る析出物を形成させるので、Moの添加によって、かな
りの高温域で時効処理を行っても強度の低下を防ぐこと
ができるようになる。ただ、Moを多量に添加すると高
温でδフェライトが形成されてしまうので、Moの含有
量は4.0%以下とする。
【0013】N:0.10%以下 NもCと同様にオーステナイト形成元素であり、δフェ
ライト生成を抑制し、マルテンサイトの強化に寄与す
る。ただ、Tiと金属間化合物を生成しやすいので、
0.10%以下とした。Ti:0.50%以下 Tiは析出硬化に有効な元素であり、時効処理時に強度
上昇に有効である。しかしながら過度に含有させると、
製鋼スラブの表面キズを生成しやすくなり、製鋼面で問
題となる。製品表面に金属間化合物TiNに起因した表
面欠陥を生じ、耐疲労特性を低下させることにもなる。
したがって、その上限は0.50%とする。
【0014】O:0.02%以下 Oは酸化物系の非金属介在物を形成して鋼の清浄度を低
下させ、疲労特性に悪影響を与えるので、その含有量は
0.02%以下にする。
【0015】Cu:5.0%以下 Cuは時効硬化をもたらす。ただ過剰な添加は熱間加工
性を劣化させ割れ発生の原因となるので、Cuを含有さ
せる場合、その上限は5.0%とする。Nb:0.50% Nbは時効処理時の強度上昇に有効であるが、高温強度
上昇による熱間加工性の低下をもたらすので、Nbを含
有させる場合、その上限は0.50%とする。
【0016】Al:2.0%以下 Alは製鋼時の脱酸に有効な元素であり、TiやNbと
同様に析出硬化に有効に働く。しかし、過度に含有させ
てもその効果は飽和するばかりでなく、金属間化合物A
lNを形成して表面欠陥の増加を招き、フラッパーバル
ブの疲労特性を低下させるなどの弊害をもたらす。した
がってAlを含有させる場合、その上限は2.0%とす
る。
【0017】B:0.015%以下 Bは熱間圧延温度域でのδフェライト相とオーステナイ
ト相の変形抵抗の差異により生じる熱延鋼帯でのエッジ
クラックの発生防止に有効な元素である。しかし、過度
の添加は低融点硼化物を形成しやすくなり、逆に熱間加
工性を劣化させる。したがってBを含有させる場合、そ
の上限は0.015%とする。
【0018】REM:0.20%以下 Y:0.20%以下 Ca:0.10%以下 Mg:0.10%以下 これらの元素はいずれも熱間加工性の向上に有効な元素
であり、耐酸化性の向上にも有効である。しかし、いず
れも添加量の増加により素の効果は飽和するので、それ
らの元素を含有させる場合、REM,Yについては0.
20%を、またCa,Mgについては0.10%を上限
とする。
【0019】Md(N):100以上 本発明では、前述のとおり溶体化処理後、場合によって
は冷間圧延で残留オーステナイトを完全にマルテンサイ
トに変態させ、加熱時の時効処理により高強度化ならび
に製品打抜き後の形状変化を小さくしている。溶体化処
理後にマルテンサイト相が形成し易くなるように、オー
ステナイトの加工に対する安定度であるMd(N)の値
が100以上になるよう、成分量を調整する必要があ
る。Md(N)の値が100未満であると、冷延後も残
留オーステナイトが残って、所期の目的を達成できな
い。
【0020】ビッカース硬度:400以上 フラッパーバルブはその機能から、シール性が要求され
る。つまり、ばね性と高速運動に耐える疲労特性が要求
される。特に使用時の高速変形を受ける疲労に対して、
その疲労強度を上昇させるために、硬度としてHV40
0以上が必要である。
【0021】時効処理:600℃以下 時効処理によってTi系の金属間化合物や炭窒化物を析
出させ、マルテンサイト系ステンレス鋼をさらに硬化し
て耐疲労特性を向上させる。時効処理はまた、溶体化処
理でのオーステナイトからマルテンサイトに変態する時
の変態歪みや次の冷延時の圧延歪みが不均一に存在する
場合に、歪みを均一除去するのに有効な手段である。た
だし、600℃を超える温度でこの処理を行うと、マル
テンサイト相の軟化や逆変態オーステナイトの生成によ
り硬度が低下し、ビッカース硬度を安定的に400以上
に保つことが困難になり、耐疲労特性を低下させること
になる。なお、好ましい時効温度範囲は350℃以上6
00℃以下であり、時効時間も工業生産性を考慮すると
120分以内が好ましい。
【0022】冷間圧延 本発明鋼は溶体化処理後冷却中にマルテンサイトが生成
するが、熱的に安定な残留オーステナイトが数%存在す
ることがある。マルテンサイト基地中に延性のあるオー
ステナイトが一部残存した場合には、打抜き加工後形状
変化が大きくなる。この影響をなくすために、冷間圧延
を施して残留オーステナイトを完全にマルテンサイトに
変態させる必要がある。完全にマルテンサイト変態させ
るためには5%以上の圧延率で冷間圧延を行うことが好
ましい。
【0023】
【実施例】表1に供試材の化学成分ならびにMd(N)
(=580-520C-2Si-16Mn-16Cr-23Ni-26Cu-300N-10Mo)を
表す。なお、表中鋼No.1から7までの化学成分値が
本発明の範囲内にある本発明鋼であり、鋼No.8から
14までの化学成分値がそれ以外の比較鋼である。
【0024】
【0025】いずれの鋼も真空溶解炉にて250kg溶
製し、鍛造、熱延、焼鈍ならびに冷延後、1050℃×
1分均熱の冷延焼鈍を施した。さらに、表2に示すよう
に、一部は冷間圧延後最終的に板厚を0.3mmにし、
さらに一部を除いて1時間の時効処理を施した。このよ
うにして製造された各鋼の供試材について、残留オース
テナイト量、表面ビッカース硬度(荷重1kg)、両振
り曲げ疲労試験での疲労限ならびに図1のような長さ1
10mmの十字型に打抜いたときの打抜き材形状変動差
を測定した。その測定結果を併せて表2に示す。なお、
残留オーステナイト量は、振動型試料磁力計を用いた磁
気的方法で測定した。また、両振り疲労試験は、応力
比:−1で、振動数:1000rpmで行った。打抜き
材形状変動差は、十字型の4本先端部ならびに中心部の
5点を予め位置決めし、その箇所の(最大高さ−最小高
さ)を焦点顕微鏡で求め、打抜き後(最大高さ−最小高
さ)から打抜き前の120×120mm板の5点間の
(最大高さ−最小高さ)を引いた後の増加量で打抜き材
形状変動差を評価した。
【0026】
【0027】表2の結果に見られるように、本発明例N
o.1〜10では、残留オーステナイトがなく、平均の
ビッカース硬度が400以上で、打抜き材形状変動差も
0.15mm以下であった。本発明の特徴であるビッカ
ース硬度400以上で、打抜き加工後の形状変化が小さ
い、フラッパーバルブ用の析出硬化型マルテンサイト系
ステンレス鋼板が得られている。一方、例No.11〜
13は本発明鋼の成分範囲であるが、例No.11およ
び13は時効処理温度が600℃を超えているため、材
料の軟化が激しく硬度が400未満になっている。例N
o.12は時効処理を施していないので、変態歪みや部
分的な冷間圧延歪みが残存し、その影響で打抜き後の形
状変化が大きかった。比較例No.14,15はNi含
有量が本発明範囲を外れるために、時効硬化能が不十分
である。比較例No.11,16,17はAlNやTi
N起因の表面欠陥が発生し、No.20は炭素含有量が
規定範囲を超えているために、時効後に部分的に発銹が
生じていた。
【0028】本発明例は疲労限550N/mm2を超
え、打抜き材形状変動差も0.20mm以下とフラッパ
ーバルブ材に要求される高疲労特性と打抜き後の形状変
化が小さいと言う両方を満足している。比較例の疲労限
については、強度不足(例No.11,13〜15)、
非金属介在物の存在(例No.16,17,20)によっ
て、いずれも550N/mm2以下になっている。例N
o.16,18〜20はγmaxが規定範囲から外れてお
り、特に例No.18は時効処理も施していないので、
残留オーステナイトの残存と過度の冷延による冷延歪み
による残留応力の不均一が起因して、打抜き材形状変動
差が0.4mmを超えている。
【0029】
【発明の効果】以上に説明したように、本発明では、耐
食性とともに高い強度を有するマルテンサイト系ステン
レス鋼の成分および時効処理を最適化することにより、
組織をマルテンサイト単相からなるものとし、しかもビ
ッカース硬度400以上で、変態歪みや冷間圧延歪みの
除去して打抜き前の残留応力変動を小さくしておくこと
で、打抜き加工後の形状変化を小さくすることができ
た。これにより、フラッパーバルブ用として有用なマル
テンサイト系ステンレス鋼板を提供することができた。
耐食性と共に高い強度および平坦度が要求される本発明
のフラッパーバルブ用素材は当然ながら、用途応用範囲
としてショックアブソーバー弁、プレスプレート、面受
板、プレシジョンプレート、ダイシングソーテープフレ
ーム、ステンレスフレーム、板ばね、フリクションリン
グ、メタルガスケット、ラッピングキャリア材、キャリ
アプレート材、ステンレスミラー、ダンパースプリン
グ、ディスクブレーキ、ブレーキマスタキー、スチール
ベルト材ならびにメタルマスク等の各種ばね分野におい
ての用途拡大が期待できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 打抜き材形状変動差を評価するために用いた
十字状打抜き試験片形状を示す図(●印部が高さ測定部
分)
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 磯崎 誠一 山口県新南陽市野村南町4976番地 日新製 鋼株式会社ステンレス事業本部内 (72)発明者 熊野 尚仁 山口県新南陽市野村南町4976番地 日新製 鋼株式会社ステンレス事業本部内 Fターム(参考) 3H003 AC03 AD01 CC11 4K037 EA01 EA02 EA04 EA05 EA06 EA09 EA12 EA13 EA14 EA15 EA17 EA18 EA19 EA20 EA21 EA23 EA25 EA27 EA28 EA31 EA36 EB06 EB07 EB08 EB09 EB13 FB00 FG00 FJ07 FM04 JA06

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 C:0.15質量%以下、Si:2.0
    質量%以下、Mn:2.0質量%以下、P:0.060
    質量%以下、S:0.020質量%以下、Ni:3.0
    〜10.0質量%、Cr:12.0〜20.0質量%、
    Mo:4.0質量%以下、N:0.05質量%以下、T
    i:0.50質量%以下、O:0.02質量%以下を含
    み、以下の(1)式で定義されるMd(N)が100以
    上の値となり、残部が実質的にFeからなる組成を有
    し、かつマルテンサイト単相からなる組織を有し、ビッ
    カース硬度400以上で、変態歪みや冷間圧延歪みに起
    因する残留応力の除去処理が施されていることを特徴と
    するフラッパーバルブ用析出硬化型マルテンサイト系ス
    テンレス鋼板。 Md(N)=580-520C-2Si-16Mn-16Cr-23Ni-26Cu-300N-10Mo・・・・(1)
  2. 【請求項2】 C:0.15質量%以下、Si:2.0
    質量%以下、Mn:2.0質量%以下、P:0.060
    質量%以下、S:0.020質量%以下、Ni:3.0
    〜10.0質量%、Cr:12.0〜20.0質量%、
    Mo:4.0質量%以下、N:0.10質量%以下、T
    i:0.50質量%以下、O:0.02質量%以下を含
    み、さらに5.0質量%以下のCu、0.50質量%以
    下のNb、0.2質量%以下のAl、0.015質量%
    以下のB、0.2質量%以下のREM、0.2質量%以
    下のY、0.10質量%以下のCa、0.10質量%以
    下のMgの1種または2種以上を含有し、以下の(1)
    式で定義されるMd(N)が100以上の値となり、残
    部が実質的にFeからなる組成を有し、かつマルテンサ
    イト単相からなる組織を有し、ビッカース硬度400以
    上で、変態歪みや冷間圧延歪みに起因する残留応力の除
    去処理が施されていることを特徴とするフラッパーバル
    ブ用析出硬化型マルテンサイト系ステンレス鋼板。 Md(N)=580-520C-2Si-16Mn-16Cr-23Ni-26Cu-300N-10Mo・・・・(1)
  3. 【請求項3】 請求項1または2に記載の組成を有する
    鋼を、溶体化処理後、600℃以下の時効処理を施すこ
    とを特徴とする請求項1または2に記載のフラッパーバ
    ルブ用析出硬化型マルテンサイト系ステンレス鋼板を製
    造する方法。
  4. 【請求項4】 請求項1または2に記載の組成を有する
    鋼を、溶体化処理後、冷間圧延を施し、その後600℃
    以下の時効処理を施すことを特徴とする請求項1または
    2に記載のフラッパーバルブ用析出硬化型マルテンサイ
    ト系ステンレス鋼板を製造する方法。
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Cited By (6)

* Cited by examiner, † Cited by third party
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