JP2003071457A - ホウ酸と鉱酸との混酸から鉱酸を回収する方法 - Google Patents
ホウ酸と鉱酸との混酸から鉱酸を回収する方法Info
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Abstract
生する廃混酸のようなホウ酸と鉱酸との混合液中からホ
ウ酸を効率よく分離して鉱酸を回収することができる方
法を提供する。 【解決手段】 硫酸、塩酸等の鉱酸成分とホウ酸とを含
む混酸中のホウ酸を分離して鉱酸を回収する方法であっ
て、前記混酸をpH5以下とした状態で電気透析を行
い、鉱酸成分の陰イオンを陽極側に移行させる。本発明
方法は、透析槽10の内部を陰イオン交換膜11により
仕切り、一方に陽極12を設置した陽極室13を、他方
に陰極14を設置した陰極室15をそれぞれ設けるとと
もに、陰極室15に混酸流入経路16及びホウ酸精製液
流出経路17を、陽極室13にキャリア液流入経路18
及び鉱酸濃縮液流出経路19を、それぞれ設けたホウ酸
分離装置によって実施できる。
Description
を含む)と鉱酸との混酸から鉱酸を回収する方法に関
し、特に、産業廃水、飲料水、食品加工用水等の水や、
食用油、食品加工油等の油類のような各種液体中に含ま
れるホウ素成分を吸着除去するために使用したキレート
材を再生処理する際に発生する廃混酸や、生産過程で発
生するホウ酸を含む混酸から鉱酸を回収する方法に関す
る。
布しており、人体にとって必須の元素であるが、反面、
摂取量が多くなり過ぎると逆に悪影響を及ぼすことも確
認されている。そして、河川や地下水中に含まれるホウ
素成分による人為的汚染と思われる事例が報告されるに
および、水を再利用する際の悪影響が懸念されている。
現在、ホウ素は有害物質として水質汚濁防止法で規制さ
れている。
廃水は、アルカリ側で凝集沈澱を行って除去している
が、鉱酸等が混合されている場合は、中和するためアル
カリ剤が膨大になり、処理コストが高い等の問題があ
る。また、低濃度のホウ素溶液に対しては、イオン交換
樹脂やキレート材を用いてホウ素成分を吸着し、廃水中
から除去することが行われているが、ホウ素成分を吸着
したイオン交換樹脂やキレート材をそのまま処分するこ
とは経済的な面を含めて問題が多いため、塩酸や硫酸等
の鉱酸水溶液に接触させ、イオン交換樹脂やキレート材
に吸着したホウ素成分を鉱酸水溶液中に溶解させること
によってイオン交換樹脂やキレート材を再生し、再生後
にホウ素成分の吸着除去に再利用することが行われてい
る。しかし、再生処理に使用して排出される鉱酸水溶液
(廃混酸)を処理することも同様にコストが高いという
問題がある。
よく分離できれば、廃混酸中の鉱酸をイオン交換樹脂や
キレート材の再生用や、生産工程に戻して再利用できる
とともに、ホウ酸を精製することにより、これをホウ
酸、ホウ素含有物の原料として利用することが容易にな
る。
た混酸中のホウ酸を効率よく分離して鉱酸を回収するこ
とができる方法を提供することを目的としている。
め、本発明のホウ酸と鉱酸との混酸から鉱酸を回収する
方法は、第1の構成として、硫酸、塩酸等の鉱酸成分と
ホウ酸とを含む混酸中の鉱酸を回収する方法であって、
少なくとも陰イオン交換膜を有する電気透析装置を用
い、前記混酸をpH5以下とした状態で電気透析装置の
陰極側に導入し、鉱酸成分の陰イオンを陽極側に移行さ
せて鉱酸を回収することを特徴としている。
塩酸等の鉱酸成分とホウ酸とを含む混酸中の鉱酸を回収
する方法であって、陰イオン交換膜及び陽イオン交換膜
により、陰極を有する陰イオン交換膜側の陰極室、陽極
を有する陽イオン交換膜側の陽極室及び陰イオン交換膜
と陽イオン交換膜とに挟まれた濃縮室の3室を区画形成
した電気透析装置を用い、前記混酸をpH5以下とした
状態で前記陰極室及び陽極室のいずれか一方の室内に導
入した後、続けて他方の室内に導入し、鉱酸成分の陰イ
オン及び混酸中に存在する陽イオン不純物を前記濃縮室
に移行させて鉱酸を回収することを特徴としている。
構成において、前記混酸が、ホウ素成分を吸着したキレ
ート材を、硫酸、塩酸等の鉱酸で再生したときに発生す
る廃混酸であることを特徴とし、加えて、前記廃混酸か
ら回収した鉱酸を、前記キレート材の再生に再利用する
ことを特徴としている。
回収するための装置構成の第1形態例を示す概略図であ
る。この鉱酸回収装置は、透析槽10の内部を陰イオン
交換膜11により仕切って一方に陽極12を設置した陽
極室13を、他方に陰極14を設置した陰極室15をそ
れぞれ設けるとともに、陰極室15に混酸流入経路16
及びホウ酸精製液流出経路17を、陽極室13にキャリ
ア液流入経路18及び鉱酸濃縮液流出経路19を、それ
ぞれ設けたものである。
路16から陰極側の陰極室15内に流入し、陽極12及
び陰極14による電場の作用により、鉱酸成分の陰イオ
ン、例えば塩素イオン(Cl−)や硫酸イオン(SO4
2−)は、陰イオン交換膜11を透過して陽極室13に
移動する。陽極室13に移動した鉱酸成分の陰イオン
は、キャリア液流入経路18から導入されるキャリア液
に伴われて鉱酸濃縮液流出経路19から取り出される。
このとき、キャリア液の流量を、混酸の流量より小さく
すれば、混酸よりも濃度の高い鉱酸溶液を得ることがで
きる。具体的には、キャリア液の流量を、混酸の流量の
80%以下、特に50%以下にすることが好ましい。ホ
ウ酸分離後の鉱酸成分は、キレート材再生用や、生産工
程用等の鉱酸水溶液として再利用することができる。
酸イオンに解離しないpH5以下に保つようにしておく
ことにより、ホウ酸(ホウ酸イオン)が陽極室13に移
動することが無くなるので、ホウ酸は、陰極室15内に
留まって精製され、ホウ酸精製液流出経路17から取り
出すことができる。精製したホウ酸水溶液は、鉱酸等の
不純物が少ないため、ホウ素原料としての利用が容易で
ある。
13内に流入するキャリア液は、電気透析開始時におい
て所定の電気伝導度を得られる液ならばよく、通常運転
時には水であってもよく、混酸や鉱酸の水溶液を使用す
ることも可能である。
成の第2形態例を示すホウ酸分離装置の概略図である。
このホウ酸分離装置は、透析槽20の内部をカチオン交
換膜21とアニオン交換膜22とにより、カチオン交換
膜21側で陽極23を有する陽極室24と、アニオン交
換膜22側で陰極25を有する陰極室26と、カチオン
交換膜21とアニオン交換膜22とに挟まれた濃縮室2
7との三室に区画するとともに、前記陽極室24に混酸
流入経路28を、前記陰極室26にホウ酸精製液流出経
路29を、陽極室24と陰極室26との間に連絡経路3
0を、そして、前記濃縮室27に濃縮液流出経路31及
びキャリア液流入経路32を、それぞれ設けたものであ
る。なお、本例では、キャリア液流入経路32は、混酸
流入経路28から分岐させているが、別の経路から任意
の液体を流入させることができる。
て、混酸流入経路28から陽極室24に流入したpH5
以下の混酸水溶液中の陽イオン、例えばナトリウムイオ
ン、カルシウムイオン、マグネシウムイオンをはじめと
する各種金属イオン33は、陰極25側に引き寄せられ
ることにより、カチオン交換膜21を通過して濃縮室2
7に移動する。
陽極室処理水は、前記連絡経路30を通って陰極室26
に流入する。この陰極室26では、陽極室処理水中に存
在する塩素イオンや硫酸イオン、炭酸イオン等の陰イオ
ン34が陽極23側に引き寄せられることにより、アニ
オン交換膜22を通過して濃縮室27に移動する。
酸は、陽極室24及び陰極室26のいずれでも濃縮室2
7に移動することはなく、両室24,26で非透過液側
に残留する。すなわち、陰極室26からホウ酸精製液流
出経路29に流出する液体は、陽極室24で陽イオン3
3が除去され、陰極室26で陰イオン34が除去される
ことにより、イオンに解離していないホウ酸が精製され
た液となる。また、濃縮室27に移動した陽イオン33
及び陰イオン34は、キャリア液流入経路32から濃縮
室27に流入する混酸によって濃縮液流出経路31に押
し出される。
を、陰極室26にはアニオン交換樹脂をそれぞれ充填し
ておくこともできる。このようなイオン交換樹脂を使用
すると、陰極室26では、廃混酸中の陰イオンがまずア
ニオン交換樹脂に捕捉される。次に、陰極25で発生す
るOH−イオンによってアニオン交換樹脂に捕捉された
陰イオンが置換され、濃縮室27に移動する。陽極室2
4でも同様に、廃混酸中の陽イオンがまずカチオン交換
樹脂に捕捉され、陽極25で発生するH+イオンによっ
てカチオン交換樹脂に捕捉された陽イオンが置換され、
濃縮室27に移動する。これにより、得られるホウ酸精
製液中の不純物量が著しく減少し、また電気透析の処理
速度を上げることができる。
オンをキレート材によって除去するための水処理設備に
適用した例を示す概略系統図である。この水処理設備
は、廃水流入経路51から流入する廃水と、キレート材
流入経路52から流入するキレート材とを反応槽53で
混合してキレート材にホウ酸イオンを吸着させた後、分
離槽54の固液分離手段55でキレート材を分離するこ
とによって処理水流出経路56からホウ酸イオンを除去
した廃水を得るようにしたものである。なお、キレート
材を複数用いることにより、他の金属イオン等を同時に
廃水中から除去することが可能である。
離槽54から再生経路57を経て再生槽58に流入し、
再生液流入経路59から流入するキレート材再生用の鉱
酸水溶液と接触することにより、吸着していたホウ酸イ
オンを鉱酸中に放出して再生される。再生後のキレート
材は、アルカリ等の洗浄液で中和処理が行われ、固液分
離手段60で洗浄液を分離した後、前記キレート材流入
経路52を通って前記反応槽53に再流入する。
ウ酸イオンは、鉱酸水溶液中に溶解した状態となり、こ
の鉱酸水溶液をpH5以下に調整することにより、ホウ
酸分子として液中に存在する状態となる。このようにホ
ウ酸を含んだ状態の鉱酸水溶液(廃混酸)は、廃混酸再
生経路61を通り、前記図1に示したようなホウ酸分離
装置における透析槽10の陰極室15内に流入する。
4による電場の作用によって廃混酸中の鉱酸イオンが陽
極室13に移動し、陰極室15にホウ酸が分離精製され
てホウ酸精製液流出経路17から取り出される。また、
廃混酸の一部は、キャリア液流入経路18に分岐して陽
極室13に流入し、陰イオン交換膜11を通過して陽極
室13に移動した鉱酸イオンを伴って前記再生液流入経
路59から再生槽58に再流入する。
らホウ酸を分離することにより、鉱酸成分をキレート材
の再生用として再利用することができる。また、ホウ酸
分離装置として、前記図2に示した装置を使用すること
により、キレート材に吸着されて再生時に鉱酸(混酸)
中に溶解した金属イオンをホウ酸精製液中から除去する
ことができる。
ば、キレート材を再生するために使用した後の鉱酸水溶
液や、生産過程で発生するホウ酸を含む混酸中に溶解し
ているホウ酸を容易に分離除去することができるので、
ホウ酸分離後の鉱酸水溶液をキレート材再生用や、生産
工程に繰り返し利用することができる。また、ホウ酸精
製液中にホウ酸を純粋なかたちで取り出すことができる
ので、ホウ酸の再利用も容易に行うことができる。
形態例を示す概略図である。
形態例を示す概略図である。
ート材によって除去するための水処理設備に適用した例
を示す概略系統図である。
3…陽極室、14…陰極、15…陰極室、16…混酸流
入経路、17…ホウ酸精製液流出経路、18…キャリア
液流入経路、19…鉱酸濃縮液流出経路、20…透析
槽、21…カチオン交換膜、22…アニオン交換膜、2
3…陽極、24…陽極室、25…陰極、26…陰極室、
27…濃縮室、28…混酸流入経路、29…ホウ酸精製
液流出経路、30…連絡経路、31…濃縮液流出経路、
32…キャリア液流入経路、33…金属イオン(陽イオ
ン)、34…陰イオン、51…廃水流入経路、52…キ
レート材流入経路、53…反応槽、54…分離槽、55
…固液分離手段、56…処理水流出経路、57…再生経
路、58…再生槽、59…再生液流入経路、60…固液
分離手段、61…廃混酸再生経路
Claims (4)
- 【請求項1】 硫酸、塩酸等の鉱酸成分とホウ酸とを含
む混酸中の鉱酸を回収する方法であって、少なくとも陰
イオン交換膜を有する電気透析装置を用い、前記混酸を
pH5以下とした状態で電気透析装置の陰極側に導入
し、鉱酸成分の陰イオンを陽極側に移行させて鉱酸を回
収することを特徴とする混酸からホウ酸を分離する方
法。 - 【請求項2】 硫酸、塩酸等の鉱酸成分とホウ酸とを含
む混酸中の鉱酸を回収する方法であって、陰イオン交換
膜及び陽イオン交換膜により、陰極を有する陰イオン交
換膜側の陰極室、陽極を有する陽イオン交換膜側の陽極
室及び陰イオン交換膜と陽イオン交換膜とに挟まれた濃
縮室の3室を区画形成した電気透析装置を用い、前記混
酸をpH5以下とした状態で前記陰極室及び陽極室のい
ずれか一方の室内に導入した後、続けて他方の室内に導
入し、鉱酸成分の陰イオン及び混酸中に存在する陽イオ
ン不純物を前記濃縮室に移行させて鉱酸を回収すること
を特徴とする混酸からホウ酸を分離する方法。 - 【請求項3】 前記混酸は、ホウ素成分を吸着したキレ
ート材を、硫酸、塩酸等の鉱酸で再生したときに発生す
る廃混酸であることを特徴とする請求項1又は2記載の
ホウ酸と鉱酸との混酸から鉱酸を回収する方法。 - 【請求項4】 前記廃混酸から回収した鉱酸を、前記キ
レート材の再生に再利用することを特徴とする請求項3
記載のホウ酸と鉱酸との混酸から鉱酸を回収する方法。
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JP2001267718A JP4918197B2 (ja) | 2001-09-04 | 2001-09-04 | ホウ酸と鉱酸との混酸から鉱酸を回収する方法 |
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