JP2003068549A - フェライト磁心の製造方法 - Google Patents

フェライト磁心の製造方法

Info

Publication number
JP2003068549A
JP2003068549A JP2001257101A JP2001257101A JP2003068549A JP 2003068549 A JP2003068549 A JP 2003068549A JP 2001257101 A JP2001257101 A JP 2001257101A JP 2001257101 A JP2001257101 A JP 2001257101A JP 2003068549 A JP2003068549 A JP 2003068549A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
ferrite
temperature
sintering
magnetic permeability
sintered body
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP2001257101A
Other languages
English (en)
Inventor
Shugo Otsuki
秀剛 大槻
Shigeru Kawahara
茂 河原
Yoshikazu Ito
義和 伊藤
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Hitachi Metals Ltd
Original Assignee
Sumitomo Special Metals Co Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Sumitomo Special Metals Co Ltd filed Critical Sumitomo Special Metals Co Ltd
Priority to JP2001257101A priority Critical patent/JP2003068549A/ja
Publication of JP2003068549A publication Critical patent/JP2003068549A/ja
Pending legal-status Critical Current

Links

Landscapes

  • Magnetic Ceramics (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【課題】 バレル研磨時の加工歪みおよび焼結時のZn
の揮散による透磁率の低下を抑制することができるフェ
ライト磁心の製造方法を提供する。 【解決手段】 フェライト磁心の製造方法は、(a)M
n−Zn系フェライト粉末を用意する工程と、(b)前
記フェライト粉末をプレスすることによって成形体を形
成する工程と、(c)前記成形体を第1の温度で焼結す
ることによって焼結体を形成する工程と、(d)前記焼
結体をバレル研磨する工程と、(e)工程(d)の後
に、前記焼結体を前記第1の温度よりも低い第2の温度
でアニールする工程とを包含する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、フェライト磁心の
製造方法に関し、特に高透磁率を有するMn−Zn系フ
ェライト磁心の製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】現在、高透磁率を有するフェライト磁心
として、Mn−Zn系フェライト磁心が広く用いられて
いる。Mn−Zn系フェライト磁心に導線を巻きつける
ことによって種々のインダクタが作製される。フェライ
ト磁心に導線を巻きつける際にフェライト磁心にバリが
あると、導線の被覆が破壊され、絶縁不良などの問題を
引き起こすので、フェライト磁心にはバリ取りが施され
ている。
【0003】フェライト磁心のバリ取りの方法として
は、従来からバレル研磨が一般的に用いられている。バ
レル研磨は生産性が高い反面、フェライト磁心に加工歪
みを残存させ、その結果、フェライト磁心の透磁率が低
下するという問題が発生する。この問題を解決するため
に、これまでに下記の方法が提案されている。
【0004】特開平6−302466号公報には、フェ
ライト粉末の成形体を焼結する前にバレル研磨によって
バリを除去するという方法が開示されている。しかしな
がら、成形体は機械的な強度が弱く、バレル研磨中に破
損しやすいので、この方法を採用すると歩留まりが低下
する。そこで、特開平9−266123号公報は、成形
体を仮焼結することによって成形体(仮焼結体)の機械
的強度を高めた状態でバレル研磨を行い、その後で焼結
を行うことによって、バレル研磨中の成形体の破損を抑
制した方法を開示している。
【0005】一方、特許第2765964号公報は、フ
ェライトの焼結体に対してバレル研磨を施した後で、酸
を用いたウェットエッチングによって、加工歪みが蓄積
されている表面層を除去するという方法を開示してい
る。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】本発明者が、バレル研
磨工程を含むフェライト磁心の製造プロセスとフェライ
ト磁心の透磁率との関係を詳細に検討した結果、フェラ
イト磁心の透磁率を低下させる新たな要因を見出した。
【0007】焼結工程において、Mn−Zn系フェライ
トの成分であるZnが揮散し、フェライト磁心(焼結
体)の表面にZnの含有量が低い表面層が形成される。
この表面層は所定の組織を有していないので透磁率が低
く、その結果、フェライト磁心の全体としての透磁率が
低下する。すなわち、透磁率の高いフェライト磁心を得
るためには、バレル研磨による加工歪みを減少させると
ともに、Znの含有量が低下した表面層をできるだけ減
少させることが好ましいことが分かった。
【0008】この点を考慮すると、上記特開平6−30
2466号公報や特開平9−266123号公報に開示
されているように、フェライト粉末の成形体を焼結する
前の段階でバレル研磨する方法では、加工歪みによる透
磁率の低下は抑制されるものの、成形体の焼結中にZn
の含有量が低い表面層が形成されることによる透磁率の
低下を抑制することはできない。
【0009】一方、上記特許第2765964号公報で
はZnの揮散による透磁率の低下の問題は認識されてい
ないものの、この公報に記載されている方法を用いる
と、結果的にZnの含有量が低い表面層を除去できる。
しかしながら、エッチングに用いた酸を除去するための
洗浄工程が必要で、且つ、フェライト磁心および/また
はインダクタの信頼性を損なわない程度にまで酸を除去
することが難しいという問題がある。
【0010】本発明は、上記諸点に鑑みてなされたもの
であり、その目的は、バレル研磨時の加工歪みおよび焼
結時のZnの揮散による透磁率の低下を抑制することが
できるフェライト磁心の製造方法を提供することにあ
る。
【0011】
【課題を解決するための手段】本発明によるフェライト
磁心の製造方法は、(a)Mn−Zn系フェライト粉末
を用意する工程と、(b)前記フェライト粉末をプレス
することによって成形体を形成する工程と、(c)前記
成形体を第1の温度で焼結することによって焼結体を形
成する工程と、(d)前記焼結体をバレル研磨する工程
と、(e)工程(d)の後に、前記焼結体を前記第1の
温度よりも低い第2の温度でアニールする工程とを包含
し、そのことによって上記目的が達成される。
【0012】前記第1の温度は、1200℃以上140
0℃以下であることが好ましい。
【0013】前記第2の温度は、700℃以上1200
℃未満であることが好ましい。
【0014】前記アニール工程は、酸素ガスの体積含有
率が0.1%以下の不活性ガス雰囲気中で実行されるこ
とが好ましい。
【0015】本発明によるインダクタは、上記のいずれ
かに記載の製造方法によって製造されたフェライト磁心
と、前記フェライト磁心に巻きつけられた導線とを備え
ることを特徴とする。
【0016】
【発明の実施の形態】本発明によるフェライト磁心の製
造方法は、図1に示すように、Mn−Zn系フェライト
粉末を用意する工程S1と、フェライト粉末をプレスす
ることによって成形体を形成する工程S2と、成形体を
第1の温度で焼結することによって焼結体を形成する工
程S3と、焼結体をバレル研磨する工程S4と、工程S
4の後に、焼結体を第1の温度よりも低い第2の温度で
アニールする工程S5とを包含する。
【0017】工程S1で用意するMn−Zn系フェライ
ト粉末は、公知の方法で調製される。まず、所定の組成
の原料を準備する。一般的には、Fe23を50〜55
モル%、MnOを20〜35モル%、ZnOを15〜3
0モル%を含む原料を用意する。さらに、CaO、Si
2や酸化ビスマスなどの公知の添加物を含んでもよ
い。
【0018】これを仮焼結(例えば850℃で約2時
間)した後、例えばボールミルを用いて粉砕し、得られ
た粉末を有機バインダ(例えばPVA)を用いて造粒し
たものをMn−Zn系フェライト粉末として用いる。
【0019】用意されたMn−Zn系フェライト粉末を
工程S2で、常法に従ってプレス成形することによって
所定の形状の成形体を得る。プレス成形には公知のプレ
ス装置(例えば、油圧プレス装置)を用いることができ
る。プレス圧は必要に応じて適宜設定される(例えば5
0MPa〜200MPa)。
【0020】得られた成形体を工程S3で焼結する。焼
結温度および時間は、Mn−Zn系フェライトの組成に
応じて、焼結反応が十分に進行するように適宜設定され
る。焼結温度は1200℃以上1400℃以下であるこ
とが好ましく、焼結時間は2時間から6時間であること
が好ましい。焼結温度が1200℃よりも低いと所望の
組織が形成されず、十分に高い透磁率が得られなかった
り、あるいは、焼結に長時間を要するためにスループッ
トが低下するなどの問題が発生することがある。また、
1400℃を超えるとフェライト中のZnの揮散量が不
必要に増加し、透磁率が低下した表面層を後のバレル研
磨によって十分に除去できないことがある。
【0021】得られた焼結体を工程S4でバレル研磨す
る。バレル研磨は公知の方法で実行される。このとき、
焼結体の全ての表面層を完全に除去する必要はなく、そ
の少なくとも一部を除去することによって、透磁率を上
昇することができる。すなわち、焼結工程においてZn
が揮散することによって透磁率が低下した表面層の少な
くとも一部を除去すれば、焼結体全体の透磁率は上昇す
る。例えば、リング状の焼結体を、リングの孔の直径よ
りも大きな球状メディアを用いてバレル研磨すると、リ
ングの内側の側面に形成された表面層を除去することが
できないが、その他の領域に形成された表面層を除去す
ることによって、透磁率を上昇することができる。
【0022】Znの揮散量は、焼結炉内の成形体の位置
によってもばらつきやすい。特に、小さな成形体(例え
ば数mm程度のチョークコイル用フェライト)を1つの
焼結容器に数万個程度収容した状態で焼結すると、温度
や雰囲気のばらつきの影響を受けて、Znの揮散量にば
らつきが生じる。バレル研磨によってZnが揮散した表
面層の少なくとも一部を除去することによって、透磁率
を上昇させるだけでなく、透磁率のばらつきを低減させ
ることもできる。
【0023】勿論、工程S4のバレル研磨において、焼
結体(磁心)に導線を巻きつける際に焼結体のバリによ
って導線(例えばエナメル被覆導線)の被覆が破損され
ない程度にバリを除去する。バレル研磨の条件は、必要
に応じて適宜設定される。
【0024】次に、工程S5において、バレル研磨によ
って焼結体に蓄積された加工歪みを減少・除去するため
に、アニール(熱処理)を施す。アニール工程は、Zn
の揮散を抑制するために、焼結温度(第1の温度)より
も低い温度(第2の温度)で実行される。具体的な温度
や時間は、フェライトの組成などに応じて適宜設定すれ
ばよい。
【0025】本発明によると、焼結工程におけるZnの
揮散によって低下した透磁率を、バレル研磨で表面層を
除去することによって、少なくとも部分的に回復してい
るので、透磁率の回復効果が相殺されない程度であれば
アニール工程中に多少のZnの揮散が起こってもよい。
すなわち、アニールによる加工歪みの減少によって得ら
れる透磁率の上昇の程度と、Znの更なる揮散による透
磁率の低下の程度とを考慮して、総合的にアニール条件
(温度および時間)を設定すればよい。
【0026】本発明者による実験の結果、アニール温度
(第2の温度)は、700℃以上で1200℃未満であ
ることが好ましい。700℃未満であると加工歪みを十
分に減少させることができなかったり、あるいは、加工
歪みを十部に減少させるために必要以上に長い時間を要
したりすることがある。また、アニール温度が1200
℃よりも高いと、アニール工程中にZnの揮散が起こ
り、透磁率が再び低下することがある。上記の温度範囲
でアニールを行う場合、概ね10分以上2時間以下のア
ニールで十分に加工歪みを減少させることができる。
【0027】なお、アニール工程は、焼結工程と同様
に、酸素ガスの体積含有率が0.1%以下の不活性ガス
雰囲気中で実行されることが好ましい。これは酸素ガス
の含有率が高い雰囲気下でアニールを行うと、フェライ
トの成分が酸化され、所望の透磁率が得られないことが
ある。
【0028】本発明によるMn−Zn系フェライト磁心
においては、焼結工程で形成されたZnの含有量が低い
表面層(少なくとも一部)がバレル研磨によって除去さ
れているので、フェライト磁心全体としての透磁率が上
昇する。また、表面層の除去がバレル研磨によって行わ
れており、特許第2765964号公報のように酸を用
いていないので、焼結体に酸が残存する心配がなく、使
用時の信頼性(例えば耐食信頼性)に優れる。また、バ
レル研磨工程によって焼結体に蓄積された加工歪みはア
ニールによって除去されるので、加工歪みによって低下
していた透磁率を上昇させることができる。
【0029】本発明によるMn−Zn系フェライト磁心
は、上述の方法で製造されているので、焼結中のZnの
揮散およびバレル研磨による加工歪みに起因する透磁率
の低下が抑制されているので、従来よりも高い透磁率を
有している。従って、高透磁率が望まれる種々のインダ
クタに好適に用いられる。また、フェライト磁心のバリ
が除去(面取り)されているので、フェライト磁心に巻
きつけられた導線の被覆が破損し、短絡不良を起こすこ
とも防止される。
【0030】
【実施例】本発明の製造方法を用いて、チョークコイル
用のMn−Zn系フェライト磁心を作製した実施例を参
考例とともに説明する。
【0031】Feを52.3モル%、MnOを2
5.6モル%、およびZnOを22.1モル%含む原料
を作製し、これを850℃で約2時間仮焼結し、ボール
ミルを用いて粉砕した。得られた粉末をPVAを用いて
造粒することによって、Mn−Zn系フェライト粉末を
得た。これをプレス成形することによって、外径4m
m、内径2mm、高さ2mmのリング状成形体を作製し
た。
【0032】この後、実施例1〜4および参考例1〜4
について、それぞれ下記に説明するプロセスに従って、
バリ取りおよび焼結を行い、Mn−Zn系フェライト磁
心を得た。なお、焼結工程およびバレル研磨工程は、全
てのサンプルについて同じとし、アニールの条件および
/またはバレル研磨工程を実行する順序を変えて、実施
例1〜4および参考例1〜4のサンプルを作製した。焼
結条件は、1350℃、3時間とし、バレル研磨工程
は、例えば、3mmφのメディアを用いて、遠心バレル
機で170rpm/10分の条件で実行した。ここで
は、メディアが焼結体(成形体)の孔に詰まらないよう
に、焼結体の内径(2mmφ)よりも大きな外径のメデ
ィアを用いたので、焼結体の内面はバレル研磨されず、
端部だけがバレル研磨される。上記の焼結条件ではZn
が抜けた表面層が10μm程度の厚さで形成され、上記
のバレル研磨工程によって、焼結体の端部(角部)がR
=300μm程度まで研磨された。
【0033】実施例1〜4および参考例1〜3について
は、成形体を焼結した後にバレル研磨した。バレル研磨
された焼結体をそれぞれ表1に示した温度で、例えば1
時間、アニールを行い実施例1〜4および参考例2〜3
のサンプルを得た。参考例1はアニールを行わなかっ
た。参考例4は、成形体を950℃で1時間の条件で仮
焼結した後、バレル研磨した。この後、仮焼結体を上記
の条件で焼結することによってサンプルを得た。なお、
ここで用いた上記組成のMn−Zn系フェライト粉末は
950℃で1時間の条件では焼結反応が起こらないの
で、所望の透磁率を有する組織は形成されない。
【0034】実施例1〜4および参考例1〜4のそれぞ
れについて、約20000個を1バッチとしてサンプル
を作製した。それぞれ、その中から100個のサンプル
を無作為抽出し、LCRを用いて10kHzの透磁率を
測定した。得られた透磁率の平均値を表1に示す。
【0035】実施例1〜4と参考例1とを比較すれば明
らかなように、焼結体をバレル研磨し、その後アニール
を施していない参考例1のサンプルは、実施例1〜4の
サンプルに比べて透磁率が低い。すなわち、参考例1で
は、焼結体をバレル研磨したことによる加工歪みによっ
て透磁率が低下しているのに対し、実施例1〜4では、
バレル研磨後の焼結体をアニールすることによって加工
歪みが減少され、透磁率が上昇していることが分かる。
【0036】但し、実施例1〜4と同様のアニール処理
を行ったのにも関わらず、参考例2および3のサンプル
の透磁率は低い。このことからアニールの効果を得るた
めには、ある温度以上、例示したフェライトについては
600℃を超える温度でアニールする必要があることが
分かる。種々検討した結果、700℃以上の温度でアニ
ールすれば加工歪みを減少させることができる。また、
参考例3のサンプルの透磁率は、実施例1よりも低下し
ている。参考例3のサンプルでは1200℃のアニール
によって加工歪みは減少させられており、この透磁率の
低下は、Znの揮散によるものである。すなわち、Zn
の揮散によって透磁率を必要以上に低下させないよう
に、アニール温度をある温度以下に設定することが好ま
しいことが分かる。本発明の製造方法によると、焼結工
程で生成されたZn含有量が低い表面層をバレル研磨で
少なくとも部分的に除去しているので、アニール温度が
焼結温度よりも低ければ、焼結上がりの焼結体よりもZ
nの揮散による透磁率の低下を抑制することができる。
しかしながら、Znの揮散による透磁率の低下を抑制
し、高い透磁率を得るためには、アニール温度は120
0℃未満であることが好ましいことがわかった。例示し
た組成フェライトについては1100℃以下であること
がさらに好ましい。
【0037】一方、特開平9−266123号公報に開
示されている方法と同様に、仮焼結を行うことによって
機械的な強度を向上した成形体をバレル研磨し、その
後、焼結した参考例4のサンプルは、参考例1から3の
何れよりも高い透磁率を有する。しかしながら、焼結中
のZnの揮散による透磁率の低下の影響を受けているの
で、参考例4のサンプルの透磁率は、実施例1〜4のサ
ンプルの透磁率より低い値となっている。
【0038】上述したように、本発明による製造方法を
用いてMn−Zn系フェライト磁心を製造すると、加工
歪みによる透磁率の低下を抑制できるとともに、Znの
揮散による透磁率の低下をも抑制できるので、非常に高
い透磁率を有するMn−Zn系フェライト磁心を得るこ
とができた。また、Znの揮散による透磁率の低下を十
分に抑制するためには、アニール温度は700℃以上1
200℃未満が好ましく、800℃以上1100℃以下
であることがさらに好ましいことがわかった。
【0039】なお、ここでは、リング状焼結体の内径よ
りも大きな外径のメディアを用いてバレル研磨を行った
ので焼結体の内面の表面層は除去されていない。それに
もかかわらず、上述したように透磁率を上昇させること
ができた。このように、表面層を完全に除去せずとも透
磁率を十分に上昇できるので、バレル研磨条件(メディ
アの大きさ、種類、バレル方式、時間)やアニール条件
(温度および時間)は、要求される透磁率および生産性
を考慮して適宜設定すればよい。
【0040】なお、実施例1〜4では成形体をそのまま
焼結し、得られた焼結体をバレル研磨したが、何らかの
理由で仮焼結が望まれる場合は、焼結前に仮焼結を行っ
ても良い。すなわち、焼結後にバレル研磨を行い、その
後にアニール処理を行えば、本発明の効果を得ることが
可能であり、焼結前の工程に制限されない。
【0041】
【表1】
【0042】実施例1〜4のサンプルは何れも十分にバ
リ取りされており、得られた磁心に導線(例えば、エナ
メルで被覆された直径0.14mmの銅線)を巻きつけ
ても、被覆の破損は認められなかった。このようにし
て、特性の優れたチョークコイルが得られた。ここで
は、チョークコイルを例示したが、本発明は他の種類の
インダクタに広く適用することができる。
【0043】
【発明の効果】本発明によると、Mn−Zn系フェライ
ト磁心の製造プロセスにおける焼結工程で生成される透
磁率が低い表面層の少なくとも一部が除去されるので、
透磁率の高いMn−Zn系フェライトが製造される。本
発明は、磁心の体積に対する表面積の割合が多い磁心、
例えば実施例で示したような5mm程度以下の小さな磁
心に対して、特に効果的である。
【0044】また、透磁率の低い表面層は、バリ取りの
ためのバレル研磨工程で除去されるので、新たな工程を
追加する必要がない。すなわち、特許第2765964
号公報に記載されているようなウェットエッチング工程
を必要とせず、従ってその後の洗浄工程も必要がなく、
さらに、エッチング液の残存によって信頼性が低下する
こともない。
【0045】バレル研磨による加工歪みは、焼結体をア
ニールすることによって低減されるので、加工歪による
透磁率の低下も抑制される。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明よるMn−Zn系フェライト磁心の製造
方法の工程を示すフローチャートである。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 伊藤 義和 大阪府三島郡島本町江川2丁目15番17号 住友特殊金属株式会社山崎製作所内 Fターム(参考) 4G018 AA21 AA25 AC16 AC22 AC23

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 (a)Mn−Zn系フェライト粉末を用
    意する工程と、 (b)前記フェライト粉末をプレスすることによって成
    形体を形成する工程と、 (c)前記成形体を第1の温度で焼結することによって
    焼結体を形成する工程と、 (d)前記焼結体をバレル研磨する工程と、 (e)工程(d)の後に、前記焼結体を前記第1の温度
    よりも低い第2の温度でアニールする工程と、 を包含するフェライト磁心の製造方法。
  2. 【請求項2】 前記第1の温度は、1200℃以上14
    00℃以下である、請求項1に記載のフェライト磁心の
    製造方法。
  3. 【請求項3】 前記第2の温度は、700℃以上120
    0℃未満である、請求項1または2に記載のフェライト
    磁心の製造方法。
  4. 【請求項4】 前記アニール工程は、酸素ガスの体積含
    有率が0.1%以下の不活性ガス雰囲気中で実行され
    る、請求項1から3のいずれかに記載のフェライト磁心
    の製造方法。
  5. 【請求項5】 請求項1から4のいずれかに記載の製造
    方法によって製造されたフェライト磁心と、前記フェラ
    イト磁心に巻きつけられた導線とを備えるインダクタ。
JP2001257101A 2001-08-28 2001-08-28 フェライト磁心の製造方法 Pending JP2003068549A (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2001257101A JP2003068549A (ja) 2001-08-28 2001-08-28 フェライト磁心の製造方法

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2001257101A JP2003068549A (ja) 2001-08-28 2001-08-28 フェライト磁心の製造方法

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JP2003068549A true JP2003068549A (ja) 2003-03-07

Family

ID=19084816

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2001257101A Pending JP2003068549A (ja) 2001-08-28 2001-08-28 フェライト磁心の製造方法

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP2003068549A (ja)

Cited By (7)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2005044946A (ja) * 2003-07-25 2005-02-17 Kyocera Corp フェライトコアとその製造方法及びこれを用いたコモンモードノイズフィルター
JP2009105428A (ja) * 2008-12-26 2009-05-14 Kyocera Corp フェライトコアとその製造方法及びコモンモードノイズフィルター
JP2010087240A (ja) * 2008-09-30 2010-04-15 Tdk Corp 電子部品及び電子部品の製造方法
JP2011223025A (ja) * 2011-07-04 2011-11-04 Kyocera Corp セラミックコアおよびその製造方法、ならびにこれを用いたチップ状電子部品
CN104392837A (zh) * 2014-10-31 2015-03-04 湖州南浔嘉科电子科技有限公司 锰锌铁氧体磁芯的生产方法
JP2021052133A (ja) * 2019-09-26 2021-04-01 株式会社村田製作所 インダクタ部品用のコア、インダクタ部品およびコアの製造方法
CN113135747A (zh) * 2021-04-26 2021-07-20 中国电子科技集团公司第九研究所 一种微波铁氧体的制备方法

Cited By (9)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2005044946A (ja) * 2003-07-25 2005-02-17 Kyocera Corp フェライトコアとその製造方法及びこれを用いたコモンモードノイズフィルター
JP2010087240A (ja) * 2008-09-30 2010-04-15 Tdk Corp 電子部品及び電子部品の製造方法
JP2009105428A (ja) * 2008-12-26 2009-05-14 Kyocera Corp フェライトコアとその製造方法及びコモンモードノイズフィルター
JP2011223025A (ja) * 2011-07-04 2011-11-04 Kyocera Corp セラミックコアおよびその製造方法、ならびにこれを用いたチップ状電子部品
CN104392837A (zh) * 2014-10-31 2015-03-04 湖州南浔嘉科电子科技有限公司 锰锌铁氧体磁芯的生产方法
JP2021052133A (ja) * 2019-09-26 2021-04-01 株式会社村田製作所 インダクタ部品用のコア、インダクタ部品およびコアの製造方法
JP7140085B2 (ja) 2019-09-26 2022-09-21 株式会社村田製作所 インダクタ部品およびインダクタ部品用のコアの製造方法
US11862376B2 (en) 2019-09-26 2024-01-02 Murata Manufacturing Co., Ltd. Core for inductor component, inductor component, and method of manufacturing core
CN113135747A (zh) * 2021-04-26 2021-07-20 中国电子科技集团公司第九研究所 一种微波铁氧体的制备方法

Similar Documents

Publication Publication Date Title
CN110021477B (zh) 压粉磁芯的制造方法以及压粉磁芯
JP5048155B1 (ja) 積層インダクタ
TWI527064B (zh) Coil type electronic parts
JP6388426B2 (ja) コイル部品の製造方法
JP5374537B2 (ja) 軟磁性粉末、造粒粉、圧粉磁心、電磁部品及び圧粉磁心の製造方法
JP6453370B2 (ja) 積層インダクタ
JP2003068549A (ja) フェライト磁心の製造方法
US9027236B2 (en) Resonator structures and method of making
JP3635410B2 (ja) マンガン−亜鉛系フェライトの製造方法
JP2006290632A (ja) フェライト焼結体及びその製造方法並びにこれを用いた電子部品
JPH09501397A (ja) 磁気誘電セラミック複合材料、この材料を製造する方法、応用例及び多機能部品
US20200222986A1 (en) Method for manufacturing powder magnetic core
JPH065427A (ja) インダクタ及びその製造方法
JP6468427B2 (ja) コイル封入圧粉磁芯
JP6568072B2 (ja) モノリシック電磁コンポーネントを製造する方法及び関連するモノリシック磁気コンポーネント
CN114031388A (zh) 一种Mn-Zn铁氧体材料及其制备方法
JP6488773B2 (ja) コイル封入圧粉磁芯
JPH09266123A (ja) フェライトコアの製造方法
JPH08133826A (ja) 耐熱衝撃性フェライト材料及びこれを用いたフェライトコア
JP4318309B2 (ja) 磁歪素子、センサ、磁歪素子の製造方法
JP2005213619A (ja) 軟磁性材料およびその製造方法
JP2005277179A (ja) フェライトコアの製造方法
JPH0812476A (ja) 高透磁率酸化物磁性材料の焼結方法
JPH0536534A (ja) 積層型コイル
JPH09171919A (ja) 高周波用金属磁性材料の製造方法

Legal Events

Date Code Title Description
A711 Notification of change in applicant

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A712

Effective date: 20070607