JP2003064444A - 深絞り性に優れた高強度鋼板および製造方法 - Google Patents
深絞り性に優れた高強度鋼板および製造方法Info
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- JP2003064444A JP2003064444A JP2001255385A JP2001255385A JP2003064444A JP 2003064444 A JP2003064444 A JP 2003064444A JP 2001255385 A JP2001255385 A JP 2001255385A JP 2001255385 A JP2001255385 A JP 2001255385A JP 2003064444 A JP2003064444 A JP 2003064444A
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Abstract
る。 【解決手段】 所定のC量を含有し、平均r値が1.3
以上、かつ組織中にベイナイト、マルテンサイト、オー
ステナイトのうち1種類以上を合計で3%以上有する高
強度鋼板。冷間圧延の圧下率を30〜95%とし、r値
を高めるための焼鈍と引き続き上記の組織を得るための
熱処理を行うことを特徴とする深絞り性に優れた高強度
鋼板の製造方法。
Description
ネル類、足廻り、メンバーなどに用いられる鋼板および
その製造方法に関するものである。本発明の鋼板は、表
面処理をしないものと、防錆のために溶融亜鉛めっき、
電気めっきなどの表面処理を施したものの両方を含む。
めっきとは、純亜鉛のほか、主成分が亜鉛である合金の
めっき、さらにはAlやAl−Mgを主体とするめっき
も含む。本発明によれば深絞り性に優れた高強度鋼板を
得ることができるため、例えば自動車部品の軽量化を通
じて地球環境保全に貢献しうるものと考えられる。ま
た、ハイドロフォーム成形用の鋼管用としても好適であ
る。
強度化が望まれている。高強度化することで板厚減少に
よる軽量化や衝突時の安全性向上が可能となる。しかし
ながら高強度で成形性特に深絞り性が優れた鋼板を得よ
うとすると、例えば特開昭56−139654号公報に
開示されているように、C量を著しく減じた極低炭素鋼
にSi,Mn,Pなどを添加して強化することが必須で
あった。C量を低減するためには製鋼工程で真空脱ガス
を行わねばならず、製造過程でCO2 を多量に発生する
ことになり、地球環境保全の観点で必ずしも最適なもの
とは言い難い。
り性の良好な鋼板についても開示されている。特公昭5
7−47746号公報、特公平2−20695号公報、
特公昭58−49623号公報、特公昭61−1298
3号公報、特公平1−37456号公報、特開昭59−
13030号公報などに開示されている。しかしながら
これらについてもC量は実質的に0.07%以下と低
い。
C量が0.14%でも比較的良好なr値が得られること
が示されている。しかしながらこれにはPが多量に含有
されており、2次加工性が劣化したり、溶接性や溶接後
の疲労強度に問題を生ずる場合がある。さらにこれらは
箱焼鈍が前提となっている。箱焼鈍では、高温焼鈍が困
難であること、また、一般に強制冷却装置が備わってい
ないので、ベイナイト、マルテンサイト、オーステナイ
トなどのフェライト以外の第2相を得ることが困難で、
組織強化を活用し難い。従って、鋼板の強度を高めよう
とすると多量の合金元素を添加せねばならず、コストア
ップとなったり、溶接性に問題を生じたりする。
において深絞り性が良好で、かつフェライト以外のベイ
ナイト、マルテンサイト、オーステナイトなどを含有す
る高強度鋼板を得るものである。
題を解決すべく、鋭意検討を進めたところ、C量が多く
ても深絞り性が良好で、かつフェライト以外の組織を含
む、従来にはない鋼板を得ることに成功した。
らなり、平均r値が1.3以上、鋼板の組織中にベイナ
イト、マルテンサイト、オーステナイトのうち1種また
は2種以上を合計で3〜100%含有することを特徴と
する深絞り性に優れた高強度鋼板。
上、圧延方向に対して45゜方向のr値(rD)が0.
9以上、圧延方向と直角方向のr値(rC)が1.2以
上であることを特徴とする前記(1)に記載の深絞り性
に優れた高強度鋼板。 (3)鋼板1/2板厚における板面の{111},{1
00}の各X線反射面強度比がそれぞれ4.0以上、
3.0以下であることを特徴とする前記(1)または
(2)に記載の深絞り性に優れた高強度鋼板。
徴とする前記(1)〜(3)のいずれか1項に記載の深
絞り性に優れた高強度鋼板。 (5)Bを0.0001〜0.01質量%含むことを特
徴とする前記(1)〜(4)のいずれか1項に記載の深
絞り性に優れた高強度鋼板。 (6)Mgを0.0001〜0.5質量%含むことを特
徴とする前記(1)〜(5)のいずれか1項に記載の深
絞り性に優れた高強度鋼板。 (7)Ti,Nb,V,Zrの1種または2種以上を合
計で0.001〜0.2質量%含むことを特徴とする前
記(1)〜(6)のいずれか1項に記載の深絞り性に優
れた高強度鋼板。 (8)Sn,Cr,Cu,Ni,Co,WおよびMoの
1種または2種以上を合計で0.001〜2.5質量%
含むことを特徴とする前記(1)〜(7)のいずれか1
項に記載の深絞り性に優れた高強度鋼板。 (9)Caを0.0001〜0.01質量%含むことを
特徴とする前記(1)〜(8)のいずれか1項に記載の
深絞り性に優れた高強度鋼板。
に記載の鋼板を製造する方法であって、前記(1)また
は(4)〜(9)のいずれか1項に記載の化学成分を有
する鋼を(Ar3 変態点−50℃)℃以上で熱間圧延を
完了し、室温〜700℃で巻き取り、圧下率30%以上
95%未満の冷間圧延を施し、平均加熱速度4〜200
℃/時間で加熱し、最高到達温度を600〜800℃と
する焼鈍を行い、さらにAc1 変態点以上1050℃以
下の温度まで加熱することを特徴する深絞り性に優れた
高強度鋼板の製造方法。 (11)前記(1)〜(9)の何れか1項に記載の鋼板
を製造する方法であって、請求項1または4〜9のいず
れか1項に記載の化学成分を有し、かつ少なくとも板厚
の1/4〜3/4においてはベイナイト相およびマルテ
ンサイト相のうち1種または2種の体積率が70〜10
0%である組織を有する熱延鋼板に圧下率30%以上9
5%未満の冷間圧延を施し、平均加熱速度4〜200℃
/時間で加熱し、最高到達温度を600〜800℃とす
る焼鈍を行い、さらにAc1 変態点以上1050℃以下
の温度まで加熱することを特徴する深絞り性に優れた高
強度鋼板の製造方法。 (12)引き続きめっきを施すことを特徴とする前記
(10)または(11)に記載の深絞り性に優れた高強
度めっき鋼板の製造方法。にある。
コストアップとなる。さらにC 量を高めることで熱延組
織をベイナイトやマルテンサイトを主相とする組織に作
りこむことも容易となるので積極的に添加する。0.0
3質量%以上の添加とするが、良好なr値や溶接性を得
るためには過度の添加は好ましいものではなく上限を
0.25%とする。0.05〜0.17%が望ましい範
囲である。より好ましくは、0.08%〜0.16%で
ある。
能であり、要求される強度レベルに応じて添加する。ま
た、Siは熱延板中に存在する炭化物の量を低減した
り、大きさを微細にすることを通じてr値を高める効果
も有する。一方で、過剰の添加はメッキのぬれ性や加工
性の劣化を招くばかりかr値が劣化するので上限を3.
0質量%とする。下限を0.001%としたのは、これ
未満とするのが製鋼技術上困難なためである。r値を向
上させる観点からは0.4〜2.3%が好ましい範囲で
ある。
く、熱延組織をベイナイトやマルテンサイトを主相とす
る組織とするのに有効な元素である。一方で、過度の添
加はr値を劣化させるので、3.0質量%を上限とす
る。0.01質量%未満にするには製鋼コストが上昇
し、またSに起因する熱間圧延割れを誘発するので、こ
れを下限とする。2.4質量%が良好な深絞り性を得る
ために好ましい上限である。
001以上添加する。0.06%超を添加すると溶接性
や溶接部の疲労強度、さらには耐2次加工脆性が劣化す
るのでこれを上限とする。好ましくは0.04%未満で
ある。
間割れを防止するために0.05%以下とする。好まし
くは0.015%以下である。また、Mn量との関係に
おいて、Mn/S>10であることが好ましい。
徐加熱時にAlとのクラスターや析出物を形成すること
によって集合組織を発達せしめ、深絞り性が向上する。
良好なr値を得るためには0.001%以上の添加が必
須である。多すぎると時効性を劣化させたり、多量のA
l添加が必要となるため上限を0.03%とする。0.
002〜0.007%がより好ましい範囲である。
の徐加熱時にNとのクラスターや析出物を形成すること
によって集合組織を発達せしめ、深絞り性が向上する。
また、脱酸元素としても有用であるので0.005質量
%以上添加する。ただし、過度に添加するとコストアッ
プとなり、表面欠陥を誘発し、r値も低下する。従って
上限を0.3質量% とする。好ましくは0.01〜0.
10質量%とする。
る。すなわち、ベイナイト、オーステナイト、マルテン
サイトのうち1種または2種以上を合計で少なくとも3
%含有する。5%以上がさらに好ましい。残部はフェラ
イトで構成されることが望ましい。ベイナイト、オース
テナイト、マルテンサイトは鋼の機械的強度を高めるの
に有効だからである。また、よく知られているように、
ベイナイトはバーリング加工性や穴広げ性を向上させ、
オーステナイトはn値や伸びを向上させ、マルテンサイ
トはYR(降伏強度/引張強度)を低くする効果を有す
るので、製品板に対する要求特性に応じて適宜上記の各
相の体積率を変化させればよい。ただし、その体積率が
3%未満では、あまり明確な効果が期待できない。例え
ば、バーリング特性を向上させるためには90〜100
%のベイナイトと0〜10%のフェライトから成る組織
が、また、伸びを向上させるためには3〜30%の残留
オーステナイトと70〜97%のフェライトから成る組
織が好ましい。なお、ここでのベイナイトとは、上部ベ
イナイトや下部ベイナイトのほか、アシキュラーフェラ
イトやベイニティックフェライトを含む。
にはマルテンサイトの含有率を30%以下とすることが
好ましく、パーライトの含有率を15%以下とすること
が好ましい。
に垂直な断面において、板厚の1/4〜3/4の任意の
場所を光学顕微鏡により200〜500倍で5〜20視
野観察し、点算法により求めた値と定義する。光学顕微
鏡の代わりにEBSPを用いることも有用である。
1.3以上である。また、圧延方向のr値(rL)が
1.1以上、圧延方向に対して45゜方向のr値(r
D)が0.9以上、圧延方向に対して直角方向のr値
(rC)が1.2以上である。より好ましくは、平均r
値が、1.4以上、rL,rD,rCがそれぞれ1.2
以上、1.0以上、1.3以上である。平均r値は、
(rL+2×rD+rC)/4で与えられる。r値の測
定はJIS13号BまたはJIS5号B試験片を用いた
引っ張り試験を行い、10%または15%引っ張り後の
標点間距離の変化と板幅変化からr値の定義にしたがっ
て算出すればよい。均一伸びがが10%に満たない場合
には、3%以上で均一伸び以下の引張変形を与えて評価
すればよい。
も板厚中心における板面のX線反射面ランダム強度比
が、{111}面、{100}面についてそれぞれ4.
0以上、3.0以下である。より好ましくは、それぞれ
6.0以上、1.5以下である。ランダム強度比とはラ
ンダムサンプルのX線強度を基準としたときの相対的な
強度である。板厚中心とは板厚の3/8〜5/8の範囲
を指し、測定はこの範囲の任意の面で行えばよい。級数
展開法によって計算された3次元集合組織のφ2=45
°断面上の(111)[1−10]、(111)[1−
21]、(554)[−2−25]の強度はそれぞれ
3.0以上、4.0以上、4.0以上であることが望ま
しい。なお、本発明においては{110}面のX線ラン
ダム強度比が0.1以上、上記φ2=45°断面におけ
る(110)[1−10]および(110)[001]
の強度が1.0を超える場合があり、このときにはrL
とrCが向上する。
ましい。この範囲外では良好なr値を得ることが困難と
なる。好ましくは5〜15の範囲である。
性の改善に有効であるので必要に応じて添加する。0.
0001%未満ではその効果はわずかで、0.01%超
添加しても格段の効果は得られない。0.0002〜
0.0030%が好ましい範囲である。
過剰の添加は酸化物、硫化物や窒化物の多量の晶出や析
出を招き清浄度が低下して、延性やr値を低下させてし
まう上、メッキ性を損なう。従って、質量%で0.00
01〜0.50%とする。
する。これらは、炭化物、窒化物もしくは炭窒化物を形
成することによって鋼材を高強度化したり加工性を向上
することができるので、1種または2種以上を合計で
0.001%以上添加する。その合計が0.2%を越え
た場合には母相であるフェライト粒内もしくは粒界に多
量の炭化物、窒化物もしくは炭窒化物として析出して、
延性を低下させる。また、多量の添加は固溶Nを熱延板
段階で枯渇させるため、冷延後の徐加熱中に固溶Alと
固溶Nとが反応できなくなり、r値が劣化する。従っ
て、その範囲を0.001〜0.2質量%とする。より
好ましくは0.001〜0.04%である。
は強化元素であり必要に応じてこれらの1種または2種
以上を合計で必要に応じて質量%で0.001%以上添
する。過剰の添加は、コストアップや延性の低下を招く
ことから、2.5%以下とした。
で、適量の添加は熱間加工性を向上させるが、過剰の添
加は逆に熱間脆化を助長させるため、必要に応じて質量
%で0.0001〜0.01%の範囲とする。
Pb,As,Sbなどをそれぞれ0.02質量%以下の
範囲で含んでも、本発明の効果を失するものではない。
よる溶製に続き各種の2次製錬を行いインゴット鋳造や
連続鋳造を行い、連続鋳造の場合には室温付近まで冷却
することなく熱間圧延するCC−DRなどの製造方法を
組み合わせて製造してもかまわない。鋳造インゴットや
鋳造スラブを再加熱して熱間圧延を行っても良いのは言
うまでもない。熱間圧延の加熱温度は特に限定するもの
ではないが、AlNを固溶状態とするために1100℃
以上とすることが好ましい。熱延の仕上げ温度は(Ar
3 −50)℃以上で行う。好ましくはAr3 点以上とす
る。熱延後の冷却速度は特に指定するものではないがA
lNの析出を防止するため巻き取り温度までの平均冷却
速度を10℃/s以上とすることが好ましい。巻き取り
温度は室温以上700℃以下とする。AlNの粗大化を
抑制することで良好なr値を確保するためである。好ま
しくは620℃以下、さらに好ましくは580℃以下で
ある。熱間圧延の1パス以上について潤滑を施しても良
い。また、粗圧延バーを互いに接合し、連続的に仕上げ
熱延を行っても良い。粗圧延バーは一度巻き取って再度
巻き戻してから仕上げ熱延に供してもかまわない。熱間
圧延後は酸洗することが望ましい。
とする。冷延の圧下率が30%未満または95%超であ
るとr値が低くなるのでこの範囲に限定する。
組織を作りこむための熱処理を行う。前半の焼鈍と後半
の熱処理は可能であれば連続ラインで行っても良いし、
オフラインで分けて行っても構わない。上記の焼鈍後に
10%以下の冷延を施しても構わない。まず、焼鈍は箱
焼鈍が基本であるが、下記の要件を満たせばこの限りで
はない。良好なr値を得るためには、平均加熱速度を4
〜200℃/hrとする必要がある。さらには10〜40
℃/hrが好ましい。最高到達温度もr値確保の観点から
600〜800℃とすることが望ましい。600℃未満
では再結晶が完了せず加工性が劣化する。一方、800
℃超ではα+γ域のγ分率の高い側に入るため、深絞り
性が劣化する場合がある。なお、最高到達温度での保持
時間は特に指定するものではないが、(最高到達温度−
20)℃以上での保持時間が1hr以上であることがr値
向上の観点から好ましい。冷却速度は特に限定しない
が、箱焼鈍において炉内で冷却する場合には5〜100
℃/hrの範囲となる。このときの冷却終点温度は100
℃以下とすることがコイル搬送のハンドリングの観点か
ら好ましい。引き続きベイナイト、マルテンサイト、オ
ーステナイトの各相を得るための熱処理を行う。いずれ
の場合にもAc1 変態点以上での加熱、すなわちα+γ
2相領域以上での加熱が必須となる。加熱がAc1 点未
満ではこれらの相は得られない。好ましくは(Ac1 +
30)℃が下限である。一方、1050℃以上としても
格段の効果がないばかりか、ヒートバックル等の通板ト
ラブルを誘発するのでこれを上限とする。950℃がよ
り好ましい上限である。
ことによってさらに良好な深絞り性を得ることができ
る。熱延板の組織は少なくとも板厚1/4〜3/4の範
囲においては、ベイナイト相およびマルテンサイト相の
1種または2種の体積率が合計で70%以上とすること
が好ましい。上記体積率は80%以上が好ましく、90
%で以上であればさらに好ましい。また、板厚の全範囲
にわたってこのような組織を有することが好ましいこと
は言うまでもない。熱延組織をベイナイトやマルテンサ
イトとすることが冷延焼鈍後の深絞り性を向上させる理
由は必ずしも明らかではないが、既述のとおり、熱延板
における炭化物を微細にすることを、さらには結晶粒径
を微細にする効果によるものと推測される。なお、ここ
でのベイナイトとは、上部ベイナイトや下部ベイナイト
のほか、アシキュラーフェライトやベイニティックフェ
ライトを含む。炭化物を微細化する観点からは、上部ベ
イナイトよりも下部ベイナイトの方が好ましいことは言
うまでもない。
っきとは、純亜鉛のほか、主成分が亜鉛である合金のめ
っき、さらにはAlやAl−Mgを主体とするめっきも
含む。亜鉛めっきは連続溶融亜鉛めっきラインで焼鈍と
めっきを連続で行うことが好ましい。溶融亜鉛めっき浴
に浸漬の後、加熱して亜鉛めっきと地鉄との合金化を促
す処理を行っても良い。また、溶融亜鉛めっきのほか、
亜鉛を主体とする種々の電気めっきを行っても良いこと
は言うまでもない。
形状強制や強度調整、さらには常温非時効性を確保する
観点から必要に応じて行う。0.5〜5.0%が好まし
い圧下率である。なお、本発明で得られる鋼板の引張強
度は340MPa以上である。
に加熱後、仕上げ温度をAr3 変態点以上とする熱間圧
延を行い、表2に示す条件で冷却し、巻き取った。さら
に表2に示す圧下率で冷延した後、加熱速度20℃/h
r、最高到達温度を700℃とする焼鈍をおこない、5
時間保持後、15℃/hrで冷却した。これをさらに熱処
理時間を60s、過時効時間を180sとする熱処理に
供した。熱処理温度および過時効温度は表2に示した通
りである。前記の700℃での焼鈍を行わず、熱処理の
みを行ったものを比較にした。さらに1.0%のスキン
パスを施した。
片で、その他の機械的性質をJIS5号B試験片を用い
た引張試験により評価した。また、機械研磨によって板
厚中心付近まで減厚し、化学研磨によって仕上げ、X線
測定に供した。
ずれも良好なr値を有する鋼板が得られた。また、冷延
に供する熱延組織をベイナイトやマルテンサイトを主体
とする組織にすることによって、さらに良好なr値が得
られた。
とその製造方法を提供するものであり、地球環境保全な
どに貢献するものである。
Claims (12)
- 【請求項1】 質量%で、 C :0.03〜0.25%、 Si:0.001〜3.0%、 Mn:0.01〜3.0%、 P :0.001〜0.06%、 S :0.05%以下、 N :0.001〜0.030%、 Al:0.005〜0.3% を満たす範囲で含有し、残部が鉄及び不可避的不純物か
らなり、平均r値が1.3以上、鋼板の組織中にベイナ
イト、マルテンサイト、オーステナイトのうち1種また
は2種以上を合計で3〜100%含有することを特徴と
する深絞り性に優れた高強度鋼板。 - 【請求項2】 圧延方向のr値(rL)が1.1以上、
圧延方向に対して45゜方向のr値(rD)が0.9以
上、圧延方向と直角方向のr値(rC)が1.2以上で
あることを特徴とする請求項1に記載の深絞り性に優れ
た高強度鋼板。 - 【請求項3】 鋼板1/2板厚における板面の{11
1},{100}の各X線反射面強度比がそれぞれ4.
0以上、3.0以下であることを特徴とする請求項1ま
たは2に記載の深絞り性に優れた高強度鋼板。 - 【請求項4】 Al/Nが3〜25であることを特徴と
する請求項1〜3のいずれか1項に記載の深絞り性に優
れた高強度鋼板。 - 【請求項5】 Bを0.0001〜0.01質量%含む
ことを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載の
深絞り性に優れた高強度鋼板。 - 【請求項6】 Mgを0.0001〜0.5質量%含む
ことを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項に記載の
深絞り性に優れた高強度鋼板。 - 【請求項7】 Ti,Nb,V,Zrの1種または2種
以上を合計で0.001〜0.2質量%含むことを特徴
とする請求項1〜6のいずれか1項に記載の深絞り性に
優れた高強度鋼板。 - 【請求項8】 Sn,Cr,Cu,Ni,Co,Wおよ
びMoの1種または2種以上を合計で0.001〜2.
5質量%含むことを特徴とする請求項1〜7のいずれか
1項に記載の深絞り性に優れた高強度鋼板。 - 【請求項9】 Caを0.0001〜0.01質量%含
むことを特徴とする請求項1〜8のいずれか1項に記載
の深絞り性に優れた高強度鋼板。 - 【請求項10】 請求項1〜9の何れか1項に記載の鋼
板を製造する方法であって、請求項1または4〜9のい
ずれか1項に記載の化学成分を有する鋼を(Ar3 変態
点−50℃)℃以上で熱間圧延を完了し、室温〜700
℃で巻き取り、圧下率30%以上95%未満の冷間圧延
を施し、平均加熱速度4〜200℃/時間で加熱し、最
高到達温度を600〜800℃とする焼鈍を行い、さら
にAc1 変態点以上1050℃以下の温度まで加熱する
ことを特徴する深絞り性に優れた高強度鋼板の製造方
法。 - 【請求項11】 請求項1〜9の何れか1項に記載の鋼
板を製造する方法であって、請求項1または4〜9のい
ずれか1項に記載の化学成分を有し、かつ少なくとも板
厚の1/4〜3/4においてはベイナイト相およびマル
テンサイト相のうち1種または2種の体積率が70〜1
00%である組織を有する熱延鋼板に圧下率30%以上
95%未満の冷間圧延を施し、平均加熱速度4〜200
℃/時間で加熱し、最高到達温度を600〜800℃と
する焼鈍を行い、さらにAc1変態点以上1050℃以
下の温度まで加熱することを特徴する深絞り性に優れた
高強度鋼板の製造方法。 - 【請求項12】 引き続きめっきを施すことを特徴とす
る請求項10または11に記載の深絞り性に優れた高強
度めっき鋼板の製造方法。
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