JP2006219737A - 深絞り性に優れた高強度冷延鋼板およびその製造方法 - Google Patents

深絞り性に優れた高強度冷延鋼板およびその製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】 本発明は、深絞り性に優れた高強度冷延鋼板およびその製造方法を提供する。【解決手段】 質量%で、C:0.005〜0.08%、Si:2.5%以下、Mn:0.1〜2.0%、P:0.15%以下、S:0.015%以下、Ti:0.04〜0.6%、Al:2%以下、N:0.01%以下を式(1)、(2)を満足する範囲で含有し、残部が鉄及び不可避的不純物からなり、平均r値が1.4以上、最小r値が1.3以上、Δrが±0.3以下を満足し、かつ降伏強度比が0.6以下であることを特徴とする深絞り性に優れた高強度冷延鋼板。
Ti−48/14×N−48/36×S≧6×C … (1)
900−325×C+33×Si+287×P+80×Al−92×(Mn+Mo+Cu)−46×(Cr+Ni)>0 … (2)
【選択図】 なし

Description

本発明は、主に自動車のパネル類、足廻り、メンバーフレームなどの部品に用いられる鋼板およびその製造方法に関するものである。本発明の鋼板は表面処理をしない冷延鋼板と、防錆の目的で溶融亜鉛めっき、電気めっきなどの表面処理を施しためっき鋼板の両方を含む。また、めっきの種類としては純亜鉛、主成分が亜鉛である合金、さらにはAlやAl−Mgを主体としたものも含む。
近年の自動車軽量化の動きに伴い、高強度鋼板の自動車部材への適用ニーズが高まっている。これは高強度化することで板厚減少による軽量化や衝突時の安全性向上が期待できるためである。しかしながら、自動車の車体用部品の多くはプレス加工により成形されるために使用される高強度鋼板には優れたプレス成形性が要求される。特にパネル類には深絞り性と、面歪抑制の観点から低降伏強度が要求される。
深絞り性が優れた鋼板を得るためにはC量を著しく低減する事が有効であることは良く知られている。そこで高強度鋼の深絞り性向上のために、特開昭56−139654号公報(特許文献1)に開示されているように、C量を著しく減じた極低炭素鋼にSi,Mn,Pなどを添加して強化する鋼板が多く開発された。しかしながら、C量を低減するためには製鋼工程で真空脱ガスを行わなければならず、製造工程でCO2 を多量に発生することになり、コストの観点からも地球環境保全の観点からも最良とはいえない。
これに対し、C量が比較的高く、かつ深絞り性の良好な鋼板についても、特公昭57−47746号公報(特許文献2)、特公平2−20695号公報(特許文献3)などに開示されている。しかしながら、これらは箱焼鈍が前提となっており、連続焼鈍に比較すると生産性に劣る。この問題を解決するために、例えば特公昭55−10650号公報(特許文献4)や特開昭55−100934号公報(特許文献5)では箱焼鈍の後に連続焼鈍を行うような技術が開示されているが、生産性の問題は回避することが出来ない。
また、特開2003−64443号公報(特許文献6)、特開2003−193191号公報(特許文献7)、特開2003−321733号公報(特許文献8)、特開2003−342643号公報(特許文献9)には連続焼鈍工程で深絞り性に優れた高強度冷延鋼板を製造する技術が開示されているが、いずれもr値の等方性に関する記述はなく、また、降伏強度比も本発明と比較して高い本発明とは異なるものである。
本発明者らの一部は特開2003−119547号公報(特許文献10)に示したイヤリング性の極めて優れた絞り缶用鋼板を製造する技術を開示しているが、この発明は本発明とは用途、強度レベル、製造方法が異なることから特許文献10から本発明が容易とは考えられない。
特開昭56−139654号公報 特公昭57−47746号公報 特公平2−20695号公報 特公昭55−10650号公報 特開昭55−100934号公報 特開2003−64443号公報 特開2003−193191号公報 特開2003−321733号公報 特開2003−342643号公報 特開2003−119547号公報
本発明は、C量の比較的多い鋼において成形性、特に深絞り性が良好でかつ降伏強度比が低い高強度鋼板を、連続焼鈍工程を前提とした通常の製造ラインにおいて製造し、提供することを目的とする。
本発明者らが上記のような課題を解決すべく鋭意検討を進め、TiC析出を有効に活用することで高強度でr値の高い鋼板を製造することに成功したものであり、本発明の要旨とするところは以下の通りである。
(1) 質量%で、C:0.005〜0.08%、Si:2.5%以下、Mn:0.1〜2.0%、P:0.15%以下、S:0.015%以下、Ti:0.04〜0.6%、Al:2%以下、N:0.01%以下を式(1)、(2)を満足する範囲で含有し、残部が鉄及び不可避的不純物からなり、平均r値が1.4以上、r値が1.3以上、Δrが±0.3以下を満足し、かつ降伏比が0.6以下であることを特徴とする深絞り性に優れた高強度冷延鋼板。
Ti−48/14×N−48/36×S≧6×C … (1)
900−325×C+33×Si+287×P+80×Al−92×(Mn+Mo+Cu)−46×(Cr+Ni)>850 … (2)
ただし、平均r値=(rL+2×rX+rC)/4
Δr=(rL+rC−2×rX)/2
rL:圧延方向のr値、rX:45°方向のr値、rC:幅方向のr値
(2)質量%で、Mo:1.5%以下、Cr:1%以下、Cu:2%以下、Ni:1%以下の1種又は2種以上を含むことを特徴とする前記(1)に記載の深絞り性に優れた高強度冷延鋼板。
(3)質量%で、Nb:0.0001〜0.02%、B:0.0001〜0.005%の1種又は2種を含むことを特徴とする前記(1)または(2)に記載の深絞り性に優れた高強度冷延鋼板。
(4)質量%で、Ca:0.0005〜0.01%を含むことを特徴とする前記(1)〜(3)のいずれか1項に記載の深絞り性に優れた高強度冷延鋼板。
(5)質量%で、Sn,Co,Zn,W,Zr,V,Mg,Remの1種又は2種以上を合計で0.001〜1.0%含むことを特徴とする前記(1)〜(4)のいずれか1項に記載の深絞り性に優れた高強度冷延鋼板。
(6)(1)〜(5)のいずれか1項に記載の化学成分を有するスラブを1150℃以上の温度に加熱し、800〜1000℃の温度で熱間圧延を終了した後、10〜200℃/sで700℃以下まで冷却し、600℃以下で巻取り、酸洗後、圧下率50〜90%の冷間圧延を施し、1〜50℃/sの加熱速度で最高到達温度700℃以上Ac3 変態温度以下の温度範囲となるように焼鈍することを特徴とする前記(1)〜(6)の何れか1項に記載の深絞り性に優れた高強度冷延鋼板の製造方法。
(7)巻取り後の熱延板のA.Iが15MPa以下であることを特徴とする前記(6)記載の深絞り性に優れた高強度冷延鋼板の製造方法。
(8)焼鈍した後、溶融亜鉛めっきを施すことを特徴とする前記(6)又は(7)記載の溶融亜鉛めっき鋼板の製造方法。
(9)溶融亜鉛めっきを施した後、450〜600℃までの温度範囲で10s以上の熱処理を行うことを特徴とする前記(8)記載の合金化溶融亜鉛めっき鋼板の製造方法にある。
本発明により、成形性に優れたr値の異方性が少なくかつ低降伏強度比を有する高強度冷延鋼板をを製造することができるために、従来高強度鋼では成形が難しかった部材への適用が可能になり、例えば自動車の軽量化による燃費向上、それに伴うCO2 排出量削減等を通して地球環境保全に貢献するものである。
ここに、本発明において鋼組成および製造条件を上述のように限定する理由についてさらに説明する。
Cは、本発明において重要な元素である。炭化物の微細析出によってr値が上昇し、かつ強度も上昇することから積極的に添加する。その添加量は狙いとする強度レベルに応じて変化するが、0.005%未満にすることはコストアップとなるだけでなく、炭化物析出の駆動力が低下することにより熱延板の段階で固溶Cが残存してしまうことで、r値が低下したり、r値の異方性が大きくなることから、その下限を0.005%とする。この観点からは0.01%以上とすることが望ましい。一方、C量が0.08%を超えると伸びの低減等加工性の劣化を招くので、この値を上限とする。この観点から望ましくは0.05%以下とする。更に好ましくは0.03%を上限とする。
Siは、固溶体強化元素として強度を増加させる働きがあることから、積極的に添加する。その添加量は狙いとする強度レベルに応じて変化するが、添加量が2.5%超となるとプレス成形性が劣悪となったり、化成処理性の低下を招いたりするのでこれを上限とする。溶融亜鉛めっきを施す場合には、めっき密着性の低下、合金化反応の遅延による生産性の低下などの問題が生ずるので1.2%以下とすることが好ましい。下限は、特に設けないが、0.001%以下とするのは製造コストが高くなるのでこれが実質的な下限である。
Mnも有効な強化元素であることから積極的に添加する。ただし、2.0%を超えて添加すると強度が高くなりすぎて延性が低下したり、亜鉛めっきの密着性が阻害されたりするのでこれを上限とする。好ましくは1.5%以下とする。Mnが0.1%未満になると強度不足になると共に、固溶S起因の熱間圧延割れを誘発することから0.1%を下限とする。強度確保の観点からは0.3%以上添加することが望ましい。
Pは、不純物であるが、Siと同様に、安価に強度を高める元素として知られており強度を増加する必要がある場合にはさらに積極的に添加する。また、Pは、熱延組織を微細にし、加工性を向上する効果も有する。ただし、添加量が0.15%を超えると、スポット溶接後の疲労強度が劣悪となったり、降伏強度が増加し過ぎたりしてプレス時に面形状不良を引き起こす。さらに、連続溶融亜鉛めっき時に合金化反応が極めて遅くなり、生産性が低下する。また、2次加工性も劣化する。したがって、その上限値を0.15%とする。
Sは、不純物であり少ないほど好ましく、0.015%超では熱間割れの原因になったり、加工性を劣化させるので、これを上限とする。
Alは、脱酸調製剤として使用しても良い。また、Alは変態点を著しく高めるので変態点の調整に積極的に用いるが、2%超添加しても特段の効果が得られないことから上限を2%とする。下限は特に定めないが、脱酸の観点から、0.01%以上とすることが好ましい。
Nは、γ域でTiと窒化物を形成し、TiCとして析出するTi量を低減させることから0.01%以下に抑える。この観点から望ましくは0.005%、更に望ましくは0.002%以下とする。Nの下限は特に設定しないが0.0005%未満とすることにはコストがかかるばかりでそれほどの効果が得られないことから0.0005%以上とすることが望ましい。
Tiは、本発明において重要な元素である。その添加量が0.04%未満ではTiCが十分析出せず、r値が低下してしまうことから0.04%をその下限とする。一方、0.6%以上添加してもその効果は飽和するばかりで、延性等の他の特性も劣化することから、この値を上限とする。
また、以上の元素は以下の(1)、(2)式を満足するものとする。この関係を満足していないと、熱延板中に微細TiCが析出しないことから他の条件を満足していても高い深絞り性を確保することが出来ない。
(1)式の左辺はTiSやTiNとして析出するTi量をTi添加量から引いた値になっており、Cと結合してTiCとして析出できるTi量(有効Ti量)を示すものであって、左辺に示したC量の値の6倍以上の有効Ti量が確保されていればCは全て熱延・巻取り工程の間にTiCとして析出またはクラスタリングすることができることから左辺は右辺以上でなければならない。
また、(2)式の左辺は添加元素とAr3 変態温度の関係の目安となる式であり、左辺の値が850より大きくなれば、Ar3 点が十分高くなり、熱延の冷却時間中にTiCが析出することが可能となる。
Ti−48/14×N−48/36×S≧6×C … (1)
900−325×C+33×Si+287×P+40×Al−92×(Mn+Mo+Cu)−46×(Cr+Ni)>850 … (2)
最終的に得られた鋼板の平均r値は1.4以上とする。平均r値がこの値を下回ると良好な深絞り性が得られない。この観点から平均r値は1.5以上とすることが望ましい。また、r値の下限値は1.3とする。r値が1.3未満の方向があると平均r値が高くても良好な成形性が確保できないからである。この観点から望ましくは1.4以上とする。また、加えてΔrは±0.3以下とする。
r値はJIS5号引張試験片を用いた引張試験により評価する。引張歪みは通常15%であるが、均一伸びが15%を下回る場合には、均一伸びの範囲でできるだけ15%に近い歪みで評価すればよい。
r値の下限値は圧延方向、圧延45°方向、幅方向から切り出した試験片で測定した値のうち最低の値で代表してもよいし、更に任意の方向から切り出した試験片での測定結果を加えて評価してもよい。また、集合組織の測定結果からの計算値で求めてもよい。
平均r値及びΔrは圧延方向のr値(rL)、45°方向のr値(rX)、幅方向のr値(rC)より次のように求める。
平均r値=(rL+2×rX+rC)/4
Δr=(rL+rC−2×rX)/2
得られた鋼板の面歪をできるだけ抑制し、加工性を向上させるためには、通常のJIS5号引張り試験で得られる破断強度TS(MPa)と降伏強度YS(0.2%耐力:MPa)の比である降伏比YR(=YS/TS)が0.6以下でなければならない。望ましくは0.55以下とする。面歪の観点からは降伏強度の絶対値が230MPaを下回ることが更に望ましい。
Mo,Cr,Cu,Niは機械的強度を高めたり材質を改善する効果があるので必要に応じ、各成分とも1種又は2種以上をそれぞれ0.001%以上添加するのが望ましい。しかし、過度の添加は逆に加工性を劣化させるので、上限をそれぞれ1.5%、1%、2%、1%とする。また、これらの元素も析出挙動に影響を及ぼすことから、添加する場合には式(2)を満足していなければならない。
Nbは、熱延板粒径を微細化し、平均r値を向上させる効果があることから、必要に応じて0.0001%添加してもよい。一方、0.02%超添加すると再結晶が抑制されることから、0.02%を上限とする。
また、必要に応じて添加するBは、粒界の強化や鋼材の高強度化に有効ではあるが、その添加量が0.005質量%を越えるとその効果が飽和するばかりでなく、必要以上に鋼板強度を上昇させ、部品への加工性も低下させることから、上限を0.005質量%とした。但し、Bの添加効果を得るためには、0.0001質量%以上含有することが好ましい。
Caは、脱酸元素として有用であるほか、硫化物の形態制御にも効果を奏するので、0.0005〜0.01%の範囲で添加しても良い。0.0005%未満では効果が十分でなく、0.01%超添加すると加工性が劣化するのでこの範囲とする。
これらを主成分とする鋼に、機械的強度を高めたり材質を改善する目的で、Sn,Co,Zn,W,Zr,Mg,Remの1種又は2種以上を合計で0.001〜1%以下含有しても構わない。しかしながら、ZrはZrNを形成するため固溶Nが減少するので0.01%以下とすることが好ましい。
次に、本発明に係る鋼板の製造方法について説明する。
熱間圧延に供するスラブは本発明に規定する成分からなるものであれば、特に限定するものではない。すなわち、連続鋳造スラブや薄スラブキャスターなどで製造したものであればよい。また、鋳造後に直ちに熱間圧延を行う連続鋳造−直接圧延(CC−DR)のようなプロセスにも適合する。
熱延加熱温度は1150℃以上とする。これは、炭化物を再溶解するのに必要な温度である。この観点から望ましくは1200℃、更に望ましくは1250℃以上で加熱をする。熱演加熱温度の上限は特に限定しないが、1350℃超に加熱するためには大幅な設備増強が必要なことからこの温度を上限とすることが望ましい。
熱延の仕上温度は、800℃以上とする。800℃未満では、r値にとって好ましくない集合組織が発達してしまう。この観点からは850℃以上とすることが望ましい。仕上温度の上限は1000℃とする。実機で1000℃超で熱延を終了するためには装置に過大な負荷がかかることからこの値を上限とする。好ましくは950℃以下とする。
熱延後の平均冷却速度は10〜200℃/sとする。冷却速度を10℃/s未満にすることは設備上困難であり、かつ、格段の効果も得られないことから、この値を下限とする。一方、200℃/s超の冷却速度を安定に確保することは難しく、格段の効果も得られないことからこの値を上限とする。
熱延後の巻取温度が600℃超になると熱延冷却中に析出したTiCが粗大化し、r値を劣化させることからこの温度を巻取温度の上限とする。下限は特に限定しないが400℃未満で巻き取ると熱延板の強度が高くなりすぎ、冷延の負荷が高くなることから400℃以上で巻き取ることが好ましい。
熱延鋼板を酸洗後、冷間圧延を行う。冷間圧延率の下限は50%とする。圧延率を50%未満にすると、r値を向上させる方位が十分に発達しないことからこの値を下限とする。この観点から60%以上圧延することが望ましい。更に望ましくは70%以上である。 一方、圧延率が90%超となると、r値を低下させる{100}<011>方位が発達し、最終的に得られるr値が低下することからこの値を冷間圧延率の上限とする。
冷延後の連続焼鈍を行うが熱速度の下限は1℃/sとする。加熱速度が1℃/s未満となると加熱中にTiCが粗大化し、r値の異方性が大きくなる。この観点から望ましくは5℃/s以上する。10℃/s以上とすることが更に望ましい。一方、加熱速度の上限は50℃/sとする。加熱速度を50℃/s超とすると再結晶温度が上昇し、加工組織が残存したり、、結晶方位がランダム化してr値が低下することからこの値を上限とする。
最高到達温度は700℃以上、Ac3 変態温度以下の範囲とする。最高到達温度が700℃未満では加工フェライトが残存し、成形性が劣化するため、これを下限とする。この観点から望ましくは750℃以上とする。一方で、最高到達温度がAc3 変態温温度超とすると集合組織がランダム化するため、この温度を上限とする。同熱処理後に一旦550℃以下まで冷却し、さらに、150〜550℃の温度で熱処理を施すことも可能である。
最終的な鋼板が上述のような深絞り性を発揮するためには、巻取り後の熱延板の段階でA.I.(Aging Index)を15MPa以下に低減しておくことが好ましい。熱延板のA.I.が15MPaを超えると、冷延焼鈍中にr値を低減させる結晶方位が発達することからこの値を上限とした。A.I.の値は低いほどr値は向上することから低いほど望ましい。下限は特に設定しないが、原理的に0MPa以下にはならないのでこの値が必然的に下限となる。なお、A.I.とは鋼板を10%引張ったときの流動応力をσ2(MPa)、鋼板を10%引張った後さらに170℃、20分の熱処理を施し再度引張ったときの下降伏点をσ1 (MPa)とすれば、A.I.=σ1 −σ2(MPa)で表される。
熱処理後には溶融亜鉛めっき、または合金化溶融亜鉛めっきを施してもよい。亜鉛めっきの組成は特に限定するものではなく、亜鉛のほか、Fe、Al、Mn、Cr、Mg、Pb、Sn、Niなどを必要に応じて添加しても構わない。合金化処理は450〜600℃の範囲内で行う。450℃未満では合金化が十分に進行せず、また、600℃超では過度に合金化が進行し、めっき層が脆化するため、プレス等の加工によってめっきが剥離するなどの問題を誘発する。合金化処理の時間は、10s以上とする。10s未満では合金化が十分に進行しない。
本発明によって得られる鋼板の組織は、フェライトまたはベイナイトを主相とするが、両相が混在していても構わないし、これらにマルテンサイト、オーステナイト、炭化物、窒化物を初めとする化合物が存在していても良い。すなわち、要求特性に応じて組織を作り分ければ良い。また、上記の冷延鋼板にはAl系めっきや各種電気めっきを施しても構わない。
次に本発明を実施例にて説明する。
表1に示す組成を有する鋼を溶製し、表2に示す条件で熱間圧延、冷間圧延、焼鈍を施した。このとき調質圧延圧下率はすべて0.8%とした。r値、試験値共JIS5号引張試験片を採取して評価した。
表2より明らかなとおり、本発明の化学成分を有する鋼を適正な条件で製造した場合には、平均r値が1.4以上、r値の下限値が1.3以上、Δrが±0.3以下で、かつ降伏強度比が0.6以下の深絞り性に優れた鋼板が得られることがわかる。
Figure 2006219737
Figure 2006219737

特許出願人 新日本製鐵株式会社
代理人 弁理士 椎 名 彊 他1

Claims (9)

  1. 質量%で、
    C:0.005〜0.08%、
    Si:2.5%以下、
    Mn:0.1〜2.0%、
    P:0.15%以下、
    S:0.015%以下、
    Ti:0.04〜0.6%、
    Al:2%以下、
    N:0.01%以下、
    を式(1)、(2)を満足する範囲で含有し、残部が鉄及び不可避的不純物からなり、平均r値が1.4以上、r値が1.3以上、Δrが±0.3以下を満足し、かつ降伏比が0.6以下であることを特徴とする深絞り性に優れた高強度冷延鋼板。
    Ti−48/14×N−48/36×S≧6×C … (1)
    900−325×C+33×Si+287×P+80×Al−92×(Mn+Mo+Cu)−46×(Cr+Ni)>850 … (2)
    ただし、平均r値=(rL+2×rX+rC)/4
    Δr=(rL+rC−2×rX)/2
    rL:圧延方向のr値、rX:45°方向のr値、rC:幅方向のr値
  2. 質量%で、
    Mo:1.5%以下、
    Cr:1%以下、
    Cu:2%以下、
    Ni:1%以下
    の1種又は2種以上を含むことを特徴とする請求項1に記載の深絞り性に優れた高強度冷延鋼板。
  3. 質量%で、Nb:0.0001〜0.02%、B:0.0001〜0.005%の1種又は2種を含むことを特徴とする請求項1または2に記載の深絞り性に優れた高強度冷延鋼板。
  4. 質量%で、Ca:0.0005〜0.01%を含むことを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の深絞り性に優れた高強度冷延鋼板。
  5. 質量%で、Sn,Co,Zn,W,Zr,V,Mg,Remの1種又は2種以上を合計で0.001〜1.0%含むことを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載の深絞り性に優れた高強度冷延鋼板。
  6. 請求項1〜5のいずれか1項に記載の化学成分を有するスラブを1150℃以上の温度に加熱し、800〜1000℃の温度で熱間圧延を終了した後、10〜200℃/sで700℃以下まで冷却し、600℃以下で巻取り、酸洗後、圧下率50〜90%の冷間圧延を施し、1〜50℃/sの加熱速度で最高到達温度700℃以上Ac3 変態点度以下の温度範囲となるように焼鈍することを特徴とする請求項1〜6の何れか1項に記載の深絞り性に優れた高強度冷延鋼板の製造方法。
  7. 巻取り後の熱延板のA.Iが15MPa以下であることを特徴とする請求項6記載の深絞り性に優れた高強度冷延鋼板の製造方法。
  8. 焼鈍した後、溶融亜鉛めっきを施すことを特徴とする請求項6又は7記載の溶融亜鉛めっき鋼板の製造方法。
  9. 溶融亜鉛めっきを施した後、450〜600℃までの温度範囲で10s以上の熱処理を行うことを特徴とする請求項8記載の合金化溶融亜鉛めっき鋼板の製造方法。
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