JP2003063003A - インクジェット記録ヘッドの駆動方法 - Google Patents

インクジェット記録ヘッドの駆動方法

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JP2003063003A
JP2003063003A JP2001259003A JP2001259003A JP2003063003A JP 2003063003 A JP2003063003 A JP 2003063003A JP 2001259003 A JP2001259003 A JP 2001259003A JP 2001259003 A JP2001259003 A JP 2001259003A JP 2003063003 A JP2003063003 A JP 2003063003A
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recording head
voltage
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drive pulse
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Mamoru Okano
守 岡野
Kenji Yamada
健二 山田
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Hitachi Ltd
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Hitachi Ltd
Hitachi Koki Co Ltd
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  • Particle Formation And Scattering Control In Inkjet Printers (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【課題】 高速インクジェットプリンタ用の記録ヘッド
において、インクが飛翔する途中で分断することを防止
し、記録媒体上で記録ドットが長円状や2つになること
を防ぎ、高品質な印刷画像が得られる記録ヘッドの駆動
方法を提供する。 【解決手段】 記録ヘッドのノズルからインク液滴を飛
翔させる際に、インクを飛翔させる第1の駆動パルス電
圧Vaの後に、インクを飛翔させることが可能ではある
が第1のパルスよりは低い電圧Vbである第2のパルス
を付加して印加する。この第2のパルスによってインク
液滴の後尾付近を加速して、飛翔途中でのインク液滴の
分断を防止する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、圧力発生室の1つ
の面に振動板を形成し、この振動板に圧電素子を取り付
け、圧電素子を伸縮させ、記録ノズルからインク液滴を
飛翔させるインクジェット記録ヘッドの駆動方法に係
り、特に、高速プリンタ用のインクジェット記録ヘッド
において、インク液滴が飛翔する途中で分断することを
防止する駆動方法に関する。
【0002】
【従来の技術】インクジェット記録は、ノズルから微少
量のインク液滴を飛翔させ、記録媒体上にドットを形成
する技術である。この技術が適用されるプリンタのうち
で、シリアル走査型インクジェット記録装置は、記録媒
体を所定距離ずつ間欠的に搬送しすなわち副走査し、ノ
ズルが複数設けられた記録ヘッドをその記録媒体を横切
る方向に往復移動させすなわち主走査させながら、イン
クを飛翔させ、記録媒体上に画像を形成してゆく。
【0003】インク液滴を飛翔させる駆動力として、圧
電素子の伸縮を用いる方法がある。圧電素子は、相対す
る面の間に電圧を印加すると、圧電素子内部に発生する
電界の大きさに比例して、速い応答速度でその形状が変
化するため、圧電素子をインク室の壁に接着しておけ
ば、インク室内のインクをノズルの外側に押し出して、
インクを飛翔させることができる。また、圧電素子に印
加する電圧の大きさや電圧波形を変えると、飛翔するイ
ンク重量や速度を変えることができる。
【0004】圧電素子に電圧を印加してインクを飛翔さ
せる際に、ノズル出口から外側に飛翔し始めたインク
は、一定時間後にノズル内のインクと分断して、インク
液滴として記録媒体に向けて飛翔する。
【0005】圧電素子を駆動する電圧波形によっては、
飛翔するインクとノズル内のインクとの液離れが悪く、
液離れ時に微小なインク液滴が発生し、本来飛翔すべき
方向であるノズル面に対して垂直な方向からそれた方向
に飛翔する。
【0006】特開平2−215537号公報では、圧電
素子に印加する駆動波形を適正化して、インク液滴の液
離れを良好にし、液滴を適正な方向に飛翔させる方法を
示している。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】インクジェットプリン
タの記録ヘッドの構造は、どのような画像を印刷するプ
リンタであるかによって変わる。1滴当たりの液滴重
量,必要な飛翔速度,飛翔周期などにより、記録ヘッド
の構造が決まるためである。
【0008】写真画質の画像を印刷することを主眼にお
いたインクジェットプリンタでは、1ドットあたりのイ
ンク飛翔量を少なくし、記録媒体上に高い記録密度でイ
ンクを付着させる。
【0009】特開昭63−94850号公報では、高画
質の画像を印刷することを主眼においたインクジェット
プリンタにおいて、第1パルスを印加してインクを飛翔
させた状態ではオリフィス内のインクの振動が止まらな
いために、サテライトドロップが生じることを防止する
ために、第2のパルスを印加して振動を終息させようと
している。
【0010】また、特開平4−369542号公報で
は、高画質の画像を印刷することを主眼においたインク
ジェットプリンタにおいて、インク滴がオリフィスを離
れた後に、第2パルスを印加して、圧力室の振動を抑制
し、サテライトドロップが発生することを防止してい
る。
【0011】いずれの場合も、インク滴の本体は、球形
またはいわゆるティアドロップ形であり、高速印刷を意
識していないから、インク滴が吐出された後に第2パル
スを印加している。
【0012】これに対して、高速で画像を印刷すること
を主眼においたインクジェットプリンタにおいては、1
ドットあたりのインク飛翔量を多くして、記録媒体上に
低い記録密度でインク液滴を付着させる。
【0013】1ドットあたりのインク飛翔量が小さい場
合、すなわち、高画質の画像を印刷することを主眼にお
いたインクジェットプリンタでは、飛翔するインク液滴
の形は球状であるが、1ドットあたりのインク飛翔量が
多い場合、インク液滴は球状ではなく、飛翔方向に長い
形状となって飛翔する。しかも、インク液滴の先頭と後
尾とでは、飛翔速度に差があるため、約1mm先の記録
媒体に達する前に、インク液滴は、飛翔途中で分断しや
すい。
【0014】インク液滴が飛翔途中で分断して飛翔する
と、記録媒体上の記録ドットが長円状になったり、2つ
のドットに別れたりするので、印刷画像の品質が低下す
る。インクの粘度を高くすると、飛翔途中で分断しにく
くなる。しかし、圧電素子を駆動する電圧を高くする必
要があるので、過度に高粘度のインクを使用することは
できない。
【0015】上記公開公報では、インク液滴を飛翔させ
る駆動パルスを印加した後、ノズル出口でのインク液面
形状が凸状の時にノズルからインク液滴が離れるような
タイミングで、インク液滴が飛翔しない程度の電圧を印
加し、インクの液離れを良くしている。
【0016】しかし、この例は、微小なインク液滴を飛
翔させる記録ヘッドの例であり、飛翔インク重量が多い
高速インクジェットプリンタ用の記録ヘッドで起こる飛
翔途中でのインク液滴の分断を解決することはできな
い。
【0017】本発明の目的は、高速インクジェットプリ
ンタ用の記録ヘッドにおいて、インク液滴が飛翔する途
中で分断することを防止し、記録媒体上で記録ドットが
長円状や2つになることを防止し、高品質の印刷画像が
得られるインクジェット記録ヘッドの駆動方法を提供す
ることである。
【0018】
【課題を解決するための手段】本発明は、上記目的を達
成するために、複数のノズルとノズルに対応して設けら
れたインク圧力室および圧電素子と記録信号に応じて圧
電素子に電圧を印加する電圧波形発生手段とを備え、圧
電素子に電圧を印加し、ノズルから記録媒体に向けてイ
ンク液滴を飛翔させ画像を印刷するインクジェット記録
ヘッドの駆動方法において、インク吐出動作の1周期内
にインク液滴を飛翔させる第1駆動パルスとインク液滴
の後尾付近を加速させる第2駆動パルスとを有し、第2
駆動パルスの電圧が、第1駆動パルスの電圧値の50〜
75%であり、かつ、インクを飛翔させるには十分な電
圧であるインクジェット記録ヘッドの駆動方法を提案す
る。
【0019】第2駆動パルスの電圧は、インクジェット
記録ヘッドの環境温度に応じて変化させることができ
る。
【0020】第2駆動パルスの電圧変化率は、第1駆動
パルスの電圧変化率よりも小さくすることが望ましい。
【0021】いずれの場合も、第1駆動パルスの終了時
と第2駆動パルスの開始時との間隔は、記録ヘッドのイ
ンク圧力室の共振周期の1/2以上とする。
【0022】本発明においては、記録ヘッドの圧電素子
に電圧を印加してノズルからインク液滴を飛翔させる際
に、インクを飛翔させる第1駆動パルスの後に、インク
を飛翔させることが可能ではあるが第1駆動パルスより
は低い電圧の第2駆動パルスを付加して印加する。飛翔
量が多いインク液滴は、飛翔方向に飛翔方向に長い形状
となって飛翔するので、第2駆動パルスによってインク
液滴の後尾付近を加速し、飛翔途中でのインク液滴の分
断を防止する。
【0023】
【発明の実施の形態】次に、図1〜図11を参照して、
本発明によるインクジェット記録ヘッドの駆動方法の実
施形態を説明する。
【0024】図1は、本発明の適用対象であるシリアル
走査型インクジェット記録装置の概略構造を示す図であ
る。本インクジェット記録装置の筐体30の内部には、
記録ヘッド10と、記録ヘッド10に印加される電圧を
発生する高周波駆動装置20と、記録ヘッド10にイン
クを供給するインク供給装置40と、記録ヘッド10の
前方で記録媒体aを副走査方向Aに搬送する記録媒体搬
送装置50と、ここでは図示しないが搬送中の記録媒体
aを横切る方向(主走査方向)に記録ヘッド10を往復移
動させるヘッド移動装置と、ここでは図示しないが外部
の情報処理装置などからの画像データに応じてインクジ
ェット記録装置全体を制御するコントローラとが含まれ
ている。
【0025】インク供給装置40は、各色のインクタン
ク1a,1bが接続される2本の配管2a,2bと、記録
ヘッド10に接続された2本の配管4a,4bと、タン
ク側の配管1a,1bからヘッド側の配管4a,4bにイ
ンクを送る2台のポンプ3a,3bとを備えている。コ
ントローラの制御により各ポンプ3a,3bが駆動する
と、インクタンク1a,1b内からインクが吸い上げら
れ、記録ヘッド10に送り込まれる。
【0026】なお、本実施形態では、互いに異なる色の
インクが蓄えられたインクタンク1a,1bを各配管2
a,2bに接続し、2色印刷のインクジェット記録装置
を実現しているが、記録ヘッド10のノズルピッチなど
を調整し、同色のインクが蓄えられたインクタンクを両
方の配管2a,2bに接続すれば、単色印刷用のインク
ジェット記録装置を実現できる。
【0027】また、記録ヘッドとインクタンクとをさら
に増設すると、多色印刷用の記録装置や単色の高速記録
装置を実現できる。
【0028】記録媒体搬送装置50は、未使用の記録媒
体aが置かれる給紙台11と、給紙台11から記録媒体
排出口30aに続く搬送経路に沿って配置されたローラ
12,13,14と、ここでは図示しないガイド板と、
ここでは図示しないがローラ12,13,14を回転さ
せるモータとを備えている。
【0029】コントローラの制御によりモータが駆動す
ると、給紙台11上の記録媒体aが、回転中するローラ
12,13,14の間から、各ガイド板が案内する方向
に順次送り出され、所定の搬送経路上を搬送されてゆ
く。
【0030】コントローラは、外部の情報処理装置など
から画像データが転送されてくると、インク供給装置4
0のポンプを制御し、記録ヘッド10へのインク供給を
開始させるとともに、高周波駆動装置と、記録媒体搬送
機構50およびヘッド移動装置の各モータとを制御し、
記録媒体aと記録ヘッド10とを相対移動させながら、
記録ヘッド10の各圧電素子に記録電圧を印加させる。
このような制御処理により、画像データが表す全体画像
が記録媒体a上に形成される。
【0031】次に、本発明に使用する記録ヘッド10の
構造の一例を説明する。図2は、図1における記録ヘッ
ド10の拡大図である。図3は、図2のB―B断面にお
ける記録ヘッド10の構造を示す図である。
【0032】記録ヘッド10は、圧電素子のひずみでイ
ンク室の体積を変化させ複数のノズルからインクを飛翔
させる記録ヘッドすなわち圧電形のマルチヘッドであ
る。記録ヘッド10は、矢印で示す方向にノズル列が並
んでいる。
【0033】図3の記録ヘッド10は、ノズルプレート
111と、チャンバープレート112と、リストリクタ
プレート113と、ダイヤフラムプレート114と、支
持プレート115と、共通インク路プレート116,1
17と、フィルタプレート118と、共通インク路カバ
ープレート119と、圧電素子106と、圧電素子保持
板107とから構成されている。
【0034】各プレート111〜119は、ステンレス
などの薄い板に所定の大きさの孔が所定の間隔であけら
れており、上記各プレートが互いに接着剤で固定され、
記録ノズル101,インク圧力室102,インク室10
3が形成されている。
【0035】図4は、記録ノズル101の一例の拡大図
である。記録ノズル101は、インク室側から出口に向
かって徐々に細くなり、出口部で円筒状になっている。
また、記録ノズル101の出口径X1は、30〜50μ
m、インク室側の直径X2が80〜100μm、出口側
の円筒状部分の長さZ1が15〜30μm、内径が変化
する領域の長さZ2が50〜70μm程度である。
【0036】図3に戻って説明する。インク室103
は、記録ノズル101が並ぶ方向すなわちチャネル並び
方向に伸びており、リストリクタプレート113に形成
された孔によって、個別のインク圧力室102にインク
を導くように構成されている。
【0037】各プレート111〜119を互いに接着し
たプレート接着体とは別に、圧電素子保持板107上
に、圧電素子106が接着された駆動部材を製作し、駆
動部材をプレート接着体に接着すると、記録ヘッド10
が完成する。
【0038】記録ヘッド10のインク供給口からインク
を供給すると、インク室103にインクが満たされ、さ
らに多数並ぶインク圧力室102にインクが満たされ
る。
【0039】個々の圧電素子106は、電源と電子回路
とからなる高周波駆動装置に接続され、記録データに基
づいて記録電圧が印加される。記録電圧の印加/除去に
より圧電素子を伸縮させ、記録ノズル101からインク
を飛翔させる。
【0040】図5は、記録時に圧電素子に印加する従来
の駆動パルス波形の一例を示す図である。ここでは、印
加電圧の最高値Vaをパルス電圧と呼ぶことにする。時
刻t1からt2の間は、圧電素子を収縮させてインク圧力
室102にインクを引き込む工程である。t2からt3の
間は、圧電素子を一定の状態に保ち、インク圧力室10
2内の圧力振動を調整する工程である。時刻t3からt4
の間は、圧電素子を元の長さに戻し、インクをノズルか
ら飛翔させる工程である。
【0041】このパルス電圧の大きさやt1〜t4の時刻
は、液滴の連続飛翔時の速度安定性などを考慮して決定
される。図5のような電圧パルスを印加すると、液滴の
先頭部の飛翔速度は約10m/sとなり、後尾の飛翔速
度は約4〜5m/sとなる。
【0042】図6は、図5に示したパルス波形を圧電素
子に印加した場合に、インク液滴200がノズルプレー
ト111のノズル101から飛翔する経過を説明する図
である。
【0043】図6(a)は、パルスを印加する前の状態で
ある。ここで使用しているインクの粘度は、5〜15m
Pa・s,表面張力は30〜40mN/m,密度は1.0
程度である。
【0044】図6(b)は、インクがインク圧力室に引き
込まれている状態である。共通のインク室からもインク
は引き込まれるが、ノズル近くのインクもインク圧力室
の方向に引き込まれる。
【0045】圧電素子が元の長さに戻ると、インク液滴
200は、図6(c)に示すように、ノズルから飛翔し始
める。なお、図5のタイミングt4は、図6(b)から図
6(c)の間にあるので、インク液滴200は、上記特開
昭63−94850号公報や特開平4−369542号
公報の場合と異なり、射出が始まらない状態にある。
【0046】本発明の対象である高速印刷インクジェッ
トプリンタは、1ドットあたりのインク飛翔量を多くし
て、記録媒体上に低い記録密度でインクを付着させる。
その場合、インク液滴200は球状ではなく、図6
(d),(e),(f)のように、飛翔方向に長い形状となっ
て飛翔する。
【0047】インク液滴200の先頭と後尾とでは、飛
翔速度に差が存在するため、その差が大きい場合は、図
6(f)に示すように、インク液滴200が、約1mm先
の記録媒体aに達する前に、飛翔途中で分断するので、
小滴201が発生する。小滴201が発生すると、記録
媒体上の記録ドットが長円状になったり、2つのドット
に別れたりする。したがって、印刷画像の品質が低下す
る。
【0048】その原因は、インク液滴200の先頭と後
尾とにおいて飛翔速度の差が大きいことである。そこ
で、飛翔速度差を小さくすればよいと考えられる。
【0049】図7は、本発明により改良した駆動パルス
波形を示す図である。この駆動パルスは、図5の駆動パ
ルスの後にパルスを付加した波形である。この付加パル
スは、インク液滴の後尾の飛翔速度を上げる役割を果た
す。
【0050】付加パルスの形状について説明する。時刻
t1〜t4は、図5のパルスと同じ時刻である。t5は、
t1〜t4で示す駆動パルスによりインク室内に発生する
インクの振動の周期を考慮して決定する。インクの振動
とは、図3において、圧電素子106がインク圧力室1
02を押すことで発生したインクの流れの振動である。
【0051】インク圧力室102での圧力が高まると、
インクはノズル101から飛翔するが、同時にインク室
103にもインクが流れ、インク圧力室102内の圧力
が低下する。そのため、インク圧力室102に向けてイ
ンクが補給される。インクの質量には質量が存在するた
め、インク圧力室102とインク103との間でインク
の振動が起こるが、流路抵抗などによって振動は数回で
減衰する。
【0052】この振動の周期を知る方法について、図8
を用いて説明する。図8は、図5に示したパルス形状
で、t1〜t2の時間を5μs,t3〜t4の時間を1.5
μsに固定し,t2〜t3の時間を変えた場合において、
t1〜t4の合計時間とインク飛翔速度との関係を示す図
である。既に述べたように、t2〜t3の時間は、圧電素
子を一定の状態に保ち、インク圧力室102内の圧力振
動を調整する工程である。通常、このt2〜t3の時間
は、パルスの印加周期を変えてもインク飛翔速度の変動
が最も小さい時間として設定する。
【0053】t2〜t3の時間を変えると、インク圧力室
102内の振動が原因となるインク飛翔速度に変化が現
れる。飛翔速度が極値となる時間14.5μsと20.0
μsとの差である5.5μsが振動周期tpに相当する。
【0054】インク圧力室の振動について説明したの
で、図7のパルス波形の説明に戻る。t5は、t1〜t4
で示す駆動パルスによりインク圧力室内に発生するイン
クの振動の周期を考慮して決定する。t4〜t5の時間
は、インク圧力室内の振動周期tpの0.5倍〜1倍の範
囲に設定する。このような時間にすると、飛翔し始める
インク液滴の速度を低下させることがなく、また効率よ
くインク室からインクを吸引開始できる。
【0055】t5〜t6の時間および付加パルスの電圧値
Vbは、飛翔させるインク量に依存する。t5〜t6の時
間は、インク圧力室の振動周期tp程度が最も効率が良
い。t5〜t6の時間が長すぎると、インク圧力室の振動
が減衰してしまうためである。
【0056】また、t5〜t6の時間は、t1〜t2の時間
よりも長く設定する。圧電素子の共振を防止するには、
t1からt2の時間を圧電素子の共振周期に設定すればよ
く、インク圧力室の共振周期の方が圧電素子の共振周期
よりも大きいからである。
【0057】電圧値Vbは、メインパルスの電圧値Vaの
50〜75%程度とすると、メインパルスのみの場合の
インク飛翔量と同等となり、これ以下であると、付加パ
ルスの効果がないことを実験により確認した。この電圧
値Vbは、インクを飛翔させるために十分な電圧であ
る。
【0058】図9は、図7に示したパルス形状で、付加
パルスの電圧Vbを変化させたパルスを記録ヘッドに印
加した場合におけるインク液滴200の先頭と後尾の飛
翔速度を示す図である。
【0059】この場合の飛翔速度とは、インク液滴20
0の先頭と後尾とがノズルを出た時点から用紙位置に相
当する1mm先までの平均速度である。また、パルス波
形の条件としては、Va=40V,t1〜t2=5μs,
t2〜t3=2.5μs,t3〜t4=1.5μs,t4〜t5
=3μs,t5〜t6=5.5μs,t6〜t7=1μs,
t7〜t8=5.5μsである。
【0060】付加パルス電圧Vbが20V以上となる
と、インク液滴200の後尾の飛翔速度が増加し、イン
ク液滴200が飛翔途中で分離しなくなる。
【0061】図10は、実験により確認した付加パルス
の電圧Vbと液滴重量との関係を示す図である。付加パ
ルス電圧Vbが30V以上となると、図10に示すよう
に、インク液滴200の飛翔重量が多くなってくるた
め、インク液滴200の長さも長くなり、先頭と後尾と
の速度差が大きくなって、飛翔途中でインク液滴200
が分離するようになる。
【0062】したがって、図9の特性と図10の特性と
を併せて考察すると、上記の通り、電圧値Vbは、メイ
ンパルスの電圧値Vaの50〜75%程度とすることが
望ましい。
【0063】付加パルスは、インク温度による電圧値V
bの調整を含んでもよい。インクの温度は、記録装置が
置かれる環境に依存して変化する。電圧値Vbの値をイ
ンクの温度によって変化させるようにすると、環境温度
が変化しても、本発明の効果を得ることができる。イン
クの温度が低い場合には、インクの粘性が高くなり、そ
のため流体抵抗が大きくなるので、Vbの値を大きくし
てインク液滴の後尾を強く押し出す。逆に、インクの温
度が高い場合には、インクの粘性が低くなり、そのため
流体抵抗が小さくなるので、Vbの値を小さくしてイン
ク液滴の後尾を押す力を減少させる。
【0064】図11は、本発明の付加パルスを含む駆動
パルスでインクを飛翔させる場合のインク飛翔状態を示
す図である。
【0065】図11(a)は、パルスを印加する前の状
態、図11(b)は、インクがインク圧力室に引き込まれ
ている状態、図11(c)は、インクがノズルから飛翔し
始める状態であり、ここまでは、図6の従来例と変わら
ないように見える。図11(d)は、インクがノズル10
1から離れる直前の状態である。この時点で、本発明の
付加パルスの印加が完了してしまう、すなわち、図7の
t1〜t8が経過してしまうので、後尾付近のインクが加
速され、図11(e),(f)のように、インク液滴が飛翔
途中で分断することがない。
【0066】なお、上記実施形態は、シリアル走査型の
インクジェット記録装置について記載したが、記録ヘッ
ドが記録媒体と同等の幅を有するライン型のインクジェ
ット記録装置に対しても、本発明の駆動方法を適用でき
る。
【0067】
【発明の効果】本発明によれば、インクジェット記録ヘ
ッドの圧電素子に電圧を印加してノズルからインク液滴
を飛翔させる際に、インクを飛翔させる第1のパルス電
圧の後に、インクを飛翔させることが可能ではあるが第
1のパルスよりは低い電圧の第2のパルスを印加してイ
ンク液滴の後尾付近を加速し、飛翔途中でのインク液滴
の分断を防止するので、記録媒体上での記録ドットが長
円状や2つになることがなく、高品質な印刷画像を提供
できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の適用対象であるシリアル走査型インク
ジェット記録装置の概略構造を示す図である。
【図2】図1における記録ヘッド10の拡大図である。
【図3】図2のB―B断面における記録ヘッド10の構
造を示す図である。
【図4】記録ノズル101の一例の拡大図である。
【図5】記録時に圧電素子に印加する従来の駆動パルス
波形の一例を示す図である。
【図6】図5に示したパルス波形を圧電素子に印加した
場合に、インク液滴200がノズルプレート111のノ
ズル101から飛翔する経過を説明する図である。
【図7】本発明により改良した駆動パルス波形を示す図
である。
【図8】図5に示したパルス形状で、t1〜t2の時間を
5μs,t3〜t4の時間を1.5μsに固定し,t2〜t
3の時間を変えた場合において、t1〜t4の合計時間と
インク飛翔速度との関係を示す図である。
【図9】図7に示したパルス形状で、付加パルスの電圧
Vbを変化させたパルスを記録ヘッドに印加した場合に
おけるインク液滴200の先頭と後尾の飛翔速度を示す
図である。
【図10】実験により確認した付加パルスの電圧Vbと
液滴重量との関係を示す図である。
【図11】本発明の付加パルスを含む駆動パルスでイン
クを飛翔させる場合のインク飛翔状態を示す図である。
【符号の説明】
1 インクタンク 2a 配管 2b 配管 3a ポンプ 3b ポンプ 4a 配管 4b 配管 10 記録ヘッド 11 給紙台 101 ノズル 102 インク圧力室 103 インク室 106 圧電素子
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 山田 健二 茨城県ひたちなか市武田1060番地 日立工 機株式会社内 Fターム(参考) 2C057 AF21 AG12 AL14 AL24 AM22 AR08 BA14

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 複数のノズルと前記ノズルに対応して設
    けられたインク圧力室および圧電素子と記録信号に応じ
    て前記圧電素子に電圧を印加する電圧波形発生手段とを
    備え、前記圧電素子に電圧を印加し、前記ノズルから記
    録媒体に向けてインク液滴を飛翔させ画像を印刷するイ
    ンクジェット記録ヘッドの駆動方法において、 インク吐出動作の1周期内にインク液滴を飛翔させる第
    1駆動パルスとインク液滴の後尾付近を加速させる第2
    駆動パルスとを有し、 前記第2駆動パルスの電圧が、前記第1駆動パルスの電
    圧値の50〜75%であり、かつ、インクを飛翔させる
    には十分な電圧であることを特徴とするインクジェット
    記録ヘッドの駆動方法。
  2. 【請求項2】 請求項1に記載のインクジェット記録ヘ
    ッドの駆動方法において、 前記第2駆動パルスの電圧を前記インクジェット記録ヘ
    ッドの環境温度に応じて変化させることを特徴とするイ
    ンクジェット記録ヘッドの駆動方法。
  3. 【請求項3】 請求項1または2に記載のインクジェッ
    ト記録ヘッドの駆動方法において、 前記第2駆動パルスの電圧変化率が、前記第1駆動パル
    スの電圧変化率よりも小さいことを特徴とするインクジ
    ェット記録ヘッドの駆動方法。
  4. 【請求項4】 請求項1ないし3のいずれか一項に記載
    のインクジェット記録ヘッドの駆動方法において、 前記第1駆動パルスの終了時と前記第2駆動パルスの開
    始時との間隔が、前記記録ヘッドのインク圧力室の共振
    周期の1/2以上であることを特徴とするインクジェッ
    ト記録ヘッドの駆動方法。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2013075509A (ja) * 2011-09-14 2013-04-25 Toshiba Tec Corp インクジェットヘッドの駆動方法及び駆動装置

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