JP2002019105A - インクジェットヘッド及びインクジェット式記録装置 - Google Patents

インクジェットヘッド及びインクジェット式記録装置

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JP2002019105A
JP2002019105A JP2000201879A JP2000201879A JP2002019105A JP 2002019105 A JP2002019105 A JP 2002019105A JP 2000201879 A JP2000201879 A JP 2000201879A JP 2000201879 A JP2000201879 A JP 2000201879A JP 2002019105 A JP2002019105 A JP 2002019105A
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potential
waveform
actuator
pulse signal
driving
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JP2000201879A
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English (en)
Inventor
Hiroyuki Matsuo
浩之 松尾
Koji Ikeda
浩二 池田
Koji Matsuo
幸治 松尾
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Panasonic Holdings Corp
Original Assignee
Matsushita Electric Industrial Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 2pl以下の最小液滴量が吐出できかつ吐出
した複数のインク滴を合体させて単一つの大液滴を吐出
し、吐出量のダイナミックレンジが広いインクジェット
ヘッド及びインクジェット式記録装置を提供することに
ある。 【解決手段】 アクチュエータの駆動手段は、小液滴を
吐出する場合は、アクチュエ−タが最大変位から零変位
に戻る途中にアクチュエ−タの復帰動作を一時的に抑制
することにより、ノズル端から突出したインクを途中で
分断させ、微小なインク滴を吐出し、又、大液滴を吐出
する場合は、圧電素子に供給される駆動パルスの間隔を
アクチュエータの固有周期に近づけることとした。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、インクジェットヘ
ッド及びインクジェット式記録装置に関する。
【0002】
【従来の技術】従来より、圧電素子の圧電効果によって
インクを吐出するインクジェットヘッドが知られてい
る。通常、この種のインクジェットヘッドは、インクを
収容する複数の圧力室と各圧力室にそれぞれ連通する複
数のノズルとが形成されたヘッド本体と、圧電効果によ
って上記各圧力室内のインクに圧力を付与してノズルか
らインクを吐出させるアクチュエータと、アクチュエー
タに駆動信号を供給する駆動回路とを備えている。
【0003】そして、インク吐出の制御のため、アクチ
ュエータに供給する駆動信号として、種々の信号が提案
されている。例えば、特開昭53−23237号公報に
は、図16(a)に示すように、いわゆる押し引き波形
からなる駆動信号が提案されている。すなわち、はじめ
に圧力室を加圧する側(圧力室の内容積を減少させる
側)にアクチュエータを駆動してインク滴を吐出させ
(信号P101参照)、その後、圧力室を減圧させる側
(圧力室の内容積を増加させる側)にアクチュエータを
駆動して圧力室内にインクを補給する(信号P102参
照)ような信号が提案されている。
【0004】また、特公昭62−26912号公報に
は、図16(b)に示すように、いわゆる引き押し波形
からなる駆動信号が提案されている。すなわち、はじめ
に圧力室を減圧する側(圧力室の内容積を増加させる
側)にアクチュエータを駆動して圧力室内にインクを導
入し(信号P103参照)、次に、圧力室を基準状態に
復帰させるようにアクチュエータを駆動してインクを吐
出させる(信号P104参照)ような信号が提案されて
いる。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】ところで、記録の高画
質化を図るにはインクドットを微細化する必要があり、
そのためには、ノズルから吐出するインク滴を従来以上
に微小なものにしなければならない。そこで、インク滴
を微細化する手段として、ノズルを小径化することが考
えられる。しかし、ノズルを小径化すると、目詰まりが
発生しやすくなり、信頼性が低下するおそれがある。ま
た、ノズルの形成に際して高度な穴開け加工が必要とな
り、製造コストの上昇を招く結果となる。そこで、ノズ
ル径を小さくするのではなく、駆動信号に工夫を加える
ことにより、インク滴を微細化する技術が望まれてい
る。
【0006】しかし、上記の押し引き波形では、アクチ
ュエータを押し切ったとき(アクチュエータの変位が最
大のとき)にインク滴が吐出されるため、ノズル端から
のインク突出量は必然的に大きくなり、微小液滴の吐出
は困難であった。また、上記の引き押し波形において
も、アクチュエータが基準状態に戻りきったとき(アク
チュエータの変位が最大変位から零変位に戻ったとき)
にインク滴が吐出されるため、上記と同様にノズル端か
らのインク吐出量は大きくなり、微小液滴の吐出は困難
であった。又、高速化を図るために大液滴の吐出が必要
である。従って、高画質印字と高速印字を両立するため
に、1つのノズルから2pl以下の最小液滴量が吐出で
き、かつ吐出量のダイナミックレンジ(=最大液滴量/
最小液滴量)が広くとれる新たな制御方法が待ち望まれ
ていた。
【0007】本発明は、かかる点に鑑みてなされたもの
であり、その目的とするところは、薄膜の圧電素子を有
し、同一ノズルから、2pl以下の最小液滴量が吐出で
きかつ吐出した複数のインク滴を合体させて単一の大液
滴を吐出して記録媒体に着弾させるインクジェットヘッ
ド及びインクジェット式記録装置を提供することにあ
る。
【0008】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するため
に、本発明は、小液滴を吐出する場合は、アクチュエ−
タが最大変位から零変位に戻る途中にアクチュエ−タの
復帰動作を一時的に抑制することにより、ノズル端から
突出したインクを途中で分断させ、微小なインク滴を吐
出し、又大液滴を吐出する場合は、圧電素子に供給され
る駆動パルスの間隔がアクチュエータの固有周期に近い
ほどインクの吐出速度は大きくなることに着目し、駆動
パルスの間隔を徐々にアクチュエータの固有周期に近づ
けることとした。
【0009】具体的には、第1の発明に係るインクジェ
ットヘッドは、インクを収容する圧力室と該圧力室に連
通するノズルとが形成されたヘッド本体と、圧電素子を
有し、該圧電素子の圧電効果によって上記圧力室内のイ
ンクに圧力を付与するアクチュエータと、上記1つのノ
ズルから小液滴と大液滴を吐出する駆動手段とを備え、
上記小液滴を吐出する駆動手段は、圧力室を減圧する側
にアクチュエータを駆動する主パルス信号を供給した
後、該アクチュエータが基準状態に復帰する前にノズル
から吐出したインクの一部が分断されてインク滴として
吐出するように、該アクチュエータの復帰を一時的に抑
制する補助パルス信号を供給し、かつ上記大液滴を吐出
する駆動手段は、所定の一印字周期内に、複数の駆動パ
ルスをこれら駆動パルス間の時間間隔を徐々に上記アク
チュエータの固有周期に近づけるように供給するように
構成して、小液滴と大液滴の両方を上記ノズルの1つか
ら吐出することとしたものである。
【0010】なお、ここでいうアクチュエータの固有周
期とは、音響要素(具体的にはインク)を含む振動系全
体の固有周期をいう。また、最大液滴量とは、1つのノ
ズルから吐出する複数の液滴が、記録媒体に着弾する前
または着弾と同時に合体して単一のドットになるときの
そのドットの液滴量の最大値のことである。
【0011】上記第1の発明により、小液滴を吐出する
場合、アクチュエ−タが最大変位から零変位に戻る途中
にアクチュエ−タの復帰動作を一時的に抑制して、ノズ
ル端から突出したインクを途中で分断させて、微小なイ
ンク滴(小液滴)を吐出させ、又、大液滴を吐出する場合
は、圧電素子に供給される駆動パルスの間隔がアクチュ
エータの固有周期に近いほどインクの吐出速度は大きく
なることに着目し、駆動パルスの間隔を徐々にアクチュ
エータの固有周期に近づけて、後から吐出されたインク
滴を前に吐出されたインク滴に追いつかせて、両インク
滴を記録媒体に着弾する前または着弾と同時に合体させ
て、大液滴を形成して着弾位置づれのない均一なドット
を形成して、吐出量のダイナミックレンジが広い階調印
字特性をもつインクジェットヘッドを提供することが可
能となる。
【0012】第2の発明に係るインクジェットヘッド
は、インクを収容する圧力室と該圧力室に連通するノズ
ルとが形成されたヘッド本体と、圧電素子を有し、該圧
電素子の圧電効果によって上記圧力室内のインクに圧力
を付与するアクチュエータと、上記1つのノズルから小
液滴と大液滴を吐出する駆動手段とを備え、上記小液滴
を吐出する駆動手段は、所定の基準電位から該基準電位
との電位差が所定値V1であり且つ圧力室を減圧する側
にアクチュエータを駆動するための第1電位にまで下降
する電位降下波形と、該第1電位を維持する電位維持波
形と、該第1電位から該基準電位にまで上昇する電位上
昇波形とからなる主パルス信号と、上記主パルス信号の
後に供給され、上記加圧電位から上記基準電位との電位
差が所定値V2であり且つ圧力室を減圧する側にアクチ
ュエータを駆動するための第2電位にまで下降する電位
降下波形と、該第2電位を維持する電位維持波形と、該
第2電位から該基準電位にまで上昇する電位上昇波形と
からなる補助パルス信号とを供給するように構成し、上
記主パルス信号の電位上昇波形の電位上昇開始時から上
記補助パルス信号の電位降下波形の電位降下開始時まで
の時間t2と、上記補助パルス信号の電位上昇波形の電
位上昇開始時から電位上昇終了時までの時間t4と、上
記補助パルス信号の電位降下波形の電位降下開始時から
電位降下終了時までの時間t5とは、それぞれアクチュ
エータの固有周期Tに対して、下記(数5)に設定し、
【0013】
【数5】
【0014】かつ大液滴を吐出する上記駆動手段は、所
定の一印字周期内に、複数の駆動パルスをこれら駆動パ
ルス間の時間間隔を徐々に上記アクチュエータの固有周
期に近づけるように供給して大液滴を吐出するように構
成し、小液滴と大液滴の両方を上記ノズルの1つから吐
出するインクジェットヘッドである。
【0015】上記第2の発明により、引き押し駆動の小
液滴吐出について、主パルス信号の電位上昇波形の電位
上昇開始時から上記補助パルス信号の電位降下波形の電
位降下開始時までの時間t2が、アクチュエータの固有
周期Tに対してt2<0.5Tに設定され、補助パルス
信号の電位降下波形の電位降下開始時から電位降下終了
時までの時間t5がt5<0.5Tに設定されているこ
とから、補助パルス信号は、アクチュエータが基準状態
に復帰する前に供給されることになる。従って、アクチ
ュエータが基準状態に復帰する前にその復帰動作は一時
的に抑制され、ノズル端から突出したインクの一部は分
断され、微小なインク滴となって吐出されることにな
る。また、補助パルス信号の電位上昇波形の電位上昇開
始時から電位上昇終了時までの時間t4がt4>(V2
/V1)Tに設定されていることから、一時的に復帰が
抑制されたアクチュエータが復帰動作を再開する際に、
その復帰動作は比較的緩慢に行われることになる。その
ため、アクチュエータが急激に復帰することによってイ
ンク滴が再度吐出されることが防止される。また、イン
ク吐出後のアクチュエータの振動が抑制され、次回のイ
ンク滴吐出の際に、アクチュエータの動作が不安定にな
ることがない。
【0016】第3の発明に係るインクジェットヘッド
は、引き押し引きの駆動の小液滴吐出について、インク
を収容する圧力室と該圧力室に連通するノズルとが形成
されたヘッド本体と、圧電素子を有し、該圧電素子の圧
電効果によって上記圧力室内のインクに圧力を付与する
アクチュエータと、上記1つのノズルから小液滴と大液
滴を吐出する駆動手段とを備え、上記小液滴を吐出する
駆動手段は、所定の基準電位から該基準電位との電位差
が所定値V1であり且つ圧力室を減圧する側にアクチュ
エータを駆動するための第1電位にまで下降する電位降
下波形と、該第1電位を維持する電位維持波形と、該第
1電位から圧力室を加圧する側にアクチュエ−タを駆動
するための加圧電位にまで上昇する電位上昇波形とから
なる主パルス信号と、上記主パルス信号の後に供給さ
れ、上記加圧電位から上記基準電位との電位差が所定値
V2であり且つ圧力室を減圧する側にアクチュエータを
駆動するための第2電位にまで下降する電位降下波形
と、該第2電位を維持する電位維持波形と、該第2電位
から該基準電位にまで上昇する電位上昇波形とからなる
補助パルス信号とを供給するように構成し、上記主パル
ス信号の電位上昇波形の電位上昇開始時から上記補助パ
ルス信号の電位降下波形の電位降下開始時までの時間t
2aと、上記補助パルス信号の電位上昇波形の電位上昇
開始時から電位上昇終了時までの時間t4aと、上記補
助パルス信号の電位降下波形の電位降下開始時から電位
降下終了時までの時間t5aとは、それぞれアクチュエ
ータの固有周期Tに対して、下記(数6)に設定し、
【0017】
【数6】
【0018】かつ大液滴を吐出する上記駆動手段は、所
定の一印字周期内に、複数の駆動パルスをこれら駆動パ
ルス間の時間間隔を徐々に上記アクチュエータの固有周
期に近づけるように供給して大液滴を吐出するように構
成して、小液滴と大液滴の両方を上記ノズルの1つから
吐出するインクジェットヘッドである。
【0019】上記第3の発明により、引き押し引きの駆
動の小液滴吐出に対応したもので、前記第2の発明と同
様の効果が得られる。
【0020】第4の発明に係るインクジェットヘッド
は、引き押しの駆動の小液滴吐出について、インクを収
容する圧力室と該圧力室に連通するノズルとが形成され
たヘッド本体と、圧電素子を有し、該圧電素子の圧電効
果によって上記圧力室内のインクに圧力を付与するアク
チュエータと、上記1つのノズルから小液滴と大液滴を
吐出する駆動手段とを備え、上記小液滴を吐出する駆動
手段は、所定の基準電位から該基準電位との電位差が所
定値V1であり且つ圧力室を減圧する側にアクチュエー
タを駆動するための第1電位にまで下降する電位降下波
形と、該第1電位を維持する電位維持波形と、該第1電
位から該基準電位にまで上昇する電位上昇波形とからな
る主パルス信号と、上記主パルス信号の後に供給され、
上記加圧電位から上記基準電位との電位差が所定値V2
であり且つ圧力室を減圧する側にアクチュエータを駆動
するための第2電位にまで下降する電位降下波形と、該
第2電位を維持する電位維持波形と、該第2電位から該
基準電位にまで上昇する電位上昇波形とからなる補助パ
ルス信号とを供給するように構成し、上記主パルス信号
の電位上昇波形の電位上昇開始時から上記補助パルス信
号の電位降下波形の電位降下開始時までの時間t2と、
上記補助パルス信号の電位降下波形の電位降下開始時か
ら電位上昇波形の電位上昇終了時までの時間t3とは、
それぞれアクチュエータの固有周期Tに対して、下記
(数7)に設定し、
【0021】
【数7】
【0022】かつ大液滴を吐出する上記駆動手段は、所
定の一印字周期内に、複数の駆動パルスをこれら駆動パ
ルス間の時間間隔を徐々に上記アクチュエータの固有周
期に近づけるように供給して大液滴を吐出するように構
成し、小液滴と大液滴の両方を上記ノズルの1つから吐
出するインクジェットヘッドである。
【0023】上記第4の発明により、引き押し駆動の小
液滴吐出について対応した場合で、主パルス信号の電位
上昇波形の電位上昇開始時から上記補助パルス信号の電
位降下波形の電位降下開始時までの時間t2が、アクチ
ュエータの固有周期Tに対してt2<0.5Tに設定さ
れているので、アクチュエータが基準状態に復帰する前
に補助パルス信号が供給され、ノズル端から突出したイ
ンクの一部は分断されて微小なインク滴となって吐出さ
れることになる。また、補助パルス信号の電位降下波形
の電位降下開始時から電位上昇波形の電位上昇終了時ま
での時間t3が、(1/16)T<t3<(3/8)T
に設定されているので、補助パルス信号はわずかの時間
しか供給されず、補助パルス信号によって意図しないイ
ンク滴の吐出が起こるようなことはない。また、主パル
ス信号及び補助パルス信号の合計の供給時間が短くなる
ので、駆動周波数の向上が図られる。
【0024】第5の発明に係るインクジェットヘッド
は、インクを収容する圧力室と該圧力室に連通するノズ
ルとが形成されたヘッド本体と、圧電素子を有し、該圧
電素子の圧電効果によって上記圧力室内のインクに圧力
を付与するアクチュエータと、上記1つのノズルから小
液滴と大液滴を吐出する駆動手段とを備え、上記小液滴
を吐出する駆動手段は、所定の基準電位から該基準電位
との電位差が所定値V1であり且つ圧力室を減圧する側
にアクチュエータを駆動するための第1電位にまで下降
する電位降下波形と、該第1電位を維持する電位維持波
形と、該第1電位から圧力室を加圧する側にアクチュエ
−タを駆動するための加圧電位にまで上昇する電位上昇
波形とからなる主パルス信号と、上記主パルス信号の後
に供給され、上記加圧電位から上記基準電位との電位差
が所定値V2であり且つ圧力室を減圧する側にアクチュ
エータを駆動するための第2電位にまで下降する電位降
下波形と、該第2電位を維持する電位維持波形と、該第
2電位から該基準電位にまで上昇する電位上昇波形とか
らなる補助パルス信号とを供給するように構成し、上記
主パルス信号の電位上昇波形の電位上昇開始時から上記
補助パルス信号の電位降下波形の電位降下開始時までの
時間t2aと、上記補助パルス信号の電位降下波形の電
位降下開始時から電位上昇波形の電位上昇終了時までの
時間t3aとは、それぞれアクチュエータの固有周期T
に対して、下記(数8)に設定し、
【0025】
【数8】
【0026】かつ大液滴を吐出する上記駆動手段は、所
定の一印字周期内に、複数の駆動パルスをこれら駆動パ
ルス間の時間間隔を徐々に上記アクチュエータの固有周
期に近づけるように供給して大液滴を吐出するように構
成して、小液滴と大液滴の両方を上記ノズルの1つから
吐出するインクジェットヘッドである。
【0027】上記第5の発明により、引き押し引きの駆
動の小液滴吐出に対応したもので、前記第4の発明と同
様の効果が得られる。
【0028】第6の発明に係るインクジェットヘッド
は、請求項1〜5のいずれか一の発明において、大液滴
を吐出する駆動手段が、圧力室内を減圧する側に上記ア
クチュエータを駆動するための最小電位と、該圧力室内
を加圧する側に該アクチュエータを駆動する最大電位と
を含む駆動電圧信号とを備え、上記大液滴を吐出する駆
動手段は、所定の一印字周期内に、所定の最小電位と最
大電位との間の基準電位から該最小電位まで下降する電
位降下波形と、該最小電位を維持する最小電位維持波形
と、該最小電位から上記最大電位まで上昇する電位上昇
波形とからなる初期駆動パルスと、最大電位を維持する
最大電位維持波形と、該最大電位から最小電位まで下降
する電位降下波形と、該最小電位を維持する最小電位維
持波形と、該最小電位から最大電位まで上昇する電位上
昇波形とからなる第M後続駆動パルス(Mは自然数)を順
に供給するように構成され、上記初期駆動パルスの電位
降下波形の電位降下開始時から電位上昇波形の電位上昇
終了時までの第1時間t0bと、上記第1後続駆動パル
スにおける最大電位維持波形の電位維持開始時から電位
上昇波形の電位上昇終了時までの第2時間t1bと、上
記第M後続駆動パルスにおける最大電位維持波形の電位
維持開始時から電位上昇波形の電位上昇終了時までの第
M時間tMbとは、アクチュエータの固有周期Tに対し
て、 t0b≦t1b<tMb≦T に設定し、かつ一印字周期内の初期駆動パルスの電位降
下波形の電位降下開始時から最後の後続駆動パルスの電
位上昇波形の電位上昇終了時までの時間T1は、最小印
字周期T2に対して、 T1/T2≦0.5 に設定したものである。
【0029】上記第6の発明により、t0b≦t1b<
tMb≦Tに設定することで記録媒体に着弾する前また
は着弾と同時に合体して大液滴の単一ドットが形成で
き、かつT1/T2≦0.5に設定することで、圧力室
内のインクが静定するので、吐出の繰り返しが安定に行
うことができる。また、高速印字が可能となる。
【0030】第7の発明に係るインクジェットヘッド
は、請求項1〜6のいずれか一の発明において、ダイナ
ミックレンジが5倍以上の小液滴と大液滴の両方を上記
ノズルの1つから吐出するものである。
【0031】上記第7の発明により、吐出量のダイナミ
ックレンジが5倍以上の小液滴と大液滴の両方を上記ノ
ズルの1つから吐出することができる。
【0032】第8の発明に係るインクジェットヘッド
は、請求項1〜7のいずれか一の発明において、Mが2
以上の後続駆動パルスを供給して大液滴の吐出を行うも
のである。
【0033】上記第8の発明により、液滴量のダイナミ
ックレンジが5倍以上の小液滴と大液滴の両方を上記ノ
ズルの1つから吐出することができる。
【0034】第9の発明に係るインクジェットヘッド
は、請求項1〜8のいずれか一の発明において、最小液
滴量が2pl以下である。
【0035】上記第9の発明により、液滴量のダイナミ
ックレンジが5倍以上の小液滴と大液滴の両方を上記ノ
ズルの1つから吐出することができ、高速化と高画質化
を両立できる。
【0036】第10の発明は、インクジェット式記録装
置であって、上記第1〜9のいずれか一の発明に係るイ
ンクジェットヘッドと、上記インクジェットヘッドのイ
ンク吐出時に該インクジェットヘッドと記録媒体とを相
対的に移動させる移動手段とを備えているものである。
【0037】このことにより、液滴量のダイナミックレ
ンジが5倍以上の小液滴と大液滴の両方を上記ノズルの
1つから吐出することができ、高速化と高画質化を両立
できるインクジェット式記録装置が得られる。
【0038】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施の形態を図面
に基づいて説明する。
【0039】<実施形態1>図1は、実施形態1に係る
インクジェット式記録装置の概略構成を示す。このイン
クジェット式記録装置は、キャリッジ16に支持固定さ
れたインクジェットヘッド1を備えている。キャリッジ
16には、図1では図示を省略するキャリッジモータ2
8(図6参照)が設けられ、このキャリッジモータ28
によりキャリッジ16が主走査方向(図1及び図2に示
すX方向)に延びるキャリッジ軸17にガイドされ、そ
の方向に往復移動するようになっている。なお、このキ
ャリッジ16、キャリッジ軸17及びキャリッジモータ
28により、インクジェットヘッド1と記録紙41とを
相対移動させる移動手段が構成されている。
【0040】記録紙41は、図1では図示を省略する搬
送モータ26(図6参照)によって回転駆動される2つ
の搬送ローラ42に挟まれていて、この搬送モータ26
及び各搬送ローラ42により、上記主走査方向と直交す
る副走査方向(図1及び図2に示すY方向)に搬送され
るようになっている。
【0041】インクジェットヘッド1は、図2〜図5に
示すように、インクを収容する複数の圧力室4と各圧力
室4にそれぞれ連通する複数のノズル2とが形成された
ヘッド本体40と、各圧力室4内のインクに圧力を付加
して各ノズル2からインク滴をそれぞれ吐出させる複数
のアクチュエータ10とを有している。アクチュエータ
10は、後述の如く、いわゆるたわみ振動型の圧電素子
13を用いたものであって、圧力室4の収縮(加圧)及
び膨張(減圧)に伴う圧力室4内の圧力変化によって、
ノズル2からインク滴を吐出しかつ圧力室4にインクを
導入するようになっている。
【0042】図2に示すように、各圧力室4は、インク
ジェットヘッド1の内部に主走査方向Xに延びるように
長溝状に形成されており、圧力室4同士は、副走査方向
Yに互いに所定間隔をあけて配設されている。この圧力
室4の一端部(図2では右側の端部)には、ノズル2が
設けられている。圧力室4の他端部(図2では左側の端
部)にはインク供給路5の一端部がそれぞれ接続され、
この各インク供給路5の他端部は、副走査方向Yに延び
るように設けられたインク供給室3に接続されている。
【0043】図3に示すように、インクジェットヘッド
1は、ノズル2が形成されたノズルプレート6と、圧力
室4及びインク供給路5を区画形成する区画壁7と、ア
クチュエータ10とが順に積層されて構成されている。
このノズルプレート6は厚さ20μmのポリイミド板か
らなり、ノズル径は10μm〜35μmで、本実施例で
は20μmに設定している。又、区画壁7は厚さ280
μmのステンレス製ラミネート板で構成されている。
【0044】アクチュエータ10は、図4及び図5に誇
張して示すように、圧力室4に臨設された振動板11
と、振動板11を振動させる薄膜の圧電素子13と、個
別電極14とが順に積層されて構成されている。アクチ
ュエ−タの全体の厚さは、アクチュエ−タを高密度に配
置するために、8μm以下が好ましい。本実施例では、
振動板11は、厚さ2μmのクロム板からなっており、
各圧電素子13に個別電極14と共に電圧を印加するた
めの共通電極としての機能をも有している。圧電素子1
3は、圧力室4に対応して設けられていて、厚さ3μm
のPZT(ジルコル酸チタン酸鉛)からなる超薄型のも
のである。個別電極14は厚さ0.1μmの白金板から
なっており、アクチュエータ10の全体の厚さは約5μ
mとなっている。なお、互いに隣接する圧電素子13
(個別電極14)の間には、ポリイミドからなる絶縁板
15が設けられている。
【0045】次に、図6のブロック図を参照しながら、
インクジェット式記録装置の制御回路20を説明する。
制御回路20は、CPUからなる主制御部21と、各種
データ処理のためのルーチン等を記憶したROM22
と、各種データの記憶等を行うRAM23と、搬送モー
タ26及びキャリッジモータ28をそれぞれ駆動制御す
るためのドライバ回路25,27及びモータ制御回路2
4と、印刷データを受信するデータ受信回路29と、駆
動信号生成回路30と、複数の選択回路31,31,…
とを備えている。各選択回路31には、アクチュエータ
10が接続されている。駆動信号生成回路30は、後述
する駆動信号を生成する回路である。選択回路31は、
インクジェットヘッド1がキャリッジ16と共に主走査
方向Xに移動しているときに、駆動信号生成回路30か
らの駆動信号をアクチュエータ10に選択的に入力させ
る回路である。具体的には、選択回路31は、駆動信号
生成回路30からアクチュエータ10への信号供給をO
N/OFFするスイッチング回路により構成されてい
る。
【0046】次に、インクジェット式記録装置の動作に
ついて説明する。まず、データ受信回路29が画像デー
タを受信すると、主制御部21はROM22に記憶され
た処理ルーチンに基づいて、モータ制御回路24及びド
ライバ回路25,27を介して搬送モータ26及びキャ
リッジモータ28をそれぞれ制御し、駆動信号生成回路
30は駆動信号を生成する。さらに、主制御部21は、
上記画像データに基づいて、インク滴の吐出に関する情
報を各選択回路31に出力する。そして、選択回路31
は、上記情報に基づいて、インク滴を吐出すべきときに
はON状態となってアクチュエータ10に駆動信号を供
給する一方、インク滴を吐出すべきでないときにはOF
F状態となって駆動信号を遮断する。これにより、記録
紙41上に所望の画像が形成される。
【0047】−駆動信号の波形− 図7を参照しながら、駆動信号について説明する。本実
施形態の駆動信号は、周期T2aの小液滴を吐出するパ
ルス信号(P1a、P2a)と周期T2bの大液滴を吐出
するパルス信号(P1b、P2b、P3b)とからなる。
【0048】−小液滴吐出の説明− (A)小液滴を吐出するパルス信号について、図8(a)
を参照しながら説明する。
【0049】本実施形態の駆動信号は、一印字周期中
に、主パルス信号P1a及び補助パルス信号P2aの2
つのパルス信号を含んでいる。
【0050】主パルス信号P1aは、所定の基準電位と
第1電位V1aとを有する信号である。ここで、第1電
位V1aは、基準電位との電位差がV1aであって、圧
力室4を減圧する側(圧力室4の内容積を増加させる
側)にアクチュエータ10を変形させるための電位であ
る。詳しくは、主パルス信号P1aは、基準電位から第
1電位V1aにまで下降する第1電位降下波形S1a
と、第1電位V1aを維持する第1電位維持波形S2a
と、第1電位V1aから基準電位にまで上昇する第1電
位上昇波形S3aとにより構成されており、いわゆる引
き押し波形の信号である。
【0051】一方、補助パルス信号P2aは、基準電位
と第2電位V2aとを有する信号である。ここで、第2
電位V2aは、基準電位との電位差がV2aであって、
圧力室4を減圧する側にアクチュエータ10を変形させ
るための電位である。なお、本実施形態では第2電位V
2aは第1電位V1aよりも小さいが、第2電位V2a
は第1電位V1aと等しくてもよく、第1電位V1aよ
りも大きくてもよい。補助パルス信号P2aは、詳しく
は、主パルス信号P1aの後の基準電位維持波形S4a
に続き、基準電位から第2電位V2aにまで下降する第
2電位降下波形S5aと、第2電位V2aを維持する第
2電位維持波形S6aと、第2電位V2aから基準電位
にまで上昇する第2電位上昇波形S7aとにより構成さ
れている。従って、補助パルス信号P2aも、いわゆる
引き押し波形の信号である。
【0052】ここで、主パルス信号P1aの第1電位降
下波形S1aの電位降下開始時から第1電位上昇波形S
3aの電位上昇開始時までの時間をt1aとすると、t
1aはアクチュエータ10の固有周期Tに対して、 (1/4)T<t1a<(3/4)T −−−(1) に設定されている。詳しくは、本例では、時間t1aは
4μsに設定されている。なお、ここでいうアクチュエ
ータ10の固有周期とは、圧力室4の内部のインクの影
響をも含めた振動系全体の固有周期のことであり、本例
では8μsである。このような固有周期は、例えば米国
特許第4,697,193号明細書に記載されているヘ
ルムホルツ固有振動数fの逆数で表される。
【0053】主パルス信号P1aの第1電位上昇波形S
3aの電位上昇開始時から補助パルス信号P2aの電位
降下波形S5aの電位降下開始時までの時間をt2aと
すると、t2aは、 t2a<0.5T −−−(2) に設定されている。なお、時間t2aが短すぎると、後
述の補助パルス信号P2aの付加によるインク吐出が困
難となるので、時間t2aは、 (1/16)T<t2a<0.5T −−−(2a) に設定されていることが好ましい。本例では、時間t2
aは1.5μsに設定されている。
【0054】補助パルス信号P2aの第2電位降下波形
S5aの電位降下開始時から電位降下終了時までの時間
をt5aとすると、t5aは、 t5a<0.5T −−−(3) に設定されている。なお、時間t5aが短いほど、後述
の補助パルス信号P2aの付加によるインク吐出が容易
になるので、時間t5aは、 t5a<0.25T −−−(3a) に設定されていることが好ましい。本例では、時間t5
aは0.5μsに設定されている。
【0055】補助パルス信号P2aの第2電位上昇波形
S7aの電位上昇開始時から電位上昇終了時までの時間
をt4aとすると、t4aは、 t4a>(V2a/V1a)T −−−(4) に設定されている。
【0056】−インクの吐出動作− 次に、アクチュエータ10の中央部の変位を表す図8
(b)と、ノズル2のインクの挙動を表す図9とを参照
しながら、インク滴の吐出動作について説明する。な
お、図9では、圧力室4等は模式的に表されており、こ
れらは実際の形状とは異なる。また、アクチュエータ1
0の変形は誇張して示している。
【0057】まず、図9(a)に示す基準状態(初期状
態)のアクチュエータ10に対し、主パルス信号P1a
が供給される。これにより、図8(b)の変位曲線C1
及び図9(b)に示すように、アクチュエータ10は圧
力室4を減圧する側に変形し、いわゆる引き動作を行
う。これにより、インク供給室3から圧力室4にインク
が導入される。
【0058】その後、図8(b)の変位曲線C2及び図
9(c)に示すように、アクチュエータ10は基準状態
に向けて徐々に復帰し、圧力室4はアクチュエータ10
によって加圧される。つまり、いわゆる押し動作が行わ
れる。これにより、ノズル2からインクが徐々に突出す
る。
【0059】次に、図8(b)の変位曲線C3及び図9
(d)に示すように、アクチュエータ10が基準状態に
復帰する前に補助パルス信号P2aが供給され、アクチ
ュエータ10の復帰動作は一時的に抑制される。なお、
図8(b)に示すように、本実施形態では、補助パルス
信号P2aの付加によってアクチュエータ10は一時的
に圧力室4を減圧する側に変形しているが、補助パルス
信号P2aは、アクチュエータ10の復帰動作を急激に
減速させるものであればよく、アクチュエータ10を必
ずしも減圧側に変形させる必要はない。このように、ア
クチュエータ10の復帰動作が不連続になることによ
り、ノズル2から押し出されたインクは、その慣性力に
よって先端側の一部が分断され、微小なインク滴DPと
なって飛翔する。
【0060】その後、図8(b)の変位曲線C4及び図
9(e)に示すように、アクチュエータ10は再び復帰
動作に戻り、いわゆる押し動作を再開する。この際、イ
ンク滴DPが吐出された分だけ、ノズル2からのインク
の吐出量は少なくなるので、アクチュエータ10が基準
状態に復帰したとしても、ノズル2からインク滴が再度
吐出されることはない。
【0061】なお、本実施形態では、補助パルス信号P
2aの第2電位上昇波形S7aの電位上昇開始時から電
位上昇終了時までの時間t4aはt4a>(V2a/V
1a)Tに設定されており、インク吐出後のアクチュエ
ータ10の振動抑制にとって十分に長い時間であるの
で、次のインク滴を吐出する前に、アクチュエータ10
の状態は十分に安定する。すなわち、駆動信号を供給す
る際に、アクチュエータ10は常に所定の基準状態(初
期状態)から駆動されることになり、所定量のインク滴
が安定して吐出されることになる。従って、印字品質の
ばらつきがなくなり、良好な記録が可能となる。
【0062】以上のように、本実施形態によれば、主パ
ルス信号P1aの供給により圧力室4を減圧する側にア
クチュエータ10を駆動した後、アクチュエータ10が
基準状態に復帰する前に、その復帰を一時的に抑制する
補助パルス信号P2aを供給することとしたので、ノズ
ル端から押し出したインクの一部を分断させ、微小なイ
ンク滴として吐出することができる。従って、ノズルを
小径化することなく微小なインク滴を吐出することが可
能となる。
【0063】主パルス信号P1aの電位上昇波形S3a
の電位上昇開始時から上記補助パルス信号P2aの電位
降下波形S5aの電位降下開始時までの時間t2aを、
アクチュエータ10の固有周期Tに対してt2a<0.
5Tに設定し、補助パルス信号P2aの電位降下波形S
5aの電位降下開始時から電位降下終了時までの時間t
5aをt5a<0.5Tに設定していることから、アク
チュエータ10が基準状態に復帰する前に補助パルス信
号P2aを確実に供給することができ、微小なインク滴
を安定して吐出することができる。
【0064】補助パルス信号P2aの第2電位上昇波形
S7aの電位上昇開始時から電位上昇終了時までの時間
t4aをt4a>(V2a/V1a)Tに設定すること
としたので、インク滴を吐出した後のアクチュエータ1
0の振動が次回のインク滴の吐出時に残存することがな
く、インク滴の吐出動作は常に安定して行われる。従っ
て、印字品質が安定する。
【0065】主パルス信号P1aの電位降下波形S1a
の電位降下開始時から電位上昇波形S3aの電位上昇開
始時までの時間t1aを、アクチュエータの固有周期T
に対して、(1/4)T<t1a<(3/4)Tに設定
しているので、アクチュエータ10の共振を利用するこ
とができ、アクチュエータ10の駆動に必要なエネルギ
ーを抑制することができる。
【0066】−大液滴の説明− (B)大液滴を吐出するパルス信号について、図12及び
図7を参照しながら説明する。
【0067】図12は、一印字周期内にノズル2から3
つのインク滴を吐出する際の動作図である。一印字周期
T2b内にアクチュエータ10に供給される駆動信号
は、3つの台形波状パルスP1b〜P3b、すなわち初
期パルスP1bと第1の後続パルスP2bと第2の後続
パルスP3bとを含んでいる。各パルスP1b〜P3b
は、アクチュエータ10に引き押し動作(いわゆるプル
プッシュ動作)を行わせることによってインク滴を吐出
するための駆動信号である。
【0068】図12に示すように、初期パルスP1b
は、基準電位V0から圧力室4内を減圧する側にアクチ
ュエータ10を駆動するための最小電位V1bまで下降
する電位降下波形S1bと、最小電位V1bを維持する
最小電位維持波形とS2bと、最小電位V1bから圧力
室4内を加圧する側にアクチュエータ10を駆動するた
めの最大電位V2bまで上昇する電位上昇波形S3bと
から構成されている。第1後続パルスP2bは、最大電
位V2bを維持する最大電位維持波形S4bと、最大電
位V2bから最小電位V1bまで下降する電位降下波形
S5bと、最小電位V1bを維持する最小電位維持波形
S6bと、最小電位V1bから最大電位V2bまで上昇
する電位上昇波形S7bとから構成されている。第2後
続パルスP3bは、第1後続パルスと同様のパルスであ
り、最大電位V2bを維持する最大電位維持波形S8b
と、最大電位V2bから最小電位V1bまで下降する電
位降下波形S9bと、最小電位V1bを維持する最小電
位維持波形S10bと、最小電位V1bから最大電位V
2bまで上昇する電位上昇波形S11bとから構成され
ている。第2後続パルスP3bの後には、最大電位V2
bを維持する最大電位維持波形S12bと、最大電位V
2bから基準電位V0まで下降する電位降下波形S13
bと、基準電位V0を維持する基準電位維持波形S14
bとが続いている。なお、基準電位V0、最小電位V1
b及び最大電位V2bは、−100V〜100V程度の
電位が好ましく、例えば、最小電位V1b、基準電位V
0、最大電位V2bを、それぞれ0V、20V、50V
としてもよい。
【0069】本駆動信号に含まれる駆動パルスは、パル
ス間の時間間隔が徐々にアクチュエータ10の固有周期
に近づくように長くなっている。具体的には、初期パル
スP1bにおける電位降下波形S1bの電位降下開始時
から電位上昇波形S3bの電位上昇終了時までの第1時
間t1bと、第1後続パルスP2bにおける最大電位維
持波形S4bの電位維持開始時から電位上昇波形S7b
の電位上昇終了時までの第2時間t2bと、第2後続パ
ルスP3における最大電位維持波形S8bの電位維持開
始時から電位上昇波形S11bの電位上昇終了時までの
第3時間t3bとは、アクチュエータ10の固有周期T
に対して、t1b≦t2b<t3b≦Tとなるように設
定されている。例えば、アクチュエータ10の固有周期
Tが8μsの場合に、t1b、t2b、t3bをそれぞ
れ5.5μs、7μs、8μsとしてもよい。
【0070】各パルスP1b〜P3bのパルス幅は、ア
クチュエータ10の固有周期以下に設定されている。ま
た、一般に、固有周期の長い薄膜の圧電素子13では、
パルスの最大電位または最小電位の維持時間(ピークホ
ール時間)がインク滴の吐出速度に与える影響は小さ
い。そのため、パルスP1b〜P3bの電位降下波形の
立ち下がり時間及び電位上昇波形の立ち上がり時間を相
対的に長くするよう、ピークホールド時間を短くするこ
とができる。本実施形態では、パルスP1b〜P3bの
各電位維持波形S2b、S4b、S6b、S8b、S1
0b及びS12bの電位維持時間(ピークホールド時
間)は、それぞれアクチュエータ10の固有周期の1/
4以下に設定されている。
【0071】また、一つの印字周期のインク吐出終了か
ら次の印字周期のインク吐出開始までの間に圧力室4内
及びノズル2内のインクを十分に静定させるために、第
2後続パルスを供給した後の波形S12b〜S14b
は、十分な長さに設定されている。具体的には、初期パ
ルスP1bの電位降下波形S1bの電位降下開始時から
第2後続パルスP3bの電位上昇波形S11bの電位上
昇終了時までの時間T1bは、最小印字周期T2bの半
分以下に設定されている。つまり、T1b/T2b≦
0.5となっており、例えば、T1b=20.5μs、
T2b=50μsとしてもよい。なお、時間T1bは、
インクを良好に吐出できる範囲に設定すればよく、固有
周期以上または(T2b)/8以上(つまり1/8≦T
1b/T2b)が特に好ましい。
【0072】このように、本実施形態では、パルス間の
時間間隔t1b、t2b、t3bが徐々にアクチュエー
タ10の固有周期に近づくようになっているので、図1
2(a)に示すように、初期パルスP1bによって吐出
される第1インク滴Q1、第1後続パルスP2bによっ
て吐出される第2インク滴Q2、第2後続パルスP3b
によって吐出される第3インク滴Q3は、段階的に速度
が上昇するように吐出される。言い換えると、第1イン
ク滴Q1、第2インク滴Q2、第3インク滴Q3の吐出
速度をそれぞれv1、v2、v3とすると、v1≦v2
<v3となる。なお、第3インク滴Q3の吐出速度v3
は、第1インク滴Q1と第2インク滴Q2とが合体して
第1合体インク滴Q12となった後に第3インク滴Q3
が当該第1合体インク滴Q12に更に合体するように、
第1合体インク滴Q12の吐出速度v12よりも大きく
設定されていてもよい。あるいは、例えばv1=v2の
場合のように、第3インク滴Q3と第2インク滴Q2と
が合体して第2合体インク滴となった後に当該第2合体
インク滴が更に第1インク滴Q1に合体するように設定
されていてもよい。これにより、第1、第2及び第3イ
ンク滴Q1〜Q3は、記録紙41に着弾する前に合体
し、一つのインク滴Q123となって記録紙41に着弾
して単一のドットを形成することになる。
【0073】以上のように、本実施形態によれば、パル
スP1b〜P3bの時間間隔t1b〜t3bを、徐々に
アクチュエータ10の固有周期に近づくように変化させ
ることとしたので、複数のインク滴の吐出速度を徐々に
増加させることができる。従って、第1〜第3のインク
滴Q1〜Q3を着弾前に合体させることができ、たとえ
インクジェットヘッド1のキャリッジ速度が速い場合で
あっても、記録紙41に良好なインクドットを形成する
ことができる。従って、多階調記録を高速に行うことが
可能となる。
【0074】また、パルスP1b〜P3bの時間間隔t
1b〜t3bを徐々に長くしたので、それらがアクチュ
エータ10の固有周期に近づくように徐々に短くなる場
合に比べて、全体の時間間隔T1=t1b+t2b+t
3bを短くすることができる。従って、印字速度が向上
する。
【0075】また、パルスP1b〜P3bのピークホー
ルド時間が短いので、その分だけ電位の立ち下がり時間
や立ち上がり時間を長くすることができ、電位の立ち上
がり時間及び立ち下がり時間を十分に確保することがで
きる。従って、エキストラドットのない安定したインク
滴を吐出することができ、良質な印字を得ることができ
る。
【0076】また、一印字周期内の最後のパルスである
第2後続パルスP3bから次の印字周期の初期パルスP
1bまでの時間が長いので、第3インク滴Q3を吐出し
た後の圧力室4及びノズル2内のインクの脈動やメニス
カス振動は、次の印字周期の第1インク滴Q1を吐出す
るまでの間に、十分に低減する。従って、第1インク滴
Q1の吐出時には、圧力室4及びノズル2内のインクは
十分に静定する。そのため、第1インク滴Q1を安定し
て吐出することができる。
【0077】なお、アクチュエータ10の振動を抑制し
てインクを更に静定させるために、図13に示すよう
に、第2後続パルスP3bの後の電位降下波形S13の
傾斜をより穏やかにしてもよく、当該電位降下波形S1
3bの後に次の印字周期の初期パルスの電位降下波形S
1bを連続させてもよい。
【0078】<実施形態2>実施形態1の小液滴吐出で
は、インク吐出前のアクチュエータ10の状態を安定さ
せるために、補助パルス信号P2aの第2電位上昇波形
S7aの電位上昇開始時から電位上昇終了時までの時間
t4aを長めに設定したが、インク吐出の間隔が短い高
速印刷が必要な場合もある。実施形態2は、駆動周波数
を向上させて高速印刷を可能とすべく、実施形態1にお
ける駆動信号を図10に示すような駆動信号に置き換え
たものである。
【0079】具体的には、本実施形態では、補助パルス
信号P2aの電位降下波形S5aの電位降下開始時から
電位上昇波形S7aの電位上昇終了時までの時間t3a
は、アクチュエータ10の固有周期Tに対して、(1/
16)T<t3a<(3/8)Tに設定されている。こ
のように、補助パルス信号P2aの印加時間t3aを短
めに設定することにより、主パルス信号P1a及び補助
パルス信号P2aからなる駆動信号の全体の周期を短く
することができる。従って、駆動周波数を向上させるこ
とができる。
【0080】なお、時間t3aに上限を設けた理由は、
時間t3aが長くなりすぎると、補助パルス信号P2a
を加えることにより余分なインク滴が吐出されるおそれ
があるからである。
【0081】(表1)に、本発明の実施例の性能比較表
を示す。なお、実施例1〜4及び比較例では、V1a=
V2a=23[V]とした。
【0082】
【表1】
【0083】(表1)に示すように、実施例1〜4によ
れば、従来の引き押し波形の駆動信号に比べて、インク
の吐出量が少なくなっていることが分かる。つまり、実
施例1〜4においては、従来よりも微小なインク滴が吐
出されている。なお、比較例のように時間t3aが長す
ぎると、補助パルス信号P2aの供給により余分なイン
ク滴が吐出され、インクの吐出量は、逆に従来例よりも
増加する結果となる。
【0084】<実施形態3>実施形態1及び2の小液滴
吐出では、駆動信号の波形は基準電位と2つの電位V1
a,V2aとを有する信号波形であり、アクチュエータ
10にいわゆる引き押し動作を行わせる引き押し波形で
あった。しかし、本発明の駆動信号の波形は、引き押し
波形に限定されるものではなく、図11(a)及び
(b)に示すように、アクチュエータ10を基準状態か
らいったん圧力室4を減圧する側に駆動した後、圧力室
4を加圧する側に駆動し、再び減圧側に駆動してから基
準状態に復帰させる波形であってもよい。つまり、アク
チュエータ10にいわゆる引き押し引き動作を行わせる
引き押し引き波形であってもよい。
【0085】<実施形態4>実施形態4は、大液滴吐出
を行うために、アクチュエータ10に対して一印字周期
内に複数の矩形状パルスを供給するものである。
【0086】図14に示すように、本実施形態に係る駆
動パルス群は、一印字周期内に第1〜第3の矩形パルス
P1’〜P3’を含んでいる。第1〜第3パルスP1’
〜P3’の波形はそれぞれ異なっていてもよいが、本実
施形態では、第1〜第3パルスP1’〜P3’を同一波
形の矩形パルスで構成することとした。つまり、第1〜
第3パルスP1’〜P3’のパルス高さ及びパルス幅は
それぞれ等しい。基準電位V0及び最大電位V2bは、
−100V〜100V程度の電位が好ましく、例えば基
準電位V0を0V、最大電位V2bを50Vとすること
ができる。
【0087】第1パルスP1’の電位上昇終了時から第
2パルスP2’の電位上昇終了時までの第1時間t1b
と、第2パルスP2’の電位上昇終了時から第3パルス
P3’の電位上昇終了時までの第2時間t2bとは、ア
クチュエータ10の固有周期Tに対して、t1b<t2
b≦Tに設定されている。従って、実施形態1と同様、
第1〜第3インク滴Q1〜Q3を段階的に吐出速度が速
くなるように吐出することができるので、これらインク
滴Q1〜Q3を記録紙41に着弾する前あるいは着弾と
同時に合体させることができる。
【0088】第1パルスP1’の電位上昇開始時と第3
パルスP3’の電位上昇開始時との間の時間T1bは、
印字周期T2bに対して、T1b/T2b≦0.5に設
定されている。従って、実施形態1と同様、第1インク
滴Q1の吐出時には、圧力室4及びノズル2内のインク
は十分に静定しているので、第1インク滴Q1を安定し
て吐出することができる。
【0089】更に、本実施形態によれば、駆動パルス群
を矩形状のパルスのみによって構成しているので、駆動
パルス群を容易に形成することができる。矩形状のパル
スは台形波状のパルスよりも容易に形成することができ
るからである。
【0090】<実施形態5>図15は、大液滴を吐出し
た後に、小液滴を吐出する駆動パルスである。階調印字
を行う場合、この大液滴を吐出した後に、小液滴を吐出
する場合が一番厳しい条件となる(吐出後のインクが激
しく揺動するため)。実施形態4では大液滴を吐出する
ために、初期パルスP1b、第1後続パルスP2b、第
2後続パルスP3bの3つのパルスを加えて合体させた
が、本実施例ではさらに多くのパルスを合体させたもの
である。
【0091】(表2)は、小液滴吐出を実施形態2の実
施例2の条件で固定(1.5pl吐出)し、大液滴の吐出を初
期パルスP0bの印加後に、2つ以上の後続パルスP1
b、P2b・・・PMbを加えたときの吐出量と吐出量
のダイナミックレンジを示した表である。初期駆動パル
スP0bの電位降下波形の電位降下開始時から最後の後
続パルスの電位上昇波形の電位上昇終了時までの時間T
1bは、最小印字周期T2bに対して、T1b/T2b
≦0.5になるように設定した。又、比較としてエプソ
ン社製のPM-800Cのデ−タを記載した。ここで、吐出量
のダイナミックレンジとは、1つのノズルから吐出でき
る最大液滴量と最小液滴量の比率(=最大液滴量/最小液
滴量)のことである。又、最大液滴量とは、複数のパル
スにより吐出した液滴が、記録紙41に着弾する前ある
いは着弾と同時に合体してできる最大の液滴量のことで
ある。
【0092】
【表2】
【0093】(表2)のいずれの実施例も、最小液滴の
1.5plを周期T2a=25μs、最大液滴量を周期
T2b=50μsで安定に繰り返して吐出できた。
【0094】ここで、高画質化と高速化の両立について
説明する。ブラック、イエロ、マゼンダ、シアンの4色
のインクで写真のような高画質の画像を得るためには、
1ノズルから吐出する最小液滴量を2pl以下にする必要
がある。しかし、この小液滴のみで画像や文字を作成す
る場合、時間がかかる。一方、高速のために大液滴が必
要である。例えば、720dpiで記録する場合、隣接ドット
を隙間無く印字するのに必要な液滴量は11plである。し
かし、この大液滴のみでは、画像の粒状性が悪く、画像
がざらついてみえる。そこで、1つのノズルから小液滴
と大液滴を両方と吐出できる吐出量のダイナミックレン
ジが広いヘッドが必要である。
【0095】比較例の場合、吐出量のダイナミックレン
ジは、2.8倍である。又、720dpiの階調記録を行う場合
の吐出量のダイナミックレンジは、5.5倍(=11/2)が必要
となる。
【0096】本発明では、表2の実施例7の時(後続パ
ルス数が3の時)に1.5〜11plの吐出ができ、吐出量のダ
イナミックレンジは、7.3倍となる。さらに、実施例8
では、吐出量のダイナミックレンジは、9倍となる。こ
のように、ブラック、イエロ、マゼンダ、シアンの4色
の小液滴のインクで写真のような高画質の画像を得るこ
とができ、さらに大液滴を吐出できるので、高画質化と
高速化の両立を図ることができる。
【0097】
【発明の効果】以上のように、本発明によれば、小液滴
を吐出する場合、主パルス信号を供給することによって
アクチュエータをいったん圧力室を減圧する側に駆動し
た後、アクチュエータが基準状態に復帰する前に補助パ
ルス信号を供給し、その復帰を一時的に抑制するように
したので、アクチュエータの復帰に伴ってノズル端から
押し出されたインクの一部を分断させ、2pl以下の微
小なインク滴として吐出することができる。従って、ノ
ズルを小径化しなくてもインク滴を微細化することがで
き、高画質の記録が可能となる。また、大液滴を吐出す
る場合、アクチュエータに対して複数の駆動パルスをパ
ルス間の時間間隔を徐々にアクチュエータの固有周期に
近づけるように供給することとしたので、複数のインク
滴をそれらの吐出速度が徐々に速くなるように吐出する
ことができる。そのため、複数のインク滴を記録媒体に
着弾する前に合体させ、一つのインク滴として記録媒体
に着弾させることができる。従って、複数のインク滴に
より、記録媒体上に良好な単一ドットを形成することが
できる。その結果、印字品質や印字速度の向上を図るこ
とができる。
【0098】駆動パルスの時間間隔を徐々にアクチュエ
ータの固有周期に近づけるように長くすることにより、
一印字周期の時間を短くすることができ、印字の高速化
を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施形態に係るインクジェット式記録装置の概
略構成図
【図2】インクジェットヘッドの部分平面図
【図3】図2のA−A断面図
【図4】アクチュエータ近傍の部分断面図
【図5】図2のB−B断面図
【図6】制御回路のブロック図
【図7】小液滴吐出と大液滴吐出の駆動信号の波形図
【図8】(a)は実施形態1に係る駆動信号の波形図
(b)はアクチュエ−タの変位曲線図
【図9】(a)〜(e)はアクチュエ−タの変形とイン
クの挙動を示す模式図
【図10】実施形態2に係る駆動信号の波形図
【図11】(a)及び(b)は、実施形態3に係わる駆
動信号の波形図
【図12】(a)はインク滴の合体させる模式図(b)
はその駆動信号の波形図
【図13】大液滴吐出の変形例の駆動信号の波形図
【図14】実施形態4に係る駆動信号の波形図
【図15】実施形態5に係る駆動信号の波形図
【図16】従来例の駆動信号の波形図
【符号の説明】
1 インクジェットヘッド 2 ノズル 4 圧力室 10 アクチュエータ 11 振動板 13 圧電素子 14 個別電極 32 駆動信号供給手段 40 ヘッド本体 41 記録紙 P1a 主パルス信号 P2a 補助パルス信号 P1b 初期パルス P2b 第1後続パルス P3b 第2後続パルス
フロントページの続き (72)発明者 松尾 幸治 大阪府門真市大字門真1006番地 松下電器 産業株式会社内 Fターム(参考) 2C057 AF01 AF39 AG44 AM21 AM22 BA03 BA14 CA01

Claims (10)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 インクを収容する圧力室と該圧力室に連
    通するノズルとが形成されたヘッド本体と、圧電素子を
    有し、該圧電素子の圧電効果によって上記圧力室内のイ
    ンクに圧力を付与するアクチュエータと、上記1つのノ
    ズルから小液滴と大液滴を吐出する駆動手段とを備え、 上記小液滴を吐出する駆動手段は、圧力室を減圧する側
    にアクチュエータを駆動する主パルス信号を供給した
    後、該アクチュエータが基準状態に復帰する前にノズル
    から吐出したインクの一部が分断されてインク滴として
    吐出するように、該アクチュエータの復帰を一時的に抑
    制する補助パルス信号を供給し、かつ上記大液滴を吐出
    する駆動手段は、所定の一印字周期内に、複数の駆動パ
    ルスをこれら駆動パルス間の時間間隔を徐々に上記アク
    チュエータの固有周期に近づけるように供給するように
    構成して、小液滴と大液滴の両方を上記ノズルの1つか
    ら吐出するインクジェットヘッド。
  2. 【請求項2】 インクを収容する圧力室と該圧力室に連
    通するノズルとが形成されたヘッド本体と、圧電素子を
    有し、該圧電素子の圧電効果によって上記圧力室内のイ
    ンクに圧力を付与するアクチュエータと、上記1つのノ
    ズルから小液滴と大液滴を吐出する駆動手段とを備え、 上記小液滴を吐出する駆動手段は、所定の基準電位から
    該基準電位との電位差が所定値V1であり且つ圧力室を
    減圧する側にアクチュエータを駆動するための第1電位
    にまで下降する電位降下波形と、該第1電位を維持する
    電位維持波形と、該第1電位から該基準電位にまで上昇
    する電位上昇波形とからなる主パルス信号と、上記主パ
    ルス信号の後に供給され、上記加圧電位から上記基準電
    位との電位差が所定値V2であり且つ圧力室を減圧する
    側にアクチュエータを駆動するための第2電位にまで下
    降する電位降下波形と、該第2電位を維持する電位維持
    波形と、該第2電位から該基準電位にまで上昇する電位
    上昇波形とからなる補助パルス信号とを供給するように
    構成し、 上記主パルス信号の電位上昇波形の電位上昇開始時から
    上記補助パルス信号の電位降下波形の電位降下開始時ま
    での時間t2aと、上記補助パルス信号の電位上昇波形
    の電位上昇開始時から電位上昇終了時までの時間t4a
    と、上記補助パルス信号の電位降下波形の電位降下開始
    時から電位降下終了時までの時間t5aとは、それぞれ
    アクチュエータの固有周期Tに対して、下記(数1)に
    設定し、 【数1】 かつ大液滴を吐出する上記駆動手段は、所定の一印字周
    期内に、複数の駆動パルスをこれら駆動パルス間の時間
    間隔を徐々に上記アクチュエータの固有周期に近づける
    ように供給して大液滴を吐出するように構成して、小液
    滴と大液滴の両方を上記ノズルの1つから吐出するイン
    クジェットヘッド。
  3. 【請求項3】 インクを収容する圧力室と該圧力室に連
    通するノズルとが形成されたヘッド本体と、圧電素子を
    有し、該圧電素子の圧電効果によって上記圧力室内のイ
    ンクに圧力を付与するアクチュエータと、上記1つのノ
    ズルから小液滴と大液滴を吐出する駆動手段とを備え、 上記小液滴を吐出する駆動手段は、所定の基準電位から
    該基準電位との電位差が所定値V1であり且つ圧力室を
    減圧する側にアクチュエータを駆動するための第1電位
    にまで下降する電位降下波形と、該第1電位を維持する
    電位維持波形と、該第1電位から圧力室を加圧する側に
    アクチュエ−タを駆動するための加圧電位にまで上昇す
    る電位上昇波形とからなる主パルス信号と、 上記主パルス信号の後に供給され、上記加圧電位から上
    記基準電位との電位差が所定値V2であり且つ圧力室を
    減圧する側にアクチュエータを駆動するための第2電位
    にまで下降する電位降下波形と、該第2電位を維持する
    電位維持波形と、該第2電位から該基準電位にまで上昇
    する電位上昇波形とからなる補助パルス信号とを供給す
    るように構成し、 上記主パルス信号の電位上昇波形の電位上昇開始時から
    上記補助パルス信号の電位降下波形の電位降下開始時ま
    での時間t2aと、上記補助パルス信号の電位上昇波形
    の電位上昇開始時から電位上昇終了時までの時間t4a
    と、上記補助パルス信号の電位降下波形の電位降下開始
    時から電位降下終了時までの時間t5aとは、それぞれ
    アクチュエータの固有周期Tに対して、下記(数2)に
    設定し、 【数2】 かつ大液滴を吐出する上記駆動手段は、所定の一印字周
    期内に、複数の駆動パルスをこれら駆動パルス間の時間
    間隔を徐々に上記アクチュエータの固有周期に近づける
    ように供給して大液滴を吐出するように構成して、小液
    滴と大液滴の両方を上記ノズルの1つから吐出するイン
    クジェットヘッド。
  4. 【請求項4】 インクを収容する圧力室と該圧力室に連
    通するノズルとが形成されたヘッド本体と、圧電素子を
    有し、該圧電素子の圧電効果によって上記圧力室内のイ
    ンクに圧力を付与するアクチュエータと、上記1つのノ
    ズルから小液滴と大液滴を吐出する駆動手段とを備え、 上記小液滴を吐出する駆動手段は、所定の基準電位から
    該基準電位との電位差が所定値V1であり且つ圧力室を
    減圧する側にアクチュエータを駆動するための第1電位
    にまで下降する電位降下波形と、該第1電位を維持する
    電位維持波形と、該第1電位から該基準電位にまで上昇
    する電位上昇波形とからなる主パルス信号と、上記主パ
    ルス信号の後に供給され、上記加圧電位から上記基準電
    位との電位差が所定値V2であり且つ圧力室を減圧する
    側にアクチュエータを駆動するための第2電位にまで下
    降する電位降下波形と、該第2電位を維持する電位維持
    波形と、該第2電位から該基準電位にまで上昇する電位
    上昇波形とからなる補助パルス信号とを供給するように
    構成し、 上記主パルス信号の電位上昇波形の電位上昇開始時から
    上記補助パルス信号の電位降下波形の電位降下開始時ま
    での時間t2aと、上記補助パルス信号の電位降下波形
    の電位降下開始時から電位上昇波形の電位上昇終了時ま
    での時間t3aとは、それぞれアクチュエータの固有周
    期Tに対して、下記(数1)に設定し、 【数3】 かつ大液滴を吐出する上記駆動手段は、所定の一印字周
    期内に、複数の駆動パルスをこれら駆動パルス間の時間
    間隔を徐々に上記アクチュエータの固有周期に近づける
    ように供給して大液滴を吐出するように構成して、小液
    滴と大液滴の両方を上記ノズルの1つから吐出するイン
    クジェットヘッド。
  5. 【請求項5】 インクを収容する圧力室と該圧力室に連
    通するノズルとが形成されたヘッド本体と、圧電素子を
    有し、該圧電素子の圧電効果によって上記圧力室内のイ
    ンクに圧力を付与するアクチュエータと、上記1つのノ
    ズルから小液滴と大液滴を吐出する駆動手段とを備え、 上記小液滴を吐出する駆動手段は、所定の基準電位から
    該基準電位との電位差が所定値V1であり且つ圧力室を
    減圧する側にアクチュエータを駆動するための第1電位
    にまで下降する電位降下波形と、該第1電位を維持する
    電位維持波形と、 該第1電位から圧力室を加圧する側にアクチュエ−タを
    駆動するための加圧電位にまで上昇する電位上昇波形と
    からなる主パルス信号と、上記主パルス信号の後に供給
    され、上記加圧電位から上記基準電位との電位差が所定
    値V2であり且つ圧力室を減圧する側にアクチュエータ
    を駆動するための第2電位にまで下降する電位降下波形
    と、該第2電位を維持する電位維持波形と、該第2電位
    から該基準電位にまで上昇する電位上昇波形とからなる
    補助パルス信号とを供給するように構成し、 上記主パルス信号の電位上昇波形の電位上昇開始時から
    上記補助パルス信号の電位降下波形の電位降下開始時ま
    での時間t2aと、上記補助パルス信号の電位降下波形
    の電位降下開始時から電位上昇波形の電位上昇終了時ま
    での時間t3aとは、それぞれアクチュエータの固有周
    期Tに対して、下記(数4)に設定し、 【数4】 かつ大液滴を吐出する上記駆動手段は、所定の一印字周
    期内に、複数の駆動パルスをこれら駆動パルス間の時間
    間隔を徐々に上記アクチュエータの固有周期に近づける
    ように供給して大液滴を吐出するように構成して、小液
    滴と大液滴の両方を上記ノズルの1つから吐出するイン
    クジェットヘッド。
  6. 【請求項6】 大液滴を吐出する駆動手段が、圧力室内
    を減圧する側に上記アクチュエータを駆動するための最
    小電位と、該圧力室内を加圧する側に該アクチュエータ
    を駆動する最大電位とを含む駆動電圧信号とを備え、 上記大液滴を吐出する駆動手段は、所定の一印字周期内
    に、所定の最小電位と最大電位との間の基準電位から該
    最小電位まで下降する電位降下波形と、該最小電位を維
    持する最小電位維持波形と、該最小電位から上記最大電
    位まで上昇する電位上昇波形とからなる初期駆動パルス
    と、最大電位を維持する最大電位維持波形と、該最大電
    位から最小電位まで下降する電位降下波形と、該最小電
    位を維持する最小電位維持波形と、該最小電位から最大
    電位まで上昇する電位上昇波形とからなる第M後続駆動
    パルス(Mは自然数)を順に供給するように構成され、 上記初期駆動パルスの電位降下波形の電位降下開始時か
    ら電位上昇波形の電位上昇終了時までの第1時間t0b
    と、 上記第1後続駆動パルスにおける最大電位維持波形の電
    位維持開始時から電位上昇波形の電位上昇終了時までの
    第2時間t1bと、 上記第M後続駆動パルスにおける最大電位維持波形の電
    位維持開始時から電位上昇波形の電位上昇終了時までの
    第M時間tMbとは、アクチュエータの固有周期Tに対
    して、 t0b≦t1b<tMb≦T に設定し、 かつ一印字周期内の初期駆動パルスの電位降下波形の電
    位降下開始時から最後の後続駆動パルスの電位上昇波形
    の電位上昇終了時までの時間T1は、最小印字周期T2
    に対して、 T1/T2≦0.5 に設定している請求項1〜5のいづれか一つに記載のイ
    ンクジェットヘッド。
  7. 【請求項7】 吐出量のダイナミックレンジ(=最大液
    滴量/最小液滴量)が5倍以上の小液滴と大液滴の両方
    を上記ノズルの1つから吐出する請求項1〜6のいづれ
    か一つに記載のインクジェットヘッド。
  8. 【請求項8】 Mが2以上の後続駆動パルスを供給して
    大液滴の吐出を行う請求項1〜7のいづれか一つに記載
    のインクジェットヘッド。
  9. 【請求項9】 最小液滴量が2pl以下である請求項1
    〜8のいづれか一つに記載のインクジェットヘッド。
  10. 【請求項10】 請求項1〜9のいづれか一つに記載の
    インクジェットヘッドと、上記インクジェットヘッドの
    インク吐出時に該インクジェットヘッドと記録媒体とを
    相対的に移動させる移動手段とを備えているインクジェ
    ット式記録装置。
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Cited By (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
WO2003026897A1 (en) * 2001-09-20 2003-04-03 Ricoh Company, Ltd. Image recording apparatus and head driving control apparatus
JP2013063525A (ja) * 2011-09-15 2013-04-11 Ricoh Co Ltd 画像形成装置
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