JP2003062705A - 非晶質カーボン被覆工具およびその製造方法 - Google Patents

非晶質カーボン被覆工具およびその製造方法

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治世 福井
Yoshinori Irie
美紀 入江
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誠 瀬戸山
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秀樹 森口
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 耐摩耗性および耐溶着性に優れた非晶質カー
ボン膜を被膜した工具とその製造方法を提供する。 【解決手段】 高速度鋼、炭素工具鋼及び合金工具鋼か
ら選ばれた1種類からなる基材と、この基材上の少なく
とも刃先を被覆する非晶質カーボン膜とを具える非晶質
カーボン被覆工具である。非晶質カーボン膜中には、水
素を5原子%以下含有する。非晶質カーボン膜の刃先に
おける最大厚みは0.05μm以上0.5μm以下とする。この
非晶質カーボン膜は、グラファイトを原料とする物理的
蒸着法により形成する。ドリル、エンドミル、リーマな
どの転削工具、フライス工具や旋削工具に使用される刃
先交換型切削チップ、カッター、ナイフ、スリッターな
どの切断工具への適用が最適である。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、転削工具(ドリ
ル、エンドミル、リーマなど)、フライス工具や旋削工
具に使用される刃先交換型切削チップ、切断工具(カッ
ター、ナイフ、スリッターなど)の表面に耐摩耗性およ
び耐溶着性を有する非晶質カーボン膜を形成した工具に
関するものである。
【0002】
【従来の技術】従来から、工具表面の損傷を小さくして
高寿命・高能率加工を行うこと、および被削材の仕上げ
(表面形状維持、母材硬度維持、寸法精度維持など)を高
品位に行うことなどが切削工具に求められている。
【0003】最近では、環境保全や省エネルギー化のニ
ーズから、切削抵抗を下げる工具や切削油剤を減らして
も寿命や切削能率が低下しない工具などの開発が強く求
められている。
【0004】また、アルミ合金などの軟金属や、チタ
ン、マグネシウム、銅といった非鉄金属、有機材料、グ
ラファイトなど硬質粒子を含有する材料、プリント回路
基板加工や鉄系材料とアルミ共削り加工など近年被削材
の材種は多技にわたっている。ここで、共削り加工とは
鉄系材料とアルミ合金が一体になったものを同時に切削
することをいう。上記のような材料を切削する場合、切
削工具の切れ刃部分に被削材が凝着して切削抵抗が大き
くなったり、場合によっては刃先が欠損するといった問
題もある。これら特定被削材では、他の被削材に比べ工
具摩耗が一層激しくなる。
【0005】さらに、金属加工現場からは、性能は落す
ことなくコストを大幅に削減したいとの切実なニーズが
ある。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】このようなアルミニウ
ムおよびその合金や有機材料を加工する特定用途では、
従来、ダイヤモンド工具が用いられてきた。基材にダイ
ヤモンド膜を形成した工具では、そのダイヤモンド膜が
多結晶構造のため表面の凹凸が大きくなる。従って、精
密加工工具として使用するためには表面を研磨する必要
がある。
【0007】しかし、ダイヤモンド膜は現存する材料で
一番硬い材料であるため、その研磨に対しては高価なダ
イヤモンドを用いるよりほかなく、非常なコストアップ
要因となっていた。
【0008】さらに、TiNなど、PVD(Physical vapor
deposition)コーティングで得られるセラミックス被膜
は、通常2〜3μmの厚さである。一方、ダイヤモンド膜
の場合には、結晶成長速度が結晶方位によって大幅に異
なるので、平滑な研磨面を得るためには、予め20〜30μ
mといった厚膜が必要である。その上、ダイヤモンド成
長時に同時成長するグラファイトをエッチング除去しな
がら成膜するので通常のセラミックス被膜のコーティン
グ時の1/10以下といった非常に低い成膜速度となり、コ
ーティングを含めた製造コストが非常に高くなるという
問題があった。
【0009】また、ダイヤモンド焼結体を基材にロー付
けする工具では、複雑形状の工具や径が数ミリの小径工
具を製作することが困難であるとの問題があった。
【0010】そこで、特開2000-176705号公報では、工
具上にTiN、TiCN、TiAlN、AlOもしくはこれらの組
み合わせを含む硬質物質コーティングした後に、さらに
硬質炭素系潤滑膜を被覆した工具部材を提案している。
ここで、発明者らは、安定した耐久性を有し、かつ量産
性に適した安価な硬質炭素系潤滑被膜を形成するため、
シリコンと炭素もしくはシリコン、炭素および窒素を含
む成分からなる中間層を設け、中間層の下に界面と接す
る厚さ0.02μm以上0.5μm以下のシリコン単体の層を形
成することを提案している。
【0011】しかし、この発明における最表面層の硬質
炭素被膜は、炭化水素系のガスを使って、イオンプレー
ティングとプラズマCVD(Chemical vapor deposition)
の手法により形成されるため、被膜中に水素原子が含ま
れてしまう。通常、硬質炭素中の水素原子は大気中にお
いて約350℃の温度以上で膜中から脱離することが知ら
れており、水素が脱離した後に硬質炭素被膜はグラファ
イトに変態し、硬度が極端に低下する。このような被膜
は過酷な切削環境下で使用することが困難であると言わ
ざるを得ない。
【0012】従って、本発明の主目的は、軟金属、非鉄
金属、有機材料、硬質粒子を含有する材料、プリント回
路基板、鉄系材料と軟質金属材料との共削り加工などの
切削用の非晶質カーボン被覆工具を提供することであ
る。また、本発明の他の目的は、非晶質カーボン被覆工
具の製造方法を提供することにある。
【0013】
【課題を解決するための手段】本発明は、基材の種類や
非晶質カーボン膜の厚さを特定することで上記の目的を
達成する。
【0014】すなわち、本発明非晶質カーボン被覆工具
は、高速度鋼、炭素工具鋼及び合金工具鋼から選ばれた
1種類よりなる基材と、この基材上の少なくとも刃先を
被覆する非晶質カーボン膜とを具える非晶質カーボン被
覆工具であって、この非晶質カーボン膜中における水素
量が5原子%以下であり、この非晶質カーボン膜の刃先
における最大厚みが0.05μm以上0.5μm以下であること
を特徴とする。また、本発明非晶質カーボン被覆工具
は、高速度鋼、炭素工具鋼及び合金工具鋼から選ばれた
1種類よりなる基材と、この基材上の少なくとも刃先を
被覆する非晶質カーボン膜とを具える非晶質カーボン被
覆工具であって、前記非晶質カーボン膜はグラファイト
を原料とした実質的に水素を含まない雰囲気下の物理的
蒸着法により形成され、この非晶質カーボン膜の刃先に
おける最大厚みが0.05μm以上0.5μm以下であることを
特徴とする。
【0015】本発明非晶質カーボン被覆工具の製造方法
は、真空容器内に高速度鋼、炭素工具鋼及び合金工具鋼
から選ばれた1種類よりなる基材基材を保持する工程
と、基材にゼロまたは負の直流バイアスを印加すると共
に、原料となるグラファイトを蒸発させて非晶質カーボ
ン膜を形成する工程とを具え、刃先における非晶質カー
ボン膜の最大厚みを0.05〜0.5μmに制御することを特徴
とする。
【0016】以下に本発明の構成要件を詳しく説明す
る。
【0017】(鋼基材)本発明では基材に高速度鋼、炭
素工具鋼、合金工具鋼を用いる。これらの鋼材質は、切
削工具として必要な被削性及び耐摩耗性を有しており、
非晶質カーボン被覆工具の基材に望ましい。また、これ
らの鋼は、超硬合金などよりも靭性が高くかつ安価であ
るため、信頼性が高く安価な非晶質カーボン被覆工具を
実現することができる。高速度鋼として、例えば、JIS
記号SKH2、SKH5、SKH10などのW系高速度鋼、SKH9、SKH5
2、SKH56などのMo系高速度鋼などが挙げられる。炭素工
具鋼として、例えば、JIS記号SK1、SK2、SK3などが挙げ
られる。合金工具鋼として、例えば、JIS記号SKS1、SKS
2、SKS5、SKS21、SKS51など一般に切削用に用いられる
ものであればいずれも使用できる。これらの中でも、被
削性、耐摩耗性の点で高速度鋼が特に望ましい。
【0018】(非晶質カーボン膜)非晶質カーボン膜
は、硬質炭素膜、ダイヤモンドライクカーボン膜、DLC
膜、a−C:H、i−カーボン膜などと一般に呼ばれるもの
を含む。しかしながら、本発明の非晶質カーボン膜は、
以下に説明する特徴を持つ。
【0019】<成膜方法>本発明は、グラファイトを原
料とし、水素を含まない雰囲気下で物理的蒸着法により
非晶質カーボン膜を形成したものである。この膜はダイ
ヤモンドに匹敵する高い硬度と切削工具として優れた耐
摩耗性を有する。一方、炭化水素を原料とする非晶質カ
ーボン膜は水素を含有するので、本発明の非晶質カーボ
ン膜とは異なるものである。
【0020】この非晶質カーボン膜は、成膜中に不可避
的に含まれる不純物を除いて炭素原子のみから構成され
る。その結果、水素を含む非晶質カーボン膜よりもsp3
結合の割合が高くなることで硬度を高くすると同時に耐
酸化特性もダイヤモンドと同等の約600℃近くにまで改
善される。実質的に水素を含まない雰囲気下で成膜して
も、できあがった非晶質カーボン膜には5原子%以下程
度の極わずかながら水素が含有されることがある。これ
は、成膜時の真空度などにより、成膜装置中に残存する
水素や水分が非晶質カーボン膜中に取り込まれるためと
考えられる。
【0021】グラファイトを出発原料とした物理的蒸着
法の中でも、一般に工業的に用いられる陰極アークイオ
ンプレーティング法、レーザーアブレーション法やスパ
ッタリング法などであれば、成膜速度も高く、ダイヤモ
ンド膜で問題となっていた製造コストの問題もなくな
る。特に、被膜の密着力、膜硬度の点で、陰極アークイ
オンプレーティング法による成膜が好ましい。この陰極
アークイオンプレーティング法は、原料のイオン化率が
高いため、主にカーボンイオンが基材に照射されること
により非晶質カーボン膜が形成される。そのため、sp3
結合の比率が高く、緻密で硬度の高い膜が得られ、工具
寿命を大きく向上させることができる。成膜時の基板の
温度は、50℃から200℃である。基材の温度が350℃を越
えると、グラファイトが析出しやすいからである。成膜
時にはカーボンイオンが基材に照射され、非晶質カーボ
ンが形成されるので、その時基材の温度は上昇する。従
って、基材をヒーターによって加熱しなくても、実用上
支障のない程度まで温度上昇する場合もある。また、加
熱や冷却によって、基材の温度調整することもできる。
成膜時の基板温度は、更に好ましくは50℃から150℃で
ある。
【0022】<マクロパーティクル密度>陰極アークイ
オンプレーティング法により形成した非晶質カーボン膜
の表面には、マクロパーティクルと呼ばれる硬質粒子が
存在する。この膜表面に存在するマクロパーティクル密
度が小さいほど切削抵抗が小さくなるため望ましい。マ
クロパーティクル密度は、3×105個/mm2以下、より好ま
しくは1.5×105個/mm2以下である。もちろん、0個/mm2
が最適であることは言うまでもない。マクロパーティク
ルの密度が3×105個/mm2よりも大きいと、被削材がこの
マクロパーティクルに溶着して切削抵抗を上げるために
好ましくない。
【0023】マクロパーティクルの密度は、SEM(Scann
ing Electron Microscope)観察によって評価するこ
とができる。SEM観察は、マクロパーティクルを観察し
やすくするために、PtやPdなどの貴金属を試料表面にイ
オンスパッタリングなどによって蒸著してから、観察す
ると良い。少なくとも1000倍以上の倍率で試料表面の写
真撮影を行い、写真上でマクロパーティクルの数を数え
ることにより密度をもとめると良い。
【0024】図2はマクロパーティクル21が生成する過
程を、非晶質カーボン被覆面20の断面図で示したもので
ある。工具の刃先23に、非晶質カーボン20を被覆する
が、その過程でグラファイトの粒子22が飛散してきて、
被覆面に付着する。表面を電子顕微鏡で見るといろいろ
な外径のまるい粒子21が観察できる。しかし、このよう
な粒子は本発明においては望ましいものではない。グラ
ファイト粒子22は膜の成長過程で飛散してくるので、図
2に示すように非晶質カーボン20のいろいろな厚さの所
に存在しているものと推定される。さらに、非晶質カー
ボン膜の表面粗度をよくするために、グラファイト原料
からの粒状飛散物を防止するような、例えば低エネルギ
ーによる成膜や磁場によるフィルターを用いる方法も提
案できる。
【0025】<表面粗さ>非晶質カーボン膜の表面粗さ
は、JIS規格B0601で定められたRaの表示で0.002μm以上
0.05μm以下であることが望ましい。ここで、切削工具
として見た場合、面粗さRaはできる限り小さいことが望
ましい。しかし、実際にはゼロとすることはできないの
で、種々切削試験を行った結果、Raが0.05μm以下であ
った場合には刃先での溶着性が改善され切削性能が向上
することを見いだした。また、JIS規格B0601で定められ
たRyの表示で0.02μm以上0.5μm以下であることも好ま
しい。ここで、Ryが0.5μmを越えると、非晶質カーボン
膜の突起物(マイクロパーティクル)が被削材の溶着の起
点となり切削抵抗上昇の原因となるため好ましくない。
【0026】<厚み>工具刃先における非晶質カーボン
膜の最大膜厚を0.05μm〜0.5μmと特定する理由は、0.0
5μm未満の場合、耐摩耗性に問題があり、0.5μmを越え
ると被膜に蓄積される内部応力が大きくなって剥離しや
すくなったり、被膜の欠けを生ずる問題があるからであ
る。また、膜厚を0.5μm以下とすることにより、表面の
マクロパーティクルの大きさと密度を小さくし、表面粗
さを前記のRa表示で0.05μm以下、Ry表示で0.5μm以下
に抑えることができるという効果もある。非晶質カーボ
ン膜は、図2のTで示すように、工具の刃先部で厚くな
る。この厚さが薄いと性能がよくなる。従って、非晶質
カーボン膜の切削に関与する刃先部での最大厚みTが0.0
5μm以上0.25μm以下であることがより溶着性が小さい
という観点から好ましい。
【0027】<硬度>非晶質カーボン膜のヌープ硬度は
20GPa以上50GPa以下であることが好ましい。この硬度が
20GPa未満であると耐摩耗性の点で問題があり、50GPaを
超えると刃先の耐欠損性が低下するためである。さらに
好ましくは、非晶質カーボン膜のヌープ硬度が25GPa以
上40GPa以下である。
【0028】<ラマンスペクトル>非晶質カーボン膜は
非晶質であるがゆえに膜構造を特定することが非常に難
しい。種々の非晶質カーボン膜を評価した結果、ラマン
分光分析を行うと構造の変化に伴い得られるラマンスペ
クトルに違いのあることをつきとめた。
【0029】図3は、本発明の非晶質カーボンのラマン
スペクトルであり、図4は従来の水素を含む非晶質カー
ボンのラマンスペクトルである。これらは、514.5nmの
波長を持つアルゴンガスレーザーを用いたラマン分光分
析により得られたものである。図4において、実線は測
定結果を示すもので、1340cm−1近辺にふくらみが見ら
れ、700cm−1近辺にはピークがない。次に得られたスペ
クトルを二つに分離するために、スペクトル波形からバ
ックグラウンドを除去した。次にふくらみを持つスペク
トルは2つのガウス関数を加算したものと仮定して、非
線形最小二乗法で近似し、二つのピークに分離した。そ
の結果を鎖線で示す。1340cm−1付近に中心を持つピー
クの高さをI1340で示し、1560cm−1付近のピークの高さ
をI1560で示す。これに対して、本発明のラマンスペク
トルは、図3に示すように1340cm−1付近のふくらみが実
線では識別しにくく、700cm−1付近に幅の広いピークが
ある。前記したものと同様の方法によりピーク分離した
結果を図3に鎖線で示す。I1340のピーク高さが、図3の
ものに比較すると弱いことが分かる。700cm−1付近のピ
ーク高さをI700で示す。同様に、それぞれのピークを積
分した値を例えばS700などのように表現する。本発明工
具の非晶質カーボン膜では、波数400cm−1以上1000cm
−1以下の間、1340cm−1付近および1560cm−1付近の合
計3箇所にピークが観測される。一方、これまでの水素
を含有する被膜では低波数側の波数400cm−1以上1000cm
−1以下の間ピークは観測されない。この波数400cm−1
以上1000cm−1以下の間ピークを有する被膜構造をとる
ことで、高硬度化が起こり耐摩耗性の向上が実現でき
る。
【0030】さらに、波数400cm−1以上1000cm−1以下
に存在するピークの強度(I700)と1340cm−1付近に存在
するピークの強度(I1340)との強度比(I700/I1340)が0.0
1以上2.5以下であると耐摩耗性が向上する。これは、微
小サイズのグラファイトや歪みを持ったsp3結合の量が
増えることで、膜硬度が高くなるためと考えられる。
【0031】ここではピーク高さを用いて示したが、ピ
ーク積分強度比でも整理することができ、波数400cm−1
以上1000cm−1以下に存在するピークの積分強度(S700)
と1340cm−1付近に存在するピークの積分強度(S1340)と
の強度比(S700/S1340)が0.01以上2.5以下であることが
好ましい。ピーク強度比が、0.01未満であれば耐摩耗性
は従来被膜と同等である。後述するように、種々の成膜
実験を実施したが、今回の実験ではピーク強度比が2.5
以上のものは得られなかった。
【0032】また、1560cm−1付近に存在するピークの
強度(I1560)と1340cm−1付近に存在するピークの強度(I
1340)との強度比(I1340/I1560)が0.1以上1.2以下であれ
ば、高耐摩耗性を示すのでよい。1560cm−1付近に存在
するピークの強度(I1560)と1340cm−1付近に存在するピ
ークの強度(I1340)との比はsp2/sp3とも言われ、被膜内
部の炭素結合状態の存在量を表している。これらのピー
ク強度比が直接sp2の含有量を示している訳ではないが
相対的には被膜構造のクラス分けをすることができる。
1560cm−1付近に存在するピークの強度が高い場合に高
硬度化することがわかった。つまり、sp3結合性が強い
場合に、より耐摩耗性が向上する。ピーク強度だけでは
なく1560cm−1付近に存在するピークの積分強度(S1560)
と1340cm −1付近に存在するピークの積分強度(S1340)と
の強度比(S1340/S1560)が0.3以上3以下であればよい。
【0033】そして、1560cm−1付近に存在するピーク
が1560以上1580cm−1以下に存在すれば高耐摩耗性が実
現できる。ラマンスペクトルのピーク位置は被膜内の応
力の影響を受ける。一般的には、被膜内の応力が圧縮側
に高い場合は、ラマンスペクトルのピークは高波数側に
シフトし、逆に引っ張り側に高い場合は低波数側にシフ
トする。被膜の応力が圧縮側に高い場合に耐摩耗性が向
上することを見いだした。
【0034】<干渉色>従来の技術で用いられている非
晶質カーボン膜は、可視光域において不透明であり、褐
色から黒色といった色調である。本発明工具の非晶質カ
ーボン膜は、可視光域において透明で、干渉色を示すこ
とを特徴とする。
【0035】干渉色を示すということは、非晶質カーボ
ン膜のsp3結合成分が非常に多く、屈折率、光学バンド
ギャップ、弾性率といった物性が、従来の非晶質カーボ
ン膜よりもよりダイヤモンドに近いことを示している。
このような非晶質カーボン膜を工具として用いた場合、
膜硬度が高いため、優れた耐摩耗性と耐熱性を示す。本
発明工具の基材である高速度鋼、炭素工具鋼、合金工具
鋼は、銀色もしくは銀色に近いグレーであるため、本発
明工具は干渉色を示すことを外観的特徴とする。
【0036】非晶質カーボン膜の干渉色は、膜厚が厚く
なるにつれて、(1)茶→(2)赤紫→(3)紫→(4)青紫→(5)
青→(6)銀→(7)黄→(8)赤→(9)青→(10)緑→(11)黄色→
(12)赤と変化し、以降は(8)の赤から(12)の赤までをく
り返す。これらの色の変化は膜厚の変化に対して連続的
であり、それぞれの中間の膜厚では、それらの中間の色
となる。
【0037】本発明者らが検討した結果、工具刃先にお
ける最大膜厚を0.05μm〜0.5μmと特定した場合、コー
ティング被膜は、(2)の赤紫から(10)の緑の間の色とな
ることを見いだした。また、単一色ではなく複数の色調
からなる虹色であっても良い。また、これらの干渉色を
呈する非晶質カーボン膜の上に、従来の褐色から黒色の
非晶質カーボン膜を形成して用いても良い。
【0038】(界面層)本発明工具は、非晶質カーボン
膜の密着力を強固なものにするために、基材と非晶質カ
ーボン膜との間に界面層を設けることが好ましい。
【0039】<材質>この界面層は、周期律表IVa、V
a、VIa、IIIb族元素およびC以外のIVb族元素の元素より
なる群から選択される少なくとも1種以上の元素、また
はこれら元素群から選ばれた少なくとも1種以上の元素
の炭化物が好適である。
【0040】中でもTi、Zr、Hf、V、Nb、Ta、Cr、Mo、
W、Siの元素よりなる群から選ばれた少なくとも1種以上
の元素、またはこの元素群から選ばれた少なくとも1種
以上の元素の炭化物であることがさらに望ましい。これ
らの金属元素は炭素と強い結合を作りやすいため、これ
らの金属元素あるいは金属炭化物の界面層上に非晶質カ
ーボン膜を形成することによって、より強固な密着力が
得られる。
【0041】<厚み>界面層の厚さは0.5nm以上10nm未
満とする。膜厚がこの範囲よりも薄いと、界面層として
の役割を果たさず、この範囲よりも厚いと従来技術と同
等の密着力しか得られない。このように極めて薄い界面
層を形成することにより、従来技術では達成できなかっ
た極めて強固な密着力が得られ工具寿命を大きく改善す
ることが可能となる。特に、鋼基材上に非晶質カーボン
膜を形成する場合、従来技術では、実用的な工具として
充分な密着力が得られにくいが、本発明では界面層を介
在させることで、実用的な工具として十分な密着力を得
る。
【0042】<混合組成層・傾斜組成層>界面層と非晶
質カーボン膜との間に、各被膜の組成が混合した混合組
成層または組成が連続的に変化した傾斜組成層を介在さ
せれば、さらに強固な密着力が得られるため一層望まし
い。この混合層と傾斜組成層とは、必ずしも明確に区別
できるものではない。界面層の成膜から非晶質カーボン
膜の成膜に製造条件を切り替える際、通常、わずかに界
面層と非晶質カーボン膜との組成に混合が起こり、これ
ら混合組成層や傾斜組成層が形成される。これらは、直
接確認することは難しいが、XPS:(X‐ray Photo-ele
ctronic Spectroscopy)やAES:(Auger Electron S
pectroscopy)などの結果から十分推定できる。
【0043】(工具の用途)本発明非晶質カーボン被覆
工具は、その耐摩耗性と耐溶着性から、特にアルミニウ
ムおよびその合金を加工するための工具に適する。ま
た、チタン、マグネシウム、銅など非鉄材に使用するこ
とが最適である。さらに、グラファイトなどの硬質粒子
を含有する材料、有機材料などの切削や、プリント回路
基板加工や鉄系材料とアルミニウムとの共削り加工など
にも有効である。加えて、本発明工具の非晶質カーボン
膜は非常に高硬度であることから、非鉄材だけではな
く、ステンレス鋼などの鋼や鋳物などの加工にも用いる
ことができる。
【0044】(工具の具体例)本発明非晶質カーボン被
覆工具は、ドリル、エンドミル、エンドミル加工用刃先
交換型チップ、フライス加工用刃先交換型チップ、旋削
用刃先交換型チップ、メタルソー、歯きり工具、リーマ
およびタップからなる群より選ばれた1種を含む用途に
使用されると良い。
【0045】
【発明の実施の形態】次に、本発明非晶質カーボン被覆
工具について、実施例により具体的に説明する。ただ
し、ここで用いた製法に限られるものではなく、グラフ
ァイトを用いたPVD法で成膜されたものであれば、いず
れの方法であってもよい。
【0046】(実施例1)基材として、φ8mmの鋼製ドリ
ルを用意した。この基材は、高速度鋼、炭素工具鋼、合
金工具鋼から選ばれた1種類からなる。その基材表面に
下記のように公知の陰極アークイオンプレーティング法
を用いて表1〜表2に示す本発明品の非晶質カーボン被覆
ドリル試料1〜20を用意した。表1において、界面層を表
す化学式中のxは、金属元素1に対する非金属元素の割合
を示す。
【0047】すなわち、図1に示すように、成膜装置1内
に複数個のターゲット2、3を配置し、ターゲットの中心
点を中心としてターゲット間で回転する基材保持具4に
鋼製ドリル5を装着する。陰極アークの電源7、8を調整
して真空アークの放電電流を変え、ターゲット材料の蒸
発量を制御しながら非晶質カーボンをコーティングす
る。
【0048】まず、基材加熱ヒーター6を用いて100℃ま
で加熱させながら成膜装置1内の真空度を2×10−3Paの
雰囲気とした。ついでアルゴンガスを導入して2×10−1
Paの雰囲気に保持しながら、バイアス電源9により基材
保持具4に−1000Vの電圧をかけてアルゴンプラズマ洗浄
を行った後、アルゴンガスを排気した。成膜装置内への
ガスの導入は供給口10より、排気は排気口11より行う。
【0049】次に、非晶質カーボンの成膜に先立ち、周
期律表IVa、Va、VIa族金属元素のターゲットを蒸発・イ
オン化させながらバイアス電源9により基材保持具4に−
1000Vの電圧をかけてメタルイオンボンバードメント処
理を行い、被膜の密着性を高めるための表面エッチング
処理を行った。
【0050】さらに炭化水素ガスを導入するか、あるい
は導入しないで、周期律表IVa、Va、VIa、IIIb族元素お
よびC以外のIVb族元素の元素よりなる群から選ばれたタ
ーゲットを真空アーク放電により蒸発・イオン化し、バ
イアス電源9により基材保持具4に負の数百Vの電圧をか
けて、これらの金属あるいは金属炭化物の界面層の形成
を行った。界面層から非晶質カーボン膜の形成は、ター
ゲットや雰囲気の切り替えにより行われ、この切り替え
時には、通常、わずかながらも両層の組成の混合が生じ
る。このことから、両層の間には、原料の混合組成層や
傾斜組成層が存在していると推定される。
【0051】次に、成膜装置1内にアルゴンガスを100cc
/minの割合で導入しながら、陰極アーク放電によりグラ
ファイトのターゲットを蒸発・イオン化させることによ
り鋼ドリル上に接して非晶質カーボン膜が形成される。
このとき、バイアス電源9による電圧は、負の数百Vとし
た。非晶質カーボン膜の成膜時において基材である鋼ド
リルの温度は100℃に設定した。
【0052】また、比較のため表1、2に示す比較品1〜8
のコーティングドリルも用意した。比較品1は、CH4ガス
を原料とする通常のプラズマCVD成膜装置を使用して上
記と同じ鋼ドリルの表面に水素化非晶質カーボン膜を形
成した。比較品2〜4は、グラファイトを原料にした陰極
アークイオンプレーティング法により上記と同じ鋼ドリ
ルの表面に非晶質カーボン膜を形成したもので、膜厚が
本発明の範囲外である。比較品5は、雰囲気ガスにCH4
添加して陰極アークイオンプレーティング法により上記
と同じ鋼ドリルの表面に水素化非晶質カーボン膜を形成
したもので、膜中の水素含有量が本発明の範囲外であ
る。比較品6、7は、陰極アークイオンプレーティング法
により上記と同じ鋼ドリルの表面にTiN、TiAlNをそれぞ
れコーティングしたものである。比較品8は、コーティ
ングなしのドリルである。
【0053】次に、上記の方法で製造した各ドリルにつ
いて、表3の条件による穴あけ試験(外部給油による湿式
条件)を行い、ノンコートドリルに対するスラスト低減
率(比較品8のスラスト抵抗を基準として評価する)およ
び切刃における凝着状況を測定した。上記の各切削試験
の結果を表1、2に示す。なお、成膜した非晶質カーボン
膜中の水素量は、ERDA(Elastic Recoil Detection A
nalysis:弾性反跳粒子検出法)により評価した。刃先先
端での膜厚は、刃先断面のSEMにより評価した。
【0054】
【表1】
【0055】
【表2】
【0056】
【表3】
【0057】表1、2の結果から、従来からのTiN膜(比較
品6)、TiAlN膜(比較品7)、本発明で規定する範囲から外
れる非晶質カーボン膜を形成した比較品(比較品1〜5)
は、スラスト抵抗がノンコートとほぼ同等でかつ耐溶着
性に劣る。これに対し、本発明例のドリル(本発明品1〜
20)は、表1に示すように非晶質カーボン被膜の水素含有
量がいずれも5原子%以下であった。そして、アルミ穴
あけ加工において優れた耐摩耗性を有すると同時に、優
れた耐溶着性を備えることがわかる。従って、穴開け加
工後の穴加工精度も非常に高く、長寿命が可能であるこ
とがわかる。
【0058】(実施例2)実施例1と全く同じ方法により、
φ4mmの高速度鋼製リーマの表面に非晶質カーボン膜を
被覆した(本発明品4の被膜)。比較品としてCVD法による
水素化非晶質カーボン膜(比較品1)、膜厚が本発明の範
囲外である非晶質カーボン膜(比較品2〜4)、雰囲気ガス
にCH4を添加して陰極アークイオンプレーティング法に
より作製した水素化非晶質カーボン膜(比較品5)、TiN膜
(比較品6)、TiAlN膜(比較品7)を被覆した。次に、上記
の方法により製造した各表面被覆リーマについて、表4
の条件によるアルミダイキャスト(ADC12)の穴開け加工
を行い、穴開け個数と刃先の状態を評価した。
【0059】
【表4】
【0060】その結果、比較品1〜7は600穴あけたとこ
ろで被削材の穴径にバラツキが生じたため、リーマの状
態を調べたところ、刃先に摩耗が生じ、その先端でチッ
ピングが認められた。
【0061】一方、本発明品4の非晶質カーボンを被覆
したリーマでは9000穴あけた時点でも全く被削材の加工
状況に問題がなく、リーマ刃先にも摩耗やチッピングは
認められなかった。
【0062】(実施例3)実施例1と全く同じ方法により、
φ7mmの高速度鋼製エンドミルの表面に非晶質カーボン
膜を被覆した(本発明品6の被膜)。比較品としてCVD法に
よる水素化非晶質カーボン膜(比較品1)、膜厚が本発明
の範囲外である非晶質カーボン膜(比較品2〜4)、雰囲気
ガスにCH4を添加して陰極アークイオンプレーティング
法により作製した水素化非晶質カーボン膜(比較品5)、T
iN膜(比較品6)、TiAlN膜(比較品7)を被覆した。次に、
上記の方法により製造した各表面被覆エンドミルについ
て、表5の条件によるアルミダイキャスト(ADC12)のエン
ドミル加工を行い、被削の表面粗さの規格から外れるま
での切削長と刃先の状態を評価した。
【0063】
【表5】
【0064】その結果、従来からの表面被覆切削エンド
ミルのうち、CVDの水素化非晶質カーボン膜(比較品1)は
切削長さ20mで、膜厚が本発明の範囲外である非晶質カ
ーボン膜(比較品2〜4)は切削長さ100mで、雰囲気ガスに
CH4を添加して陰極アークイオンプレーティング法によ
り作製した水素化非晶質カーボン膜(比較品5)は切削長
さ30mで、PVD法で形成した金属窒化物膜(比較品6及び
7)はそれぞれ5m、6mの切削長さで表面粗さの規格から
外れたため、工具の寿命と判断した。寿命になった表面
被覆エンドミルの先端に溶着したアルミを除去して調べ
たところ、既に被覆した膜は存在せず、基材の高速度鋼
が露出していた。
【0065】一方、本発明品6のエンドミルでは800m切
削した時点でも被削材の表面粗さは規格内に維持できて
おり、さらなる寿命延長が期待された。
【0066】ここで開示された実施例は全ての点で例示
的であって制限的なものでないと考えるべきである。本
発明の範囲は、以上の実施例の説明ではなく、特許請求
の範囲によって示され特許請求の範囲と均等の意味およ
び範囲内でのすべての修正や変形を含むものであること
が意図させる。
【0067】以上、本発明の具体例について説明した
が、本発明は他の形状の転削工具(ドリル、エンドミ
ル、リーマなど)、フライス工具や旋削工具に使用され
る刃先交換型切削チップ、切断工具(カッター、ナイ
フ、スリッターなど)にも適用することができる。
【0068】
【発明の効果】以上説明したように、本発明の被覆工具
によれば、基材の種類と非晶質カーボン膜の厚みを特定
することで、耐摩耗性を維持し優れた耐溶着性を得るこ
とができ、工具の切削・耐摩寿命を著しく延長させるこ
とができる。また、この工具は、被削材の凝着や刃先の
欠損が生じ難く、さらに熱伝導性が高いので刃先の温度
上昇が少なくドライ切削や高速加工といった過酷な切削
環境下でも使用できる。特に、水素を実質的に含有しな
い非晶質カーボン膜とすることで、一層優れた耐摩耗性
と耐溶着性を得ることができる。従って、転削工具(ド
リル、エンドミル、リーマなど)、フライス工具や旋削
工具に使用される刃先交換型切削チップ、切断工具(カ
ッター、ナイフ、スリッターなど)への効果的な利用が
期待される。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明工具の被膜形成に用いる成膜装置の概
略図である。
【図2】この発明工具の刃先部の断面図である。
【図3】本発明の非晶質カーボン被覆膜のラマンスペク
トルである。
【図4】従来の非晶質カーボン被覆膜のラマンスペクト
ルである。
【符号の説明】
1 成膜装置 2、3 ターゲット 4 基材保持具 5 ドリル 6 基板加熱ヒーター 7,8 アーク電源 9 バイアス電源 10 供給口 11 排気口 20 非晶質カーボン 21 マクロパーティクル 22 グラファイト粒子 23 工具の刃先
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 大谷 聡 京都府京都市右京区梅津高畝町47番地 日 新電機株式会社内 (72)発明者 岡崎 尚登 京都府京都市右京区梅津高畝町47番地 日 新電機株式会社内 (72)発明者 緒方 潔 京都府京都市右京区梅津高畝町47番地 日 新電機株式会社内 (72)発明者 福井 治世 兵庫県伊丹市昆陽北一丁目1番1号 住友 電気工業株式会社伊丹製作所内 (72)発明者 入江 美紀 兵庫県伊丹市昆陽北一丁目1番1号 住友 電気工業株式会社伊丹製作所内 (72)発明者 瀬戸山 誠 兵庫県伊丹市昆陽北一丁目1番1号 住友 電気工業株式会社伊丹製作所内 (72)発明者 森口 秀樹 兵庫県伊丹市昆陽北一丁目1番1号 住友 電気工業株式会社伊丹製作所内 (72)発明者 内海 慶春 京都府京都市南区久世殿城町575番地 日 本アイ・ティ・エフ株式会社内 (72)発明者 大原 久典 京都府京都市南区久世殿城町575番地 日 本アイ・ティ・エフ株式会社内 Fターム(参考) 3C037 CC01 CC04 CC08 3C046 FF02 FF12 FF19 FF25 FF31 HH08 4K029 AA02 BA32 BA34 BB01 BB10 BD05 CA03 DD06 EA01

Claims (23)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 高速度鋼、炭素工具鋼及び合金工具鋼か
    ら選ばれた1種類よりなる基材と、この基材上の少なく
    とも刃先を被覆する非晶質カーボン膜とを具える非晶質
    カーボン被覆工具であって、 この非晶質カーボン膜中における水素量が5原子%以下
    であり、 この非晶質カーボン膜の刃先における最大厚みが0.05μ
    m以上0.5μm以下であることを特徴とする非晶質カーボ
    ン被覆工具。
  2. 【請求項2】 高速度鋼、炭素工具鋼及び合金工具鋼か
    ら選ばれた1種類よりなる基材と、この基材上の少なく
    とも刃先を被覆する非晶質カーボン膜とを具える非晶質
    カーボン被覆工具であって、 前記非晶質カーボン膜はグラファイトを原料とした実質
    的に水素を含まない雰囲気下の物理的蒸着法により形成
    され、 この非晶質カーボン膜の刃先における最大厚みが0.05μ
    m以上0.5μm以下であることを特徴とする非晶質カーボ
    ン被覆工具。
  3. 【請求項3】 前記非晶質カーボン膜は実質的に炭素の
    みからなることを特徴とする請求項1または2に記載の非
    晶質カーボン被覆工具。
  4. 【請求項4】 前記非晶質カーボン膜表面に存在するマ
    クロパーティクルの密度が3×105個/mm2以下であること
    を特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の非晶質カー
    ボン被覆工具。
  5. 【請求項5】 前記非晶質カーボン膜の切削に関与する
    刃先部での最大厚みが0.05μm以上0.25μm以下であるこ
    とを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の非晶質カ
    ーボン被覆工具。
  6. 【請求項6】 前記非晶質カーボン膜の表面粗さRaが0.0
    02μm以上0.05μm以下であることを特徴とする請求項1
    〜5のいずれかに記載の非晶質カーボン被覆工具。
  7. 【請求項7】 前記非晶質カーボン膜の表面粗さRyが0.0
    2μm以上0.5μm以下であることを特徴とする請求項1〜6
    のいずれかに記載の非晶質カーボン被覆工具。
  8. 【請求項8】 前記非晶質カーボン膜のヌープ硬度が20G
    Pa以上50GPa以下であることを特徴とする請求項1〜7の
    いずれかに記載の非晶質カーボン被覆工具。
  9. 【請求項9】 514.5nmの波長を持つアルゴンイオンレー
    ザーを用いたラマン分光分析により得られるラマンスペ
    クトルにおいて、波数400cm−1以上1000cm 1以下にピ
    ークを有することを特徴とする請求項1〜8のいずれかに
    記載の非晶質カーボン被覆工具。
  10. 【請求項10】 波数400cm−1以上1000cm−1以下に存在
    するピークの強度(I700)と1340cm−1付近に存在するピ
    ークの強度(I1340)との強度比(I700/I1340)が0.02以上
    2.5以下であることを特徴とする請求項9に記載の非晶質
    カーボン被覆工具。
  11. 【請求項11】 波数400cm−1以上1000cm−1以下に存在
    するピークの積分強度(S700)と1340cm−1付近に存在す
    るピークの積分強度(S1340)との強度比(S700/S1340)が
    0.01以上2.5以下であることを特徴とする請求項9〜10の
    いずれかに記載の非晶質カーボン被覆工具。
  12. 【請求項12】 1560cm−1付近に存在するピークの強度
    (I1560)と1340cm−1付近に存在するピークの強度(I134
    0)との強度比(I1340/I1560)が0.1以上1.2以下であるこ
    とを特徴とする請求項9〜11のいずれかに記載の非晶質
    カーボン被覆工具。
  13. 【請求項13】 1560cm−1付近に存在するピークの積分
    強度(S1560)と1340cm −1付近に存在するピークの積分強
    度(S1340)との強度比(S1340/S1560)が0.3以上3以下であ
    ることを特徴とする請求項9〜12のいずれかに記載の非
    晶質カーボン被覆工具。
  14. 【請求項14】 1560cm−1付近に存在するピークが1560c
    m−1以上1580cm−1以下に存在することを特徴とする請
    求項9〜13のいずれかに記載の非晶質カーボン被覆工
    具。
  15. 【請求項15】 前記非晶質カーボン膜が可視光域におい
    て透明で、干渉色を示すことを特徴とする請求項1〜14
    のいずれかに記載の非晶質力一ボン被覆工具。
  16. 【請求項16】 前記非晶質カーボン膜が赤紫、紫、青
    紫、青、銀、黄、赤、緑の中から選ばれた1つ以上の干
    渉色を示すことを特徴とする請求項15に記載の非晶質カ
    ーボン被覆工具。
  17. 【請求項17】 前記基材と非晶質カーボン膜との間に界
    面層を具え、 この界面層は、周期律表IVa、Va、VIa、IIIb族元素およ
    びC以外のIVb族元素の元素よりなる群から選択される少
    なくとも1種以上の元素、またはこれら元素群から選択
    される少なくとも1種以上の元素の炭化物からなり、 界面層の厚さが0.5nm以上10nm未満であることを特徴と
    する請求項1〜16のいずれかに記載の非晶質カーボン被
    覆工具。
  18. 【請求項18】 前記界面層がTi、Zr、Hf、V、Nb、Ta、C
    r、Mo、WおよびSiよりなる元素群から選ばれた少なくと
    も1種以上の元素、またはこの元素群から選ばれた少な
    くとも1種以上の元素の炭化物であることを特徴とする
    請求項17に記載の非晶質カーボン被覆工具。
  19. 【請求項19】 前記界面層と非晶質カーボン膜との間
    に、各被膜の組成が混合した混合組成層または組成が連
    続的に変化した傾斜組成層が介在することを特徴とする
    請求項17または18に記載の非晶質カーボン工具。
  20. 【請求項20】 前記非晶質カーボン工具は、軟質金属材
    料、非鉄金属材料、有機材料、硬質粒子を含有する材
    料、プリント回路基板、または鉄系材料と軟質金属材料
    との共削り加工をするための工具であることを特徴とす
    る請求項1〜19のいずれかに記載の非晶質カーボン被覆
    工具。
  21. 【請求項21】 前記非晶質カーボン工具は、ドリル、マ
    イクロドリル、エンドミル、エンドミル加工用刃先交換
    型チップ、フライス加工用刃先交換型チップ、旋削用刃
    先交換型チップ、メタルソー、歯きり工具、リーマおよ
    びタップからなる群より選択される1種であることを特
    徴とする請求項1〜20のいずれかに記載の非晶質カーボ
    ン被覆工具。
  22. 【請求項22】 真空容器内に高速度鋼、炭素工具鋼及び
    合金工具鋼から選ばれた1種類からなる基材を保持する
    工程と、 基材にゼロまたは負の直流バイアスを印加すると共に、
    原料となるグラファイトを蒸発させて非晶質カーボン膜
    を形成する工程とを具え、 刃先における非晶質カーボン膜の最大厚みを0.05〜0.5
    μmに制御することを特徴とする非晶質カーボン被覆工
    具の製造方法。
  23. 【請求項23】 前記非晶質カーボン膜を形成する工程
    は、陰極アークイオンプレーティングにより行われるこ
    とを特徴とする請求項22に記載の非晶質カーボン被覆工
    具の製造方法。
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