JP3963810B2 - 非晶質カーボン被覆工具およびその製造方法 - Google Patents

非晶質カーボン被覆工具およびその製造方法 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、旋削工具(ドリル、エンドミル、リーマなど)、フライス工具に代表される刃先交換型切削チップ、切断工具(カッター、ナイフ、スリッターなど)の表面に耐摩耗性および耐溶着性を有する非晶質カーボン膜を形成した工具に関するものである。また、このような工具の製造方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来から、工具表面の損傷を小さくして高寿命・高能率加工を行うこと、および被削材の仕上げ(表面形状維持、母材硬度維持、寸法精度維持など)を高品位に行うことなどが切削工具に求められている。
【0003】
最近では、環境保全や省エネルギー化のニーズから、切削抵抗を下げる工具や切削油剤を減らしても寿命や切削能率が低下しない工具などの開発が強く求められている。
【0004】
また、近年被削材の材種は多岐にわたり、アルミ合金などの軟金属の場合や、チタン、マグネシウム、銅といった非鉄金属の場合、あるいは有機材料の場合、グラファイトなど硬質粒子を含有する材料の場合、プリント回路基板加工や鉄系材料とアルミ共削り加工の場合には、切削工具の切れ刃部分に被削材が凝着して切削抵抗が大きくなったり、場合によっては刃先が欠損するといった問題もある。これら特定被削材では、他の被削材に比べ工具摩耗が一層激しく起こる。
【0005】
さらに、金属加工現場からは、性能は落すことなくコストを大幅に削減したいとの切実なニーズがある。例えば、従来の工具としては、特許文献1に記載の工具が知られている。
【0006】
【特許文献1】
特開2000-176705号公報
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
このようなアルミニウムおよびその合金や有機材料を加工する特定用途では、従来、ダイヤモンド工具が用いられてきた。基材にダイヤモンド膜を形成した工具では、そのダイヤモンド膜が多結晶構造のため表面の凹凸が大きく、精密加工工具として使用するには複雑な形状の表面を研磨する必要がある。
【0008】
しかし、ダイヤモンド膜は現存する材料で一番硬い材料であるため、その研磨に対しては高価なダイヤモンドを用いるよりほかなく、非常なコストアップ要因となっていた。
【0009】
さらに、TiNなど、PVD(Physical vapor deposition)コーティングで得られるセラミックス被膜は、通常2〜3μmであるのに対して、ダイヤモンド膜の場合には、最終的に表面を研磨するため、予め20〜30μmといった厚膜が必要である。その上、ダイヤモンド成長時に同時成長するグラファイトをエッチング除去しながら成膜するので通常のコーティング時の1/10以下といった非常に低い成膜レートとなり、コーティングを含めた製造コストが非常に高くなるという問題があった。
【0010】
また、ダイヤモンド焼結体を基材にロー付けする工具では、複雑形状の工具や径が数ミリの小径工具を製作することが困難であるとの問題があった。
【0011】
そこで、特許文献1では、工具上にTiN、TiCN、TiAlN、AlOもしくはこれらの組み合わせを含む硬質物質コーティングした後に、さらに硬質炭素系潤滑膜を被覆した工具部材を提案している。ここで、発明者らは、安定した耐久性を有し、かつ量産性に適した安価な硬質炭素系潤滑被膜を形成するため、シリコンと炭素もしくはシリコン、炭素および窒素を含む成分からなる中間層を設け、中間層の下に界面と接する厚さ0.02μm以上0.5μm以下のシリコン単体の層を形成することを提案している。
【0012】
しかし、この発明における最表面層の硬質炭素被膜は、炭化水素系のガスを使いて、イオンプレーティングとプラズマCVD(Chemical vapor deposition)の手法により形成されるため、被膜中に水素原子が含まれてしまう。通常、硬質炭素中の水素原子は大気中において約350℃の温度以上で膜中から脱離することが知られており、水素が脱離した後に硬質炭素被膜はグラファイトに変態し、硬度が極端に低下する。このような被膜は過酷な切削環境下で使用することが困難であると言わざるを得ない。
【0013】
従って、本発明の主目的は、軟金属、非鉄金属、有機材料、硬質粒子を含有する材料、プリント回路基板、鉄系材料と軟質金属材料との共削り加工などの切削においても被削材の凝着や刃先の欠損が生じ難く、さらに熱伝導性の高い非晶質カーボンを被覆することで刃先の温度上昇を抑えてドライ切削や高速加工といった過酷な切削環境下でも使用に耐える非晶質カーボン被覆工具を提供することにある。また、その製造方法を提供することにある。
【0014】
【課題を解決するための手段】
本発明は、非晶質カーボン膜の色調や明度を特定することで上記の目的を達成する。
【0015】
すなわち、本発明非晶質カーボン被覆工具は、基材と、この基材上に形成された非晶質カーボン膜とを具える非晶質カーボン被覆工具であって、前記非晶質カーボン膜の少なくとも一部が、JIS Z8729に準拠するLab表色系で、b≦−aの色調を有することを特徴とする。
【0016】
また、本発明非晶質カーボン被覆工具の製造方法は、基材表面を算術平均粗さRaで0.5μm以下に研摩する工程と、研摩された基材表面にJIS Z8729に準拠するLab表色系で、b≦−aの色調を有する非晶質カーボン膜を形成する工程とを具えることを特徴とする。研摩の方法は特に限定されているものではなく、基材表面の粗さを所定の値にできる方法であればよい。
【0017】
以下に本発明の構成要件を詳しく説明する。
[非晶質カーボン膜]
非晶質カーボン膜は、硬質炭素膜、ダイヤモンドライクカーボン膜、DLC膜、a−C:H、i−カーボン膜などと一般に呼ばれるものである。
【0018】
<色調>
従来は、いかにして厚い非晶質カーボン膜を形成するかが主な目標とされていた。例えば、1μm以上の厚膜では可視光域において不透明であり、褐色から黒色といった色調である。これに対し、本発明工具の非晶質カーボン膜は、可視光域において透明で、干渉色を示す。干渉色を示すということは、非晶質カーボン膜のsp3結合成分が非常に多く、屈折率、光学バンドギャップ、弾性率といった物性が、従来の非晶質カーボン膜よりもよりダイヤモンドに近いことを示している。このような非晶質カーボン膜を工具として用いた場合、膜硬度が高いため、優れた耐摩耗性と耐熱性を示す。
【0019】
特に、本発明工具に用いる非晶質カーボン膜は、黒色以外の色彩を持った非晶質カーボン膜であり、中でもくすみのない光沢のある非晶質カーボン膜が好適である。このとき、基材の表面粗さも重要で、くすみのない光沢のある色調を得るためには、基材表面の測定長0.1mmの算術平均粗さRaを0.5μm以下にする必要がある。JIS Z8729に準拠するLab表色系で、b≦−aの色調を有することで「赤紫〜紫〜青〜青緑〜緑〜黄緑」といった色調の非晶質カーボン膜となる。併せてb≦aを満たすことで、「赤紫〜紫〜青〜青緑」といった色調の非晶質カーボン膜が得られる。また、a≦0を満たすことで「赤紫〜紫〜青」といった色調の非晶質カーボン膜が得られる。さらに(a2+(b2≧25を満たすことでくすみのない鮮やかな青系の色調が得られる。より好ましい条件は(a2+(b2≧100である。そして、10≦L≦90を満たすことで、明るい青系の非晶質カーボン膜が得られる。
【0020】
Lab表色系は、分光測定方法により測定する場合にはJIS Z8729の4(分光測色方法)の規定により、刺激値直読方法により測定する場合にはJIS Z8729の5(刺激値直読方法)の規定による。ただし、測定に用いる光電色彩計は計器の指示から直接Labを求めるものでも良い。例えば、株式会社ミノルタ製分光測色計CM-2002、CR-321、CR-241などを用いて容易に測定することができる。
【0021】
黒以外の色彩を持った非晶質カーボン膜を得る具体的な手法については後述するが、その重要な要素の一つは膜厚が薄いことである。非晶質カーボン膜の干渉色は、膜厚が厚くなるにつれて、(1)茶→(2)赤紫→(3)紫→(4)青紫→(5)青→(6)銀→(7)黄→(8)赤→(9)青→(10)緑→(11)黄色→(12)赤と変化し、以降は(8)の赤から(12)の赤までをくり返す。これらの色の変化は膜厚の変化に対して連続的であり、それぞれの中間の膜厚では、それらの中間の色となる。
【0022】
このような黒色以外の色彩を持った非晶質カーボン膜を用いることで、特にアルミニウムなどの溶着性の被削材に対して非常に優れた耐摩耗性と耐溶着性が得られ、工具寿命を延ばすことができる。
【0023】
特に、b≦−|a|を満たす青色系の非晶質カーボン膜は色むらが他の色相に比べて目立ち難く、工業製品として量産する場合に品質のばらつきが少なくて好ましい。中でも光沢のある濃青色は非常に美しく、機能性が非常に重視されて美観が比較的軽視されている切削工具などの分野において、既存製品と差別化するための明確な指標となり、商品価値を著しく高めることができる。このような光沢のある濃青色の非晶質カーボン膜を得るには、▲1▼基材表面のうち、切削に関与する部分の算術平均粗さRaを0.5μm以下とする、▲2▼基材表面における粗さ曲線の凸部の平均間隔を20μm以上とすることで実現できる。この凸部の平均間隔における特に好ましい範囲は100μm以上である。ここで、最大粗さRmaxの規定では、このような光沢度合いを表現することが難しいため、Raおよび粗さ曲線の凸部の平均間隔を用いた。また、測定対象物はさまざまな形状があり、粗さ曲線の中に凸部が少なくとも3つ入るようにして、測定長は0.1〜0.4mmとする。
【0024】
美しい光沢を得る手法としてはバフ研磨などでRaを小さくすれば良いことはもちろんであるが、その場合、高コストとなってしまう。そこで、本発明者らは粗さ曲線の凸部の平均間隔を20μm以上とするだけで、鏡面研磨を行わなくても低コストで美しい光沢を得ることができることを見出した。その方法としては、例えばブラストのような手法で遊離砥粒を噴射する方法を用いることができる。
【0025】
さらに、実使用上のメリットとしては、黒色以外の色彩を持った非晶質カーボン膜を用いることで、チップにおける使用済みコーナーの識別が容易になる。そのため、照明の明るさが不十分な切削加工現場でも、使用済みコーナーの識別が容易に行え、まだ使用可能な工具を誤って廃棄したり、使用済みコーナーを再使用して不良部品を製造するなどのトラブルを解消することができる。
【0026】
<成膜方法>
本発明では、グラファイトを原料とした水素を含まない雰囲気下の物理的蒸着法により非晶質カーボン膜を形成することが好ましい。これにより得られる非晶質カーボン膜は、ダイヤモンドに匹敵する高い硬度を得て、切削工具として優れた耐摩耗性を実現する。
【0027】
この非晶質カーボン膜は故意に反応ガスを入れなければ、成膜中に不可避的に含まれる不純物を除いて炭素原子のみから構成されることとなる。その結果、水素を含む非晶質カーボン膜よりもsp3結合の割合が高くなることで硬度を高くすると同時に耐酸化特性もダイヤモンドと同等の約600℃近くにまで改善される。また、水素を含まない雰囲気下で蒸着して非晶質カーボン膜が被覆されることにより、非晶質カーボン膜自身の色調は透明になり、光の干渉色を呈しやすくなる。実質的に水素を含まない雰囲気下で成膜を行っても、できあがった非晶質カーボン膜には5at%以下程度の極わずかながら水素が含有されることがある。これは、成膜時の真空度などにより、成膜装置中に残存する水素や水分が非晶質カーボン膜中に取り込まれるためと考えられる。
【0028】
グラファイトを出発原料とした物理的蒸着法の中でも、一般に工業的に用いられる陰極アークイオンプレーティング法、レーザーアブレーション法やスパッタリング法などであれば、成膜速度も高く、ダイヤモンド膜で問題となっていた製造コストの問題もなくなる。特に、被膜の密着力、膜硬度の点で、陰極アークイオンプレーティング法による成膜が好ましい。この陰極アークイオンプレーティング法は、原料のイオン化率が高いため、主にカーボンイオンが基材に照射されることにより非晶質カーボン膜が形成される。そのため、sp3結合の比率が高く、緻密で硬度の高い膜が得られ、工具寿命を大きく向上させることができる。
【0029】
<厚み>
非晶質カーボン膜の膜厚は、0.01μm以上0.18μm以下が好ましい。0.01μm未満の場合、被覆必要個所の全体を確実に被覆することが難しく、0.18μmを越えると被膜に蓄積される内部応力が大きくなって剥離しやすくなったり、被膜の欠けを生ずる問題があるからである。また、膜厚を0.18μm以下とすることにより、表面のマクロパーティクル(詳細は後述)の大きさと密度を小さくできるという効果もある。膜厚は薄い方が望ましく、より好ましくは0.05μm以上0.1μm以下である。この範囲であれば、干渉色が青色系となり美しい色調を呈する。
【0030】
<マクロパーティクル密度>
陰極アークイオンプレーティング法により形成した非晶質カーボン膜の表面には、マクロパーティクルと呼ばれる硬質粒子が存在する。この膜表面に存在するマクロパーティクル密度が小さいほど切削抵抗が小さくなるため望ましい。マクロパーティクル密度は、3×105個/mm2以下、より好ましくは1.5×105個/mm2以下である。もちろん、0個/mm2が最適であることは言うまでもない。マクロパーティクルの密度が3×105個/mm2よりも大きいと、被削材がこのマクロパーティクルに溶着して切削抵抗を上げるために好ましくない。
【0031】
マクロパーティクルの密度は、SEM(Scanning Electron Microscope)観察によって評価することができる。SEM観察は、マクロパーティクルを観察しやすくするために、PtやPdなどの貴金属を試料表面にイオンスパッタリングなどによって蒸著してから、観察すると良い。少なくとも1000倍以上の倍率で試料表面の写真撮影を行い、写真上でマクロパーティクルの数を数えることにより密度をもとめると良い。
【0032】
さらに、非晶質カーボン膜の表面粗度をよくするために、グラファイト原料からの粒状飛散物を防止するような、例えば低エネルギーによる成膜や磁場によるフィルターを用いる方法も提案できる。
【0033】
<硬度>
非晶質カーボン膜のヌープ硬度は2000以上5000以下であることが好ましい。この硬度が2000未満であると耐摩耗性の点で問題があり、5000を超えると刃先の耐欠損性が低下するためである。さらに好ましくは、非晶質カーボン膜のヌープ硬度が2500以上4000以下である。
【0034】
<被覆個所>
基材上における非晶質カーボン膜の被覆個所は、工具において少なくとも切削に関与する部分とする。刃先交換型チップでは逃げ面とすくい面の稜線として形成される刃先部周辺、特に刃先部周辺のすくい面側、ドリルではフルート面などに非晶質カーボン膜を被覆することが好ましい。
【0035】
[界面層]
本発明工具は、非晶質カーボン膜の密着力を強固なものにするために、基材と非晶質カーボン膜との間に界面層を設けることが好ましい。
【0036】
<材質>
この界面層は、周期律表IVa、Va、VIa、IIIb族元素およびC以外のIVb族元素の元素よりなる群から選択される少なくとも1種以上の元素、またはこれら元素群から選ばれた少なくとも1種以上の元素の炭化物が好適である。
【0037】
中でもTi、Zr、Hf、V、Nb、Ta、Cr、Mo、W、Siの元素よりなる群から選ばれた少なくとも1種以上の元素、またはこの元素群から選ばれた少なくとも1種以上の元素の炭化物であることがさらに望ましい。これらの金属元素は炭素と強い結合を作りやすいため、これらの金属元素あるいは金属炭化物の界面層上に非晶質カーボン膜を形成することによって、より強固な密着力が得られる。
【0038】
<厚み>
界面層の厚さは0.5nm以上10nm未満とする。膜厚がこの範囲よりも薄いと、界面層としての役割を果たさず、この範囲よりも厚いと従来技術と同等の密着力しか得られない。このように極めて薄い界面層を形成することにより、従来技術では達成できなかった極めて強固な密着力が得られ工具寿命を大きく改善することが可能となる。
【0039】
<混合組成層・傾斜組成層>
界面層と非晶質カーボン膜との間に、各被膜の組成が混合した混合組成層または組成が連続的に変化した傾斜組成層を介在させれば、さらに強固な密着力が得られるため一層望ましい。この混合層と傾斜組成層とは、必ずしも明確に区別できるものではない。界面層の成膜から非晶質カーボン膜の成膜に製造条件を切り替える際、通常、わずかに界面層と非晶質カーボン膜との組成に混合が起こり、これら混合組成層や傾斜組成層が形成される。これらは、直接確認することは難しいが、XPS(X‐ray Photo-electronic Spectroscopy)やAES(Auger Electron Spectroscopy)などの結果から十分推定できる。
【0040】
[基材]
<表面粗さ>
基材の表面粗さは、測定長0.1mmの算術平均粗さRaの表示で0.5μm以下としておく。すなわち、成膜の際に基材表面をRaが0.5μm以下となるように研摩しておく。基材表面を研摩しておいてから成膜することにより、色調に関わらず、より確実にくすみのない光沢のある非晶質カーボン膜を形成することができる。より好ましい基材の算術平均粗さRaは0.3μm以下である。
【0041】
<材質>
基材には、鋼、超硬合金、立方晶型窒化硼素(cBN)焼結体、ダイヤモンド焼結体、窒化珪素焼結体、酸化アルミニウムと炭化チタンなどが利用できる。
【0042】
(鋼)
鋼にはハイス鋼とも呼ばれる高速度鋼や、炭素工具鋼、合金工具鋼などが好適である。これらの鋼材質は、切削工具として必要な被削性及び耐摩耗性を有しており、非晶質カーボン被覆工具の基材に望ましい。また、これらの鋼は、超硬合金などよりも靭性が高くかつ安価であるため、信頼性が高く安価な非晶質カーボン被覆工具を実現することができる。高速度鋼として、例えば、JIS記号SKH2、SKH5、SKH10などのW系高速度鋼、SKH9、SKH52、SKH56などのMo系高速度鋼などが挙げられる。炭素工具鋼として、例えば、JIS記号SK1、SK2、SK3などが挙げられる。合金工具鋼として、例えば、JIS記号SKS1、SKS2、SKS5、SKS21、SKS51など一般に切削用に用いられるものであればいずれも使用できる。これらの中でも、被削性、耐摩耗性の点で高速度鋼が特に望ましい。
【0043】
(超硬合金)
超硬合金は、一般に炭化タングステン(WC)を主成分とする硬質相と、コバルトなどの鉄族金属を主成分とする結合相とからなる。非晶質カーボン被膜が剥離することなく切削性能を安定化させるには、コバルト含有量を12質量%以下とすることが好ましい。更に好ましくは基材のコバルト含有率を3質量%以上7質量%以下とする。
【0044】
また、焼結後の炭化タングステンの平均結晶粒径は0.1μm以上3μm以下であることが好ましい。平均結晶粒径が0.1μm未満の場合には現状の評価方法で判別困難である。逆に、平均結晶粒径が3μmを超えると膜が摩耗した場合に基材中の大きな炭化タングステン粒子が脱落して大欠損を起こしてしまう。更に好ましくは、平均結晶粒径が0.1μm以上1μm以下であるとよい。これはWCの平均結晶粒径がこの範囲にあると、美しい光の干渉色を得ることができるためである。
【0045】
さらに、前記超硬合金の中に周期律表IVa、Va、VIa族の金属元素よりなる群から選択される1種以上の元素と、炭素および窒素よりなる群から選択される1種以上の元素とからなる化合物が0.01質量%以上3質量%以下含まれていることが好ましい。添加化合物の具体例としては、(Ta,Nb)C、VC、Cr2C2、NbCなどが挙げられる。
【0046】
(ダイヤモンド焼結体)
ダイヤモンド焼結体は、ダイヤモンドを40体積%以上含むものが好ましい。より好ましくは、ダイヤモンド焼結体の組成としては次のものがある。
【0047】
(1)ダイヤモンドを50〜98体積%含有し、残部が鉄族金属、WCおよび不可避的不純物とからなる焼結体。特に、鉄族金属は、Coであることが好ましい。
(2)ダイヤモンドを85〜99体積%含有し、残部が空孔、WCおよび不可避的不純物とからなる焼結体。
(3)ダイヤモンドを60〜95体積%含有し、残部が鉄族金属および周期律表4a、5a、6a族元素の炭化物および炭窒化物から選択される1種以上と、WCおよび不可避的不純物とからなる焼結体。特に、残部の結合材がCo、TiC、WCおよび不可避的不純物であることが好ましい。
(4)ダイヤモンドを60〜98体積%含有し、残部が珪素、炭化珪素の少なくとも1種、WCおよび不可避的不純物とからなる焼結体。
【0048】
(cBN焼結体)
cBN焼結体は、cBNを30体積%以上含むものが好ましい。より好ましい組成としては、次のものがある。
【0049】
(1)cBNを30体積%以上80体積%以下含有し、残部が周期律表4a、5a、6a族元素の窒化物、硼化物、炭化物ならびにこれらの固溶体からなる群から選択される少なくとも1種と、アルミニウム化合物とからなる結合材と、鉄族金属および不可避的不純物とからなるcBN焼結体。
(2)cBNを80体積%以上90体積%以下含有し、cBN粒子同士が結合しており、残部がAl化合物またはCo化合物を主成分とする結合材と、不可避的不純物とからなるcBN焼結体。
【0050】
(窒化珪素焼結体基材)
窒化珪素焼結体は、窒化珪素を90体積%含むものが好ましい。より好ましくは、HIP(Hot Isostatic Pressing)法を用いて焼結した窒化珪素を90体積%以上含む焼結体である。この窒化珪素焼結体において残部は、酸化アルミニウム、窒化アルミニウム、酸化イットリウム、酸化マグネシウム、酸化ジルコニウム、酸化ハフニウム、希土類、TiN、TiCの少なくとも1種から選ばれた結合材と不可避的不純物とからなることが好ましい。
【0051】
(酸化アルミニウムと炭化チタンとの焼結体)
酸化アルミニウムと炭化チタンとの焼結体は、酸化アルミニウムを20〜80体積%、炭化チタンを15〜75体積%含むものが好ましい。この焼結体において残部は、Mg、Y、Ca、Zr、Ni、Ti、TiNの酸化物の少なくとも1種から選ばれた結合材と、不可避的不純物とからなることが好ましい。
【0052】
[工具の用途]
本発明非晶質カーボン被覆工具は、その耐摩耗性と耐溶着性から、特にアルミニウムおよびその合金を加工するための工具に適する。また、チタン、マグネシウム、銅など非鉄材に使用することが最適である。さらに、グラファイトなどの硬質粒子を含有する材料、有機材料などの切削や、プリント回路基板加工や鉄系材料とアルミニウムとの共削り加工などにも有効である。加えて、本発明工具の非晶質カーボン膜は非常に高硬度であることから、非鉄材だけではなく、ステンレス鋼などの鋼や鋳物などの加工にも用いることができる。
【0053】
[工具の具体例]
本発明非晶質カーボン被覆工具は、ドリル、エンドミル、エンドミル加工用刃先交換型チップ、フライス加工用刃先交換型チップ、旋削用刃先交換型チップ、メタルソー、歯きり工具、リーマおよびタップからなる群より選ばれた1種を含む用途に使用されると良い。
【0054】
【発明の実施の形態】
次に、本発明非晶質カーボン被覆工具について、実施例により具体的に説明する。ただし、ここで用いた製法に限られるものではなく、グラファイトを用いたPVD法で成膜されたものであれば、いずれの方法であってもよい。
【0055】
(実施例1)
基材として、WC-5%CoのWC基超硬合金製チップを作製した。まず、平均粒径0.8μmのWC粉末と平均粒径1.0μmのCo粉末を用いて基材の材料粉末を配合し、ボールミルにより10時間湿式混合し、乾燥した後、住友電気工業株式会社製APET160504PDFR-Sの形状を有する圧粉体にプレス成形した。この圧粉体を焼結炉内に挿入し1400℃の温度で1時間、真空焼結(1Pa)を行って焼結体を作製した。得られた基材そのままのものと、表面をラッピングして表面粗さの異なる複数種の基材を用意した。基材の表面粗さは、測定長0.1mmの算術平均粗さRaで評価した。そして、各基材表面に下記のように公知の陰極アークイオンプレーティング法を用いて表1に示す非晶質カーボン被覆チップ試料を用意した。表1において、試料No.6は基材表面のラッピングを行っていないサンプルである。
【0056】
【表1】
Figure 0003963810
【0057】
図1に示すように、成膜装置1内に複数個のターゲット2、3を配置し、ターゲットの中心点を中心としてターゲット間で回転する円筒状の基材保持具4に超硬合金製チップ5を装着する。電源7、8を調整して真空アークの放電電流を変え、ターゲット材料の蒸発量を制御しながら非晶質カーボンをコーティングする。
【0058】
まず、基材加熱ヒーター6を用いて100℃まで加熱させながら成膜装置1内の真空度を2×10 3Paの雰囲気とした。ついでアルゴンガスを導入して2×10 1Paの雰囲気に保持しながら、バイアス電源9により基材保持具4に−1000Vの電圧をかけてアルゴンプラズマ洗浄を行った後、アルゴンガスを排気した。成膜装置内へのガスの導入は供給口10より、排気は排気口11より行う。次に、成膜装置1内にアルゴンガスを100cc/minの割合で導入しながら、真空アーク放電によりグラファイトのターゲットを蒸発・イオン化させることにより超硬チップ上に接して非晶質カーボン膜が形成される。このとき、バイアス電源9による電圧は、−数百Vとした。
【0059】
ここで、サンプルによっては、非晶質カーボンの成膜に先立ち、周期律表IVa、Va、VIa族金属元素のターゲットを蒸発・イオン化させながらバイアス電源9により基材保持具4に−1000Vの電圧をかけてメタルイオンボンバードメント処理を行い、被膜の密着性を高めるための表面エッチング処理を行った。
【0060】
また、サンプルによっては、さらに炭化水素ガスを導入するか、あるいは導入しないで、周期律表IVa、Va、VIa、IIIb族元素およびC以外のIVb族元素の元素よりなる群から選ばれたターゲットを蒸発・イオン化し、バイアス電源9により基材保持具4に−数百Vの電圧をかけて、これらの金属あるいは金属炭化物の界面層の形成を行った。界面層から非晶質カーボン膜の形成は、ターゲットや雰囲気の切り替えにより行われ、この切り替え時には、通常、わずかながらも両層の組成の混合が生じる。このことから、両層の間には、原料の混合組成層や傾斜組成層が存在していると推定される。
【0061】
さらに、比較例として、上記と同様の基材にCVD法による水素化非晶質カーボン膜(試料No.5)を被覆した。比較例に用いた基材の表面粗さはRa=0.12である。
【0062】
得られた被覆チップについて、非晶質カーボン膜の色調、明度、水素含有量、マクロパーティクル密度、ヌープ硬度を測定した。色調、明度は株式会社ミノルタ製分光測色計CR-241を用いて測定し、JIS Z8729に準拠するLab表色系により評価した。水素量は、ERDA(Elastic Recoil Detection Analysis:弾性反跳粒子検出法)により評価した。マクロパーティクル密度は、Ptを試料表面にイオンスパッタリングによって蒸著し、SEMによって試料表面の写真撮影を行い、写真上でマクロパーティクルの数を数えることにより評価した。
【0063】
本発明例のチップ(試料No.1〜4)は、非晶質カーボン被膜の水素含有量がいずれも5at%以下であった。また、試料No.1〜4,6のマクロパーティクル密度は3×105個/mm2以下であった。ヌープ硬度は本発明例である試料No.1〜4,6が2500〜3500の間であり、比較例である試料No.5では1800であった。
【0064】
次に、上記の方法により製造した各表面被覆刃先型交換型チップ1つを工具径32mmのホルダーに付けて、下記の条件によるエンドミル加工を行い、被削材の表面粗さの規格から外れるまでの切削長と刃先の状態を評価した。
【0065】
被削材:アルミダイキャスト(ADC12)
切削速度:350m/min
送り:0.15mm/rev
取りしろ:Ad=Rd=5mm
【0066】
その結果、従来からの表面被覆切削エンドミルのうち、CVDの水素化非晶質カーボン膜(試料No.5)は15mで表面粗さの規格から外れたため、工具の寿命と判断した。寿命になった表面被覆チップの先端に溶着したアルミを除去して調べたところ、既に被覆した膜は存在せず、基材のWC基超硬合金が露出していた。
【0067】
一方、本発明品である試料No.1〜4のエンドミルでは各々1200m、1500m、800m、890m切削した時点で被削材の表面粗さの規格から外れたため、工具寿命と判断した。
【0068】
中でも、濃い青色の非晶質カーボン膜(No.1〜2)は、色むらが目立ち難く量産向きであり、切削試験結果も好ましかった。なお、基材表面をラッピングしていない試料No.6は、試料No.2とほぼ同等の切削寿命を持つことが確認されたが、非晶質カーボン膜の色がくすんだ青色で美観に劣るものであった。
【0069】
さらに、青色の非晶質カーボン膜を成膜するために膜厚の目標値を0.1μmとし、黄緑色の非晶質カーボン膜を成膜するために膜厚の目標値を0.15μmとして各々100個ずつ生産して外観検査により色むらの不良品数を比較した。その結果、不良品数が青色の非晶質カーボン膜の工具では2個、黄緑色非晶質カーボン膜の工具では20個となっており、青色の被膜の方が量産向きであることがわかった。
【0070】
以上、本発明の具体例について説明したが、本発明は他の形状の旋削工具(ドリル、エンドミル、リーマなど)、フライス工具に代表される刃先交換型切削チップ、切断工具(カッター、ナイフ、スリッターなど)にも適用することができる。
【0071】
(実施例2)
実施例1と同様にして、WC-5重量%CoのWC基超硬合金製チップAPET160504PDFR-S(住友電気工業株式会社製)を準備した。この基材のすくい面側から平均粒径10μmのダイヤモンド粒子を含む弾性体をブラスト装置で噴射し、面粗さの異なる基材を準備した。本例では、粒径約1mmのウレタン製ゴム粒に前記ダイヤモンド粒子が分散混合されたブラスト材を用いた。そして、基材の表面粗さRaを測定した。測定長は0.4mm、縦方向の測定倍率は50000倍である。さらに、この測定時に得られた粗さ曲線より、凸部の平均間隔を求めた。凸部の平均間隔は、粗さ曲線において隣接する凸部同士の間隔を3箇所以上測定し、その平均値より求めた。図2に試料No.10の粗さ曲線測定例を示す。このグラフに示すように、粗さ曲線にいくつか認められるピーク(凸部)の間隔を3箇所以上測定して、それらの平均値を算出する。この測定例では、凸部の平均間隔は123μmであった。凸部の平均間隔を大きくするには、ブラスト条件における処理時間を長くすればよい。
【0072】
この基材の表面に公知のアークイオンプレーティング法を用いて表2に示す厚み0.1μmの非晶質カーボン被覆チップ試料を準備した。表2中の試料No.7は、基材すくい面の平滑化処理を行っていないサンプル、試料No.11はバフ研磨装置によりすくい面を鏡面研磨した基材に非晶質カーボン被覆を行ったチップである。
【0073】
【表2】
Figure 0003963810
【0074】
粗さ曲線における凸部の平均間隔が20μmを越える試料No.8〜11のサンプルは光沢を示し、特に凸部の平均間隔が100μmを越える試料No.10、11のサンプルは特に優れた光沢を示した。試料No.8、9、10は試料No.11ほど表面粗さRaは小さくないが、光沢を示すことが確認できる。
【0075】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明の被覆工具によれば、非晶質カーボン膜の色調や明度あるいは厚みを特定することで、耐摩耗性を維持し優れた耐溶着性を得ることができ、工具の切削・耐摩寿命を著しく延長させることができる。特に、水素を含有しない非晶質カーボン膜とすることで、一層優れた耐摩耗性と耐溶着性を得ることができる。また、非常に美しい外観の非晶質カーボン膜を得ることができ、既存製品との差別化が容易にできる。従って、旋削工具(ドリル、エンドミル、リーマなど)、フライス工具に代表される切削スローアウェイチップ、切断工具(カッター、ナイフ、スリッターなど)への効果的な利用が期待される。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明工具の被膜形成に用いる成膜装置の概略図である。
【図2】試料No.10の表面粗さ曲線を示すグラフである。
【符号の説明】
1 成膜装置
2、3 ターゲット
4 基材保持具
5 チップ
6 基板加熱ヒーター
7、8 アーク電源
9 バイアス電源
10 供給口
11 排気口

Claims (12)

  1. 基材と、この基材上に形成された非晶質カーボン膜とを具える非晶質カーボン被覆工具であって、
    前記非晶質カーボン膜が、JIS Z8729に準拠するLab表色系で、b≦−aかつb≦aを満たすと共に、a≦−4かつb≦−14かつL≧20の色調を有し、
    前記非晶質カーボン膜の厚みが0.06μm超え0.14μm未満であり、
    前記非晶質カーボン膜の被覆箇所が工具における少なくとも切削に関与する部分であることを特徴とする非晶質カーボン被覆工具。
  2. 前記非晶質カーボン膜は、さらにL≦90を満たすことを特徴とする請求項1に記載の非晶質カーボン被覆工具。
  3. 前記非晶質カーボン膜が実質的に炭素のみからなることを特徴とする請求項1又は2に記載の非晶質カーボン被覆工具。
  4. 前記基材表面の切削に関与する部分の算術平均粗さRaが0.5μm以下であることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の非晶質カーボン被覆工具。
  5. 前記基材のすくい面のすくなくとも一部における粗さ曲線において、凸部の平均間隔が20μm以上であることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の非晶質カーボン被覆工具。
  6. 前記凸部の平均間隔が100μm以上であることを特徴とする請求項5に記載の非晶質カーボン被覆工具。
  7. 前記基材と非晶質カーボン膜との間に界面層を具え、
    この界面層は、周期率表IVa、Va、VIa、IIIb族元素およびC以外のIVb族元素からなる元素群より選択される少なくとも1種類以上、またはこれら元素群から選択される少なくとも1種以上の元素の炭化物からなり、
    界面層の厚みが0.5nm以上10nm未満であることを特徴とする請求項1〜6のいずれかに記載の非晶質カーボン被覆工具。
  8. 前記界面層がTi、Zr、Hf、V、Nb、Ta、Cr、Mo、WおよびSiよりなる元素群から選ばれた少なくとも1種以上の元素、またはこの元素群から選ばれた少なくとも1種以上の元素の炭化物であることを特徴とする請求項7に記載の非晶質カーボン被覆工具。
  9. 基材にWCを含み、このWCの平均粒径が1μm以下であることを特徴とする請求項1〜8のいずれかに記載の非晶質カーボン被覆工具。
  10. 工具における少なくとも切削に関与する基材表面の算術平均粗さRaを0.5μm以下に研摩する工程と、
    研摩された基材表面にJIS Z8729に準拠するLab表色系で、b≦−a つb≦aを満たすと共に、a≦−4かつb≦−14かつL≧20の色調を有する非晶質カーボン膜を形成する工程とを具え、
    前記非晶質カーボンを形成する工程において、前記非晶質カーボン膜の厚みを0.06μm超え0.14μm未満とすることを特徴とする非晶質カーボン被覆工具の製造方法。
  11. 非晶質カーボン膜を形成する工程は、グラファイトを原料とした水素を含まない雰囲気下で物理的蒸着法により形成されることを特徴とする請求項10に記載の非晶質カーボン被覆工具の製造方法。
  12. 物理的蒸着法は、基材にゼロまたは負の直流バイアスを印加すると共に、原料となるグラファイトを蒸発させて非晶質カーボン膜を形成する陰極アークイオンプレーティングにより行われることを特徴とする請求項11に記載の非晶質カーボン被覆工具の製造方法。
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