JP2003059665A - 電界発光素子 - Google Patents

電界発光素子

Info

Publication number
JP2003059665A
JP2003059665A JP2002039161A JP2002039161A JP2003059665A JP 2003059665 A JP2003059665 A JP 2003059665A JP 2002039161 A JP2002039161 A JP 2002039161A JP 2002039161 A JP2002039161 A JP 2002039161A JP 2003059665 A JP2003059665 A JP 2003059665A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
emission
inorganic compound
compound
electroluminescent device
iodide
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Granted
Application number
JP2002039161A
Other languages
English (en)
Other versions
JP3980372B2 (ja
Inventor
Yasuyuki Goto
康之 後藤
Mitsuharu Noto
光治 納戸
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Daiden Co Inc
Kyushu Electric Power Co Inc
Original Assignee
Daiden Co Inc
Kyushu Electric Power Co Inc
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Daiden Co Inc, Kyushu Electric Power Co Inc filed Critical Daiden Co Inc
Priority to JP2002039161A priority Critical patent/JP3980372B2/ja
Publication of JP2003059665A publication Critical patent/JP2003059665A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP3980372B2 publication Critical patent/JP3980372B2/ja
Anticipated expiration legal-status Critical
Expired - Fee Related legal-status Critical Current

Links

Classifications

    • HELECTRICITY
    • H10SEMICONDUCTOR DEVICES; ELECTRIC SOLID-STATE DEVICES NOT OTHERWISE PROVIDED FOR
    • H10KORGANIC ELECTRIC SOLID-STATE DEVICES
    • H10K50/00Organic light-emitting devices
    • H10K50/10OLEDs or polymer light-emitting diodes [PLED]
    • H10K50/11OLEDs or polymer light-emitting diodes [PLED] characterised by the electroluminescent [EL] layers

Landscapes

  • Electroluminescent Light Sources (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【課題】 無機化合物を直流の電圧(低電圧)で発光さ
せることができる、また、発光層である有機化合物層に
無機化合物を分散させることにより、発光色を変えるこ
とができる電界発光素子を提供する。 【解決手段】 陽極から注入される正孔と陰極から注入
される電子との再結合により発光する電界発光素子であ
り、陽極と陰極の間に一層または複数層の有機化合物層
を有し、この有機化合物層の少なくとも一層に無機化合
物が分散されている。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は電界発光素子に関す
るものである。更に詳しくは、無機化合物を直流の電圧
(低電圧)で駆動(発光)させることができる電界発光
素子に関する。また、発光層である有機化合物層に無機
化合物を分散させることにより、発光色を変えることが
できる電界発光素子に関する。更に、有機化合物層に対
し分散させる無機化合物が替わることにより、発光色が
変化する電界発光素子に関する。
【0002】
【従来技術】電界発光素子は、薄膜パネル、円筒状パネ
ル等の表示用部材や大面積パネル等の面発光体、その他
多くの素子に使用されている。特に、最近は、レーザー
光線用電子デバイス等のオプトエレクトロニクスの発振
素子等に広く使用され始めている。
【0003】電界発光素子は、発光層に無機化合物を用
いる無機電界発光素子と、発光層に有機化合物を用いる
有機電界発光素子とに分けられる。
【0004】無機電界発光素子は、無機化合物を絶縁層
で挟み、交流電圧を印加して駆動させる方式であり、高
電界で加速された高速の電子が衝突して発光中心を励起
する真性な電界発光素子である。無機電界発光素子は、
例えば緑色発光ディスプレイ等で実用化されている。
【0005】有機電界発光素子は、有機化合物を含む薄
膜を陽極と陰極間に挟んだ構造を有しており、この薄膜
に電子及び正孔(ホール)を注入し、それらの再結合エ
ネルギーによって発光させるもの(電荷注入型ともい
う)である。有機電界発光素子は、数V〜数10V程度の
直流の低電圧で高輝度の発光が可能であり、種々の発光
素子、表示素子等への応用が期待されている。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】発光層に無機化合物を
用いる無機電界発光素子は、上記したように、緑色発光
ディスプレイ等で実用化されている。しかしながら、無
機電界発光素子を駆動させるためには、交流電源と高い
電圧が必要であり、使用できる場所や範囲が限られてい
た。
【0007】以上のようなことから、現在では、直流の
低電圧で高輝度の発光が可能である有機電界発光素子の
研究が盛んに行われ、無機電界発光素子の実用化への新
たな研究は、それ程、積極的に行われていない。したが
って、従来から積み重ねられてきた無機電界発光素子の
有用な研究結果(発光特性等)が、十分に生かされてい
ない。
【0008】一方、発光層に有機化合物を用いる有機電
界発光素子は、上記したように、直流の低電圧で高輝度
の発光が可能である。しかしながら、無機電界発光素子
に比べてその構成材料の劣化特性(寿命)に劣り、長時
間の使用に耐えられないという問題があった。
【0009】また有機電界発光素子のうち一般的に実用
化されたものは、ホスト材料である有機化合物層にゲス
ト色素(有機色素や有機金属錯体等の蛍光色素)をドー
プした発光層を有している場合が多い。そして、最適な
色素ドープを行って高効率で必要な発光色を得るために
は、ホスト材料とゲスト色素の物理的・化学的性質の関
係(例えば、ホスト材料の発光スペクトルとゲスト色素
の吸収スペクトルが重なる必要性がある等)が重要であ
る。このようなことから、必要とする発光色を得るため
にはホスト材料とゲスト材料の二つの構成材料を好適に
組み合わせる必要があり、例えばゲスト色素を替える場
合には同時にホスト材料も替える必要があった。したが
って、電界発光素子を用いて例えばディスプレイを製造
した場合、必要となるホスト材料が多くなり、ディスプ
レイの製造がコスト高となる。
【0010】そこで本発明者らは、まずは従来から蓄積
された無機電界発光素子の有用な研究結果を生かすべ
く、無機電界発光素子の発光層に用いられる無機化合物
を、有機電界発光素子と同じように直流の電圧(低電
圧)で駆動させることができないか、有機電界発光素子
の欠点である劣化特性を解決できないかという発想のも
とに鋭意研究に努めてきた。
【0011】その結果、陽極と陰極の間に設けた有機化
合物層に無機化合物を分散して電界発光素子を作製する
ことが、上記課題を解決する有効な手段であることを見
い出すと共に、有機化合物層に無機化合物を分散させる
ことにより電界発光素子の発光色を変えることができる
ことを見い出した。そして、更に分散させる無機化合物
について検討を重ねた結果、有機化合物層に分散させる
無機化合物を替えることにより発光色を変化させること
ができることを見い出した。本発明はこれらの知見に基
づいて完成したものである。
【0012】(発明の目的)そこで本発明の目的は、無
機化合物を直流の電圧(低電圧)で駆動(発光)させる
ことができる電界発光素子を提供することにある。また
本発明の他の目的は、発光層である有機化合物層に無機
化合物を分散させることにより、発光色を変えることが
できる電界発光素子を提供することにある。更に本発明
の他の目的は、有機化合物層に対し分散させる無機化合
物が替わることにより、発光色が変化する電界発光素子
を提供することにある。その他の本発明の目的は、以下
の説明によって明らかになるであろう。
【0013】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するため
に講じた本発明の手段は次のとおりである。第1の発明
にあっては、陽極から注入される正孔と陰極から注入さ
れる電子との再結合により発光する電界発光素子であっ
て、上記電極の間に一層または複数層の有機化合物層を
有し、当該有機化合物層の少なくとも一層に無機化合物
が分散されることにより、発光色が変化することを特徴
とする、電界発光素子である。
【0014】第2の発明にあっては、無機化合物を直流
の電圧で発光させるようにしたことを特徴とする、第1
の発明に係る電界発光素子である。
【0015】第3の発明にあっては、無機化合物または
無機化合物の一部が替わることによって発光色が変化す
ることを特徴とする、第1または第2の発明に係る電界
発光素子である。
【0016】第4の発明にあっては、無機化合物が金属
化合物であることを特徴とする、第1,2または第3の
発明に係る電界発光素子である。
【0017】第5の発明にあっては、無機化合物が遷移
金属化合物であることを特徴とする、第1,2または第
3の発明に係る電界発光素子である。
【0018】第6の発明にあっては、無機化合物が希土
類金属化合物であることを特徴とする、第1,2または
第3の発明に係る電界発光素子である。
【0019】第7の発明にあっては、無機化合物がハロ
ゲン化金属化合物であることを特徴とする、第1,2ま
たは第3の発明に係る電界発光素子である。
【0020】第8の発明にあっては、無機化合物がヨウ
化ユーロピウム、臭化ユーロピウム、ヨウ化セリウム、
臭化セリウム、ヨウ化テルビウム、ヨウ化鉛からなる群
から選ばれた少なくとも一種の化合物であることを特徴
とする、第1,2または第3の発明に係る電界発光素子
である。
【0021】第9の発明にあっては、有機化合物が4,
4−ビス(カルバゾール−9−イル)−ビフェニルであ
り、無機化合物がヨウ化セリウム、臭化セリウム、ヨウ
化テルビウム、ヨウ化鉛からなる群から選ばれた少なく
とも一種の化合物であることを特徴とする、第1,2ま
たは第3の発明に係る電界発光素子である。
【0022】第10の発明にあっては、無機化合物がユ
ーロピウムのハロゲン化物とアルカリ金属のハロゲン化
物を組み合わせたもの、またはユーロピウムのハロゲン
化物とアルカリ土類金属のハロゲン化物を組み合わせた
ものであることを特徴とする、第1,2または第3の発
明に係る電界発光素子である。
【0023】
【発明の実施の形態】電界発光素子は、例えば次のよう
な構成によって形成される。 基板、陽極(透明電極)、有機化合物に無機化合物
が分散された発光層、陰極(背面電極)を順次積層した
もの、 基板、陽極、有機化合物に無機化合物が分散された
発光層、単層又は複数層の電子輸送性を有する有機物
層、陰極を順次積層したもの、 基板、陽極、単層又は複数層のホール輸送性を有す
る有機物層、有機化合物に無機化合物が分散された発光
層、陰極を順次積層したもの、 基板、陽極、単層又は複数層のホール輸送性を有す
る有機物層、有機化合物に無機化合物が分散された発光
層、単層又は複数層の電子輸送性を有する有機物層、陰
極を順次積層したもの等を挙げることができる。 また、ホールブロック層(正孔阻止層)や電子注入層を
有するものを使用することもできる。
【0024】基板としては、ガラス、プラスチック、金
属薄膜等を挙げることができる。
【0025】陽極(透明電極)としては、インジウム錫
オキシド(ITO)、酸化チタン、酸化錫等を、真空蒸
着法、スパッタリング法、ゾルゲル法により薄膜に形成
したもの等を挙げることができる。
【0026】ホール輸送層性を有する有機物層として
は、ポリビニルカルバゾール(PVK)、フェニレンジ
アミン誘導体(例えばN,N’−ビス(3−メチルフェ
ニル)−N,N’−ビス(フェニル)−ベンジジン
等)、トリフェニルアミン誘導体、カルバゾール誘導
体、フェニルスチレン誘導体等を挙げることができる。
【0027】電子輸送性を有する有機物層としては、オ
キサジアゾール誘導体、トリアゾール誘導体、フェナン
トロリン誘導体、アルミキノリノール錯体等を挙げるこ
とができる。
【0028】ホール輸送性を有する有機物層及び電子輸
送性を有する有機物層は、真空蒸着法やスピンコート法
等により形成することができる。
【0029】陰極(背面電極)としては、リチウム、ア
ルミニウム、マグネシウム、銀等を挙げることができ
る。
【0030】有機化合物に無機化合物が分散された発光
層は、真空蒸着法やスピンコート法等により形成するこ
とができる。ただし、均質な膜が得られやすく、かつピ
ンホールが生成しにくいなどの観点から、真空蒸着法が
好ましい。
【0031】真空蒸着法の場合では、共蒸着法(二元同
時蒸着法ともいう)で行う。即ち、有機化合物と無機化
合物の蒸着源を分け、別々の蒸発源から蒸発させたそれ
ぞれの蒸気を真空条件下で所定の基板上に同時に蒸着す
ることにより、膜を形成する。無機化合物の濃度は、無
機化合物と有機化合物との蒸着速度の比で設定すること
ができる。
【0032】スピンコート法の場合では、有機化合物と
無機化合物の両方を可溶な溶媒に溶かしスピンコートを
行うことによって、無機化合物を有機半導体に均一に分
散させ、薄膜を形成する。
【0033】有機化合物層に分散させた無機化合物を発
光させる場合、無機化合物の濃度は0.1〜70wt%であり、
更に好ましくは1〜50wt%である。無機化合物の濃度が0.
1wt%未満では、有機化合物から無機化合物へのエネルギ
ー移動が不完全となり、無機化合物が発光しにくいとい
う問題がある。無機化合物の濃度が70wt%を越えると、
無機化合物同士が近づきすぎて、濃度消光が生じやす
く、発光効率が低下しやすい。
【0034】発光層に使用する有機化合物としては、公
知である材料を使用することができる。例えば、真空蒸
着法の場合、カルバゾール誘導体、トリフェニルアミン
誘導体、トリアゾール誘導体(TAZ)、フェニルスチ
レン誘導体、フルオレン誘導体、アルミキノリノール錯
体とその誘導体、フェニレンジアミン誘導体等を挙げる
ことができるが、これらに限定するものではない。スピ
ンコート法の場合では、ポリビルカルバゾール類、ポリ
フルオレン類、ポリチオフェン類、ポリフェニレンビニ
レン類等を挙げることができるが、これらに限定するも
のではない。
【0035】無機化合物としては、例えばヒ素等の非金
属化合物や、金属化合物(遷移金属化合物や希土類金属
化合物を含む)を使用することができる。金属として
は、例えば、マンガン、ニッケル、銅、ガリウム、銀、
カドミウム、インジウム、スズ、アンチモン、金、鉛、
ビスマス、スカンジウム、イットリウム、ランタン、セ
リウム、プラセオジム、サマリウム、ユウロピウム、ガ
ドリニウム、テルビウム、ジスプロシウム、ホルミウ
ム、エルビウム、ツリウム、イッテルビウム、タリウム
を挙げることができるが、これらに限定されない。
【0036】無機化合物としては、比較的低温度で蒸着
が行いやすいので、ハロゲン化金属化合物が好ましい。
ハロゲン化物としては、フッ化物、塩化物、臭化物、ヨ
ウ化物等を挙げることができる。
【0037】無機化合物は、単独で、または二種類以上
組み合わせて有機化合物層に分散させることができる。
【0038】有機化合物層の厚さは、特に限定するもの
ではない。ただし、好ましくは30nmから400nmであり、
更に好ましくは60nmから200nmである。有機化合物層の
厚さが30nm未満では、電極同士がショートしてしまう可
能性が高く、400nmを越えると抵抗値が上がり電流が流
れにくくなる可能性が高い。
【0039】ホールブロック層としては、例えばバソク
プロイン、トリアゾール誘導体(TAZ)、オキサジア
ゾール誘導体を挙げることができるが、これらに限定す
るものではない。
【0040】電子注入層としては、例えばフッ化リチウ
ムやフッ化マグネシウムなどを挙げることができるが、
これらに限定するものではない。
【0041】無機化合物として、ハロゲン化ユーロピウ
ムとアルカリ金属のハロゲン化物を組み合わせたもの、
またはハロゲン化ユーロピウムとアルカリ土類金属のハ
ロゲン化物を組み合わせたものを挙げることができる。
この場合、アルカリ金属としてはリチウム、ナトリウ
ム、カリウム、ルビジウム、セシウム等を挙げることが
できる。また、アルカリ土類金属としては、マグネシウ
ム、カルシウム、ストロンチウム、バリウム等を挙げる
ことができる。アルカリ金属のハロゲン化物またはアル
カリ土類金属のハロゲン化物は、単独で、または二種類
以上組み合わせて有機化合物層に分散させることができ
る。なお、ハロゲン化物としては、フッ化物、塩化物、
臭化物、ヨウ化物等を挙げることができる。
【0042】
【実施例】以下、本発明を実施例により説明するが、本
発明はこれらに限定されるものではない。
【0043】[実施例1]図1は本発明に係る電界発光
素子の実施例1を示す側面視説明図、図2は図1に示す
電界発光素子の輝度−電流の関係を示す特性図、図3は
図1に示す電界発光素子の発光スペクトルの特性図であ
る。なお、図3において、用いた検出器の限界により85
0nm以上は測定できなかった。このため、ガウシアンピ
ークと仮定し、外挿している。
【0044】次のようにして、電界発光素子1を作製し
た。ITOで構成される透明電極2が100nmの厚みにス
パッタリングされているガラス基板3上に、N,N’−
ビス(3−メチルフェニル)−N,N’−ビス(フェニ
ル)−ベンジジン(TPD)を真空蒸着法(真空度2.0
×10-4Pa、後同じ)によって約40nmの厚みに蒸着し、ホ
ール輸送層4を形成する。
【0045】その上に、発光層5を形成した。発光層5
は、有機化合物である4,4−ビス(カルバゾール−9
−イル)−ビフェニル(本明細書では特に断らない限り
「CBP」という)と、無機化合物であるヨウ化ユーロ
ピウムを共蒸着により形成した。CBPとヨウ化ユーロ
ピウムの比率は重量比で2:1とし、発光層5の膜厚は20n
mとした。
【0046】蒸着速度は、CBPが2オングストローム
/sec、ヨウ化ユーロピウムが0.18オングストローム/s
ec(重量比で2:1)である。
【0047】更にその上に、バソクプロインを用いて蒸
着を行い、厚さ15nmのホールブロック層6を形成し、更
に、トリス(8−ヒドロキシキノリン)アルミニウム
(Alq3)を用いて蒸着を行い、厚さ35nmの電子輸送層
7を形成した。また、更にその上に、電極としてアルミ
ニウムリチウム(AlLi)合金を約200nm蒸着し、陰極8
を得た。なお、図中9は電極である。
【0048】この電界発光素子1に、電圧18V、電流35
9mA/cm2を印加して発光させた。その発光輝度を輝度計
(ミノルタ LS-110)で測定したところ、362cd/m2であ
った。
【0049】また、発光スペクトルをマルチチャンネル
検出器(浜松ホトニクス PMA-11)で測定したところ、
主な発光波長は約687nmであった。スペクトルの電流依
存性は観察されなかった。発光開始電圧は5Vであった。
最大外部量子効率は、0.18%(電流14.5cd/m2、7.12mA/c
m2)であった。
【0050】有機化合物であるCBPの発光ピーク(一
重項)は404nm(青紫色の発光)であるため、約687nmに
現れる電界発光素子1の発光はCBPによるものではな
いものと思われる。一方、ユーロピウムイオンは配位子
場の影響によって発光ピークが440nmから700nm程度まで
変化(シフト)することが知られている。
【0051】このようなことから、この電解発光素子1
の発光(約687nm)は、有機化合物であるCBPから無
機化合物であるヨウ化ユーロピウムへのエネルギー移動
によって、無機化合物であるヨウ化ユーロピウムが発光
したものと考えられる。
【0052】以上のように、有機化合物層を構成し単独
では青紫色(発光ピーク約404nm)で発光するCBP
に、無機化合物であるヨウ化ユーロピウムを分散させる
ことにより、オレンジ色(発光ピーク約687nm)で発光
する電界発光素子1を得ることができた。
【0053】[実施例2]図4は実施例2に係る電界発
光素子の輝度−電流の関係を示す特性図、図5は実施例
2に係る電界発光素子の発光スペクトルの特性図であ
る。なお、実施例1と同一または同等である素子の構成
材料については、同一の符号を付して説明する。これに
ついては、後述する実施例3ないし実施例6についても
同様である。
【0054】本実施例では、有機化合物であるCBPと
無機化合物であるヨウ化ユーロピウムの比率を重量比で
10:1として発光層5を形成した。発光層の膜厚は20nm
とした。それ以外の素子材料は同様であるので、説明を
省略する。
【0055】この電界発光素子に、電圧17V、電流685m
A/cm2を印加して発光させた。その発光輝度を輝度計
(ミノルタ LS-110)で測定したところ、363cd/m2であ
った。発光開始電圧は6Vであった。最大外部量子効率
は、0.18%(輝度285cd/m2、電流7.15mA/cm2)であった。
【0056】また、発光スペクトルをマルチチャンネル
検出器(浜松ホトニクス PMA-11)で測定したところ、
CBP(一重項の発光ピーク404nm)とヨウ化ユーロピ
ウム(発光ピーク680nm)両方の発光スペクトルが観察
された。また、その発光スペクトルの比率は電流により
変化した。
【0057】これは、CBPの不完全なドープ状態を示
しており、発光層におけるCBPの濃度を上げたため、
ヨウ化ユーロピウムよりもCBPの発光が起きやすくな
ったためだと思われる。
【0058】以上のように、有機化合物層を構成し、単
独では青紫色で発光するCBP(発光ピーク約404nm)
に、無機化合物であるヨウ化ユーロピウムを実施例1よ
りも少ない量で分散させることにより、CBP(発光ピ
ーク約404nm)とヨウ化ユーロピウム(発光ピーク約687
nm)を共に発光させることができ、結果的にピンク色
(桃色)で発光する電界発光素子を得ることができた。
【0059】[実施例3]図6は実施例3に係る電界発
光素子の輝度−電流の関係を示す特性図、図7は実施例
3に係る電界発光素子の発光スペクトルの特性図であ
る。
【0060】本実施例では、有機化合物であるCBPと
無機化合物であるヨウ化セリウムを共蒸着することによ
って発光層5を形成した。CBPとヨウ化セリウムの比
率は重量比で2:1とし、発光層5の膜厚を20nmとした。
それ以外の素子材料は同様であるので、説明を省略す
る。
【0061】この電界発光素子に、電圧14V、電流447.5
mA/cm2を印加して発光させた。その発光輝度を輝度計
(ミノルタ LS-110)で測定したところ、486cd/m2であ
った。発光開始電圧は6Vであった。最大外部量子効率
は、0.11%(輝度21.7cd/m2、電流8.05mA/cm2)であっ
た。
【0062】また、発光スペクトルをマルチチャンネル
検出器(浜松ホトニクス PMA-11)で測定したところ、
574nmに発光ピークをもつ黄色発光が観察された。この
発光のピークは、CBPの一重項状態の発光ピーク(40
4nm)とは一致しておらず、CBPの燐光発光、即ち、
三重項状態の発光ピーク(559nm)とほぼ一致してい
る。一方、セリウムイオンの発光ピークは、結晶場の影
響を受けやすく、特定することはできない。
【0063】このようなことから、この電界発光素子の
発光は、無機化合物であるヨウ化セリウムをドープする
ことにより、有機化合物であるCBPの三重項状態の発
光が増強されたものか、あるいは有機化合物であるCB
Pから無機化合物であるヨウ化セリウムへのエネルギー
移動によって無機化合物であるヨウ化セリウムが発光し
たものと考えられる。
【0064】以上のように、有機化合物層を構成し単独
では青紫色(発光ピーク約404nm)で発光するCBP
に、無機化合物であるヨウ化セリウムを分散させること
により、結果的に黄色(発光ピーク約574nm)で発光す
る電界発光素子を得ることができた。
【0065】ところで、正孔と電子が再結合した後に生
成する一重項励起子と三重項励起子の比率は1:3と言
われている。従来の有機電界発光素子は一重項励起子か
らの発光を利用しているため、理論的内部量子効率の限
界は25%であった。このようなことから、本実施例に
係る電界発光素子の発光がCBPの三重項状態の発光に
よるものである場合、三重項励起子からの発光を利用で
きることになり、理論的内部量子効率の限界は従来の三
倍である75%まで向上する。よって、高効率で発光す
る電界発光素子の作製が将来期待できる。これについて
は、後述する実施例4、実施例5、及び実施例6に示す
電界発光素子についても同様である。
【0066】[実施例4]図8は実施例4に係る電界発
光素子の輝度−電流の関係を示す特性図、図9は実施例
4に係る電界発光素子の発光スペクトルの特性図であ
る。
【0067】本実施例では、有機化合物であるCBPと
無機化合物である臭化セリウムを共蒸着することによっ
て発光層5を形成した。CBPと臭化セリウムの比率は
重量比で2:1とし、発光層5の膜厚を20nmとした。そ
れ以外の素子材料は同様であるので、説明を省略する。
【0068】この電界発光素子に、電圧14V、電流532.5
mA/cm2を印加して発光させた。その発光輝度を輝度計
(ミノルタ LS-110)で測定したところ、129cd/m2であ
った。発光開始電圧は7Vであった。
【0069】また、発光スペクトルをマルチチャンネル
検出器(浜松ホトニクス PMA-11)で測定したところ、
553nmに発光ピークをもつ緑色発光が観察された。この
発光のピークは、CBPの一重項状態の発光ピーク(40
4nm)とは一致しておらず、CBPの燐光発光、即ち、
三重項状態の発光ピーク559nmとほぼ一致している。一
方、セリウムイオンの発光ピークは、上記したように、
結晶場の影響を受けやすく、特定することはできない。
【0070】このようなことから、この電界発光素子の
発光は、無機化合物である臭化セリウムのドープによ
り、有機化合物であるCBPの三重項状態の発光が増強
されたものか、あるいは有機化合物であるCBPから無
機化合物である臭化セリウムへのエネルギー移動によっ
て無機化合物である臭化セリウムが発光したものと考え
られる。
【0071】以上のように、有機化合物層を構成し単独
では青紫色(発光ピーク約404nm)で発光するCBP
に、無機化合物である臭化セリウムを分散させることに
より、結果的に緑色(発光ピーク約553nm)で発光する
電界発光素子を得ることができた。
【0072】[実施例5]図10は実施例5に係る電界
発光素子の輝度−電流の関係を示す特性図、図11は実
施例5に係る電界発光素子の発光スペクトルの特性図で
ある。
【0073】本実施例では、有機化合物であるCBPと
無機化合物であるヨウ化テルビウムを共蒸着することに
よって発光層5を形成した。CBPとヨウ化テルビウム
の比率は重量比で2:1とし、発光層5の膜厚を20nmと
した。それ以外の素子材料は同様であるので、説明を省
略する。
【0074】この電界発光素子に、電圧22V、電流584.5
mA/cm2を印加して発光させた。その発光輝度を輝度計
(ミノルタ LS-110)で測定したところ、186cd/m2であ
った。発光開始電圧は8Vであった。
【0075】また、発光スペクトルをマルチチャンネル
検出器(浜松ホトニクス PMA-11)で測定したところ、
555nmに発光ピークをもつ黄緑色発光が観察された。こ
の発光のピークは、CBPの一重項状態の発光ピーク
(404nm)とは一致しておらず、CBPの燐光発光、即
ち、三重項状態の発光のピーク559nmとほぼ一致してい
る。
【0076】以上のようなことから、この電界発光素子
の発光(約555nm)は、無機化合物であるヨウ化テルビ
ウムのドープにより、有機化合物であるCBPの燐光発
光が増強されたものか、あるいは有機化合物であるCB
Pから無機化合物であるヨウ化テルビウムへのエネルギ
ー移動によって無機化合物であるヨウ化テルビウムが発
光したものと考えられる。ただし、テルビウムイオンの
発光ピークは547nmでシャープに現れることから、上記5
55nmに現れる発光ピークは、テルビウムイオンによるも
のではなく、CBPの燐光発光が増強された可能性が高
いと思われる。
【0077】以上のように、有機化合物層を構成し単独
では青紫色(発光ピーク約404nm)で発光するCBP
に、無機化合物であるヨウ化テルビウムを分散させるこ
とにより、結果的に黄緑色(発光ピーク約555nm)で発
光する電界発光素子を得ることができた。
【0078】[実施例6]図12は実施例6に係る電界
発光素子の輝度−電流の関係を示す特性図、図13は実
施例6に係る電界発光素子の発光スペクトルの特性図で
ある。
【0079】本実施例では、有機化合物であるCBPと
無機化合物であるヨウ化鉛を共蒸着することによって発
光層5を形成した。CBPとヨウ化鉛の比率は重量比で
10:6とし、発光層5の膜厚は20nmとした。それ以外の
素子材料は同様であるので、説明を省略する。
【0080】この電界発光素子に、電圧20V、電流702mA
/cm2を印加して発光させた。その発光輝度を輝度計(ミ
ノルタ LS-110)で測定したところ、99cd/m2であっ
た。発光開始電圧は6Vであった。外部量子効率は、0.01
8%(輝度2.7cd/m2、6.58mA/cm2)であった。
【0081】また、発光スペクトルをマルチチャンネル
検出器(浜松ホトニクス PMA-11)で測定したところ、
550nmに発光ピークをもつ緑色発光が観察された。この
発光のピークは、CBPの一重項状態の発光ピーク(40
4nm)とは一致しておらず、CBPの燐光発光、即ち、
三重項状態の発光のピーク559nmとほぼ一致している。
一方、鉛イオンの発光ピークも500〜520nmに現れ、電界
発光素子の発光ピークと近い。
【0082】以上のようなことから、この電解発光素子
1の発光(約550nm)は、無機化合物であるヨウ化鉛を
ドープすることにより、有機化合物であるCBPの三重
項状態の発光が増強されたものか、あるいは有機化合物
であるCBPから無機化合物であるヨウ化鉛へのエネル
ギー移動によって無機化合物であるヨウ化鉛が発光した
ものと考えられる。
【0083】このように、有機化合物層を構成し、単独
では青紫色で発光するCBP(発光ピーク約404nm)
に、無機化合物であるヨウ化鉛を分散させることによ
り、結果的に緑色で発光する電界発光素子(発光ピーク
約550nm)を得ることができた。
【0084】以上説明した実施例3〜実施例6におい
て、約550〜570nmに発光ピークを有する発光が、有機化
合物であるCBPの三重項状態の発光(燐光)によるも
のであるか、ヨウ化セリウムや臭化セリウム等の無機化
合物の発光によるものであるかを確認するために、以下
のような実験を行った。
【0085】図14に電界発光素子の発光寿命を測定す
るための概略構成図を示す。図14に示すように、各電
界発光素子に矩形波電極(0V-7.5V、繰り返し周波数5H
z、デューディー比5%)を印加し、発光を光電子増倍管
で検出して、発光寿命をデジタルストレージオシロスコ
ープで観測した。電圧カットオフ後、発光強度が最大値
の1/e(自然対数のe)まで減衰する時間を観測した。
【0086】図15に実施例4に係る電界発光素子の発
光寿命を観測したオシロスコープの過渡応答を示す。図
16に実施例3〜実施例6に係る電界発光素子の発光ス
ペクトルとCBPの燐光スペクトルについて示す。
【0087】図15に示すように、実施例4に係る電界
発光素子の発光寿命は、19.45μ秒と長いものであっ
た。なお、図15は一例として実施例4に係る電界発光
素子について示したが、実施例3〜実施例6のすべての
電界発光素子において、発光寿命はいずれも10μ秒以上
であった。これは、一般の蛍光色素を用いた電界発光素
子の発光寿命が1μ秒以下(ナノ秒オーダー)であるこ
とを考えると長く、実施例3〜実施例6の電界発光素子
の発光寿命は、燐光の寿命領域にあることが分かった。
更に、図16に示すように、各電界発光素子の発光スペ
クトルとCBPの燐光の発光スペクトルが定性的に一致
している。
【0088】以上、各電界発光素子の発光寿命が燐光の
寿命領域にあること、また各電界発光素子の発光スペク
トルとCBPの燐光の発光スペクトルが定性的に一致し
ていることから、得られた電界発光素子の発光が有機化
合物であるCBPの三重項状態の発光(燐光)によるも
のであることが明らかとなった。
【0089】このように、各電界発光素子の発光がCB
Pの三重項状態の発光(燐光)によるものであるので、
既に説明したように、三重項励起子からの発光を利用で
きることになり、高効率で発光する電界発光素子の作製
が将来期待できる。
【0090】[実施例7]図17は本発明に係る電界発
光素子の実施例7を示す側面視説明図、図18は図17
に示す電界発光素子の発光スペクトルの特性図である。
なお、実施例1と同一または同等である素子の構成材料
については、同一の符号を付して説明する。
【0091】次のようにして、電界発光素子1aを作製
し、実施例7とした。ITOで構成される透明電極2が
100nmの厚みにスパッタリングされているガラス基板3
上に、N,N’−ビス(3−メチルフェニル)−N,
N’−ビス(フェニル)−ベンジジン(TPD)を真空
蒸着法(真空度2.0×10-4Pa、後同じ)によって約60nm
の厚みに蒸着し、ホール輸送層4を形成する。
【0092】その上に、発光層5aを形成した。発光層
5aは、有機化合物であるCBPと、無機化合物である
臭化ユーロピウムを共蒸着により形成した。CBPと臭
化ユーロピウムの比率は重量比で75:25とし、発光層5
の膜厚は20nmとした。
【0093】蒸着速度は、CBPが3オングストローム
/sec、臭化ユーロピウムが1オングストローム/secで
ある。
【0094】更にその上に、オキサジアゾール誘導体
(OXD−7)を用いて蒸着を行い、厚さ60nmのホール
ブロック層兼電子輸送層6aを形成した。
【0095】その上に、フッ化リチウム(LiF)を用
いて蒸着を行い、厚さ0.7nmの電子注入層10を形成
し、更にその上に電極としてアルミニウム約100nmを蒸
着し、陰極8aを得た。なお、図中9は電極である。
【0096】この電界発光素子1aに、電圧18V、電流
420mA/cm2を印加して発光させた。その発光輝度を輝度
計(ミノルタ LS-110)で測定したところ、40.9cd/m2
であった。
【0097】また、発光スペクトルをマルチチャンネル
検出器(浜松ホトニクス PMA-11)で測定したところ、
CBP(一重項の発光ピーク404nm)の発光と、約700nm
をピークとするブロードな発光スペクトルが観察され
た。また、その発光スペクトルの比率は電流により変化
した。
【0098】これは、CBPの不完全なドープ状態を示
しており、発光層におけるCBPの濃度が高いため、臭
化ユーロピウムよりもCBPの発光が起きやすくなった
ためだと思われる。なお、約700nmをピークとするブロ
ードな発光は、アモルファス(非晶質)状態をとる臭化
ユーロピウムの発光であると思われる。
【0099】以上のように、有機化合物層を構成し、単
独では青紫色で発光するCBP(発光ピーク約404nm)
に、無機化合物である臭化ユーロピウムを分散させるこ
とにより、CBP(発光ピーク約404nm)と臭化ユーロ
ピウム(発光ピーク約700nm)を共に発光させることが
でき、結果的に桃白色で発光する電界発光素子を得るこ
とができた。
【0100】[実施例8〜10]図19は実施例8に係
る電界発光素子の発光スペクトルの特性図、図20は実
施例9に係る電界発光素子の発光スペクトルの特性図、
図21は実施例10に係る電界発光素子の発光スペクト
ルの特性図である。
【0101】CBPと臭化ユーロピウムの共蒸着によっ
て発光層を形成した実施例7に対し、実施例8〜10で
は、CBPと臭化ユーロピウムにヨウ化セシウムを加え
た三元同時蒸着法によって発光層を形成した。そして、
蒸着するヨウ化セシウムの量を変えることで発光スペク
トルがどのような影響を受けるかを検討した。なお、発
光層以外の素子材料は同様であるので、説明を省略す
る。
【0102】蒸着速度は、CBPが1〜3オングストロー
ム/sec、臭化ユーロピウムが0.1〜1オングストローム
/sec、ヨウ化セシウムが0.1〜1オングストローム/sec
である。
【0103】実施例8〜10の発光層における臭化ユー
ロピウム及びヨウ化セシウムの組成割合を、実施例7と
共に表1に示す。なお、発光層の組成は重量%で表し、
CBP、臭化ユーロピウム及びヨウ化セシウムの合計は
全体で100%となるように示している。
【0104】
【表1】
【0105】図18ないし図21に示す実施例7〜実施
例10に係る電界発光素子の発光スペクトルを参照す
る。各電界発光素子の発光スペクトルから明らかなとお
り、蒸着する臭化ユーロピウムの割合を0〜40重量%と
増やすことで、青色を示す波長域である約460〜480のシ
ャープな発光ピークが得られることが確認できた。
【0106】ところで、従来の有機電界発光素子に用い
られる青色発光材料(例えばα−NPD、ペリレン、P
VK等)は、発光波長がブロードであるために、発光ス
ペクトルの裾が青色の色純度を悪くしていた。青色表示
を良好に行うためには、青色を示す波長域以外の光をカ
ットするカラーフィルタを用いることもできるが、構造
が複雑化してコスト高となるうえ、青以外の領域の光を
カットするために効率が低下する。このように、青色純
度が改善されないことは、フルカラー化を目指すフラッ
トパネル・ディスプレイ等の表示素子として好ましくな
い。
【0107】しかしがなら、本実施例では、臭化ユーロ
ピウム対するヨウ化セシウムの割合を増やすことで、色
純度の良い青色発光を示す有機電界発光素子を得ること
ができた。
【0108】この理由は定かではないが、臭化ユーロピ
ウムがヨウ化セシウムに固溶することで、非晶質状態で
あった臭化ユーロピウムが結晶状態(6配位の8面体構
造)をとることが可能になり、青色の発光を示したもの
と思われる。
【0109】また、この発光機構は、[Optical absorp
tion, and emission spectra of Eu2+ in the alkali h
alides. , J. Hernandez A., F. J. Lopez, H. Murriet
a S., J. Phys. Soc. Jpn.,vol. 50,No. 1,p.225-229
(1981)]の文献に記載されている種々のEu2+(ユーロピ
ウムイオン)をドープしたアルカリハロゲン化物の蛍光
体粉末の蛍光と本質的に同じ機構であると思われる。
【0110】[実施例11]図22は実施例11に係る
電界発光素子の発光スペクトルの特性図である。本実施
例では、実施例8〜10と相違して、CBPとヨウ化ユ
ーロピウムにヨウ化バリウムを加えた三元同時蒸着法に
よって発光層を形成した。それ以外の素子材料は同様で
あるので、説明を省略する。
【0111】蒸着速度は、CBPが1〜3オングストロー
ム/sec、ヨウ化ユーロピウムが0.1〜1オングストロー
ム/sec、ヨウ化バリウムが0.1〜1オングストローム/s
ecである。
【0112】図22に示す電界発光素子の発光スペクト
ルから明らかなとおり、ヨウ化バリウムを加えること
で、青色を示す波長域である約454nmのシャープな発光
ピークが得られることが確認できた。これは、ヨウ化バ
リウムを加えていない実施例1(図3参照)及び実施例
2(図5参照)に係る電界発光素子と明らかに異なって
いる。このように、発光層にヨウ化バリウムを加えるこ
とで、色純度の良い青色発光を示す有機電界発光素子を
得ることができた。
【0113】この理由は定かではないが、ヨウ化ユーロ
ピウムがヨウ化バリウムに固溶することで、非晶質状態
であったヨウ化ユーロピウムが結晶状態(6配位の8面
体構造)をとることが可能になり、青色の発光を示した
ものと思われる。
【0114】以上説明した実施例1ないし実施例11か
ら分かるように、本実施例ではホスト材料である有機化
合物CBPに各種無機化合物を分散させることにより、
その発光色を青色領域(青紫色)から赤色領域(ピンク
色、桃白色)まで変化させることができた。つまり、分
散させる無機化合物を替えることによって、同じホスト
材料である有機化合物から様々な発光色を得ることがで
きることを確認できた。
【0115】なお、本明細書で使用している用語と表現
はあくまで説明上のものであって、限定的なものではな
く、上記用語、表現と等価の用語、表現を除外するもの
ではない。
【0116】
【発明の効果】(a)本発明によれば、陽極と陰極の間
に設けられた一層または複数層の有機化合物層の少なく
とも一層に無機化合物を分散させて電界発光素子を作製
することにより、無機化合物を直流の電圧(低電圧)で
発光させることができる電界発光素子を得ることができ
る。これにより、従来から積み重ねられてきた無機電界
発光素子の有用な研究結果(発光特性等)を有効に利用
することができる。また、無機化合物を発光させるよう
にしているので、発光層に有機化合物を用いる有機電界
発光素子に比べ、劣化しにくく、長期使用に耐えられる
電界発光素子の提供が期待できる。
【0117】(b)また本発明によれば、発光層である
有機化合物層に無機化合物を分散させることによって、
電界発光素子の発光色を変えることができる。
【0118】(c)更に本発明によれば、有機化合物層
に対し分散させる無機化合物を替えることにより、電界
発光素子の発光色を変化させることができる。つまり、
分散させる無機化合物を替えることにより、同じホスト
材料である有機化合物から様々な発光色(広い発光領
域)を得ることができる。したがって、本発明に係る電
界発光素子を用いて例えばディスプレイを製造した場
合、必要となるホスト材料を減らすことができるので、
結果的にディスプレイの生産コストを抑えることができ
る。
【0119】(d)有機化合物がCBPであり、無機化
合物がヨウ化セリウム、臭化セリウム、ヨウ化テルビウ
ム、ヨウ化鉛からなる群から選ばれた少なくとも一種の
化合物であるものでは、電界発光素子の発光がCBPの
三重項状態の発光(燐光)によるものであるので、三重
項励起子からの発光を利用できることになり、高効率で
発光する電界発光素子の作製が将来期待できる。
【0120】(e)無機化合物がハロゲン化ユーロピウ
ムとアルカリ金属のハロゲン化物を組み合わせたもの、
またはハロゲン化ユーロピウムとアルカリ土類金属のハ
ロゲン化物を組み合わせたものでは、色純度の良い青色
発光を示す有機電界発光素子を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る電界発光素子の実施例1を示す側
面視説明図。
【図2】図1に示す電界発光素子の輝度−電流の関係を
示す特性図。
【図3】図1に示す電界発光素子の発光スペクトルの特
性図。
【図4】実施例2に係る電界発光素子の輝度−電流の関
係を示す特性図。
【図5】実施例2に係る電界発光素子の発光スペクトル
の特性図。
【図6】実施例3に係る電界発光素子の輝度−電流の関
係を示す特性図。
【図7】実施例3に係る電界発光素子の発光スペクトル
の特性図。
【図8】実施例4に係る電界発光素子の輝度−電流の関
係を示す特性図。
【図9】実施例4に係る電界発光素子の発光スペクトル
の特性図。
【図10】実施例5に係る電界発光素子の輝度−電流の
関係を示す特性図。
【図11】実施例5に係る電界発光素子の発光スペクト
ルの特性図。
【図12】実施例6に係る電界発光素子の輝度−電流の
関係を示す特性図。
【図13】実施例6に係る電界発光素子の発光スペクト
ルの特性図。
【図14】電界発光素子の発光寿命を測定するための概
略構成図。
【図15】実施例4に係る電界発光素子の発光寿命を観
測したオシロスコープの過渡応答。
【図16】実施例3〜実施例6に係る電界発光素子の発
光スペクトルとCBPの燐光スペクトル。
【図17】本発明に係る電界発光素子の実施例7を示す
側面視説明図。
【図18】図17に示す電界発光素子の発光スペクトル
の特性図。
【図19】実施例8に係る電界発光素子の発光スペクト
ルの特性図。
【図20】実施例9に係る電界発光素子の発光スペクト
ルの特性図。
【図21】実施例10に係る電界発光素子の発光スペク
トルの特性図。
【図22】実施例11に係る電界発光素子の発光スペク
トルの特性図。
【符号の説明】
1,1a 電界発光素子 2 透明電極 3 ガラス基板 4 ホール輸送層 5,5a 発光層 6 ホールブロック層 6a ホールブロック層兼電子輸送層 7 電子輸送層 8,8a 陰極 9 電極 10 電子注入層
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 納戸 光治 福岡県久留米市南町660番地 大電株式会 社内 Fターム(参考) 3K007 AB03 AB04 AB06 DB03 DC03 DC04

Claims (10)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 陽極から注入される正孔と陰極から注入
    される電子との再結合により発光する電界発光素子であ
    って、 上記電極の間に一層または複数層の有機化合物層を有
    し、当該有機化合物層の少なくとも一層に無機化合物が
    分散されることにより、発光色が変化することを特徴と
    する、 電界発光素子。
  2. 【請求項2】 無機化合物を直流の電圧で発光させるよ
    うにしたことを特徴とする、 請求項1記載の電界発光素子。
  3. 【請求項3】 無機化合物または無機化合物の一部が替
    わることによって発光色が変化することを特徴とする、 請求項1または2記載の電界発光素子。
  4. 【請求項4】 無機化合物が金属化合物であることを特
    徴とする、 請求項1,2または3記載の電界発光素子。
  5. 【請求項5】 無機化合物が遷移金属化合物であること
    を特徴とする、 請求項1,2または3記載の電界発光素子。
  6. 【請求項6】 無機化合物が希土類金属化合物であるこ
    とを特徴とする、 請求項1,2または3記載の電界発光素子。
  7. 【請求項7】 無機化合物がハロゲン化金属化合物であ
    ることを特徴とする、 請求項1,2または3記載の電界発光素子。
  8. 【請求項8】 無機化合物がヨウ化ユーロピウム、臭化
    ユーロピウム、ヨウ化セリウム、臭化セリウム、ヨウ化
    テルビウム、ヨウ化鉛からなる群から選ばれた少なくと
    も一種の化合物であることを特徴とする、 請求項1,2または3記載の電界発光素子。
  9. 【請求項9】 有機化合物が4,4−ビス(カルバゾー
    ル−9−イル)−ビフェニルであり、 無機化合物がヨウ化セリウム、臭化セリウム、ヨウ化テ
    ルビウム、ヨウ化鉛からなる群から選ばれた少なくとも
    一種の化合物であることを特徴とする、 請求項1,2または3記載の電界発光素子。
  10. 【請求項10】 無機化合物がユーロピウムのハロゲン
    化物とアルカリ金属のハロゲン化物を組み合わせたも
    の、またはユーロピウムのハロゲン化物とアルカリ土類
    金属のハロゲン化物を組み合わせたものであることを特
    徴とする、 請求項1,2または3記載の電界発光素子。
JP2002039161A 2001-02-19 2002-02-15 電界発光素子 Expired - Fee Related JP3980372B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2002039161A JP3980372B2 (ja) 2001-02-19 2002-02-15 電界発光素子

Applications Claiming Priority (5)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2001042292 2001-02-19
JP2001-42292 2001-02-19
JP2001174752 2001-06-08
JP2001-174752 2001-06-08
JP2002039161A JP3980372B2 (ja) 2001-02-19 2002-02-15 電界発光素子

Related Child Applications (2)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2005185442A Division JP2005285787A (ja) 2001-02-19 2005-06-24 薄膜の形成方法、薄膜、電界発光素子の製造方法及び電界発光素子
JP2006305630A Division JP2007087959A (ja) 2001-02-19 2006-11-10 電界発光素子

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2003059665A true JP2003059665A (ja) 2003-02-28
JP3980372B2 JP3980372B2 (ja) 2007-09-26

Family

ID=27346024

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2002039161A Expired - Fee Related JP3980372B2 (ja) 2001-02-19 2002-02-15 電界発光素子

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP3980372B2 (ja)

Cited By (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
WO2004066684A1 (ja) * 2003-01-21 2004-08-05 Kyushu Electric Power Co., Inc. 電界発光素子
WO2005002289A1 (ja) * 2003-06-30 2005-01-06 Kyushu Electric Power Co., Inc. 電界発光素子
JPWO2005004547A1 (ja) * 2003-07-02 2006-08-17 松下電器産業株式会社 発光素子及び表示装置
CN100431194C (zh) * 2004-10-18 2008-11-05 财团法人工业技术研究院 用于倒置型有机发光组件的阴极结构

Cited By (6)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
WO2004066684A1 (ja) * 2003-01-21 2004-08-05 Kyushu Electric Power Co., Inc. 電界発光素子
WO2005002289A1 (ja) * 2003-06-30 2005-01-06 Kyushu Electric Power Co., Inc. 電界発光素子
JPWO2005004547A1 (ja) * 2003-07-02 2006-08-17 松下電器産業株式会社 発光素子及び表示装置
JP4669785B2 (ja) * 2003-07-02 2011-04-13 パナソニック株式会社 発光素子及び表示装置
US7982390B2 (en) 2003-07-02 2011-07-19 Panasonic Corporation Light emitting element and display device having an inorganic phosphor layer
CN100431194C (zh) * 2004-10-18 2008-11-05 财团法人工业技术研究院 用于倒置型有机发光组件的阴极结构

Also Published As

Publication number Publication date
JP3980372B2 (ja) 2007-09-26

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP4959193B2 (ja) 有機エレクトロルミネッセンス素子
JP4611578B2 (ja) 有機エレクトロルミネッセント素子
JP3869061B2 (ja) 白色光発光有機エレクトロルミネッセンス素子
KR100501702B1 (ko) 유기 전계 발광 디스플레이 장치
JP2001313178A (ja) 有機エレクトロルミネッセンス素子
EP1399002A1 (en) Organic electroluminescnece device
WO2001058222A1 (en) Organic electroluminescent element and method of manufacture thereof
JP2002050483A (ja) 有機エレクトロルミネッセンス素子および発光材料
EP1715728A1 (en) Organic electroluminescent device
WO2006121105A1 (ja) 有機エレクトロルミネッセンス素子
JP2006032883A (ja) 発光素子
KR100673052B1 (ko) 유기 일렉트로루미네슨스 소자
JP2001313177A (ja) 有機エレクトロルミネッセンス素子
KR100437476B1 (ko) 유기 전기 발광 소자
US20070275265A1 (en) Organic light emitting layer with a reduced phosphorescent dopant concentration and applications of same
JP3980372B2 (ja) 電界発光素子
JP3651801B2 (ja) 電界発光素子
US7303825B2 (en) Electroluminescence device
JP2007087959A (ja) 電界発光素子
JP2005285787A (ja) 薄膜の形成方法、薄膜、電界発光素子の製造方法及び電界発光素子
JPH05214333A (ja) 電界発光素子
JPH09194831A (ja) 有機薄膜el素子
JP2005293961A (ja) 有機el素子及びその製造方法
JP3525434B2 (ja) 有機エレクトロルミネッセンス素子
JP3206741B2 (ja) 有機エレクトロルミネッセンス素子

Legal Events

Date Code Title Description
A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20050426

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20050624

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20060912

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20061110

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A821

Effective date: 20061110

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20070529

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20070627

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20100706

Year of fee payment: 3

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20100706

Year of fee payment: 3

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20110706

Year of fee payment: 4

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20120706

Year of fee payment: 5

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20130706

Year of fee payment: 6

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

LAPS Cancellation because of no payment of annual fees