JP2003058168A - 流体攪拌体、及びそれを用いた流体流れの低乱・低騒音化システム - Google Patents

流体攪拌体、及びそれを用いた流体流れの低乱・低騒音化システム

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JP2003058168A JP2001247593A JP2001247593A JP2003058168A JP 2003058168 A JP2003058168 A JP 2003058168A JP 2001247593 A JP2001247593 A JP 2001247593A JP 2001247593 A JP2001247593 A JP 2001247593A JP 2003058168 A JP2003058168 A JP 2003058168A
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Tatsuya Ishii
達哉 石井
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克巳 武田
Kenichiro Nagai
健一郎 長井
Hideji Oinuma
秀司 生沼
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 風洞試験設備や空調設備等における気流の乱
れと騒音の低周波数帯域成分を、一旦、減衰しやすい高
周波帯域成分に変調することで、乱れと騒音の低減化を
達成する流体流れの低乱・低騒音化システムを提供す
る。 【解決手段】 風路に設けられる流体攪拌体10は、風
路を流れる流体流れの微小流れ毎に回転(捻り)を与え
る微小攪拌素子をハニカム状に集合させた流体攪拌層2
2,23,22を積層して構成されている。一様流に含
まれる変動周期の長い低周波成分である偏流や脈動は、
流体攪拌体10を通過するときに減衰しやすい高周波帯
域のマイクロ渦流に変調される。高周波の騒音は、流体
攪拌体10の後流側に配設された騒音低減手段である吸
音材33によって更に減衰される。吸音材33の後流に
は、整流用のハニカムや網からなる整流機構34を設け
ることができる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】この発明は、風洞試験設備、
空調・換気設備、空冷用のファンを有する機器、高速道
路などの道路側壁等のような乱れや騒音を伴う流体流れ
がある機器や設備に対して適用可能な流体攪拌体、及び
その流体攪拌体を用いた低乱・低騒音化システムに関す
る。
【0002】
【従来の技術】従来、例えば風洞試験設備は、航空機開
発の歴史と共に発達してきており、現在では低速から極
超音速域までの流体速度に対応した各種風洞試験設備が
開発されている。風洞試験設備は、固定翼機やヘリコプ
ター等の回転翼機の開発において、空力特性の把握、層
流から乱流への遷移の解明、騒音対策の研究等を目的と
して航空機分野で利用されているのみならず、例えば、
自動車、橋梁、建築、環境等の他産業の分野へと利用が
拡大すると共に、風洞試験設備自体についても、得られ
る気流特性の向上が望まれている。
【0003】近年、風洞試験設備のこうした利用技術の
多様化に伴い、航空機の研究開発分野においては、空力
特性の向上に向けた機体(胴体、主翼等)表面上の遷移
メカニズム、ヘリコプターのロータ騒音発生メカニズム
等の各種現象メカニズムを解明するのに必要な性能を満
たす試験設備が求められており、そうした試験設備を実
現するには、風洞気流の乱れ・騒音の低減化に関する低
乱・低騒音化技術は欠くことができないものとなってい
る。循環型の風洞試験設備は、一般に、送風機(軸流フ
ァン)、拡散筒(第1〜第3)、屈曲部(第1〜第
4)、中間筒、集合胴(整流ハニカム・網)、縮流胴、
測定部等から構成されている。
【0004】また、最近では、高層ビルや大型プラント
設備に用いられる大型空調・排風設備等から発生する低
周波騒音等に対する環境対策が重要になってきている。
即ち、大型空調・排風設備では、風洞設備と同様に、フ
ァンから騒音が外部に放出されており、特に低周波騒音
については、送風機や排風機の周囲に居る人間や家畜等
にストレス等の有害な影響を与えているとして問題とな
っている。
【0005】循環型等の風洞試験設備や空調・換気設備
等におけるファン流を低乱・低騒音化するには、整流装
置及び吸音壁等の各機能設備が必要である。(1)気流
を発生させるファン装置には、高動圧・高風量が得られ
る大型軸流ファンによる単体方式と、低動圧・低風量用
の小型軸流ファンを複数台束ねた複合方式がある。両方
式においてこれらの要求を満たすためには、従来、種々
の対策が講じられている。即ち、大型ファン方式による
風洞試験設備の気流の低乱化技術としては、ファンによ
って風路内に生じる大きな旋回流(偏流・脈動流)による
気流の乱れを、整流翼列(コーナ翼列)の増設、整流格
子(平行ハニカム)の厚み増し、及び乱れを小さくするス
クリーン(金網)の細メッシュ化によって整流し、更に縮
流胴で流れを絞ることで一定の気流分布(速度・圧力・
乱れ)特性を確保する方法が考えられている。複合ファ
ン方式の場合には、ファン毎に発生する旋回流がお互い
に干渉し合って小さな偏流・脈動流となる特性があり、
翼列と格子及びスクリーンの効果が大きく、乱れの小さ
な気流分布(速度・圧力)特性が得られやすいが、風洞設
備としては効率が悪い。大型ファン方式による旋回流に
よって発生するファン流シア(風の断層)や構造物(翼列
・壁)等から発生する騒音の低騒音化技術としては、風
路内に騒音を吸収する吸音壁、吸音パネルの増設、厚み
増し等によるパッシブ方式の技術がある。
【0006】(2)風洞の各構造物から発生する機械的
振動の低減技術として、要素構造物毎に切り離した構造
とする方法がある。また、(3)高周波帯域の騒音の低
減に有効な技術として、マイクロホンとスピーカを用い
たアクティブノイズコントロール方式がある。アクティ
ブノイズコントロール方式は、騒音をマイクロホンで捕
らえて、リアルタイムで騒音波長に合わせた逆位相の波
長音を作り、その逆位相の波長音を音源に向けて出すこ
とによって、騒音を打ち消し合って低減させるものであ
る。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、(1)
コーナ翼列、整流ハニカム、網及び吸音パネルの配設等
の技術については、次のような問題点がある。即ち、コ
ーナ翼列の枚数増設は、枚数を増加するほど増加する抗
力によって送風機効率の低下を招く。また、整流ハニカ
ムについては、コアの開口比を小さくしコアの厚みを増
すことで、高周波帯域の整流効果が顕著であるが、低周
波帯域の変動流に対しては圧力波がハニカムを通過しや
すいため効果が小さい。網の開口比を小さくすれば乱れ
を小さくできるが、流体流れに対する網による抗力が大
きくなり、その結果、送風機効率の低下や目詰まりによ
る分布特性の悪化を招き、更に低周波帯域の変動流につ
いては依然として大きな効果が得られない。更に、多孔
板とグラスウールマット等から成る吸音パネルの設置
は、低周波から高周波までの広帯域での騒音に有効であ
るが、孔を通過した音波が、パネル間で反射し合うとき
の減衰を利用するだけであり、有効に機能させるには波
長に合わせたパネルの厚みと波長の周期に合わせた長い
設置空間が必要となり、風路の直径と長さの点で大型化
が問題となる。
【0008】(2)送風機やコーナ翼列等の風路内構造
物から発生する振動については、各要素構造物(送風
機、宿流胴、測定部、拡散胴)毎に切り離した構造とす
ることで測定部への影響を小さくすることができるが、
流体流れ自体に乱れや騒音を伴っているときには、十分
な対応ができない。 (3)アクティブノイズコントロール方式の技術は、風
量が小さい小型設備でスピーカの周波数特性(数Hz以
上)の範囲内であれば適用しても有効であるが、風洞試
験設備、大型空調・プラント設備については、特に数H
z以下の低周波帯域の脈動流については適用できても所
期の効果を得るには膨大なエネルギーを必要とするため
に実用的ではない。
【0009】しかし、一般に送風・排風気流のうち高周
波帯域の騒音は空気を媒体とした距離による減衰効果が
大きく低減化は容易であるが、上記の各整流手段や吸音
手段は、振動周期の長い低周波(低振動波)騒音に対する
対応が難しく、低周波数帯域における乱れと騒音とを十
分満足できるほどに低減させることはできない。最新の
研究水準に対応できる風洞設備としては、気流乱れの低
乱化と騒音の低騒音化との両技術を確立することが重要
となる。
【0010】そこで、風洞試験設備、大型空調・プラン
ト設備のように、大型の送風ファンや排気ファン、ある
いは複合ファンによる低周波帯域の乱れや騒音を伴う流
体の流れが存在している場合において、新しい発想の
下、変動周期の長い低周波成分である脈動偏流を、低減
化しやすい高周波(高振動波)の乱れを伴うマイクロ渦流
に一旦変調させることで、低乱・低騒音化を達成する点
で解決すべき課題がある。
【0011】この発明の目的は、循環型等の風洞試験設
備、空調設備、大型プラント、高速道路などの道路側壁
等における流体流れに存在する低周波変動流成分(ファ
ンによる偏流・脈動流)と騒音の低周波成分とを同時に
低減化することができる流体攪拌体、及びその流体攪拌
体を用いた低乱・低騒音化システムを提供することであ
る。
【0012】
【課題を解決するための手段】上記課題を解決するた
め、本発明による流体攪拌体は、流体通路を流れる流体
の微小流れ毎に捻りを与える複数の微小攪拌素子が集合
配置されて構成されていることを特徴としている。
【0013】この流体攪拌体によれば、複数の微小攪拌
素子が集合配置されているので、低周波帯域の大きな偏
流・脈動を伴った一様な流体流れが流体通路を流れて流
体攪拌体を通過するとき、微小攪拌素子が流体の微小流
れ毎に捻りを与え、その結果、低周波帯域の偏流・脈動
は一定の高周波帯域のマイクロ渦流に変調させられる。
また、流体が伴う騒音に関しては、動圧成分については
偏流・脈動と同様に微小攪拌素子の捻り作用によって高
周波成分に変調され、粗密波のような静圧成分について
は微小攪拌素子表面での反射の繰り返しによって生じる
干渉で減衰されたり変調によってやはり高周波成分に変
換される。高周波数成分から成るマイクロ渦流や騒音
は、低周波数帯域の成分と比較して減衰・消音しやす
く、流体攪拌体を通過した後では十分低乱・低騒音の流
れとなる。従って、この発明によれば、ファン流の低周
波振動成分(偏流・脈動流)と低周波騒音とは同時に低減
される。
【0014】この流体攪拌体において、前記微小攪拌素
子は、前記流体流れの方向に沿って配置される筒体と、
前記筒体内に配置され且つ捻られた板材から成る捻りエ
レメントとを有することができる。筒体及び板材は、共
に簡単な構成の素材であって加工も簡単であり、筒体と
捻り板材の組み合わせで微小攪拌素子を簡単な構造に且
つ大量に製作することが可能である。特に、流れが有す
る騒音については、音の粗密波が捻りエレメントの形状
に起因して流れに交差する方向に複雑に反射すること
で、効果的に減衰される。
【0015】上記の捻りエレメントを有する微小攪拌素
子において、前記筒体は、円筒セル、四角筒セル、六角
筒セル等の筒状セルとすることができる。筒体の形状を
円筒セルや角筒セル等の筒状セルとすることにより、複
数の微小攪拌素子を密度の高い密集状態に集合させた流
体攪拌体が得られ、流体を効率的に微小な流れに分割し
て、流体流れの殆ど又はすべての部分について分割され
た微小流体毎に捻りを与えることが可能となる。また、
前記捻りエレメントは、軸流方向に沿う軸の回りに30
度〜180度の範囲内の角度で捻られた薄板で構成する
ことができる。捻り角度が30度未満では低周波帯域の
変動成分を高周波帯域の変動成分に変換するマイクロ渦
流の生成が小さく、乱れと騒音との効率的な減衰を期待
できない。捻り角度が180度を超えると、却って流れ
に大きな乱れを生じることになり、抗力も増加するため
やはり乱れと騒音との効率的な減衰を期待できない。更
に、前記薄板又は筒体に前記流体の通過を許容する小孔
を形成することにより、流体が小孔を通過可能となっ
て、より細かい微小渦の形成が促され、乱れと騒音が一
層低減される。
【0016】上記の捻りエレメントを有する流体攪拌体
において、前記微小攪拌素子は、前記筒体の内部に複数
の前記捻りエレメントが前記流体の流れ方向に沿って捻
り方向を交互に連接して配置された多連攪拌素子とする
ことができる。左右の捻り方向を違えた捻りエレメント
を筒内において交互に重ね合わせることにより、低周波
の変動分及び騒音を伴う流体流れは、各捻りエレメント
における連続する攪拌作用によって一層の高周波成分に
変換され、変動及び騒音をより減衰しやすくなる。
【0017】上記の捻りエレメントを有する流体攪拌体
において、前記微小攪拌素子は前記筒体の内部に一つの
前記捻りエレメントを配置した単一攪拌素子であり、前
記流体攪拌体は、前記単一攪拌素子を面状に集合配置さ
せて形成した流体攪拌層を、前記流体の流れ方向に沿っ
て連なる前記微小攪拌素子の前記捻りエレメントの捻り
方向を交互にして、複数段積ねることで構成することが
できる。複数の流体攪拌層を積層したときにおいて、一
つの微小流体流れの方向で見て各流体攪拌層の微小攪拌
素子の捻り方向を左右交互に違える状態に流体攪拌層を
交互に重ね合わせることにより、低周波の変動分及び騒
音を伴う流体流れは、複数段に重なり合う各流体攪拌層
の微小攪拌素子による連続する攪拌作用によって一層の
高周波成分に変換され、変動及び騒音をより減衰しやす
くなる。なお、各流体攪拌層の積層の仕方については、
各層の微小湯攪拌素子が流体流れの方向に正しく整列し
た状態に積層させてもよく、また、各層の微小湯攪拌素
子が流体流れの方向に千鳥状に整列した状態に積層させ
てもよい。
【0018】この発明による流体攪拌体において、前記
微小攪拌素子は捻られた板状に形成された捻りエレメン
トであり、捻り方向を揃えて縦横に並べて配置された前
記捻りエレメントの縦方向又は横方向に面一状に並んだ
端部列を共通の桁板に連結して構成することができる。
この流体攪拌体によれば、捻られた板状に形成された捻
りエレメントの流体流れに対して入口側となる端部は、
縦横のいずれかの方向に面一状に並んだ端部列となって
おり、共通の桁板に連結されている。また、流体流れに
対して出口側となる端部も、縦横の他方の方向に面一状
に並んだ端部列となっており、共通の桁板に連結されて
いる。従って、捻りエレメントの集合体は、両側で縦又
は横の桁板の列で一体化されており、多数の捻りエレメ
ントを剛性の高い一つの物品として取り扱うことが可能
になる。
【0019】上記の捻りエレメントの両端部が桁板で連
結された流体攪拌体において、前記捻りエレメントと前
記桁板とを、セラミックス材料の焼結、又は樹脂材料の
真空焼結によって、一体的に成形することができる。焼
結又は真空焼結によって成形することで、例えば、光造
形手法を利用することができ、複雑な形状を有する流体
攪拌体でも容易に型成形することが可能である。
【0020】上記の流体攪拌体を、乱れ又は騒音を伴う
前記流れに対して適用することで、流体流れの低乱・低
騒音化システムを構成することができる。流体通路内を
流れる流体には、様々な原因で乱れと騒音を伴うことが
あり、そのような場合に、流体通路内に流体攪拌体を配
置することで、流体攪拌体の高周波帯域への変調作用及
び騒音減衰作用によって、低乱・低騒音化を図ることが
可能である。
【0021】この流体流れの低乱・低騒音化システムに
おいて、前記流体通路の前記流体攪拌体の後流側には騒
音低減手段を配設することができる。騒音低減手段を配
設することによって、更に高周波成分の騒音は騒音低減
手段によって一層効率的に消音される。前記騒音低減手
段は、前記流体通路の壁面の一部を構成する吸音壁、又
は前記流体通路の壁面に設けられた吸音パネルとするの
が好ましい。流体攪拌体を通過することで高周波帯域の
マイクロ渦流に変換された偏流・脈動が発生する高周波
帯域の騒音は、流体攪拌体の後流に配設された吸音パネ
ルで効果的に吸収されやすくなるので、流れの低騒音化
が一層進められる。
【0022】この流体流れの低乱・低騒音化システムに
おいて、前記騒音低減手段は、前記流体攪拌体を通過し
た前記流体から発生する音に対して逆位相の音を発生さ
せるアクティブノイズコントロール手段とすることが可
能である。アクティブノイズコントロールは、マイクロ
フォンで捕らえた音源の音波と逆位相の音波をスピーカ
から音源に向けて発生させることにより、音源の音と打
ち消し合わせて消音を図る手法である。流体攪拌体で高
周波帯域に変換された騒音は、従来のスピーカの周波数
特性(数Hz以上)である高周波帯域の成分の音に対し
て効果のあるとされるアクティブノイズコントロール手
段を適用して、低周波数帯域の騒音が低減される。
【0023】この低乱・低騒音化システムにおいて、前
記騒音低減手段の後流には、前記流体の流れを整流化す
る整流機構を配設することができる。高周波帯域に変換
された偏流・脈動は、減衰しやすく、そのままでも実用
に適するが、騒音低減手段の後流に平行ハニカムや網等
から構成される整流機構を配設することにより、更に一
層、安定した流体流れが得られる。
【0024】この流体流れの低乱・低騒音化システム
は、前記流体流れを生じさせるファンを持つ送風機、排
風機及びそれらを組み込んだ機器・設備に適用可能であ
り、低乱・低騒音化システムがそのように適用されたフ
ァン流については、低周波振動成分(偏流・脈動流)と低
周波騒音とが同時に低減される。その一例として、流体
攪拌体を前記流体通路の一部を構成する集合胴に配置す
ることにより、低乱・低騒音化システムを風洞試験設備
に適用することができる。また、流体流れの低乱・低騒
音化システムは、前記流体攪拌体を室内側の送風口又は
室外側の排風口に配置することにより、空調システムに
適用することもできる。また、流体流れの低乱・低騒音
化システムは、前記流体攪拌体を熱排出用に設けられる
冷却ファンの排気口に配置すること又は前記冷却ファン
の排気口に組み込むことにより、パーソナルコンピュー
タや計測機器等の要冷却電子機器にも適用することがで
きる。更に、前記流体攪拌体は、騒音低減作用に着目し
て、高速道路等の道路側壁に適用することもできる。
【0025】
【発明の実施の形態】以下、添付図面を参照して、この
発明による流体攪拌体の実施例、及び当該流体攪拌体が
流体流れの低乱・低騒音化システムとしての風洞試験設
備や排風設備等に適用された実施例とを詳細に説明す
る。まず、微小攪拌素子を用いた流体攪拌体の構成等に
ついて説明する。図1(a)〜図1(c)は、この発明
による流体流れの流体攪拌体を構成する微小攪拌素子の
捻りエレメントの例を示す斜視図である。
【0026】図1(a)に示す微小攪拌素子1aは、薄
板素材をそのエレメント軸線3の回りに捻って形成した
捻りエレメント2Lと、捻りエレメント2Lを内部に収
容する筒体としての円筒セル4aとを備えた単一攪拌素
子である。図1(a)の例では、捻りエレメント2Lは
流入した微小流体流れをその流れ方向に見て左に捻る左
捻りエレメントである。左捻りエレメント2Lは円筒体
4aを流体の流入口及び流出口を含むどの断面でも円筒
セル4aの断面を二分する形状となっている。図1
(b)に示す微小攪拌素子1bは、薄板素材をエレメン
ト軸線3の回りに捻って形成され通過する微小流体を左
に捻る左捻りエレメント2Lと、左捻りエレメント2L
を内部に収容する筒体としての角筒セルとを備えてい
る。角筒セルは、この例では六角筒セル4bである。左
捻りエレメント2Lは六角筒セル4bを入口と出口にお
いて2分割している。なお、単一攪拌素子としては、通
過する微小流体を左に捻るのみならず、右に捻る右捻り
エレメントを備えたものであってもよい。
【0027】図1(c)は、左捻りエレメント2Lと右
捻りエレメント2Rを間隔eだけ離して一つの長い円筒
セル4c内にエレメント軸線3に沿って連設した多連攪
拌素子としての微小攪拌素子1cを示す。円筒セル4c
内に流入した微小流体流れは、左捻りエレメント2Lに
よって左旋廻された後、右捻りエレメント2Rによって
戻される方向の回転を受ける。図1(a)〜図1(c)
に示す例では、個々の捻りエレメント2L,2Rの入口
側と出口側との間での相対捻れ角度は90度にされてい
るが、この相対捻れ角度は、90度に限ることなく、マ
イクロ渦流を効率的に発生させることができる30度〜
180度の範囲であればよい。相対捻れ角度が30度未
満では、マイクロ渦流の発生が少なすぎ、相対捻れ角度
が180度を超えるときには却って流れに乱れが発生す
る。
【0028】流体攪拌の原理について、その概要を図1
(c)に基づいて説明する。ファン(後述する)によっ
て生じた旋回流(偏流・脈動流)は、一段目の円筒セル4
cの流入口で左捻りエレメント2Lによって上下に2分
割された流れSt,Sbとなり、回転されながら左捻り
エレメント2L後部の流出口側では左右の2分割渦流S
l,Srとなる。次に、左右2分割渦流Sl,Srは二
段目に設けられている下流の右捻りエレメント2Rに流
入し、更に2分割されて右捻りエレメント2Rの後部で
は小さな4分割渦流(マイクロ渦流)Smvとなり、高
変動流(圧力変動と騒音)成分を有する流れになる。
【0029】また、各エレメント2L,2Rは、流体流
れに生じている騒音に関しては、動圧成分については偏
流や脈流と同様に高周波成分に変調させることで減衰さ
せやすくし、粗密波のような静圧部分については各レメ
ント2L,2Rの表面で複雑な反射を繰り返すること
で、減衰させたり高周波成分へ変換させる作用がある。
後述するように、流体攪拌体は、微小攪拌素子を、その
筒体の軸線が流体流れに沿うように、流体通路を横切る
横断断面に渡って敷き詰められた状態で集合されて構成
されるので、流体攪拌体の全域にわたってマイクロ渦流
Smvが発生するために、風路断面内の気流は一様流に
生じている低周波帯域の乱れや騒音は高周波成分に変調
される。
【0030】図2は、捻りエレメントや筒体に流体の通
過を許容する孔を形成した例を示す斜視図である。図2
(a)及び図2(b)には、それぞれ、流体の通過を許
容する多数の孔5が形成された左捻りエレメント2L、
右捻りエレメント2Rが示されている。図2(c)に示
す六角筒セル4bには、流体の通過を許容する多数の孔
6が形成されている。筒体が図1(a)に示すような円
筒セル4aの場合も同様である。
【0031】図3は、低周波を伴う流体流れを、高周波
成分を持つ流れに変換するため、図1に示した微小攪拌
素子を多数個組み合わせて構成した流体攪拌体の一例を
示す図であり、図3(a)はその流体攪拌体の正面図、
図3(b)は図3(a)に示す流体攪拌体のA−A断面
図である。図3に示す流体攪拌体10は、一つの円筒セ
ル4a内にそのセル内での流体の流れ方向に沿って、複
数の左右捻りエレメント2L,2Rを交互に連設して成
る微小攪拌素子1dを多数並列に集合させて構成されて
いる。図の例では、流体が流れる通路(空気のような気
体が流れる場合は、風路)が断面六角形であるので、多
数の微小攪拌素子1dを集合させた流体攪拌体10の外
形をその断面形状に合わせて六角形状にすることで、風
路の断面を埋めることができる。一つの筒体内に連設さ
れるエレメントの数は3つであり、従って、流体が捻ら
れる捻りパターンは2L,2R,2L又は2R、2L、
2Rのように2つのタイプがある。また、図の上半分に
おける微小攪拌素子1dの集合部と図の下半分における
微小攪拌素子1dの集合部とで、捻りエレメントの捻り
パターンを逆にしてある。流体攪拌体10は、多数の微
小攪拌素子1dを全体が六角状のバンド又は枠体11内
に集合させてハニカム状に組み込まれている。
【0032】図4は図1に示した微小攪拌素子を多数個
組み合わせて構成した流体攪拌体の別の例を示す図であ
り、図4(a)はその流体攪拌体の正面図、図4(b)
は図4(a)に示す流体攪拌体のB−B断面図である。
図4に示す流体攪拌体20は、図1(b)に示したよう
な六角筒セル4a内に左捻りエレメント又は右捻りエレ
メント2L,2Rのいずれかを組込んだ微小攪拌素子1
cを多数集合させた流体攪拌層22,23を複数段に積
層して構成されている。筒体を六角筒セル4aとするこ
とにより、風路の断面を完全に埋めることができる。各
流体攪拌層22,23は、多数の微小攪拌素子1cを全
体が六角状のバンド又は枠体21内に集合させてハニカ
ム状に組み込まれている。図示の例では、第1段〜第3
段には、それぞれ流体攪拌層22,23,22が3段に
積層されており、各流体攪拌層22,23は、図の上半
分の集合部と下半分の集合部とで、捻りエレメントの捻
りパターンを異ならせてある。しかしながら、流体の流
れ方向で見た捻りパターンは、図3に示す例と同様に、
2L,2R,2L又は2R、2L、2Rのように交互に
設定されており、全体の輪郭形状も、流体通路の形状
(断面六角形)に合わせた形状にされている。
【0033】図4に示す流体攪拌層22,23を多段形
式に積層させる場合、図5に示すように、隣り合う流体
攪拌層で、積層させる態様を選択することができる。図
5(a)は、距離e1を置いて隣り合う流体攪拌層2
1,22において捻り方向の異なる各微小攪拌素子を同
軸に整列させた同軸配置態様を示す断面図であり、例え
ば、上流側の流体攪拌層21の微小右攪拌素子1Rに対
して、下流側の微小左攪拌素子1Lは、互いの筒体の軸
線を同軸上に置いた状態に配置されている。上流側の微
小右攪拌素子1Rに流入した流体は、理想的には、整列
した下流側の微小左攪拌素子1Lにそのまま流入し、上
流側の微小右攪拌素子1Rの右捻りエレメント2Rで分
割された流れが、後流側の微小左攪拌素子1Lの左捻り
エレメント2Lで混合攪拌される。また、図5(b)
は、距離e2を置いて隣り合う流体攪拌層21,22に
おいて捻り方向の異なる各微小攪拌素子1R,1Lを千
鳥状にずらせた千鳥配置態様を示す断面図であり、例え
ば、上流側の流体攪拌層21の微小右攪拌素子1Rに対
して、下流側の微小左攪拌素子1Lは、互いの筒体の軸
線を千鳥状にずらせて配置されている。上流側の微小右
攪拌素子1Rに流入した流体は、千鳥状に跨って続く下
流側の二つの微小左攪拌素子1L,1Lに分かれて流入
し、混合攪拌される。
【0034】図6は、この発明による流体攪拌体の別の
実施例を示す斜視図である。図6に示す流体攪拌体25
の微小攪拌素子は、板状に形成された捻りエレメント2
6であり、複数の捻りエレメント26(一部にのみ符号
を付す)は捻り方向を揃えて縦横に並べて格子状に配置
されている。流体攪拌体25においては、捻られた板状
に形成された捻りエレメント26の一方の端部26a
(例えば、流体流れに対して入口側となる端部)の列
は、横方向に面一状に並んだ横端部列となっており、各
横端部列はその列と同じ面一状に延びる共通の横桁板2
7(27a,27b,27c・・・)に連結されてい
る。同様に、捻りエレメント26の他方の端部26b
(例えば、流体流れに対して出口側となる端部)の列
は、縦方向に面一状に並んだ縦端部列となっており、各
縦端部列はその列と同じ面一状に延びる共通の縦桁板2
8(28a〜28f・・・)に連結されている。捻りエ
レメント26の集合体としての流体攪拌体25は、両側
でそれぞれ異なる方向に並ぶ桁板の列,即ち横桁板27
の列と縦桁板28の列で一体化されており、流体攪拌体
25の設置、交換等の作業において、多数の捻りエレメ
ント26を剛性の高い一つの物品として取り扱うことが
できる。流体攪拌体25は捻りエレメント26を囲む筒
体を備えていないので、流れに生じている騒音について
は、音波はエレメント26間での複雑な反射を繰り返
し、一層、効果的に減衰される。
【0035】捻りエレメント26の両端部26a,26
bを横桁板27の列と縦桁板28の列とで連結された流
体攪拌体25を製造するに際して、捻りエレメント26
と各桁板27,28とは、セラミックス材料の焼結、又
は樹脂材料の真空焼結によって、一体的に成形すること
ができる。焼結又は真空焼結によって成形することで、
例えば、光造形(RP)手法を利用することができ、複
雑な形状を有する流体攪拌体25でも容易に型成形する
ことができる。流体攪拌体25をセラミックス材料で成
形する場合には、容易に多孔質に形成して軽量にするこ
とができ、更に、流体攪拌体25は、その入口側と出口
側とをそれぞれ横桁板27と縦桁板28とによって一体
化成形されているため、全体としては格子状を形成し高
強度に構成することができる。
【0036】次に、風路に設けた流体流れの低乱・低騒
音化システムの全体構成について、図7及び図8の記載
に基づいて説明する。図7は流体攪拌体と騒音低減手段
とを備えたこの発明による低乱・低騒音化シテムの概要
を示す断面図であり、図8は図7に示す低乱・低騒音化
シテムの各領域での乱れ・駐音の変動物理量を説明する
グラフである。低乱・低騒音化シテム30は、基本的に
は、六角形状の通路断面を有する風路壁31に、図3、
図4又は図6に示したような多段構造の流体攪拌体10
(20,25)を配設し、流体攪拌体10(20,2
5)の後流に騒音低減手段32を配設し、更に、騒音低
減手段32の後流の風路内に整流機構34を配設するこ
とによって構成されている。図示しない上流側には、送
風機又は排風機の軸流ファンや複合ファンが配設されて
おり、このファンの作用に起因して、風路の領域Iを流
れる流体流れは、図8(a)に示すように、偏流・脈動
を伴う一様流、即ち、時間経過に対して流変動流が大き
く表れる低周波変動流が重畳せられた変動の大きな基本
流である。
【0037】ファンによる流れは、先ず、領域II(振
動変調領域)に設けられた流体攪拌体10(20,2
5)において、1段目のハニカム状に構成された流体攪
拌層22の各セルに入り2分割され、次に2段目のハニ
カム状に構成された流体攪拌層23にて更に4分割さ
れ、3段目のハニカム状に構成された流体攪拌層22で
更に細分化されて振動変調を受け、領域III(定常振
動波流領域)では、マイクロ渦流を有する一様流に変換
される。この一様流は、図8(b)に示すように、流れ
変動量が高周波帯域の成分のみとなっている。その下流
側の風路である領域IV(定常振動波軽減領域)には、
騒音低減手段32として吸音パネル33が風路壁31に
設けられており、マイクロ渦流の高周波帯域成分を吸収
する。高周波帯域成分の乱れと騒音が吸収された後の流
れ変動量の様子が、図8(c)に示されている。高周波
帯域成分が軽減化された一様流は、その後流の領域V
(整流領域)において整流機構34にて更に整流され、
領域VI(低乱・低騒音流領域)では安定した低乱・低
騒音流となる。整流機構34は、具体的には、整流用平
行ハニカム35や整流網36等で構成される。低乱・低
騒音流は、その後、縮流胴等にて、更に安定した流れと
された上で測定部に供給される。
【0038】この発明による流体流れの低乱・低騒音シ
ステムを風洞試験設備の集合胴に適用した例が、図9に
概要図として示されている。図9に示す風洞試験設備4
0は、電動モータ41によって回転駆動されるファン4
2によって気流を循環させている循環型の風洞設備であ
る。ファン42の後流には、ファン42からの流れが拡
散しながらも大きな偏流・脈動を伴って流れる第1拡散
胴43が設けられている。第1拡散胴43の後流には順
次、第1屈曲部44、中間胴45、第2屈曲部46、集
合胴47が続き、集合胴47において、流体攪拌体10
(20,25)、騒音低減手段32及び整流機構34
(整流用平行ハニカム35や整流網36)を備えた本発
明による低乱・低騒音システム30が適用されている。
低乱・低騒音システム30によって流れ変動量が軽減さ
れた低乱・低騒音流れは、縮流胴48で縮流されて、測
定部49に送られる。測定部49には、乱れや騒音が一
層軽減された流れが供給されるので、精度の良い測定結
果が期待できる。
【0039】この発明による流体流れの低乱・低騒音シ
ステムを風洞試験設備の第1拡散胴に適用した例が、概
要図として図10に示されている。図10に示す風洞試
験設備50には、図9に示した風洞試験設備40の構造
と同等の構造には同じ符号を付すことで再度の詳細な説
明を省略する。本発明による低乱・低騒音システム30
は、流体攪拌体10(20,25)をファン42の後流
の第1拡散胴43に配置し、騒音低減手段32と整流機
構34とを第2屈曲部46を経た集合胴47に配置して
いる。低乱・低騒音システム30によって流れ変動量が
軽減された低乱・低騒音流れは、縮流胴48で縮流され
て、測定部49に送られる。
【0040】図11は、本発明による低乱・低騒音シス
テムが、空調システム60に適用された例を示す概要図
である。図11に示す適用例では、本発明による低乱・
低騒音システムの流体攪拌体10(20,25)が、室
内61の空気を室外62へ排気するためにモータ63で
駆動されるファン64が設けられているダクト65の排
風口66に配設されている。低乱・低騒音システムは、
流体攪拌体10(20,25)のみから成るが、流体攪
拌体10(20,25)の変調作用によって低周波数の
騒音は高周波帯域の騒音に変換され、高周波の騒音はそ
の後急速に減衰するので、結果として空調システムの排
風騒音を抑えることができる。勿論、出口側にスペース
の余裕があれば、図7に示すような騒音低減手段32を
設けることができるのは明らかである。なお、低乱・低
騒音システムは、空調システム60の室内側の送風口に
適用できることも、明らかである。
【0041】図12は、本発明による低乱・低騒音シス
テムが、各種の計測装置70の空冷ファンに適用された
例を示す概要図である。図12に示す適用例では、空冷
ファン71はモータ内蔵式であり、空冷ファン71を装
置フレーム72に取り付けるブラケット73の出口側に
低乱・低騒音システムの流体攪拌体10(20,25)
が設けられている。図11に示す適用例と同様に、騒音
低減手段32を設けることも可能である。この適用例に
よれば、計測装置70の測定精度が冷却ファンの騒音に
よって影響を受けるのを軽減することができる。また、
流体攪拌体10(20,25)は、計測装置70以外に
も、例えば、パーソナルコンピュータのような要冷却電
子機器において、その空冷却ファンの出口側にも適用す
ることができ、オフィスの静寂性を高め執務環境の改善
に寄与することができる。
【0042】
【発明の効果】本発明による流体攪拌体は、以上に説明
したように、複数の微小攪拌素子が流体通路を横切る面
内に集合配置されて構成されているので、低周波帯域の
大きな偏流・脈動を伴った一様な流体流れが流体攪拌体
を通過するときに、微小攪拌素子が流体の微小流れ毎に
捻りを与え、その結果、低周波帯域の大きな偏流・脈動
や騒音の動圧成分は、一旦、一定の高周波帯域(乱れ・
騒音)のマイクロ渦流や騒音に変調させられる。高周波
数成分から成るマイクロ渦流や騒音は、減衰しやすく、
流体攪拌体を通過後、急速に減衰する。また、騒音の静
圧成分は微小攪拌素子の表面での反射によって減衰され
やすくなる。従って、この発明によれば、ファン流の低
周波振動成分(偏流・脈動流)と低周波騒音とを同時に低
減することができる。
【0043】この発明は、上記流体攪拌体を風洞設備や
空調設備等を代表とする流れに関する種々の設備に対し
て適用して低乱・低騒音システムとして構成することが
できる。即ち、上記流体攪拌体を風洞設備に適用するこ
とによって、測定部での気流の乱れや騒音を効果的に低
減させることができ、航空機等の飛翔体の研究開発や、
自動車等の走行物体や建築物等の研究開発の分野で高精
度の測定結果が得られる。また、上記流体攪拌体を高層
ビルや大型プラント設備に用いられる大型空調・排風設
備に適用したシステムは、これら大型空調・排風設備等
から発生する低周波騒音を低減することができ、送風機
や排風機等のファンの周囲に居る人間や家畜等にストレ
ス等の有害な影響を与える低周波騒音を軽減する環境対
策としても有効な手段となり得る。また、高速道路など
の道路側壁に適用すれば、騒音の圧力波が流体攪拌体を
通過しようとするときに、特に捻りエレメントで上下・
左右に複雑に反射することで、大きく減衰される。
【0044】この発明による流体攪拌体のその他の適用
例として、次の低乱・低騒音システムを挙げることがで
きる。即ち、吹出風洞の消音塔に設ければ小型の設備
で低周波騒音を解消することができる。計測装置の空
冷ファンの放出口に設けて室内騒音を低減させることが
できる。空港おけるエンジンテスト設備の排ガス吸気
防音壁(排気ガス吸い込み口)のような防音壁に設けれ
ば、騒音の軽減効果と排気ガス循環の影響を小さくする
ことができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明による流体流れの低乱・低騒音化シス
テムに用いられる微小攪拌素子の捻りエレメントの例を
示す斜視図である。
【図2】捻りエレメントや筒体に流体の通過を許容する
孔を形成した例を示す斜視図である。
【図3】図1に示した微小攪拌素子を多数個組み合わせ
て構成した流体攪拌体の一例を示す図であり、図3
(a)はその流体攪拌体の正面図、図3(b)は図3
(a)に示す流体攪拌体のA−A断面図である。
【図4】図1に示した微小攪拌素子を多数個組み合わせ
て構成した流体攪拌体の別の例を示す図であり、図4
(a)はその流体攪拌体の正面図、図4(b)は図4
(a)に示す流体攪拌体のB−B断面図である。
【図5】流体攪拌層の積層態様を示す図であり、図5
(a)は、各流体攪拌層において小攪拌素子を同軸整列
させた態様を示す断面図であり、図5(b)は各流体攪
拌層において小攪拌素子を千鳥状に整列させた態様を示
す断面図である。
【図6】この発明による流体攪拌体の別の実施例を示す
部分斜視図である。
【図7】この発明による低乱・低騒音化シテムの概要を
示す断面図である。
【図8】図7に示す低乱・低騒音化シテムの各領域での
乱れ・駐音の変動物理量を説明するグラフである。
【図9】この発明による流体流れの低乱・低騒音システ
ムを風洞試験設備の集合胴に適用した例を示す概要図で
ある。
【図10】この発明による流体流れの低乱・低騒音シス
テムを風洞試験設備の第1拡散胴に適用した例を示す概
要図である。
【図11】この発明による低乱・低騒音システムを空調
システムに適用した例を示す概要図である。
【図12】本発明による低乱・低騒音システムを計測装
置の空冷ファンに適用した例を示す概要図である。
【符号の簡単な説明】
1a〜1d 微小攪拌素子 1L 微小左攪拌素子 1R 微
小右攪拌素子 2L 左捻りエレメント 2R 右
捻りエレメント 4a 円筒セル 4b 六
角筒セル 5,6孔 10,20,25 流体攪拌体 22,23
流体攪拌層 26 捻りエレメント 26a,2
6b 端部列 27 横桁板 28 縦
桁板 30 低乱・低騒音化システム 31 風路壁 32 騒音低減手段 33 吸
音パネル 34 整流機構 35 整
流用並行ハニカム 36 整流網 40,50 風洞試験設備 42 フ
ァン 43 第1拡散胴 47 集
合胴 60 空調システム 70 計
測装置
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 武田 克巳 東京都立川市一番町6−17−1 エステー ト立川一番町17−505 (72)発明者 長井 健一郎 東京都国立市北3−31−153 (72)発明者 生沼 秀司 東京都日野市日野798 (72)発明者 馬場 滋夫 東京都拝島市拝島町5−5−1 Fターム(参考) 2G023 AA02 AB04 AB13 5D061 EE27 EE40

Claims (18)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 流体通路を流れる流体の微小流れ毎に捻
    りを与える複数の微小攪拌素子が集合配置されて成るこ
    とを特徴とする流体攪拌体。
  2. 【請求項2】 前記微小攪拌素子は、前記流体流れの方
    向に沿って配置される筒体と、前記筒体内に配置され且
    つ捻られた板材から成る捻りエレメントとを有すること
    を特徴とする請求項1に記載の流体攪拌体。
  3. 【請求項3】 前記筒体は、円筒セル、四角筒セル、六
    角筒セル等の筒状セルであることを特徴とする請求項2
    に記載の流体攪拌体。
  4. 【請求項4】 前記捻りエレメントは、軸流方向に沿う
    軸の回りに30度〜180度の範囲内の角度で捻られた
    薄板であることを特徴とする請求項2又は3に記載の流
    体攪拌体。
  5. 【請求項5】 前記薄板又は前記筒体には、前記流体の
    通過を許容する小孔が形成されていることを特徴とする
    請求項2〜4のいずれか1項に記載の流体攪拌体。
  6. 【請求項6】 前記微小攪拌素子は、前記筒体の内部に
    複数の前記捻りエレメントが前記流体の流れ方向に沿っ
    て捻り方向を交互に連接して配置された多連攪拌素子で
    あることを特徴とする請求項2〜5のいずれか1項に記
    載の流体攪拌体。
  7. 【請求項7】 前記微小攪拌素子は前記筒体の内部に一
    つの前記捻りエレメントを配置した単一攪拌素子であ
    り、前記単一攪拌素子を面状に集合配置して形成された
    流体攪拌層が、前記流体の流れ方向に沿って連なる前記
    微小攪拌素子の前記捻りエレメントの捻り方向を交互に
    して、複数段積ねられて構成されていることを特徴とす
    る請求項2〜5のいずれか1項に記載の流体攪拌体。
  8. 【請求項8】 前記微小攪拌素子は捻られた板状に形成
    された捻りエレメントであり、捻り方向を揃えて縦横に
    並べて配置された前記捻りエレメントの縦方向又は横方
    向に面一状に並んだ端部列が共通の桁板に連結されてい
    ることを特徴とする請求項1に記載の流体攪拌体。
  9. 【請求項9】 前記捻りエレメントと前記桁板とは、セ
    ラミックス材料の焼結、又は樹脂材料の真空焼結によっ
    て、一体的に成形されていることを特徴とする請求項8
    に記載の流体攪拌体。
  10. 【請求項10】 請求項1〜9のいずれか1項に記載の
    前記流体攪拌体を、乱れ又は騒音を伴う前記流れに対し
    て適用することで構成されていることから成る流体流れ
    の低乱・低騒音化システム。
  11. 【請求項11】 前記流体通路において、前記流体攪拌
    体の後流側には騒音低減手段が配設されていることから
    成る請求項10に記載の流体流れの低乱・低騒音化シス
    テム。
  12. 【請求項12】 前記騒音低減手段は、前記流体通路の
    壁面の一部を構成する吸音壁、又は前記流体通路の壁面
    に設けられた吸音パネルであることを特徴とする請求項
    11に記載の流体流れの低乱・低騒音化システム。
  13. 【請求項13】 前記騒音低減手段は、前記流体攪拌体
    を通過した前記流体から発生する音に対して逆位相の音
    を発生させるアクティブノイズコントロール手段である
    ことを特徴とする請求項11に記載の流体流れの低乱・
    低騒音化システム。
  14. 【請求項14】 前記騒音低減手段の後流には、前記流
    体の流れを整流化する整流機構が配設されていることか
    ら成る請求項11〜13のいずれか1項に記載の流体流
    れの低乱・低騒音化システム。
  15. 【請求項15】 前記流体攪拌体を前記流体通路の一部
    を構成する集合胴に配置することにより、風洞試験設備
    に適用されることを特徴とする請求項10〜14のいず
    れか1項に記載の流体流れの低乱・低騒音化システム。
  16. 【請求項16】 前記流体攪拌体を室内側の送風口又は
    室外側の排風口に配置することにより、空調システムに
    適用されることを特徴とする請求項10〜14のいずれ
    か1項に記載の流体流れの低乱・低騒音化システム。
  17. 【請求項17】 前記流体攪拌体を熱排出用に設けられ
    る冷却ファンの排気口に配置すること又は前記冷却ファ
    ンの排気口に組み込むことにより、パーソナルコンピュ
    ータや計測機器等の要冷却電子機器に適用されることを
    特徴とする請求項10〜14のいずれか1項に記載の流
    体流れの低乱・低騒音化システム。
  18. 【請求項18】 前記流体攪拌体は、高速道路等の道路
    側壁に適用されていることから成る請求項項10〜14
    のいずれか1項に記載の流体流れの低乱・低騒音化シス
    テム。
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