JP2003057002A - コーティング厚さ検査法 - Google Patents
コーティング厚さ検査法Info
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Abstract
の、コーティングの厚さを非破壊検査する。 【解決手段】 コーティング材と同じ材料を使って一定
温度で熱処理したときの磁化に関する物理的現象の変化
量とコーティング厚さとの相関を示す検定曲線を求めて
おき、検定曲線を求める際の熱処理と同じ温度でコーテ
ィングに熱処理を施すと共にコーティングの磁化に関す
る物理的現象の変化量を測定し、この変化量から検定曲
線を利用して構造部材の表面に施された強磁性となり得
る組成のコーティングの厚さを推定するようにしてい
る。
Description
ティング厚さを検査する方法に関する。さらに詳述する
と、本発明は、ガスタービン動翼の耐食コーティングの
厚さを検査するのに好適な方法に関する。
るには燃焼ガスの高温化が有効であることから、動翼、
静翼、燃焼器などの高温部品には厳しい運転条件が課せ
られる。特に、高速回転する動翼、中でも高圧高温のガ
スが最初に吹き付けられる初段動翼においては、厳しい
条件と高い安全性とが課せられる。そこで、動翼の表面
には十分な厚みの耐食コーティングを施すことが要求さ
れる。
グの施工は、従来、ガスタービン動翼が複雑な曲面形状
を有していることから、真空プラズマ溶射によって行わ
れ、その厚さは溶射時間の調整などにより経験的に制御
されている。
コーティングの厚さを非破壊的に検査する手法は確立さ
れていないことから、溶射後の耐食コーティングの厚さ
を定量的に評価するには、動翼を破壊して組織観察しな
ければならなかった。しかし、高価な動翼を割って耐食
コーティングの厚みを測定するわけには行かないので、
実際には耐食コーティング厚さは測定されていない。一
方で、耐食コーティングの厚さは動翼の耐食性に大きく
関わるため、定量的に評価されることが望まれている。
また、耐食コーティングに限らず、強磁性となり得る組
成を含むコーティング、例えば耐摩耗コーティングなど
においても所望の厚みが得られているか定量的に評価す
ることが望まれる。
特に耐食コーティングの厚さを非破壊検査する検査法を
提供することを目的とする。
め、本発明者らが種々研究・実験した結果、強磁性とな
り得る組成を有するコーティングはその結晶構造が磁化
し易い結晶構造に変化する温度環境下で使用されると
き、例えば耐食コーティングにおいては800℃程度の
高熱を受けるとき、磁性が生じ、更にその磁化に関する
物理的現象例えば透磁率はそのときの温度によって一律
に決まってしまい、透磁率の数値が温度履歴に反映して
いることを知見するに至った。より具体的には、例えば
ニッケルベースの超合金基材にメタルコーティングを施
したタービン動翼等の高温部品では、製造時には磁性を
帯びていなくても、高温雰囲気下で使用されると、高熱
の影響を受けてメタルコーティングが強磁性体となり、
しかもその強磁性は到達最高温度に応じて強さが変化
し、ある程度の間例えば100時間程度は残留している
ことがわかった。更に、コバルト、ニッケルあるいはフ
ェライトの少なくともいずれか1つを主成分とする耐食
コーティング材料、なかでもCoCrAlYのコーティングを
表層に施したガスタービン動翼材料あるいはそのコーテ
ィングに更にAlパックが施されたガスタービン動翼材
料については、実験により、磁性が応力には依存しない
ことが明らかになった。即ち、このような材料では、磁
性は熱履歴に依存し、応力に依存しないことを知見する
に至った。つまり、熱処理温度を一定にすれば、透磁率
が一律に定まり、磁性の強さはコーティングの厚みに依
存することを知見するに至った。
ものであって、構造部材の表面に施された強磁性となり
得る組成のコーティングの厚さを検査する方法におい
て、コーティング材と同じ材料を使って一定温度で熱処
理したときの磁化に関する物理的現象の変化量とコーテ
ィング厚さとの相関を示す検定曲線を求めておき、検定
曲線を求める際の熱処理と同じ温度でコーティングに熱
処理を施すと共にコーティングの磁化に関する物理的現
象の変化量を測定し、この変化量から検定曲線を利用し
てコーティングの厚さを推定するようにしている。
い、厚みを変えて一定温度で熱処理温度をしたときの磁
化に関する物理的現象の変化量例えば透磁率とコーティ
ング厚さとの相関を示す検定曲線を求めておけば、製造
過程においてコーティングに対し検定曲線を求める際の
熱処理と同じ温度の熱処理を加えたときの透磁率を求め
るだけで、検定曲線を利用してコーティングの厚みを求
めることができる。例えばニッケルベースの超合金基材
に耐食メタルコーティングを施したタービン動翼の場
合、基材とコーティングは製造過程では強磁性になり難
いが、ある温度でアニーリングすると耐食コーティング
が強磁性体になり、基材とコーティングとが磁気的に異
なる物質になる。そこで、動翼を検定曲線を得る際に加
えた熱処理温度と同じ温度で熱処理することによって、
この耐食コーティングの磁性を制御し、既知の透磁率と
コーティング厚さとの相関からコーティング厚さを推定
することが可能となる。
は、透磁率の採用が好ましいが、これに特に限定される
ものではなく、その他の磁化に関する物理的現象例えば
渦電流や磁気誘導波形の歪みによっても、コーティング
厚みとの相関をとることができる。
たは2記載の請求項1記載のコーティング厚さ検査法に
おいて、構造部材がガスタービン動翼であり、コーティ
ングがCoCrAlYから成る耐食コーティングであることを
特徴としている。この場合、製造時にはタービン動翼の
基材と共に磁性を示していないCoCrAlYコーティング
が、高温雰囲気下で使用されることによって、磁性が生
じて強磁性体となる。しかも、この磁性は熱履歴にのみ
依存し、応力には依存しない。このことから、コーティ
ングの磁性は到達温度に依存した温度履歴情報として記
憶され、100時間程度は維持される。したがって、同
じ熱処理温度条件下でその透磁率を測定することでコー
ティング厚さを推定することができる。
載のコーティング厚さ検査法において、構造部材がガス
タービン動翼であり、耐食コーティングの上に更にアル
ミパック層が形成されている場合において、耐食コーテ
ィングに対する熱処理は、アルミパックのセメンテーシ
ョン処理の際の加熱処理であることを特徴とする。
てアルミコーティング(アルミパック)で耐食性を高め
るような高温部材の場合、アルミコーティングのセメン
テーションにおける熱処理によりメタルコーティングが
強磁性を帯びる。このため、この場合は製造工程とは別
に新たな熱処理工程を追加する必要なく、この磁性を計
測して耐食コーティング厚さを検査することができる。
勿論、アルミパックを施していないガスタービン初段動
翼の場合には、セメンテーションの熱を利用することが
できないので、製造工程で必要とされる熱処理とは別に
熱処理工程を用意することが必要となる。
厚みの検査方法を一実施態様に基づいて詳細に説明す
る。
性となり得る組成を有するコーティングの厚みを主に製
造時に検査する方法であって、コーティング材と同じ材
料を使って一定温度で熱処理したときの磁化に関する物
理的現象の変化量とコーティング厚さとの相関を示す検
定曲線を求めておき、検定曲線を求める際の熱処理と同
じ温度でコーティングに熱処理を施すと共にコーティン
グの磁化に関する物理的現象の変化量を測定し、この変
化量から検定曲線を利用してコーティングの厚さを推定
するようにしたものである。ここで、磁化に関する物理
的現象としては、本実施形態では透磁率を採用している
が、これに特に限定されるものではなく、その他の磁化
に関する物理的現象例えば渦電流や磁気誘導波形の歪み
によっても、コーティング厚さとの相関をとることがで
きる。
コーティングと同じ材料またはこれと同等の部材(以
下、対比試験体と呼ぶ)を使って、一定熱処理温度で異
なる厚さ毎に所定時間例えば10時間程度熱処理した結
果得られた透磁率とコーティング厚さとの相関をプロッ
トすることによって得られる。ここで、強磁性となり得
る組成を有するコーティングは、その結晶構造が磁化し
易い結晶構造に変化する温度環境下で使用されるとき、
例えば耐食コーティングにおいては800℃程度の高熱
を受けるとき、またコーティング用途に応じたコーティ
ング材料によっては500〜600℃程度の熱を受ける
ときに、磁性が生じる。例えば、ガスタービン動翼の耐
食コーティングの厚みを検査する場合には、動翼(また
はこれと同等の部材)を対比試験体とし、この対比試験
体を800℃〜1000℃で加熱処理してその磁性を測
定してコーティング厚みと透磁率に関する検定曲線を作
成しておく。
ング材としては、例えばコバルト、ニッケルあるいはフ
ェライトの少なくともいずれか1つを主成分とするもの
が代表的なものとして挙げられるが、これに特に限定さ
れるものではない。例えば、ガスタービン動翼の耐食コ
ーティング材のような場合には、ニッケル超合金IN738L
Cやニッケル超合金一方向凝固(Directionally Solidif
ied、DS)材から成る基材の表層に、CoCrAlYのコーティ
ングあるいはそのコーティングに更にAlパックが施さ
れおり、CoCrAlYのコーティング層部分が定格運転時に
強磁性となるものである。
率との相関を示す検定曲線を利用して、製造工程で耐食
コーティングの溶射後に、検定曲線を求める時の熱処理
温度と同じ温度(例えば800℃程度)の熱処理を行
い、透磁率を測定し、測定透磁率から耐食コーティング
厚さを求めることができる。一定温度下での透磁率の数
値・変動はコーティング厚みに反映しており一律に決ま
ってしまう。そこで、この測定透磁率から検定曲線を用
いてコーティング厚みを一義的に精度よく推定すること
ができる。尚、コーティングの磁気計測は例えば低透磁
率測定計を用いて行うことが好ましい。
食コーティングの厚みを検査する手法を説明する。
同じ材質の試験片を作製した。1100℃級ガスタービ
ン初段動翼の基材に用いられているニッケル超合金IN73
8LC,1300℃ガスタービン初段動翼の基材に用いら
れているニッケル超合金一方向凝固(Directionally So
lidified、DS)材、および耐食コーティングに用いられ
るCoCrAlY それぞれ単体の試験片を加工した。そして、
IN738LCおよびCoCrAlY の試験片を人工的に劣化させる
ために、大気中において2個ずつ950℃および1000℃の
熱時効試験に供じ、熱時効材を作製した。尚、試験片の
形状および個数を表1に、ニッケル基合金の化学組成を
表2に、耐食コーティングCoCrAlYの化学組成を表3に
それぞれ示す。
に、コーティングの厚さの異なる試験片を作製した。こ
の試験片は、13個の円柱状DS材の曲面に51〜352
μmの範囲でそれぞれ異なる厚みのコーティングとなる
ようにCoCrAlY を溶射し、その後にアルミパックを施工
した。アルミパックの厚さは約20ミクロンであった。
効材の比透磁率をμメータにより測定した結果を表4に
示す。この結果は、試験片の両平面部中心にμメータプ
ローブを押し付けて測定した結果である。表4から、ニ
ッケル基超合金およびCoCrAlY の磁性は無視できるほど
小さく、即ち、加熱処理しない状態では磁性を示してい
ないことが分かる。しかし、基材となるIN738LCの熱時
効材では高温(950℃,1000℃)での加熱処理直後には
顕著な磁性が見られず、500時間加熱処理した以降で試
験片表層が酸化して磁性が生じていた。因みに、測定対
象を不規則な曲面形状を有する動翼とした場合、測定影
響領域が狭く、リフトオフ変化による信号の減衰が少な
いμメータの使用が適している。μメータによる透磁率
測定は、試験片に磁気誘導原理で透磁率に比例した電圧
を発生させるものである。透磁率に比例した信号と同時
に渦電流が発生してその影響に応じた信号も出力される
が、位相検波回路で渦電流に起因する信号分を除去する
ことによて透磁率のみに比例する信号を取り出すことに
より、感度良く測定できる。研磨後のIN738LC の熱時効
材では顕著な磁性が見られなかったが、500時間以降で
は試験片表層に磁性が生じていた。
定した。その結果を図1に示す。尚、測定においては室
温でデータを取得した。比透磁率の測定は、簡易的に磁
性を評価できる低透磁率計(μメータ)と振動試料型磁力
計(Vibrating Sample Magnetometer、VSM)を用いた。な
お、熱時効材表面に付着した酸化膜のため、抵抗測定が
不可能であったため、試験片を研磨した後、比透磁率を
測定した。
値(比透磁率相当)の平均値を示す。この図からCoCrAl
Y の磁性は、試験温度1000℃の熱時効材は950℃の熱時
効材より比透磁率が高いことが判った。また、両者の比
透磁率は試験時間とともに上昇傾向を示す。IN738LCお
よびCoCrAlY に磁性が生じたのは、それぞれの主成分で
あるNiおよびCoが強磁性元素であり、それらの化合物の
結晶構造が磁化し易い結晶構造に変化したことが原因と
考えられる。
が変化し、熱処理温度に応じて磁性が強くなることが観
測された。さらに、温度と比透磁率との関係を考察する
ため、CoCrAlYの単体の試験片(CoCrAlY 材)およびニッ
ケル超合金基材にコーティング溶射した円盤試験片(コ
ート材)に対し、温度を850℃から1050℃まで変化させ、
10時間の熱処理を実施した。各試験片に対するμメータ
の出力値を図2の(a),(b)に示す。単体のCoCrAl
Y 材に関しては、図2の(a)に示すように、参考のた
めVSM による測定で得られた初期比透磁率も載せてい
る。今回用いたμメータは、平面部が3mmφ以上で、か
つ厚さが1.5mm以上ある試験片に対して、出力値が比透
磁率に相当するように調整されている。しかしながら、
図2の(b)に示すように、コート材のCoCrAlYコーテ
ィングは0.2mmと薄いため、出力値は実際の比透磁率と
大きく異なっていた。しかし、図2より、熱処理温度の
上昇に伴い、CoCrAlY 材の磁性は強くなることが判っ
た。即ち、コーティング試験片においては、非コーティ
ング面(基材となるIN738LCが露出している面)では磁
性に変化が見られなかったのに対し、コーティング面で
は磁性が強くなることを確認することができた。このこ
とから、10時間程度の加熱処理下では、仮にコーティ
ングに欠損等が生じて基材が露出していたとしても、基
材は磁性をもつことがないのでその影響はなく、測定さ
れた透磁率は全てCoCrAlYコーティングからのものであ
ると言える。コーティングの欠損等により露出した基材
が磁性を生じるのは500時間程度経過してからであ
る。
磁性が応力に影響されなければ、温度との間に相関を有
し、コーティングの磁性を測定することにより、加えら
れた温度を推定することが可能となることを示唆してい
る。
響を調べるため,クリープ試験を実施し,比透磁率をμ
メータにより測定した。試験条件は以下に示す通りであ
る。 温度:975℃ 応力:50MPa,100MPa 時間:50hrs 比較のため,クリープ試験と同じ温度制御の熱時効試験
も実施した。磁気測定を中心部で軸方向に2点、周方向
に等間隔で4点の計8箇所で実施した。それぞれの試験
片の比透磁率を図3に示す。図3から判るように応力に
よる影響は無視できるほど小さいものであった。
ほぼ等しい磁気的物性を有するが、熱処理により磁性を
制御できる。すなわち、熱処理によりコーティングと基
材を磁気的に異なるものとすることができることが示さ
れた。また、透磁率が応力に影響されないことも示され
た。そこで、コーティングの磁性を制御することによ
り、電磁気的にコーティング厚さを推定することが可能
となる。この検討のため、上述した13種類の厚さの異
なるCoCrAlY コーティングを有する試験片を用いてコー
ティング厚さの推定を実施した。用いた試験片のCoCrAl
Y の磁性は基材より強くなっていた。これは1300℃
級のガスタービン動翼の場合は、CoCrAlY の上にアルミ
パックが施工されるため、そのアルミパックの熱処理過
程(セメンテーション)によるものと考えられる。各試
験片の透磁率は低透磁率計(μメータ)を用いた。測定方
法としては、磁性に対して感度を有するECT、磁気法(NL
H)および交流電位差法も考えられる。高温環境下におけ
る試験体に付着する酸化膜が電気絶縁層と成り得ること
を考えると、非接触に測定できるECTおよびNLHが有効で
あり、両手法によるコーティング厚さの推定は十分期待
できる。なお、アルミパックの磁性はECTおよびMTの検
出感度から無視できるほど小さいが、アルミパックのた
め基材の感度が低くなることから、アルミパックがある
ケースではμメータの利用の方が精度が良い。勿論、ア
ルミパックのないガスタービン動翼の耐食コーティング
を対象とする場合には、ECTでもばらつきは生じな
い。
る試験片をμメータによりリフトオフ0.1mmで測定し
た。Aスキャン(1点測定)して得られた信号(それぞ
れの縦軸はμメータ出力)を図4に示す。試験周波数に
は、コーティング厚さの変化に最も感度が高くなるよう
に、測定系で許容される最高の周波数である5MHzを選
んだ。コーティング厚さとμメータ出力(絶対値)には
相関性があることを確認できる。尚、図示していない
が、ECTによる測定結果からもコーティング厚さを推
定できたが、アルミパックを有する場合にはその導電性
により、コーティング厚さの差異に対する感度が低くな
るため、測定結果にばらつきが見られた。試験周波数を
500kHz、1MHzと変化させても、信号のばらつきは改善
されず、逆に試験周波数を5kHzとした場合、出力が
得られなかった。
厚さは線形関係にあり、アルミパックを有する場合には
ECTよりも精度良く厚さを推定できることが期待でき
る。図4において、コーティング厚さと各測定結果の関
係を線形近似することによって得られた直線を用い、コ
ーティング厚さを推定した。推定結果を図5に示す。こ
の図からμメータの測定結果は、推定が精度良いことを
示唆しており、コーティング厚さの推定に適していると
言える。μメータの出力とコーティング厚さの相関性は
測定原理から考察できる。図6にμメータのセンサおよ
び測定回路を示す。センサが空気中にある場合、センサ
の芯であるパーマロイの磁気抵抗は上下で対象となり、
検出コイルの差動出力電圧は零となる。一方、センサが
磁性体の近傍にある場合では、パーマロイの磁性体に近
い部分の磁気抵抗が変化し、差動出力電圧は零にはなら
ない。μメータはこの電圧から比透磁率に相当する数値
を出力するように電気回路が設計されている。この磁気
抵抗の変化は、測定領域内の磁気モーメントの積分値に
関連する。使用した試験片のコーティングが薄いため、
結果としてコーティング厚さに応じた出力値が得られて
いる。
施の一例ではあるがこれに限定されるものではなく本発
明の要旨を逸脱しない範囲において種々変形実施可能で
ある。例えば、本実施例ではタービン動翼の耐食コーテ
ィングに適用した例を示したが、これは一例にすぎず、
高温雰囲気下で使用されるタービン動翼以外の高温部材
あるいは構造物の耐食コーティングあるいは高温環境下
での使用で強磁性を示す組成を有するそれ以外の用途の
コーティング材にも適用可能であることはいうまでもな
い。
的現象として透磁率を測定するようにしているがこれに
特に限定されず、場合によっては渦電流法や磁気法など
によって得られる磁化に関する物理的現象を用いるよう
にしても良い。渦電流法は、磁性体に交流磁界を与えて
電磁誘導により渦電流を発生されてそれがつくる鎖交磁
束を測定するものである。渦電流がつくる磁束は磁性材
料の透磁率を反映しているものなので、透磁率の変化が
渦電流や磁束の変化としてECT出力に影響を与えるた
め、これら出力とコーティング厚さとの相関を示す検定
曲線を作成し、かつ同じ熱処理温度下での検査対象コー
ティングからのECT出力を求めれば、これらからコー
ティング厚さを推定することができる。また、磁気法の
1つとしては、例えばNLH(Non linear harmonic)
法が挙げられる。このNLH法は、磁性体に交流磁界を
かけると、磁気誘導波形に歪みが生じることを利用し
て、磁性体の磁性に関連する信号を出力するものであ
る。この歪んだ波形は加えた磁界を基本波として奇数倍
の高調波を含む。交流磁界を加え、測定された磁気誘導
波形の第三次高調波の振幅は磁性体の磁性に相関性があ
るため、振幅から磁性の程度を決定することができる。
この場合にも、透磁率の変化が磁気誘導によって生じる
磁束ひいてはNLHの出力に影響を与えるため、この出
力を利用して検定曲線を作成し、更に検査対象からの出
力でコーティング厚さを推定することができる。
738LCの基材にCoCrAlYのコーティング層を形成した11
00℃級ガスタービン初段動翼を例に挙げて主に説明し
ているが、これに特に限られず、NiCoCrAlYやCoNiCrAlY
などの耐食コーティングについても適用可能であるし、
また、強磁性となり得る組成を有するコーティングであ
れば耐摩耗コーティングやその他の用途のコーティング
の厚さ検査にも適用できることは言うまでもない。更
に、アルミパックのような非磁性材料(比透磁率が1に
近く、強い磁性を示さない材料)で覆われた1300℃
ガスタービン初段動翼のようなものでも適用可能であ
る。アルミパックの透磁率は真空とほぼ等しいため、ア
ルミパックの有無によらず、CoCrAlY の磁性が顕著であ
れば本手法は有効である。
のコーティング厚さ検査法によると、コーティングの厚
さを非破壊的に正確に推定することができる。このこと
は、ガスタービン動翼のような極めて高価な部品を適切
な寿命まで使用することを可能とするコーティングの定
量的な評価、即ち耐食性を保持するに十分な厚さである
か否かを定量的に評価できるので、ガスタービン動翼の
余寿命評価を成す上で極めて効果的である。
して透磁率を採用する場合には、得られる検出信号も極
めて明瞭なものとなり、測定が容易となる。
コーティングの磁化が応力の影響を受けずに温度にのみ
影響されるので、耐食コーティングの厚さの推定精度が
高くなる。
タービン動翼の製造工程で必然的に加えられる熱処理の
熱を利用して耐食コーティングを磁化するようにしてい
るので、新たな熱処理工程の追加を必要とせず、省エネ
によるコストダウンが可能である。
示すグラフである。
グラフで、(a)はCoCrAlY材、(b)はコート材の測
定結果を示す。
験結果を示すグラフで、比透磁率と応力との関係を示し
ている。
示すグラフである。
である。
センサ、(b)磁性体の近傍にあるセンサの概略図であ
る。
Claims (4)
- 【請求項1】 構造部材の表面に施された強磁性となり
得る組成のコーティングの厚さを検査する方法におい
て、前記コーティング材と同じ材料を使って一定温度で
熱処理したときの磁化に関する物理的現象の変化量とコ
ーティング厚さとの相関を示す検定曲線を求めておき、
前記検定曲線を求める際の熱処理と同じ温度で前記コー
ティングに熱処理を施すと共に前記コーティングの前記
磁化に関する物理的現象の変化量を測定し、この変化量
から前記検定曲線を利用して前記コーティングの厚さを
推定することを特徴とするコーティング厚さ検査法。 - 【請求項2】 前記磁化に関する物理的現象の変化量は
透磁率であることを特徴とする請求項1記載のコーティ
ング厚さ検査法。 - 【請求項3】 前記構造部材はガスタービン動翼であ
り、前記コーティングはCoCrAlYから成る耐食コーティ
ングであることを特徴とする請求項1記載のコーティン
グ厚さ検査法。 - 【請求項4】 前記構造部材がガスタービン動翼であ
り、耐食コーティングの上に更にアルミパック層が形成
されている場合において、前記耐食コーティングに対す
る熱処理は、前記アルミパックのセメンテーション処理
の際の加熱処理であることを特徴とする請求項1記載の
コーティング厚さ検査法。
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