JP2003055308A - 不飽和結合を有する脂肪族カーボネート化合物の製造方法 - Google Patents

不飽和結合を有する脂肪族カーボネート化合物の製造方法

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JP2003055308A
JP2003055308A JP2001236972A JP2001236972A JP2003055308A JP 2003055308 A JP2003055308 A JP 2003055308A JP 2001236972 A JP2001236972 A JP 2001236972A JP 2001236972 A JP2001236972 A JP 2001236972A JP 2003055308 A JP2003055308 A JP 2003055308A
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carbonate compound
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JP2001236972A
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Takahisa Sugioka
卓央 杉岡
Yoshimi Yamaguchi
よしみ 山口
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Nippon Shokubai Co Ltd
Original Assignee
Nippon Shokubai Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 生分解性を有し、しかも、不飽和結合を有し
て機能性が高い脂肪族カーボネート化合物を不飽和結合
量の減少を抑制して安全性が高くかつ廉価に製造する方
法を提供する。 【解決手段】 不飽和結合を有する脂肪族アルコール
と、アルキルカーボネートとを必須成分とする反応原
料、又は、不飽和結合を有する脂肪族アルコール及び飽
和脂肪族アルコールと、アルキルカーボネートとを必須
成分とする反応原料を、(1)相間移動触媒存在下で反
応させる、又は、(2)エステル交換触媒の存在下、0
〜70℃で反応させる不飽和結合を有する脂肪族カーボ
ネート化合物の製造方法。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、不飽和結合を有す
る脂肪族カーボネート化合物の製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】カーボネート化合物は、成形品やコーテ
ィング、フィルム材料として工業的に広く用いられてお
り、各種の化学製品を製造するために不可欠な工業材料
であるが、その分子内の−O−CO−O−結合に由来し
て生分解性を示すことから、近年では、自然環境の中で
分解する環境適合性の機能性材料として注目されてい
る。
【0003】このようなカーボネート化合物の製造方法
としては、通常では、ビスフェノールAとホスゲンを原
料として脱塩酸することにより行われている。しかしな
がら、このように製造される場合では、ホスゲンの有す
る毒性や、カーボネート化合物が生成する際に生じる塩
化水素を処理する設備が必要となるため、安全性の点や
製造設備にコストがかかるという問題があった。また、
製造されるカーボネート化合物の生分解性等の機能性を
向上させる工夫の余地があった。すなわちカーボネート
化合物の製造における安全性を向上したり製造コストを
抑制したりすると共に、製造されるカーボネート化合物
に新たな機能性を付与することにより、工業材料として
の価値が向上されたカーボネート化合物を製造するため
の方法を研究する余地があった。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、上記現状に
鑑みてなされたものであり、生分解性を有し、しかも、
不飽和結合を有して機能性が高い脂肪族カーボネート化
合物を不飽和結合量の減少を抑制して安全性が高くかつ
廉価に製造する方法を提供することを目的とするもので
ある
【0005】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、カーボネ
ート化合物の製造方法について種々検討するうち、不飽
和結合を有する脂肪族アルコールと、アルキルカーボネ
ートとを必須成分とする反応原料を、相間移動触媒の存
在下で反応させると、安全性が高くかつ廉価に製造する
ことができることを見いだした。このような製造方法に
おいては、エステル交換反応と共に、不飽和結合のイオ
ン重合による副反応が起こりやすく、生成するカーボネ
ート化合物中の不飽和結合量が減少して優れた硬化性を
発揮するものが得られないことに着目し、相間移動触媒
の存在下で反応を行うことにより、このような副反応を
抑制してエステル交換反応を効率よく行うことができる
ことを見いだし、また、エステル交換触媒の存在下、特
定の温度範囲で反応を行っても同様な作用効果が得られ
ることも見いだし、上記課題をみごとに解決することが
できることに想到した。
【0006】そして製造されるカーボネート化合物が−
O−CO−O−結合を有することに加えて脂肪族である
ことに起因して良好な生分解性を有すると考えられるこ
とや、反応原料を構成するアルコールとして不飽和結合
を有する脂肪族アルコール及び飽和脂肪族アルコールを
用いると、各種の形態の不飽和結合を有する脂肪族カー
ボネート化合物を製造することが可能となり、このよう
な製造方法が高い機能性を発揮する脂肪族カーボネート
化合物を製造するために有効であることも見いだし、本
発明に到達したものである。
【0007】すなわち本発明は、不飽和結合を有する脂
肪族アルコールと、アルキルカーボネートとを必須成分
とする反応原料を、相間移動触媒の存在下で反応させる
不飽和結合を有する脂肪族カーボネート化合物の製造方
法である。本発明はまた、不飽和結合を有する脂肪族ア
ルコール及び飽和脂肪族アルコールと、アルキルカーボ
ネートとを必須成分とする反応原料を、相間移動触媒の
存在下で反応させる不飽和結合を有する脂肪族カーボネ
ート化合物の製造方法でもある。
【0008】本発明は更に、不飽和結合を有する脂肪族
アルコールと、アルキルカーボネートとを必須成分とす
る反応原料を、エステル交換触媒の存在下、0〜70℃
で反応させる不飽和結合を有する脂肪族カーボネート化
合物の製造方法でもある。本発明はそして、不飽和結合
を有する脂肪族アルコール及び飽和脂肪族アルコール
と、アルキルカーボネートとを必須成分とする反応原料
を、エステル交換触媒の存在下、0〜70℃で反応させ
る不飽和結合を有する脂肪族カーボネート化合物の製造
方法でもある。以下に本発明を詳述する。
【0009】本発明の製造方法では、(a)不飽和結合
を有する脂肪族アルコールと、アルキルカーボネートと
を必須成分とする反応原料、又は、(b)不飽和結合を
有する脂肪族アルコール及び飽和脂肪族アルコールと、
アルキルカーボネートとを必須成分とする反応原料を用
いることになる。
【0010】本発明では、いずれの反応原料を用いる場
合でも、アルコールとアルキルカーボネートとがエステ
ル交換してカーボネート化合物が製造されることになる
ことから、カーボネート化合物と共にアルコールが副生
することになるが、従来のホスゲンを用いる製造方法に
比べて反応原料や副生物の毒性は低く、また、副生する
アルコールは蒸留等により容易に除去できることから、
安全性が高くかつ廉価に製造することができることにな
る。また、アルコールとして不飽和結合を有するアルコ
ールを必須とし、かつ脂肪族アルコールを用いることか
ら、不飽和結合を有する脂肪族カーボネート化合物が生
成することになり、このような生成物は、カーボネート
化合物が有する機能性に加えて不飽和結合を有すること
や脂肪族であることの有用性を有することになる。
【0011】本発明における不飽和結合を有する脂肪族
アルコールとしては特に限定されず、例えば、1価アル
コール、多価アルコール等を用いることができるが、末
端に不飽和結合を有することが好ましく、また、不飽和
結合が重合性を有することが好ましい。これにより、本
発明により製造される不飽和結合を有する脂肪族カーボ
ネート化合物が重合性を有することになり、その機能性
を向上することができる。このような脂肪族アルコール
としては、例えば、1,14−テトラデカンジオール
(メタ)アクリレート、1,3−ブタンジオール(メ
タ)アクリレート、1,4−ブタンジオール(メタ)ア
クリレート、1,6−ヘキサンジオール(メタ)アクリ
レート、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、
2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、3−ヒ
ドロキシプロピル(メタ)アクリレート、4−ヒドロキ
シブチル(メタ)アクリレート、3−(メタ)アクリロ
イロキシ−2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレー
ト、3−クロロ−2−ヒドロキシプロピル(メタ)アク
リレート、3−ヒドロキシ−2,2−ジメチルプロピル
(メタ)アクリレート、ジエチレングリコール(メタ)
アクリレート、トリエチレングリコール(メタ)アクリ
レート、テトラエチレングリコール(メタ)アクリレー
ト、ポリエチレングリコール(メタ)アクリレート、プ
ロピレングリコール(メタ)アクリレート、ジプロピレ
ングリコール(メタ)アクリレート、トリプロピレング
リコール(メタ)アクリレート、テトラプロピレングリ
コール(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコー
ル(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパンジ
(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メ
タ)アクリレート、ジペンタエリスリトールペンタ(メ
タ)アクリレート、1,14−テトラデカンジオールビ
ニルエーテル、1,3−ブタンジオールビニルエーテ
ル、1,4−ブタンジオールビニルエーテル、1,6−
ヘキサンジオールビニルエーテル、2−ヒドロキシエチ
ルビニルエーテル、2−ヒドロキシプロピルビニルエー
テル、3−ヒドロキシプロピルビニルエーテル、4−ヒ
ドロキシブチルビニルエーテル、3−(メタ)アクリロ
イロキシ−2−ヒドロキシプロピルビニルエーテル、3
−クロロ−2−ヒドロキシプロピルビニルエーテル、3
−ヒドロキシ−2,2−ジメチルプロピルビニルエーテ
ル、ジエチレングリコールビニルエーテル、トリエチレ
ングリコールビニルエーテル、テトラエチレングリコー
ルビニルエーテル、ポリエチレングリコールビニルエー
テル、プロピレングリコールビニルエーテル、ジプロピ
レングリコールビニルエーテル、トリプロピレングリコ
ールビニルエーテル、テトラプロピレングリコールビニ
ルエーテル、ポリプロピレングリコールビニルエーテ
ル、トリメチロールプロパンジビニルエーテル、ペンタ
エリスリトールトリビニルエーテル、ジペンタエリスリ
トールペンタビニルエーテル等が挙げられるが、特に限
定されるものではない。これらの化合物は1種のみを用
いてもよいし、適宜2種類以上を混合して用いてもよ
い。
【0012】本発明における飽和脂肪族アルコールとし
ては特に限定されず、1価アルコール、多価アルコー
ル、ポリエステルポリオールやポリエーテルポリオール
等のポリヒドロキシ化合物等を用いることができる。こ
れらの中でも、本発明では、多価アルコール、ポリエス
テルポリオールやポリエーテルポリオール等のポリヒド
ロキシ化合物を用いることが好ましい。これらの化合物
は1種のみを用いてもよいし、適宜2種類以上を混合し
て用いてもよい。
【0013】上記多価アルコールとしては、例えば、エ
チレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレ
ングリコール、テトラエチレングリコール、ポリエチレ
ングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレング
リコール、テトラプロピレングリコール、ポリプロピレ
ングリコール、2−メチル−1,3−プロパンジオー
ル、1,3−ブタンジオール、1,4−ブタンジオー
ル、1,6−ヘキサンジオール、ビスフェノールAとプ
ロピレンオキシド又はエチレンオキシドとの付加物、
1,2,3,4−テトラヒドロキシブタン、グリセリ
ン、トリメチロールプロパン、1,3−プロパンジオー
ル、1,2−シクロヘキサングリコール、1,3−シク
ロヘキサングリコール、1,4−シクロヘキサングリコ
ール、パラキシレングリコール、ビシクロヘキシル−
4,4′−ジオール、2,6−デカリングリコール、
2,7−デカリングリコール、1,14−テトラデカン
ジオール、3−(メタ)アクリロイロキシ−1,2−プ
ロパンジオール、3−クロロ−1,2−プロパンジオー
ル、2,2−ジメチル−1,3−プロパンジオール、ペ
ンタエリスリトール、ジペンタエリスリトール、シクロ
ヘキサンジメタノール、水添ビスフェノールA等が挙げ
られる。
【0014】上記ポリエステルポリオールやポリエーテ
ルポリオール等のポリヒドロキシ化合物としては、例え
ば、グリセリン−エチレンオキシド付加物、グリセリン
−プロピレンオキシド付加物、グリセリン−テトラヒド
ロフラン付加物、グリセリン−エチレンオキシド−プロ
ピレンオキシド付加物、トリメチロールプロパン−エチ
レンオキシド付加物、トリメチロールプロパン−プロピ
レンオキシド付加物、トリメチロールプロパン−テトラ
ヒドロフラン付加物、トリメチロールプロパン−エチレ
ンオキシド−プロピレンオキシド付加物、ペンタエリス
リトール−エチレンオキシド付加物、ペンタエリスリト
ール−プロピレンオキシド付加物、ペンタエリスリトー
ル−テトラヒドロフラン付加物、ペンタエリスリトール
−エチレンオキシド−プロピレンオキシド付加物、ジペ
ンタエリスリトール−エチレンオキシド付加物、ジペン
タエリスリトール−プロピレンオキシド付加物、ジペン
タエリスリトール−テトラヒドロフラン付加物、ジペン
タエリスリトール−エチレンオキシド−プロピレンオキ
シド付加物等が挙げられる。
【0015】本発明におけるアルキルカーボネートとし
ては特に限定されず、例えば、アルキル基の炭素数が1
〜12であることが好ましい。このようなアルキルカー
ボネートとしては、例えば、ジメチルカーボネート、ジ
エチルカーボネート、ジプロピルカーボネート、ジイソ
ブチルカーボネート、ジ−tert−ブチルカーボネー
ト、ジアリルカーボネート、ジ−tert−アミルカー
ボネート、ジペンチルカーボネート、ジヘキシルカーボ
ネート、ジドデシルカーボネート、エチレンカーボネー
ト、プロピレンカーボネート、ブチレンカーボネート等
が挙げられるが、特に限定されるものではない。これら
の化合物は1種のみを用いてもよいし、適宜2種類以上
を混合して用いてもよい。これらの中でもジメチルカー
ボネート、ジエチルカーボネートを用いることがより好
ましい。
【0016】本発明における反応原料中の必須成分の重
量割合としては、得られるカーボネート化合物に所望さ
れる物性や用途等に応じて適宜設定すればよい。例え
ば、(a)不飽和結合を有する脂肪族アルコールと、ア
ルキルカーボネートとを必須成分とする反応原料を用い
る場合には、不飽和結合を有する飽和脂肪族アルコール
とアルキルカーボネートとのモル比を、10/1〜1/
10とすることが好ましい。より好ましくは、5/1〜
1/5であり、更に好ましくは、3/1〜 1/
1.5である。また、(b)不飽和結合を有する脂肪族
アルコール及び飽和脂肪族アルコールと、アルキルカー
ボネートとを必須成分とする反応原料を用いる場合に
は、不飽和結合を有する脂肪族アルコール、飽和脂肪族
アルコール及びアルキルカーボネートのモル比を、10
/1/10〜1/10/1とすることが好ましい。より
好ましくは、8/1/8〜1/8/1であり、更に好ま
しくは、5/1/5〜1/5/1である。
【0017】本発明の製造方法では、(1)上記反応原
料を、相間移動触媒の存在下で反応させる形態、又は、
(2)エステル交換触媒の存在下、0〜70℃で反応さ
せる形態のいずれかの形態により反応を行うことにな
る。相間移動触媒の存在下で、又は、エステル交換触媒
の存在下、0〜70℃で反応させることにより、不飽和
結合のイオン重合を抑制することが可能となり、これに
より不飽和結合量の減少を抑制して硬化性が高いカーボ
ネート化合物を効率よく製造することができることとな
る。(1)の形態においては、通常ではエステル交換触
媒が併用されることとなり、また、(1)の形態と
(2)の形態とを併用することが好ましい。すなわち、
本発明の好ましい実施形態は、上記反応原料を、相間移
動触媒及びエステル交換触媒の存在下、0〜70℃で反
応させることである。
【0018】上記(1)の形態において、相間移動触媒
としては、通常、2つの液相が接した系において触媒作
用を有する物質を2相間で往復させることにより反応を
促進することが可能なものであれば、特に限定されず、
例えば、窒素、リン、ヒ素、ビスマス、アンチモン等を
中心原子とする第四級塩及び第四級塩を有する樹脂;ア
ミン塩、アンモニウム塩、クラウンエーテル、ポリエー
テル、クリプタンド、ホスホニウム塩、アルソニウム
塩、アンチモニウム塩、ビスマソニウム塩、α−ホスホ
リルスルホキシド、スルホン、スルフィド等が挙げられ
る。これらは、例えば、米国特許第3992432号明
細書(Starkら)等に記載されている。なお、相間
移動触媒は1種又は2種以上用いることができる。
【0019】上記相間移動触媒の代表的なものとして
は、下記一般式(1)で表される化合物等が挙げられ
る。
【0020】
【化1】
【0021】上記一般式中、Xは、有機及び無機陰イオ
ンからなる群から選択される陰イオンを表し、例えば、
硝酸イオン、安息香酸イオン、フェニル酢酸イオン、ヒ
ドロキシ安息香酸イオン、フェノキシドイオン、ヒドロ
キシドイオン、シアン化物イオン、亜硝酸イオン、特に
好ましくは塩化物イオン、臭化物イオン、酢酸イオン、
ギ酸イオン、プロピオン酸イオン、硫酸水素イオン、メ
チル硫酸イオン、エチル硫酸イオン等である。また、上
記一般式中の陽イオンの部分については、Mが、窒素、
ヒ素、リン、アンチモン又はビスマスを表し、下記に規
定する(A)及び(B)のいずれかの形態から選択され
ることになる。なお、(B)は、R 及びRが互い
に結合した形態であり、(B−1)又は(B−2)の形
態が挙げられる。
【0022】(A);R 、R 、R 及びR
は、同一若しくは異なって、ヒドロカルビル基及び
置換ヒドロカルビル基から選択される基を表す。ただ
し、R 、R 、R 及びR に存在する炭素原子
の合計は、8〜100である。また、R 、R 及び
のいずれか1以上が炭素原子を1個しか有してい
ない場合には、R 、R 、R 及びR 中に存在
する炭素原子の合計は、9〜100である。 (B);(B−1) R 及びRは、互いに結合して
原子Mに結合した二価原子団を表し、該二価原子団は、
その環内に5〜10の炭素原子を有するアルケニレン基
及びヒドロカルビル置換アルケニレン基からなる群から
選択されるものである。R 及びRは、同一若しく
は異なって、炭素原子数1〜25のヒドロカルビル基及
び置換ヒドロカルビル基からなる群から選択される基を
表す。ただし、R 及びR が互いに結合して炭素原
子数8以上のヒドロカルビル置換アルケニレン基を形成
していない場合には、R 及びR の一方は、炭素原
子数8以上のヒドロカルビル基又は置換ヒドロカルビル
基を表す。 (B−2)上記陽イオンは、下記一般式(2)又は
(3)で表される原子団からなる群から選択されるもの
である。
【0023】
【化2】
【0024】上記一般式中、Aは、窒素、酸素、硫黄、
リン等を有する基を表す。R 及びRは、同一若し
くは異なって、炭素原子数1〜25のアルケニレン基及
びヒドロカルビル置換アルケニレン基から選択される基
を表す。m、n及びqは、同一若しくは異なって、0〜
1の整数であって、m+nの合計は、1又は2である。
ただし、R 及びRは、合計して3以上の炭素原子
を有する。R7 及びR8 は、同一若しくは異なって、ヒ
ドロカルビル基及び置換ヒドロカルビル基から選択され
る基を表し、R7 は、炭素原子数1〜25のものであ
り、R8 は、炭素原子数0〜25のものである。ただ
し、qが0であって、R 及びRが互いに結合して
炭素原子数8以上のヒドロカルビル置換アルケニレン基
を形成していない場合には、R7 及びR8 の一方は、炭
素原子数8以上のアルキル基、置換アルキル基、アルケ
ニル基及び置換アルケニル基から選択される基である。
【0025】上記ヒドロカルビルとは、そのもととなる
炭化水素から水素原子を1つ除去して得られる一価の原
子団を意味する。ヒドロカルビルの代表例としては、例
えば、メチル、エチル、プロピル、ブチル、ペンチル、
ヘキシル、ヘプチル、オクチル、ノニル、ウンデシル、
デシル、ドデシル、オクタデシル、ノナデシル、エイコ
シル、ヘンエイコシル、ドコシル、トリコシル、テトラ
コシル、ペンタコシル及びこれらの異性体等の炭素原子
数1〜25のアルキル;フェニル、トリル、キシリル、
ナフチル、ビフェニル、テトラフェニル等の炭素原子数
6〜25のアリール;ベンジル、フェニルエチル、フェ
ニルプロピル、フェニルブチル、フェニルヘキシル、ナ
フチルオクチル等の炭素原子数7〜25のアラルキル;
シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シク
ロヘキシル、シクロヘプチル、シクロオクチル等の炭素
原子数3〜8のシクロアルキル;ビニル、アリル、ブテ
ニル、ペンテニル、ヘキセニル、オクテニル、ノネニ
ル、デセニル、ウンデセニル、ドデセニル、トリデセニ
ル、ペンタデセニル、オクタデセニル、ペンタコシニル
及びその異性体等の炭素原子数2〜25のアルケニル基
等が挙げられる。
【0026】上記アルケニレンとは、そのもととなる炭
化水素の互いに隣接していない炭素原子から水素原子を
2つ除去して得られる二価の原子団を意味し、例えば、
1,3−プロペニレン、1,4−ブテニレン、1,5−
ペンテニレン、1,8−オクテニレン、1,10−デセ
ニレン基等の炭素原子数3〜10のアルケニレン基等が
挙げられる。
【0027】上記置換ヒドロカルビル、置換アルキル、
置換アルケニル、及び、置換アルケニレンは、上記で定
義したヒドロカルビル原子団の1つ以上の水素原子が不
活性基(すなわち、上記一般式(1)の触媒の望ましい
触媒作用に悪影響を及ぼさない化学基)で置換されたも
のを意味する。このような不活性基の代表例は、アミ
ノ、ホスフィノ、ヒドロカルビル、第四窒素(アンモニ
ウム)、第四リン(ホスホニウム)、ヒドロキシル、ア
ミド、アルコキシ、メルカプト、ニトロ、アルキル、ハ
ロ、スルホン、スルホキシド、ホスフェート、ホスファ
イト、カルボキシレート基等が挙げられる。
【0028】上記一般式(1)で表される化合物として
は、例えば、トリブチルメチルアンモニウムクロリド、
トリオクチルメチルアンモニウムクロリド、テトラヘキ
シルアンモニウムクロリド、テトラブチルアンモニウム
クロリド、テトラブチルホスホニウムクロリド、ジオク
チルジメチルアンモニウムクロリド、ジココジメチルア
ンモニウムクロリド、ジドデシルジメチルアンモニウム
クロリド、ジテトラデシルジメチルアンモニウムクロリ
ド、ジオクタデシルジメチルアンモニウムクロリド、ジ
水添タロージメチルアンモニウムクロリド、ジステアリ
ルジメチルアンモニウムクロリド、ジ水添タロージメチ
ルアンモニウムメチルサルフェート、ジデシルジメチル
アンモニウムクロリド、ジヘプチルジメチルアンモニウ
ムクロリド、ドデシルジメチルベンジルアンモニウムク
ロリド、テトラデシルジメチルベンジルアンモニウムク
ロリド、ヘキサデシルジメチルベンジルアンモニウムク
ロリド、ジメチルエチルセチルアンモニウムクロリド、
セチルトリメチルアンモニウムクロリド、トリブチルメ
チルアンモニウムクロリド、ココイミダゾリン−ベンジ
ルクロリド、N,N−セチルエチルモルホリニウムエト
サルフェート、メチル(1)ココアミドエチル(2)コ
コイミド−アゾリニウムメチルサルフェート、N−タロ
ー−ペンタメチル−プロパンジアンモニウムジクロリ
ド、トリフェニルプロピル−ホスホニウムブロミド、テ
トラエチルアンモニウムクロリド、N,N−ソヤエチル
モルホリニウムエトサルフェート、ヘキサデシルピリジ
ニウムクロリド、トリエチルベンジルアンモニウムクロ
リド、ベンジルヒドロキシエチル(2)ココイミダゾリ
ニウムクロリド、ドデシルジエチル(エチルベンジル)
アンモニウムクロリド、テトラデシルジメチル(エチル
ベンジル)アンモニウムクロリド、ヘキサデシルジメチ
ル(エチルベンジル)アンモニウムクロリド、オクタデ
シルジメチル(エチルベンジル)アンモニウムクロリ
ド、オクタデシルジメチルベンジルアンモニウムクロリ
ド、ドデシルジメチルジクロロベンジルアンモニウムク
ロリド、テトラデシルジメチルジクロロベンジルアンモ
ニウムクロリド、ヘキサデシルジメチルジクロロベンジ
ルアンモニウムクロリド、オクタデシルジメチルジクロ
ロベンジルアンモニウムクロリド、テトラデシルトリメ
チルアンモニウムクロリド、ソヤトリメチルアンモニウ
ムクロリド、水添タロートリメチルアンモニウムクロリ
ド、ココトリメチルアンモニウムクロリド、タロートリ
メチルアンモニウムクロリド、メチルビス(2−ヒドロ
キシエチル)ココアンモニウムクロリド、メチル(1)
ソヤアミドエチル(2)ソヤイミダゾリニウムメチルサ
ルフェート、メチル(1)タローアミドエチル(2)タ
ローイミダゾリニウムメチルサルフェート、メチル
(1)オレイルアミドエチル(2)オレイルイミダゾリ
ニウムメチルサルフェート等が挙げられる。
【0029】本発明の方法において特に好ましい相間移
動触媒としては、例えば、下記一般式(4)〜(7)で
表されるもの等が挙げられる。 [CH3(CH234NX (4) [CH3(CH254NX (5) [CH3(CH264NX (6) CH3[CH3(CH2 33NX (7) 上記一般式(4)〜(7)において、Xは、上記と同様
のものを挙げることができるが、最も好ましくは、C
l、Br又は−ORからなる群から選択される基であ
る。ただし、Rは、水素原子、炭素原子数1〜18の
アルキル基、ヒドロカルビル基又は炭素原子数6〜18
のアリール基から選択される基である。
【0030】上記相間移動触媒に加えて、下記一般式
(8)〜(13)で表されるもの等も、特に好ましいも
のとして挙げられる。 CH3(C493NX (8) CH3(C493PX (9) C25(C6133NX (10) (C493N−(CH26−N(C493・2X (11) (C373N−CH26−N(C373・2X (12) CH3(C5112N−(CH24−N(C5112CH3・2X (13) 上記一般式(8)〜(13)において、Xは、上記と同
様のものを挙げることができる。
【0031】上記相間移動触媒の使用量としては、反応
原料100重量%に対して、0.001〜5重量%とす
ることが好ましい。これにより、効率的に不飽和結合を
有する脂肪族カーボネート化合物を製造することができ
る。より好ましくは、0.01〜2重量%である。上記
相間移動触媒は、予め形成しておいた形態で添加しても
よいし、反応混合物中で適当な前駆体化合物の添加によ
り現場(in situ)で形成することもできる。例え
ば、前駆体化合物の添加によって反応混合物中で第四級
塩を形成することは、相間移動触媒を用いる場合に通常
行われることである。
【0032】上記(2)の形態においては、上記反応原
料をエステル交換触媒の存在下、0〜70℃で反応させ
ることになる。反応温度を0〜70℃とすることによ
り、不飽和結合のイオン重合を抑制することが可能とな
り、これにより不飽和結合量の減少を抑制して硬化性が
高いカーボネート化合物を効率よく製造することができ
ることとなる。0℃未満であると、反応速度が遅くな
り、カーボネート化合物の生産性が低下することにな
る。70℃を超えると、主に脂肪族アルコールが有する
不飽和結合のイオン重合が起こりやすくなり、得られる
カーボネート化合物の不飽和結合量が減少して硬化性が
低下することとなる。好ましくは、0〜60℃であり、
より好ましくは、10〜60℃であり、更に好ましく
は、10〜50℃であり、最も好ましくは、20〜50
℃である。
【0033】上記エステル交換触媒としては、0〜70
℃で上記反応原料のエステル交換反応において触媒作用
を有するものであれば特に限定されず、例えば、I族金
属化合物及び/又はII族金属化合物を用いることが好ま
しい。これらの金属化合物はそれぞれ1種又は2種以上
を用いることができ、その種類としては特に限定され
ず、I族及びII族金属の酸化物、水酸化物、炭酸塩、炭
酸水素塩、アルコレート、フェノレート、金属石鹸、ア
セチルアセトネート、等が挙げられる。これらの中でも
ナトリウム及び/又はカリウムの化合物を用いることが
好ましい。このような化合物としては、水酸化ナトリウ
ム、炭酸ナトリウム、炭酸水素ナトリウム、ナトリウム
メトキシド、ナトリウム−tert−ブトキシド、ナト
リウムフェノレート、酢酸ナトリウム、オクテン酸ナト
リウム、水酸化カリウム、炭酸カリウム、炭酸水素カリ
ウム、カリウムメトキシド、カリウム−tert−ブト
キシド、カリウムフェノレート、酢酸カリウム、オクテ
ン酸カリウム等が挙げられる。また、これらと併用して
相間移動触媒を用いる場合には、相間移動触媒として
は、4級アンモニウム塩及び/又はホスフォニウム塩を
用いることが好ましい。これらはそれぞれ1種又は2種
以上を用いることができる。4級アンモニウム塩として
は、例えば、トリオクチルメチルアンモニウムブロマイ
ド、テトラブチルアンモニウムテトラフェニルボレー
ト、トリオクチルメチルアンモニウムバイサルフェー
ト、トリエチルベンジルアンモニウムクロライド等が挙
げられる。ホスフォニウム塩としては、例えば、テトラ
フェニルホスフォニウムブロマイド、テトラブチルホス
フォニウムヒドロキシド等が挙げられる。
【0034】上記エステル交換触媒の使用量としては用
いる触媒の種類等により適宜設定すればよいが、例え
ば、反応原料100重量%に対して、I族金属化合物及
び/又はII族金属化合物の使用量を0.01〜5重量%
とすることが好ましい。より好ましくは、0.05〜2
重量%である。
【0035】本発明の製造方法ではまた、不飽和結合を
有する脂肪族アルコールや、不飽和結合を有する脂肪族
カーボネート化合物の重合を防止して安定して製造する
ことが可能となることから、重合禁止剤を用いることが
好ましい。このような重合禁止剤としては、例えば、N
−オキシル類等が好適であり、例えば、1−オキシル−
2,2,6,6−テトラメチルピペリジン、1−オキシ
ル−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン−4−オ
ール、4−メトキシ−2,2,6,6−テトラメチルピ
ペリジン−1−オキシル、1−オキシル−2,2,6,
6−テトラメチルピペリジン−4−イル−アセテート、
1−オキシル−2,2,6,6−テトラメチルピペリジ
ン−4−イル−2−エチルヘキサノエート、1−オキシ
ル−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン−4−イ
ル−ステアレート、1−オキシル−2,2,6,6−テ
トラメチルピペリジン−4−イル−4−t−ブチルベン
ゾエート、ビス(1−オキシル−2,2,6,6−テト
ラメチルピペリジン−4−イル)コハク酸エステル、ビ
ス(1−オキシル−2,2,6,6−テトラメチルピペ
リジン−4−イル)アジピン酸エステル、ビス(1−オ
キシル−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン−4
−イル)セバケート、ビス(1−オキシル−2,2,
6,6−テトラメチルピペリジン−4−イル)n−ブチ
ルマロン酸エステル、ビス(1−オキシル−2,2,
6,6−テトラメチルピペリジン−4−イル)フタレー
ト、ビス(1−オキシル−2,2,6,6−テトラメチ
ルピペリジン−4−イル)イソフタレート、ビス(1−
オキシル−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン−
4−イル)テレフタレート、ビス(1−オキシル−2,
2,6,6−テトラメチルピペリジン−4−イル)ヘキ
サヒドロテレフタレート、N,N′− ビス(1−オキ
シル−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン−4−
イル)アジパミド、N−(1−オキシル−2,2,6,
6−テトラメチルピペリジン−4−イル)カプロラクタ
ム、N−(1−オキシル−2,2,6,6−テトラメチ
ルピペリジン−4−イル)ドデシルサクシンイミド、
2,4,6−トリス−[N−ブチル−N−(1−オキシ
ル−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン−4−イ
ル)]−s−トリアジン、1−オキシル−2,2,6,
6−テトラメチルピペリジン−4−オン等が挙げられ
る。これらは単独で用いてもよく、2種以上を併用して
もよい。
【0036】上記重合禁止剤の使用量としては、例え
ば、反応原料100重量%に対して、0.001〜1重
量%とすることが好ましい。より好ましくは、0.00
5〜0.5重量%である。また、重合禁止剤の使用方法
としては、反応を行う前に反応原料と混合しておくこと
が好ましい。
【0037】本発明の製造方法における反応方法として
は、例えば、反応原料、エステル交換触媒、相間移動触
媒、並びに、重合禁止剤をそれぞれ所定量混合した反応
原料の混合物を調製し、これを加熱することにより行う
ことができる。上記反応温度以外の反応条件としては、
使用する反応原料の組成や触媒等に応じて適宜設定すれ
ばよく、例えば、常圧、加圧、真空条件等により反応を
行うことができ、各種溶媒中で反応を行うこともでき
る。
【0038】本発明では、反応中にアルコールが生成す
ることから、反応効率を向上するために、生成するアル
コールを反応系から除去することが好ましい。生成する
アルコールを反応系から除去する方法としては、例え
ば、コンデンサで分離回収する方法、各種反応溶媒との
共沸により反応系外に留去する方法、減圧下での反応に
より留去する方法等が好適に適用される。また、得られ
る生成物中に未反応原料や他の副生物が含まれる場合に
は、例えば、反応後の生成物を水洗し、乾燥して、エバ
ポレータ等で未反応原料等を回収することもできる。こ
れにより、純度の高い不飽和結合を有する脂肪族カーボ
ネート化合物を得ることができる。
【0039】本発明の製造方法においては、不飽和結合
を有する脂肪族カーボネート化合物の用途や所望される
物性等に応じて、反応原料中の不飽和結合を有する脂肪
族アルコールや飽和脂肪族アルコールの種類や量等を適
宜設定することになる。また、エステル交換触媒の種類
や量、反応条件等を適宜設定することにより、不飽和結
合を有する脂肪族カーボネート化合物の末端構造の全て
を不飽和結合としたり、一部を水酸基やアルコキシル基
としたりすることが可能であるが、不飽和結合を有する
脂肪族カーボネート化合物の末端構造の全てが不飽和結
合となるように設定することが好ましい。
【0040】本発明の製造方法では、不飽和結合を有す
る脂肪族カーボネート化合物が生成することになるが、
この生成物は、−O−CO−O−結合を有することに加
えて脂肪族であることに起因して良好な生分解性を有
し、しかも、不飽和結合を有することから、機能性の高
い材料として用いることが可能である。また、エステル
交換触媒の存在下で得られるため、着色が少ない生成物
を得ることができる。更に、エステル交換反応における
反応温度が適切に設定されてなることから、副反応であ
る不飽和結合のイオン重合が抑制された生成物を得るこ
とができる。従って、本発明の製造方法により得られる
不飽和結合を有する脂肪族カーボネート化合物は、例え
ば、硬化性に優れた化合物として、また、多官能化合物
として様々な用途に用いることが可能である。その適用
用途としては、良好な生分解性を有することから、医療
用等が挙げられる。
【0041】
【実施例】以下に実施例を揚げて本発明を更に詳細に説
明するが、本発明はこれらの実施例のみに限定されるも
のではない。
【0042】得られた化合物の同定は、FT−NMR
UNITY PLUS 400(Varian社製)を
用いて1H−NMR、13C−NMRを測定することによ
り行った。測定溶媒として0.05%テトラメチルシラ
ン含有のCDCl3を用いた。
【0043】実施例1 ガスインレット、冷却管、温度計、攪拌装置を備え付け
た4つ口フラスコ中に以下の化合物を仕込んだ。 トリメチロールプロパン 8.05g 2−ヒドロキシエチルメタクリレート 25.77g ジエチルカーボネート 23.39g トリオクチルメチルアンモニウムブロマイド 0.11
g 水酸化ナトリウム 0.54g 4−ヒドロキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリ
ジン−1−オキシル 0.1g 乾燥空気流通下、40℃で8時間攪拌した後、冷却管を
バキュームインレットと取り替え、アスピレータを用い
て33.3kPaの真空度に調整しながら40℃で更に
8時間攪拌して反応器外にエタノールを留去させた。反
応後、生成物を水洗及び乾燥し、更にエバポレータで未
反応原料を回収除去したところ、40gの無色透明の粘
調な液体が得られた。得られた粘調な液体に含まれる化
合物の1H−NMR、13C−NMRを測定したところ、1
H−NMRからはメタクリロイル基に帰属される1.9
3ppm、5.58ppm、6.15ppmのピーク
が、 13C−NMRからはカーボネート結合に帰属される
151.5ppmのピークがそれぞれ確認された。
【0044】実施例2 ガスインレット、パーシャルコンデンサ、温度計、攪拌
装置を備え付けた4つ口フラスコ中に以下の化合物を仕
込んだ。 テトラエチレングリコール 19.4g 2−ヒドロキシエチルアクリレート 30.5g ジメチルカーボネート 19.5g テトラブチルアンモニウムテトラフェニルボレート
0.11g カリウム−tert−ブトキシド 0.60g 4−ヒドロキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリ
ジン−1−オキシル 0.1g 乾燥空気流通下、70℃で12時間攪拌した。反応中、
パーシャルコンデンサで共沸成分からメタノールのみを
分離回収した。アスピレータを用いて33.3kPaの
真空度に調整しながら40℃で更に2時間攪拌して反応
器外にメタノールを留去させた。反応後、生成物を水洗
及び乾燥し、更にエバポレータで未反応原料を回収除去
したところ、49gの無色透明の粘調な液体が得られ
た。得られた粘調な液体に含まれる化合物の1H−NM
R、13C−NMRを測定したところ、1H−NMRから
はアクリロイル基に帰属される5.80ppm、6.0
5ppm、6.43ppmのピークが、13C−NMRか
らはカーボネート結合に帰属される151.5ppmの
ピークがそれぞれ確認された。
【0045】実施例3 ガスインレット、パーシャルコンデンサ、温度計、攪拌
装置を備え付けた4つ口フラスコ中に以下の化合物を仕
込んだ。 ペンタエリスリトール 9.53g ジエチレングリコールビニルエーテル 37.9g ジエチルカーボネート 33.9g トリオクチルメチルアンモニウムバイサルフェート
0.11g 水酸化マグネシウム 0.60g 乾燥空気流通下、40℃で8時間攪拌した後、冷却管を
バキュームインレットと取り替え、アスピレータを用い
て33.3kPaの真空度に調整しながら40℃で更に
8時間攪拌して反応器外にエタノールを留去させた。反
応後、生成物を水洗及び乾燥し、更にエバポレータで未
反応原料を回収除去したところ、51gの無色透明の粘
調な液体が得られた。得られた粘調な液体に含まれる化
合物の1H−NMR、13C−NMRを測定したところ、1
H−NMRからはビニルエーテル基に帰属される6.4
7ppmのピークが、13C−NMRからはカーボネート
結合に帰属される151.5ppmのピークがそれぞれ
確認された。
【0046】実施例4 ガスインレット、パーシャルコンデンサ、温度計、攪拌
装置を備え付けた4つ口フラスコ中に以下の化合物を仕
込んだ。 トリメチロールプロパン 9.39g 1,4−ブタンジオールビニルエーテル 33.4g ジメチルカーボネート 27.0g テトラフェニルホスフォニウムブロマイド 0.11g ナトリウムフェノレート 0.62g 乾燥空気流通下、70℃で12時間攪拌した。反応中、
パーシャルコンデンサで共沸成分からメタノールのみを
分離回収した。アスピレータを用いて33.3kPaの
真空度に調整しながら40℃で更に2時間攪拌して反応
器外にメタノールを留去させた。反応後、生成物を水洗
及び乾燥し、更にエバポレータで未反応原料を回収除去
したところ、60gの無色透明の粘調な液体が得られ
た。得られた粘調な液体に含まれる化合物の1H−NM
R、13C−NMRを測定したところ、1H−NMRから
はビニルエーテル基に帰属される6.47ppmのピー
クが、13C−NMRからはカーボネート結合に帰属され
る151.5ppmのピークがそれぞれ確認された。
【0047】実施例5 ガスインレット、冷却管、温度計、攪拌装置を備え付け
た4つ口フラスコ中に以下の化合物を仕込んだ。 2−ヒドロキシエチルメタクリレート 42.95g ジエチルカーボネート 17.72g トリエチルベンジルアンモニウムクロライド 0.11
g 酢酸ナトリウム 0.29g 4−ヒドロキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリ
ジン−1−オキシル 0.05g 乾燥空気流通下、40℃で8時間攪拌した後、冷却管を
バキュームインレットと取り替え、アスピレータを用い
て33.3kPaの真空度に調整しながら40℃で更に
8時間攪拌して反応器外にエタノールを留去させた。反
応後、生成物を水洗及び乾燥し、更にエバポレータで未
反応原料を回収除去したところ、34gの無色透明の粘
調な液体が得られた。得られた粘調な液体に含まれる化
合物の1H−NMR、13C−NMRを測定したところ、1
H−NMRからはメタクリロイル基に帰属される1.9
3ppm、5.58ppm、6.15ppmのピーク
が、 13C−NMRからはカーボネート結合に帰属される
151.5ppmのピークがそれぞれ確認された。
【0048】実施例6 ガスインレット、パーシャルコンデンサ、温度計、攪拌
装置を備え付けた4つ口フラスコ中に以下の化合物を仕
込んだ。 ジエチレングリコールビニルエーテル 29.1g ジメチルカーボネート 11.8g テトラブチルホスフォニウムヒドロキシド 0.08g カリウムメトキシド 0.18g 乾燥空気流通下、70℃で12時間攪拌した。反応中、
パーシャルコンデンサで共沸成分からメタノールのみを
分離回収した。アスピレータを用いて33.3kPaの
真空度に調整しながら40℃で更に2時間攪拌して反応
器外にメタノールを留去させた。反応後、生成物を水洗
及び乾燥し、更にエバポレータで未反応原料を回収除去
したところ、25gの無色透明の粘調な液体が得られ
た。得られた粘調な液体に含まれる化合物の1H−NM
R、13C−NMRを測定したところ、1H−NMRから
はビニルエーテル基に帰属される6.47ppmのピー
クが、13C−NMRからはカーボネート結合に帰属され
る151.5ppmのピークがそれぞれ確認された。
【0049】比較例1 ガスインレット、冷却管、温度計、攪拌装置を備え付け
た4つ口フラスコ中に以下の化合物を仕込んだ。 トリメチロールプロパン 8.05g 2−ヒドロキシエチルメタクリレート 25.77g ジエチルカーボネート 23.39g 水酸化ナトリウム 0.54g 4−ヒドロキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリ
ジン−1−オキシル 0.1g 乾燥空気流通下、120℃で8時間攪拌し反応器外にエ
タノールを留去させた。反応後、生成物を水洗及び乾燥
し、更にエバポレータで未反応原料を回収除去したとこ
ろ、43gの無色透明の粘調な液体が得られた。得られ
た粘調な液体に含まれる化合物の1H−NMR、13C−
NMRを測定したところ、1H−NMRからはメタクリ
ロイル基に帰属される1.93ppm、5.58pp
m、6.15ppmのピークが、13C−NMRからはカ
ーボネート結合に帰属される151.5ppmのピーク
がそれぞれ確認された。しかしながらメタクリロイル2
重結合に由来の5.58ppm、6.15ppmのピー
ク強度は小さくなっており、新たに2.65ppmのピ
ークもあわせて確認された。これらのピークの積分値か
ら28%の2重結合が消失していることが推測される。
【0050】比較例2 ガスインレット、パーシャルコンデンサ、温度計、攪拌
装置を備え付けた4つ口フラスコ中に以下の化合物を仕
込んだ。 テトラエチレングリコール 19.4g 2−ヒドロキシエチルアクリレート 30.5g ジメチルカーボネート 19.5g カリウム−tert−ブトキシド 0.60g 4−ヒドロキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリ
ジン−1−オキシル 0.1g 乾燥空気流通下、120℃で12時間攪拌した。反応
中、パーシャルコンデンサで共沸成分からメタノールの
みを分離回収した。更にアスピレータを用いて33.3
kPaの真空度に調整しながら40℃で更に2時間攪拌
して反応器外にメタノールを留去させた。反応後、生成
物を水洗及び乾燥し、更にエバポレータで未反応原料を
回収除去したところ、49gの無色透明の粘調な液体が
得られた。得られた粘調な液体に含まれる化合物の1
−NMR、13C−NMRを測定したところ、1H−NM
Rからはアクリロイル基に帰属される5.80ppm、
6.05ppm、6.43ppmのピークが、13C−N
MRからはカーボネート結合に帰属される151.5p
pmのピークがそれぞれ確認された。しかしながらアク
リロイル2重結合に由来の5.80ppm、6.05p
pm、6.43ppmのピーク強度は小さくなってお
り、新たに2.48ppmのピークも合わせて確認され
た。これらのピークの積分値から35%の2重結合が消
失していることが推測される。
【0051】
【発明の効果】本発明の不飽和結合を有する脂肪族カー
ボネート化合物の製造方法は、上述のような構成よりな
るため、生分解性を有し、しかも、不飽和結合を有する
ことから、機能性が高くて様々な用途に適用することが
期待できる脂肪族カーボネート化合物を不飽和結合量の
減少を抑制して安全性が高くかつ廉価に製造することが
できる。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き Fターム(参考) 4H006 AA02 AC48 BA51 BA52 BA53 BA65 BC10 BP10 4H039 CA65 CD40 CD90 4J029 AA09 AB04 BA03 BA04 BA05 BD03A BF09 BF18 BF25 BF26 GA31 HC04 JC091 JC631 JE18 JF461 JF471 JF481 KB02 KD02 KE02

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 不飽和結合を有する脂肪族アルコール
    と、アルキルカーボネートとを必須成分とする反応原料
    を、相間移動触媒の存在下で反応させることを特徴とす
    る不飽和結合を有する脂肪族カーボネート化合物の製造
    方法。
  2. 【請求項2】 不飽和結合を有する脂肪族アルコール及
    び飽和脂肪族アルコールと、アルキルカーボネートとを
    必須成分とする反応原料を、相間移動触媒の存在下で反
    応させることを特徴とする不飽和結合を有する脂肪族カ
    ーボネート化合物の製造方法。
  3. 【請求項3】 不飽和結合を有する脂肪族アルコール
    と、アルキルカーボネートとを必須成分とする反応原料
    を、エステル交換触媒の存在下、0〜70℃で反応させ
    ることを特徴とする不飽和結合を有する脂肪族カーボネ
    ート化合物の製造方法。
  4. 【請求項4】 不飽和結合を有する脂肪族アルコール及
    び飽和脂肪族アルコールと、アルキルカーボネートとを
    必須成分とする反応原料を、エステル交換触媒の存在
    下、0〜70℃で反応させることを特徴とする不飽和結
    合を有する脂肪族カーボネート化合物の製造方法。
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Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
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JP2012530050A (ja) * 2010-03-15 2012-11-29 ラマクリシュナ、ラメシャ アンダガル 塩酸プロピベリンの合成

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