JP2003055255A - 経口投与用創傷治癒促進剤 - Google Patents
経口投与用創傷治癒促進剤Info
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Abstract
ること。 【解決手段】 エラスチンを、又はエラスチンに加えて
コンドロイチン硫酸タンパク質複合体及びコラーゲン
を、エラスチン1に対しコンドロイチン硫酸タンパク質
複合体10〜30、コラーゲン15〜50の重量比率で
含有することを特徴とする、経口投与用創傷治癒促進
剤。
Description
癒促進剤に関し、詳しくは有効成分としてエラスチンを
含有することを特徴とする、経口投与用創傷治癒促進
剤、並びにエラスチン、コンドロイチン硫酸タンパク質
複合体及びコラーゲンを含有することを特徴とする経口
投与用創傷治癒促進剤に関する。
産生する細胞間物質よりなる。細胞間物質は組織の構造
維持、必要な弾性の付与、水分維持の機能を有すると共
に、酸素、二酸化炭素、栄養素、老廃物の運搬に関与し
ており、種々の組織、臓器の構造及び代謝の維持に不可
欠である。結合組織の主要な細胞間物質としては、エラ
スチン、コンドロイチン硫酸タンパク質複合体及びコラ
ーゲン等があり、これらの協力によって結合組織に特有
の機能が営まれている。
管、皮膚等の伸展性に富んだ組織にみられる構造タンパ
ク質であり、多くの架橋をそのペプチド鎖間に含み、そ
のためゴム弾性様の伸縮性を有しており、組織の柔軟性
すなわち伸び縮みに関与している。ヒトの皮膚のエラス
チンは年齢と共に減少し、中年期以降ではそれまでに比
して約25%以上減少するといわれており、また、この
減少は、太陽光線への暴露によって加速されることも知
られている。動脈硬化を起こした血管においても、エラ
スチンの顕著な減少が見られる。このようにエラスチン
は、健康な生体組織の弾力性保持の機能に関与している
ことから、皮膚や毛髪などの保護改善を目的とした化粧
品素材として応用されている。
体内でタンパク質との複合体を形成した形で存在してお
り、哺乳類動物の気管支軟骨を始め、皮膚、角膜その他
多くの組織に含まれ、組織の弾力性とみずみずしさを保
つ機能を営んでいる。コンドロイチン硫酸タンパク質複
合体も、エラスチンと同様に老化と深く関わっており、
老化とともに減少することが知られている。
タンパク質であり、生体組織の骨格構造を形成し、ヒト
では身体の総タンパク質の30%近くを占めている。コ
ラーゲンは、コンドロイチン硫酸タンパク質複合体及び
エラスチンと協力することによって結合組織の構造と機
能の維持を行っているが、細胞の接着、増殖や分化等に
も特有の作用を有し、細胞機能の調節因子としての機能
をも有している。
多糖、コラーゲン、エラスチン等を含んだ皮膚エキスを
含有する化粧品が知られている(特開昭60−6490
9)。また、エラスチンでコーティングしたコラーゲン
の円板を創傷部位に直接固定することによって、止血及
び創傷治癒率改善が得られることが報告されている(特
開平7−222793)。
ドロイチン硫酸)及びコラーゲンについて、局所適用す
れば創傷治癒促進効果のあることが知られているもの
の、内服によって創傷治癒が促進されるという報告はな
い。エラスチン、コンドロイチン硫酸タンパク質複合体
及びコラーゲンは、健康食品の形でも経口的に利用され
ているが、これまでのところ皮膚の保湿等を目的とする
に止まっている。また、ムコ多糖、コラーゲン及びエラ
スチン等を含んだ皮膚エキスが外用で創傷治癒効果を有
するという前記知見は、それらの化合物が何れも生体高
分子であり、従って内服してもそのままの形での吸収及
び患部への移行はあり得ないという事情のため、内服で
の創傷治癒促進作用の存在を何ら伺わせるものではなか
った。またエラスチンでコーティングしたコラーゲン円
盤の創傷部位への直接固定による止血と創傷治癒改善に
ついての前記知見も、そのような構造物を直接患部に適
用するのとはかけ離れた内服投与については、なおさら
何らの示唆も与えるものではなかった。
ン、コンドロイチン硫酸タンパク質複合体及びコラーゲ
ンにつき、経口投与による薬理効果の探索を試みた。そ
の結果、エラスチンの内服が、予想外にも創傷治癒促進
効果を表すことを見出した。またエラスチン単独より
も、これにコンドロイチン硫酸タンパク質複合体及びコ
ラーゲンを所定の比率で組み合わせて経口投与すると
き、創傷治癒効果が更に高まることも見出した。本発明
はこれらの発見に基づいてなされたものである。
スチンを含有することを特徴とする、経口投与用創傷治
癒促進剤を提供する。
ン硫酸タンパク質複合体及びコラーゲンを含有すること
を特徴とする、経口投与用創傷治癒促進剤をも提供す
る。
イチン硫酸タンパク質複合体及びコラーゲンを含有する
製剤であって、該製剤中におけるエラスチン、コンドロ
イチン硫酸タンパク質複合体及びコラーゲンの重量比率
がエラスチン1に対しコンドロイチン硫酸タンパク質複
合体10〜30及びコラーゲン15〜50であることを
特徴とする、経口投与用創傷治癒促進剤をも提供する。
外的要因によって皮膚や粘膜等に生じた組織損傷を広く
意味し、切創、擦過傷、裂創等外力によって生じた傷、
熱による火傷、強い紫外線による水疱形成等の皮膚炎
症、及び酸、アルカリ等の薬品との接触による化学熱傷
を含む。
は、コンドロイチン硫酸を高レベルに含有する動物組織
(例:気管軟骨)からコンドロイチン硫酸を構成成分と
して含んだ糖タンパク質画分を抽出、精製することによ
り得られ、約20重量%相当分がコンドロイチン硫酸、
残りがタンパク質よりなる。
チン硫酸タンパク質複合体及びコラーゲンを含有する製
剤の場合、該製剤中におけるエラスチン、コンドロイチ
ン硫酸タンパク質複合体及びコラーゲンの重量比率がエ
ラスチン1に対しコンドロイチン硫酸タンパク質複合体
10〜30及びコラーゲン15〜50であることが好ま
しく、エラスチン1に対してコンドロイチン硫酸タンパ
ク質複合体10〜25及びコラーゲン20〜40である
ことが更に好ましい。またエラスチン1に対してコンド
ロイチン硫酸タンパク質複合体15〜20及びコラーゲ
ン25〜35であることが特に好ましい。
与用創傷治癒促進剤、並びにエラスチン、コンドロイチ
ン硫酸タンパク質複合体及びコラーゲン含有の経口投与
用創傷治癒促進剤は、錠剤、顆粒剤、細粒剤、散剤、カ
プセル剤等、内服に適した任意の固形製剤であってよ
い。また、エラスチン等の薬効成分を含んだ水溶液のよ
うな水性液体製剤(本明細書において、水を少なくとも
主たる溶媒又は分散媒とする製剤をいう。)その他適宜
の液体製剤の形態としてもよい。また、必要に応じて増
粘剤等を更に用いる等により、それら薬効成分を含有す
る水性ゲルの形に製造してもよい。これらの製剤の製造
においては、賦形剤、結合剤、崩壊剤、分散剤、滑沢
剤、希釈剤、吸収促進剤、界面活性剤、溶解補助剤、保
存剤、安定化剤、pH調節剤、緩衝剤その他、一般に内
服用の種々の製剤又は食品に使用されている周知の添加
剤を任意に使用してよい。
ラスチンのみを薬効成分として含有する製剤の場合、通
常成人(体重約60kg)1日あたりの服用量はエラス
チンとして20〜300mgとするのが好ましく、30
〜120mgとするのが更に好ましい。また、本発明の
経口投与用創傷治癒促進剤をエラスチン、コンドロイチ
ン硫酸タンパク質複合体及びコラーゲンの合剤とする場
合には、効果が増強されるためエラスチンは少量でもよ
く、通常成人1日当たりの服用量は、エラスチンについ
て4〜75mgとするのが好ましく、10〜50mgと
するのが更に好ましい。本発明の経口投与用創傷治癒促
進剤は、1日量を2ないし3回に分けて服用するのが好
ましいが、必ずしもこれに限定されない。また、創傷治
癒促進を目的として、健康食品の形で経口的に利用して
もよい。
に説明するが、本発明が該実施例に限定されることは意
図しない。
スチン含有の合剤の投与による、創傷治癒に及ぼす効果
を、ラット皮膚熱傷モデルを用いて検討した。 1.試験動物:8週齢の雄性Wistar系ラット(225〜250
g)60匹を1週間予備飼育の後、健康を確認して試験に
用いた。
コンドロイチン硫酸タンパク質複合体*2とコラーゲンと
の2種合剤、並びに、エラスチン、コンドロイチン硫酸
タンパク質複合体及びコラーゲン*3の3種合剤を用いて
行った。2種合剤及び3種合剤としては、それぞれ、下
記の処方のものを用いた。 (注1:「イーラスチン」、注2:「ムコテイン−TD
M」、注3:「E−CAN」:何れも(株)アズウェル
製)
れぞれ生理食塩液に溶解し、経口投与用には、エラスチ
ンは、0.25、1及び2.5mg/mL、2種合剤は150mg
/mL、3種合剤は1.5、15及び150mg/mLの濃度に
調製した。別に、皮下投与用として、3種合剤を60mg
/mLの濃度に生理食塩液で調製した。
投与経路に対応して次の通りに動物を群分けした。 (a)無処置群: 6匹 (b)対照群(生理食塩液、2mL/kg、経口): 6匹 (c)3種合剤経口投与群(300、30、及び3mg/kg): 各6匹 (d)エラスチン経口投与群(5、2、0.5mg/kg): 各6匹 (e)2種合剤経口投与群(300mg/kg): 6匹 (f)3種合剤皮下投与群(30mg/kg): 6匹 合剤投与群におけるエラスチン、コンドロイチン硫酸タ
ンパク質複合体及びコラーゲンの各投与量は、それぞれ
次の通りである。
ルビタールナトリウム(50mg/kg)で麻酔し、腰背
部を除毛後試験に用いた。先端に銅製の円形チップ(直
径8mm)を取り付けた熱傷作成用電気ゴテ(シナップ
ス株式会社)を100℃に加熱し、温度が安定したことを
確認後、ラット背部に10秒間、12gの荷重をかけてコテ
を押し付けることにより、熱傷を作成した。
定濃度で溶解させた試験物質を、熱傷作成の2日前から
毎日1回、試験終了日までの17日間にわたって、経口投
与群では2mL/kg、皮下投与群では0.5mL/kg
をラットに投与した。
7、10、15、20日目に創部を観察し、創部の状態を以下
の基準に従って数値化しスコアを記録した。 0=白色、1=発赤・浸潤、2=痂皮(大)、3=痂皮
(小)、4=上皮化 (3)皮膚水分含有量の測定:試験終了時、熱傷作成部
位の皮膚を採取し、その水分含量を測定した。 (4)上皮化完了日数 熱傷作成後、痂皮が脱落し上皮化が完了するまでに要し
た日数を記録した。
い、有意水準を5%として評価した。全てのデータは、
平均値±標準偏差(SD)で表した。
れにおいても異常は認められなかった。
では創部が白色に変色してスコアが0となり(図2)、
3日目には発赤し炎症反応が観察された(図3)。6日
目から創部に痂皮が形成され、治癒するに従い上皮化の
完了した部位より痂皮が脱落し始め(図4)、12日目よ
り創部全てが上皮化する個体が見られた(図7)。試験
物質投与群では、熱傷作成から3日目までは対照群と比
較して創部の状態に有意な差は認められなかったが、3
種合剤300mg/kg経口投与群でやや創傷回復スコア
の改善傾向が見られた。6日目から10日目にかけて
(図4、5、6)は、試験物質投与群において全般に創
傷回復スコアは対照群を大きく上回り、特に3種合剤30
0mg/kg経口投与群及びエラスチン2mg/kg経
口投与群では顕著であり、有意な(p<0.05)治癒促進
が確認された。創傷作成後12日目でも(図7)、試験物
質投与群において全般に創傷回復スコアは対照群を更に
大きく上回り、特に3種合剤300mg/kg経口投与
群、3種合剤30mg/kg皮下投与群及びエラスチン2
mg/kg経口投与群では差は顕著であり、有意(p<
0.01)な治癒促進が認められた。創傷作成14日目におい
ても(図8)、試験物質投与群では全般に創傷回復スコ
アが対照群を上回り、特に3種合剤300mg/kg経口
投与群、及び30mg/kg皮下投与群、並びにエラスチ
ン0.5及び2mg/kg経口投与群においては、対照群
との差は顕著で(p<0.05)、上皮化が完了していた。
分含有量は、無処置群で25.8%、対照群で21.8%であ
り、両者間に顕著な差が認められた(図9)。試験物質
投与群では、全群で対照群より高値を示し、特に3種合
剤300mg/kg経口投与群では、皮膚水分含量の顕著
な回復が見られた。
皮化が完了するまでに、平均14.3日を要した(図1
0)。これに対し、試験物質投与群では、3種合剤300
mg/kg経口投与群、3種合剤30mg/kg皮下投与
群、並びにエラスチン2及び0.5mg/kg経口投与群
で上皮化完了に要する日数は顕著に短縮し(p<0.0
5)、それぞれ11.5日、11.8日、12.0日及び12.5日であ
った。
エラスチンは、経口投与で創傷治癒促進効果を現すこと
が見出された。その効果は、試験した3投与量のうち中
央の投与量(2mg/kg)で特に高いという、ベル型
の容量反応関係を有していた。一方、エラスチン、コン
ドロイチン硫酸タンパク質複合体及びコラーゲンを含有
する3種合剤では、試験した投与量範囲において用量依
存的に効果が増大し、300mg/kgで最大の効果であ
った。3種合剤の投与量3、30及び300mg/kgにおけ
るエラスチンの投与量は、それぞれ0.06、0.6及び6.4m
g/kgに相当するにも拘わらず、この範囲で3種合剤
ではベル型ではなく効果の一貫した増大が見られたこと
は、エラスチン単独の効果としては説明できず、また2
種合剤での結果を参酌すると、3種合剤での効果が配合
による単なる相加効果とも考えられない。従って、3種
合剤においてエラスチンにコンドロイチン硫酸タンパク
質複合体及びコラーゲンを配合したことによる作用の増
強が、何らかの別の機序によって起こったことを示して
いる。なお、この試験では、試験物質の評価を皮膚熱傷
モデルを用いて行ったが、各種の創傷において、その治
癒の生理学的プロセスは基本的に同じであるため、エラ
スチン又は3種合剤の経口投与によってここに確認され
た治癒促進効果は、他の多くの原因による創傷治癒プロ
セスに対しても同様に得られることは明らかである。
製剤実施例を例示する。 実施例1: 内服錠 エラスチン・・・・・・・・・・・・・・・50mg 乳糖・・・・・・・・・・・・・・・・・・30mg ブドウ糖・・・・・・・・・・・・・・・・15mg脂肪酸エステル・・・・・・・・・・・・・・5mg 計 100mg 上記の各成分を常法により混和し、打錠して錠剤とす
る。
る。
スチンとコンドロイチン硫酸タンパク質複合体及びコラ
ーゲンを配合した本発明の製剤は、創傷治癒促進のため
に経口投与により用いることができる。
Claims (4)
- 【請求項1】エラスチンを含有することを特徴とする、
経口投与用創傷治癒促進剤。 - 【請求項2】エラスチン、コンドロイチン硫酸タンパク
質複合体及びコラーゲンを含有することを特徴とする、
経口投与用創傷治癒促進剤。 - 【請求項3】エラスチン、コンドロイチン硫酸タンパク
質複合体及びコラーゲンを含有する製剤であって、該製
剤中におけるエラスチン、コンドロイチン硫酸タンパク
質複合体及びコラーゲンの重量比率が、エラスチン1に
対しコンドロイチン硫酸タンパク質複合体10〜30、
コラーゲン15〜50である、経口投与用創傷治癒促進
剤。 - 【請求項4】固形製剤、水性液体製剤又は水性ゲルであ
る、請求項1ないし3の何れかの経口投与用創傷治癒促
進剤。
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JP2001243280A JP4018358B2 (ja) | 2001-08-10 | 2001-08-10 | 経口投与用創傷治癒促進剤 |
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Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
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- 2001-08-10 JP JP2001243280A patent/JP4018358B2/ja not_active Expired - Fee Related
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JP5933264B2 (ja) * | 2009-07-16 | 2016-06-08 | サンスター株式会社 | プロテオグリカン含有物 |
US9585828B2 (en) | 2009-07-16 | 2017-03-07 | Sunstar Inc. | Proteoglycan-containing material |
US9284359B2 (en) | 2011-01-19 | 2016-03-15 | Hirosaki University | Method for mass preparation of proteoglycan |
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