JP2003053958A - インクジェット記録装置 - Google Patents

インクジェット記録装置

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JP2003053958A
JP2003053958A JP2001248750A JP2001248750A JP2003053958A JP 2003053958 A JP2003053958 A JP 2003053958A JP 2001248750 A JP2001248750 A JP 2001248750A JP 2001248750 A JP2001248750 A JP 2001248750A JP 2003053958 A JP2003053958 A JP 2003053958A
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JP
Japan
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heating
belt
roller
recording apparatus
ink
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Application number
JP2001248750A
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English (en)
Inventor
Fujio Miyamoto
不二夫 宮本
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Konica Minolta Inc
Original Assignee
Konica Minolta Inc
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 表層に熱可塑性樹脂粒子を含むインク受容層
を有する記録媒体に対して、そのインク受容層の透明化
及び平滑化を行うベルト定着方式による定着手段を有す
るインクジェット記録装置において、前記定着手段によ
る記録媒体のインク受容層の透明化及び平滑化を適切に
行うことで、従来のものより高品質の画像プリントを作
成することのできるインクジェット記録装置を提供す
る。 【解決手段】 加熱ベルト53及び加圧ベルト57の懸
架される従動ローラ52、56のそれぞれに当該ベルト
部材の寄りを防止するフランジ52a、56aを設け
る。そして、当該ベルト部材にかかる張力を前記従動ロ
ーラ52、56にそれぞれ設けられた付勢手段B、Cに
よって調整する。さらに、前記加熱ベルト53による加
熱温度を加熱ローラ51の表面温度を検知/調整するこ
とによって制御し、且つ、当該加熱ベルト53による加
熱時間を適切な範囲内に制御する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、表層に熱可塑性樹
脂粒子を含むインク受容層を有する記録媒体に対し、イ
ンクを吐出して記録を行うインクジェット記録装置に関
するものである。
【0002】
【従来の技術】記録媒体の記録面上に微小液滴状のイン
クを噴射させて画像記録を行うインクジェット記録は、
近年の技術進歩により銀塩写真に迫る高画質化並びに装
置の低コスト化が可能となるに及び、急速に普及するに
至っている。
【0003】かかるインクジェット記録装置において用
いられるインクは染料インクと顔料インクに大別され
る。染料インクは溶媒に可溶であり、高純度で鮮明な発
色を示し、また、粒子性が無いために散乱光、反射光が
発生しない為、透明性が高く、色相も鮮明である一方、
光化学反応等により色素分子が破壊されると、分子数の
減少がそのまま着色濃度に影響する為、耐光性が悪いと
いう問題がある。これに対し、顔料インクは、溶媒に不
溶であり、色素分子は粒子を形成して溶媒に分散した状
態で着色に寄与しており、表面の分子が光化学反応等に
より破壊されたとしても、その下部に新たな色素分子層
があるので、見かけ上の着色力低下が小さく、染料イン
クに比べて画像保存性に優れるという利点がある。
【0004】しかし、顔料インクは粒子に起因する散乱
光、反射光の影響により光沢性に劣る問題が見られる。
このため、分散剤を含有する顔料インクを用いて画像を
記録形成した記録媒体表面に光沢を付与し、更に画像の
水との接触による滲みを防止すると共に耐擦過性を向上
させる目的で、表層(画像記録面側)に熱可塑性樹脂粒
子を含むインク受容層と該インク受容層の内側に隣接し
たインク溶媒吸収層を有する記録媒体を用いて画像を記
録形成し、その後、記録媒体を加圧加圧することにより
上記インク受容層中の熱可塑性樹脂粒子を溶融及び平滑
化させ、該インク受容層を透明化する技術が提案されて
いる(特願2000−164386)。
【0005】かかる技術において、記録ヘッドにより画
像が記録形成された記録媒体は、インク受容層を透明化
するために搬送手段によって加熱加圧手段に搬送され、
加熱加圧されてインク受容層が透明化及び平滑化される
が、高品質な画像プリントを作成するためには、このイ
ンク受容層の透明化及び平滑化を適切に行うことが必要
となる。
【0006】従来、このインク受容層の透明化及び平滑
化を行う加熱加圧手段は、例えば、図11に示すよう
に、加熱手段100a(電熱ヒーター等)を有する加熱
ローラ100と加圧ローラ101によって記録媒体1の
加熱加圧処理を行う所謂ローラ定着方式によるものが主
流であった。しかしながら、インク受容層の透明化及び
平滑化を十分に行うためには、記録媒体に対して一定時
間以上、加熱加圧処理を行うことが必要とされるため
に、近年においては、このローラ定着方式に替わり、例
えば、図12に示すように、加熱手段100a(電熱ヒ
ーター等)を有する加熱ローラ100、従動ローラ10
2及びこれらに懸架される加熱ベルト103と、加圧ロ
ーラ101、従動ローラ104及びこれらに懸架される
加圧ベルト105によって記録媒体1の加熱加圧処理を
行う所謂ベルト定着方式が広く採用されるようになっ
た。当該ベルト定着方式においては、前記加熱ベルト1
03(前記加圧ベルト105も含む)の周長を伸長する
ことによって、容易に、一定時間以上の加熱加圧処理時
間を確保することが可能となる。
【0007】しかしながら、このベルト定着方式におい
ては、前記加熱ベルト103及び前記加圧ベルト105
を回転させることによりベルトの寄りが生じるという問
題がある(このメカニズムについては特開平11−11
6089に詳述してある。)。従って、このようなベル
トの寄りを防止するために、例えば、太鼓ローラを用い
る方法、ローラ端部にフランジを設ける方法、ベルトに
パーフォレイションを設け、ローラにスプロケットを設
ける方法、ベルトの端部に凸部を設け、ローラの凹部に
入り込む方法等が発明、採用されるに至っている。この
中でも特に、ローラ端部にフランジを設ける方法が、コ
ストが比較的安価で圧力を均一にかけられる等の理由か
ら広く採用されている。
【0008】ところが、このローラ端部にフランジを設
ける方法では、互いのローラが近接している場合、例え
ば、図13に示すように、加熱ベルト103側又は加圧
ベルト105側のどちらか一方のローラ(本図において
は従動ローラ104)にしかフランジ110を設けるこ
とができなかった。従って、フランジが設けられていな
い側のベルトは、依然としてベルトの寄りを生じること
になった。
【0009】また、新たに設けたフランジによって、ベ
ルトに破損が生じたり、ベルト表面の被覆が剥がれてゴ
ミとなり、ベルトとローラの間に進入して記録媒体の記
録面に悪影響を与えるといった問題も生じた。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、上記事情に
鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、
表層に熱可塑性樹脂粒子を含むインク受容層を有する記
録媒体に対して、そのインク受容層の透明化及び平滑化
を行うベルト定着方式による定着手段において、ベルト
部材の懸架されるローラそれぞれに当該ベルト部材の寄
りを防止するフランジを設け、且つ当該ベルト部材にか
かる張力を前記ローラ間の距離を制御することによって
調整し、さらに、当該ベルト部材による加熱温度及び加
熱時間を適切な範囲内に制御する等の方法によって、イ
ンク受容層の透明化及び平滑化を適切に行い、従来のも
のより高品質の画像プリントを作成することのできるイ
ンクジェット記録装置を提供することにある。
【0011】
【課題を解決するための手段】上記課題を解決するため
に、請求項1記載の発明は、表層に熱可塑性樹脂粒子を
含むインク受容層と該インク受容層の内側に隣接したイ
ンク溶媒吸収層とを有する記録媒体に対し、インクを吐
出して記録を行う記録ヘッドと、該記録ヘッドにより記
録された前記記録媒体に対し、該記録媒体のインク受容
層を加熱加圧して透明化するための加熱加圧手段と、前
記記録ヘッドにより記録された前記記録媒体を前記加熱
加圧手段まで搬送する搬送手段とを有するインクジェッ
ト記録装置において、前記加熱加圧手段は、加熱ローラ
と従動ローラ及びこれらに懸架される加熱ベルトと、加
圧ローラと従動ローラ及びこれらに懸架される加圧ベル
トとを少なくとも含み構成されており、且つ、前記記録
媒体を前記加圧ベルトによって前記加熱ベルトへ押圧す
ることで前記記録媒体のインク受容層を加熱加圧して透
明化する構造を成し、さらに、前記加熱ベルト及び前記
加圧ベルトが懸架されるローラの内、少なくとも一つの
ローラは、その端部にフランジを有し、且つ、互いの距
離間隔を調整できるよう移動可能に構成されていること
を特徴とする。
【0012】上記課題を解決するために、請求項2記載
の発明は、請求項1記載のインクジェット記録装置であ
って、前記加熱ローラ及びそれに対応する従動ローラの
直径と前記加熱ベルトの周長との比及び前記加圧ローラ
及びそれに対応する従動ローラの直径と前記加圧ベルト
の周長との比は、10:1〜2:1の範囲内にあること
を特徴とする。
【0013】上記課題を解決するために、請求項3記載
の発明は、請求項1又は請求項2記載のインクジェット
記録装置であって、前記加熱ベルト及び前記加圧ベルト
の厚さは、それぞれ10μm〜100μmの範囲内であ
ることを特徴とする。
【0014】上記課題を解決するために、請求項4記載
の発明は、請求項1乃至請求項3のいずれか一項に記載
のインクジェット記録装置であって、前記加熱ベルト及
び前記加圧ベルトの内面には、それぞれ当該ベルト部材
の内面を清掃する清掃手段が設けられていることを特徴
とする。
【0015】上記課題を解決するために、請求項5記載
の発明は、請求項1乃至請求項4のいずれか一項に記載
のインクジェット記録装置であって、前記加熱ベルト及
び前記加圧ベルトの端部には、それぞれ当該ベルト部材
を補強する補強層が設けられていることを特徴とする。
【0016】上記課題を解決するために、請求項6記載
の発明は、請求項1又は請求項2記載のインクジェット
記録装置であって、前記加熱ローラ、前記加圧ローラ及
び前記従動ローラにかかる線厚は、それぞれ5〜100
N/cmの範囲内であることを特徴とする。
【0017】上記課題を解決するために、請求項7記載
の発明は、請求項1又は請求項2、又は請求項6のいず
れか一項に記載のインクジェット記録装置であって、前
記加熱ローラ、前記加圧ローラ及び前記従動ローラの表
面には、それぞれ摩擦力を低下させる表面処理が施され
ていることを特徴とする。
【0018】上記課題を解決するために、請求項8記載
の発明は、表層に熱可塑性樹脂粒子を含むインク受容層
と該インク受容層の内側に隣接したインク溶媒吸収層と
を有する記録媒体に対し、インクを吐出して記録を行う
記録ヘッドと、該記録ヘッドにより記録された前記記録
媒体に対し、該記録媒体のインク受容層を加熱加圧して
透明化するための加熱加圧手段と、前記記録ヘッドによ
り記録された前記記録媒体を前記加熱加圧手段まで搬送
する搬送手段とを有するインクジェット記録装置におい
て、前記加熱加圧手段は、加熱ローラと従動ローラ及び
これらに懸架される加熱ベルトと、加圧ローラとこれに
付随する押圧手段とを少なくとも含み構成されており、
且つ、前記記録媒体を前記加圧ローラ及びこれに付随す
る押圧手段によって前記加熱ベルトへ押圧することで前
記記録媒体のインク受容層を加熱加圧して透明化する構
造を成し、さらに、前記加熱ベルトが懸架されるローラ
の内、少なくとも一つのローラは、その端部にフランジ
を有し、且つ、互いの距離間隔を調整できるよう移動可
能に構成されていることを特徴とする。
【0019】上記課題を解決するために、請求項9記載
の発明は、請求項8記載のインクジェット記録装置であ
って、前記加熱ローラ及び従動ローラの直径と前記加熱
ベルトの周長との比は、10:1〜2:1の範囲内にあ
ることを特徴とする。
【0020】上記課題を解決するために、請求項10記
載の発明は、請求項8又は請求項9記載のインクジェッ
ト記録装置であって、前記加熱ベルトの厚さは、10μ
m〜100μmの範囲内であることを特徴とする。
【0021】上記課題を解決するために、請求項11記
載の発明は、請求項8乃至請求項10のいずれか一項に
記載のインクジェット記録装置であって、前記加熱ベル
トの内面には、当該ベルト部材の内面を清掃する清掃手
段が設けられていることを特徴とする。
【0022】上記課題を解決するために、請求項12記
載の発明は、請求項8乃至請求項11のいずれか一項に
記載のインクジェット記録装置であって、前記加熱ベル
トの端部には、当該ベルト部材を補強する補強層が設け
られていることを特徴とする。
【0023】上記課題を解決するために、請求項13記
載の発明は、請求項8記載のインクジェット記録装置で
あって、前記加熱ローラ及び従動ローラにかかる線厚
は、それぞれ5〜100N/cmの範囲内であることを
特徴とする。
【0024】上記課題を解決するために、請求項14記
載の発明は、請求項8又は請求項13記載のインクジェ
ット記録装置であって、前記加熱ローラ及び従動ローラ
の表面には、それぞれ摩擦力を低下させる表面処理が施
されていることを特徴とする。
【0025】上記課題を解決するために、請求項15記
載の発明は、請求項7又は請求項14記載のインクジェ
ット記録装置であって、前記表面処理は、フッ素コート
であることを特徴とする。
【0026】上記課題を解決するために、請求項16記
載の発明は、請求項1又は請求項8記載のインクジェッ
ト記録装置であって、前記フランジの材質は、樹脂材料
であるポリイミド、ポリアミドイド、或いは金属材料で
ある鉄、ステンレス、及びこれらを焼入れしたものであ
ることを特徴とする。
【0027】上記課題を解決するために、請求項17記
載の発明は、請求項1又は請求項8、請求項16のいず
れか一項に記載のインクジェット記録装置であって、前
記フランジの内面には、傾斜が設けられていることを特
徴とする。
【0028】上記課題を解決するために、請求項18記
載の発明は、請求項1、請求項2、請求項6乃至請求項
9、請求項13、請求項14のいずれか一項に記載のイ
ンクジェット記録装置であって、前記従動ローラの直径
は、2mm〜100mmの範囲内であることを特徴とす
る。
【0029】上記課題を解決するために、請求項19記
載の発明は、請求項1乃至請求項5、又は請求項8乃至
請求項12のいずれか一項に記載のインクジェット記録
装置であって、前記加熱ベルトの表面温度は、前記加熱
ローラの表面温度に基づいて制御されることを特徴とす
る。
【0030】上記課題を解決するために、請求項20記
載の発明は、請求項19に記載のインクジェット記録装
置であって、前記加熱ベルトの表面温度は、80℃〜1
30℃の範囲内に制御されることを特徴とする。
【0031】上記課題を解決するために、請求項21記
載の発明は、請求項1乃至請求項5、又は請求項8乃至
請求項12、又は請求項19乃至請求項20のいずれか
一項に記載のインクジェット記録装置であって、前記加
熱ベルトによる加熱時間は、1〜15秒の範囲内に制御
されることを特徴とする。
【0032】
【発明の実施の形態】以下、本発明に係るインクジェッ
ト記録装置の好ましい実施形態について、図面を参照し
ながら説明することにする。但し、その前に当該インク
ジェット記録装置において好ましく用いられる記録媒体
及び顔料インクについて記載することにする。
【0033】本発明に係るインクジェット記録装置にお
いて好ましく用いられる記録媒体及び顔料インクとは、
以下に記載するものである。
【0034】図14に示すように、本発明に係るインク
ジェット記録装置に主として用いられる記録媒体1(表
層に熱可塑性樹脂粒子を含有するインク受容層を有する
記録媒体)は、その表層に熱可塑性樹脂粒子を含有する
インク受容層1Bを有し、さらに、該インク受容層1B
に隣接して、該インク受容層1B表面で分離した色材と
インク溶媒成分の内、インク溶媒成分を吸収する空隙層
を有するインク溶媒吸収層1Cを有し、さらにその下層
(底面)に基台となる支持体1Aを少なくとも有し構成
されている。
【0035】前記支持体1Aとしては、従来からインク
ジェット用記録媒体として用いられている支持体を用い
ることができ、例えば、普通紙、アート紙、コート紙及
びキャストコート紙等の紙製支持体の他、プラスチック
支持体、両面をポリオレフィンで被覆した紙支持体、こ
れらを貼り合わせた複合支持体を用いることができる。
【0036】尚、該支持体1Aと前記インク溶媒吸収層
1Cの接着強度を大きくする等の目的で、インク吸収層
の塗布に先立って、該支持体1Aにコロナ放電処理や下
引処理等を行うことが好ましい。さらに、該支持体1A
の両面をポリエチレンでラミネートした紙支持体を用い
ることが、記録画像が写真画質に近く、しかも低コスト
で高品質の画像が得られることから特に好ましい。
【0037】そのようなポリエチレンでラミネートした
紙支持体とは以下に説明するようなものである。紙支持
体に用いられる原紙は木材パルプを主原料とし、必要に
応じて木材パルプに加えてポリプロピレンなどの合成パ
ルプ、或いはナイロンやポリエステルなどの合成繊維を
用いて抄紙される。木材パルプとしては、例えば、LB
KP、LBSP、NBKP、NBSP、LDP、ND
P、LUKP、NUKPのいずれも用いることができる
が、短繊維分の多いLBKP、LBSP、NBSP、N
DP、LDPをより多く用いることが好ましい。但し、
LBSP又はLDPの比率は、10質量%以上、70質
量%以下が好ましい。
【0038】上記パルプには、不純物の少ない化学パル
プ(硫酸塩パルプや亜硫酸塩パルプ)が好ましく用いら
れ、また、漂白処理を行って白色度を向上させたパルプ
も有用である。
【0039】原紙中には、例えば、高級脂肪酸、アルキ
ルテンダイマー等のサイズ剤、炭酸カルシウム、タル
ク、酸化チタンなどの白色顔料、スターチ、ポリアクリ
ルアミド、ポリビニルアルコール等の紙力増強剤、蛍光
増白剤、ポリエチレングリコール類等の水分保持剤、分
散剤、四級アンモニウム等の柔軟化剤などを適宜添加す
ることができる。
【0040】抄紙に使用するパルプの濾水度は、CSF
の規格で200〜500mlが好ましく、また、叩解後
の繊維長がJIS−P−8207に規定される24メッ
シュ残分の質量%と42メッシュ残分の質量%との和が
30乃至70%が好ましい。尚、4メッシュ残分の質量
%は20質量%以下であることが好ましい。
【0041】原紙の坪量は、30〜250gが好まし
く、特に50〜200gが好ましい。原紙の厚さは40
〜250μmが好ましい。
【0042】原紙は、抄紙段階又は抄紙後にカレンダー
処理して高平滑性を与えることもできる。原紙密度は
0.7〜1.2g/m(JIS−P−8118)が一
般的である。更に、原紙剛度はJIS−P−8143に
規定される条件で20〜200gが好ましい。
【0043】原紙表面には、表面サイズ剤を塗布しても
良く、表面サイズ剤としては前記原紙中添加できる高級
脂肪酸、アルキルテンダイマー等のサイズ剤を使用でき
る。
【0044】原紙のpHは、JIS−P−8113で規
定された熱抽出法により測定された場合、5〜9である
ことが好ましい。
【0045】原紙表面及び裏面を被覆するポリエチレン
は、主として低密度のポリエチレン(LDPE)及び/
又は高密度のポリエチレン(HDPE)であるが他のL
LDPEやポリプロピレン等も一部使用することができ
る。
【0046】特に、インク吸収層側のポリエチレン層
は、写真用印画紙で広く行われているようにルチル又は
アナターゼ型の酸化チタンをポリエチレン中に添加し、
不透明度及び白色度を改良したものが好ましい。酸化チ
タン含有量は、ポリエチレンに対して通常3〜20質量
%、好ましくは4〜13質量%である。
【0047】ポリエチレン被覆紙は光沢紙として用いる
ことも、また、ポリエチレンを原紙表面上に溶融押し出
してコーティングする際に所謂型付け処理を行って通常
の写真印画紙で得られるようなマット面や絹目面を形成
した物も本発明で使用できる。
【0048】原紙の表裏に使用されるポリエチレンの使
用量は、空隙層やバック層を設けた後、低湿及び高湿下
でのカールを最適化するように選択されるが、通常、空
隙層側のポリエチレン層が20〜40μm、バック層側
が10〜30μmの範囲である。
【0049】更に上記ポリエチレンで被覆紙支持体は以
下の特性を有していることが好ましい。
【0050】引張り強さ:JIS−P−8113で規定
される強度で縦方向が2〜30kg、横方向が1〜20
kgであることが好ましい。 引裂き強度:JIS−P−8116で規定される強度で
縦方向が10〜200g、横方向が20〜200gであ
ることが好ましい。 圧縮弾性率≧98.1MPa 表面ベック平滑度:JIS−P−8119に規定される
条件で20秒以上が光沢としては好ましいが、所謂型付
け品ではこれ以下であっても良い。 表面粗さ:JIS−B−0601に規定された表面粗さ
が、基準長さ2.5mm当り最大高さが10μm以下で
あることが好ましい。 不透明度:JIS−P−8138に規定された方法で測
定したとき、80%以上、特に85〜98%が好まし
い。 白さ:JIS−Z−8729で規定されるL、a
が、L=80〜95、a=−3〜+5、b
−6〜+2であることが好ましい。 表面光沢度:JIS−Z−8741に規定される60度
鏡面光沢度が、10〜95%であることが好ましい。 クラーク剛直度:記録媒体の搬送方向のクラーク剛直度
が、50〜300cm/100である支持体が好まし
い。 10.中紙の含水率:中紙に対して、通常、2〜100
質量%、好ましくは2〜6質量%。
【0051】前記インク受容層1Bに含有される熱可塑
性樹脂粒子としては、例えば、ポリカーボネート、ポリ
アクリロニトリル、ポリスチレン、ポリアクリル酸、ポ
リメタアクリル酸、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデ
ン、ポリ酢酸ビニル、ポリエステル、ポリアミド、ポリ
エーテル、これらの共重合体及びこれらの塩が挙げら
れ、中でもスチレン−アクリル酸エステル共重合体、塩
化ビニル−酢酸ビニル共重合体、塩化ビニル−アクリル
酸エステル共重合体、エチレン−酢酸ビニル共重合体、
エチレン−アクリル酸エステル共重合体、SBRラテッ
クスが好ましい。熱可塑性樹脂或いは微粒子は、モノマ
ー組成及び、粒径、重合度が違う複数の重合体を混合し
て用いても良い。
【0052】これら熱可塑性樹脂或いは微粒子を選択す
るに際し、インク受容性、加熱及び加圧による加熱加圧
後の画像の光沢性、画像堅牢性及び離型性等を考慮すべ
きである。
【0053】インク受容性については、熱可塑性微粒子
の粒径が0.05μm未満の場合は、顔料インク中の顔
料粒子とインク溶媒の分離が遅くなり、インク吸収速度
の低下を招くことになる。また、10μmを超えると、
支持体上に塗設する際にインク受容層に隣接する溶媒吸
収層との接着性や、塗設乾燥後における記録媒体の被覆
強度の点から好ましくない。このために好ましい熱可塑
性樹脂微粒子径としては0.05〜10μm、より好ま
しくは0.1〜5μmである。さらに好ましくは、0.
1〜1μmである。
【0054】また、熱可塑性樹脂或いは微粒子の選択の
基準としてはガラス転移点(Tg)が挙げられる。Tg
が塗布乾燥温度より低い場合は、例えば、記録媒体製造
時の塗布乾燥温度が既にTgより高く、インク溶媒が透
過するための熱可塑性微粒子による空隙が消失してしま
う。
【0055】また、Tgが、支持体の熱による変形を起
こす温度以上の場合は、顔料インクによるインクジェッ
ト記録後、溶融成膜するために高温での定着操作が必要
となり、装置上の負荷及び支持体の熱安定性等が問題と
なる。熱可塑性微粒子の好ましいTgは50〜150℃
である。また、最低造膜温度(MFT)としては、50
〜150℃のものが好ましい。
【0056】熱可塑性微粒子は、環境適性の観点から、
水系に分散されたものが好ましく、特に、乳化重合によ
り得られた水系ラテックスが好ましい。この際、ノニオ
ン系分散剤を乳化重合したタイプは好ましく用いること
ができる形態である。
【0057】また、用いる熱可塑性微粒子は臭気及び安
全性の観点から残存するモノマー成分が少ない方が好ま
しく、重合体の固形分質量に対して3%以下が好まし
く、更に1%以下が好ましく、特には0.1%以下が好
ましい。
【0058】水溶性バインダーとしては、熱可塑性微粒
子の1〜10%の範囲でポリビニルアルコールや、ポリ
ビニルピロリドンを用いることができる。
【0059】前記インク溶媒吸収層1Cは、インク溶媒
の吸収能を有することが必要であり、この吸収能は無機
固体微粒子を顔料インクの溶媒吸収層中に含有させるこ
とによって得ることができる。このようなインク溶媒吸
収層のことを空隙型と称す。
【0060】尚、当該インク溶媒吸収層1Cには、この
他、膨潤型と称すものがある。因みに、該膨潤型として
は、親水性バインダーとして、例えば、ゼラチン、ポリ
ビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、ポリエチレ
ンオキサイド等を単独若しくは併用して塗布し、これを
インク吸収層としたものを用いることができる。
【0061】前記空隙型としては、微粒子及び親水性バ
インダーを混合して塗布したもので、特に光沢性のある
ものが好ましい。微粒子としては、アルミナ若しくはシ
リカが好ましく、特に、粒径0.1μm以下のシリカを
用いたものが好ましい。親水性バインダーとしては、例
えば、ゼラチン、ポリビニルアルコール、ポリビニルピ
ロリドン、ポリエチレンオキサイド等を単独若しくは併
用したものが好ましい。
【0062】連続、或いは高速プリントに適性を持たせ
るには、記録媒体のインク吸収速度が速い方が適してお
り、この点から、空隙型の方を特に好ましく用いること
ができる。
【0063】以下、該空隙型インク溶媒吸収層について
更に詳細に説明する。空隙層は、主に親水性バインダー
と無機微粒子の軟凝集により形成されるものである。従
来より、皮膜中に空隙を形成する方法は種々知られてお
り、例えば、2種以上のポリマーを含有する均一な塗布
液を支持体上に塗布し、乾燥過程でこれらのポリマーを
互いに相分離させて空隙を形成する方法、固体微粒子及
び親水性又は疎水性バインダーを含有する塗布液を支持
体上に塗布し、乾燥後に、記録媒体を水或いは適当な有
機溶媒を含有する液に浸漬して固定微粒子を溶解させて
空隙を作製する方法、皮膜形成時に発泡する性質を有す
る化合物を含有する塗布液を塗布後、乾燥過程でこの化
合物を発泡させて皮膜中に空隙を形成する方法、多孔質
固体微粒子と親水性バインダーを含有する塗布液を支持
体上に塗布し、多孔質微粒子中や微粒子間に空隙を形成
する方法、親水性バインダーに対して概ね等量以上の容
積を有する固体微粒子及び/又は微粒子油滴と親水性バ
インダーを含有する塗布液を支持体上に塗布し、固体微
粒子の間に空隙を作製する方法等が知られている。本発
明においては、空隙層に、平均粒径が100nm以下の
各種無機微粒子を含有させることによって形成されるこ
とが特に好ましい。
【0064】上記の目的で使用される無機微粒子として
は、例えば、軟質炭酸カルシウム、重質炭酸カルシウ
ム、炭酸マグネシウム、カオリン、クレー、タルク、硫
酸カルシウム、硫酸バリウム、二酸化チタン、酸化亜
鉛、水酸化亜鉛、硫化亜鉛、炭酸亜鉛、ハイドロタルサ
イト、珪酸アルミニウム、ケイソウ土、珪酸カルシウ
ム、珪酸マグネシウム、合成非晶質シリカ、コロイダル
シリカ、アルミナ、コロイダルアルミナ、擬ベーマナイ
ト、水酸化アルミニウム、リトポン、ゼオライト、水酸
化マグネシウム等の白色無機顔料等を挙げることができ
る。
【0065】無機微粒子の平均粒径は、粒子そのもの或
いは空隙層の断面や表面に現れた粒子を電子顕微鏡で観
察し、1,000個の任意の粒子の粒径を求めてその単
純平均値(個数平均)として求められる。ここで個々の
粒子の粒径は、その投影面積に等しい円を仮定したとき
の直径で表したものである。
【0066】固体微粒子としては、シリカ及びアルミナ
又はアルミナ水和物から選ばれた個体微粒子を用いるこ
とが好ましく、シリカがより好ましい。
【0067】シリカとしては、通常の湿式法で合成され
たシリカ、コロイダルシリカ或いは気相法で合成された
シリカ等が好ましく用いられ、本発明において特に好ま
しく用いられる微粒子シリカとしては、コロイダルシリ
カ又は気相法で合成された微粒子シリカであり、中でも
気相法により合成された微粒子シリカは高い空隙率が得
られるだけでなく、染料を固定化する目的で用いられる
カチオン性ポリマーに添加したときに粗大凝集体が形成
されにくいので好ましい。また、アルミナ又はアルミナ
水和物は、結晶性であっても非晶質であってもよく、ま
た不定形粒子、球状粒子、針状粒子など任意の形状のも
のを使用することができる。
【0068】微粒子は、カチオン性ポリマーと混合する
前の微粒子分散液が一次粒子まで分散された状態である
のが好ましい。
【0069】無機微粒子は、その粒径が100nm以下
であることが好ましい。例えば、上記気相法微粒子シリ
カの場合、一次粒子の状態で分散された無機微粒子の一
次粒子の平均粒径(塗設前の分散液状態での粒径)は、
100nm以下のものが好ましく、より好ましくは4〜
50nm、最も好ましくは4〜20nmである。
【0070】最も好ましく用いられる、一次粒子の平均
粒径が4〜20nmである気相法により合成されたシリ
カとしては、例えば、日本アエロジル社のアエロジルが
市販されている。この気相法微粒子シリカは、水中に、
例えば、三田村理研工業株式会社製のジェットストリー
ムインダクターミキサーなどにより吸引分散すること
で、比較的容易に一次粒子まで分散することができる。
【0071】親水性バインダーとしては、例えば、ポリ
ビニルアルコール、ゼラチン、ポリエチレンオキサイ
ド、ポリビニルピロリドン、ポリアクリル酸、ポリアク
リルアミド、ポリウレタン、デキストリン、カラーギー
ナン(κ、ι、λ等)、寒天、プルラン、水溶性ポリビ
ニルブラチール、ヒドロキシエチルセルロース、カルボ
キシメチルセルロース等が挙げられる。これらの水溶性
樹脂は二種以上併用することも可能である。
【0072】本発明で好ましく用いられる水溶性樹脂
は、ポリビニルアルコールである。本発明で好ましく用
いられるポリビニルアルコールには、ポリ酢酸ビニルを
加水分解して得られる通常のポリビニルアルコールの他
に、末端をカチオン変性したポリビニルアルコールやア
ニオン性基を有するアニオン変性ポリビニルアルコール
等の変性ポリビニルアルコールも含まれる。
【0073】酢酸ビニルを加水分解して得られるポリビ
ニルアルコールは、平均重合度が1,000以上のもの
が好ましく用いられ、特に、平均重合度が1,500〜
5,000のものが好ましく用いられる。ケン化度は7
0〜100%のものが好ましく、80〜99.5%のも
のが特に好ましい。
【0074】カチオン変性ポリビニルアルコールとして
は、例えば、特開昭61−10483号公報に記載され
ているような、第一〜三級アミノ基や第四級アンモニウ
ム基を上記ポリビニルアルコールの主鎖又は側鎖中に有
するポリビニルアルコールであり、カチオン性基を有す
るエチレン性不飽和単量体と酢酸ビニルとの共重合体を
ケン化することより得られる。
【0075】カチオン性基を有するエチレン性不飽和単
量体としては、例えば、トリメチル−(2−アクリルア
ミド−2、2−ジメチルエチル)アンモニウムクロライ
ド、トリメチル−(3−アクリルアミド−3、3−ジメ
チルプロピル)アンモニウムクロライド、N−ビニルイ
ミダゾール、N−ビニル−2−メチルイミダゾール、N
−(3−ジメチルアミノプロピル)メタクリルアミド、
ヒドロキシルエチルトリメチルアンモニウムクロライ
ド、トリメチル−(2−メタクリルアミドプロピル)ア
ンモニウムクロライド、N−(1,1−ジメチル−3−
ジメチルアミノプロピル)アクリルアミド等が挙げられ
る。
【0076】カチオン変性ポリビニルアルコールのカチ
オン変性基含有単量体の比率は、酢酸ビニルに対して
0.1〜10モル%、好ましくは0.2〜5モル%であ
る。
【0077】アニオン変性ポリビニルアルコールは、例
えば、特開平1−206088号公報に記載されている
ようなアニオン性基を有するポリビニルアルコール、特
開昭61−237681号公報、同63−307979
9号公報に記載されているようなビニルアルコールと水
溶性基を有するビニル化合物との共重合体及び特開平7
−285265号公報に記載されているような水溶性基
を有する変性ポリビニルアルコールが挙げられる。
【0078】また、ノニオン変性ポリビニルアルコール
としては、例えば、特開平7−9758号公報に記載さ
れているようなポリアルキレンオキサイド基をビニルア
ルコールの一部に付加したりポリビニルアルコール誘導
体、特開平8−25795号公報に記載された疎水性基
を有するビニル化合物とビニルアルコールとのブロック
共重合体等が挙げられる。
【0079】ポリビニルアルコールは、重合度や変性の
種類など二種類以上を併用することもできる。
【0080】色材受容層に用いられる無機微粒子の添加
量は、要求されるインク吸収容量、空隙層の空隙率、無
機微粒子の種類、水溶性樹脂の種類に大きく依存する
が、一般には記録媒体1m当り、通常、5〜30g、
好ましくは10〜25gである。
【0081】また、色材受容層に用いられる無機微粒子
と水溶性樹脂の比率は、質量比で通常2:1〜20:1
であり、特に3:1〜10:1であることが好ましい。
【0082】色材受容層は、分子内に第四級アンモニウ
ム塩基を有するカチオン性の水溶性ポリマーを含有して
も良く、記録媒体1m当り、通常、0.1〜10g、
好ましくは0.2〜5gの範囲で用いられる。
【0083】空隙層において、空隙の総量(空隙容量)
は記録媒体1m当り20ml以上であることが好まし
い。空隙容量が20ml/m未満の場合、印字時のイ
ンク量が少ない場合には、インク吸収性は良好であるも
のの、インク量が多くなるとインクが完全に吸収され
ず、画質を低下させたり、乾燥性の遅れを生じるなどの
問題が生じやすい。
【0084】インク保持能を有する空隙層において、固
形分容量に対する空隙容量を空隙率という。本発明にお
いて、空隙率を50%以上にすることが、不必要に膜厚
を厚くさせないで空隙を効率的に形成できるので好まし
い。
【0085】空隙型の他のタイプとして、無機微粒子を
用いてインク溶媒吸収層を形成させる以外に、ポリウレ
タン樹脂エマルジョンと水溶性エポキシ化合物及び/又
はアセトアセチル化ポリビニルアルコールとを併用し、
更にエピクロルヒドリンポリアミド樹脂を併用させた塗
工液を用いてインク溶媒吸収層を形成させても良い。こ
の場合のポリウレタン樹脂エマルジョンは、ポリカーボ
ネート鎖、ポリカーボネート鎖及びポリエステル鎖を有
する粒子径が3.0μmであるポリウレタン樹脂エマル
ジョンが好ましく、ポリウレタン樹脂エマルジョンのポ
リウレタン樹脂がポリカーボネートポリオール、ポリカ
ーボネートポリオール及びポリエステルポリオール有す
るポリオールと脂肪族系イソシアネート化合物とを反応
させて得られたポリウレタン樹脂が、分子内にスルホン
酸基を有し、さらにエピクロルヒドリンポリアミド樹脂
及び水溶性エポキシ化合物及び/又はアセトアセチル化
ビニルアルコールを有することが更に好ましい。
【0086】上記ポリウレタン樹脂を用いたインク溶媒
吸収層は、カチオンとアニオンの弱い凝集が形成され、
これに伴い、インク溶媒吸収層を有する空隙が形成され
て、画像形成できると推定される。
【0087】以上に述べた、記録媒体に対して用いられ
るインクとしては、以下に説明する水系インク組成物、
油系インク組成物、固体(相変化)インク組成物等を挙
げることできる。特に、水系インク組成物(例えば、イ
ンク総質量当り10質量%以上の水を含有する水系イン
クジェット記録液等)は、好ましく用いることができ
る。
【0088】着色材としては、画像保存性の観点から顔
料を用いることが好ましい。顔料インク中の顔料として
は、不溶性顔料、レーキ顔料等の有機顔料及び、カーボ
ンブラックを好ましく用いることができる。
【0089】不溶性顔料としては、特に限定するもので
はないが、例えば、アゾ、アゾメチン、メチン、ジフェ
ニルメタン、トリフェニルメタン、キナクリドン、アン
トラキノン、ペリレン、インジゴ、キノフタロン、イソ
インドリノン、イソインドリン、アジン、オキサジン、
チアジン、ジオキサジン、チアゾール、フタロシアニ
ン、ジケトピロロピロール等が好ましい。
【0090】好ましく用いることのできる具体的顔料と
しては、以下の顔料が挙げられる。マゼンタ又はレッド
用の顔料としては、C.I.ピグメントレッド2、C.
I.ピグメントレッド3、C.I.ピグメントレッド
5、C.I.ピグメントレッド6、C.I.ピグメント
レッド7、C.I.ピグメントレッド15、C.I.ピ
グメントレッド16、C.I.ピグメントレッド48:
1、C.I.ピグメントレッド53:1、C.I.ピグ
メントレッド57:1、C.I.ピグメントレッド12
2、C.I.ピグメントレッド123、C.I.ピグメ
ントレッド139、C.I.ピグメントレッド144、
C.I.ピグメントレッド149、C.I.ピグメント
レッド166、C.I.ピグメントレッド177、C.
I.ピグメントレッド178、C.I.ピグメントレッ
ド222等が挙げられる。
【0091】オレンジ又はイエロー用の顔料としては、
C.I.ピグメントオレンジ31、C.I.ピグメント
オレンジ43、C.I.ピグメントイエロー12、C.
I.ピグメントイエロー13、C.I.ピグメントイエ
ロー14、C.I.ピグメントイエロー15、C.I.
ピグメントイエロー17、C.I.ピグメントイエロー
93、C.I.ピグメントイエロー94、C.I.ピグ
メントイエロー138等が挙げられる。
【0092】グリーン又はシアン用の顔料としては、
C.I.ピグメントブルー15、C.I.ピグメントブ
ルー15:2、C.I.ピグメントブルー15:3、
C.I.ピグメントブルー16、C.I.ピグメントブ
ルー60、C.I.ピグメントグリーン7等が挙げられ
る。
【0093】これらの顔料は、必要に応じて顔料分散剤
を使用してもよく、使用できる顔料分散剤としては、例
えば、高級脂肪酸塩、アルキル硫酸塩、アルキルエステ
ル硫酸塩、アルキルスルホン酸塩、スルホコハク酸塩、
ナフタレンスルホン酸塩、アルキルリン酸塩、ポリオキ
シアルキレンアルキルエーテルリン酸塩、ポリオキシア
ルキレンアルキルフェニルエーテル、ポリオキシエチレ
ンポリオキシプロピレングリコール、グリセリンエステ
ル、ソルビタンエステル、ポリオキシエチレン脂肪酸ア
ミド、アミンオキシド等の活性剤、或いはスチレン、ス
チレン誘導体、ビニルナフタレン誘導体、アクリル酸、
アクリル酸誘導体、マレイン酸、マレイン酸誘導体、イ
タコン酸、イタコン酸誘導体、フマル酸、フマル酸誘導
体から選ばれた2種以上の単量体からなるブロック共重
合体、ランダム共重合体及びこれらの塩を挙げることが
できる。
【0094】顔料の分散方法としては、その方法に特に
制限はないが、例えば、ボールミル、サンドミル、アト
ライター、ロールミル、アジテータ、ヘンシェルミキ
サ、コロイドミル、超音波ホモジナイザー、パールミ
ル、湿式ジェットミル、ペイントシェーカー等各種を用
いることができる。
【0095】また、顔料分散体の粗粒分を除去する目的
で、遠心分離装置を使用すること、フィルターを使用す
ることも好ましい方法である。
【0096】顔料インク中の顔料の平均粒径は、インク
中での安定性、画像濃度、光沢感、耐光性などを考慮し
て選択するが、加えて本発明のインクジェット記録装置
においては、光沢向上、質感向上の観点からも粒径を選
択するのが好ましい。
【0097】顔料インクとして好ましい形態である水系
インク組成物は、水溶性有機溶媒を併用することが好ま
しい。
【0098】水溶性有機溶媒としては、例えば、アルコ
ール類(例えば、メタノール、エタノール、プロパノー
ル、イソプロパノール、ブタノール、イソブタノール、
セカンダリーブタノール、ターシャリーブタノール、ペ
ンタノール、ヘキサノール、シクロヘキサノール、ベン
ジルアルコール等)、多価アルコール類(例えば、エチ
レングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレン
グリコール、ポリエチレングリコール、プロピレングリ
コール、ジプロピレングリコール、ポリプロピレングリ
コール、ブチレングリコール、ヘキサンジオール、ペン
タンジオール、グリセリン、ヘキサントリオール、チオ
ジグリコール等)、多価アルコールエーテル類(例え
ば、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレン
グリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモ
ノブチルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエ
ーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、プ
ロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレング
リコールモノブチルエーテル、エチレングリコールモノ
メチルエーテルアセテート、トリエチレングリコールモ
ノメチルエーテル、トリエチレングリコールモノエチル
エーテル、トリエチレングリコールモノブチルエーテ
ル、エチレングリコールモノフェニルエーテル、プロピ
レングリコールモノフェニルエーテル等)、アミン類
(例えば、ホルムアミド、N,N−ジメチルホルムアミ
ド、N,N−ジメチルアセトアミド等)、複素環類(例
えば、2−ピロリドン、N−メチル−2−ピロリドン、
シクロヘキシルピロリドン、2−オキサゾリドン、1,
3−ジメチル−2−イミダゾリジノン等)、スルホキシ
ド類(例えば、ジメチルスルホキシド等)、スルホン類
(例えば、スルホラン等)、尿素、アセトニトリル、ア
セトン等が挙げられる。好ましい水溶性有機溶媒として
は、多価アルコール類が挙げられる。さらに、多価アル
コールと多価アルコールエーテルを併用することが特に
好ましい。
【0099】水溶性有機溶媒は、単独若しくは複数を併
用しても良い。水溶性有機溶媒のインク中の添加量とし
ては、総量で5〜60%であり、好ましくは10〜35
質量%である。
【0100】インク組成物は、吐出安定性、記録ヘッド
やインクカートリッジ適合性、保存安定性、画像保存
性、その他の諸性能向上の目的に応じて、熱可塑性微粒
子、粘土調整剤、表面張力調整剤、比抵抗調整剤、皮膜
形成剤、分散剤、界面活性剤、紫外線吸収剤、酸化防止
剤、退色防止剤、防バイ剤、防錆剤等を適宜添加するこ
ともできる。
【0101】特に、熱可塑性微粒子を添加することは、
高品質の画像を得る上で好ましい。熱可塑性微粒子につ
いては、上記の記録媒体表層に添加することのできる熱
可塑性樹脂或いは微粒子の説明で記載した種類を利用で
きる。特に、インクに添加しても増粘、沈殿等の起こら
ないものを適用するのが好ましい。熱可塑性微粒子の平
均粒径としては、0.5μm以下が好ましく、より好ま
しくは、インク中の顔料の平均粒径の0.2倍〜2倍の
範囲で選択すると安定性の観点で好ましい。添加する熱
可塑性微粒子は、50℃〜200℃の範囲で溶融、軟化
するものが好ましい。
【0102】インク組成物は、その飛翔時の粘度として
40mPa・s以下が好ましく、30mPa・s以下で
あることがより好ましい。
【0103】インク組成物は、その飛翔時の表面張力と
して20mN/m以下が好ましく、30〜45mN/m
以下であることがより好ましい。
【0104】インク中の顔料固形分濃度は、0.1〜1
0%の範囲で選択でき、写真画像を得るには、顔料固形
分濃度を各々変化した、所謂濃淡インクを用いることが
好ましく、イエロー、マゼンタ、シアン、ブラックの濃
淡インクを各々用いることは特に好ましい。また、必要
に応じて、赤、緑、青等の特色インクを用いることも、
色再現性上好ましい。
【0105】以上に挙げた記録媒体及び顔料インクが、
本発明に係るインクジェット記録装置に好ましく用いら
れるものである。
【0106】次に、本発明である請求項1に係るインク
ジェット記録装置の好ましい実施形態について、図1乃
至図6を参照しながら説明することにする。
【0107】図1に、本発明である請求項1に係るイン
クジェット記録装置の一実施形態を示す。同図に示すよ
うに、本実施形態におけるインクジェット記録装置は、
主に、記録媒体1を搬送する手段である記録媒体搬送手
段2と、記録媒体1の記録面上に所定の画像を記録する
為の記録ヘッド3と、記録媒体1を所定の大きさに裁断
する手段である裁断手段4と、画像が記録形成された後
の記録媒体1に対して定着処理を施す為の定着手段5と
により構成されている。
【0108】前記記録媒体1は、記録媒体搬送手段(以
下、単に搬送手段と称す。)2によって図に示す矢印方
向へ搬送され、搬送手段2の下流側に配置された記録ヘ
ッド3によってその記録面上に所定の画像が記録され
る。そして、記録後の記録媒体1は、記録ヘッド3の下
流側に配置された裁断手段4へ搬送され、所定の大きさ
に裁断される。さらに、裁断後の記録媒体1は、定着手
段5へ搬送され、その記録面上に記録された画像の定着
処理を施された後、該インクジェット記録装置の外部へ
と排出される。
【0109】尚、前記記録媒体1は、図示例ではロール
状に巻回された長尺状のロールペーパーを用いた例を示
しているが、これに限らず、適宜サイズに裁断されたシ
ート状の記録媒体であっても良い。
【0110】前記搬送手段2は、図示省略の駆動手段に
より回転駆動される搬送ローラ21と、記録媒体1を該
搬送ローラ21との間に挟みつけるための従動ローラ2
2とを有して構成され、記録媒体1を搬送ローラ21と
従動ローラ22との間に挟持した状態で、搬送ローラ2
1の回転駆動により、後述する記録ヘッド3による画像
記録に応じて図示矢印方向(副走査方向)へ所定量搬送
するようになっている。
【0111】前記記録ヘッド3は、搬送手段2の下流側
に配置され、記録媒体1の幅方向に亘り該記録媒体1の
搬送方向と略直交するように架設された操作ガイド(図
示省略)に沿って主走査移動可能に構成された往復操作
型の記録ヘッドである。
【0112】該記録ヘッド3は、例えばY(イエロ
ー)、M(マゼンタ)、C(シアン)、K(ブラック)
等の各色の顔料インクが貯留された複数のインクタンク
を有しており、走査ガイド31に沿って主走査移動しな
がら、画像データに応じて所定のインクを所定のタイミ
ングで噴射させることにより、上記搬送手段2による記
録媒体1の搬送と協働して、記録媒体1の記録面上に所
定の画像を記録形成する。
【0113】前記裁断手段4は、例えば、記録媒体1の
幅方向に亘り該記録媒体1の搬送方向と略直交するよう
に架設された操作ガイド(図示省略)に沿って主走査移
動可能に構成された往復操作型の円形カッターである。
該裁断手段4は、図示省略の制御手段によって、記録媒
体1を所定の大きさに裁断する。
【0114】前記定着手段5は、記録ヘッド3によって
画像が記録形成された後の記録媒体1に対して、そのイ
ンク受容層1B(図14参照)を加熱加圧するべく記録
ヘッド3の下流側に配置されており、加熱ローラ51
と、記録媒体1を該加熱ローラ51との間に挟みつける
為の加圧ローラ55と、前記加熱ローラ51に懸架され
る加熱ベルト53と、これに従動する従動ローラ52及
び出口ローラ54と、前記加圧ローラ55に懸架され記
録媒体1を前記加熱ベルト53に押圧するための加圧ベ
ルト57と、これに従動する従動ローラ56及び出口ロ
ーラ58と、その他、前記加熱ベルト53の表面温度を
検知する為の温度センサ59等を有し構成されている。
【0115】前記加熱ローラ51は、図2に示すよう
に、中空状のローラからなり、その軸方向に沿って熱源
であるハロゲンヒータ等の発熱体51aを内蔵してい
る。該発熱体51aの熱により加熱ローラ51を加熱さ
せ、且つ、これに懸架される加熱ベルト53をも加熱す
ることにより、これに押圧される記録媒体1のインク受
容層1B(図14参照)中に含まれる熱可塑性樹脂粒子
を溶融させる。
【0116】該加熱ローラ51は、発熱体51aから発
せられる熱により効率よく記録媒体1を加熱することが
できるように熱伝導率の高い材質により形成されること
が好ましく、被覆の施されていない金属ローラが用いら
れるのが好ましい。
【0117】該加熱ローラ51に近接して、これに懸架
された加熱ベルト53の表面温度を検知する為の温度セ
ンサ59が配置される。該温度センサ59によって加熱
ローラ51の表面温度を検知することで、図示省略の制
御手段によって、加熱ローラ51内部の発熱体51aの
発熱量を制御し、加熱ベルト53の表面温度を所定の温
度範囲に保持するように制御する。
【0118】但し、本発明に係るインクジェット記録装
置においては、該加熱ベルト53の表面温度は80℃〜
130℃の温度範囲内に制御されるものとする。これ
は、加熱ベルト53の表面温度が80℃未満であると、
記録媒体のインク受容層中に含まれる熱可塑性樹脂(熱
硬化性樹脂の場合もある)が溶融せず、逆に、加熱ベル
ト53の表面温度が130℃を超えると、支持体となる
紙材の耐熱温度を超えることになるからである。
【0119】このように、加熱ベルト53の表面温度を
このような範囲内に制御することで、適切に記録媒体の
インク受容層の透明化及び平滑化を図ることができる。
【0120】尚、前記発熱体51aは、加熱ローラ51
内に具備されるに限らず、例えば、加熱ローラ51の外
部近傍に設けることにしても良い。
【0121】加熱ベルト53は、加熱ローラ51と従動
ローラ52との間に懸架されており、加熱ローラ51内
部の発熱体51aにより所定の温度範囲まで熱せられた
後、画像が記録形成された後の記録媒体1のインク受容
層1B(図14参照)に対し、その表面を押圧する。こ
れにより、記録媒体1のインク受容層1B中に含まれる
熱可塑性樹脂粒子が溶融されると共に、当該加熱ベルト
53表面の粗さと同等にインク受容層1Bの表面粗さを
向上させる。
【0122】当該加熱ベルト53は、図3に示すよう
に、主に、ニッケル、アルミニウム等のベルト部材から
なるベース層53aと、該ベース層53aの記録媒体接
触面側表面にコーティングされたシリコン樹脂からなる
離型層53bとにより構成されており、その厚さは10
μm〜100μmの範囲内に限定される。これは、ベル
トの厚さが薄すぎると、これをフランジに当ててもベル
トの寄りが防止できなくなり、逆に、ベルトの厚さが厚
すぎると、ベルトの寿命が著しく低下するからである。
【0123】前記ベース層53aに用いられる材料に
は、ニッケル、アルミニウム等の金属材料の他、ポリイ
ミド樹脂、ポリアミド樹脂、ポリアミドイミド樹脂、ポ
リベンゾイミダゾール樹脂、ポリエステル樹脂等の樹脂
材料がある。これらの材料を用いることで、高い表面平
滑性を有するベルト部材を製作することができる。
【0124】また、前記離型層53bは、溶剤付加型シ
リコン若しくは溶剤縮合型シリコンを前記ベース層53
aに塗布後、加熱硬化させることで形成される。
【0125】尚、本発明に係るインクジェット記録装置
においては、図4に示すように、加熱ベルト53の端部
に、フランジ52aとの接触による破損を防止する目的
で、補強層53cを設けることとする。該補強層53c
は、その厚さが特に限定されるものではないが、その材
料には、前記ベース層53aに用いられる材料であるニ
ッケル、アルミニウム等の金属材料の他、ポリイミド樹
脂、ポリアミド樹脂、ポリアミドイミド樹脂、ポリベン
ゾイミダゾール樹脂、ポリエステル樹脂等の樹脂材料が
用いられることが好ましい。この時、当該加熱ベルト5
3が懸架される加熱ローラ51及び従動ローラ52の端
部には、該補強層53cを落し込むための溝が当然に形
成されることになる。
【0126】このように、加熱ベルトの端部に補強層を
設けることで、フランジとの接触による当該加熱ベルト
の破損を防止することができる。
【0127】以下に、当該加熱ベルト53の具体的な製
作例を示す。 [製作例1]剥離紙用離型剤(商品名:KS−830
E、信越化学工業社製)1L、触媒(商品名:CAT−
PL−50T、信越化学工業社製)10mlを混合し、
トルエンで5Lに希釈した。この液を内径15cm、高
さ50cmの円筒形ビーカーに入れた。ディップ型塗布
機にφ65mm×239mmのシームレスニッケルベル
トをセットし、ベルトを降下させてビーカー中に浸し
た。次に引き上げ速度10mm/sで引き上げて、塗布
を行った。室温で5分置いた後、120℃のオーブンで
1時間硬化させて、定着ベルトを作製した。離型層の厚
さは2〜4μmである。 [製作例2]剥離紙用離型剤(商品名:KS−882、
信越化学工業社製)3.8L、触媒(商品名:CAT−
PS−80、信越化学工業社製)19mlを混合し、テ
トラヒドロフランで5Lに希釈した。この液を内径15
cm、高さ50cmの円筒形ビーカーに入れた。ディッ
プ型塗布機にφ65mm×239mmのシームレスニッ
ケルベルトをセットし、ベルトを降下させてビーカー中
に浸した。次に引き上げ速度4mm/sで引き上げて、
塗布を行った。室温で5分置いた後、90℃のオーブン
で1時間硬化させて、定着ベルトを作製した。離型層の
厚さは5〜7μmである。 [製作例3]内径15cm、高さ50cmの円筒形ビー
カーにハードコートシリコン用プライマ液(商品名:P
C−7A、信越化学工業社製)5Lを入れ、ディップ型
塗布機にφ65mm×239mmのシームレスニッケル
ベルトをセットし、ベルトを降下させてビーカー中に浸
した。次に引き上げ速度10mm/sで引き上げて、塗
布を行った。室温で5分置いた後、120℃のオーブン
で1時間硬化させて、プライマ層を有するニッケルベル
トを作成した。次に、プライマ層の上に、製作例1と同
様にして離型層を作製して定着ベルトを得た。 [製作例4]剥離紙用離型剤(商品名:KS−830
E、信越化学工業社製)1L、触媒(商品名:CAT−
PL−50T、信越化学工業社製)10mlを混合し、
トルエンで5Lに希釈した。この液を内径15cm、高
さ50cmの円筒形ビーカーに入れた。ディップ型塗布
機に直径φ50mm×幅394.4mmで内径φ24m
mの中空アルミローラをセットし、ベルトを降下させて
ビーカー中に浸した。次に引き上げ速度10mm/sで
引き上げて、塗布を行った。室温で5分置いた後、12
0℃のオーブンで1時間硬化させて、定着ベルトを作製
した。離型層の厚さは2〜4μmである。
【0128】このように、加熱ベルトの離型層にシリコ
ン樹脂を用いることで、当該加熱ベルトと記録媒体の離
型性を向上させることができる。従って、当該加熱ベル
トより記録媒体が剥離する際に、記録媒体の記録面に傷
が付くことを防ぐことができる。
【0129】加圧ローラ55は、外周に弾性を有する被
覆を施したステンレス等の金属ローラによって構成され
る。前述のように、加熱ベルト53は、被覆が施されて
いない金属ローラであるために、片当たりを防止する目
的で、加圧ローラ55側に弾性を有する被覆を施すこと
とする。ただし、該加圧ローラ55に施される被覆の厚
さは、被覆のねじれを防止するために5mm以下である
ことが好ましい。
【0130】また、当該加圧ローラ55は、図1に示す
ように、例えばバネ等からなる付勢手段Aによって、常
に加熱ローラ51側に押圧されることになる。本発明に
係るインクジェット記録装置においては、当該加圧ロー
ラ55及び加熱ローラ51にかかる線厚は、5〜100
N/cmの範囲内に制御されるものとする。
【0131】このような範囲内に加圧ローラ及び加熱ロ
ーラにかかる線厚を制御することで、記録媒体に適度な
負荷をかけることができるので、インク受容層の透明化
及び平滑化を適切に行うことができる。
【0132】加圧ベルト57は、加圧ローラ55と従動
ローラ56との間に懸架されており、画像が記録形成さ
れた後の記録媒体1を加熱ベルト53に押圧する役割を
もつ。当該加圧ベルト57によって、記録媒体1は良好
に加熱ベルト53と接触することになり、そのインク受
容層1B中に含まれる熱可塑性樹脂粒子が適切に溶融さ
れ、その透明化及び平滑化が施されることになる。
【0133】当該加圧ベルト57は、前述の加熱ベルト
53と同様、ニッケル、アルミニウム等の金属材料の
他、ポリイミド樹脂、ポリアミド樹脂、ポリアミドイミ
ド樹脂、ポリベンゾイミダゾール樹脂、ポリエステル樹
脂等の樹脂材料によって構成され、その厚さは10μm
〜100μmの範囲内に限定される。これは、ベルトの
厚さが薄すぎると、これをフランジに当ててもベルトの
寄りが防止できなくなり、逆に、ベルトの厚さが厚すぎ
ると、ベルトの寿命が著しく低下するからである。これ
らの材料を用いることで、高い表面平滑性を有するベル
ト部材を製作することができる。
【0134】尚、本実施形態におけるインクジェット記
録装置においては、当該加圧ベルト57の端部にも、前
述の加熱ベルト53と同様、図4に示すように、フラン
ジ56aとの接触による破損を防止する目的で補強層5
7cが設けられることになる。該補強層57cは、その
厚さが特に限定されるものではないが、その材料には、
前記ベース層57aに用いられる材料であるニッケル、
アルミニウム等の金属材料の他、ポリイミド樹脂、ポリ
アミド樹脂、ポリアミドイミド樹脂、ポリベンゾイミダ
ゾール樹脂、ポリエステル樹脂等の樹脂材料が用いられ
ることが好ましい。この時、当該加圧ベルト57が懸架
される加圧ローラ55及び従動ローラ56の端部には、
該補強層57cを落し込むための溝が当然に形成される
ことになる。
【0135】このように、加圧ベルトの端部に補強層を
設けることで、フランジとの接触による当該加圧ベルト
の破損を防止することができる。
【0136】本実施形態におけるインクジェット記録装
置では、図1に示すように、加熱ベルト53及び加圧ベ
ルト57の内部に、出口ローラ54及び出口ローラ58
を新たに設けることで、従動ローラ52と従動ローラ5
6との距離間隔を拡げ、加熱ベルト53側及び加圧ベル
ト57側の両方のローラ(従動ローラ52及び従動ロー
ラ56)にフランジを設けることを可能としている。
【0137】同図に示すように、従動ローラ52及び従
動ローラ56の端部には、それぞれフランジ52a及び
フランジ56aが設けられる。該フランジ52a及びフ
ランジ56aは、樹脂材料又は金属材料によって構成さ
れており、具体的には、耐高温性及び耐磨耗性等を考慮
して、樹脂材料としては、ポリイミド又はポリアミドイ
ドが、金属材料としては、鉄、ステンレス及びこれらを
焼入れしたものが用いられる。また、該フランジ52a
及びフランジ56aの内面には、図5に示すように、テ
ーパー部分が設けられることが好ましい。このように、
フランジの内面にテーパー部分を設けることで、当該フ
ランジと接触するベルトの破損を抑えることができる。
【0138】このように、加熱ベルト53側及び加圧ベ
ルト57側の両方のローラにフランジを設けることで、
加熱ベルト53及び加圧ベルト57の双方にベルトの寄
りが生じることを防止することができる。
【0139】また、前記出口ローラ54及び出口ローラ
58の直径は、φ2mm〜φ100mmの範囲内に限定
することとする。これは、当該出口ローラ54及び出口
ローラ58の直径がφ2mm未満であると、これに懸架
されるベルトの寿命が著しく低下し、逆に、当該出口ロ
ーラ54及び出口ローラ58の直径がφ100mmを超
えると、これにより加熱加圧処理を施される記録媒体の
記録面の光沢度が著しく低下するからである。
【0140】そして、前記出口ローラ54及び出口ロー
ラ58のどちらか一方(図1においては、出口ローラ5
4)には、バネ等からなる付勢手段Dを設け、前述した
加圧ローラ55及び加熱ローラ51と同様、当該出口ロ
ーラ54及び出口ローラ58にかかる線厚も、5〜10
0N/cmの範囲内に制御すこととする。このような範
囲内に出口ローラ54及び出口ローラ58にかかる線厚
を制御することで、記録媒体に適度な負荷がかかること
になり、インク受容層の透明化及び平滑化を適切に行う
ことができる。
【0141】本実施形態におけるインクジェット記録装
置においては、以上に説明した、加熱ローラ51、加圧
ローラ55、従動ローラ52、従動ローラ56、出口ロ
ーラ54、58等のローラ表面には、ベルトとの摩擦抵
抗を小さくする目的でフッ素コート等の表面処理を施こ
すこととする。このように、ローラとベルトとの摩擦抵
抗を小さくすることで、ベルトの寄りを抑えることがで
きる。
【0142】また、前記加熱ベルト53及び加圧ベルト
57の周長と、該加熱ローラ51、加圧ローラ55、従
動ローラ52、56、出口ローラ54、58等のローラ
径との比は、10:1〜2:1の範囲内に限定すること
とする。これは、ベルトの周長とローラ径の比が2:1
未満であると、記録媒体に対して加熱加圧処理を施すた
めの十分な時間を確保することが困難となり、逆に、ベ
ルトの周長とローラ径の比が10:1を超えると、ベル
トの寿命が著しく低下するからである。尚、此処に言う
記録媒体に対して加熱加圧処理を施すための十分な時間
とは、具体的には、1〜15秒の範囲内にあるものを言
う(加熱加圧処理を施す時間が、1〜15秒の範囲内で
あれば、十分に記録媒体のインク受容層の透明化及び平
滑化を行なうことができる。)。
【0143】また、前記従動ローラ52及び従動ローラ
56には、それぞれ、バネ等からなる付勢手段B及び付
勢手段Cを設け、当該付勢手段B及び付勢手段Cによっ
て加熱ベルト53及び加圧ベルト57のそれぞれに適度
な張力をかける構造とする。
【0144】従来においては、前記加熱ローラ51及び
加圧ローラ55と該従動ローラ52及び従動ローラ56
との距離間隔は固定されていたために、これらに懸架さ
れる加熱ベルト53及び加圧ベルト57に伸びが生じた
場合、ベルトの寄りが発生することになった。また、例
えテンションローラ等を設けることによって、これら加
熱ベルト53及び加圧ベルト57の伸びを調整したとし
ても、その押圧力が弱いためにベルトの寄りを抑えるこ
とはできなかった。
【0145】そこで、本実施形態におけるインクジェッ
ト記録装置においては、従動ローラ52及び従動ローラ
56に、それぞれ付勢手段B及び付勢手段Cを設け、当
該付勢手段B及び付勢手段Cによって、加熱ベルト53
及び加圧ベルト57のそれぞれに適度な張力をかけるこ
とで、これらに懸架される加熱ベルト53及び加圧ベル
ト57に伸びが生じた場合にもベルトの寄りを防止する
ことができるようにすることとした。
【0146】さらに、本実施形態におけるインクジェッ
ト記録装置においては、前記加熱ベルト53及び加圧ベ
ルト57の内面には、図6に示すように、当該加熱ベル
ト53及び加圧ベルト57の内面に付着した埃・ゴミ等
を除去する清掃手段Eを設けることとする。この清掃手
段Eは、樹脂材料からなる板状部材又はフエルト材によ
って構成されるものであり、その設置個数、設置箇所等
は限定されるものではない。
【0147】このように、加熱ベルト及び加圧ベルトの
内面に、その内面に付着した埃・ゴミ等を除去する清掃
手段を設けることで、ベルトとローラ間に異物が入り込
むことを防止することができ、埃・ゴミ等によって記録
媒体の記録面に悪影響が生じることを防ぐことができ
る。
【0148】以上に説明したように、記録媒体1は、ま
ず加熱ローラ51及び加圧ローラ55による押圧によっ
て、インク受容層1Bの表面に吐出されたインクの凹凸
を平滑化された後、加熱ベルト53による加熱及び加圧
ベルト57による前記加熱ベルト53への押圧によっ
て、インク受容層1B中の熱可塑性樹脂粒子が溶融さ
れ、その透明化及び平滑化を施される。そして、当該加
熱加圧処理が終了した後、十分な冷却が施され、定着手
段5の外部へと排出される。
【0149】以下、本実施形態におけるインクジェット
記録装置の他例について説明する。
【0150】図7に示すように、本例におけるインクジ
ェット記録装置の定着手段5´aは、図1に示すインク
ジェット記録装置の定着手段5と異なり、入口ローラ6
0及び入口ローラ61を設けることによって、加熱ロー
ラ51と加圧ローラ55との距離間隔を拡げ、それぞれ
にフランジ51b及びフランジ55bを設け、さらに、
それぞれに付勢手段B´及び付勢手段C´を設けたもの
である。図1に示すインクジェット記録装置の定着手段
5と同様、入口ローラ60及び入口ローラ61のどちら
か一方(本図においては、入口ローラ61)と、従動ロ
ーラ52及び従動ローラ56のどちらか一方(本図にお
いては、従動ローラ52)には、それぞれに付勢手段A
´及び付勢手段D´が設けられる。
【0151】このような構成をもつ定着手段を有するイ
ンクジェット記録装置も、本発明に係るインクジェット
記録装置に当然に含まれるものである。
【0152】また、図10(a)(b)に示すように、
前記図1に示すインクジェット記録装置の定着手段5に
おける出口部分と、上記図7に示すインクジェット記録
装置の定着手段5´aにおける入口部分は、加熱ベルト
53側及び加圧ベルト57側の双方に勾配角θ及び勾配
角θ´をもたせることとしても良い。例えば、勾配角θ
と勾配角θ´を等しくしても良い。このように加熱ベル
ト側及び加圧ベルト側の双方に勾配角をもたせること
で、記録媒体の記録面とこれらベルトとの接触時及び剥
離時に発生する記録面の損傷を抑えることができる。
【0153】このような構成をもつ定着手段を有するイ
ンクジェット記録装置も、本発明に係るインクジェット
記録装置に当然に含まれるものである。
【0154】さらに、図8(a)、(b)に示すよう
に、本例におけるインクジェット記録装置の定着手段5
´bは、図1に示すインクジェット記録装置の定着手段
5において、出口ローラ58を従動ローラ52と対向す
る位置に設けることによって、従動ローラ52と従動ロ
ーラ56との水平位置をズラし、それぞれにフランジ5
2a及びフランジ56aを設け、さらに、それぞれのロ
ーラ(従動ローラ52及び従動ローラ56)の幅に違い
を持たせて構成したものである(同図(b)参照)。図
1に示すインクジェット記録装置の定着手段5と同様、
加圧ローラ55と、従動ローラ52及び従動ローラ5
6、そして出口ローラ58には、それぞれ付勢手段A、
B、C及び付勢手段Dが設けられる。
【0155】このような構成をもつ定着手段を有するイ
ンクジェット記録装置も、本発明に係るインクジェット
記録装置に当然に含まれるものである。
【0156】次に、本発明である請求項8に係るインク
ジェット記録装置の一実施形態を図9に示し説明する。
同図に示すように、本実施形態におけるインクジェット
記録装置の定着手段5´´は、図1に示す本発明である
請求項1に係るインクジェット記録装置の定着手段5に
おいて、加圧ベルト57の替わりに押圧手段62を設け
たものである。このように、押圧手段62を設けて加圧
ベルト57を省き、ベルト数を二個から一個に減らすこ
とで、加熱ベルト53側のローラ(従動ローラ52)の
みにフランジ(フランジ52a)を設ければベルトの寄
りを防止することができるようになる。尚、図1に示す
インクジェット記録装置の定着手段5と同様、本実施形
態におけるインクジェット記録装置の出口ローラ54及
び出口ローラ58のどちらか一方(本図においては、出
口ローラ54)と、従動ローラ52には、それぞれ付勢
手段D及び付勢手段Bが設けられ、前記加熱ベルト53
には、該付勢手段Bを有する従動ローラ52によって常
に張力がかけられることになる。
【0157】尚、上記実施形態におけるインクジェット
記録装置を含む本発明である請求項8に係るインクジェ
ット記録装置においても、前述した請求項1に係るイン
クジェット記録装置と同様の条件、例えば、加熱ベルト
及び従動ローラの直径とこれに懸架される加熱ベルトの
周長との比は10:1〜2:1の範囲内に限定され、加
熱ベルトの厚さは10μm〜100μmの範囲内であ
り、その端部には補強層が設けられ、加熱ベルトの内面
には当該ベルト部材の内面を清掃する清掃手段が設けら
れる等の条件(請求項2〜請求項7、請求項15〜請求
項21に記載の条件)が付加されることになる。
【0158】
【発明の効果】以上に述べたように、本発明である請求
項1又は請求項8に係るインクジェット記録装置にあっ
ては、ベルト部材が懸架されるローラの内、少なくとも
一つのローラが、フランジを有し、且つ、前記ベルト部
材に適度な張力をかけるよう移動可能に構成されている
ので、前記ベルト部材に生じるベルトの寄りを適切に防
止することができる。
【0159】以上に述べたように、本発明である請求項
2又は請求項9に係るインクジェット記録装置にあって
は、ベルト部材の周長と該ベルト部材が懸架されるロー
ラの直径との比が、10:1〜2:1の範囲内にあるの
で、前記ベルト部材の寿命を著しく低下させることな
く、加熱加圧処理を行うことができる。
【0160】以上に述べたように、本発明である請求項
3又は請求項10に係るインクジェット記録装置にあっ
ては、ベルト部材の厚さが10μm〜100μmの範囲
内にあるので、当該ベルト部材とフランジが良好に接触
してベルトの寄りを防止することができる。
【0161】以上に述べたように、本発明である請求項
4又は請求項11に係るインクジェット記録装置にあっ
ては、ベルト部材の内面に、当該ベルト部材の内面を清
掃する清掃手段が設けられているので、当該ベルト部材
と該ベルト部材が懸架されるローラ間に異物が入り込む
ことを防止することができ、埃・ゴミ等によって記録媒
体の記録面に悪影響が生じることを防ぐことができる。
【0162】以上に述べたように、本発明である請求項
5又は請求項12に係るインクジェット記録装置にあっ
ては、ベルト部材の端部に、当該ベルト部材を補強する
補強層が設けられているので、フランジとの接触による
当該ベルト部材の破損を防止することができる。
【0163】以上に述べたように、本発明である請求項
6又は請求項13に係るインクジェット記録装置にあっ
ては、それぞれのローラにかかる線厚が5〜100N/
cmの範囲内にあるので、記録媒体に適度な負荷をかけ
ることができ、インク受容層の透明化及び平滑化を適切
に行うことができる。
【0164】以上に述べたように、本発明である請求項
7又は請求項14、又は請求項15に係るインクジェッ
ト記録装置にあっては、ローラの表面に、その摩擦力を
低下させる表面処理が施されているので、これらに懸架
されるベルト部材のベルトの寄りを防止することができ
る。
【0165】以上に述べたように、本発明である請求項
16に係るインクジェット記録装置にあっては、ローラ
の端部に設けられるフランジの材質が、樹脂材料である
ポリイミド、ポリアミドイド、或いは金属材料である
鉄、ステンレス、及びこれらを焼入れしたものであるた
めに、高温下においても十分な耐久性と十分な耐磨耗性
を発揮することができる。
【0166】以上に述べたように、本発明である請求項
17に係るインクジェット記録装置にあっては、ローラ
の端部に設けられるフランジの内面に傾斜が設けられて
いるので、当該フランジ内面と接触するベルト部材端部
の破損を抑えることができる。
【0167】以上に述べたように、本発明である請求項
18に係るインクジェット記録装置にあっては、従動ロ
ーラ(出口ローラ)の直径が2mm〜100mmの範囲
内にあるので、これに懸架されるベルト部材の寿命が著
しく低下することなく、インク受容層の透明化及び平滑
化を適切に行うことができる。
【0168】以上に述べたように、本発明である請求項
19乃至請求項21に係るインクジェット記録装置にあ
っては、加熱ベルトの表面温度が加熱ローラの表面温度
に基づいて制御され、且つ、前記加熱ベルトの表面温度
が80℃〜130℃の適当な範囲内に制御され、さら
に、前記加熱ベルトによる加熱時間が1〜15秒の適当
な範囲内に制御されるので、記録媒体の支持体となる紙
材の耐熱温度を超えることなく十分にインク受容層中に
含まれる熱可塑性樹脂を溶融させることができ、さら
に、該インク受容層の透明化及び平滑化を十分に行うこ
とができる。
【0169】以上に述べたように、本発明に係るインク
ジェット記録装置にあっては、表層に熱可塑性樹脂粒子
を含むインク受容層を有する記録媒体に対して、ベルト
定着方式による定着手段を用いて、当該定着手段におけ
るベルト部材に寄りを生じさせることなく、適切な加熱
温度と適切な加熱時間、適切な押圧力(加圧力)の下、
そのインク受容層の透明化及び平滑化を行うので、従来
のものより高品質の画像プリントを作成することができ
る。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明である請求項1に係るインクジェット記
録装置の一実施形態を示す図である。
【図2】図1に示すインクジェット記録装置の加熱ロー
ラの構成示す図である。
【図3】図1に示すインクジェット記録装置の加熱ベル
トの断面構成を示す図である。
【図4】図1に示すインクジェット記録装置の加熱ベル
ト及び従動ローラ、加圧ベルト及び従動ローラの断面構
成を示す図である。
【図5】図1に示すインクジェット記録装置の従動ロー
ラに設けられるフランジの形状を示す図である。
【図6】図1に示すインクジェット記録装置に、清掃手
段が設けられた状態を示す図である。
【図7】図1に示すインクジェット記録装置の他例を示
す図である。
【図8】図1に示すインクジェット記録装置のさらに他
例を示す図である。
【図9】本発明である請求項8に係るインクジェット記
録装置の一実施形態を示す図である。
【図10】図1及び図7に示すインクジェット記録装置
の他例を示す図である。
【図11】従来のローラ定着方式による定着手段の構成
を示す図である。
【図12】従来のベルト定着方式による定着手段の構成
を示す図である。
【図13】従来のベルト定着方式による定着手段にフラ
ンジを設けた状態を示す図である。
【図14】本発明に係るインクジェット記録装置に主と
して用いられる記録媒体の断面構成を示す図である。
【符号の説明】
1…記録媒体 1A…支持体 1B…インク受容層 1C…インク溶媒吸収層 2…搬送手段 21…搬送ローラ 22…従動ローラ 3…記録ヘッド 4…裁断手段 5、5´a、5´b、5´´…定着手段 51…加熱ローラ 51a…発熱体 51b…フランジ 52…従動ローラ 52a…フランジ 53…加熱ベルト 53a…ベース層 53b…離型層 54…出口ローラ 55…加圧ローラ 55b…フランジ 56…従動ローラ 56a…フランジ 57…加圧ベルト 58…出口ローラ 59…温度センサ 60、61…入口ローラ 62…押圧手段 A、B、C、D…付勢手段 E…清掃手段 θ、θ´…勾配角

Claims (21)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 表層に熱可塑性樹脂粒子を含むインク受
    容層と該インク受容層の内側に隣接したインク溶媒吸収
    層とを有する記録媒体に対し、インクを吐出して記録を
    行う記録ヘッドと、該記録ヘッドにより記録された前記
    記録媒体に対し、該記録媒体のインク受容層を加熱加圧
    して透明化するための加熱加圧手段と、前記記録ヘッド
    により記録された前記記録媒体を前記加熱加圧手段まで
    搬送する搬送手段とを有するインクジェット記録装置に
    おいて、前記加熱加圧手段は、加熱ローラと従動ローラ
    及びこれらに懸架される加熱ベルトと、加圧ローラと従
    動ローラ及びこれらに懸架される加圧ベルトとを少なく
    とも含み構成されており、且つ、前記記録媒体を前記加
    圧ベルトによって前記加熱ベルトへ押圧することで前記
    記録媒体のインク受容層を加熱加圧して透明化する構造
    を成し、さらに、前記加熱ベルト及び前記加圧ベルトが
    懸架されるローラの内、少なくとも一つのローラは、そ
    の端部にフランジを有し、且つ、互いの距離間隔を調整
    できるよう移動可能に構成されていることを特徴とする
    インクジェット記録装置。
  2. 【請求項2】 前記加熱ローラ及びそれに対応する従動
    ローラの直径と前記加熱ベルトの周長との比及び前記加
    圧ローラ及びそれに対応する従動ローラの直径と前記加
    圧ベルトの周長との比は、10:1〜2:1の範囲内に
    あることを特徴とする請求項1記載のインクジェット記
    録装置。
  3. 【請求項3】 前記加熱ベルト及び前記加圧ベルトの厚
    さは、それぞれ10μm〜100μmの範囲内であるこ
    とを特徴とする請求項1又は請求項2記載のインクジェ
    ット記録装置。
  4. 【請求項4】 前記加熱ベルト及び前記加圧ベルトの内
    面には、それぞれ当該ベルト部材の内面を清掃する清掃
    手段が設けられていることを特徴とする請求項1乃至請
    求項3のいずれか一項に記載のインクジェット記録装
    置。
  5. 【請求項5】 前記加熱ベルト及び前記加圧ベルトの端
    部には、それぞれ当該ベルト部材を補強する補強層が設
    けられていることを特徴とする請求項1乃至請求項4の
    いずれか一項に記載のインクジェット記録装置。
  6. 【請求項6】 前記加熱ローラ、前記加圧ローラ及び前
    記従動ローラにかかる線厚は、それぞれ5〜100N/
    cmの範囲内であることを特徴とする請求項1又は請求
    項2記載のインクジェット記録装置。
  7. 【請求項7】 前記加熱ローラ、前記加圧ローラ及び前
    記従動ローラの表面には、それぞれ摩擦力を低下させる
    表面処理が施されていることを特徴とする請求項1又は
    請求項2、又は請求項6のいずれか一項に記載のインク
    ジェット記録装置。
  8. 【請求項8】 表層に熱可塑性樹脂粒子を含むインク受
    容層と該インク受容層の内側に隣接したインク溶媒吸収
    層とを有する記録媒体に対し、インクを吐出して記録を
    行う記録ヘッドと、該記録ヘッドにより記録された前記
    記録媒体に対し、該記録媒体のインク受容層を加熱加圧
    して透明化するための加熱加圧手段と、前記記録ヘッド
    により記録された前記記録媒体を前記加熱加圧手段まで
    搬送する搬送手段とを有するインクジェット記録装置に
    おいて、前記加熱加圧手段は、加熱ローラと従動ローラ
    及びこれらに懸架される加熱ベルトと、加圧ローラとこ
    れに付随する押圧手段とを少なくとも含み構成されてお
    り、且つ、前記記録媒体を前記加圧ローラ及びこれに付
    随する押圧手段によって前記加熱ベルトへ押圧すること
    で前記記録媒体のインク受容層を加熱加圧して透明化す
    る構造を成し、さらに、前記加熱ベルトが懸架されるロ
    ーラの内、少なくとも一つのローラは、その端部にフラ
    ンジを有し、且つ、互いの距離間隔を調整できるよう移
    動可能に構成されていることを特徴とするインクジェッ
    ト記録装置。
  9. 【請求項9】 前記加熱ローラ及び従動ローラの直径と
    前記加熱ベルトの周長との比は、10:1〜2:1の範
    囲内にあることを特徴とする請求項8記載のインクジェ
    ット記録装置。
  10. 【請求項10】 前記加熱ベルトの厚さは、10μm〜
    100μmの範囲内であることを特徴とする請求項8又
    は請求項9記載のインクジェット記録装置。
  11. 【請求項11】 前記加熱ベルトの内面には、当該ベル
    ト部材の内面を清掃する清掃手段が設けられていること
    を特徴とする請求項8乃至請求項10のいずれか一項に
    記載のインクジェット記録装置。
  12. 【請求項12】 前記加熱ベルトの端部には、当該ベル
    ト部材を補強する補強層が設けられていることを特徴と
    する請求項8乃至請求項11のいずれか一項に記載のイ
    ンクジェット記録装置。
  13. 【請求項13】 前記加熱ローラ及び従動ローラにかか
    る線厚は、それぞれ5〜100N/cmの範囲内である
    ことを特徴とする請求項8記載のインクジェット記録装
    置。
  14. 【請求項14】 前記加熱ローラ及び従動ローラの表面
    には、それぞれ摩擦力を低下させる表面処理が施されて
    いることを特徴とする請求項8又は請求項13記載のイ
    ンクジェット記録装置。
  15. 【請求項15】 前記表面処理は、フッ素コートである
    ことを特徴とする請求項7又は請求項14記載のインク
    ジェット記録装置。
  16. 【請求項16】 前記フランジの材質は、樹脂材料であ
    るポリイミド、ポリアミドイド、或いは金属材料である
    鉄、ステンレス、及びこれらを焼入れしたものであるこ
    とを特徴とする請求項1又は請求項8記載のインクジェ
    ット記録装置。
  17. 【請求項17】 前記フランジの内面には、傾斜が設け
    られていることを特徴とする請求項1又は請求項8、請
    求項16のいずれか一項に記載のインクジェット記録装
    置。
  18. 【請求項18】 前記従動ローラの直径は、2mm〜1
    00mmの範囲内であることを特徴とする請求項1、請
    求項2、請求項6乃至請求項9、請求項13、請求項1
    4のいずれか一項に記載のインクジェット記録装置。
  19. 【請求項19】 前記加熱ベルトの表面温度は、前記加
    熱ローラの表面温度に基づいて制御されることを特徴と
    する請求項1乃至請求項5、又は請求項8乃至請求項1
    2のいずれか一項に記載のインクジェット記録装置。
  20. 【請求項20】 前記加熱ベルトの表面温度は、80℃
    〜130℃の範囲内に制御されることを特徴とする請求
    項19に記載のインクジェット記録装置。
  21. 【請求項21】 前記加熱ベルトによる加熱時間は、1
    〜15秒の範囲内に制御されることを特徴とする請求項
    1乃至請求項5、又は請求項8乃至請求項12、又は請
    求項19乃至請求項20のいずれか一項に記載のインク
    ジェット記録装置。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2015200744A (ja) * 2014-04-07 2015-11-12 キヤノン株式会社 ベルト搬送装置及び画像形成装置

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