JP2003051343A - 光電変換素子、光電池及び錯体色素 - Google Patents

光電変換素子、光電池及び錯体色素

Info

Publication number
JP2003051343A
JP2003051343A JP2001236969A JP2001236969A JP2003051343A JP 2003051343 A JP2003051343 A JP 2003051343A JP 2001236969 A JP2001236969 A JP 2001236969A JP 2001236969 A JP2001236969 A JP 2001236969A JP 2003051343 A JP2003051343 A JP 2003051343A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
photoelectric conversion
group
ring
conversion element
ion
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP2001236969A
Other languages
English (en)
Inventor
Jiro Tsukahara
次郎 塚原
Susumu Yoshikawa
将 吉川
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Fujifilm Holdings Corp
Original Assignee
Fuji Photo Film Co Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Fuji Photo Film Co Ltd filed Critical Fuji Photo Film Co Ltd
Priority to JP2001236969A priority Critical patent/JP2003051343A/ja
Publication of JP2003051343A publication Critical patent/JP2003051343A/ja
Pending legal-status Critical Current

Links

Classifications

    • YGENERAL TAGGING OF NEW TECHNOLOGICAL DEVELOPMENTS; GENERAL TAGGING OF CROSS-SECTIONAL TECHNOLOGIES SPANNING OVER SEVERAL SECTIONS OF THE IPC; TECHNICAL SUBJECTS COVERED BY FORMER USPC CROSS-REFERENCE ART COLLECTIONS [XRACs] AND DIGESTS
    • Y02TECHNOLOGIES OR APPLICATIONS FOR MITIGATION OR ADAPTATION AGAINST CLIMATE CHANGE
    • Y02EREDUCTION OF GREENHOUSE GAS [GHG] EMISSIONS, RELATED TO ENERGY GENERATION, TRANSMISSION OR DISTRIBUTION
    • Y02E10/00Energy generation through renewable energy sources
    • Y02E10/50Photovoltaic [PV] energy
    • Y02E10/542Dye sensitized solar cells

Landscapes

  • Photovoltaic Devices (AREA)
  • Hybrid Cells (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【課題】 変換効率に優れた色素増感光電変換素子及び
光電池、並びにこれらに好適に使用できる遷移金属錯体
色素を提供する。 【解決手段】 導電性支持体及び感光層を有し、該感光
層が下記一般式(I)により表される配位子を含む遷移金
属錯体色素によって増感された半導体微粒子を含有する
ことを特徴とする光電変換素子。 【化1】 一般式(I)中、Y10は炭素原子及び窒素原子とともに5〜
7員の環を形成する原子団を表す。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は遷移金属錯体色素に
よって増感された半導体微粒子を含有する光電変換素子
及び光電池に関し、更に該光電変換素子及び光電池に使
用できるルテニウム錯体色素に関する。
【0002】
【従来の技術】光電変換素子は各種光センサー、複写
機、光発電装置等に用いられている。光電変換素子には
金属を用いたもの、半導体を用いたもの、有機顔料や色
素を用いたもの、これらを組み合わせて用いたもの等が
あり、様々な方式が実用化されている。
【0003】米国特許4927721号、同4684537号、同5084
365号、同5350644号、同5463057号、同5525440号、WO98
/50393号、特開平7-249790号及び特表平10-504521号に
は、色素によって増感した半導体微粒子を用いた光電変
換素子(以下、「色素増感光電変換素子」と称する)並
びにこれを作成するための材料及び製造技術が開示され
ている。色素増感光電変換素子の利点は、二酸化チタン
等の安価な酸化物半導体を高純度に精製することなく用
いることができるため比較的安価に製造できる点にあ
る。通常、色素増感光電変換素子の変換効率は色素によ
って左右される。従って、変換効率の高い光電変換素子
を得るために利用できる色素の開発が望まれている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は、変換
効率に優れた色素増感光電変換素子及び光電池、並びに
これらに好適に使用できる遷移金属錯体色素を提供する
ことである。
【0005】
【課題を解決するための手段】上記目的に鑑み鋭意研究
の結果、本発明者は特定のチオラート型又はチオン型の
配位子を有する遷移金属錯体色素を用いた光電変換素子
は優れた変換効率を示すことを発見し、本発明に想到し
た。
【0006】即ち、本発明の光電変換素子は導電性支持
体及び感光層を有し、この感光層が下記一般式(I)によ
り表される配位子を含む遷移金属錯体色素によって増感
された半導体微粒子を含有することを特徴とする。
【化5】 一般式(I)中、Y10は炭素原子及び窒素原子とともに5〜
7員の環を形成する原子団を表す。
【0007】また本発明の光電池は、上記光電変換素子
を含むことを特徴とする。
【0008】本発明の光電変換素子及び光電池は、下記
好ましい条件を満たすことによってより一層優れた変換
効率を示す。 (1)遷移金属錯体色素は下記一般式(II)により表される
のが好ましい。
【化6】 一般式(II)中、Mは遷移金属原子を表し、L10は置換又は
無置換のビピリジンを表し、L20は置換又は無置換のタ
ーピリジンを表し、X10はアニオン性配位子を表し、Aは
上記一般式(I)により表される配位子を表し、CIは電荷
を中和するための対イオンを表す。n1は0〜2の整数を
表し、n2は0又は1を表し、n1及びn2の少なくとも一方
は0ではなく、n3は0〜2の整数を表し、n4は1〜3の
整数を表し、n5は0〜4の整数を表す。 (2)遷移金属錯体色素はFe、Co、Ru、Os、Ir及びPtから
なる群から選ばれた遷移金属原子を含むのが好ましく、
Ruを含むのが特に好ましい。 (3)遷移金属錯体色素は好ましくは酸性基を有し、該酸
性基はカルボキシル基、ヒドロキシル基、ホスホニル基
又はホスホリル基であるのが好ましく、カルボキシル基
であるのが特に好ましい。 (4)上記Y10が形成する環は置換又は無置換のイミダゾー
ル環、トリアゾール環、テトラゾール環、チアジアゾー
ル環又はオキサジアゾール環であるのが特に好ましい。 (5)半導体微粒子はTiO2、ZnO又はSnO2からなるのが特に
好ましい。
【0009】本発明の光電変換素子及び光電池において
は、下記一般式(III)により表される新規ルテニウム錯
体色素を特に好ましく使用することができる。
【化7】 一般式(III)中、L21は置換ターピリジンを表し、X11
シアン化物イオン、シアン酸イオン又はチオシアン酸イ
オンからなるアニオン性配位子或いはβ-ジケトナト配
位子を表し、Y11は炭素原子及び窒素原子とともに置換
又は無置換のイミダゾール環、トリアゾール環、テトラ
ゾール環、チアジアゾール環又はオキサジアゾール環を
形成する原子団を表し、CIは電荷を中和するための対イ
オンを表す。n3は0〜2の整数を表し、n4は1〜3の整
数を表し、n5は0〜4の整数を表す。
【0010】
【発明の実施の形態】[1]光電変換素子 本発明の光電変換素子は導電性支持体及び感光層を有
し、この感光層は下記一般式(I)により表される配位子
を含む遷移金属錯体色素によって増感された半導体微粒
子を含有する。以下、一般式(I)により表される配位子
を「配位子(I)」と称する。
【化8】
【0011】一般式(I)中、Y10は炭素原子及び窒素原子
とともに5〜7員の環を形成する原子団を表す。Y10
炭素原子及び窒素原子とともに形成する環の例としては
ピラゾール環、イミダゾール環、オキサゾール環、チア
ゾール環、チアジアゾール環、オキサジアゾール環、ト
リアゾール環、テトラゾール環、ピリジン環、ピリダジ
ン環、ピリミジン環、ピラジン環、トリアジン環、テト
ラジン環、アゼピン環、ジアゼピン環、チアジアゼピン
環等が挙げられる。
【0012】Y10が形成する環は置換基を有してもよ
い。この置換基の例としては、ハロゲン原子、アルキル
基(シクロアルキル基、ビシクロアルキル基等を含
む)、アルケニル基(シクロアルケニル基、ビシクロア
ルケニル基等を含む)、アルキニル基、アリール基、ヘ
テロ環基、シアノ基、ヒドロキシル基、ニトロ基、カル
ボキシル基、アルコキシ基、アリールオキシ基、シリル
オキシ基、ヘテロ環オキシ基、アシルオキシ基、カルバ
モイルオキシ基、アルコキシカルボニルオキシ基、アリ
ールオキシカルボニルオキシ基、アミノ基(アニリノ基
等を含む)、アシルアミノ基、アミノカルボニルアミノ
基、アルコキシカルボニルアミノ基、アリールオキシカ
ルボニルアミノ基、スルファモイルアミノ基、アルキル
スルホニルアミノ基、アリールスルホニルアミノ基、メ
ルカプト基、アルキルチオ基、アリールチオ基、ヘテロ
環チオ基、スルファモイル基、スルホ基、アルキルスル
フィニル基、アリールスルフィニル基、アルキルスルホ
ニル基、アリールスルホニル基、アシル基、アリールオ
キシカルボニル基、アルコキシカルボニル基、カルバモ
イル基、アリールアゾ基、ヘテロ環アゾ基、イミド基、
ホスフィノ基、ホスフィニル基、ホスフィニルオキシ
基、ホスフィニルアミノ基、シリル基等が挙げられる。
【0013】配位子(I)の構造は、上記一般式(I)に示し
たチオラート型であっても下記のチオン型であってもよ
い。
【化9】 チオラート型の場合は硫黄原子で遷移金属原子に配位
し、チオン型の場合は窒素原子で遷移金属原子に配位す
る。
【0014】配位子(I)を含む遷移金属錯体色素におい
て、中心金属となる遷移金属原子は周期表の3〜12族の
金属原子である。
【0015】配位子(I)を含む遷移金属錯体色素は下記
一般式(II)により表されるのが好ましい。
【化10】
【0016】一般式(II)中、Mは周期表の3〜12族の遷
移金属原子を表す。Mは好ましくはFe、Co、Ru、Os、Ir
又はPtであり、特に好ましくはRuである。
【0017】一般式(II)中、L10は置換又は無置換のビ
ピリジンを表し、L20は置換又は無置換のターピリジン
を表す。このビピリジン及びターピリジン上の置換基の
例としては、上記Y10が形成する環上の置換基の例と同
様のものが挙げられる。L10の数を示すn1は0〜2の整
数を表し、L20の数を示すn2は0又は1を表す。ただしn
1及びn2の少なくとも一方は0ではない。
【0018】一般式(II)中、X10はアニオン性配位子を
表し、その例としてはハロゲン化物イオン(フッ化物イ
オン、塩化物イオン、臭化物イオン、ヨウ化物イオン
等)、シアン化物イオン、シアン酸イオン、チオシアン
酸イオン、セレノシアン酸イオン、水酸化物イオン、カ
ルボン酸イオン(酢酸イオン、チオ酢酸イオン、ジチオ
カルバミン酸イオン、シュウ酸イオン、グリコール酸イ
オン等)、チオラートイオン(メタンチオラートイオ
ン、エタンチオラートイオン、チオフェノラートイオン
等)等からなる配位子やβ-ジケトナト配位子(アセチ
ルアセトナト配位子、置換アセチルアセトナト配位子、
ベンゾイルアセトナト配位子、置換ベンゾイルアセトナ
ト配位子等)が挙げられる。X10は好ましくはシアン化
物イオン、シアン酸イオン又はチオシアン酸イオンから
なるアニオン性配位子或いはβ-ジケトナト配位子であ
る。X10の数を示すn3は0〜2の整数を表す。
【0019】一般式(II)中、Aは上記配位子(I)を表す。
ここで一般式(I)中のY10が形成する環は5員環であるの
が好ましく、置換又は無置換のイミダゾール環、トリア
ゾール環、テトラゾール環、チアジアゾール環又はオキ
サジアゾール環であるのが特に好ましい。配位子(I)の
数を示すn4は1〜3の整数を表す。n4が2又は3の場
合、複数の配位子(I)は互いに同じでも異なっていても
よい。
【0020】一般式(II)中、CIは電荷を中和するための
対イオンを表し、CIの数を示すn5は0〜4の整数を表
す。該対イオンは特に制限されず、有機イオンであって
も無機イオンであってもよい。その代表的な例として
は、ハロゲン化物イオン(フッ化物イオン、塩化物イオ
ン、臭化物イオン、ヨウ化物イオン)、水酸イオン、過
塩素酸イオン、テトラフルオロホウ酸イオン、ヘキサフ
ルオロりん酸イオン、酢酸イオン、トリフルオロ酢酸イ
オン、メタンスルホン酸イオン、パラトルエンスルホン
酸イオン、トリフルオロメタンスルホン酸イオン等のア
ニオンや、アルカリ金属イオン(リチウムイオン、ナト
リウムイオン、カリウムイオン等)、アルカリ土類金属
イオン(マグネシウムイオン、カルシウムイオン等)、
無置換アンモニウムイオン、アルキルアンモニウムイオ
ン(ジエチルアンモニウムイオン、テトラブチルアンモ
ニウムイオン等)、無置換ピリジニウムイオン、アルキ
ルピリジニウムイオン(メチルピリジニウムイオン
等)、グアニジニウムイオン、テトラアルキルホスホニ
ウムイオン等のカチオンが挙げられる。
【0021】一般式(II)により表される遷移金属錯体色
素は、少なくとも1つの酸性基を有するのが好ましい。
ここで酸性基とは水−テトラヒドロフラン混合溶媒(体
積比50対50)中でのpKaが10以下のブレンステッド酸基
である。酸性基は好ましくはカルボキシル基、ヒドロキ
シル基、ホスホニル基又はホスホリル基であり、特に好
ましくはカルボキシル基である。酸性基はアルカリ金属
イオン等と塩を形成していてもよく、また分子内塩を形
成していてもよい。酸性基はビピリジン又はターピリジ
ン上に存在することが好ましい。
【0022】本発明の光電変換素子においては、下記一
般式(III)により表される新規ルテニウム錯体色素を特
に好ましく使用することができる。
【化11】
【0023】一般式(III)中、L21は置換ターピリジンを
表し、X11はシアン化物イオン、シアン酸イオン又はチ
オシアン酸イオンからなるアニオン性配位子或いはβ-
ジケトナト配位子を表し、Y11は炭素原子及び窒素原子
とともに置換又は無置換のイミダゾール環、トリアゾー
ル環、テトラゾール環、チアジアゾール環又はオキサジ
アゾール環を形成する原子団を表し、CIは電荷を中和す
るための対イオンを表す。n3は0〜2の整数を表し、n4
は1〜3の整数を表し、n5は0〜4の整数を表す。L21
により表される置換ターピリジン上の置換基は、好まし
くは上記酸性基を含む置換基であり、より好ましくはカ
ルボキシル基を含む置換基であり、特に好ましくはカル
ボキシル基である。
【0024】以下、一般式(II)により表される遷移金属
錯体色素の具体例を示すが、本発明はそれらに限定され
ない。なお、下記具体例中では配位子(I)はチオラート
型として示すが、それらはチオラート型であってもチオ
ン型であっても、またその混合物であってもよい。即
ち、下記具体例中の配位子(I)は遷移金属原子に硫黄原
子で配位しても窒素原子で配位してもよい。
【0025】
【化12】
【0026】
【化13】
【0027】
【化14】
【0028】
【化15】
【0029】
【化16】
【0030】
【化17】
【0031】配位子(I)を含む遷移金属錯体色素は定法
により合成できる。例えば、塩化第一ルテニウムのジメ
チルスルホキシド錯体(Ru(DMSO)4(Cl)2)を出発原料と
し、ターピリジン誘導体、一般式(II)中のX10に相当す
るアニオン性配位子及び配位子(I)をこの順に作用させ
て目的とする遷移金属錯体色素の粗生成物を得、適宜精
製して使用することができる。精製にはファルマシア社
製「セファデックスLH-20」、「セファデックスLH-60」
等の修飾多糖類を用いるのが有効である。
【0032】本発明の光電変換素子は、好ましくは図1
に示すように、導電層10、下塗り層60、感光層20、電荷
輸送層30及び対極導電層40をこの順に積層してなり、感
光層20を色素22によって増感した半導体微粒子21とこの
半導体微粒子21の間の空隙に浸透した電荷輸送材料23と
から構成する。感光層20中の電荷輸送材料23は通常、電
荷輸送層30に用いる材料と同じものである。また光電変
換素子に強度を付与するため、導電層10及び/又は対極
導電層40の下地として基板50を設けてもよい。本発明で
は、導電層10及び任意で設ける基板50からなる層を「導
電性支持体」、対極導電層40及び任意で設ける基板50か
らなる層を「対極」と呼ぶ。なお、図1中の導電層10、
対極導電層40、基板50は、それぞれ透明導電層10a、透
明対極導電層40a、透明基板50aであってもよい。この光
電変換素子を外部負荷に接続して電気的仕事をさせる目
的(発電)で作られたものが光電池であり、光学的情報
のセンシングを目的に作られたものが光センサーであ
る。光電池のうち、電荷輸送材料が主としてイオン輸送
材料からなる場合を特に光電気化学電池と呼び、また、
太陽光による発電を主目的とする場合を太陽電池と呼
ぶ。
【0033】図1に示す光電変換素子において、半導体
微粒子がn型である場合、色素22により増感された半導
体微粒子21を含む感光層20に入射した光は色素22等を励
起し、励起された色素22等中の高エネルギーの電子が半
導体微粒子21の伝導帯に渡され、さらに拡散により導電
層10に到達する。このとき色素22等の分子は酸化体とな
っている。光電池においては、導電層10中の電子が外部
回路で仕事をしながら対極導電層40及び電荷輸送層30を
経て色素22等の酸化体に戻り、色素22が再生する。感光
層20は負極(光アノード)として働き、対極導電層40は
正極として働く。それぞれの層の境界(例えば導電層10
と感光層20との境界、感光層20と電荷輸送層30との境
界、電荷輸送層30と対極導電層40との境界等)では、各
層の構成成分同士が相互に拡散混合していてもよい。以
下各層について詳細に説明する。
【0034】(A)導電性支持体 導電性支持体は、(1)導電層の単層、又は(2)導電層及び
基板の2層からなる。(1)の場合は、導電層として強度
や密封性が十分に保たれるような材料、例えば、金属材
料(白金、金、銀、銅、亜鉛、チタン、アルミニウム、
これらを含む合金等)を用いることができる。(2)の場
合、感光層側に導電剤を含む導電層を有する基板を使用
することができる。好ましい導電剤としては金属(白
金、金、銀、銅、亜鉛、チタン、アルミニウム、インジ
ウム、これらを含む合金等)、炭素、及び導電性金属酸
化物(インジウム−スズ複合酸化物、酸化スズにフッ素
又はアンチモンをドープしたもの等)が挙げられる。導
電層の厚さは0.02〜10μm程度が好ましい。
【0035】導電性支持体は表面抵抗が低い程よい。好
ましい表面抵抗の範囲は50Ω/□以下であり、さらに好
ましくは20Ω/□以下である。
【0036】導電性支持体側から光を照射する場合に
は、導電性支持体は実質的に透明であるのが好ましい。
実質的に透明であるとは、可視〜近赤外領域(400〜120
0nm)の光の一部又は全域において透過率が10%以上で
あることを意味し、50%以上であるのが好ましく、80%
以上がより好ましい。特に、感光層が感度を有する波長
域の透過率が高いことが好ましい。
【0037】透明導電性支持体としては、ガラス又はプ
ラスチック等の透明基板の表面に導電性金属酸化物から
なる透明導電層を塗布又は蒸着等により形成したものが
好ましい。透明導電層として好ましいものは、フッ素も
しくはアンチモンをドーピングした二酸化スズ或いはイ
ンジウム−スズ酸化物(ITO)である。透明基板には低
コストと強度の点で有利なソーダガラス、アルカリ溶出
の影響のない無アルカリガラス等のガラス基板のほか、
透明ポリマーフィルムを用いることができる。透明ポリ
マーフィルムの材料としては、トリアセチルセルロース
(TAC)、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエ
チレンナフタレート(PEN)、シンジオタクチックポリ
スチレン(SPS)、ポリフェニレンスルフィド(PPS)、
ポリカーボネート(PC)、ポリアリレート(PAr)、ポ
リスルフォン(PSF)、ポリエステルスルフォン(PE
S)、ポリイミド(PI)、ポリエーテルイミド(PEI)、
環状ポリオレフィン、ブロム化フェノキシ樹脂等が使用
可能である。十分な透明性を確保するために、導電性金
属酸化物の塗布量はガラス又はプラスチックの支持体1
m2当たり0.01〜100gとするのが好ましい。
【0038】透明導電性支持体の抵抗を下げる目的で金
属リードを用いるのが好ましい。金属リードの材質は白
金、金、ニッケル、チタン、アルミニウム、銅、銀等の
金属が好ましい。金属リードは透明基板に蒸着、スパッ
タリング等で設置し、その上に導電性の酸化スズ又はIT
O膜からなる透明導電層を設けるのが好ましい。金属リ
ード設置による入射光量の低下は、好ましくは10%以
内、より好ましくは1〜5%とする。
【0039】(B)感光層 感光層において、半導体は感光体として作用し、光を吸
収して電荷分離を行い電子と正孔を生ずる。色素増感し
た半導体では、光吸収及びこれによる電子及び正孔の発
生は主として色素において起こり、半導体微粒子はこの
電子(又は正孔)を受け取り、伝達する役割を担う。本
発明で用いる半導体は光励起下で伝導体電子がキャリア
ーとなり、アノード電流を与えるn型半導体であること
が好ましい。
【0040】(1)半導体 半導体としては、シリコン、ゲルマニウムのような単体
半導体、III-V族系化合物半導体、金属のカルコゲナイ
ド(酸化物、硫化物、セレン化物、それらの複合物
等)、ペロブスカイト構造を有する化合物(チタン酸ス
トロンチウム、チタン酸カルシウム、チタン酸ナトリウ
ム、チタン酸バリウム、ニオブ酸カリウム等)等を使用
することができる。
【0041】好ましい金属のカルコゲナイドとして、チ
タン、スズ、亜鉛、鉄、タングステン、ジルコニウム、
ハフニウム、ストロンチウム、インジウム、セリウム、
イットリウム、ランタン、バナジウム、ニオブ又はタン
タルの酸化物、カドミウム、亜鉛、鉛、銀、アンチモン
又はビスマスの硫化物、カドミウム又は鉛のセレン化
物、カドミウムのテルル化物等が挙げられる。他の化合
物半導体としては亜鉛、ガリウム、インジウム、カドミ
ウム等のリン化物、ガリウム−ヒ素又は銅−インジウム
のセレン化物、銅−インジウムの硫化物等が挙げられ
る。さらには、MxOySz又はM1xM2yOz(M、M1及びM2はそ
れぞれ金属元素、Oは酸素、x、y、zは価数が中性になる
組み合わせの数)のような複合物も好ましく用いること
ができる。
【0042】本発明に用いる半導体の好ましい具体例
は、Si、TiO2、SnO2、Fe2O3、WO3、ZnO、Nb2O5、CdS、Z
nS、PbS、Bi2S3、CdSe、CdTe、SrTiO3、GaP、InP、GaA
s、CuInS2、CuInSe2等であり、より好ましくはTiO2、Zn
O、SnO2、Fe2O3、WO3、Nb2O5、CdS、PbS、CdSe、SrTi
O3、InP、GaAs、CuInS2又はCuInSe2であり、特に好まし
くはTiO2、ZnO又はSnO2であり、最も好ましくはTiO2
ある。TiO2の中でもアナターゼ型結晶を70%以上含むTi
O2が好ましく、100%アナターゼ型結晶のTiO2が特に好
ましい。また、これらの半導体中の電子伝導性を上げる
目的で金属をドープすることも有効である。ドープする
金属としては2又は3価の金属が好ましい。半導体から
電荷輸送層へ逆電流が流れるのを防止する目的で、半導
体に1価の金属をドープすることも有効である。
【0043】本発明に用いる半導体は単結晶でも多結晶
でもよいが、製造コスト、原材料確保、エネルギーペイ
バックタイム等の観点からは多結晶が好ましく、半導体
微粒子の層は多孔質膜であるのが特に好ましい。また、
一部アモルファス部分を含んでいてもよい。
【0044】半導体微粒子の粒径は一般にnm〜μmのオ
ーダーであるが、投影面積を円に換算したときの直径か
ら求めた一次粒子の平均粒径は5〜200nmであるのが好
ましく、8〜100nmがより好ましい。また分散液中の半
導体微粒子(二次粒子)の平均粒径は0.01〜30μmが好
ましい。粒径分布の異なる2種類以上の微粒子を混合し
てもよく、この場合小さい粒子の平均サイズは25nm以下
であるのが好ましく、より好ましくは10nm以下である。
入射光を散乱させて光捕獲率を向上させる目的で、粒径
の大きな、例えば100〜300nm程度の半導体粒子を混合す
ることも好ましい。
【0045】種類の異なる2種以上の半導体微粒子を混
合して用いてもよい。2種以上の半導体微粒子を混合し
て使用する場合、一方はTiO2、ZnO、Nb2O5又はSrTiO3
あることが好ましい。また他方はSnO2、Fe2O3又はWO3
あることが好ましい。さらに好ましい組み合わせとして
は、ZnOとSnO2、ZnOとWO3、ZnOとSnO2とWO3等の組み合
わせを挙げることができる。2種以上の半導体微粒子を
混合して用いる場合、それぞれの粒径が異なっていても
よい。特に上記TiO2、ZnO、Nb2O5又はSrTiO3の粒径が大
きく、SnO2、Fe2O3又はWO3が小さい組み合わせが好まし
い。好ましくは大きい粒径の粒子を100nm以上、小さい
粒径の粒子を15nm以下とする。
【0046】半導体微粒子の作製法としては、作花済夫
の「ゾル−ゲル法の科学」アグネ承風社(1998年)、技
術情報協会の「ゾル−ゲル法による薄膜コーティング技
術」(1995年)等に記載のゾル−ゲル法や、杉本忠夫の
「新合成法ゲル−ゾル法による単分散粒子の合成とサイ
ズ形態制御」、まてりあ, 第35巻, 第9号, 1012〜1018
頁(1996年)等に記載のゲル−ゾル法が好ましい。また
Degussa社が開発した塩化物を酸水素塩中で高温加水分
解により酸化物を作製する方法も好ましく使用できる。
【0047】半導体微粒子が酸化チタンの場合、上記ゾ
ル-ゲル法、ゲル−ゾル法、塩化物の酸水素塩中での高
温加水分解法はいずれも好ましいが、さらに清野学の
「酸化チタン 物性と応用技術」技報堂出版(1997年)
に記載の硫酸法又は塩素法を用いることもできる。さら
にゾル−ゲル法として、Barbeらのジャーナル・オブ・
アメリカン・セラミック・ソサエティー, 第80巻, 第12
号, 3157〜3171頁(1997年)に記載の方法や、Burnside
らのケミストリー・オブ・マテリアルズ, 第10巻, 第9
号, 2419〜2425頁に記載の方法も好ましい。
【0048】(2)半導体微粒子層 半導体微粒子を導電性支持体上に塗布するには、半導体
微粒子の分散液又はコロイド溶液を導電性支持体上に塗
布する方法の他に、前述のゾル−ゲル法等を使用するこ
ともできる。光電変換素子の量産化、半導体微粒子液の
物性、導電性支持体の融通性等を考慮した場合、湿式の
製膜方法が比較的有利である。湿式の製膜方法として
は、塗布法、印刷法、電解析出法及び電着法が代表的で
ある。また、金属を酸化する方法、金属溶液から配位子
交換等で液相にて析出させる方法(LPD法)、スパッタ
等で蒸着する方法、CVD法、或いは加温した基板上に熱
分解する金属酸化物プレカーサーを吹き付けて金属酸化
物を形成するSPD法を利用することもできる。
【0049】半導体微粒子の分散液を作製する方法とし
ては、前述のゾル−ゲル法の他に、乳鉢ですり潰す方
法、ミルを使って粉砕しながら分散する方法、半導体を
合成する際に溶媒中で微粒子として析出させそのまま使
用する方法等が挙げられる。
【0050】分散媒としては、水及び各種の有機溶媒
(例えばメタノール、エタノール、イソプロピルアルコ
ール、シトロネロール、ターピネオール、ジクロロメタ
ン、アセトン、アセトニトリル、酢酸エチル等)が使用
できる。分散の際、必要に応じてポリエチレングリコー
ル、ヒドロキシエチルセルロース、カルボキシメチルセ
ルロースのようなポリマー、界面活性剤、酸、キレート
剤等を分散助剤として用いてもよい。ポリエチレングリ
コールの分子量を変えることで、分散液の粘度が調節可
能となり、さらに剥がれにくい半導体層を形成したり、
半導体層の空隙率をコントロールできるので、ポリエチ
レングリコールを添加することは好ましい。
【0051】塗布方法としては、アプリケーション系と
してローラ法、ディップ法等、メータリング系としてエ
アーナイフ法、ブレード法等、またアプリケーションと
メータリングを同一部分にできるものとして特公昭58-4
589号に開示されているワイヤーバー法、米国特許26812
94号、同2761419号、同2761791号等に記載のスライドホ
ッパー法、エクストルージョン法、カーテン法等が好ま
しい。また汎用機としてスピン法やスプレー法も好まし
い。湿式印刷方法としては、凸版、オフセット及びグラ
ビアの三大印刷法をはじめ、凹版、ゴム版、スクリーン
印刷等が好ましい。これらの中から、液粘度やウェット
厚さに応じて製膜方法を選択してよい。
【0052】半導体微粒子層は単層に限らず、粒径の違
った半導体微粒子の分散液を多層塗布したり、種類が異
なる半導体微粒子(或いは異なるバインダー、添加剤)
を含有する塗布層を多層塗布したりすることもできる。
一度の塗布で膜厚が不足の場合にも多層塗布は有効であ
る。
【0053】一般に半導体微粒子層の厚さ(感光層の厚
さと同じ)が厚くなるほど、単位投影面積当たりの担持
色素量が増えるため光の捕獲率が高くなるが、生成した
電子の拡散距離が増すため電荷再結合によるロスも大き
くなる。したがって、半導体微粒子層の好ましい厚さは
0.1〜100μmである。光電池に用いる場合、半導体微粒
子層の厚さは1〜30μmが好ましく、2〜25μmがより好
ましい。半導体微粒子の支持体1m2当たりの塗布量は0.
5〜100gが好ましく、3〜50gがより好ましい。
【0054】半導体微粒子を導電性支持体上に塗布した
後で半導体微粒子同士を電子的に接触させるとともに、
塗膜強度の向上や支持体との密着性を向上させるため
に、加熱処理するのが好ましい。好ましい加熱温度の範
囲は40〜700℃であり、より好ましくは100〜600℃であ
る。また加熱時間は10分〜10時間程度である。ポリマー
フィルムのように融点や軟化点の低い支持体を用いる場
合、高温処理は支持体の劣化を招くため好ましくない。
またコストの観点からもできる限り低温(例えば50〜35
0℃)であるのが好ましい。低温化は5nm以下の小さい
半導体微粒子や鉱酸、金属酸化物プレカーサーの存在下
での加熱処理等により可能となり、また、紫外線、赤外
線、マイクロ波等の照射や電界、超音波を印加すること
により行うこともできる。同時に不要な有機物等を除去
する目的で、上記の照射や印加のほか加熱、減圧、酸素
プラズマ処理、純水洗浄、溶剤洗浄、ガス洗浄等を適宜
組み合わせて併用することが好ましい。
【0055】加熱処理後、半導体微粒子の表面積を増大
させたり、半導体微粒子近傍の純度を高め、色素から半
導体微粒子への電子注入効率を高める目的で、例えば四
塩化チタン水溶液を用いた化学メッキ処理や三塩化チタ
ン水溶液を用いた電気化学的メッキ処理を行ってもよ
い。また、半導体微粒子から電荷輸送層へ逆電流が流れ
るのを防止する目的で、粒子表面に色素以外の電子伝導
性の低い有機物を吸着させることも有効である。吸着さ
せる有機物としては疎水性基を持つものが好ましい。
【0056】半導体微粒子層は、多くの色素を吸着する
ことができるように大きい表面積を有することが好まし
い。半導体微粒子の層を支持体上に塗布した状態での表
面積は、投影面積に対して10倍以上であるのが好まし
く、さらに100倍以上であるのが好ましい。この上限は
特に制限はないが、通常1000倍程度である。
【0057】(3)色素 感光層には上記配位子(I)を含む遷移金属錯体色素を使
用するが、この遷移金属錯体色素を2種以上使用した
り、他の色素と併用してもよい。併用する色素の例とし
ては、米国特許4927721号、同4684537号、同5084365
号、同5350644号、同5463057号、同5525440号、特開平7
-249790号、特表平10-504512号、世界特許98/50393号等
に記載の金属錯体色素、特開平11-35836号、同11-15839
5号、同11-163378号、同11-214730号、同11-214731号、
欧州特許892411号、同911841号等に記載のメチン色素等
が挙げられる。
【0058】(4)半導体微粒子への色素の吸着 半導体微粒子への色素の吸着は、色素の溶液中によく乾
燥した半導体微粒子層を有する導電性支持体を浸漬する
か、色素の溶液を半導体微粒子層に塗布する方法を用い
ることができる。前者の場合、浸漬法、ディップ法、ロ
ーラ法、エアーナイフ法等が使用可能である。浸漬法の
場合、色素の吸着は室温で行ってもよいし、特開平7-24
9790号に記載されているように加熱還流して行ってもよ
い。また後者の塗布方法としては、ワイヤーバー法、ス
ライドホッパー法、エクストルージョン法、カーテン
法、スピン法、スプレー法等がある。また、インクジェ
ット法等によって色素を画像状に塗布し、この画像その
ものを光電変換素子とすることもできる。
【0059】色素の溶液(吸着液)に用いる溶媒は、好
ましくはアルコール類(メタノール、エタノール、t-ブ
タノール、ベンジルアルコール等)、ニトリル類(アセ
トニトリル、プロピオニトリル、3-メトキシプロピオニ
トリル等)、ニトロメタン、ハロゲン化炭化水素(ジク
ロロメタン、ジクロロエタン、クロロホルム、クロロベ
ンゼン等)、エーテル類(ジエチルエーテル、テトラヒ
ドロフラン等)、ジメチルスルホキシド、アミド類(N,
N-ジメチルホルムアミド、N,N-ジメチルアセタミド
等)、N-メチルピロリドン、1,3-ジメチルイミダゾリジ
ノン、3-メチルオキサゾリジノン、エステル類(酢酸エ
チル、酢酸ブチル等)、炭酸エステル類(炭酸ジエチ
ル、炭酸エチレン、炭酸プロピレン等)、ケトン類(ア
セトン、2-ブタノン、シクロヘキサノン等)、炭化水素
(へキサン、石油エーテル、ベンゼン、トルエン等)又
はこれらの混合溶媒である。
【0060】色素の全吸着量は、半導体微粒子層の単位
面積(1m2)当たり0.01〜100mmolとするのが好まし
い。また色素の半導体微粒子に対する吸着量は、半導体
微粒子1g当たり0.01〜1mmolの範囲であるのが好まし
い。このような色素の吸着量とすることにより半導体に
おける増感効果が十分に得られる。これに対し、色素が
少なすぎると増感効果が不十分となり、また色素が多す
ぎると半導体に付着していない色素が浮遊し、増感効果
を低減させる原因となる。色素の吸着量を増大させるた
めには、吸着前に加熱処理を行うのが好ましい。加熱処
理後、半導体微粒子表面に水が吸着するのを避けるた
め、常温に戻さずに半導体微粒子層の温度が60〜150℃
の間で素早く色素の吸着操作を行うのが好ましい。
【0061】色素間の凝集等の相互作用を低減する目的
で、無色の化合物を色素吸着液に添加し半導体微粒子に
共吸着させてよい。このような無色の化合物は好ましく
は界面活性な性質を持ち、その好ましい例としては、カ
ルボキシル基を有するステロイド化合物(ケノデオキシ
コール酸等)や下記のようなスルホン酸塩類等が挙げら
れる。
【0062】
【化18】
【0063】未吸着の色素は、吸着後速やかに洗浄によ
り除去するのが好ましい。洗浄は湿式洗浄槽を使い、ア
セトニトリル等の極性溶剤、アルコール系溶剤のような
有機溶媒等で行うのが好ましい。
【0064】色素を吸着した後にアミン類や4級アンモ
ニウム塩を用いて半導体微粒子の表面を処理してもよ
い。好ましいアミン類としてはピリジン、4-t-ブチルピ
リジン、ポリビニルピリジン等が挙げられる。好ましい
4級アンモニウム塩としてはテトラブチルアンモニウム
ヨージド、テトラヘキシルアンモニウムヨージド等が挙
げられる。これらは有機溶媒に溶解して用いてもよく、
液体の場合はそのまま用いてもよい。
【0065】(C)電荷輸送層 電荷輸送層は色素の酸化体に電子を補充する機能を有す
る電荷輸送材料を含有する層である。本発明で用いる電
荷輸送材料は、(i)イオンが関わる電荷輸送材料であっ
ても、(ii)固体中のキャリアー移動が関わる電荷輸送材
料であってもよい。(i)イオンが関わる電荷輸送材料と
しては、酸化還元対イオンを含有する溶融塩電解質組成
物、酸化還元対のイオンが溶解した溶液(電解液)、酸
化還元対の溶液をポリマーマトリクスのゲルに含浸した
いわゆるゲル電解質組成物、固体電解質組成物等が挙げ
られ、(ii)固体中のキャリアー移動が関わる電荷輸送材
料としては、電子輸送材料や正孔(ホール)輸送材料等
が挙げられる。これらの電荷輸送材料は、複数併用する
ことができる。
【0066】(1)溶融塩電解質組成物 溶融塩電解質は、光電変換効率と耐久性の両立という観
点から、電荷輸送材料に好ましく使用される。溶融塩電
解質とは、室温において液状であるか、又は低融点の電
解質であり、例えばWO95/18456号、特開平8-259543号、
電気化学, 第65巻, 11号, 923頁 (1997年)等に記載され
ているピリジニウム塩、イミダゾリウム塩、トリアゾリ
ウム塩等を挙げることができる。溶融塩の融点は100℃
以下であるのが好ましく、室温付近において液状である
のが特に好ましい。
【0067】本発明では、下記一般式(Y-a)、(Y-b)及び
(Y-c)のいずれかにより表される溶融塩が好ましく使用
できる。
【0068】
【化19】
【0069】一般式(Y-a)中のQy1は窒素原子と共に5又
は6員環の芳香族カチオンを形成する原子団を表す。Q
y1は炭素原子、水素原子、窒素原子、酸素原子及び硫黄
原子からなる群から選ばれる原子により構成されるのが
好ましい。Qy1が形成する5員環はオキサゾール環、チ
アゾール環、イミダゾール環、ピラゾール環、イソオキ
サゾール環、チアジアゾール環、オキサジアゾール環、
トリアゾール環、インドール環又はピロール環であるの
が好ましく、オキサゾール環、チアゾール環又はイミダ
ゾール環であるのがより好ましく、オキサゾール環又は
イミダゾール環であるのが特に好ましい。Qy1が形成す
る6員環はピリジン環、ピリミジン環、ピリダジン環、
ピラジン環又はトリアジン環であるのが好ましく、ピリ
ジン環であるのが特に好ましい。
【0070】一般式(Y-b)中のAy1は窒素原子又はリン原
子を表す。
【0071】一般式(Y-a)、(Y-b)及び(Y-c)中のRy1〜R
y11はそれぞれ独立に置換又は無置換のアルキル基(好
ましくは炭素原子数1〜24であり、直鎖状であっても分
岐状であっても、また環式であってもよく、例えばメチ
ル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ペンチ
ル基、ヘキシル基、オクチル基、2-エチルヘキシル基、
t-オクチル基、デシル基、ドデシル基、テトラデシル
基、2-ヘキシルデシル基、オクタデシル基、シクロヘキ
シル基、シクロペンチル基等)、或いは置換又は無置換
のアルケニル基(好ましくは炭素原子数2〜24であり、
直鎖状であっても分岐状であってもよく、例えばビニル
基、アリル基等)を表す。Ry1〜Ry11はそれぞれ独立
に、より好ましくは炭素原子数2〜18のアルキル基又は
炭素原子数2〜18のアルケニル基であり、特に好ましく
は炭素原子数2〜6のアルキル基である。
【0072】一般式(Y-b)中のRy2〜Ry5のうち2つ以上
が互いに連結してAy1を含む非芳香族環を形成してもよ
く、一般式(Y-c)中のRy6〜Ry11のうち2つ以上が互いに
連結して環を形成してもよい。
【0073】上記Qy1及びRy1〜Ry11は置換基を有してい
てもよい。この置換基の好ましい例としては、ハロゲン
原子(F、Cl、Br、I等)、シアノ基、アルコキシ基(メ
トキシ基、エトキシ基、メトキシエトキシ基、メトキシ
エトキシエトキシ基等)、アリーロキシ基(フェノキシ
基等)、アルキルチオ基(メチルチオ基、エチルチオ基
等)、アルコキシカルボニル基(エトキシカルボニル基
等)、炭酸エステル基(エトキシカルボニルオキシ基
等)、アシル基(アセチル基、プロピオニル基、ベンゾ
イル基等)、スルホニル基(メタンスルホニル基、ベン
ゼンスルホニル基等)、アシルオキシ基(アセトキシ
基、ベンゾイルオキシ基等)、スルホニルオキシ基(メ
タンスルホニルオキシ基、トルエンスルホニルオキシ基
等)、ホスホニル基(ジエチルホスホニル基等)、アミ
ド基(アセチルアミノ基、ベンゾイルアミノ基等)、カ
ルバモイル基(N,N-ジメチルカルバモイル基等)、アル
キル基(メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピ
ル基、シクロプロピル基、ブチル基、2-カルボキシエチ
ル基、ベンジル基等)、アリール基(フェニル基、トル
イル基等)、複素環基(ピリジル基、イミダゾリル基、
フラニル基等)、アルケニル基(ビニル基、1-プロペニ
ル基等)、シリル基、シリルオキシ基等が挙げられる。
【0074】一般式(Y-a)、(Y-b)及び(Y-c)のいずれか
により表される溶融塩は、Qy1及びRy 1〜Ry11のいずれか
を介して多量体を形成してもよい。
【0075】一般式(Y-a)、(Y-b)及び(Y-c)中、X-はア
ニオンを表す。X-の好ましい例としてはハロゲン化物イ
オン(I-、Cl-、Br-等)、SCN-、BF4 -、PF6 -、ClO4 -
(CF3SO2)2N-、(CF3CF2SO2)2N-、CH3SO3 -、CF3SO3 -、CF3
COO-、Ph4B-、(CF3SO2)3C-等が挙げられる。X-はI-、SC
N-、CF3SO3 -、CF3COO-、(CF3SO2)2N-又はBF4 -であるの
がより好ましい。
【0076】本発明で好ましく用いられる溶融塩の具体
例を以下に挙げるが、本発明はこれらに限定されるわけ
ではない。
【0077】
【化20】
【0078】
【化21】
【0079】
【化22】
【0080】
【化23】
【0081】
【化24】
【0082】
【化25】
【0083】溶融塩は単独で使用しても2種以上混合し
て使用してもよい。また、LiI等の他のヨウ素塩やCF3CO
OLi、CF3COONa、LiSCN、NaSCN等のアルカリ金属塩を併
用することもできる。アルカリ金属塩の添加量は、組成
物全体に対して0.02〜2質量%であるのが好ましく、0.
1〜1質量%がさらに好ましい。
【0084】溶融塩電解質は常温で溶融状態であるのが
好ましく、これを含有する組成物には溶媒を用いない方
が好ましい。後述する溶媒を添加しても構わないが、溶
融塩の含有量は組成物全体に対して50質量%以上である
のが好ましく、90質量%以上であるのが特に好ましい。
また、組成物が含む塩のうち50質量%以上がヨウ素塩で
あることが好ましい。
【0085】溶融塩電解質組成物にはヨウ素を添加する
のが好ましく、この場合、ヨウ素の含有量は、組成物全
体に対して0.1〜20質量%であるのが好ましく、0.5〜5
質量%であるのがより好ましい。
【0086】(2)電解液 電解液は電解質、溶媒及び添加物から構成されることが
好ましい。電解液には、電解質としてI2とヨウ化物(Li
I、NaI、KI、CsI、CaI2等の金属ヨウ化物、テトラアル
キルアンモニウムヨーダイド、ピリジニウムヨーダイ
ド、イミダゾリウムヨーダイド等の4級アンモニウム化
合物ヨウ素塩等)の組み合わせ、Br2と臭化物(LiBr、N
aBr、KBr、CsBr、CaBr2等の金属臭化物、テトラアルキ
ルアンモニウムブロマイド、ピリジニウムブロマイド等
の4級アンモニウム化合物臭素塩等)の組み合わせのほ
か、フェロシアン酸塩−フェリシアン酸塩やフェロセン
−フェリシニウムイオン等の金属錯体、ポリ硫化ナトリ
ウム、アルキルチオール−アルキルジスルフィド等のイ
オウ化合物、ビオロゲン色素、ヒドロキノン−キノン等
を用いることができる。この中でもI2とLiI又はピリジ
ニウムヨーダイド、イミダゾリウムヨーダイド等の4級
アンモニウム化合物ヨウ素塩を組み合わせた電解質が好
ましい。上述した電解質は混合して用いてもよい。
【0087】電解液中の電解質濃度は好ましくは0.1〜1
0Mであり、より好ましくは0.2〜4Mである。また、電解
液にヨウ素を添加する場合の好ましいヨウ素の添加濃度
は0.01〜0.5Mである。
【0088】電解液に使用する溶媒は、粘度が低くイオ
ン移動度を向上したり、若しくは誘電率が高く有効キャ
リアー濃度を向上したりして、優れたイオン伝導性を発
現できる化合物であることが望ましい。このような溶媒
としては、エチレンカーボネート、プロピレンカーボネ
ート等のカーボネート化合物、3-メチル-2-オキサゾリ
ジノン等の複素環化合物、ジオキサン、ジエチルエーテ
ル等のエーテル化合物、エチレングリコールジアルキル
エーテル、プロピレングリコールジアルキルエーテル、
ポリエチレングリコールジアルキルエーテル、ポリプロ
ピレングリコールジアルキルエーテル等の鎖状エーテル
類、メタノール、エタノール、エチレングリコールモノ
アルキルエーテル、プロピレングリコールモノアルキル
エーテル、ポリエチレングリコールモノアルキルエーテ
ル、ポリプロピレングリコールモノアルキルエーテル等
のアルコール類、エチレングリコール、プロピレングリ
コール、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリ
コール、グリセリン等の多価アルコール類、アセトニト
リル、グルタロジニトリル、メトキシアセトニトリル、
プロピオニトリル、ベンゾニトリル等のニトリル化合
物、ジメチルスルホキシド、スルフォラン等の非プロト
ン極性物質、水等が挙げられ、これらを混合して用いる
こともできる。
【0089】また、J. Am. Ceram. Soc., 80 (12) 3157
-3171 (1997)に記載されているようなtert-ブチルピリ
ジンや、2-ピコリン、2,6-ルチジン等の塩基性化合物を
前述の溶融塩電解質組成物や電解液に添加することが好
ましい。塩基性化合物を電解液に添加する場合の好まし
い濃度範囲は0.05〜2Mである。
【0090】(3)ゲル電解質組成物 本発明では、ポリマー添加、オイルゲル化剤添加、多官
能モノマー類を含む重合、ポリマーの架橋反応等の手法
により、前述の溶融塩電解質組成物や電解液をゲル化
(固体化)させて使用することもできる。ポリマー添加
によりゲル化させる場合は、“Polymer Electrolyte Re
views-1及び2”(J. R. MacCallumとC.A. Vincentの
共編、ELSEVIER APPLIED SCIENCE)に記載された化合物
を使用することができるが、特にポリアクリロニトリル
及びポリフッ化ビニリデンが好ましく使用できる。オイ
ルゲル化剤添加によりゲル化させる場合は工業科学雑誌
(J.Chem. Soc. Japan, Ind. Chem. Sec.), 46, 779
(1943)、J. Am. Chem. Soc.,111, 5542 (1989)、J. Che
m. Soc., Chem. Commun., 1993, 390、Angew. Chem.In
t. Ed. Engl., 35, 1949 (1996)、Chem. Lett., 1996,
885、及びJ. Chem. Soc., Chem. Commun., 1997, 545に
記載されている化合物を使用することができるが、好ま
しい化合物は分子構造中にアミド構造を有する化合物で
ある。電解液をゲル化した例は特開平11-185863号に、
溶融塩電解質をゲル化した例は特開2000-58140号にも記
載されており、これらも本発明に適用できる。
【0091】また、ポリマーの架橋反応によりゲル化さ
せる場合、架橋可能な反応性基を含有するポリマー及び
架橋剤を併用することが望ましい。この場合、好ましい
架橋可能な反応性基は、アミノ基、含窒素複素環(ピリ
ジン環、イミダゾール環、チアゾール環、オキサゾール
環、トリアゾール環、モルホリン環、ピペリジン環、ピ
ペラジン環等)であり、好ましい架橋剤は、窒素原子に
対して求電子反応可能な2官能以上の試薬(ハロゲン化
アルキル類、ハロゲン化アラルキル類、スルホン酸エス
テル類、酸無水物、酸クロライド類、イソシアネート化
合物、α,β-不飽和スルホニル化合物、α,β-不飽和カ
ルボニル化合物、α,β-不飽和ニトリル化合物等)であ
り、特開2000-17076号及び同2000-86724号に記載されて
いる架橋技術も適用できる。
【0092】(4)正孔輸送材料 本発明では、溶融塩等のイオン伝導性電解質のかわり
に、有機又は無機或いはこの両者を組み合わせた固体の
正孔輸送材料を使用することができる。
【0093】(a)有機正孔輸送材料 本発明に適用可能な有機正孔輸送材料としては、J. Hag
en, et al., Synthetic Metal, 89, 215-220 (1997)、N
ature, Vol.395, 8 Oct., p583-585 (1998)及びWO97/10
617、特開昭59-194393号、特開平5-234681号、米国特許
第4,923,774号、特開平4-308688号、米国特許第4,764,6
25号、特開平3-269084号、特開平4-129271号、特開平4-
175395号、特開平4-264189号、特開平4-290851号、特開
平4-364153号、特開平5-25473号、特開平5-239455号、
特開平5-320634号、特開平6-1972号、特開平7-138562
号、特開平7-252474号、特開平11-144773号等に示され
る芳香族アミン類や、特開平11-149821号、特開平11-14
8067号、特開平11-176489号等に記載のトリフェニレン
誘導体類を好ましく用いることができる。また、Adv.Ma
ter., 9, No.7, p557 (1997)、Angew. Chem. Int. Ed.
Engl., 34, No.3, p303-307 (1995)、JACS, Vol.120, N
o.4, p664-672 (1998)等に記載されているオリゴチオフ
ェン化合物、K. Murakoshi, et al., Chem. Lett. p471
(1997)に記載のポリピロール、“Handbook of Organic
Conductive Molecules and Polymers, Vol. 1,2,3,4”
(NALWA著、WILEY出版)に記載されているポリアセチレ
ン及びその誘導体、ポリ(p-フェニレン)及びその誘導
体、ポリ(p-フェニレンビニレン)及びその誘導体、ポリ
チエニレンビニレン及びその誘導体、ポリチオフェン及
びその誘導体、ポリアニリン及びその誘導体、ポリトル
イジン及びその誘導体等の導電性高分子を好ましく使用
することができる。
【0094】正孔輸送材料にはNature, Vol.395, 8 Oc
t., p583-585 (1998)に記載されているようにドーパン
トレベルをコントロールするためにトリス(4-ブロモフ
ェニル)アミニウムヘキサクロロアンチモネートのよう
なカチオンラジカルを含有する化合物を添加したり、酸
化物半導体表面のポテンシャル制御(空間電荷層の補
償)を行うためにLi[(CF3SO2)2N]のような塩を添加して
も構わない。
【0095】(b)無機正孔輸送材料 無機正孔輸送材料としては、p型無機化合物半導体を用
いることができる。この目的のp型無機化合物半導体
は、バンドギャップが2eV以上であることが好ましく、
2.5eV以上であることがより好ましい。また、p型無機化
合物半導体のイオン化ポテンシャルは色素の正孔を還元
できる条件から、色素吸着電極のイオン化ポテンシャル
より小さいことが必要である。使用する色素によってp
型無機化合物半導体のイオン化ポテンシャルの好ましい
範囲は異なってくるが、一般に4.5〜5.5eVであることが
好ましく、さらに4.7〜5.3eVであることが好ましい。好
ましいp型無機化合物半導体は1価の銅を含む化合物半
導体であり、1価の銅を含む化合物半導体の例としては
CuI、CuSCN、CuInSe2、Cu(In,Ga)Se2、CuGaSe2、Cu 2O、
CuS、CuGaS2、CuInS2、CuAlSe2等が挙げられる。この中
でもCuI及びCuSCNが好ましく、CuIが最も好ましい。こ
のほかのp型無機化合物半導体としては、GaP、NiO、Co
O、FeO、Bi2O3、MoO2、Cr2O3等を用いることができる。
【0096】(5)電荷輸送層の形成 電荷輸送層の形成方法に関しては2通りの方法が可能で
ある。1つは感光層の上に先に対極を貼り合わせてお
き、その間隙に液状の電荷輸送層を挟み込む方法であ
る。もう1つは感光層上に直接、電荷輸送層を付与する
方法で、対極はその後付与することになる。
【0097】前者の方法の場合、電荷輸送層の挟み込み
方法として、浸漬等による毛管現象を利用する常圧プロ
セス、又は常圧より低い圧力にして間隙の気相を液相に
置換する真空プロセスを利用できる。
【0098】後者の方法の場合、湿式の電荷輸送層にお
いては未乾燥のまま対極を付与し、エッジ部の液漏洩防
止措置を施すことになる。またゲル電解質の場合には湿
式で塗布して重合等の方法により固体化する方法があ
り、その場合には乾燥、固定化した後に対極を付与する
こともできる。電解液のほか湿式有機正孔輸送材料やゲ
ル電解質を付与する方法としては、前述の半導体微粒子
層や色素の付与と同様の方法を利用できる。
【0099】固体電解質や固体の正孔輸送材料の場合に
は真空蒸着法やCVD法等のドライ成膜処理で電荷輸送層
を形成し、その後対極を付与することもできる。有機正
孔輸送材料は真空蒸着法、キャスト法、塗布法、スピン
コート法、浸漬法、電解重合法、光電解重合法等の手法
により電極内部に導入することができる。無機固体化合
物の場合も、キャスト法、塗布法、スピンコート法、浸
漬法、電解析出法、無電解メッキ法等の手法により電極
内部に導入することができる。
【0100】(D)対極 対極は前述の導電性支持体と同様に、導電性材料からな
る対極導電層の単層構造でもよいし、対極導電層と支持
基板から構成されていてもよい。対極導電層に用いる導
電材としては、金属(白金、金、銀、銅、アルミニウ
ム、マグネシウム、インジウム等)、炭素、及び導電性
金属酸化物(インジウム−スズ複合酸化物、フッ素ドー
プ酸化スズ等)が挙げられる。この中でも白金、金、
銀、銅、アルミニウム及びマグネシウムが好ましく使用
することができる。対極に用いる支持基板は、好ましく
はガラス基板又はプラスチック基板であり、これに上記
の導電材を塗布又は蒸着して用いる。対極導電層の厚さ
は特に制限されないが、3nm〜10μmが好ましい。対極
導電層の表面抵抗は低い程よい。好ましい表面抵抗の範
囲としては50Ω/□以下であり、さらに好ましくは20Ω
/□以下である。
【0101】導電性支持体と対極のいずれか一方又は両
方から光を照射してよいので、感光層に光が到達するた
めには、導電性支持体と対極の少なくとも一方が実質的
に透明であればよい。発電効率の向上の観点からは、導
電性支持体を透明にして光を導電性支持体側から入射さ
せるのが好ましい。この場合、対極は光を反射する性質
を有するのが好ましい。このような対極としては、金属
又は導電性酸化物を蒸着したガラス又はプラスチック、
或いは金属薄膜を使用できる。
【0102】対極は電荷輸送層上に直接導電剤を塗布、
メッキ又は蒸着(PVD、CVD)するか、導電層を有する基
板の導電層側を貼り付ければよい。また、導電性支持体
の場合と同様に、特に対極が透明の場合には対極の抵抗
を下げる目的で金属リードを用いるのが好ましい。な
お、好ましい金属リードの材質及び設置方法、金属リー
ド設置による入射光量の低下等は導電性支持体の場合と
同じである。
【0103】(E)その他の層 対極と導電性支持体の短絡を防止するため、導電性支持
体と感光層の間には、緻密な半導体の薄膜層を下塗り層
として予め塗設しておくことが好ましい。この下塗り層
により短絡を防止する方法は、電荷輸送層に電子輸送材
料や正孔輸送材料を用いる場合は特に有効である。下塗
り層は好ましくはTiO2、SnO2、Fe2O3、WO3、ZnO又はNb2
O5からなり、さらに好ましくはTiO2からなる。下塗り層
は、例えばElectrochim. Acta, 40, 643-652 (1995)に
記載されているスプレーパイロリシス法や、スパッタ法
等により塗設することができる。下塗り層の好ましい膜
厚は5〜1000nmであり、10〜500nmがさらに好ましい。
【0104】また、電極として作用する導電性支持体と
対極の一方又は両方の外側表面、導電層と基板の間又は
基板の中間に、保護層、反射防止層等の機能性層を設け
てもよい。これらの機能性層の形成には、その材質に応
じて塗布法、蒸着法、貼り付け法等を用いることができ
る。
【0105】(F)光電変換素子の内部構造の具体例 上述のように、光電変換素子の内部構造は目的に合わせ
様々な形態が可能である。大きく2つに分ければ、両面
から光の入射が可能な構造と、片面からのみ可能な構造
が可能である。図2〜図9に本発明に好ましく適用でき
る光電変換素子の内部構造を例示する。
【0106】図2に示す構造は、透明導電層10aと透明
対極導電層40aとの間に、感光層20と電荷輸送層30とを
介在させたものであり、両面から光が入射する構造とな
っている。図3に示す構造は、透明基板50a上に一部金
属リード11を設け、その上に透明導電層10aを設け、下
塗り層60、感光層20、電荷輸送層30及び対極導電層40を
この順で設け、更に支持基板50を配置したものであり、
導電層側から光が入射する構造となっている。図4に示
す構造は、支持基板50上に導電層10を有し、下塗り層60
を介して感光層20を設け、更に電荷輸送層30と透明対極
導電層40aとを設け、一部に金属リード11を設けた透明
基板50aを金属リード11側を内側にして配置したもので
あり、対極側から光が入射する構造である。図5に示す
構造は、透明基板50a上に一部金属リード11を設け、更
に透明導電層10a(又は40a)を設けたもの1組の間に下
塗り層60、感光層20及び電荷輸送層30を介在させたもの
であり、両面から光が入射する構造である。図6に示す
構造は、透明基板50a上に透明導電層10a、下塗り層60、
感光層20、電荷輸送層30及び対極導電層40を設け、この
上に支持基板50を配置したものであり、導電層側から光
が入射する構造である。図7に示す構造は、支持基板50
上に導電層10を有し、下塗り層60を介して感光層20を設
け、更に電荷輸送層30及び透明対極導電層40aを設け、
この上に透明基板50aを配置したものであり、対極側か
ら光が入射する構造である。図8に示す構造は、透明基
板50a上に透明導電層10aを有し、下塗り層60を介して感
光層20を設け、更に電荷輸送層30及び透明対極導電層40
aを設け、この上に透明基板50aを配置したものであり、
両面から光が入射する構造となっている。図9に示す構
造は、支持基板50上に導電層10を設け、下塗り層60を介
して感光層20を設け、更に固体の電荷輸送層30を設け、
この上に一部対極導電層40又は金属リード11を有するも
のであり、対極側から光が入射する構造となっている。
【0107】[2]光電池 本発明の光電池は、上記本発明の光電変換素子に外部負
荷で仕事をさせるようにしたものである。光電池のう
ち、電荷輸送材料が主としてイオン輸送材料からなる場
合を特に光電気化学電池と呼び、また、太陽光による発
電を主目的とする場合を太陽電池と呼ぶ。
【0108】光電池の側面は、構成物の劣化や内容物の
揮散を防止するためにポリマーや接着剤等で密封するの
が好ましい。導電性支持体及び対極にリードを介して接
続する外部回路自体は公知のものでよい。
【0109】本発明の光電変換素子を太陽電池に適用す
る場合も、そのセル内部の構造は基本的に上述した光電
変換素子の構造と同じである。また、本発明の光電変換
素子を用いた色素増感型太陽電池は、従来の太陽電池モ
ジュールと基本的には同様のモジュール構造をとりう
る。太陽電池モジュールは、一般的には金属、セラミッ
ク等の支持基板の上にセルが構成され、その上を充填樹
脂や保護ガラス等で覆い、支持基板の反対側から光を取
り込む構造をとるが、支持基板に強化ガラス等の透明材
料を用い、その上にセルを構成してその透明の支持基板
側から光を取り込む構造とすることも可能である。具体
的には、スーパーストレートタイプ、サブストレートタ
イプ、ポッティングタイプと呼ばれるモジュール構造、
アモルファスシリコン太陽電池等で用いられる基板一体
型モジュール構造等が知られており、本発明の光電変換
素子を用いた色素増感型太陽電池も使用目的や使用場所
及び環境により、適宜モジュール構造を選択できる。具
体的には特開2000-268892号等に記載の構造や態様とす
ることが好ましい。
【0110】
【実施例】以下、本発明を実施例によって具体的に説明
するが、本発明はそれらに限定されるものではない。
【0111】合成例1.遷移金属錯体色素(2)の合成
【化26】 2.4gの2,2'-ビピリジン-4,4'-ジカルボン酸、1.1gの塩
化ルテニウム水和物及び400mlのジメチルホルムアミド
を混合し、6時間加熱還流した。不溶物を濾過し溶媒を
留去して全体の重量を15gとした後、100mlのアセトン
を加えて濾過し、2.5gの中間体(ア)を得た。256mgの中
間体(ア)、7mlのジメチルホルムアミド、5mlの1N水
酸化ナトリウム水溶液及び360mgの1-メチル-5-メルカプ
トテトラゾールを混合し、8時間加熱還流した。溶媒を
留去後、水を加えて再溶解し、希硝酸でpHを2.6に調整
した。生成した沈殿を濾過して120mgの中間体(イ)を得
た。120mgの中間体(イ)、1mlのテトラブチルアンモニ
ウムヒドロキシド10%水溶液及び2mlの蒸留水を混合
し、200gのセファデックスLH-20(ファルマシア製)を
用いたカラムクロマトグラフィー(溶離液:水)で精製
した。目的物のフラクションを減圧濃縮した後、希硝酸
を用いてpHを4.0に調整し、濾過して20mgの遷移金属錯
体色素(2)を結晶として得た。遷移金属錯体色素(2)のメ
タノール中での吸収極大値は375nm(ε=22400)及び50
2nm(ε=19200)であった。
【0112】合成例2.遷移金属錯体色素(15)の合成
【化27】 1gのターピリジン誘導体(ウ)、250mlの塩化メチレン、
0.65gの塩化ルテニウム水和物及び400mlのエタノールを
混合し4時間還流した。塩化メチレンを留去し、80℃で
3時間還流した。放冷後、出てきた結晶を濾過して1g
の中間体(エ)を得た。0.7gの中間体(エ)、0.2gの3,5-ジ
クロロベンゾイルアセトン、60mlのエタノール及び0.4m
lのトリエチルアミンを混合し6時間加熱還流した。溶
媒を減圧留去し、エーテルを加えて析出した結晶を濾過
して0.32gの中間体(オ)を得た。87mgの中間体(オ)、5m
lのジメチルホルムアミド、1.5mlのトリエチルアミン及
び160mgの1-メチル-5-メルカプトテトラゾールを混合
し、10時間加熱還流した。溶媒を留去後、水を加えて再
溶解し、希硝酸でpHを3.0に調整した。生成した沈殿を
濾過し60mgの中間体(カ)を得た。これに1mlのテトラブ
チルアンモニウムヒドロキシド10%水溶液及び2mlの蒸
留水を混合し、200gのセファデックスLH-20(ファルマ
シア製)を用いたカラムクロマトグラフィー(溶離液:
水)で精製した。目的物のフラクションを減圧濃縮した
後、希硝酸を用いてpHを3.3とし、濾過して10mgの遷移
金属錯体色素(15)を結晶として得た。遷移金属錯体色素
(15)のメタノール中での吸収極大値は412nm(ε=1440
0)及び581nm(ε=6700)であった。
【0113】実施例1 1.二酸化チタン粒子塗布液の作製 オートクレーブ温度を230℃にしたこと以外はバルベら
のジャーナル・オブ・アメリカン・セラミック・ソサエ
ティ, 第80巻, 3157頁に記載の方法と同様の方法で、二
酸化チタン濃度が11質量%の二酸化チタン粒子分散物を
得た。この分散物中の二酸化チタン粒子の平均サイズは
約10nmであった。この分散物に二酸化チタンに対して30
質量%のポリエチレングリコール(分子量20000、和光
純薬製)を添加し、混合して二酸化チタン粒子塗布液を
得た。
【0114】2.色素吸着二酸化チタン電極の作製 フッ素をドープした酸化スズをコーティングした透明導
電性ガラス(日本板硝子製、表面抵抗:約10Ω/cm2
の導電面側に上記二酸化チタン粒子塗布液をドクターブ
レードで100μmの厚さに塗布し、25℃で30分間乾燥した
後、電気炉(ヤマト科学製「マッフル炉FP-32型」)を
用いて500℃で30分間焼成し、ドライブース中で120℃ま
で冷却した。透明導電性ガラスの単位面積あたりの二酸
化チタン塗布量は20.5g/m2であり、二酸化チタン層の膜
厚は14μmであった。得られた二酸化チタン電極を遷移
金属錯体色素(2)を含有する色素吸着液E-1に40℃で4時
間浸漬し、エタノール及びアセトニトリルで順次洗浄
し、暗所、窒素気流下で乾燥して色素吸着二酸化チタン
電極を作製した。なお、色素吸着液E-1は遷移金属錯体
色素(2)、エタノールとアセトニトリルの混合溶媒(エ
タノール:アセトニトリル=1:1(体積比))及びケ
ノデオキシコール酸(4.0mmol/l)からなり、色素吸着
液E-1中の遷移金属錯体色素(2)の濃度は0.3mmol/lとし
た。
【0115】3.光電変換素子の作製 上述のように得た色素吸着酸化チタン電極(2cm×2c
m)をこれと同じ大きさの白金蒸着ガラスと重ね合わせ
た。次に、両ガラスの隙間に毛細管現象を利用して電解
液(ヨウ化1,3-ジメチルイミダゾリウム(0.65mol/l)
及びヨウ素(0.05mol/l)のアセトニトリル溶液)をし
みこませて酸化チタン電極中に導入し、本発明の光電変
換素子C-1を得た。この光電変換素子は、図10に示すよ
うな、導電性ガラス1(ガラス2上に導電層3が設層さ
れたもの)、色素吸着二酸化チタン層4、電荷輸送層
5、白金層6及びガラス7が順に積層された構造を有す
る。また、上記色素吸着液E-1に換えて下記表1に示す
色素吸着液E-2〜E-10を用いたこと以外は光電変換素子C
-1の作製と同様の方法により、本発明の光電変換素子C-
2〜C-9及び比較用の光電変換素子C-10をそれぞれ作製し
た。なお、各色素吸着液E-2〜E-10は遷移金属錯体色
素、エタノールとアセトニトリルの混合溶媒(エタノー
ル:アセトニトリル=1:1(体積比))及びケノデオ
キシコール酸(4.0mmol/l)からなり、各色素吸着液E-2
〜E-10中の遷移金属錯体色素の濃度は0.3mmol/lとし
た。各色素吸着液に用いた遷移金属錯体色素及びその濃
度を下記表1に示す。また、色素吸着液E-10に用いた比
較用色素(A)の構造を以下に示す。
【0116】
【表1】
【化28】
【0117】4.太陽光光電変換効率の測定 500Wのキセノンランプ(ウシオ製)の光を分光フィルタ
ー(Oriel社製「AM1.5」)を通すことにより模擬太陽光
を発生させた。この模擬太陽光の強度は垂直面において
100mW/cm2であった。各光電変換素子C-1〜C-10の導電性
ガラスの端部に銀ペーストを塗布して負極とし、この負
極と白金蒸着ガラス(正極)を電流電圧測定装置(ケー
スレーSMU238型)に接続した。各光電変換素子に模擬太
陽光を垂直に照射し印加電圧を掃引しながら発生電流を
測定した。表2に本発明の光電変換素子C-1〜C-9及び比
較用の光電変換素子C-10の太陽電池特性を示す。
【0118】
【表2】
【0119】表2に示したように、本発明の光電変換素
子C-1〜C-9はいずれも比較用の光電変換素子C-10よりも
優れた光電変換特性を示した。
【0120】
【発明の効果】以上詳述したように、配位子(I)を含む
遷移金属錯体色素を増感色素として用いることにより、
変換効率に優れた色素増感光電変換素子が得られる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の好ましい光電変換素子の構造を示す
部分断面図である。
【図2】 本発明の好ましい光電変換素子の構造を示す
部分断面図である。
【図3】 本発明の好ましい光電変換素子の構造を示す
部分断面図である。
【図4】 本発明の好ましい光電変換素子の構造を示す
部分断面図である。
【図5】 本発明の好ましい光電変換素子の構造を示す
部分断面図である。
【図6】 本発明の好ましい光電変換素子の構造を示す
部分断面図である。
【図7】 本発明の好ましい光電変換素子の構造を示す
部分断面図である。
【図8】 本発明の好ましい光電変換素子の構造を示す
部分断面図である。
【図9】 本発明の好ましい光電変換素子の構造を示す
部分断面図である。
【図10】 実施例で作製した光電変換素子の構造を示す
部分断面図である。
【符号の説明】
10・・・導電層 10a・・・透明導電層 11・・・金属リード 20・・・感光層 21・・・半導体微粒子 22・・・色素 23・・・電荷輸送材料 30・・・電荷輸送層 40・・・対極導電層 40a・・・透明対極導電層 50・・・基板 50a・・・透明基板 60・・・下塗り層 1・・・導電性ガラス 2・・・ガラス 3・・・導電層 4・・・色素吸着二酸化チタン層 5・・・電荷輸送層 6・・・白金層 7・・・ガラス
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き Fターム(参考) 5F051 AA14 DA20 FA02 GA03 5H032 AA06 AS16 AS19 CC11 EE04 EE16 EE17 EE20

Claims (10)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 導電性支持体及び感光層を有する光電変
    換素子において、前記感光層が下記一般式(I)により表
    される配位子を含む遷移金属錯体色素によって増感され
    た半導体微粒子を含有することを特徴とする光電変換素
    子。 【化1】 一般式(I)中、Y10は炭素原子及び窒素原子とともに5〜
    7員の環を形成する原子団を表す。
  2. 【請求項2】 請求項1に記載の光電変換素子におい
    て、前記遷移金属錯体色素が下記一般式(II)により表さ
    れることを特徴とする光電変換素子。 【化2】 一般式(II)中、Mは遷移金属原子を表し、L10は置換又は
    無置換のビピリジンを表し、L20は置換又は無置換のタ
    ーピリジンを表し、X10はアニオン性配位子を表し、Aは
    前記一般式(I)により表される配位子を表し、CIは電荷
    を中和するための対イオンを表す。n1は0〜2の整数を
    表し、n2は0又は1を表し、n1及びn2の少なくとも一方
    は0ではなく、n3は0〜2の整数を表し、n4は1〜3の
    整数を表し、n5は0〜4の整数を表す。
  3. 【請求項3】 請求項1又は2に記載の光電変換素子に
    おいて、前記遷移金属錯体色素がFe、Co、Ru、Os、Ir及
    びPtからなる群から選ばれた遷移金属原子を含むことを
    特徴とする光電変換素子。
  4. 【請求項4】 請求項1〜3のいずれかに記載の光電変
    換素子において、前記遷移金属錯体色素が酸性基を有す
    ることを特徴とする光電変換素子。
  5. 【請求項5】 請求項4に記載の光電変換素子におい
    て、前記酸性基がカルボキシル基、ヒドロキシル基、ホ
    スホニル基又はホスホリル基であることを特徴とする光
    電変換素子。
  6. 【請求項6】 請求項1〜5のいずれかに記載の光電変
    換素子において、前記Y10が形成する環が置換又は無置
    換のイミダゾール環、トリアゾール環、テトラゾール
    環、チアジアゾール環又はオキサジアゾール環であるこ
    とを特徴とする光電変換素子。
  7. 【請求項7】 請求項1〜6のいずれかに記載の光電変
    換素子において、前記遷移金属錯体色素が下記一般式(I
    II)により表されることを特徴とする光電変換素子。 【化3】 一般式(III)中、L21は置換ターピリジンを表し、X11
    シアン化物イオン、シアン酸イオン又はチオシアン酸イ
    オンからなるアニオン性配位子或いはβ-ジケトナト配
    位子を表し、Y11は炭素原子及び窒素原子とともに置換
    又は無置換のイミダゾール環、トリアゾール環、テトラ
    ゾール環、チアジアゾール環又はオキサジアゾール環を
    形成する原子団を表し、CIは電荷を中和するための対イ
    オンを表す。n3は0〜2の整数を表し、n4は1〜3の整
    数を表し、n5は0〜4の整数を表す。
  8. 【請求項8】 請求項1〜7のいずれかに記載の光電変
    換素子において、前記半導体微粒子がTiO2、ZnO又はSnO
    2からなることを特徴とする光電変換素子。
  9. 【請求項9】 請求項1〜8のいずれかに記載の光電変
    換素子を含むことを特徴とする光電池。
  10. 【請求項10】 下記一般式(III)により表されることを
    特徴とするルテニウム錯体色素。 【化4】 一般式(III)中、L21は置換ターピリジンを表し、X11
    シアン化物イオン、シアン酸イオン又はチオシアン酸イ
    オンからなるアニオン性配位子或いはβ-ジケトナト配
    位子を表し、Y11は炭素原子及び窒素原子とともに置換
    又は無置換のイミダゾール環、トリアゾール環、テトラ
    ゾール環、チアジアゾール環又はオキサジアゾール環を
    形成する原子団を表し、CIは電荷を中和するための対イ
    オンを表す。n3は0〜2の整数を表し、n4は1〜3の整
    数を表し、n5は0〜4の整数を表す。
JP2001236969A 2001-08-03 2001-08-03 光電変換素子、光電池及び錯体色素 Pending JP2003051343A (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2001236969A JP2003051343A (ja) 2001-08-03 2001-08-03 光電変換素子、光電池及び錯体色素

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2001236969A JP2003051343A (ja) 2001-08-03 2001-08-03 光電変換素子、光電池及び錯体色素

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JP2003051343A true JP2003051343A (ja) 2003-02-21

Family

ID=19068140

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2001236969A Pending JP2003051343A (ja) 2001-08-03 2001-08-03 光電変換素子、光電池及び錯体色素

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP2003051343A (ja)

Cited By (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
WO2008004580A1 (fr) 2006-07-05 2008-01-10 Nippon Kayaku Kabushiki Kaisha Cellule solaire sensible à la coloration
JP2012119195A (ja) * 2010-12-01 2012-06-21 National Institute For Materials Science 金属錯体、色素増感酸化物半導体電極及び色素増感太陽能電池
WO2012096170A1 (ja) * 2011-01-13 2012-07-19 第一工業製薬株式会社 光電変換素子
KR20150082274A (ko) * 2012-11-15 2015-07-15 고꾸리츠 다이가꾸호오징 기후다이가꾸 산화환원쌍 및 이를 사용한 광전변환소자

Cited By (10)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
WO2008004580A1 (fr) 2006-07-05 2008-01-10 Nippon Kayaku Kabushiki Kaisha Cellule solaire sensible à la coloration
JP2012119195A (ja) * 2010-12-01 2012-06-21 National Institute For Materials Science 金属錯体、色素増感酸化物半導体電極及び色素増感太陽能電池
WO2012096170A1 (ja) * 2011-01-13 2012-07-19 第一工業製薬株式会社 光電変換素子
CN103299478A (zh) * 2011-01-13 2013-09-11 第一工业制药株式会社 光电转换元件
JP5475145B2 (ja) * 2011-01-13 2014-04-16 第一工業製薬株式会社 光電変換素子
KR101417700B1 (ko) * 2011-01-13 2014-07-09 다이이치 고교 세이야쿠 가부시키가이샤 광전변환소자
US8907209B2 (en) 2011-01-13 2014-12-09 Dai-Ichi Kogyo Seiyaku Co., Ltd. Photoelectric conversion element
TWI499062B (zh) * 2011-01-13 2015-09-01 Dai Ichi Kogyo Seiyaku Co Ltd Photoelectric conversion element
KR20150082274A (ko) * 2012-11-15 2015-07-15 고꾸리츠 다이가꾸호오징 기후다이가꾸 산화환원쌍 및 이를 사용한 광전변환소자
KR102089819B1 (ko) 2012-11-15 2020-03-16 고꾸리츠 다이가꾸호오징 기후다이가꾸 산화환원쌍 및 이를 사용한 광전변환소자

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP4222466B2 (ja) 電荷輸送材料、それを用いた光電変換素子及び光電池、並びにピリジン化合物
JP5081345B2 (ja) 光電変換素子の製造方法
JP2002105346A (ja) 金属錯体色素、光電変換素子および光電池
JP4500420B2 (ja) 光電変換素子および光電池
JP2002008741A (ja) 光電変換素子および光電池
JP2003187881A (ja) 光電変換素子の作製方法、光電変換素子及び光電池
JP2003031270A (ja) 電解液組成物、光電変換素子及び光電池
JP4162116B2 (ja) 光電変換素子および光電気化学電池
JP4763120B2 (ja) 光電変換素子およびこれを用いた光電池
JP4970641B2 (ja) 光電変換素子およびこれを用いた光電池
JP2002222968A (ja) 光電変換素子および光電気化学電池
JP4772192B2 (ja) 光電変換素子、光電池及び錯体色素
JP4100491B2 (ja) 半導体微粒子層、光電変換素子及び光電池
JP4247810B2 (ja) 光電変換素子及び光電池
JP4578695B2 (ja) 光電変換素子の作成方法
JP4497395B2 (ja) 光電変換素子の作成方法及び光電変換素子
JP2002261310A (ja) 酸化チタン微粒子の製造方法、光電変換素子及び光電池
JP4649022B2 (ja) 光電変換素子および光電池
JP4392781B2 (ja) 光電変換素子の作成方法及び光電変換素子
JP2003051343A (ja) 光電変換素子、光電池及び錯体色素
JP5114536B2 (ja) 光電変換素子の製造方法、光電変換素子及び光電気化学電池
JP4518365B2 (ja) 光電変換素子の作成方法、光電変換素子及び光電池
JP2003187882A (ja) 光電変換素子の作製方法、光電変換素子及び光電池
JP4624576B2 (ja) 光電変換素子の作成方法及び光電変換素子
JP2003217692A (ja) 光電変換素子の作製方法、光電変換素子及び光電池