JP2003049053A - 難燃性ポリエステル系樹脂組成物 - Google Patents

難燃性ポリエステル系樹脂組成物

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JP2003049053A
JP2003049053A JP2001236513A JP2001236513A JP2003049053A JP 2003049053 A JP2003049053 A JP 2003049053A JP 2001236513 A JP2001236513 A JP 2001236513A JP 2001236513 A JP2001236513 A JP 2001236513A JP 2003049053 A JP2003049053 A JP 2003049053A
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melamine
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Kiyoshi Mori
清 森
Junji Nantaku
淳二 南宅
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Sakamoto Yakuhin Kogyo Co Ltd
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Sakamoto Yakuhin Kogyo Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【目的】本発明の目的は、機械特性及び加工特性などの
ポリエステル系樹脂の特性に悪影響を与えることなく、
ハロゲン系有機化合物を使用しないで優れた難燃性を有
するポリエステル系樹脂組成物を提供するものである。 【構成】ポリエステル系樹脂100重量部(A)に対し
て、軟化点が120℃以上であるノボラック型フェノー
ル樹脂(B)10〜50重量部、燐酸メラミン類(C)
10〜80重量部、ガラス繊維(D)0〜100重量
部、分子中にエポキシ基またはビニル基、メルカプト基
のいずれかの基が存在し、かつアルコキシ基を有するシ
ランカップリング剤(E)0〜2.5重量部を配合して
なる難燃性ポリエステル系樹脂組成物。

Description

【発明の詳細な説明】 【0001】 【発明の属する技術分野】本発明は、難燃性ポリエステ
ル系樹脂組成物に関するものであり、作業性及び安全性
に優れ、かつ、ハロゲン系の難燃剤を使用せずに、難燃
性、機械特性に優れる難燃性ポリエステル系樹脂組成物
を提供するものである。 【0002】 【従来の技術】ポリエチレンテレフタレート、ポリブチ
レンテレフタレートなどに代表される熱可塑性ポリエス
テル系樹脂は、成形加工性、機械特性などの優れた諸特
性を利用して機械機構部品、電気部品及び自動車部品な
どに、エンジニアリングプラスチックとして近年広く用
いられている。一方、これらの工業材料の中でも特に電
気及び電子部品の分野では火災に対する安全性の要求が
高まり、米国UL規格に代表される難燃化に関する各種
規制が強化されるに伴い、多くの使用上の制限を受けて
きている。 【0003】ポリエステル系樹脂に難燃性付与する方法
としては、難燃剤としてハロゲン系有機化合物、更に難
燃助剤としてアンチモン化合物を樹脂に練り込む方法が
一般的である。しかしながら、近年ヨーロッパを中心に
ハロゲンを含まない難燃剤を用いることが強く望まれて
いる。現在までに開発された非ハロゲン系難燃剤は熱安
定性、着色、機械物性の低下など多くの問題点を有して
いた。 【0004】これまでに、ハロゲン系難燃剤を使わずに
合成樹脂を難燃化する方法としては、リン化合物や金属
水酸化物を添加する方法が広く知られている。しかしな
がら、リン化合物単独では熱安定性が悪いため、高温で
加工するとポリエステル系樹脂では、練り込み時に多量
の発煙が生じたり、樹脂が着色するなどの問題があり、
成形加工時にも金属汚染などの問題があった。また、金
属水酸化物は多量に添加しないと難燃効果が得られない
ため、樹脂本来の機械的特性や諸特性を著しく低下させ
るという欠点を有していた。 【0005】これに対して、赤燐とフェノール樹脂を併
用しポリブチレンテレフタレートを難燃化するという方
法(1993年、プラスチックス・エンジニアリングN
ovember.29−31)が公開されている。この
方法は、上記した問題点をある程度克服するものであっ
たが、赤燐を使用する為に淡色の成形品が得られず、濃
色の代替にしか使用できないという欠点があり、また、
赤燐は練り込みまたは成形加工時に高温にさらされるこ
とでホスフィンが発生する問題がある為、作業安全性の
面で使用に問題が生じている。 【0006】従って、本発明の目的は、機械特性及び加
工特性などのポリエステル系樹脂の特性に悪影響を与え
ることなく、ハロゲン系有機化合物を使用しないで優れ
た難燃性を有するポリエステル系樹脂組成物を提供する
ものである。 【0007】 【問題を解決するための手段】本発明者らは、上記目的
を達成するため鋭意検討を重ねた結果、ポリエステル系
樹脂100重量部(A)に対して、軟化点が120℃以
上であるノボラック型フェノール樹脂(B)10〜50
重量部、燐酸メラミン類(C)10〜80重量部、ガラ
ス繊維(D)0〜100重量部、分子中にエポキシ基ま
たはビニル基、メルカプト基のいずれかの基が存在し、
かつアルコキシ基を有するシランカップリング剤(E)
0〜2.5重量部を配合することによりポリエステル系
樹脂本来の優れた特長を保持しながら、更に練り込み時
及び成形時における発煙、着色、離型性、金属汚染の恐
れがなく、難燃性、機械特性、加工特性の良好な樹脂が
得られることを見いだし本発明に至った。 【0008】 【発明の細部構成と作用】本発明で用いているポリエス
テル系樹脂(A)とは、芳香族ジカルボン酸とジオール
の重縮合により得られる線状高分子量のポリエステルの
ことである。芳香族カルボン酸としては、例えばテレフ
タル酸、イソフタル酸、フタル酸、メチルテレフタル
酸、メチルイソフタル酸および2,6−ナフタレンジカ
ルボン酸等とそのエステル類が好ましいものとして挙げ
られ、特にテレフタル酸が好ましい。これらは1種また
は2種以上一緒に用いることができる。 【0009】また、ジオールとしては、例えばエチレン
グリコール、トリメチレングリコール、テトラメチレン
グリコール、ヘキサメチレングリコール、ネオペンチル
グリコール等の脂肪族ジオールおよび1,4−シクロヘ
キサンジメタノール等の脂環族ジオールを挙げられるが
特にエチレングリコール、テトラメチレングリコール等
が好ましい。これらの脂肪族ジオールおよび脂環族ジオ
ールは1種または2種以上一緒に用いることができる。 【0010】本発明で用いているノボラック型フェノー
ル樹脂(B)とは、攪拌機、熱交換器、温度計のついた
反応装置で、不活性気体を供給しながらフェノール類と
ホルムアルデヒド類を、無触媒または触媒の存在下で加
熱、脱水縮合反応させ、その後、常圧または減圧下によ
り脱水、脱フェノールして得られる軟化点が120℃以
上の熱可塑性のフェノール樹脂類を言う。 【0011】ポリエステル系樹脂(A)に用いるノボラ
ック型フェノール樹脂(B)としては、軟化点が120
℃以上のものである必要がある。軟化点が120℃以上
であると、ポリエステル系樹脂(A)に配合して樹脂組
成物とした場合に、この樹脂組成物は良好な成形加工
性、機械特性を発揮する。軟化点が120℃未満である
と、樹脂組成物は射出成形時の離型性が悪く、かつ、高
温時の弾性率低下など機械特性の低下も大きいので、工
業用部品製造用の成形材料としての使用には適さない。 【0012】本発明においてノボラック型フェノール樹
脂(B)の軟化点は、JIS C2104「電気絶縁塗
料用100%油溶性フェノール樹脂試験方法」に示され
た測定方法に準じて測定した値を意味する。 【0013】しかしながら、上記した方法で得られるノ
ボラック型フェノール樹脂(B)中には、遊離フェノー
ル成分や2核体成分の含有量が比較的多く残存してお
り、ポリエステル系樹脂と溶融混練した場合、これらの
成分が揮発する可能性があり、特に好ましくは軟化点が
120℃以上で遊離フェノール成分含有率が0.5重量
%未満、2核体成分の含有率が2重量%未満とした熱安
定性に優れるノボラック型フェノール樹脂(B)を用い
る方が良い。 【0014】その製造方法としては、攪拌機、熱交換
器、温度計のついた反応装置で、不活性気体を供給しな
がらフェノール類と、アルデヒド類とを、無触媒または
触媒の存在下で反応させて、ノボラック型フェノール樹
脂の初期縮合反応物を得る。つづいて、常圧または減圧
下で初期縮合反応物に不活性気体および/または水蒸気
を供給配合して、初期縮合反応物から遊離フェノール成
分が0.5重量%未満、2核体成分が2重量%未満とな
るまで蒸留する。この段階で、軟化点が120℃未満の
ものについては、更にアルデヒド類を用いて軟化点が1
20℃以上となるよう加熱、脱水縮合反応を再度行い、
その後、常圧または減圧下で脱水することにより得るこ
とができる。 【0015】上記したノボラック型フェノール樹脂
(B)中の遊離フェノール、2核体の含有率は、ゲルパ
ーミエーションクロマトグラフィー(溶離液:テトラヒ
ドロフラン)を用いることで容易に測定できる。 【0016】本発明のノボラック型フェノール樹脂
(B)の製造方法としては、上記した方法に限定される
ものではなく、公知慣用な方法に従えばよいことは無論
である。 【0017】フェノール類としては、フェノール、クレ
ゾール、キシレノール、ナフトール、ブチルフェノー
ル、フェニルフェノール、ビフェノール、ジヒドロキシ
ベンゼン、ビスフェノールA、ビスフェノールF等の1
価ならびに多価フェノール類、及びそれらの置換体が挙
げられる。 【0018】アルデヒド類としては、通常ホルムアルデ
ヒドの37%水溶液として市販されているものが一般的
であるが、その水和重合物であるパラホルムアルデヒド
やポリオキシメチレン、トリオキサン、アセトアルデヒ
ド、ベンズアルデヒド等もその類である。 【0019】フェノール類とアルデヒド類とを反応させ
るために使用する触媒として、塩酸、硫酸、スルファミ
ン酸などの無機塩、しゅう酸、マレイン酸、ぎ酸、安息
香酸、サリチル酸パラトルエンスルホン酸などの有機
酸、鉛、カルシウム、錫、亜鉛などの2価金属からなる
カルボン酸塩やナフテン酸などの有機酸金属塩が挙げら
れる。 【0020】ノボラック型フェノール樹脂(B)の添加
量としては、ポリエステル系樹脂(A)100重量部に
対して10〜50重量部が好ましい。更に好ましくは1
5〜35重量部である。添加量が10重量部未満である
と難燃性が十分でなく、50重量部を超えると成形品の
機械特性が低くなる。 【0021】本発明で用いている燐酸メラミン類(C)
は、ポリエステル系樹脂の難燃性向上に効果があり、更
にノボラック型フェノール樹脂(B)と併用することに
より顕著に難燃性が向上するという大変重要な化合物で
ある。 【0022】燐酸メラミン類(C)としては、燐酸メラ
ミン、ピロ燐酸メラミン、ポリ燐酸メラミン、縮合燐酸
メラミン、ポリ燐酸メラム、ポリ燐酸メレム等が挙げら
れる。中でも、特にポリ燐酸メラミンが好ましい。これ
らは1種類又は2種類以上用いることができる。また、
ポリ燐酸メラミンを含む燐酸メラミン類としては、特に
限定されるものではなく通常市販品を用いて良い。 【0023】本発明で用いる燐酸メラミン類(C)の平
均粒子径としては、50μm以下が好ましい。平均粒子
径が50μm以上を越える場合は、ポリエステル系樹脂
中での分散性が低下し、機械特性に影響及ぼす。 【0024】燐酸メラミン類(C)の製造に使用する燐
酸類としては、オルト燐酸、亜燐酸、次亜燐酸、ポリ燐
酸等が挙げられ、メラミン類としては、メラミン、サク
シノグアナミン、シアノメラミン、アリールメラミン、
グアニルメラミン、メラム、メロン等が挙げられる。 【0025】燐酸メラミン類(C)の燐酸メラミンの製
造方法としては、特公昭40−28549号公報及び米
国特許第3,920,796号明細書にオルト燐酸メラ
ミンを170〜320℃で焼成して、一部または全量を
ピロ燐酸メラミンとする方法が記載されている。 【0026】燐酸メラミン類(C)の縮合燐酸メラミン
の製造方法としては、特公昭61−126091号公報
に縮合燐酸とメラミンを固相反応せしめて縮合燐酸メラ
ミンを得る方法が記載されている。 【0027】燐酸メラミン類(C)のポリ燐酸メラミン
・ポリ燐酸メラム・ポリ燐酸メレム複塩の製造方法とし
ては、特開平10−306081号公報にオルト燐酸1
モルに対して2〜4倍モルのメラミンを反応せしめた
後、340〜450℃で0.1〜30時間焼成してポリ
燐酸メラミン・ポリ燐酸メラム・ポリ燐酸メレム複塩を
得る方法が記載されている。 【0028】燐酸メラミン類(C)のポリ燐酸メラミン
の製造方法としては、特開平2001−26597号公
報に燐酸とメラミンを水溶液中で反応せしめた後、濾
過、乾燥した燐酸一メラミン塩、あるいは水性媒体の実
質不存在下でメラミンと燐酸を固相反応せしめた燐酸一
メラミン塩を260〜320℃で1〜10時間の加熱処
理してポリ燐酸メラミンを得る方法が記載されている。 【0029】広く知られている燐酸メラミン類(C)の
製造方法を上記したが、特に限定されるものではなく、
公知慣用な方法に従えばよいことは無論である。 【0030】燐酸メラミン類(C)の添加量としては、
ポリエステル系樹脂(A)100重量部に対して、10
〜80重量部が好ましい。更に好ましくは30〜70重
量部である。10重量部未満では難燃性が不十分であ
り、80重量部を超えると難燃性樹脂組成物から得られ
る成形品の機械的特性が低下する。 【0031】尚、本発明のノボラック型フェノール樹脂
(B)と燐酸メラミン類(C)を併用することにより、
優れた難燃性ポリエステル系樹脂組成物が得られるが、
更なる難燃性の向上を望む場合、シリコン系やテフロン
(登録商標)系のドリップ防止剤を添加するのが好まし
い。 【0032】また、強化充填剤としてガラス繊維(D)
を使用する場合においても、本発明のノボラック型フェ
ノール樹脂(B)と燐酸メラミン類(C)の併用によ
り、優れた難燃性ポリエステル系樹脂組成物が得られる
ものの、更なる難燃性の向上を望む場合、シランカップ
リング剤(E)を添加するのが好ましい。 【0033】本発明で用いているシランカップリング剤
(E)とは、分子中にエポキシ基またはビニル基、メル
カプト基のいずれかの基が存在し、かつアルコキシ基を
有する化合物であり、具体的には、γ―グリシドキシプ
ロピルトリメトキシシラン、γ―グリシドキシプロピル
メチルジエトキシシラン、β−(3,4―エポキシシク
ロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、ビニルエトキ
シシラン、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリス
(βメトキシエトキシ)シラン、γ―メルカプトトリメ
トキシシンなどが挙げられるが、これらに限定されるも
のではない。 【0034】シランカップリング剤(E)としては、エ
ポキシ基やビニル基、メルカプト基が分子中にあること
が重要であり、ガラス繊維(D)が添加されたことによ
って、燃えやすくなった樹脂の状態を改善するのに大き
な役割を果たしていると思われる。 【0035】シランカップリング剤(E)の添加方法と
しては、樹脂と練り込む前に、ガラス繊維(D)表面に
シランカップリング剤(E)を処理した後、この処理し
たガラス繊維とノボラック型フェノール樹脂(B)、燐
酸メラミン類(C)を樹脂に練り込む方法、ガラス繊維
(D)とノボラック型フェノール樹脂(B)、燐酸メラ
ミン類(C)を樹脂に練り込む時に同時に練り込む方
法、ノボラック型フェノール樹脂(B)、燐酸メラミン
類(C)とシランカップリング剤(E)を前もってブレ
ンドしておき、ガラス繊維(D)とともに樹脂に練り込
む方法などが挙げられるが、これらに限定されるもので
はない。 【0036】シランカップリング剤(E)の樹脂への添
加量としては、0〜2.5重量部配合される。2.5重
量部以上添加した場合、難燃性の低下が著しい。 【0037】本発明の目的を損なわない範囲でガラス繊
維以外の充填剤を含有することができる。代表的なもの
としては、炭素繊維、金属繊維、セラミック繊維、チタ
ン酸カリ繊維、炭酸カルシウム、ケイ酸マグネシウム、
硫酸カルシウム、硫酸バリウム、酸化鉄黒鉛、カーボン
ブラック、雲母、アスベスト、セラミック、金属フレー
ク、ガラスビーズ、ガラスパウダー等が挙げられる。こ
れらは1種類又は2種類以上用いることができる。 【0038】本発明の樹脂組成物には、その目的を損な
わない範囲で他の熱可塑性樹脂を併用することができ
る。例えば、ポリエステル、ポリカーボネート、ポリウ
レタン、ポリスチレン、AS、ABS、ポリアセター
ル、ポリフェニレンオキシド、ポリフェニレンサルファ
イド、ポリブタジエン、ポリオレフィンなどを目的に応
じて任意の割合で配合することが可能である。 【0039】本発明に係る樹脂組成物には、耐熱性、耐
候性、耐衝撃性を著しく損なわない範囲で、他の公知の
難燃剤を配合しても良く、更に、他の各種の添加剤、例
えば紫外線吸収剤、可塑剤、着色剤、酸化防止剤、熱安
定剤、滑剤、核剤、離型剤、顔料等を添加してもよい。 【0040】 【実施例】以下、本発明を、合成例及び実施例、比較例
を挙げて具体的に説明するが本発明は、その要旨をこえ
ない限り、以下の記載例に制約されるものではない。 【0041】実施例、比較例に使用した原材料は、表−
1に示したとおりである。ただし、軟化点が120℃以
上であるノボラック型フェノール樹脂(B)は、以下に
記載の合成例によって合成したものである。 【0042】 【合成例1】攪拌機、温度計、還流器を装備した、容量
が500ミリリットルの4つ口のセパラブルフラスコに
フェノール94g(1モル)と37%ホルマリン73g
(0.9モル)を仕込んだ。フラスコにシュウ酸を加え
て、不活性気体を供給しながら還流する温度で3時間以
上反応させた後、水を流出させながら内温100〜15
0℃の温度で更に3時間以上反応させた。つづいて、5
0torr以下の減圧下、内温150〜180℃で脱フ
ェノール、脱水を行った。得られた生成物は淡黄色の固
体であり、軟化点は123℃であった。以下、これをノ
ボラック型フェノール樹脂(b−1)という。 【0043】 【合成例2】攪拌機、温度計、還流器を装備した、容量
が500ミリリットルの4つ口のセパラブルフラスコに
ビスフェノールF190g(0.95モル)と37%ホ
ルマリン61.6g(0.76モル)を仕込んだ。フラ
スコにシュウ酸を加えて、不活性気体を供給しながら還
流する温度で3時間以上反応させた後、水を流出させな
がら内温100〜150℃の温度で更に3時間以上反応
させた。つづいて、常圧下または減圧下、内温150〜
180℃で脱水を行った。得られた生成物は淡黄色の固
体であり、軟化点は133℃であった。以下、これをノ
ボラック型フェノール樹脂(b−2)という。 【0044】 【合成例3】攪拌機、温度計、還流器を装備した、容量
が500ミリリットルの4つ口のセパラブルフラスコに
フェノール94g(1モル)と37%ホルマリン41g
(0.5モル)を仕込んだ。フラスコにシュウ酸を加え
て、不活性気体を供給しながら還流する温度で3時間以
上反応させた後、水を流出させながら内温100〜15
0℃の温度で更に3時間以上反応させた。つづいて、5
0torr以下の減圧下、内温150〜180℃で脱フ
ェノール、脱水を行った。その後、常圧または減圧下に
て内温230〜250℃で水蒸気蒸留を3時間以上行
い、2核体を除去した。更にパラホルムアルデヒドを
1.2g(0.037モル)添加し、不活性気体を供給
しながら還流する温度で1時間以上反応させた後、水を
流出させながら内温100〜150℃の温度で更に1時
間以上反応させた。つづいて、常圧下または減圧下、内
温150〜180℃で脱水を行った。こうして得られた
生成物は淡黄色の固体であり、軟化点が139℃で、遊
離フェノールが0%、2核体が1.6%であった。以
下、これをノボラック型フェノール樹脂(b−3)とい
う。 【0045】 【表1】 【0046】 【実施例1〜8、比較例1〜7】上記表−1に記載の原
材料を表−2、表−3に記載の割合で秤量し、ブレンダ
ーで混合した。得られた混合物を、二軸押出機(池貝鉄
工社製、型式:PCM30)によって、シリンダー温度
230〜250℃として溶融混練し、ペレット状の樹脂
組成物を得た。得られたペレットを120℃で4時間乾
燥した後、射出成形機(東芝機械社製、型式:IS60
B)によって、シリンダー温度250℃として、試験片
を作成し、下記の項目について評価試験を行った。評価
試験結果を表−2、3に示した。 【0047】(1)練り込み時の発煙量:練り込み時に
ノズルの先からでる煙の量を目視で観察し、ほとんど発
煙していないを「○」、少し発煙がみられるを「△」、
作業環境上好ましくない発煙があるを「×」と表示し
た。 (2)成形時の離型性:試験片を成形する際に、金型か
ら試験片を離型する状態を目視で観察し、離型性が良好
なものを「○」、離型性が不良なものを「×」と表示し
た。 (3)成形品の着色:樹脂本来の成形品の色と比較し
て、ほとんど着色がないを「○」、少し着色があるを
「△」、かなりの着色があるを「×」と表示した。尚、
評価は目視で成形品を観察して行った。 (4)難燃性:厚さ1/16“の試験片につき、UL9
4の試験法に準拠して垂直燃焼試験を行い、結果を表に
表示した。 (5)曲げ試験:JISK7203に準拠して測定し
た。 【0048】 【表2】【0049】 【表3】 【0050】表−2、3から次のことが判る。 1.ポリエステル系樹脂を難燃化するには、非強化系ま
たはガラス強化系を問わず、ノボラック型フェノール樹
脂、燐酸メラミン類各々単独の配合では、ポリエステル
系樹脂の難燃化を達成することはできない。 2.ノボラック型フェノール樹脂、燐酸メラミン類を本
発明で定める配合で併用することにより難燃相乗効果が
発揮され、また優れた機械特性、加工特性等を有した難
燃性ポリエステル系樹脂組成物が得られることが判る。
しかしながら、ノボラック型フェノール樹脂、燐酸メラ
ミン類の併用でも本発明に定める配合から外れた割合で
成形された樹脂組成物は、難燃効果が発揮できなかった
り、または、難燃効果は発揮されるが機械特性、加工特
性等が著しく低下するという弊害を起こすことが判る。 3.ノボラック型フェノール樹脂、燐酸メラミン類の併
用系において、軟化点が120℃未満のノボラック型フ
ェノール樹脂を配合した樹脂組成物は、優れた難燃性を
発揮するものの、成形時の離型性が悪い。しかしなが
ら、軟化点が120℃以上のノボラック型フェノール樹
脂を配合した樹脂組成物は、そのような問題点を解決
し、優れた難燃性を発揮する。 4.軟化点が120℃以上のノボラック型フェノール樹
脂としては、遊離フェノール成分含有率が0.5重量%
未満で、2核体成分含有率が2重量%未満のノボラック
型フェノール樹脂を用いる方が、練り込み時の発煙を著
しく減少することができ作業環境上更に好ましい。 5.ハロゲン系難燃剤を使わない難燃化方法として、赤
燐とフェノール樹脂併用による方法があるが、淡色の成
形品が得らないという欠点と練り込みまたは成形加工時
に高温にさらされることでホスフィンが発生する作業安
全性上の問題があった。本発明の難燃性ポリエステル系
樹脂組成物は、成形品の着色も少なく抑えることが出
来、赤燐を使用しない為ホスフィンの発生がないという
点で作業環境上効果のある発明である。 【0051】 【発明の効果】本発明は、軟化点が120℃以上のノボ
ラック型フェノール樹脂と燐酸メラミン類の難燃相乗効
果を利用することにより、今後、さらに要求されると思
われる環境に優しいハロゲンを含まない難燃材料とし
て、作業性及び安全性に優れ、かつ、難燃性、機械特性
に優れるポリエステル系樹脂組成物を提供するものであ
る。
フロントページの続き Fターム(参考) 4J002 CC03X CF05W CF08W DL007 EW006 EX038 FA047 FD017 FD136 FD138 GM00 GN00 GQ00

Claims (1)

  1. 【特許請求の範囲】 【請求項1】 ポリエステル系樹脂(A)100重量部
    に対して、軟化点が120℃以上であるノボラック型フ
    ェノール樹脂(B)10〜50重量部 、燐酸メラミン
    類(C)10〜80重量部、ガラス繊維(D)0〜10
    0重量部、分子中にエポキシ基またはビニル基、メルカ
    プト基のいずれかの基が存在し、かつアルコキシ基を有
    するシランカップリング剤(E)0〜2.5重量部を配
    合してなる難燃性ポリエステル系樹脂組成物。
JP2001236513A 2001-08-03 2001-08-03 難燃性ポリエステル系樹脂組成物 Pending JP2003049053A (ja)

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