JP2007291210A - 難燃性樹脂組成物 - Google Patents

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荘二 植原
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Abstract

【課題】熱可塑性プラスチックスあるいは熱硬化型樹脂の難燃性を著しく改良した難燃性樹脂組成物を提供する。
【解決手段】ノボラック型フェノール系樹脂に含有する少なくとも一つ以上の水酸基が芳香環を含むリン酸エステル残基で置換されたリン変性フェノール系樹脂を熱可塑性又は熱硬化性樹脂に、難燃剤あるいは難燃性硬化剤として配合してなる難燃性樹脂組成物。
【選択図】なし

Description

本発明は、リン変性ノボラック型フェノール系を含有する難燃性樹脂組成物に関し、本発明の難燃性樹脂組成物は、電気部品、電子部品及び自動車部品等に用いられるのに有用である。
熱可塑性樹脂及び熱硬化性樹脂等の樹脂に難熱性を付与する方法として、樹脂成形品の調整時に難燃剤を添加する方法が用いられている。添加される難燃剤としては、例えば無機化合物、有機燐化合物、有機ハロゲン化合物及びハロゲン含有有機燐化合物等が挙げられる。これらの化合物のなかで、有機ハロゲン化合物及びハロゲン含有有機燐化合物が優れた難燃効果を発揮する。しかしながら、これらのハロゲンを含有する化合物には、樹脂成形時に熱分解してハロゲン化水素を発生し、発生したハロゲン化水素が金型を腐食させたり、樹脂を劣化あるいは着色させたり、作業環境を悪化させるという問題がある。また、これらのハロゲンを含有する化合物は、火災等による燃焼に際して、人体に有害なハロゲン化水素等の有毒ガスを発生するという問題もある。
ハロゲンを含まない難燃剤としては、水酸化マグネシウム等の無機系の化合物がある。しかしながら、これらの無機系の化合物は、難燃効果が著しく低く、充分な効果を得るためには多量に添加する必要があり、それによって樹脂本来の物性(例えば、加工性及び機械的特性等)が損なわれるという欠点がある。また、ハロゲンを含まず、比較的良好な難燃効果が得られる難燃剤として、有機燐化合物が汎用されている。難燃剤として使用される代表的な有機燐化合物としては、例えばトリフェニルホスフェート(TPP)、トリクレジルホスフェート(TCP)及びクレジルジフェニルホスフェート(CDP)等が挙げられる。しかしながら、トリフェニルホスフェート等は耐熱性に劣り、揮発性が高いために成形時に揮発して金型のガスベントを閉塞し、満足な成形品が得られなかったり、成形品表面に難燃剤が付着したりする欠点がある。
そこで、揮発性の低い有機燐化合物として縮合リン酸エステルが開示されている(例えば、特許文献1及び2参照。)。しかしながら、これらの縮合リン酸エステルは、トリフェニルホスフェートより耐熱性には優れるが、近年開発が進んでいるエンジニアリングプラスチック及びスーパーエンジニアリングプラスチック等の高機能プラスチックの成形に必要とされる約300℃前後の温度には耐えることができない。また、これらの公報に記載の縮合リン酸エステルには、例えば樹脂組成物の熱変形温度を低下させる等の点がある。
また、耐熱性の高い有機燐化合物としてリン変性ノボラック型フェノール樹脂が開示されている(例えば、特許文献3、4、5及び6参照。)。
特公昭51−19858号公報 特公平2−18336号公報 特開昭58−57417号公報 特開昭60−124630号公報 特開平4−227951号公報 特開平5−214231号公報
しかしながら、これらのリン変性ノボラック型フェノール樹脂は成形品の肉厚が薄くなるにつれて難燃効果が低下したり、樹脂本来の熱変形温度、電気抵抗及び物質強度等の低下を充分に抑制することができないという欠点がある。また、リン変性に供されるノボラック型フェノール樹脂中の遊離フェノール類は一般に1%を超えており、これら遊離フェノールのリン変性物は熱分解温度が低く、揮発することによって樹脂成形時の金型のガスベントを閉塞したり、成形品表面に付着をしたりして満足な成形品が得られない場合がある。
本発明者らは上記問題点を鑑み鋭意研究を重ねた結果、特定のノボラック型フェノール系樹脂あるいは特定構造のノボラック型フェノール系樹脂とのリン酸エステルであるリン変性フェノール系樹脂が特にエンジニアリングプラスチック及びスーパーエンジニアリングプラスチック等の高機能プラスチックに添加することにより優れた難燃効果を付与することを見出した。
本発明は新規なリン変性ノボラック型フェノール樹脂を、熱可塑性又は熱硬化性樹脂に難燃剤あるいは難燃性硬化剤として配合することにより、難燃剤が揮発することなく満足な成形品が得られるうえ、成形品の肉厚が薄い場合にも難燃効果の低下が小さく、樹脂の熱変形温度、及び機械的特性の低下を防止することができることを見出し、本発明を完成するに至った。
以下本発明について詳細に説明する。
本発明は、遊離フェノール類が1%以下であるノボラック型フェノール系樹脂に含有する少なくとも一つ以上の水酸基が一般式(I)
Figure 2007291210

(式中、Rは同一又は異なった低級アルキル基、mは0から3の整数を示す)で示されるリン酸エステル残基で置換されたリン変性ノボラック型フェノール系樹脂、及び熱可塑性又は熱硬化性樹脂に難燃剤あるいは難燃硬化剤として上記リン変性ノボラック型フェノール樹脂を配合してなる難燃性樹脂組成物を提供するものである。
一般式(I)の定義中、R1は同一又は異なった低級アルキル基、mは0から3の整数を示す。低級アルキル基の例としては、直鎖状もしくは分枝鎖状の炭素数1〜6のアルキル基が挙げられる。具体的には、例えばメチル、エチル、n−プロピル、i−プロピル、n−ブチル、i−ブチル、tert−ブチル、n−ペンチル、tert−ペンチル、neo−ペンチル及びn−ヘキシル基等が挙げられる。
またノボラック型フェノール系樹脂がトリアジン骨格を含むリン変性ノボラック型フェノール系樹脂あるいはノボラック型フェノール系樹脂に含まれるメチレン骨格の内1個以上が1個のメチレン水素をフェニル基で置換したリン変性ノボラック型フェノール系樹脂が含まれるものはノボラック型フェノール系樹脂に比べてさらに難燃性改良効果が大きい。これらリン変性ノボラック型フェノール系樹脂は熱可塑性又は熱硬化性樹脂に、難燃剤あるいは難燃性硬化剤として配合され難燃性樹脂組成物として提供され、配合量は難燃付与を目的とする樹脂100重量部に対してリン変性ノボラック型フェノール系樹脂0.5〜80重量部配合、好ましくは1〜30重量部配合される。
本発明におけるリン変性ノボラック型フェノール系樹脂は、リン酸エステルクロライドとノボラック型フェノール系樹脂との脱塩酸反応あるいはリン酸エステルとノボラック型フェノール系樹脂とのエステル交換反応により得られるがリン変性する際に使用されるノボラック型フェノール系樹脂としては遊離フェノールが1%以下であるノボラック型フェノール系樹脂を供することが重要であり、それによって、優れた難燃効果を有するリン変性ノボラック型フェノール樹脂が得られる。ノボラック型フェノール樹脂の好ましい例としては、フェノール/ホルムアルデヒドノボラック、o−クレゾール/ホルムアルデヒドノボラック、m−クレゾール/ホルムアルデヒドノボラック、p−クレゾール/ホルムアルデヒドノボラック、tert−ブチルフェノール/ホルムアルデヒドノボラック及びp−オクチルフェノール/ホルムアルデヒドノボラック等が挙げられるが、これらに限定されるものではない。これらのノボラック型フェノール樹脂は、公知の方法、例えば酸性触媒(例えば塩酸、シュウ酸、硫酸、酢酸及び硝酸等)下で、フェノール類としてフェノール、o−クレゾール、p−クレゾール、m−クレゾール、tert−ブチルフェノール、o−オクチルフェノール及びp−イソプロピルフェノール等の単独又は混合物を、パラホルムアルデヒド及びホルムアルデヒド等と加熱反応させた後、減圧下で脱水させることにより得ることができる。遊離フェノール類を1%以下とするにはフェノール類とパラホルムアルデヒド及びホルムアルデヒド等と加熱反応させた後、水洗により未反応(遊離)のフェノール類を1%以下となるまで繰り返し洗浄することが重要である。好ましくは0.1%以下である。フェノール類が1%を超えると、これら遊離フェノールのリン変性物は熱分解温度が低く、揮発することによって樹脂成形時の金型のガスベントを閉塞したり、成形品表面に付着をしたりして満足な成形品が得られない場合がある。
ノボラック型フェノール系樹脂がトリアジン骨格を含むノボラック型フェノール系樹脂とは、前記と同様の公知の製造方法で得られる。トリアジン骨格を有するモノマーとしてはメラミン、ベンゾグアナミン、アセトグアナミン等があげられる。具体的にはフェノール類、トリアジン骨格を有するモノマー、パラホルムアルデヒド及びホルムアルデヒド等と加熱反応させた後、減圧下で脱水させることにより得ることができる。
また、ノボラック型フェノール系樹脂に含まれるメチレン骨格の内1個以上が1個のメチレン水素をフェニル基で置換したノボラック型フェノール系樹とは前記と同様の公知の製造方法で得られる。具体的にはフェノール類、ベンズアルデヒド、パラホルムアルデヒド及びホルムアルデヒド等と加熱反応させた後、減圧下で脱水させることにより得ることができる。
また、前記ノボラック型フェノール系樹脂の平均分子量は特に限定されるものではないが、平均分子量が約200〜3500のものが適切であり、約300〜3000のものが好ましい。平均分子量が約200未満だと得られる樹脂の耐熱性及び強度が低下し、3500を超えると熱可塑性樹脂への分散性が劣る場合がある。
前記ノボラック型フェノール系樹脂のリン変性法としては、リン酸エステルクロライドとノボラック型フェノール系樹脂との脱塩酸反応あるいはリン酸エステルとノボラック型フェノール系樹脂とのエステル交換反応により得られる。
本発明において用いられるリン変性ノボラック型フェノール系樹脂は、ノボラック型フェノール樹脂中の水酸基1モルに対しリンエステル残基が0.3〜1モルのものが好ましく、約0.5〜1.0モルのものがより好ましい。0.3モル未満では難燃効果が十分でない場合がある。
本発明のリン変性ノボラック型フェノール系樹脂は、難燃剤あるいは難燃性硬化剤として熱可塑性又は熱硬化性樹脂に配合することにより、難燃剤が揮発することなく満足な成形品が得られるうえ、成形品の肉厚が薄い場合にも難燃効果の低下が小さく、樹脂の熱変形温度、及び機械的特性の低下を防止した難燃性樹脂組成物が得られる。
本発明において用いられるリン変性ノボラック型フェノール系樹脂の好ましい例としては、以下のものが挙げられる。フェノール/ホルムアルデヒドノボラックの水酸基1モルに対してジフェニルリン酸クロライドのリン酸エステル残基を0.3〜1.0モル含有するもの、フェノール/メラミン/ホルムアルデヒドノボラックの水酸基1モルに対してジフェニルリン酸クロライドのリン酸エステル残基を0.3〜1.0モル含有するもの,フェノール/ベンズアルデヒド/ホルムアルデヒドノボラックの水酸基1モルに対してジフェニルリン酸クロライドのリン酸エステル残基を0.3〜1.0モル含有するもの等があげられる。
本発明において用いられる熱可塑性樹脂の例としては、例えば、ポリオレフイン系樹脂としてポリエチレン、ポリプロピレン、ポリブタジエン、スチレン系樹脂として、耐衝撃性ポリスチレン、ABS樹脂、変性ポリフェニレンオキシド、エンジニアリングプラスチックスとしてポリメチルメタクリレート、ポリアセタール、ポリブチレンテレフタレート、ポリアミド、半芳香族ポリアミド、ポリカーボネート、ポリフェニレンスルフィド、ポリカルボジイミド、液晶ポリマー、スーパーエンジニアリングプラスチックスとしてポリイミド、ポリエーテルエーテルケトン、ポリエーテルスルホン、ポリスルホン、ポリアリレート、ポリイミド、ポリエーテルエーテルケトン、ポリベンズイミダゾール及びコレラこれらのアロイプラスチック等が挙げられるがかならずしも限定されるものではない。
本発明において用いられる熱硬化性樹脂の例としては、例えばポリウレタン、フェノール樹脂、エポキシ樹脂、メラミン樹脂、尿素樹脂、不飽和ポリエステル及びジアリルフタレート樹脂等が挙げられる。上記樹脂は1種又は2種以上の混合物として使用することができる。また、本発明の難燃性樹脂組成物には、必要に応じて、他の難燃剤、ドリップ防止剤(例えばポリテトラフルオロエチレン及びガラス繊維等)、酸化防止剤、充填剤及び滑剤等の添加剤を任意の割合で含有させてもよい。
本発明のリン変性ノボラック型フェノール系樹脂の種類及び使用量は、使用する樹脂の種類及び必要とされる難燃性の度合いに応じて適宜決定される。一般には、リン変性ノボラック型フェノール系樹脂の含有量は、樹脂100重量部に対して0.5〜80重量部が適切であり、1〜30重量部が好ましい。0.5重量部未満では難燃効果は小さい。また80重量部を超えるとマトリックス樹脂の諸物性が低下し実用に供し得ない。発明の難燃性樹脂組成物は、樹脂に難燃剤としてリン変性ノボラック型フェノール系樹脂を配合させることによって得られ、本発明の難燃性樹脂組成物の成形品は、所望により他の添加剤を加えて公知の方法で混練し、成形することにより得ることができる。
本発明を、以下の実施例に基づいて詳細に説明するが、本発明は以下の実施例に限定されないことはいうまでもない。
[合成例1]
合成例1遊離フェノールが0.1%であるリン変性ノボラック型フェノール系樹脂。
温度計、攪拌装置、冷却還流管を備えた内容量1000mlの4つ口セパラブルフラスコにフェノール390g、37%ホルマリン272g、触媒としてシュウ酸1.9gを仕込み、徐々に100℃まで昇温し還流反応を4時間行なった。反応終了後、常圧下で200℃まで昇温しながら脱水濃縮を行い、200℃に達したところで減圧下、水蒸気蒸留により未反応フェノールの除去を行なった。こうして軟化点118℃、遊離フェノール0.1%の黄褐色透明なノボラック型フェノール樹脂360gを得た。本樹脂を用いてジフェニルリン酸エステルクロライドとの脱塩酸反応を行いリン変性ノボラック型フェノール系樹脂合成品1を得た。
[合成例2]
ノボラック型フェノール系樹脂がトリアジン骨格としてメラミン骨格を含むリン変性ノボラック型フェノール系樹脂。
合成例1と同様な反応容器にメラミン126g、37%ホルマリン162gを仕込み70℃まで昇温した。70℃で0.5時間反応させた後、メタノール320gを加え2時間還流反応させた。
この反応液にフェノール846gを加えて常圧下において脱メタノール反応及び脱水を行いながら180℃まで昇温し、次いで減圧下にて未反応のフェノールを除去した。こうして軟化点133℃、遊離フェノール0.5%の淡黄褐色透明なメラミン骨格含有ノボラック型フェノール樹脂340gを得た。本樹脂を用いてジフェニルリン酸エステルクロライドとの脱塩酸反応を行いリン変性ノボラック型フェノール系樹脂合成品2を得た。
[合成例3]
ノボラック型フェノール系樹脂に含まれるメチレン骨格の内1個以上が1個のメチレン水素をフェニル基で置換したリン変性ノボラック型フェノール系樹。
合成例1と同様な反応容器にフェノール350g、ベンズアルデヒド220g、パラトルエンスルホン酸1.0gを仕込み100℃まで昇温し、5時間反応を行なった。次いでこの反応液にMIBK500gを加え完全に溶解させてからイオン交換水を添加し、攪拌、静置、除水を繰り返すことにより触媒の除去を行なった。次いで常圧下で180℃まで昇温する事により水分、MIBKを除去し更に減圧化で未反応のフェノールを除去した。こうして軟化点100℃、遊離フェノール0.4%の褐色透明なフェノール・ベンズアルデヒド共縮合樹脂410gを得た本樹脂を用いてジフェニルリン酸エステルクロライドとの脱塩酸反応を行いリン変性ノボラック型フェノール系樹脂合成品3を得た。
[実施例1および比較例1〜2]
実施例1および比較例1ポリカーボネート(ビスフェノールA型の芳香族ポリカーボネート)70重量部、スチレン/アクリロニトリル/ブタジエンからなるABS重合体30重量部からなる樹脂に、それぞれ合成品1〜3を又は比較例として公知の難燃剤であるTPPの10重量部を添加してミキサーで混合後、280℃に保持した押し出し機を通してコンパウンドペレットを得た。このペレットを射出成形機にいれて280℃で成形し、試験片を得た。以下の方法に従って、これらの試験片の難燃性、金型ガスベントの付着性(難燃剤の揮発性)、熱変形温度及びアイゾット衝撃強度を測定した。
難燃性UL−94の試験法に準じて試験片の難燃性を判定し、その結果をV−0、V−1、V−2及びHBの4種に分類した。試験片の厚みにより難燃性は異なる。V−0、V−1、V−2及びHBは各々次の条件を満たす。V−0:試験片に10秒間接炎後、1つの試験片におけるフレーミング又はグローイングが10秒以内でかつ5つの試験片の合計が50秒以内であり、12インチ下の外科用綿がフレーミング粒にて燃焼しない状態。V−1:試験片に10秒間接炎後、1つの試験片におけるフレーミング又はグローイングが30秒以内でかつ5つの試験片の合計が150秒以内であり、12インチ下の外科用綿がフレーミング粒にて燃焼しない状態。V−2:V−1と同様であるが、12インチ下の外科用綿がフレーミング粒にて燃焼してもよい。HB:V−0、V−1及びV−2のランクに達しなかったもの全てを示す。
金型ガスベントの付着(難燃剤の揮発性);射出成形機で100ショット試験片を成形した後の金型ガスベント汚れを目視確認した。
熱変形温度;ASTM D−648に準じ、荷重18.6kg/cmで測定した。
アイゾット衝撃強度;JIS K−7110に準じて測定した。それらの結果を表1に示す。
Figure 2007291210
[実施例2および比較例2]
メタキシリレンジアミンとアジピン酸からなる半芳香族ナイロン樹脂70重量部、ガラス繊維30部からなる樹脂に、それぞれ合成品1〜3を又は比較例として公知の難燃剤であるTPPの10重量部を添加してミキサーで混合後、300℃に保持した押し出し機を通してコンパウンドペレットを得た。このペレットを射出成形機にいれて300℃で成形し、試験片を得た。以下の方法に従って、これらの試験片の難燃性、金型ガスベントの付着性(難燃剤の揮発性)、熱変形温度及びアイゾット衝撃強度を測定した。
それらの結果を表2に示す。
Figure 2007291210

[実施例3および比較例3]
直鎖状ポリフェニレン樹脂70重量部、ガラス繊維3重量部からなる樹脂に、それぞれ合成品1〜3を又は比較例として公知の難燃剤であるTPPの10重量部を添加してミキサーで混合後、300℃に保持した押し出し機を通してコンパウンドペレットを得た。このペレットを射出成形機にいれて300℃で成形し、試験片を得た。以下の方法に従って、これらの試験片の難燃性、金型ガスベントの付着性(難燃剤の揮発性)、熱変形温度及びアイゾット衝撃強度を測定した。
それらの結果を表3に示す。
Figure 2007291210
[実施例4および比較例4]
芳香族液晶性ポリマー(2型)樹脂70重量部、ガラス繊維30重量部からなる樹脂に、それぞれ合成品1〜3を又は比較例として公知の難燃剤であるTPPの10部を添加してミキサーで混合後、320℃に保持した押し出し機を通してコンパウンドペレットを得た。このペレットを射出成形機にいれて320℃で成形し、試験片を得た。以下の方法に従って、これらの試験片の難燃性、金型ガスベントの付着性(難燃剤の揮発性)、熱変形温度及びアイゾット衝撃強度を測定した。
それらの結果を表4に示す。
Figure 2007291210
表1及び表4から、本発明のリン変性ノボラック型フェノール系樹脂を配合してなる難燃性樹脂組成物は、難燃性においては従来の難燃剤に比べて、特に試験片肉厚が薄い場合にも難燃性優れており、熱変形温度及びアイゾット衝撃強度においては従来の難燃剤に比べて優れていることが明らかである。
[実施例5および比較例5]
市販の固形分50%のビスA型エポキシ樹脂ワニス100重量部及びジシアンジアミド3重量部に、それぞれ合成品1〜3を20重量部又は公知の難燃剤であるTPPの20重量部を添加して混合し、これをリンター紙に含有させて乾燥し、樹脂分45%の樹脂含浸紙を得た。これを6枚積層して160℃、90kg/cmの条件で50分間加圧し、厚さ2mmの積層板を得た。これらの積層板の難燃性、はんだ耐熱性及び打ち抜き加工性を測定した。難燃性は上記の方法に従って測定した。絶縁性、はんだ耐熱性及び打ち抜き加工性は以下の方法で測定した。
はんだ耐熱性JIS C−6481に準じて測定した。
打ち抜き加工性ASTM D−617に準じて測定した。それらの結果を表5に示す。
Figure 2007291210
表5から、本発明のリン変性ノボラック型フェノール系樹脂を配合してなる難燃性樹脂組成物は、従来の難燃剤に比べて難燃性、はんだ耐熱性、打ち抜き加工性においても従来の難燃剤に比べて優れている。
[比較例6]
実施例1の合成品1において遊離フェノールが2%のものを使用した場合を表6に示す。難燃性、熱変形温度及びアイゾット衝撃強度において従来の難燃剤によりも優れていることところは見いだされなかった。
Figure 2007291210
[比較例7]
実施例1においてポリカーボネート(ビスフェノールA型の芳香族ポリカーボネート)70重量部、スチレン/アクリロニトリル/ブタジエンからなるABS重合体30重量部からなる樹脂に、それぞれ合成品2を表7に示す割合で添加した。0.3重量部では難燃効果が無い。また85重量部では難燃効果はあるものの、金型への付着、諸物性の低下が大きく実用性に劣る。
Figure 2007291210

Claims (5)

  1. 遊離フェノール類が1%以下であるノボラック型フェノール系樹脂に含有する一つ以上の水酸基が一般式(I)
    Figure 2007291210

    (式中、Rは同一又は異なった低級アルキル基、mは0から3の整数を示す)で示されるリン酸エステル残基で置換されたリン変性ノボラック型フェノール系樹脂を熱可塑性又は熱硬化性樹脂に、難燃剤あるいは難燃性硬化剤として配合してなる難燃性樹脂組成物。
  2. ノボラック型フェノール系樹脂がトリアジン骨格を含む請求項1記載のリン変性ノボラック型フェノール系樹脂を熱可塑性又は熱硬化性樹脂に、難燃剤あるいは難燃性硬化剤として配合してなる難燃性樹脂組成物。
  3. ノボラック型フェノール系樹脂に含まれるメチレン骨格の内1個以上が1個のメチレン水素をフェニル基で置換した請求項1記載のリン変性ノボラック型フェノール系樹脂を熱可塑性又は熱硬化性樹脂に、難燃剤あるいは難燃性硬化剤として配合してなる難燃性樹脂組成物。
  4. 請求項1から3記載のリン変性ノボラック型フェノール系樹脂が樹脂100重量部に対して0.5〜80重量部配合される難燃性樹脂組成物。
  5. 請求項1から3記載のリン変性ノボラック型フェノール系樹脂が、樹脂100重量部に対して1〜30重量部配合される難燃性樹脂組成物。
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