JP2003048153A - 研磨方法および研磨装置 - Google Patents

研磨方法および研磨装置

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JP2003048153A
JP2003048153A JP2001238081A JP2001238081A JP2003048153A JP 2003048153 A JP2003048153 A JP 2003048153A JP 2001238081 A JP2001238081 A JP 2001238081A JP 2001238081 A JP2001238081 A JP 2001238081A JP 2003048153 A JP2003048153 A JP 2003048153A
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Shinichi Chiba
伸一 千葉
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  • Finish Polishing, Edge Sharpening, And Grinding By Specific Grinding Devices (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【課題】 非球面レンズ等のような多種多様な曲率を持
つ被加工面を、簡便な構成で平滑化できる研磨装置を提
供する。 【解決手段】 研磨面2aを有する研磨部材2の略中心
部をピボット7で支持し、両端部を駆動手段9によりZ
方向に駆動させることにより、研磨部材2の中心部の位
置を変化させることなく研磨部材2を変形させることが
できる。また加工経過時間に応じた駆動手段9の駆動量
を予め記憶させておくことができる。これにより加工経
過時間に応じて研磨部材2への作用力を制御し、研磨面
2aを理想的な加工面形状に一致させながら被加工面に
密着させ研磨を行なうことで、非球面レンズ等のような
多種多様な曲率を持つ被加工面の平滑化を可能にする。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、レンズ、ミラー等
の光学素子あるいは金型等を研磨するときに使用され
る、研磨方法および研磨装置に関し、特に、非球面等の
自由曲面の超精密研磨加工に用いられる、研磨面を有す
る研磨装置の形状を変化させながら研磨を行う研磨方法
および研磨装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】高度な形状精度が要求されるレンズやミ
ラー等の光学素子あるいは金型等を仕上げ研磨する際に
は、一般に、弾性材料からなるポリッシャを用いる研磨
工具が従来から使用されており、このポリッシャの研磨
面を被加工面に対して押し付けて、研磨面と被加工面の
間に研磨液を供給しながら、ポリッシャを被加工面に対
して回転運動あるいは揺動運動させて加工を行なってい
る。このとき、被加工面が球面ならば、求められる球面
の曲率半径の合致するようにポリッシャの表面を高精度
に成形しておくのが普通である。
【0003】ところで、被加工物の形状は様々であり、
例えば、非球面のような曲率半径が変化するような場合
には、上記のように予め一定の曲率半径に成形された1
種類の研磨工具だけで加工を行なうと、研磨工具は被加
工面上で変化する曲率半径に対応できず、研磨工具の研
磨面と被加工面に曲率半径の差があるために、研磨工具
の接触する被加工面上で圧力分布の差が生じ、一様に研
磨加工することができない。極端な場合には、研磨面と
被加工面の間に隙間が生じ、研磨面の一部しか加工に作
用しないこともあり得る。
【0004】また、研磨加工の進行にしたがって、ポリ
ッシャの研磨面の形状が徐々に変形して劣化するため、
一定の曲率半径を維持するためには、擦りあわせ等の作
業により研磨面を再成形する必要がある。この擦りあわ
せ作業に費やされる労力と時間やその間に研磨加工を中
断することが、製造効率の低下と製造コストの増大につ
ながる。
【0005】以上のことから、多様な曲率半径を加工す
ることができるように工具部材の研磨面を任意に形成す
ることが可能な加工用の研磨工具も提案され、例えば特
公平5―58864号公報には、複数のアクチュエータ
を用いて研磨面形状すなわち研磨面の曲率半径を変化さ
せるようにした研磨工具が開示されている。
【0006】この従来の研磨工具は図9に図示するよう
に基板101上に不図示の制御手段により個別に作動可
能な複数個の変位アクチュエータ102を二次元的に配
置し、これらの変位アクチュエータ102の作動によっ
て変位する出力側の部材103に全体として任意の曲率
半径形状の工具面を形成する弾性体からなる工具部材1
04を取り付けた構成となっている。
【0007】この研磨工具を用いて加工を行なう際は、
加工しながら計測した被加工物の表面形状と被加工物に
求める最終的な要求形状の差異に基づき、変位アクチュ
エータ102を各々作動させ、工具部材104の形状を
部分的に独立変化させて、個々に被加工面を押圧する力
を調整し、全体として所望の曲面を形成しようとするも
のである。
【0008】また特開2001―071245公報に
は、研磨面曲率半径を変化させるようにした研磨装置が
開示されている。
【0009】この研磨装置は、図10に図示するよう
に、研磨パッド82を取り付けた板状部材83の周辺部
を支柱部材84に固定するとともに、板状部材83を研
磨面の押圧方向に変位させる1個のアクチュエータ85
と、アクチュエータ85を駆動させる駆動制御手段87
と、加工位置に応じて加工面形状を算出し駆動制御手段
87を介して研磨パッド82を変形させる演算制御手段
88を備え、演算制御手段88により算出される任意の
加工位置における設計された理想的な加工面形状に応じ
て、アクチュエータ85を駆動して、研磨パッド82を
取り付けた板状部材83を変形させ、研磨パッド82の
研磨面82aを理想的な加工面形状に強制的に一致させ
て、研磨面82aを被加工面に隙間なく密着させ、加工
圧を均一に加えて、微小なうねりを含めた被加工面の平
滑化を可能にしたものである。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、前述し
た図9に図示した従来の研磨工具においては、次のよう
な問題点があった。
【0011】複数個の変位アクチュエータ102を個々
に制御して、所望の曲面形状を得るようにしているた
め、装置構成を複雑でかつ高価なものにし、特に連続的
に微小に曲率半径が変化するような緩やかな曲面(例え
ば、球面からのずれである非球面量が0.1mm程度)
のような場合には、工具部材104の研磨面内で部分的
に曲率半径を変化させることを必要としないため、かか
る労力および費用に対し効果が少ないという問題点があ
った。
【0012】また、曲率半径の変化が急激で大きな被加
工面(例えば、球面からのずれである非球面量の最大値
が0.5mm以上)に対しては、ポリッシャとなる部材
の降伏応力、成形可能な大きさ等の制約により、十分小
さい面積の研磨工具(φ20mm)を構成しなければな
らない。しかし、工具面に複数個の変位アクチュエータ
を二次元的に配置することは、現状のアクチュエータの
サイズ(小さいものでも、φ10mm)では物理的に困
難である。
【0013】さらに、加工中に被加工物の表面形状を計
測しながら計測した形状と被加工物に求める最終的な要
求形状の差異に基づき、変位アクチュエータを個々に制
御するため、高精度な計測手段が必要であり、また制御
もさらに複雑になる。
【0014】また、図10に図示した従来の研磨装置に
おいては、板状部材3をその中心位置において研磨面の
押圧方向に変位させるため曲率を変化させると同時に研
磨装置全体を研磨面の押圧方向に移動させなければなら
ず、また加工位置に応じて加工面形状を算出しなければ
ならないため、制御が複雑になるという問題点があっ
た。
【0015】そこで、本発明は、上記のような従来技術
の有する未解決の課題に鑑みてなされたものであって、
非球面レンズ等のような多種多様な曲率半径を持つ被加
工面に単一の工具で対応でき、かつ簡便な構成で被加工
面をスムーズに平滑化することができる研磨方法および
研磨装置を提供することを目的とするものである。
【0016】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するため
に、本発明の研磨方法は、被加工面に接触する研磨面を
有する研磨部材への作用力により前記研磨部材の形状を
変化させて研磨を行なう研磨方法であって、加工経過時
間に応じて前記研磨部材への作用力を制御して前記研磨
部材の形状を変化させながら加工することを特徴とす
る。
【0017】本発明の研磨方法においては、前記研磨部
材への作用力は、研磨部材の長手方向に相対向する部位
を保持する保持部に駆動手段を駆動させることによって
与えることが好ましい。
【0018】本発明の研磨装置において、被加工物の被
加工面に接触する研磨面を有する研磨部材の形状を変化
させるように作用する駆動手段と、前記被加工物の、少
なくとも加工曲率半径の変化する加工位置における加工
経過時間および前記駆動手段の駆動量を記憶する記憶手
段を有し、前記記憶手段からの情報に基づき、前記加工
経過時間に応じて前記駆動手段を制御し、研磨部材の形
状を変化させながら前記被加工物を研磨することを特徴
とする。
【0019】
【発明の実施の形態】本発明の実施の形態を図1、図2
に基づいて説明する。
【0020】図1は本発明の加工装置全体の概略構成図
であり、軸対称の凸の非球面形状(光学レンズ)を加工
する態様を示す模式図である。図2の(a)は、本発明
の主要部である研磨装置1の第1の実施形態を詳細に示
した図であり、同(b)は研磨装置1における研磨面を
有する研磨部材の下面図である。
【0021】まず、本発明の主要部である研磨装置1に
ついて図2を用いて説明する。研磨装置1は、研磨部材
2(本実施形態では、研磨パッド(ポリッシャ)31
と、研磨パッド31を取り付ける板状部材32から構成
される)と、研磨装置1の押圧方向(Z方向)の位置基
準となるベース部材4と、ベース部材4に対して板状部
材32の中央部分を位置決め支持するための支持部(5
〜7)と、板状部材32の支持部を中心として長手方向
に相対向する部位(例えば、両端部)を移動し得るよう
に保持する保持部(10〜14)と、この保持部(10
〜14)を押圧方向に変位させる1個の駆動手段9とを
備え、さらに加工経過時間に応じた加工位置での曲率半
径等の加工面形状から、駆動手段9の駆動量等の加工デ
ータを記憶した演算制御手段16と、加工経過時間を計
測するタイマー17からの値により演算制御手段16か
ら加工経過時間に応じた駆動量を出力され、その値に応
じた駆動電流を駆動手段9へ出力する駆動制御手段15
を備えている。
【0022】研磨パッド31は、ピッチや発泡ウレタン
等で作製され、その形状は、図2の(b)に示すように
長手方向と短手方向のある矩形状としている。この研磨
パッド31は、りん青銅や薄板ばね鋼等で作製された板
状部材32の下面に接着等の手段により固着されて取り
付けられ、その下面が研磨面2aとなる。また、研磨パ
ッド31は、図2の(a)および(b)においては、全
体が繋がっている1枚のものとして示しているが、数箇
所で分割された複数部片で形成することもでき、また、
分割された部片ではなく、研磨面2a上に溝を形成する
ものであってもよい。さらに本実施形態では研磨部材2
を研磨パッド31と板状部材32により構成している
が、研磨パッドと板状部材が一体となっているものを用
いてもよい。
【0023】板状部材32の中央部分を押圧方向(Z方
向)に位置決めするための支持部は、研磨装置1のZ方
向の位置基準となるベース部材4から下方に延びる支柱
5の下端に取り付けられたV字状アーム6と、このV字
状アーム6の下端部に取り付けられて板状部材32の中
央部分に係合するピボット7とから構成され、板状部材
32の中央部分をZ方向の位置基準となるベース部材4
に対してZ方向の所定の位置に位置決めする。ピボット
7は、その先端部が球面等の曲面形状に形成され、この
曲面形状の先端部を介して板状部材32の中央部分に係
合接続され、板状部材32が横ずれあるいはたわみ変形
した時の歪みを排除できるように構成されている。
【0024】板状部材32の両端部を移動しうるように
保持する保持部は、ベース部材4に固定された駆動手段
9の下端部に中央部分が取り付けられたX方向に延びる
ガイドベース10と、ガイドベース10の両側面からそ
れぞれX方向外方に延出され、外端部に抜け止めを有す
るガイドバー11と、両ガイドバー11に沿ってそれぞ
れX方向に摺動可能に両ガイドバー11に装着された一
対のブロック体12と、ガイドベース10と各ブロック
体12との間でガイドバー11に巻装され各ブロック体
12に予圧を与えるための(圧縮)コイルばね13と、
各ブロック体12の下方部に板状部材32の両端部をY
軸回りに回転自在に取り付けるための回転ピン14とか
ら構成され、板状部材32の両端部の両側部にそれぞれ
設けられた折曲げ片3aをブロック体12の下方部を挟
むように位置付け、両者に設けられている貫通孔に回転
ピン14を挿通することにより、板状部材32は、ブロ
ック体12に対して、回転ピン14を介してY軸回りに
回転自在となる。回転ピン14の外方端部には抜け止め
が設けられており、板状部材32を確実に保持するとと
もに駆動手段9からの作用力を板状部材32に与える。
なお、ブロック体12には、ガイドバー11を挿入する
X方向の貫通孔が設けられ、ガイドバー11を軸として
X方向に摺動自在なはめ合いになっている。これらのガ
イドベース10、ガイドバー11、ブロック体12およ
びコイルばね13は、組み合わされて、水平(X方向)
並進方向のガイドとして機能する。また、ガイドバー1
1はガイドベース10に固着されてブロック体12の貫
通孔と摺動するように構成する例を説明したが、逆に、
ガイドバー11をブロック体12側に固着してガイドベ
ース10に設けた孔に挿入して摺動するように構成する
ことも可能である。コイルばね13は、各ブロック体1
2に予圧を与えるためのものであるが、その剛性は、ガ
イドベース10が押圧方向(Z方向)に変位したときに
板状部材32のたわみ変形を妨げない程度に充分小さい
ものとし、また、コイルばね13の自然長は、ブロック
体12に両端部がそれぞれ取り付けられている板状部材
32に予め適度な張力をもたせるように、調整されてい
る。
【0025】駆動手段9は、その一端が押圧方向(Z方
向)の位置基準となるベース部材4に固定され、Z方向
に変位可能な他端部には保持部を構成するガイドベース
10の中央部分が固着されており、駆動手段9の駆動に
より、ガイドベース10およびブロック体12等の保持
部をZ方向に移動させる。この駆動手段9としては、高
速な応答が求められる場合にはピエゾ素子等の電圧変位
変換素子等を用い、また、応答性はあまり必要としない
が大ストロークが求められる場合には、エアシリンダや
油圧シリンダ等を選択して用いる。また、その他に直動
パルスモータ、あるいは回転型モータに直動型に変換す
る機構(例えば、ラックとピニオン機構、ボールねじ)
を取り付けて用いることもできる。
【0026】また、駆動制御手段15は、駆動手段9に
接続され、駆動手段9を駆動制御するためのものであ
り、演算制御手段16は、曲率半径等の加工面形状か
ら、研磨装置1の移動量や、駆動手段9の駆動量等の加
工データを記憶し、駆動制御手段15に接続されて、加
工経過時間に応じた駆動手段9の駆動量を駆動制御手段
15に出力する。
【0027】次に、駆動手段9の変位により研磨装置1
の研磨面2aの形状を変更させる態様について説明す
る。
【0028】ベース部材4を基準にして駆動手段9が矢
印A方向に変位すると、中央部分が駆動手段9に取り付
けられているガイドベース10および両ガイドバー11
にそれぞれ装着されている両ブロック体12も一体とな
って、矢印A方向に移動することになる。このとき、ブ
ロック体12に回転可能に接続されている回転ピン14
もZ方向に変位するが、コイルばね13の剛性と自然長
を適度に調節したX並進方向ガイドを有しているため、
無理な負荷がかかって板状部材32の長さが変化するの
ではなく、ブロック体12はガイドベース10に対して
X方向に摺動して変位し、ガイドベース10との距離が
縮められる。さらに、回転ピン14に沿って板状部材3
2の両端部がスムーズに回転しうるため、板状部材32
には余計な負荷がかからない。また、板状部材32の中
央部分は、ピボット7によりZ方向に位置決めされてい
るために、Z方向に変位しない。このため、板状部材3
2は、その両端部がたわんで、凸あるいは凹の曲面を形
成し、板状部材32に固着されている研磨パッド31の
研磨面2aも板状部材32の曲面にならう形で凸あるい
は凹の曲面となる。さらに、駆動手段9の駆動量と板状
部材32の撓みは、1対1で対応するので、予めそれら
の関係を把握しておけば、駆動手段9を駆動させて研磨
パッド31の研磨面2aを設計曲率半径Rに形成するこ
とが可能である。なお、いうまでもなく、この曲面に
は、曲率半径が無限大のもの、すなわち平面も含まれ
る。
【0029】次に、設計曲率半径Rから研磨部材への作
用力(本実施形態においては、駆動手段の駆動量ΔZ)
を求める方法を図3を用いて説明する。
【0030】図3(a)は、研磨面2aが水平である状
態(以下、水平位置という)で、(b)は研磨面2aが
凸の設計曲率半径Rを成している状態を示す。
【0031】保持部が研磨部材に作用力を与える点をE
およびF(本実施形態においては回転ピン14の中心
点)とすると、まず、水平位置において、EF間の距離
L、および、EあるいはFから研磨面2aまでの距離t
を求めておく。
【0032】研磨面2aが設計曲率半径Rを成すために
必要な駆動手段9の駆動量ΔZは、研磨部材の中心部
は、支持部(本実施形態においてはピボット7)により
位置決めされておりZ方向には動かないため、保持部の
移動量(詳しくは、水平位置でのEあるいはFと、研磨
面2aが設計曲率半径Rを成している状態でのEあるい
はFのZ方向への移動距離)でも表すことができ、以下
の式で求められる。
【0033】 ΔZ=Z−Z=Rv×(1―cosθ) Z=ΔZ+Z=Z+Rv×(1―cosθ) ・・・ ここで、Rvは、EF上の曲率半径であり、研磨面2a
の曲率半径Rに、EあるいはFから研磨面2aまでの距
離tを加えた値 Rv=R+tで表すことができる。
【0034】Zは、研磨面が設計曲率半径Rを成して
いる状態での駆動手段の伸び量であり、Zは、水平位
置の時の駆動手段の伸び量である。水平位置の時の駆動
手段の伸び量Zについては、形状測定機等を用いて実
測するか、図面等から幾何計算するかにより予め求めて
おく。
【0035】θは、ピボット7が研磨部材2と接する点
と曲率中心とを結ぶ線と、AまたはBと曲率中心を結ぶ
線との成す角で、θは、円弧の長さと円の角度の関係に
より、 2π:2πRv=θ:(L/2) θ=L/(2Rv) ・・・ で、求められる。
【0036】以上の式から、研磨部材の作用力(本実施
形態においては、駆動手段の駆動量)を求めることがで
きるため、センサー等で駆動量を計測しなくても簡単な
制御で研磨部材を設計曲率半径に変形させることができ
る。
【0037】次に、加工装置全体について図1を用いて
説明する。8は、例えば中心軸対称の凸の非球面を有す
る光学レンズ等の被加工物であり、真空吸着あるいは不
図示の治具を介したねじ止め、接着等の手段により保持
体Hに固定され、保持体Hにはその中心軸Nの周りに一
定速度で回転するモータ等の駆動手段(不図示)が取り
付けられている。被加工物8の被加工面8aは、図示し
ない研磨剤を介して研磨面を有する研磨装置1が押圧接
触され、研磨が行なわれるが、ここで、被加工面8aの
研磨に使用される研磨部材2は、被加工面8aに対して
十分小さい寸法に設定される。例えば、直径φ200m
mの被加工面8aに対して、20mm×6mmの矩形状
の研磨部材2を用いる。
【0038】被加工物8は、保持体Hに取り付けられ
て、不図示の駆動手段により、中心軸Nを右周りに任意
の回転数Wr(例えば、10rpm)で回転され、研磨
装置1は、不図示の駆動手段により被加工物8の被加工
面8aの頂点である中心軸N上の位置から半径方向を外
側に向かって(図中、矢印C)、被加工物8の被加工面
8a上を一定の速度v(例えば、5mm/min)で移
動する。そのため、見かけ上は、被加工物8に対し研磨
装置1が、被加工面8aの中心から外周に向かって螺旋
状に走査されることになる。
【0039】またこのとき、研磨装置1は、研磨加工の
能率を高くするために、振幅hおよび周波数f(例え
ば、振幅(h)2mmで周波数(f)5Hz)、すなわ
ち、平均速度vr(vr>v、例えば20mm/se
c)で半径方向に揺動運動(図中、矢印D)しながら、
被加工面8aを加工する。さらに、研磨装置1におい
て、研磨パッド31の研磨面2aから被加工面8aに対
して加工に必要な荷重が付与されることはいうまでもな
い。
【0040】加工経過時間に対する被加工物8の加工位
置は、被加工物8の回転数Wrと研磨装置の半径方向の
移動速度vよりあらかじめ予測することができ、加工経
過時間を計測するタイマー17からの値により、演算制
御手段16は、そこに記憶された加工データからその加
工経過時間に対する加工位置における設計曲率半径Rか
ら求められた駆動手段9の駆動量を出力し、駆動制御手
段15を介して、研磨装置1の駆動手段9を駆動し、研
磨部材2の形状を所望の曲率半径Rに一致させることが
できる。このことは、研磨装置1が、被加工物8の中心
付近にあるとき(曲率半径R1 、例えばR1=300m
m程度)でも、外周付近にあるとき(曲率半径R2(R2
<R1)、例えばR2 =200mm程度)でも全く同様
である。
【0041】次に加工データについて図4を用いて説明
する。
【0042】図4において、加工位置Xは、図1に示さ
れた半径方向(ここではX軸方向)の加工位置を意味す
る。このとき、本実施例においては、研磨装置1の走査
方向は半径方向のみであるものとする。ただし、半径方
向のみの走査であれば、座標軸の方向は問わない。すな
わち、X軸あるいはY軸のいずれかに沿って走査しても
よいし、その2軸からなる合成ベクトルの方向に走査し
てもよい。
【0043】曲率半径Rは、被加工物8の回転数Wrと
研磨装置の半径方向の移動速度vから、加工位置Xに応
じた加工面形状として被加工物8の設計形状よりあらか
じめ計算され、同様に加工経過時間T(すなわち、加
工開始位置X0から曲率半径Rが変化する各加工位置X1・・
・・・Xwに移動するまでの時間)も、あらかじめかつ一意
的に設定されるものである。
【0044】駆動手段9の駆動量ΔZは、加工位置Xで
の曲率半径Rから前述の式、により求められ、 ΔZ=Z−Z=R×(1―cosθ) Z=Z+R×(1―cosθ) ・・・ θ=L/(2R) ・・・ これより、差分駆動量ΔZ(直前のZw-1を基準と
し、次の加工位置Xでの曲率半径Rを形成するのに必
要な差分駆動量)も、次式のように一意的に演算され
る。
【0045】ΔZ=Z−Zw-1 以上のようにして、加工経過時間Tと差分駆動量ΔZ
が1対1に対応した加工データが作成される。この加工
データは、演算制御手段16に記憶される。
【0046】次に実際に研磨加工を行なう場合の動作に
ついて図5のフローチャートに基づいて説明する。
【0047】まず、研磨装置1において、駆動手段9を
伸び量の基準点(研磨部材2が水平になる位置)に移動
させることによりその位置での駆動手段9の伸び量Z
を初期化した後、加工データの1行目の値に従い、研磨
加工を開始する加工位置での曲率半径に設定しておく。
【0048】次に加工装置全体を、不図示のNC(数値制
御装置)を用いて、NC上のプログラム(以下、メインプ
ログラムという)に従って動作させ、研磨装置1を被加
工面8aに接触、所望の荷重に加圧する。この時点では
まだ、研磨装置1の走査は始まっていないため、加工デ
ータに従った駆動手段9の制御は行われていない。次に
図1で説明したように、被加工物8を回転させつつ、研
磨装置1を半径方向に走査させることで、加工を開始す
る。
【0049】このとき、NCから加工開始を示す信号がタ
イマー17に送られ、それと同時にタイマー17は作動
を開始し、アクチュエータの制御も開始する。まずタイ
マーの値が全加工時間T_allと一致するかどうか判断
し、一致しない場合は加工経過時間Tと一致するかど
うか判断する。ここで、図4の1行目の値に従うと、加
工位置X=8.67mmから研磨装置がスタートして、X=8.92
mmの位置に到達するのに加工経過時間T=8.1secだけ
要する。タイマーの値が8.1secになり、加工データの加
工経過時間Tと一致すると、駆動制御手段15に信号
を送り、2行目の加工位置Xでの曲率半径Rにするため、
駆動制御手段15は差分駆動量ΔZだけ駆動手段9を駆
動させる駆動電流を出力する。
【0050】次の加工位置X=8.92mmにおいても同様の
動作が繰り返されて、研磨加工が進行していく。
【0051】タイマー17における値が全加工時間T_
allに一致すると、駆動制御手段15に停止信号が送ら
れ、駆動手段9の制御を停止すると同時にタイマー17
をリセットする。
【0052】全加工時間T_allに一致したとき、NC側
でも加工終了点に到達しているので、被加工物Lの回転
および研磨装置1の走査も終了して被加工物8より離脱
され、NCのメインプログラムも停止する。
【0053】ここで、加工開始を示す信号について補足
する。本実施例では、NCからの制御信号を例にとった
が、図1における被加工物8を固定している保持体Hの
動作信号を加工開始の信号とみなすことも可能である。
例えば、保持体Hの回転動作を始めることが加工開始を
意味するので、保持体Hの加速度信号、あるいは速度信
号、位置信号のいずれかが、0から一定値以上になる瞬
間を加工開始とみなすことができる。上記の速度信号の
代表例として、回転数をあげることができる。
【0054】以上説明したように、本発明の研磨方法お
よび研磨装置を用いることにより、加工経過時間に応じ
て研磨部材への作用力(本実施形態においては駆動手段
の駆動量)を制御することにより理想的な加工面形状
(例えば、曲率半径)に研磨部材を撓み変形させること
ができるので、非球面レンズのような多種多様な曲率を
有する被加工面においても均一な圧力分布で研磨するこ
とができ、また、加工位置と対照されるのではなく、完
全に時間基準で制御されるため、複雑な制御系およびセ
ンサ構成を必要とせず、比較的安価かつ簡単な制御系で
研磨を行なうことができる。
【0055】(第2の実施例)図6は、本発明の研磨工
具の第2の実施形態を示す側断面図である。図7は、加
工経過時間Tと駆動手段9の伸び量Zとの対応を示
す、時間制御データである。
【0056】第1の実施形態においては、直前の加工位
置における曲率半径Rを基準にして、その直前の曲率半
径からの差分量だけ、駆動手段9を駆動制御していた
が、本実施形態では、基準となる曲率半径Rと駆動手段
9の長さZの関係から、絶対値で曲率半径Rを制御す
るものである。
【0057】また、固定されたベース4を基準に研磨部
材2のZ方向の変形量を測定する計測手段として、変位セ
ンサ50を設けて演算制御手段16にその測定信号を取
りこむことで、必要な変位量と実際の変位量を比較しか
つその差異を修正するための閉ループの制御系を構成す
ることができ、より高精度に所望の曲率半径を得ること
ができる。
【0058】変位センサ50は、板状部材2の上面の変
位量を測定する変位センサである。変位センサ50は、
その出力Sを演算制御手段16に取りこんで、任意の
加工位置Xにおける必要な変位量Sと比較し、その偏
差S−Sが小さくなるように駆動手段9の駆動量を
調整する。
【0059】このとき図7において、駆動手段9の駆動
量を、絶対値である伸び量Zで設定しておくことによ
り、変位センサ10の出力Sとの比較が容易にでき
る。また、伸び量Zは、任意の加工位置Xにおける所望
の曲率半径Rを得るためのΔZから、前述のないし式
を用いて算出されるものである。
【0060】このような構成にすることにより、常に絶
対値で駆動手段9の伸び量を制御しているため、もし加
工中に外力等を受けて研磨部材2が変形させられたり、
駆動信号が寸断して加工位置と曲率半径の対応が一時的
にずれた場合にも、その後の加工に影響を与えることな
く、正確に所望の曲率半径を維持できる。
【0061】(第3の実施例)図8は、本発明の研磨工
具の第3の実施形態を示すものである。
【0062】本実施形態は、第2の実施形態では計測手
段として変位センサ50を用いたが、その代わりに歪ゲ
ージ61を用いたものであり、測定の基準を必要とする
変位センサを用いる場合に比べて、簡便に測定および制
御系からなる閉ループを構成することが可能である。
【0063】また、第2の駆動手段62として、駆動量
は比較的小さいが高速応答が可能な電歪素子等を用い、
演算制御手段16で兼ねていた第2の演算制御手段の機
能を分離して、差分演算手段63を用いたものである。
【0064】歪みゲージ61は、研磨部材2に貼り付け
られた歪ゲージであり、研磨部材2の変形の度合いによ
り、歪ゲージ61の出力が変化する。研磨部材2のZ方
向の変位量と歪ゲージ61の出力は1対1に対応するの
で、あらかじめ計測し、出力から変位量への換算表を作
成しておくものとする。第2の駆動手段62は、基準加
工面形状からの差分量だけを駆動する第2の駆動手段
で、上記の閉ループでの応答を良くするためには高速応
答が必要だが、駆動ストロークは小さくてよい。
【0065】本実施例での作用は以下のように示され
る。
【0066】研磨部材2が変位すると、それに伴って歪
ゲージ61の出力も変化する。この出力を差分演算手段
63において取りこみ、換算された変位量Uを任意の
加工位置Xにおける必要な変位量Uと比較し、その偏
差U−Uが小さくなるように第2の駆動手段62を
駆動制御する。このとき、第2の駆動手段62は、偏差
分U−Uのみを制御するため、その変位量は駆動手
段9の駆動量に比べて極めて小さい。
【0067】以上説明したことから、本実施形態の効果
は次のようにあげられる。
【0068】歪ゲージを利用したことで、変位センサを
用いた場合に比べて測定の絶対基準を必要とせず、装置
の小型化、簡易化が図られる。また、駆動手段の全駆動
量のうち、閉ループでの偏差分U−Uの制御だけに
高速な駆動手段を利用することにより、高精度に加工面
形状を保持することが可能となる。
【0069】
【発明の効果】以上説明したように、本発明によれば、
加工経過時間に応じて研磨部材への作用力を制御するこ
とにより理想的な加工面形状(例えば、曲率半径)に研
磨部材を撓み変形させることができるので、簡単な構成
で非球面レンズのような多種多様な曲率を有する被加工
面であってもスムーズに平滑化することができるととも
に、加工位置と対照されるのではなく、完全に時間基準
で制御されるため、複雑な制御系およびセンサー構成を
必要とせず、比較的安価かつ簡単な制御系で研磨を行な
うことができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の加工装置全体の概略構成図である。
【図2】本発明における研磨装置の第1の実施形態を示
す側断面図及び下面図である。
【図3】加工面形状としての曲率半径を形成する場合の
概念図である。
【図4】演算制御手段に記憶される加工データの第1の
実施形態(加工経過時間と駆動手段の差分駆動量の対応
表)である。
【図5】図2の研磨装置を用いた、研磨加工のフローチ
ャートの1例を示す。
【図6】本発明における研磨装置の第2の実施形態を示
す側断面図である。
【図7】演算制御手段に記憶される加工データの第2の
実施形態(加工経過時間と駆動手段の伸び量の対応表)
である。
【図8】本発明における研磨装置の第3の実施例を示す
側断面図である。
【図9】従来の研磨工具の1例を示す鳥瞰図である。
【図10】従来の研磨装置の1例を示す鳥瞰図である。
【符号の説明】
1 研磨装置 2 研磨部材 2a 研磨面 31 研磨パッド 32 板状部材 4 ベース部材 5 支柱 6 V字状アーム 7 ピボット 9 駆動手段 10 ガイドベース 11 ガイドバー 11A、11B ガイドバー 12 ブロック体 13 コイルばね 14 回転ピン 8 被加工物(光学レンズ) 8a 被加工面

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 被加工面に接触する研磨面を有する研磨
    部材への作用力により前記研磨部材の形状を変化させて
    研磨を行なう研磨方法であって、加工経過時間に応じて
    前記研磨部材への作用力を制御して前記研磨部材の形状
    を変化させながら加工することを特徴とする研磨方法。
  2. 【請求項2】 前記研磨部材への作用力は、研磨部材の
    長手方向に相対向する部位を保持する保持部に駆動手段
    を駆動させることによって与えることを特徴とする請求
    項1記載の研磨方法。
  3. 【請求項3】 被加工物の被加工面に接触する研磨面を
    有する研磨部材の形状を変化させるように作用する駆動
    手段と、 前記被加工物の、少なくとも加工曲率半径の変化する加
    工位置における加工経過時間および前記駆動手段の駆動
    量を記憶する記憶手段を有し、 前記記憶手段からの情報に基づき、前記加工経過時間に
    応じて前記駆動手段を制御し、研磨部材の形状を変化さ
    せながら前記被加工物を研磨することを特徴とする研磨
    装置。
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Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
CN102581743A (zh) * 2012-02-21 2012-07-18 宁波大学 一种非球面光学零件的研抛方法

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