JP2003045481A - 混合溶媒の調製方法及びこれを用いたリチウム二次電池の製造方法 - Google Patents

混合溶媒の調製方法及びこれを用いたリチウム二次電池の製造方法

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JP2003045481A JP2001225859A JP2001225859A JP2003045481A JP 2003045481 A JP2003045481 A JP 2003045481A JP 2001225859 A JP2001225859 A JP 2001225859A JP 2001225859 A JP2001225859 A JP 2001225859A JP 2003045481 A JP2003045481 A JP 2003045481A
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Seiichi Mizuno
誠一 水野
Ritsu Yo
立 楊
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NGK Insulators Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 簡便かつ低コストで所望とする有機溶媒組成
とするとともに、脱水を行うことが可能な混合溶媒の調
製方法を提供する。 【解決手段】 1又は2種以上の鎖状炭酸エステルを含
む原料溶媒を、酸又はアルカリ触媒能を有する脱水剤で
処理することにより、原料溶媒に含まれていない種類の
鎖状炭酸エステルを生成するとともに、原料溶媒の脱水
を行い混合溶媒を得る。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】 本発明はリチウム二次電池
用の非水電解液を調製するために好適な混合溶媒の調製
方法、及び、当該調製方法により調製された混合溶媒を
用いたリチウム二次電池の製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】 リチウム二次電池は、近年、携帯型の
通信機器やノート型パーソナルコンピュータ等の電子機
器の電源を担う、小型でエネルギー密度の大きな充放電
可能な二次電池として、広く用いられるようになってき
ている。また、国際的な地球環境の保護を背景として省
資源化や省エネルギー化に対する関心が高まる中、リチ
ウム二次電池は、自動車業界において積極的な市場導入
が検討されている電気自動車用のモータ駆動用バッテリ
ー、或いは夜間電力の保存による電力の有効利用手段と
しても期待されており、これらの用途に適する大容量リ
チウム二次電池の実用化が急がれている。
【0003】 リチウム二次電池には、一般的にリチウ
ム遷移金属複合酸化物等が正極活物質として、またハー
ドカーボンや黒鉛といった炭素質材料が負極活物質とし
てそれぞれ用いられる。リチウム二次電池の反応電位は
約4.1Vと高いために、電解液として従来のような水
系電解液を用いることができず、このため電解質である
リチウム化合物を有機溶媒に溶解した非水電解液が用い
られる。そして、充電反応は正極活物質中のLi+が、
非水電解液中を通って負極活物質へ移動して捕捉される
ことで起こり、放電時には逆の電池反応が起こる。
【0004】 前述のリチウム化合物を溶解するための
有機溶媒には、広い使用温度範囲や高いイオン伝導率等
の特性が要求される一方、溶解されるリチウム化合物の
水分による分解を抑制するため、低水分含量であること
が好ましい。このため単一成分、低水分含量である複数
種類の有機溶媒を用意し、これらを所望とする組成とな
るように混合して得た混合溶媒を用いることが一般的で
ある。
【0005】 なお、前述の混合溶媒を構成する有機溶
媒の種類としては、環状炭酸エステルであるエチレンカ
ーボネート(以下、「EC」と記す。)等の高誘電率特
性を有する有機溶媒等、対称鎖状炭酸エステルであるジ
メチルカーボネート(以下、「DMC」と記す。)若し
くはジエチルカーボネート(以下、「DEC」と記
す。)、或いは、非対称鎖状炭酸エステルであるエチル
メチルカーボネート(以下、「EMC」と記す。)等の
低粘性有機溶媒等を挙げることができる。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】 しかしながら、単一
成分、低水分含量である有機溶媒は一般的に高価であ
り、これを用いた非水電解液を構成要素とするリチウム
二次電池は、電池特性に優れるが製造コスト高でもあ
る。
【0007】 更に、EMCを始めとする非対称鎖状炭
酸エステルはその製造が困難であるために、対称鎖状炭
酸エステルに比して更に高価である。このことも、リチ
ウム二次電池の製造コスト高を招く一要因となってお
り、これらのリチウム二次電池の製造コスト面に関する
問題点の解決策の提示が産業界から強く要望されてい
る。
【0008】 本発明は、このような従来技術の有する
問題点に鑑みてなされたものであり、その目的とすると
ころは、簡便かつ低コストで所望とする有機溶媒組成と
するとともに、脱水を行うことが可能な混合溶媒の調製
方法、及び当該調製方法により得られた混合溶媒を用い
たリチウム二次電池の製造方法を提供することにある。
【0009】
【課題を解決するための手段】 即ち、本発明によれ
ば、1又は2種以上の鎖状炭酸エステルを含む原料溶媒
を、酸又はアルカリ触媒能を有する脱水剤で処理するこ
とにより、該原料溶媒に含まれていない種類の鎖状炭酸
エステルを生成するとともに、該原料溶媒の脱水を行い
混合溶媒を得ることを特徴とする混合溶媒の調製方法が
提供される。
【0010】 本発明においては、原料溶媒に含まれる
鎖状炭酸エステルとして、少なくとも1種の非対称鎖状
炭酸エステルを用いることが好ましく、また、非対称鎖
状炭酸エステルとしてエチルメチルカーボネートを用い
ることが好ましい。
【0011】 本発明においては、原料溶媒に含まれる
鎖状炭酸エステルとして、2種以上の対称鎖状炭酸エス
テルを用いることが好ましく、更に、2種以上の対称鎖
状炭酸エステルとして、ジメチルカーボネートとジエチ
ルカーボネートを用いることが好ましい。
【0012】 また、本発明においては、酸又はアルカ
リ触媒能を有する脱水剤として固体の触媒脱水剤を用い
ることが好ましい。固体の触媒脱水剤としてはゼオライ
ト、シリカゲル、及び、酸化カルシウムからなる群より
選択される少なくとも1種を用いることが好ましく、更
に、細孔径が4オングストロームであるゼオライトを用
いることが好ましい。
【0013】 また、本発明によれば、電解質であるリ
チウム化合物を含む非水電解液を電池ケース内に含浸す
る工程を備えたリチウム二次電池の製造方法であって、
前述のいずれかの混合溶媒の調製方法により調製された
混合溶媒に、該リチウム化合物を溶解することにより非
水電解液を得、得られた該非水電解液を該電池ケース内
に含浸することを特徴とするリチウム二次電池の製造方
法が提供される。
【0014】
【発明の実施の形態】 以下、本発明の実施の形態につ
いて説明するが、本発明は以下の実施の形態に限定され
るものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で、当
業者の通常の知識に基づいて、適宜、設計の変更、改良
等が加えられることが理解されるべきである。
【0015】 本発明の一実施態様は、主としてリチウ
ム二次電池用非水電解液を調製するために使用される混
合溶媒の調製方法であり、1又は2種以上の鎖状炭酸エ
ステルを含む原料溶媒を、酸又はアルカリ触媒能を有す
る脱水剤(以下、単に「触媒脱水剤」と記す。)で処理
することにより、当初用いた原料溶媒に含まれていない
種類の鎖状炭酸エステルを生成するとともに、原料溶媒
の脱水を行い混合溶媒を得ることを特徴とするものであ
る。以下、その詳細について説明する。
【0016】 アルコール由来のアルコキシ基は、酸又
はアルカリ触媒存在下エステル交換することが知られて
おり、本発明はこのエステル交換を利用したものであ
る。即ち、1又は2種以上の鎖状炭酸エステルを用意
し、必要に応じてこれらを混合して原料溶媒を得、得ら
れた原料溶媒を、触媒脱水剤を用いて処理することによ
り、脱水とエステル交換の両方を行い、脱水された混合
溶媒を調製する。
【0017】 エステル交換が生起されることにより、
原料溶媒には含まれていなかった種類の鎖状炭酸エステ
ルが生成し、これを含有する混合溶媒が得られる。通
常、リチウム二次電池用の非水電解液には、単独の有機
溶媒ではなく混合溶媒が使用される。従って、触媒脱水
剤で処理する前に、得られる混合溶媒が所望する溶媒組
成比率となるように、予め原料溶媒を所定の組成に混合
することも可能である。
【0018】 また、脱水を同時に行うため、比較的水
分含量は多いが安価である鎖状炭酸エステルを用いるこ
とができるとともに、一工程で脱水と混合が可能である
ために、簡便かつ低コストな調製方法である。更には、
触媒脱水剤で処理することにより、当初の原料溶媒には
含まれていなかった種類の鎖状炭酸エステルが生成する
ため、よりコストの低減が可能である。
【0019】 なお、本発明にいう「酸又はアルカリ触
媒能を有する脱水剤(触媒脱水剤)で処理する」とは、
原料溶媒と触媒脱水剤を混合する等の方法により接触さ
せた後、原料溶媒と触媒脱水剤を分離することをいう。
具体的には、触媒脱水剤が固体である場合を例に挙げる
と、原料溶媒に触媒脱水剤を混合・攪拌した後に濾過す
る、触媒脱水剤を充填したカラムに原料溶媒を通過させ
る等の方法を挙げることができる。また、本発明におい
ては処理(反応)温度に関して特に限定されることはな
い。従って、常温付近で効果的な処理が可能であるた
め、特に加熱・冷却等の操作は必要ではなく、極めて簡
便かつ低コストで混合溶媒を調製することができる。
【0020】 本発明においては、原料溶媒に含まれる
鎖状炭酸エステルとして、少なくとも1種の非対称鎖状
炭酸エステルを用いることが好ましく、特に、非対称鎖
状炭酸エステルとしてEMCを用いることが好ましい。
非対称鎖状炭酸エステルを触媒脱水剤で処理すると、一
部がエステル交換することにより対称鎖状炭酸エステル
が生成し、非対称鎖状炭酸エステルとの混合溶媒が得ら
れる。非対称鎖状炭酸エステルとしてEMCを用いた場
合を例に挙げると、下記式(1)に示す反応が起こる。 EMC→EMC+DMC+DEC …(1)
【0021】 通常、リチウム二次電池用の非水電解液
には、単独の有機溶媒ではなく混合溶媒が使用される。
従って、単独の非対称鎖状炭酸エステルを原料溶媒とし
て用いた場合であっても混合溶媒を得ることが可能であ
るため、コストの低減を図ることができる。
【0022】 なお、本発明においては触媒脱水剤で処
理することにより脱水も同時に行うため、低水分含量で
ある高価な非対称鎖状炭酸エステルを用いることに限ら
れず、比較的水分含量が多めである安価な非対称鎖状炭
酸エステルを用いることができる。
【0023】 本発明においては、原料溶媒に含まれる
鎖状炭酸エステルとして2種以上の対称鎖状炭酸エステ
ルを用いることが好ましく、特に、2種以上の対称鎖状
炭酸エステルとしてDMCとDECを用いることが好ま
しい。2種以上の対称鎖状炭酸エステルを含む原料溶媒
を触媒脱水剤で処理すると、一部がエステル交換するこ
とにより、原料溶媒には含まれていなかった非対称鎖状
炭酸エステルが生成し、これらの混合溶媒が得られる。
対称鎖状炭酸エステルとしてDMCとDECを用いた場
合を例に挙げると、下記式(2)に示す反応が起こる。 DMC+DEC→DMC+DEC+EMC …(2)
【0024】 非対称鎖状炭酸エステルは、その製造の
困難性から対称鎖状炭酸エステルに比して高価である
が、本発明においては安価な対称鎖状炭酸エステルから
非対称鎖状炭酸エステルを生成することができる。従っ
て、溶媒の脱水と混合が実施可能であり、一工程でリチ
ウム二次電池用の非水電解液を調製するために好適な混
合溶媒を調製することができるため、製造コストの低減
を図ることができる。
【0025】 また、本発明においては、固体の触媒脱
水剤を用いることが好ましく、処理のために原料溶媒と
混合しても、濾過等の操作により簡単に除去することが
できる。なお、固体の触媒脱水剤としてはゼオライト、
シリカゲル、及び、酸化カルシウムからなる群より選択
される少なくとも1種を用いることが好ましく、その中
でも、より効果的に脱水するためにはゼオライトを用い
ることが好ましい。特に細孔径が4オングストロームで
あるゼオライトを用いることが好ましい。また、ゼオラ
イトは、一般的にはモレキュラーシーブ(商品名)とし
て入手が容易であるとともに取り扱いも簡単であるた
め、より一層のコスト低減に寄与することができる。
【0026】 本発明の別の実施態様は、電解質である
リチウム化合物を含む非水電解液を電池ケース内に含浸
する工程を備えたリチウム二次電池の製造方法であり、
前述してきたいずれかの調製方法により得られた混合溶
媒にリチウム化合物を溶解することにより非水電解液を
得た後、この非水電解液を電池ケース内に含浸すること
を特徴とするものである。以下、その詳細について説明
する。
【0027】 既述の通り、本発明の第一の実施態様で
ある混合溶媒の調製方法によれば、原料溶媒の組み合わ
せや組成比率、触媒脱水剤による処理条件等を調整する
ことにより、リチウム二次電池用非水電解液を調製する
ために好適な混合溶媒を、低コストで得ることが可能で
ある。従って、当該混合溶媒の調製方法を製造工程に組
み込んだ本発明のリチウム二次電池の製造方法によれ
ば、より製造コストの低減を図ることができる。
【0028】 本発明のリチウム二次電池の製造方法に
おいては、所定の方法により調製した混合溶媒に、溶解
してリチウムイオン(Li+)を生ずるリチウム化合物
を電解質として溶解し、得られた非水電解液を用いる。
従って、その他に使用する材料や、得られる電池の構造
には何ら制限はない。以下、電極体の構成が捲回型電極
体である場合を例に挙げ、リチウム二次電池を構成する
主要部材及び構造、並びに製造方法について説明する。
【0029】 図4は、捲回型電極体の構造を示す斜視
図である。正極板2は集電基板の両面に正極活物質を塗
工することによって作製される。集電基板としては、ア
ルミニウム箔やチタン箔等の正極電気化学反応に対する
耐蝕性が良好である金属箔が用いられるが、箔以外にパ
ンチングメタル或いはメッシュ(網)を用いることもで
きる。また、正極活物質としては、マンガン酸リチウム
(LiMn 24)やコバルト酸リチウム(LiCo
2)、ニッケル酸リチウム(LiNiO2)等のリチウ
ム遷移金属複合酸化物が好適に用いられる。
【0030】 なお、前述の正極活物質には、アセチレ
ンブラック等の炭素微粉末を導電助剤として加えること
が好ましく、2〜10質量%の範囲で任意に添加すれば
よい。
【0031】 ここで、正極活物質としてはLiとMn
を主成分とした立方晶スピネル構造を有するマンガン酸
リチウム(以下、単に「マンガン酸リチウム」と記
す。)を用いると、他の正極活物質を用いた場合と比較
して、電極体の抵抗を小さくすることができるために好
ましい。マンガン酸リチウムの化学量論組成はLiMn
24で表されるが、このような化学量論組成のものに限
られず、遷移元素Mnの一部を、Tiを含み、その他
に、Li、Fe、Ni、Mg、Zn、B、Al、Co、
Cr、Si、Ti、Sn、P、V、Sb、Nb、Ta、
Mo及びWからなる群から選ばれる1種類以上の元素か
らなる、2種類以上の元素で置換してなるLiMZMn
2-z4(但し、Mは置換元素で、Zは置換量を示す。)
も好適に用いられる。
【0032】 前記のような元素置換を行った場合に
は、そのLi/Mn比(モル比)は、MnをLiで置換
したLi過剰の場合には(1+Z)/(2−Z)とな
り、またLi以外の置換元素Mで置換した場合には1/
(2−Z)となるので、いずれの場合であっても常にL
i/Mn比>0.5となる。
【0033】 また、上述の如くLi/Mn比が0.5
超であるマンガン酸リチウムを用いることにより、化学
量論組成のものを用いた場合と比較して結晶構造が更に
安定化されるため、サイクル特性に優れる電池を得るこ
とができるために好ましい。
【0034】 なお、置換元素Mにあっては、理論上、
Liは+1価、Fe、Mn、Ni、Mg、Znは+2
価、B、Al、Co、Crは+3価、Si、Ti、Sn
は+4価、P、V、Sb、Nb、Taは+5価、Mo、
Wは+6価のイオンとなり、LiMn24中に固溶する
元素であるが、Co、Snについては+2価の場合、F
e、Sb及びTiについては+3価の場合、Mnについ
ては+3価、+4価の場合、Crについては+4価、+
6価の場合もあり得る。従って、各種の置換元素Mは混
合原子価を有する状態で存在する場合があり、また、酸
素の量については、必ずしも理論化学組成で表されるよ
うに4であることを必要とせず、結晶構造を維持するた
めの範囲内で欠損して、或いは過剰に存在していても構
わない。
【0035】 正極活物質の塗工は、正極活物質粉末に
溶剤や結着剤等を添加して作製したスラリー或いはペー
ストを、ロールコータ法等を用いて、集電基板に塗布・
乾燥することで行われ、その後に必要に応じてプレス処
理等が施される。
【0036】 負極板3は、正極板2と同様にして作製
することができる。負極板3の集電基板としては、銅箔
若しくはニッケル箔等の負極電気化学反応に対する耐蝕
性が良好な金属箔が好適に用いられる。負極活物質とし
ては、ソフトカーボンやハードカーボンといったアモル
ファス系炭素質材料や人造黒鉛や天然黒鉛等の高黒鉛化
炭素材料が、更には、前記高黒鉛化炭素材料としては繊
維状のものが好適に用いられる。
【0037】 セパレータ4としては、マイクロポアを
有するLi+透過性のポリエチレンフィルム(PEフィ
ルム)を、多孔性のLi+透過性のポリプロピレンフィ
ルム(PPフィルム)で挟んだ三層構造としたものが好
適に用いられる。これは、電極体の温度が上昇した場合
に、PEフィルムが約130℃で軟化してマイクロポア
が潰れ、Li+の移動即ち電池反応を抑制する安全機構
を兼ねたものである。そして、このPEフィルムをより
軟化温度の高いPPフィルムで挟持することによって、
PEフィルムが軟化した場合においても、PPフィルム
が形状を保持して正極板2と負極板3の接触・短絡を防
止し、電池反応の確実な抑制と安全性の確保が可能とな
る。
【0038】 この電極板2・3とセパレータ4の捲回
作業時に、電極板2・3において電極活物質の塗工され
ていない集電基板が露出した部分に、電極リード5・6
がそれぞれ取り付けられる。電極リード5・6として
は、それぞれの電極板2・3の集電基板と同じ材質から
なる箔状のものが好適に用いられる。電極リード5・6
の電極板2・3への取り付けは、超音波溶接やスポット
溶接等を用いて行うことができる。
【0039】 電解質としては、六フッ化リン酸リチウ
ム(LiPF6)やホウフッ化リチウム(LiBF4)等
のリチウム錯体フッ素化合物、或いは過塩素酸リチウム
(LiClO4)といったリチウムハロゲン化物が挙げ
られるが、特に、酸化分解が起こり難く非水電解液の導
電性の高いLiPF6を用いることが好ましい。本発明
では、これらの電解質の1種類若しくは2種類以上を、
前述した本発明の混合溶媒の調製方法により得られた混
合溶媒に溶解して用いる。
【0040】 リチウム二次電池の組立に当たっては、
先ず、電流を外部に取り出すための端子との電極リード
5・6との導通を確保しつつ、作製された捲回型電極体
1を電池ケースに挿入して安定な位置にホールドした
後、上述した非水電解液を含浸、及び電池ケースを封止
することによりリチウム二次電池を作製することができ
る。
【0041】 以上、本発明のリチウム二次電池の製造
方法について、主に捲回型電極体を用いた場合を例に挙
げ、その実施形態を示しながら説明してきたが、本発明
が上記の実施形態に限定されるものでないことはいうま
でもない。
【0042】
【実施例】 以下、本発明の具体的な実施結果を説明す
る。 (実施例1)10gのEMCに対して1gのゼオライト
(モレキュラーシーブ4A(商品名)、シグマ・アルド
リッチ社製、細孔径:4オングストローム)を添加し、
常温(25℃)、乾燥空気(露点:−80℃)中で放置
した。
【0043】(実施例2)EMCに代えて、DMC:D
EC=1:1(質量比)の混合溶媒を原料溶媒とするこ
と以外は実施例1の場合と同様の操作を行った。
【0044】(結果)経時的にGC−MSによる分析、
及び、水分含量の分析を行った。実施例1についてのG
C−MS分析の結果を図1、実施例1、2についての水
分含量分析の結果を図2に示す。なお、GC−MS分
析、及び、水分含量分析の条件は以下の通りである。ま
た、GC−MS分析により得られたGCチャートのピー
ク面積比率から、EMC濃度(mol%)の経時的変化
を算出した。結果を図3に示す。
【0045】[GS−MS分析]:試料を、固定相にポ
リエチレングリコールを用いたカラムにより個々の成分
に分離し、マススペクトロメーターにより定性・定量を
行った。なお、移動相にはヘリウムガスを用いた。
【0046】[水分含量分析]:カールフィッシャー測
定法による電量滴定により、水分含量を測定した。具体
的には、水と反応することにより生ずるヨウ化物イオン
を電気化学的にヨウ素に戻し、その際に消費された電気
量から水分含量(濃度)を算出した。
【0047】(考察)図1に示す結果から明らかな通
り、EMCのみからなる原料溶媒(図1(a))は、ゼ
オライトで処理することによりエステル交換が生起さ
れ、当初の原料溶媒には含まれていなかった、2種類の
成分が生成することが確認できた(図1(b)、
(c))。なお、これらの2種類の成分は、その分子量
からDMCとDECであることが判明した。
【0048】 図2に示す結果から明らかな通り、短時
間の処理で効果的に水分含量が低下することを確認し
た。また、図3に示す結果から明らかな通り、処理時間
の経過に伴い、得られる混合溶媒の組成比率が変化する
ことも判明した。
【0049】
【発明の効果】 以上説明したように、本発明の混合溶
媒の調製方法によれば、所定の原料溶媒を触媒脱水剤で
処理するため、原料溶媒に含まれていない種類の鎖状炭
酸エステルを生成すると同時に脱水を行うことが可能で
あり、簡便かつ低コストで混合溶媒を調製することがで
きる。また、本発明のリチウム二次電池の製造方法は、
当該調製方法により得られた混合溶媒を用いるため、よ
り簡便、かつ、低コストな製造方法である。
【図面の簡単な説明】
【図1】 実施例1のGC−MS分析結果を示すチャー
トであり、(a)はゼオライト処理前、(b)はゼオラ
イト処理24時間経過後、(c)はゼオライト処理40
時間以上経過後の結果である。
【図2】 ゼオライトによる処理時間(時間)に対して
水分含量(ppm)をプロットしたグラフである。
【図3】 ゼオライトによる処理時間(時間)に対して
EMC濃度(mol%)をプロットしたグラフである。
【図4】 捲回型電極体の構造を示す斜視図である。
【符号の説明】
1…捲回型電極体、2…正極板、3…負極板、4…セパ
レータ、5…電極リード、6…電極リード、13…巻
芯。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き Fターム(参考) 5H029 AJ14 AK03 AL06 AL07 AL08 AM03 AM05 AM07 CJ11 CJ23 DJ02 EJ03 EJ05 EJ06 HJ06

Claims (9)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 1又は2種以上の鎖状炭酸エステルを含
    む原料溶媒を、酸又はアルカリ触媒能を有する脱水剤で
    処理することにより、 該原料溶媒に含まれていない種類の鎖状炭酸エステルを
    生成するとともに、 該原料溶媒の脱水を行い混合溶媒を得ることを特徴とす
    る混合溶媒の調製方法。
  2. 【請求項2】 原料溶媒に含まれる鎖状炭酸エステルと
    して、 少なくとも1種の非対称鎖状炭酸エステルを用いる請求
    項1に記載の混合溶媒の調製方法。
  3. 【請求項3】 前記非対称鎖状炭酸エステルとして、 エチルメチルカーボネートを用いる請求項2に記載の混
    合溶媒の調製方法。
  4. 【請求項4】 原料溶媒に含まれる鎖状炭酸エステルと
    して、 2種以上の対称鎖状炭酸エステルを用いる請求項1に記
    載の混合溶媒の調製方法。
  5. 【請求項5】 前記2種以上の対称鎖状炭酸エステルと
    して、 ジメチルカーボネートとジエチルカーボネートを用いる
    請求項4に記載の混合溶媒の調製方法。
  6. 【請求項6】 酸又はアルカリ触媒能を有する脱水剤と
    して固体の触媒脱水剤を用いる請求項1〜5のいずれか
    一項に記載の混合溶媒の調製方法。
  7. 【請求項7】 該固体の触媒脱水剤としてゼオライト、
    シリカゲル、及び、酸化カルシウムからなる群より選択
    される少なくとも1種を用いる請求項6に記載の混合溶
    媒の調製方法。
  8. 【請求項8】 細孔径が4オングストロームであるゼオ
    ライトを用いる請求項7に記載の混合溶媒の調製方法。
  9. 【請求項9】 電解質であるリチウム化合物を含む非水
    電解液を電池ケース内に含浸する工程を備えたリチウム
    二次電池の製造方法であって、 請求項1〜8のいずれか一項に記載の混合溶媒の調製方
    法により調製された混合溶媒に、該リチウム化合物を溶
    解することにより非水電解液を得、 得られた該非水電解液を該電池ケース内に含浸すること
    を特徴とするリチウム二次電池の製造方法。
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