JP2003041805A - 建築物用制振装置 - Google Patents

建築物用制振装置

Info

Publication number
JP2003041805A
JP2003041805A JP2001233307A JP2001233307A JP2003041805A JP 2003041805 A JP2003041805 A JP 2003041805A JP 2001233307 A JP2001233307 A JP 2001233307A JP 2001233307 A JP2001233307 A JP 2001233307A JP 2003041805 A JP2003041805 A JP 2003041805A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
vibration
spring
building
frame
mass
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP2001233307A
Other languages
English (en)
Inventor
Takeaki Okamoto
武明 岡本
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Bando Chemical Industries Ltd
Original Assignee
Bando Chemical Industries Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Bando Chemical Industries Ltd filed Critical Bando Chemical Industries Ltd
Priority to JP2001233307A priority Critical patent/JP2003041805A/ja
Publication of JP2003041805A publication Critical patent/JP2003041805A/ja
Pending legal-status Critical Current

Links

Landscapes

  • Vibration Prevention Devices (AREA)
  • Buildings Adapted To Withstand Abnormal External Influences (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【課題】 戸建て住宅の屋上等に設置される建築物用制
振装置Aにおいて、振動系の固有振動数を調整するコイ
ルばね8、8,…の取付けや交換作業を容易化し、かつ作
業効率を向上するとともに、振動系のマスの回動に起因
する制振作用の低下を実質的に解消する。 【解決手段】 ウエイト5,5とメインフレーム4とか
らなるマス部材をその4隅で高減衰積層ゴム3,3,…
により弾性支持する。メインフレーム4の略中央位置に
貫通孔部4bを設け、その直下のセンターフレーム1上
に四角柱状のフレーム側ばね受け台6を配設して、該ば
ね受け台6の上側部分を前記孔部4bからメインフレー
ム4の上方に突出させる。フレーム側ばね受け台6の四
辺を囲むように4つのウエイト側ばね受け台7,7,…
を配設し、それらをコイルばね8,8,…により弾性連
結する。コイルばね8,8,…は、長手方向(Y方向)
及び幅方向(X方向)のそれぞれについて2つずつ、互
いに同軸上に配置する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は建築物用制振装置に
関し、特に住宅等の小規模建築物で強風や交通振動に起
因して発生する水平方向の不快な揺れ(微小な振動)を
低減するのに好適な制振装置の技術分野に属する。
【0002】
【従来の技術】従来より、この種の建築物用制振装置と
して、例えば特開平8−128228号公報に開示され
るように、大きな平板状のウエイトをマス部材とする付
加振動系を建築物の屋根等に配設するとともに、そのウ
エイトと建築物との間に減衰材を介在させて、揺れを減
衰するようにしたものが知られている。このものでは、
プレハブ住宅等の屋根上に取り付けるのに好適な高さの
低い形状とするために、図5(a)に模式的に示すように、
平面視で長方形をなすウエイトaの外周側に重なるよう
に矩形枠状のフレームbを配置し、このフレームbに対
してウエイトaの4隅を積層ゴムc,c,…により支持
して、略水平に配置するようにしている。
【0003】そして、前記4つの積層ゴムc,c,…に
よりウエイトaに水平方向の復元力を与えるとともに、
各積層ゴムcに隣接するように設けた粘性体dによって
減衰力を付与するようにしており、これにより、建築物
の水平方向の揺れが伝達されてウエイトaが微少振動す
るときに、粘性体d,d,…の変形によって振動のエネ
ルギが消費されるようになっている。
【0004】ところで、このように付加振動系によって
建築物の振動を効果的に減衰させるためには、該付加振
動系の固有振動数を建築物に合わせて適切に調整する必
要があり、このために前記従来例の制振装置では、ウエ
イトaとフレームbとの間にコイルばねe,e,…を配
設している。すなわち、従来例の制振装置は、その長さ
方向(Y方向)が建築物の桁方向に沿うように、また、
幅方向(X方向)が建築物の妻方向に沿うように配置さ
れ、その各方向について各々2つのコイルばねe,eが
2組ずつ配設されていて、この2組のコイルばねe,
e,…によって振動系の固有振動数を建築物の桁方向及
び妻方向についてそれぞれ調整できるようになってい
る。
【0005】より詳しくは、制振装置の長さ方向(Y方
向)に延びる2組のコイルばねe,e,…は、それぞ
れ、図の上下方向両端側に離間して互いに同軸上に配置
された2つのコイルばねe,eからなり、その各コイル
ばねeの装置外方側の端部がフレームbに連結される一
方、装置内方側の端部がウエイトaに連結されている。
また、幅方向(X方向)に延びる2組のコイルばねe,
e,…も、それぞれフレームbの幅方向両端側に離間し
た2つのコイルばねe,eからなる。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】ところが、前記従来例
の制振装置では、大きな平板状のウエイトaをその外周
側寄りに配置したフレームbに取り付けていることか
ら、そのウエイトaとフレームbとの間のコイルばね
e,e,…が装置の外周側に分散して配置されることに
なる。このため、それらコイルばねe,eの取付けや交
換を行うときには、かなり重量のあるコイルばねe,
e,…を複数個持って装置の周囲を移動しなくてはなら
ず、この作業が容易ならざるもので、効率も非常に悪
い。
【0007】また、前記のように大きな平板状のウエイ
トaを用いると、このウエイトaの回転運動の影響が強
くなって、制振作用が損なわれる虞れがある。すなわ
ち、前記の如く積層ゴムc,c,…により水平に支持さ
れたウエイトaは水平面内で並進(X,Y方向)及び回
転の3つの自由度を持つことになり、各積層ゴムc,
c,…の僅かな摩擦抵抗のばらつきやコイルばねe,
e,…のばね力のばらつき、或いは取付誤差等によっ
て、図5(b)に誇張して示すように、ウエイトaとフレ
ームbとが鉛直軸周りに相対的に回動することがある。
【0008】この際、前記したように、互いに対をなす
2つのコイルばねe,eが装置の長さ方向ないし幅方向
に大きく離間していると、図示の如くウエイトaとフレ
ームbとが相対的に回動変位した状態で、その2つのコ
イルばねe,eの軸線(図に一点差線で示す)が大きく
ずれてしまい、このことで長さ方向及び幅方向のばね特
性も変化する結果、所期の狙い通りの制振作用が得られ
なくなるのである。
【0009】本発明は斯かる諸点に鑑みてなされたもの
であり、その目的とするところは、建築物に対してマス
部材(ウエイト)を弾性的に支持してなる制振装置にお
いて、固有振動数の調整のためのばね部材のレイアウト
に工夫を凝らし、その取付けや交換作業の容易化と作業
効率の向上とを図るとともに、マス部材の回動に起因す
る制振作用の低下を実質的に解消することにある。
【0010】
【課題を解決するための手段】前記の目的を達成すべ
く、本発明の制振装置では、フレーム部材とマス部材と
の間のばね特性を調整するためのばね部材を、該制振装
置の長さ方向及び幅方向の略中央位置に集中して配置す
るようにした。
【0011】具体的に、請求項1の発明は、長さ方向の
両端部にそれぞれ建築物への取付部材が配設され、この
取付部材上に設けた高減衰積層ゴムによりマス部材を水
平方向に変位可能に弾性支持して、該マス部材に対し水
平方向の復元力及び減衰力を付与することで、建築物の
水平方向振動を低減するようにした制振装置を前提とす
る。そして、前記両取付部材同士をフレーム部材により
連結し、さらに、長さ方向及び幅方向の略中央位置にお
いて前記フレーム部材及びマス部材を少なくとも長さ方
向について長さ方向ばね部材により弾性連結するととも
に、少なくとも幅方向について幅方向ばね部材により弾
性連結する構成とする。
【0012】前記の構成により、建築物の振動は主に取
付部材と高減衰積層ゴムとを介してマス部材に伝達さ
れ、このマス部材が高減衰積層ゴム及びばね部材から復
元力を受けつつ水平方向に振動するときに、高減衰積層
ゴムの変形によって振動のエネルギが消費されること
で、建築物の揺れが減衰される。
【0013】その際、前記マス部材は水平面内において
並進運動するとともに回動することもあり、この回動に
伴い、長さ方向及び幅方向のばね部材もそれぞれ回動変
位して、本来の配設位置からずれることになる。しか
し、それらのばね部材はいずれも制振装置の略中央位置
に集中して配置されているので、従来例のものと比較し
て位置ずれをは大幅に少なくなり、制振作用の低下は十
分に抑制される。
【0014】また、そのように、ばね部材が制振装置の
略中央位置に集中して配置されているから、それらの取
付けや交換の際に装置の周囲を移動する必要がなくな
り、このことで、作業が容易になるとともに、作業効率
も向上する。
【0015】請求項2の発明では、制振装置の長さ方向
及び幅方向の略中央位置において、フレーム部材からマ
ス部材に向かって上方に延びる柱状部を設ける一方、前
記マス部材には、前記柱状部をその外周部との間に間隙
を空けて収容する孔部を設けて、長さ方向及び幅方向の
ばね部材を、それぞれ前記柱状部と孔部の周縁部とを弾
性連結するように配置した。
【0016】この構成では、マス部材をフレーム部材に
支持した状態で、そのフレーム部材から上方に延びる柱
状部がマス部材の孔部を貫通し、その柱状部の外周部と
孔部の周縁部との間に掛け渡されるように、ばね部材が
配置されることになる。従って、建築物に対し前記フレ
ーム部材やマス部材を設置した状態で、その上方からば
ね部材の取り付けや取り外しが行えるようになり、よっ
て、ばね部材の取付けや交換作業がさらに容易なものと
なる。
【0017】請求項3の発明では、請求項2の発明にお
ける長さ方向及び幅方向のばね部材を、それぞれ、フレ
ーム部材の柱状部を挟んで互いに同軸上に位置する2つ
のコイルばねからなるものとする。
【0018】このことで、長さ方向及び幅方向のそれぞ
れについて、柱状部を挟んで互いに同軸上に位置する2
つのコイルばねにより該柱状部を中立位置に付勢する安
定したばね力が得られ、この2つのコイルばねによる振
動系のばね特性の調整が安定的に行える。
【0019】一方、そのような2つのコイルばねによっ
てばね特性を調整するようにした場合、マス部材の回動
変位によって2つのコイルばねの軸線が大きくずれる
と、所期の狙い通りのばね特性が得られなくなるのであ
るが、この点について、請求項1の発明の如く、制振装
置の中央位置への集中配置によって、コイルばね同士の
位置ずれを小さくできることが、極めて有効なものとな
る。
【0020】請求項4の発明では、請求項2の発明にお
けるマス部材を、高減衰積層ゴムが取り付けられるベー
ス部材と、該ベース部材の長さ方向両端側に互いに対称
になるように分割して配設されたウエイトとからなるも
のとする。
【0021】このことで、ウエイトを取り替えることに
よってマス部材の質量を容易に調整することができ、こ
のことによっても振動系の固有振動数を調整できる。ま
た、ベース部材の長さ方向両端側にウエイトを分割して
配置しているので、それらの中央位置に装置の幅方向か
ら容易に接近することができ、従って、ウエイトの配置
によって作業性が損なわれることもない。
【0022】請求項5の発明では、ばね部材のばね定数
を、振動系の固有振動数が3〜4Hzの範囲の値になる
ようにマス部材の質量に応じて設定し、かつ、高減衰積
層ゴムの損失係数は、振動系の振動減衰比が3〜6%と
なるように前記マス部材の質量及びばね部材のばね定数
に応じて設定するものとする。こうすることで、制振装
置の振動系の振動減衰特性を鉄筋コンクリート住宅等の
小規模建築物に対し好適なものとして、該建築物の揺れ
を極めて効果的に減衰させることができる。
【0023】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施形態を図面に
基づいて説明する。
【0024】図1〜図4は本発明の実施形態に係る建築
物用制振装置Aを示し、この制振装置Aは、例えば鉄筋
コンクリート住宅等の小規模建築物の屋上に設置するの
に好適なコンパクトな寸法形状のものであって、設置し
た建築物の固有振動数に合わせて、振動系の固有振動数
を調節可能なものである。
【0025】前記各図において、符号1は、制振装置A
の長さ方向(図示のY方向:以下、単にY方向ともい
う)全体に亘るセンターフレーム(フレーム部材)であ
り、このセンターフレーム1は、帯状の鋼板の幅方向両
側を長さ方向に折り曲げて一段下がったフランジ部を形
成したものである。また、該センターフレーム1の長さ
方向の両端部には、平面視で(上下方向から見て)それ
ぞれ該センターフレーム1に直交するように、制振装置
Aの幅方向(図示のX方向:以下、単にX方向ともい
う)に延びる取付ベース板2,2(取付部材)が配置さ
れ、センターフレーム1のフランジ部の下面にボルト等
により固定されており、この取付ベース板2,2によっ
て、制振装置Aが建築物の所定箇所に取付けられるよう
になっている。
【0026】前記各取付ベース板2の両端部付近には、
それぞれ、該取付ベース板2を上方に突出するように折
り曲げて段部が形成され、その各段部上に高減衰積層ゴ
ム3が上方(図示のZ方向;以下、単にZ方向ともい
う)に向かって延びるように配設されている。また、前
記センターフレーム1及び取付ベース板2,2全体の上
方には、鋼板製メインフレーム4(ベース部材)がその
4隅を前記高減衰積層ゴム3,3,…により支承されて
配置されていて、このメインフレーム4の長さ方向(Y
方向)両端側に2つのブロック状のウエイト5,5が互
いに対称となるように配設されている。
【0027】つまり、この制振装置Aでは、前記メイン
フレーム4及びウエイト5,5によって振動系のマス部
材が構成され、このマス部材は、4つの高減衰積層ゴム
3,3,…により水平方向に変位可能に弾性支持されて
いて、建築物への振動入力時には該高減衰積層ゴム3,
3,…から水平方向の復元力及び減衰力を付与されるよ
うになっている。
【0028】前記高減衰積層ゴム3は、ゴム配合中にカ
ーボンを混入させてそれ自体に減衰機能を持たせたもの
であるが、その構造は普通の積層ゴムと同じく、薄いゴ
ム板と鋼板とを軸方向に交互に重ね合わせて積層し、加
硫接着して円柱状に形成したものである。また、前記高
減衰積層ゴム3のゴム配合は、損失係数が0.05〜
0.15の範囲内にあるものとされ、例えば、天然ゴ
ム、イソプレンゴム、クロロプレンゴム、エチレンプロ
ピレンゴム、ブチルゴム、ブタジエンゴム等が用いられ
ている。
【0029】尚、前記高減衰積層ゴム3のゴム配合は、
ウエイト5,5及びメインフレーム4からなるマス部材
に適度な復元力と減衰力とを付与できるものであればよ
いが、住宅等の小規模建築物ではその重量が比較的軽量
であるため、制振装置Aの振動系(副振動系)と建築物
そのものからなる振動系(主振動系)との質量比がμ=
0.005〜0.02程度になると考えられ、これに対
応する好適な損失係数は、前記のように0.05〜0.
15になる。この損失係数は0.07〜0.13である
ことが好ましく、0.08〜0.12がさらに好まし
く、0.09〜0.11が特に好ましい。これは、損失
係数が小さすぎると減衰性が不十分になる一方、損失係
数が大きすぎると永久歪みが生じやすく、復元性が不十
分になるからである。
【0030】前記メインフレーム4は、矩形状鋼板の幅
方向両側にそれぞれ下方に向かって垂下する垂下壁部4
a,4aを形成する一方、長さ方向及び幅方向の略中央
位置に矩形の貫通孔部4bを形成したものである。ま
た、前記ウエイト5,5は、所定重量の複数のプレート
5a,5a,…を積層して、4隅を上下に貫通するボル
トによりメインフレーム4上に一体的に固定したもので
あり、そのプレート5a,5a,…の枚数を変えること
によって、ウエイト5の重量を容易に変更できるように
なっている。
【0031】本発明の特徴は、前記の如くメインフレー
ム4及びウエイト5,5をマス部材とする振動系に対し
て、その水平方向のばね特性を調整するためのばね部材
を、制振装置Aの長さ方向及び幅方向の略中央位置に配
設したことにある。
【0032】具体的に、前記メインフレーム4の孔部4
bの真下には、センターフレーム1の長さ方向略中央位
置から上方に向かって延びるように、略四角柱状のフレ
ーム側ばね受け台6(柱状部)が配設されている。この
ばね受け台6は、展開すると略十字状となるように鋼板
をプレス成形し、この鋼板を折り曲げてなるもので、天
井部6aの四辺からそれぞれ下方に向かって垂下する4
つの側壁部6b,6b,…を有し、全体として下方に向
かって開口する矩形箱状のものである。また、ばね受け
台6の4つの側壁部6b,6b,…のうち、制振装置A
の長さ方向に互いに対向する2つの側壁部6b,6bの
下端には、それぞれフランジ部が形成されていて、この
フランジ部がセンターフレーム1上に重ね合わされて溶
接等により接合されている。
【0033】また、前記フレーム側ばね受け台6は、メ
インフレーム4の孔部4bを下側から貫通して上方に延
びており、その4つの側壁部6b,6b,…はそれぞれ
孔部4bの4辺との間に所定量の間隙を有している。言
い換えると、前記ばね受け台6は、その外周部とメイン
フレーム4の孔部4bとの間に所定量の間隙を空けて、
該孔部4bに収容されている。
【0034】一方、前記メインフレーム4の孔部4bの
周縁部には、前記フレーム側ばね受け台6を四方から囲
むように4つのウエイト側ばね受け台7,7,…が配設
されている。このウエイト側ばね受け台7,7,…は、
いずれも帯状の鋼板を折り曲げて略L字状とし、L字の
短辺に相当するフランジ部7aをメインフレーム4上に
重ね合わせてボルトにより締結固定する一方、L字の長
辺に相当する立壁部7bをフレーム側ばね受け台6の側
壁部6b,6b,…と対向するように配置したものであ
る。
【0035】そして、前記フレーム側ばね受け台6の側
壁部6b,6b,…とこれに対向するウエイト側ばね受
け台7,7,…の立壁部7bとの間に、それぞれ、コイ
ルスプリング8,8,…が配設されている。この各コイ
ルばね8は、所定の初期張力を付与された引張ばねであ
り、X方向又はY方向に延びていて、その一端部がピン
9によりフレーム側ばね受け台6の側壁部6bに固定さ
れる一方、他端部がピン9によりウエイト側ばね受台7
の立壁部7bに固定されている。
【0036】言い換えると、センタフレーム1及びメイ
ンフレーム4は、2つのばね受け台6,7を介して、制
振装置Aの長さ方向(Y方向)について2つのコイルば
ね8,8(長さ方向ばね部材)により互いに弾性連結さ
れるとともに、同様に制振装置Aの幅方向(X方向)に
ついても2つのコイルばね8,8(幅方向ばね部材)に
より互いに弾性連結されている。
【0037】また、図2、3に示すように、前記X方向
及びY方向のそれぞれについて、2つのコイルばね8,
8はフレーム側ばね受け台6をその両側から挟むように
して互いに同軸上に位置しており、このことで、ばね受
け台6を挟む2つのコイルばね8,8により該ばね受け
台6を中立位置に付勢する安定したばね力が得られるこ
とになる。そして、それらコイルばね8,8,…をばね
定数の異なるものに入れ替えることで、振動系のばね定
数を変化させてその固有振動数を調節することができ
る。
【0038】尚、図2〜図4において、符号10は、マ
ス部材の変位を妨げないように大きめに形成され、制振
装置Aの全体を覆うように被せられたケーシングであ
る。また、図示しないが、制振装置Aの4隅には、高減
衰積層ゴム3,3,…の外側に隣接しかつ取付ベース板
2,2から上方に延びるようにストッパ片が配設されて
おり、この各ストッパ片がメインフレーム4の周縁部に
当接することで、マス部材の変位が規制されるようにな
っている。
【0039】上述の如き構成の制振装置Aを、例えば鉄
筋コンクリート住宅等の小規模建築物の屋上に設設する
場合には、まず、制振装置Aを適当に設置できるような
スペースを選び、水平面内において互いに直交する縦横
2方向(例えば建築物の桁方向及び妻方向)について、
それぞれ建築物の水平方向振動の固有振動数を計算又は
計測により求める。
【0040】次に、制振装置Aの振動系の長さ方向及び
幅方向についての固有振動数を、それぞれ前記建築物の
縦横2方向の固有振動数におおよそ等しくなるように設
定する。この際、ウエイト5,5の重量は建築物の総重
量に所定の係数を乗算して決定し、このようにして求め
たウエイト5,5及びメインフレーム4の質量に応じ
て、長さ方向及び幅方向の各方向について、それぞれコ
イルばね8,8,…の適切なばね定数を設定する。尚、
コイルばね8,8,…については、そのようにして求め
た値を含む所定範囲においていくつかの異なるばね定数
を有するものを、各々2つずつ準備する。
【0041】そして、制振装置Aを実際に建築物の屋上
に設置し、該建築物を前記縦横2方向にそれぞれ弱い力
で加振して、実際に振動の減衰する状態を計測する。こ
の際、制振装置Aの長さ方向と幅方向のそれぞれについ
て、予め準備したコイルばね8,8,…を2つずつ取り
替えながら振動の減衰する様子を観察し、両方向につい
てそれぞれ最も優れた減衰特性が得られるようなコイル
ばね8、8を選定する。
【0042】このようなコイルばね8,8,…の交換作
業は、それらが制振装置Aの略中央位置に集中配置され
ていることから、非常に容易なものとなり、その作業効
率も高い。また、コイルばね8,8,…は、メインフレ
ーム4の上方に突出するばね受け台6,7の中間に掛け
渡されているので、制振装置Aを建築物へ設置した状態
でその上方から容易に作業を行うこことができる。しか
も、ウエイト5,5がメインフレーム4の長さ方向両端
側に分割して配置されているので、それらの中央位置に
は十分な作業スペースが確保され、このことによっても
作業を容易に行うことができる。
【0043】そうして、そのようにして適切なコイルば
ね8,8,…を選定して、制振装置Aを設置した建築物
では、強風や交通振動等により建築物が加振された際
に、その建築物の振動が主に高減衰積層ゴム3,3,…
を介してウエイト5,5及びメインフレーム4からなる
マス部材に伝達され、これらが一体となって水平方向に
振動するとともに、高減衰積層ゴム3,3,…の弾性変
形によって振動のエネルギが消費されて、建築物の振動
が速やかに減衰されるようになる。
【0044】その際、制振装置Aにおける振動系の長さ
方向及び幅方向の固有振動数がそれぞれ建築物の縦横2
方向に合わされているので、建築物から制振装置Aへ振
動が速やかに伝達され、高減衰積層ゴム3,3,…によ
る振動の減衰が極めて効果的に行われる。具体的には、
この実施形態の制振装置Aでは、振動系の長さ方向及び
幅方向の固有振動数は3〜4Hzの範囲の値に、また、
その振動減衰比が3〜6%の範囲の値にされており、こ
のことで、鉄筋コンクリート住宅等の小規模建築物にお
いて優れた振動減衰特性が得られる。
【0045】また、前記のように水平方向に振動するマ
ス部材は、何らかの理由で水平面内において回動するこ
とがあり、このときにはコイルばね8,8,…がそれぞ
れフレーム側ばね受け台6の周りに回動変位して、X方
向又はY方向において互いに対をなす2つのコイルばね
8,8の軸線が相互にずれることになる。しかし、この
実施形態の制振装置Aでは、コイルばね8,8,…は装
置の略中央位置に集中して配置されているので、コイル
ばね同士8,8の位置ずれは極めて小さく、そのことに
よるばね特性の変化は殆どない。
【0046】したがって、この実施形態に係る建築物用
制振装置Aによれば、まず、前記マス部材を支持する積
層ゴム3,3,…をいわゆる高減衰積層ゴム3,3,…
として、マス部材に対し復元力だけでなく減衰力をも付
与できるようにしたので、別個に減衰材を設ける必要が
なくなり、部品点数の削減によって低コスト化が図られ
る。
【0047】また、振動系のばね特性を長さ方向及び幅
方向についてそれぞれ調整するためのコイルばね8,
8,…を、制振装置Aの長さ方向及び幅方向の略中央位
置に集中配置し、かつ、メインフレーム4を設置した状
態でその上方から容易に取り付け、取り外しできるよう
にしたので、そのコイルばね8,8,…の取付けや交換
作業が極めて容易なものとなり、作業効率も大幅に向上
する。
【0048】さらに、そのようなコイルばね8,8,…
の集中配置によって、ウエイト5及びメインフレーム4
が回動変位したときにも、そのことによるコイルばね
8,8の位置ずれを極小化して、その位置ずれに起因す
る制振作用の低下を実質的に解消することができる。
【0049】尚、本発明の構成は、前記実施形態のもの
に限定されず、その他の種々の構成を包含するものであ
る。すなわち、前記実施形態の制振装置Aは、比較的小
型かつ軽量に構成され、建築物の天井裏の梁上や屋根に
も簡易に設置することができ、また、微少振動に対して
も良好な制振効果を発揮するので、戸建て住宅等の小規
模建築物に対して顕著な効果を発揮するものである。し
かし、これに限らず、制振装置Aをビルディング等の大
規模建築物に対して用いることもできる。
【0050】また、制振装置Aとして、高減衰積層ゴム
3,3,…を4つ備えた装置について説明したが、高減
衰積層ゴム3,3,…の個数が4個に限定されないこと
は言うまでもない。
【0051】さらに、コイルばね8,8,…は、制振装
置Aの長さ方向及び幅方向の両方についてそれぞれ2つ
ずつ配置する必要はなく、それぞれ1つずつ配置するよ
うにしてもよい。反対に、フレーム側ばね受け台6を挟
んで互いに同軸上に位置する2つのコイルばね8,8を
1組として、これを2組以上、設けるようにしてもよ
い。さらにまた、ばね部材としてコイルばね8,8,…
以外に、例えば板ばねを設けることも可能である。
【0052】
【発明の効果】以上、説明したように、本願の請求項1
の発明に係る建築物用制振装置によると、マス部材をフ
レーム部材に対し弾性的に支持してなる付加振動系を建
築物に付設して、この建築物の振動を減衰させるように
したものにおいて、それらマス部材及びフレーム部材を
弾性連結して振動系のばね特性を調整するばね部材を、
制振装置の長さ方向及び幅方向の略中央位置に集中配置
することにより、ばね部材の取付けや交換作業を容易化
できるとともに、作業効率を大幅に向上できる。しか
も、前記マス部材の回動変位に起因するばね部材の位置
ずれを極小化して、そのことによる制振作用の低下を実
質的に解消できる。
【0053】請求項2の発明によると、建築物に設置し
た制振装置に対してその上方からばね部材の取り付け等
を行えるようになり、その作業をさらに容易化できる。
【0054】請求項3の発明によると、互いに同軸上に
位置する2つのコイルばねにより、振動系のばね特性の
調整を安定的に行えるとともに、このような配置構成に
おいて、コイルばね同士の位置ずれを極めて小さくでき
るという本発明の効果が特に有効なものとなる。
【0055】請求項4の発明によると、ウエイトをベー
ス部材の長さ方向両端側に分割して配設したことで、ば
ね部材の取付け等の作業の容易性がウエイトによって損
なわれることを防止できる。
【0056】請求項5の発明によると、制振装置の振動
系のばね定数及び振動減衰比をそれぞれ適切に設定する
ことで、鉄筋コンクリート住宅等の小規模建築物の揺れ
を極めて効果的に減衰させることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施形態に係る制振装置の構成を示す
斜視図である。
【図2】実施形態の制振装置の構成を示す正面図であ
る。
【図3】図2の上面図である。
【図4】図2の側面図である。
【図5】(a)は、従来例の制振装置の概略構成を示す模
式図であり、(b)は、ウエイトとフレームが回動変位し
た状態を示す図である。
【符号の説明】
A 建築物用制振装置 1 センターフレーム(フレーム部材) 2 取付ベース板(取付部材) 3 高減衰積層ゴム 4 メインフレーム(ベース部材) 4b 孔部 5 ウエイト 6 フレーム側ばね受け台(柱状部) 7 ウエイト側ばね受け台 8 コイルばね

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 長さ方向の両端部にそれぞれ建築物への
    取付部材が配設され、この取付部材上に設けた高減衰積
    層ゴムによりマス部材を水平方向に変位可能に弾性支持
    して、該マス部材に対し水平方向の復元力及び減衰力を
    付与することで、建築物の水平方向振動を低減するよう
    にした制振装置において、 前記両取付部材同士がフレーム部材により連結され、 長さ方向及び幅方向の略中央位置において、前記フレー
    ム部材及びマス部材が少なくとも長さ方向について長さ
    方向ばね部材により弾性連結されるとともに、少なくと
    も幅方向について幅方向ばね部材により弾性連結されて
    いることを特徴とする建築物用制振装置。
  2. 【請求項2】 請求項1において、 長さ方向及び幅方向の略中央位置において、フレーム部
    材からマス部材に向かって上方に延びる柱状部が設けら
    れる一方、 前記マス部材には、前記柱状部をその外周部との間に間
    隙を空けて収容する孔部が設けられ、 長さ方向及び幅方向のばね部材がそれぞれ前記柱状部と
    孔部の周縁部とを弾性連結していることを特徴とする建
    築物用制振装置。
  3. 【請求項3】 請求項2において、 長さ方向及び幅方向のばね部材は、それぞれ、フレーム
    部材の柱状部を挟んで互いに同軸上に位置する2つのコ
    イルばねからなることを特徴とする建築物用制振装置。
  4. 【請求項4】 請求項2において、 マス部材は、高減衰積層ゴムが取り付けられるベース部
    材と、該ベース部材の長さ方向両端側に互いに対称にな
    るように分割して配設されたウエイトとからなることを
    特徴とする建築物用制振装置。
  5. 【請求項5】 請求項1において、 ばね部材のばね定数は、振動系の固有振動数が3〜4H
    zの範囲の値になるようにマス部材の質量に応じて設定
    され、 高減衰積層ゴムの損失係数は、振動系の振動減衰比が3
    〜6%となるように前記マス部材の質量及びばね部材の
    ばね定数に応じて設定されていることを特徴とする建築
    物用制振装置。
JP2001233307A 2001-08-01 2001-08-01 建築物用制振装置 Pending JP2003041805A (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2001233307A JP2003041805A (ja) 2001-08-01 2001-08-01 建築物用制振装置

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2001233307A JP2003041805A (ja) 2001-08-01 2001-08-01 建築物用制振装置

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JP2003041805A true JP2003041805A (ja) 2003-02-13

Family

ID=19065096

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2001233307A Pending JP2003041805A (ja) 2001-08-01 2001-08-01 建築物用制振装置

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP2003041805A (ja)

Cited By (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2008101390A (ja) * 2006-10-19 2008-05-01 Asahi Kasei Homes Kk ダイナミックダンパー調整用バネユニット
CN104196952A (zh) * 2014-07-14 2014-12-10 西安电子科技大学 两自由度的微型柔性铰链减振平台及减振方法
JP2016173156A (ja) * 2015-03-17 2016-09-29 積水化学工業株式会社 制振装置
WO2019195508A1 (en) * 2018-04-04 2019-10-10 Milwaukee Electric Tool Corporation Rotary hammer

Cited By (6)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2008101390A (ja) * 2006-10-19 2008-05-01 Asahi Kasei Homes Kk ダイナミックダンパー調整用バネユニット
CN104196952A (zh) * 2014-07-14 2014-12-10 西安电子科技大学 两自由度的微型柔性铰链减振平台及减振方法
CN104196952B (zh) * 2014-07-14 2016-01-13 西安电子科技大学 两自由度的微型柔性铰链减振平台及减振方法
JP2016173156A (ja) * 2015-03-17 2016-09-29 積水化学工業株式会社 制振装置
WO2019195508A1 (en) * 2018-04-04 2019-10-10 Milwaukee Electric Tool Corporation Rotary hammer
US11571796B2 (en) 2018-04-04 2023-02-07 Milwaukee Electric Tool Corporation Rotary hammer

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JPH0552237A (ja) 振動抑制装置
JP2003041805A (ja) 建築物用制振装置
US6286782B1 (en) Apparatus and method for reducing vibrations of a structure particularly a helicopter
JPH03163239A (ja) 制振装置の固有振動数の調整装置
JPH03100244A (ja) 床振動の制振装置
JP3898528B2 (ja) 遮音床構造
JPS62194049A (ja) 動吸振器
JP2000329187A (ja) 制振装置
JPH04136373A (ja) 駐車塔の防振構造
JP3850272B2 (ja) 建築物用制振装置
JP2002356939A (ja) 制振構造、プレート部材
JPH04136537A (ja) 構造物の振動抑制装置
JP2001193312A (ja) 建築構造物の制振装置
KR101301349B1 (ko) 동흡진기
KR20140067843A (ko) 2방향 진자-레일형 제진장치
JP2000248777A (ja) 建築構造
JP4971759B2 (ja) マスダンパー及びそれを用いた梁の制振構造
JP3656476B2 (ja) 建築構造物の制振装置
JP2001124135A (ja) 建築物用制振装置
JP5084223B2 (ja) ダイナミックダンパー調整用バネユニット
JP2001074089A (ja) 建築構造物の制振装置
JP2001082002A (ja) 建築構造物の制振装置
JPH11336830A (ja) 建築物制振装置
JP5084247B2 (ja) ダイナミックダンパー
JP6397287B2 (ja) 制振装置