JP2003041356A - 合金化溶融亜鉛めっき鋼板の製造方法 - Google Patents

合金化溶融亜鉛めっき鋼板の製造方法

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JP2003041356A
JP2003041356A JP2001264934A JP2001264934A JP2003041356A JP 2003041356 A JP2003041356 A JP 2003041356A JP 2001264934 A JP2001264934 A JP 2001264934A JP 2001264934 A JP2001264934 A JP 2001264934A JP 2003041356 A JP2003041356 A JP 2003041356A
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bath
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JP2001264934A
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Nobue Fujibayashi
亘江 藤林
Kazuaki Kyono
一章 京野
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Kawasaki Steel Corp
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Abstract

(57)【要約】 (修正有) 【課題】合金化溶融亜鉛めっき鋼板の外観を良好に保持
すると共に、プレス加工時における摺動性及び耐パウダ
リング性を従来より良好にする。 【解決手段】合金化炉を備えた溶融亜鉛めっき装置に、
鋼帯を連続的に供給して溶融亜鉛めっき鋼板を製造する
に際し、Znめっき浴のAl濃度が0.125〜0.1
45質量%、浴温が450〜480℃、Znめっき浴に
進入する時の鋼帯温度を450℃以上、且つ浴温の±1
0℃内のめっき条件で前記鋼帯にめっきを施し、めっき
後の合金化では、鋼帯の昇温速度を20℃/sec以
上、合金化温度を490〜530℃とすると共に、合金
化温度と昇温速度との間に成立する下記式の関係を満足
させて操業する。 (1.5R+T)×(1−1.3×|Al−0.13
5|)/(1+(T−440)/2000)≧535 R:合金化時の鋼帯の昇温速度(℃/sec) T:合金化温度(℃) T:浴温(℃) Al:めっき浴のAl濃度(質量%)

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、合金化溶融亜鉛め
っき鋼板の製造方法に係わり、特に、外観が良好で、か
つ摺動性及び耐パウダリング性に優れ、自動車用防錆表
面処理鋼板に最適な合金化溶融亜鉛めっき鋼板の製造技
術に関する。
【0002】
【従来の技術】合金化溶融亜鉛めっき鋼板(以下、GA
という)は、安価で防食性に優れるため、自動車用鋼板
として多用されている。そのうち、自動車の外板に用い
られる鋼板は、一般にプレス加工が難しいので、防食性
以外の特性にも優れている必要がある。特に、それがめ
っき鋼板の場合には、摺動性と耐パウダリング性が注目
される。摺動性が劣化すると、プレス加工時に製品に所
謂「型かじり」によるプレス割れ等が発生し易くなり、
また耐パウダリング性が劣化すると、プレス加工時にめ
っきが剥がれ落ちて防錆性の劣化及び外観不良が生じる
からである。
【0003】ところで、GAの摺動性は、めっき層のF
e含有率の影響を大きく受け、低いFe含有率では軟質
なζ相が生成し易く、該摺動性を著しく劣化することは
周知の事実である。この摺動性の改善方法としては、G
Aの上層にFe系の電気めっきを施す方法、めっき層に
ξ相及びΓ相の出現を無くし、δ相の単層にする方法
(特許第2709173号公報参照)、めっき浴中のA
l濃度、該浴へ被めっき鋼板を進入させる際に、鋼板温
度をある範囲に限定し、引き続き合金化時には、一旦高
温まで加熱してから低温で合金化して、表面粗さ及びζ
相量を調整する方法(特開2000−219948号公
報参照)、GA表面の結晶粒径を5μm以下とし、さら
に酸化亜鉛とFe,Co,Niのうちの1種又は2種以
上を含有する表面被膜を形成させる方法〔特開2000
−54161公報参照〕等がある。
【0004】しかしながら、鋼板の上層に電気めっきを
施す方法では、工程が煩雑になり、コストが高くなる。
また、δ単層にする、つまり摺動性を劣化させるη相
やζ相を無くしたり、めっき表面粗度を適正化したり、
ζ相の量だけを限定したりしたのでは、摺動性が十分改
善されないことがわかった。さらに、合金化時に高温に
してから数十℃以上の冷却を行い低温にしなければなら
ない。これでは、合金化炉内にミスト等の冷却装置が別
途必要となり、通常の設備では製造できない。加えて、
めっき層の上にFe、Co、Niを付着させるには、そ
れらの溶液に浸漬する必要があるので、通常の設備では
製造できない。
【0005】一方、GAのパウダリングは、鋼板とめっ
き層の界面にFe含有率が高く、硬くて脆いΓ相が生成
すると、界面の密着力が弱くなって、めっきが剥離する
ものである。このパウダリングは、めっき層が圧縮応力
を受けると発生し易いことが知られている。
【0006】耐パウダリング性の改善方法としては、鋼
中のSi量やP量を限定する方法(特開平6−4170
7、特開平9−291349)、亜鉛めっき浴中のAl
濃度を高くする方法(特開平2−97653)、めっき
被膜中のAl量を限定する方法(特開平4−24785
9、特開平3−232952)、めっき被膜の鉄含有率
及びAl含有率及びめっき相構造を限定する方法(特開
平9−87824)等が報告されている。
【0007】ところが、高強度化のために添加されるS
iやPの添加量を限定することは、鋼板の強度、伸びや
r値といった材質をも制約することであり、目標とする
強度、伸び、r値で耐パウダリング性の良好なものを得
るのは困難となる。また、めっき浴中Alの高濃度化や
めっき被膜中Alの限定は、パウダリングを低減させる
上で有効な手段ではあるが、その後の合金化が難しくな
り、合金化むら等の欠陥を発生し易くなる。さらに、G
A表面の形状を不良(凹凸)にするので、摺動性が劣化
して好ましくない。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、かかる事情
に鑑み、合金化溶融亜鉛めっき鋼板の外観を良好に保持
すると共に、プレス加工時における摺動性及び耐パウダ
リング性を従来より良好にする合金化溶融亜鉛めっき鋼
板の製造方法を提供することを目的としている。
【0009】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、合金化溶
融亜鉛めっき鋼板の摺動性及び耐パウダリング性につい
て調査し、摺動性の改善には、めっき中のFe含有率を
低下させて、ζ相の出現を抑えることも重要であるが、
めっき表面の結晶形状が重要であることを見いだした。
つまり、めっき表面に角度を持って形成している柱状晶
を低下させなければならないこと及び/又は表面に観察
される凹み(以下、クレータという)を低減しなければ
ならないことを見いだした。そして、めっき表面の結晶
形状をそのようにするために必要なめっき条件及び合金
化条件の確立に鋭意努力し、その成果を本発明に具現化
した。
【0010】すなわち、本発明は、合金化炉を備えた溶
融亜鉛めっき装置に、鋼帯を連続的に供給して溶融亜鉛
めっき鋼板を製造するに際し、Znめっき浴のAl濃度
が0.125〜0.145質量%、浴温が450〜48
0℃、Znめっき浴に進入する時の鋼帯温度を450℃
以上、且つ浴温の±10℃内のめっき条件で前記鋼帯に
めっきを施し、めっき後の合金化では、鋼帯の昇温速度
を20℃/sec以上、合金化温度を490〜530℃
とすると共に、合金化温度と昇温速度との間に成立する
下記式の関係を満足させて操業することを特徴とする合
金化溶融亜鉛めっき鋼板の製造方法である。 (1.5R+T)×(1−1.3×|Al−0.13
5|)/(1+(T−440)/2000)≧535 R:合金化時の鋼帯の昇温速度(℃/sec) T:合金化温度(℃) T:浴温(℃) Al:めっき浴のAl濃度(質量%)
【0011】この場合、前記鋼帯が、C:0.001〜
0.0040質量%、Si:0.005〜0.03質量
%、Mn:0.10〜0.4質量%、P:0.008〜
0・05質量%を含有しているのが好ましい。本発明に
よれば、めっき条件及び合金化条件が適切になったの
で、外観ばかりでなく、プレス加工時における摺動性及
び耐パウダリング性が共に良好な合金化溶融亜鉛めっき
鋼板が製造できるようになる。
【0012】
【発明の実施の形態】以下に、発明をなすに至った経緯
をまじえ、本発明の実施の形態を説明する。まず、発明
者らは、GAの表面を電子顕微鏡で観察することから始
めた。そして、通常通りにGAの表面を真上から観察し
たSEM像及び鋼板面を水平から傾けて観察した像を撮
影した。その結果、GAには、表面に角度を持った柱状
晶(突起)が存在するものと、角度を持った柱状晶が存
在しないものとの2種類あることが明らかになった。図
1(a)及び(c)は、角度を持った柱状晶(突起)が
存在するもののSEM像であり、図1(a)は真上か
ら、図1(c)は傾けて観察したものをそれぞれ示す。
図1(b)及び(d)は、柱状晶が無いもののSEM像
であり、図1(b)は真上から、図1(d)は傾けて観
察したものである。また、これら2種のGAは、Fe含
有率やX線回折で測定しためっき中のζ相量はほぼ同じ
であったが、摩擦係数が異なり、柱状晶が観察される鋼
板の方が摩擦係数は大きく、摩擦に対する抵抗も大きい
ことがわかった。従って、これらの観察結果より、表面
に柱状晶を有する鋼板は、結晶が表面より突起している
ので、プレス加工時に該結晶がヤスリのような作用を
し、その摺動性を劣化させると推定される。
【0013】この柱状晶の同定を、GAのX線回折で行
った。その結果、X線回折でζ相のピークが明瞭に観察
される場合には、表面に柱状晶が観察されるが、ζ相の
ピークが殆ど見えない場合には、柱状晶の存在する鋼板
と存在しない鋼板があった。そこで、柱状晶が存在し、
X線回折でもζ相のピークが明瞭に観察される鋼板を、
さらに合金化し、めっき中のFe含有率を上昇させたと
ころ、そのX線回折では、ζ相のピークは殆ど消滅する
が、柱状晶の形態は変化せず残存していることがわかっ
た。このことから、柱状晶はさらなる合金化によりFe
含有率が上昇し、柱状晶のままδ相に変化したと考え
られる。よって、板表面で観察される柱状晶は、ζ相及
び/又はδ相から形成されていると考えられた。
【0014】また、GA表面の電子顕微鏡の観察では、
図2(a)に示すように、直径が10μm〜数10μm
の前記クレータが観察される場合と、図2(b)に示す
ように平坦な表面でクレータが殆ど観察されない場合が
あった。そこで、これら表面の3次元表面粗さを測定し
た。その表面粗さの測定方法は、クレータの有無を区別
するため、触針として先端径が2μmのものを用い、X
方向を1μm間隔、Y方向を10μm間隔で50本にわ
たり触り、粗さデータを採取するものである。結果を図
3に示すが、表面にクレータが観察されるものは、深さ
10μm程度の凹みが形成されており(図3(a)参
照)、クレータが観察されないものは、単に数μmの凹
凸が有るだけであった(図3(b)参照)。これら表面
形状の異なるGAの摺動性を調査したところ、Fe含有
率やX線回折によるζ相量ほぼ同じであったが、クレー
タの無い鋼板で、摺動性が良好であることがわかった。
従って、GAの摺動性を良好にするには、前記柱状晶の
存在が少ないばかりでなく、表面に形成されるクレータ
も低減するのが好ましいことがわかった。そこで、発明
者は、表面より突起した柱状晶及び/又はクレータが少
なく、摺動性が良好な鋼板を得るためのめっき条件及び
合金化条件を検討することにした。
【0015】まず、めっき浴温の影響については、めっ
き浴温を低くすると、GA表面のクレータ量を減少させ
ることがわかった。これは、めっき浴温の低下により、
ZnめっきへのFeとAlの飽和溶解度が低下し、めっ
き時に鋼帯の最表面(鋼板とめっきの界面)でFe−A
l合金相(Al富化層と呼ぶ)が形成し易くなり、合金
化時にその界面での合金相の成長が抑制され、クレータ
量が低減したと考えられる。一方、柱状晶の量は、浴温
の低下により増加する。これは、浴温が低下すると、そ
こへ進入する鋼帯の温度(以下、進入板温という)も低
下し、合金化時には、昇温過程でζ相が生成し易い低温
での滞留時間が増加するためと考えられる。なお、この
進入板温は浴温と同様の効果があり、該板温の低下によ
り前記クレータの量は減少する。ただし、浴温と進入板
温とが大きく異なると、めっき浴の鋼帯近傍と他の部分
とで浴温が異なるため、ドロスの発生量が増大して鋼帯
に付着し、外観が不良となる。また、浴温が安定せず、
浴温を冷却又は加熱するための設備の増強等が必要とな
る。そのため、進入板温は、浴温±10℃とするのが良
い。また、浴温の低下、進入板温の低下により、めっき
付着量の調整が困難となるので、浴温及び進入板温は、
450℃以上とするのが好ましい。
【0016】さらに、めっき浴組成の影響であるが、A
l濃度を高めると、柱状晶は減少する一方で、クレータ
量が増加することがわかった。これは、Al濃度を増加
させると、3元系合金状態図からも理解できるように、
ζ相の生成範囲が減少し、ζ相からなる柱状晶の量が減
少するからである。また、必要以上のAl富化層が形成
されるので、前記界面での合金化反応が起こり難くな
り、クレータが形成され易くなると考えられる。
【0017】次に、合金化条件の影響について説明する
が、柱状晶とクレータの形成には、合金化時の昇温速度
と合金化温度が大きな影響を及ぼしており、合金化が終
了(η相が消滅)した後の冷却速度は、影響を及ぼさな
いことがわかった。そこで、めっき浴のAl濃度、浴
温、合金化時の鋼帯の昇温速度と温度(合金化温度とい
う)を種々変更する実験を試みた。その際、GAに形成
される柱状晶とクレータの有無は、表面をSEMにより
100〜1000倍に拡大して観察して評価した。
【0018】まず、Al濃度0.135質量%、浴温4
40℃で、柱状晶がなく、且つクレータをなくすること
の可能な合金化温度と昇温速度の領域が最も広くなるこ
とが確認できた。図4(a)にこの領域を示す。この条
件を数式で表すと、昇温速度(R)≧20℃/sec、
合金化温度(T)≧490℃で、且つ1.5R+T
≧535・・・(1)式のような関係となる。
【0019】また、浴温を適宜変更したところ、例えば
Al濃度0.135質量%で、浴温が450,460,
470℃の場合、前記の関係は、図4(b)に示すよう
になった。つまり、浴温(T)は、前記(1)式の右
辺に対して(1+(T−440)/2000)の影響
を与えていることがわかった。すなわち、浴温を考慮す
ると、前記(1)式は下記(2)式の関係となる。 1.5R+T≧535(1+(T−440)/2000)・・・(2)式
【0020】さらに、浴温460℃でAl濃度を0.1
25〜0.145質量%の範囲で変更したところ、柱状
晶がなく、且つクレータをなくすことが可能な合金化温
度と昇温速度の領域は、図4(c)に示すようになっ
た。Al濃度(記号Al)は、前記(1)式の右辺に対
して1/(1−1.3|0.135−Al|)の影響を
与えている。すなわち、(1)式において、Al濃度を
考慮すると、下記(3)式の関係となる。 1.5R+T≧535/(1−1.3|0.135−Al|)・・・(3)式 そこで、浴温及びAl濃度の両方の影響を受ける場合に
は、以下に示す関係になる。 1.5R+T≧535(1+(T−440)/2000)/(1−1.3 |0.135−Al|)・・・(4)式 これは、前記したように、浴中のAl濃度を低下させる
と、柱状晶が生じない条件の領域は減少し、クレータが
生じないない条件の領域は増加すること、及び浴温を低
下させると、逆になることを意味している。
【0021】以上のことから、柱状晶がなく、且つクレ
ータを出現させずに摺動性良好な合金化溶融亜鉛めっき
鋼板を得る条件は、以下のように整理できる。浴中Al
濃度は、柱状晶レスの観点より0.120質量%以上、
クレータレスの観点より0.145質量%以下、浴温及
び進入板温は、めっき付着量を調整する観点より、浴温
が450℃以上で、進入板温が、浴温±10℃以内、且
つクレータレスの観点より、浴温が480℃以下、昇温
速度は、20℃/sec以上で、合金化温度は490℃
以上、且つ前記(4)式の関係を満足することである。
【0022】一方、合金化溶融亜鉛めっき鋼板の耐パウ
ダリング性は、めっき層中のΓ相の量と良好な相関が見
られ、該Γ相の量が増加すると、鋼板の変形(特に圧縮
変形)によるめっき剥離量が増加する。また、従来よ
り、めっき層中のFe含有率が上昇するとΓ相量も増加
することは良く知られているが、同じFe含有率でも、
Al量や合金化温度によってΓ相量は異なってくる。
【0023】そこで、Γ相量の出現に及ぼすめっき浴中
のAl濃度の影響を調査したところ、0.125質量%
以上のAl濃度が必要であることがわかった。さらに好
ましくは0.130質量%以上であった。また、合金化
温度については、図5に模式的に示すように、Γ相量を
最適にする領域があることがわかった。つまり、パウダ
リング性の観点より、合金化温度は480℃以上530
℃以下が良く、さらに好ましくは490℃以上、520
℃以下である。
【0024】従って、摺動性及び耐パウダリング性が共
に良好なGAを得るには、前記条件のうちのめっき浴中
Al濃度の下限を0.125質量%、合金化温度の上限
を530℃にすれば良く、これらの条件で鋼帯をめっき
し、引き続き合金化することを本発明としたのである。
【0025】次に、本発明では、対象とする鋼帯の組成
についても検討し、前記したように、C:0.001〜
0.0040質量%、Si:0.005〜0.03質量
%、Mn:0.10〜0.4質量%、P:0.008〜
0・05質量%を含有しているのが好ましいことを見出
した。
【0026】このような組成とした理由は、以下の通り
である。Cは、固溶Cとして鋼中に存在すると、鋼板の
成形(加工)性を阻害するので、低いことが好ましく、
0.004質量%以下とすることが好ましい。また、あ
まり低いと、精錬費が高くなるので、0.0010質量
%以上であることが好ましい。Siは、鋼板を強化する
元素であるが、鋼板の焼鈍時に表面に濃化し易く、不め
っきやさざなみ等のめっき欠陥の原因になったり、合金
化を遅らせるので、その含有量は0.03質量%以下と
するのが好ましい。また、摺動性の観点では、クレータ
の形成を低減する効果があるので、0.005質量%以
上含有されることが好ましい。Mnも、Siと同様に鋼
板の強化元素であるが、多すぎると不めっきやさざなみ
等のめっき欠陥の原因になるので、含有量は0.40質
量%以下であることが好ましい。また、摺動性の観点よ
り、0.10質量%以上含有されることが好ましい。P
も、SiやMnと同様に、めっき欠陥や合金化遅れの原
因になるため、含有量は0.050質量%以下であるこ
とが好ましい。また、適度な粒界へのP偏析で表面のク
レータ形成が抑制されるので、0.008質量%以上含
有されることが好ましい。
【0027】なお、本発明を実施するに際しては、合金
化炉内の保持帯で鋼帯を加熱する時間が重要である。そ
こで、発明者は、この保持帯での加熱について検討し、
保持帯の温度を490〜530℃とし、そこに7〜15
秒程度滞在させのが良いことを見出した。その場合、合
金化めっき層中のFe含有率は、8〜14質量%とな
る。好ましくは、9〜13質量%である。
【0028】
【実施例】表1に示す5種類の組成を有する鋼鋳片を熱
間圧延した後、冷間圧延して、板厚0.8mmの鋼帯と
した。そして、該鋼帯コイルを合金化溶融亜鉛めっき装
置(ライン)に送り、本発明に係る条件及び外れる条件
で、該鋼帯にめっきと引き続いての合金化を行った。そ
れらの条件及び実施成績を、表2〜表4に一括して示
す。
【0029】
【表1】
【0030】
【表2】
【0031】
【表3】
【0032】
【表4】
【0033】これらの表より、本発明に係る製造方法に
よれば、外観が良いばかりでなく、摺動性及び耐パウダ
リング性に優れた合金化溶融亜鉛めっき鋼板が製造でき
ることが明らかである。
【0034】
【発明の効果】以上述べたように、本発明により、外観
ばかりでなく、プレス加工時における摺動性及び耐パウ
ダリング性が共に良好な合金化溶融亜鉛めっき鋼板が製
造できるようになる。
【図面の簡単な説明】
【図1】合金化溶融亜鉛めっき鋼板を電子顕微鏡で観察
して得たSEM像を示す写真であり、(a)は試料を真
上から観察し、柱状晶を見出した場合、(b)は真上か
ら観察し、柱状晶が見出されない場合、(c)は傾けて
観察し、柱状晶を見出した場合、(d)は傾けて観察
し、柱状晶を見出されない場合である。
【図2】合金化溶融亜鉛めっき鋼板を電子顕微鏡で観察
して得た別のSEM像を示す写真であり、(a)は試料
の表面にクレータを見出した場合、(b)はクレータを
見出されない場合である。
【図3】図2に示した試料の表面粗さを表面粗さ計で測
定した結果を示す図であり、(a)はクレータのある場
合、(b)はクレータのない場合である。
【図4】合金化溶融亜鉛めっき鋼板表面の柱状晶やクレ
ータの存在に及ぼす合金化温度及び昇温速度の影響を示
す図であり、(a)はめっき浴中Al濃度が0.135
質量%で、浴温440℃の場合、(b)はめっき浴中A
l濃度が0.135質量%で、浴温450〜470℃の
場合、(c)ははめっき浴中Al濃度が0.125〜1
45質量%で、浴温460℃の場合である。
【図5】合金化温度のめっき層中のΓ相量に及ぼす影響
を示す図である。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き Fターム(参考) 4K027 AA02 AA05 AA23 AB02 AB05 AB07 AB28 AB35 AB36 AB37 AB38 AC73 AE02 AE03 AE12 AE22

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 合金化炉を備えた溶融亜鉛めっき装置
    に、鋼帯を連続的に供給して溶融亜鉛めっき鋼板を製造
    するに際し、 Znめっき浴のAl濃度が0.125〜0.145質量
    %、浴温が450〜480℃、Znめっき浴に進入する
    時の鋼帯温度を450℃以上、且つ浴温の±10℃内の
    めっき条件で前記鋼帯にめっきを施し、めっき後の合金
    化では、鋼帯の昇温速度を20℃/sec以上、合金化
    温度を490〜530℃とすると共に、合金化温度と昇
    温速度との間に成立する下記式の関係を満足させて操業
    することを特徴とする合金化溶融亜鉛めっき鋼板の製造
    方法。 (1.5R+T)×(1−1.3×|Al−0.13
    5|)/(1+(T−440)/2000)≧535 R:合金化時の鋼帯の昇温速度(℃/sec) T:合金化温度(℃) T:浴温(℃) Al:めっき浴のAl濃度(質量%)
  2. 【請求項2】 前記鋼帯が、C:0.001〜0.00
    40質量%、Si:0.005〜0.03質量%、M
    n:0.10〜0.4質量%、P:0.008〜0・0
    5質量%を含有することを特徴とする請求項1記載の合
    金化溶融亜鉛めっき鋼板の製造方法。
JP2001264934A 2001-07-31 2001-07-31 合金化溶融亜鉛めっき鋼板の製造方法 Withdrawn JP2003041356A (ja)

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