JP2003039385A - 野菜の斜め切断装置 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 （修正有） 【課題】 白髪葱に代る葱の斜め薄切りができ、材料供
給口を取換えることにより、ゴボウ、ニンジン等の、薄
切りができる野菜の斜め切断装置を提供する。 【解決手段】 上端部の支点軸８を中心に、一定の往復
揺動運動を行うように成した揺動杆１４の下端部に回転
する円盤形刃物１９と、この刃物の外径に接近させて、
切断厚さを規定する定寸板２０を刃物の一側方に突出さ
せて揺動杆に係止し、刃物の前面には材料投入口を設け
るように成してあり、また定寸板は刃物の回転面より後
退できるように微調節可能となし、材料投入口は直径の
異なる長目の野菜の切断、及び傾斜角度の異なる切断を
行う場合等とに容易に交換可能となるような野菜の斜め
切断装置とする。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【発明の属する技術分野】本発明は外食産業の中でも特
に麺類関係の食材として需要の多い、ネギを主体として
斜めに薄く切断すること、及びそれ以外に、材料供給口
の部材を変更することによって、ゴボウやニンジン及び
キウリ等の斜め切断も行なえる、野菜の斜め切断装置に
関するものである。

【０００２】

【従来の技術】従来から麺類の食材に不可欠なネギの切
り方は、軸方向に略々直角状の小口切りか、又は僅かの
斜め切りであって、１〜５ｍｍの厚さに切断されている
ものを使用しており、こうしたネギの小口切りの機械
は、簡易で安価なものから能力の高いものまで、数多く
の機種が出回っているものである。しかしながらネギを
１５°程度の極端に斜めに長く切断する機械装置は未だ
見聞していない。

【０００３】ネギの小口切り機器として一般化している
ものの概略構造は、ネギを供給する筒状の供給口を水平
に配設し、この供給口の奥に固定する突き当板を設け、
この突き当板と供給口との間に、放射形状の回転刃物の
刃部を臨ませたものであって、手回し又はモーターによ
って刃物を回転し、供給口にネギを手で押し込むことに
よって、２〜５ｍｍ厚さに輪切り状に切断するように成
しているものである。

【０００４】

【発明が解決しょうとする課題】味にこだわる時代にな
り、ラーメンの具に使用するネギの切断形状も、白髪葱
と称している、５〜６ｃｍ程度の長さに切断したものを
縦に開いて、更に縦方向に細く切断する工程を経て作ら
れる具であって、この白髪葱を機械によって加工するに
は未だ不満足のものであって、見た目も奇麗で体裁良く
加工しょうとすれば、手に頼る作業とならざるを得ない
ものとなる。

【０００５】即ち、公知の白髪葱に切断する装置は、多
くの円盤状の回転刃物をソロバン玉状に並列に配設し、
この刃物軸に対して直交するように縦に配した、材料の
ネギを送り込む方式のものである。この方式では、刃物
円盤同士の取り付け可能な最小間隔によって、切断され
るネギの幅が定まってしまい、２〜３ｍｍ以下の幅に薄
く切ることは不可能であり、無理に刃物間隔を狭くすれ
ば、切断物が円盤間に詰まって、再使用時を考慮しての
掃除が非常に厄介なものとなる。

【０００６】また刃物は外周が鋭利に尖った刃であり、
内方は１ｍｍ程度の厚さの円盤であるから、材料のネギ
は極めて薄い刃先で割られた後、狭い円盤間を通過しな
ければならないから、左右の円盤によって押し潰され、
切り口のキレが欠けて歯触りが良くないばかりか、圧縮
されることによって組織が破壊され、鮮度を失い食味が
減退して、切断後の保存寿命が短くなるという欠点があ
る。

【０００７】白髪葱は繊維方向に切断したものであるか
ら繊維組織が長くなって、ネギの品種や成長度合とか収
穫時期によっては堅くて歯によって噛み切れにくい、食
味の悪いものが市場に出回る季節がある。このようなネ
ギを、従来からの切断装置によって切断処理したもの
を、具に使用した場合は、食感を損ねるものとなってし
まい、暖簾の信用を失墜させかねない問題となるので、
こうしたネギの入荷時期には、包丁による手作業で切り
方を加減する必要があった。

【０００８】

【課題を解決するための手段】上端部の支点軸を中心
に、一定の往復揺動運動を行うように成した揺動杆の下
端部に回転する円盤形刃物と、この刃物の外径に接近さ
せて、切断厚さを規定する定寸板を、刃物の一側方に突
出させて揺動杆に係止し、刃物の前面には材料投入口を
設けるように成したことを特徴とする野菜の斜め切断装
置とした。更に、定寸板は刃物の回転面より後退できる
ように微調節可能と成し、材料投入口は直径の異なる長
目の野菜の切断、及び傾斜角度の異なる切断を行う場合
等とに容易に交換可能と成した野菜の斜め切断装置を要
旨としている。

【０００９】即ち、本発明の斜め切断装置は、従来では
成し得なかった、１５度と云う鋭角の角度で、一往復一
枚の切断として、しかも１ｍｍ以内の厚さになるよう
に、極めて薄く切断できるように成したものであるか
ら、切断されたネギの切り口の角が潰れること無く刻み
込まれたものとなるから、歯触りの良い食味を提供する
ものとなる。

【００１０】また直径２５ｍｍ程度のネギを本切断装置
に供給すれば、斜めに切断されたものの長さが９５ｍｍ
程度となり、従来から使用されている白髪葱の長さに遜
色ないものとなるばかりか、ネギの繊維方向に対して斜
めに切断される関係から、例えば１ｍｍの厚さに刻んだ
とした場合でも、繊維の長さは５ｍｍ以下の短いものと
なるから、しなやかな繊維を無理に噛み切る必要も無
く、歯の隙間に引っ掛かって、気分を疎外するような欠
点も無くなる。

【００１１】本切断装置は一枚の刃物で一個毎切断する
構成のものであり、また刃物と定寸板の受け部との相対
位置関係が、切断時においても変化しないような構造と
成っているものであるから、切断物が刃物と定寸板間に
詰まることが皆無となると同時に、作業後の清掃も容易
に済ますことが可能となる。

【００１２】

【発明の実施の形態】本発明の一実施例を示す図面を参
照して説明する、図１は本発明に係わる装置を具備する
野菜の斜め切断装置の内部を明示するために、フレーム
間と揺動杆を縦断面して示す正面図、図２は外観の一部
分を切除して示す右側面図、図３は本発明を明示するた
めの平断面図、図４は本発明を明示するための左側断面
図、図５はモーターよりの駆動機構部分のみを示す正面
図、図６は本発明の要件である揺動運動機構を明示した
一実施例の平面図、図７は図４より材料投入口部を削除
して示す右側断面図、図８は切断部の揺動運動機構部を
示す正面図、図９は定寸板部の摺動を明示した平面図、
図１０は材料投入口部分の斜視図である。

【００１３】図３、図４及び図６より、後方フレーム板
１の裏面に止着したモーター３の駆動軸４を、後方フレ
ーム板１より前方に突出し、この駆動軸４には大プーリ
ー５と小プーリー６を設ける。デスタンスロッド７、７
…を介して後方フレーム板１と連結されている前方フレ
ーム板２との間には、上方の支点軸８に固着する支点部
プーリー１０と、下方のカム軸９に固着するカム用プー
リー１１を夫々配置し、図５より、駆動軸４の大プーリ
ー５と支点部プーリー１０とにはベルト１２を、また小
プーリー６とカム用プーリー１１とにはベルト１３を夫
々掛け渡している。従って支点軸８はカム軸９より高速
度で回転しているものと成っている。

【００１４】前後のフレーム板２、１に設けた軸受けに
嵌入して支持されている、支点軸８とカム軸９は夫々前
方フレーム２より前方に突出し、支点軸８の突出部分
は、角パイプ状の揺動杆１４の上端部の前後の壁に対向
して設けた軸受けに挿通してあり、該軸８の揺動杆１４
の内部には、中間プーリー１５を固着する。揺動杆１４
の下端部に嵌装した刃物軸１６の揺動杆１４の内部に
は、刃物駆動プーリー１７を固着し、該プーリー１７と
前記中間プーリー１５との間にベルト１８を掛け渡して
ある。揺動杆１４より前方に突出する刃物軸１６の先端
に円盤形の刃物１９を止着する。この刃物１９の外周に
近似する形状の円弧を内側方に有し、外側方は扇状に広
げた形状を有するように成した定寸板２０を、揺動杆１
４の刃物軸１６を嵌装した付近の側面壁に、支持腕２１
を介して前後に摺動の位置を調節可能として止着するよ
うに成してある。

【００１５】一方、カム軸９の先端には円盤状のカム板
２２を固着し、このカム板２２の外周付近にローラー２
３を設け、このローラー２３を前記揺動杆１４の中腹部
の裏面側の壁に設けた、上下に長いカム溝２４に嵌入さ
せてある。従ってカム板２２を回転させることによっ
て、ローラー２３もカム板２２の外周に沿うかたちで公
転するものであるから、このローラー２３の嵌入してい
るカム溝２４を構成した揺動杆１４は、支点軸８を中心
として往復揺動運動を行わなければならない訳である。

【００１６】また前記刃物１９の直前の刃物１９に近接
させて、材料投入口２５を斜設する。材料投入口２５は
筒状となし、ネギのように細いものは通常２個を並列状
に、取付板２６に直立に近い状態に斜設してあり、材料
の加工目的に対応し、その種類や太さに応じて、投入口
２５の個数や斜設角度の異なるものと交換可能と成して
ある。

【００１７】材料投入口２５の着脱構造の一例としては
図１０に示す如く、材料投入口２５の筒体を斜設した取
付板２６の両側部を夫々９０度づつ２度屈曲させた段部
となした耳片２８、２８を設け、この耳片を図２に示す
機体前面の外壁２９に設けた窓枠（図示しない）の両側
の溝に上からスライドさせて押し込み、屈曲上縁２７を
外壁２９の段部に当接させてセットするように成しても
よい。セットが完了した場合は図３、図４から明らかな
ように、揺動杆１４が垂直状態の時点で、材料投入口２
５の出口を刃物１９の円盤で塞いでいる状態になってい
る。

【００１８】以上のように構成した野菜の斜め切断装置
の作用を説明する、スイッチによりモーター３を起動す
ると、モーターの駆動軸４に固着した大プーリー５と小
プーリー６が回転し、大プーリー５はベルト１２を介し
て支点軸８を回転し、小プーリー６はベルト１３を介し
てカム軸９を回転する。図４より支点軸８の先端部の揺
動杆１４内には中間プーリー１５を固着し、このプーリ
ー１５と、揺動杆１４の下端部内の刃物駆動プーリー１
７に掛け渡したベルト１８によって、刃物軸１６を回転
させる。従って刃物軸１６の先端に止着した刃物１９に
は、大プーリ５より小径の支点部プーリー１０に伝達さ
れることによって高速回転が付与されるものである。

【００１９】一方、図６よりカム軸９の先端に固着する
カム板２２の外周側に軸止したローラー２３は、揺動杆
１４の裏面部に設けたカム溝２４に嵌入しているから、
カム板２２が一回転すればローラー２３も一回公転す
る。図８参照このローラーの公転を水平方向と垂直方向
に投影して見た場合の移動量は、カム軸９の中心とロー
ラー２３軸中心迄の距離である偏心量の倍の長さを、ロ
ーラーの中心が水平方向と垂直方向に夫々往復運動を行
っているものである。従ってカム板２２を回転させるこ
とによって、ローラー２３はカム溝２４内を上下に往復
運動を行いながら、カム溝２４を左右に引いたり押した
りする作用を、カム板２２の半回転毎に交互に行ってい
るから、揺動杆１４は支点軸８を中心として往復揺動運
動を行うものである。

【００２０】刃物１９に隣接して設けた定寸板２０の表
面は、刃物１９の刃先面より極僅か後退した状態に配置
し、ネギの斜め切断の際は１ｍｍ程度に設定される。ま
た厚切りを行う際は、図９に示すノブ３０を回すことに
よって、定寸板２０を支持している支持腕２１を後退さ
せるように成してあるから、刃物１９の切断面と定寸板
２０の表面との間隔を最大２０ｍｍ程度迄広げることが
可能となっている。従って切断する野菜の厚さを１ｍｍ
から２０ｍｍ程度迄容易に変更できるものである。

【００２１】材料投入口２５に投入された野菜例えばネ
ギは、この投入口２５の傾斜を滑り下り、図８の仮想線
で示すように、刃物１９が材料投入口２５より離れた時
に、ネギは定寸板２０に突き当たり滑降下を停止した状
態で保持されている。揺動杆１４が上死点の位置から戻
りの回動運動を行っている途中において、回転する刃物
１９がネギに触れ、尚も揺動杆１４が戻り運動を継続し
ているから、ネギは刃物１９によって切断される。揺動
杆１４が下死点に達すると、再び刃物１９が上昇するよ
うに揺動杆１４は旋回し、前記したように刃物１９は材
料投入口２５より離れると、ネギは滑り下り又も定寸板
２０に突き当たる。以下この段落に記載した作用を継続
して繰り返す。

【００２２】材料投入口２５に材料のネギの投入が続く
限り切断が行われ、切断されたネギは下方の容器３１に
累積するものである。本実施例の図面に示すような、傾
斜の急な形態の材料投入口を用いて材料を供給する場合
は、自然落下方式の搬送となるものである、従って供給
材料の形は直線状のものが望ましく、強い曲がりや岐部
の箇所が付随しないように、適宜に該部を取り除いた材
料を用いることによって、材料の搬送供給がスムースに
行われるものとなる。

【００２３】

【発明の効果】以上、詳細に説明したところから明らか
なように、本発明の野菜の斜め切断装置は、主にネギを
１５度と云う鋭利な角度で、１ｍｍ程度の厚さに極めて
薄く長い形態に、材料投入の続く限り一枚づつ切断する
ことができるように成したものであるから、従来から麺
類関係の食財として珍重されている、白髪葱に取って代
わる優れた食材としてのネギの登場となる筈である。即
ち、本発明装置によってネギは鋭利な角度で薄く切断さ
れているために、繊維の長さが短くなり、しなやかな繊
維を無理に噛み切る必要の無いものとなる、また一枚々
々の切断方式であるから、従来の並列刃物による切断に
よって生じている欠点である、刃物同士による切断時の
押し潰しによる食味の減退と、切断後の保存寿命の逸失
による食味の減退ばかりか、刃物間に切断物が詰まる等
の欠点は、本発明によれば記述した従来の問題点は良好
に解決できる。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明に係わる野菜の斜め切断装置の内部を明
示するために、フレーム間と揺動杆を縦断面して示す正
面図である。

【図２】本発明の外観の一部分を切除して示す右側面図
である。

【図３】本発明を明示するための平断面図である。

【図４】本発明を明示するための左側断面図である。

【図５】本発明のモーターよりの駆動機構部分のみを示
す正断面図である。

【図６】本発明の要件である揺動運動機構を明示した一
実施例の平面図である。

【図７】前記図４より材料投入口部を削除して示す右側
断面図である。

【図８】本発明の揺動運動機構部を示す正面図である。

【図９】本発明の定寸板の摺動状態を明示した平面図で
ある。

【図１０】本発明の材料投入口部分を明示した一実施例
の斜視図である。

【符号の説明】

１…後方フレーム板、 ２…前方フレーム板、
３…モーター、４…モーター３の駆動軸、 ５…大プー
リー、 ６…小プーリー、７…デスタンスロッ
ド、 ８…支点軸、 ９…カム軸、１０…
支点部プーリー、 １１…カム用プーリー、 １２…
ベルト、１３…ベルト、 １４…揺動杆、
１５…中間プーリー、１６…刃物軸、
１７…刃物駆動プーリー、１８…ベルト、１９…刃
物、 ２０…定寸板、 ２１…支
持腕、２２…カム板、 ２３…ローラー、
２４…カム溝、２５…材料投入口、 ２６
…取付板、 ２７…屈曲上縁、２８…耳片、
２９…外壁、 ３０…ノブ、３
１…容器。

Claims (2)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 上端部の支点軸を中心に、一定の往復揺
   動運動を行うように成した揺動杆の下端部に回転する円
   盤形刃物と、この刃物の外径に接近させて、切断厚さを
   規定する定寸板を刃物の一側方に突出させて揺動杆に係
   止し、刃物の前面には材料投入口を設けるように成した
   ことを特徴とする野菜の斜め切断装置。
2. 【請求項２】 定寸板は刃物の回転面より後退できるよ
   うに微調節可能と成し、材料投入口は直径の異なる長目
   の野菜の切断、及び傾斜角度の異なる切断を行う場合等
   とに交換可能と成した請求項１記載の野菜の斜め切断装
   置。