JP2003036577A - 情報記録媒体 - Google Patents

情報記録媒体

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JP2003036577A
JP2003036577A JP2001224409A JP2001224409A JP2003036577A JP 2003036577 A JP2003036577 A JP 2003036577A JP 2001224409 A JP2001224409 A JP 2001224409A JP 2001224409 A JP2001224409 A JP 2001224409A JP 2003036577 A JP2003036577 A JP 2003036577A
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magnetic film
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Kazuoki Motomiya
一興 本宮
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 ミリングによりトラック分断を行う磁壁移動
光磁気記録媒体において、記録膜を形成する磁性膜から
の浮遊磁界の影響を低減し、各磁性膜の組成マージンを
広くする。 【解決手段】 基板1上に下地層121、記録膜122
となる磁性膜を積層した後、イオンミリングを行って溝
側壁の傾斜部15の磁性層を除去する。その後、室温で
面内磁化膜である所定の磁性膜124を積層し、さらに
保護膜123を生成し、必要に応じてその上に放熱層を
形成する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、基板上に記録膜を
形成してなる情報記録媒体に関する。
【0002】
【従来の技術】基板上に記録膜を形成してなる情報記録
媒体として、種々の光記録媒体や磁気記録媒体が知られ
ている。光で検出可能な光学的状態の変化に対応させて
情報を記録する光記録媒体は高密度化が可能であり、光
ディスクや光カードとして実用化されている。光記録媒
体上に形成される光学的状態の変化としては、凹凸のビ
ット、反射膜の有無や変形、屈折率の変化、磁化反転等
がある。このうち、磁化反転は、光学的状態の変化が反
射光の偏光状態の変化として検出され、その他の形態で
は、反射光量の変化として検出される。
【0003】また、このような光検出方式の場合、記録
や再生時に光を所定の場所に導くためにトラッキングと
フォーカスという機構が採用されている。その仕組みを
構成する要素として通常媒体上に案内溝と呼ばれる溝が
形成されている。この溝は記録の行われるランドの間に
設けられており通常記録には使われない。しかし、近年
高密度化の要求に対応するために特開平6−34907
3号公報に開示されているように、この溝(グルーブと
呼ぶ)にも記録をすること(ランド/グルーブ記録方式
と呼ぶ)が提案されている。この場合、グルーブの底面
はランド表面および基板表面に対して平行な平面であ
る。ここで溝とは情報トラックが形成されている側から
見て凹となっている部分をいう。さらに高密度化を図る
ためにトラックピッチを小さくして狭トラックを図るこ
とが考えられるが、その際隣接するトラックのデータを
破壊しないための工夫として特開平9−161321号
公報に開示されているようにランド部と溝部との段差す
なわち溝深さを深くすることが提案されている。
【0004】このような光学的状態の変化をレーザービ
ームの照射加熱により生起させる記録モードにおいて
は、形成される状態変化領域(記録マーク)の大きさや
形状は、局所的な加熱によって記録膜上に誘起される温
度分布によって決まる。記録膜上に誘起される温度分布
は膜面方向の熱拡散の影響を受けるため、レーザービー
ムからの単位時間当たりの入射熱量を一定にして定線速
で加熱領域を移動させた場合でも、移動距離や直前に加
熱した領域からの距離の違いによって、形成される温度
分布は複雑な変化の仕方をする。
【0005】このため、単純に情報に対応させた加熱操
作を行うと、情報パターンによって形成されるマークの
幅が変動してしまう。このようなマーク列を光ビームの
走査によって時系列的に読み出すと、マーク検出のタイ
ミングジッターが増大するため、元の情報を正しく再生
できない危険性がある。この問題を回避するため、単位
時間当たりの入射熱量や、加熱時間等を情報パターンに
応じて調整する記録補償方式が種々提案されているが、
この場合記録手段が複雑化するという問題がある。
【0006】また、高密度化のために情報トラック間の
間隔を狭めた基板上に、従来知られているマグネトロン
スパッタ法を用いて記録膜を成膜して記録媒体を作製す
ると、図3に示すように基板31の膜面方向には概ね一
様な厚さの記録膜32が形成されるため、そのランド3
3のトラック上でレーザービームの照射加熱によって記
録もしくは消去を行ったときに隣接するランド33のト
ラックへの膜面を通しての熱拡散によって、隣接するト
ラック上に保存されていた情報ビットを破壊してしまう
という、クロスライトもしくはクロスイレーズの問題が
生じる。また、情報トラックの両側のサーボ用の案内溝
をも情報トラックとして使用する方式(ランド/グルー
ブ記録方式)を適用した場合は、図4に示すように溝幅
が狭く、溝深さが深くなるほど溝底部への膜の付着量が
少なくなり案内溝にランドと同等な特性を有する記録膜
を形成できないため正常な動作が困難となることがある
という問題があった。この理由は、基板41に入射する
原子の方向がランダムであることにより、溝へ到達する
前にランド43部分に付着して溝底部に付着する原子や
分子の数が減少するためにランド43上と同じ特性およ
び膜厚が得られないためである。
【0007】さらに特開平6−290496号公報にお
いて、記録膜として基板の反対側から順次第1の磁性
層、第2の磁性層、および第3の磁性層が積層されてお
り、第1の磁性層は、第3の磁性層に比べて相対的に磁
壁抗磁力が小さく、第2の磁性層は第1の磁性層および
第3の磁性層よりもキュリー温度の低い光磁気記録媒
体、およびこの光磁気記録媒体を用いて記録マークの境
界部に存在する第1の磁性層の磁壁を温度勾配によって
移動させて、この磁壁移動に伴う磁化反転を、反射光の
偏光状態の変化として検出する高密度記録再生方法が提
案されている。この方法においては、記録マークの前方
境界部の磁壁と後方境界部の磁壁とが分離独立して形成
されていることが、磁壁の移動を安定化させ再生特性を
向上させる上で望ましい。
【0008】しかし、従来の基板上に記録膜を成膜して
この記録媒体を作製すると、図3に示すように膜面方向
には概ね一様な記録膜が形成されるため、前後の磁壁が
完全に分離しているような記録マークを形成することは
困難であった。このように膜面方向に一様な記録膜が形
成される理由は、蒸発源から飛び出した分子や原子が、
基板に到達するまでにお互いに衝突したり、蒸発させる
際に使用する不活性ガス原子と衝突するために、飛行す
る方向がランダムになり、色々な角度で基板に入射する
ためである。このため、記録膜の成膜後にトラックの両
側を高出力のレーザビームでアニールするなどしてトラ
ック側部の磁性膜を変質もしくは磁性を消失させる処理
を行い、この処理部に跨るように記録マークを形成する
ことにより前後の磁壁を分離させるようにしていた。し
かし、この方法では案内溝もアニールすることになるた
めに、情報トラックの両側にあるサーボ用の案内溝をも
情報トラックとして使用する方式(ランド/グルーブ記
録方式)への適用が、困難であるという問題があった。
そこで、本発明者は特開平10−275369号公報に
おいて、指向性を高めた成膜方法により溝傾斜部に実質
的に記録膜が形成されず、上記溝およびランド部の特性
が同じになるような方法を提案している。また、エッチ
ングにより傾斜部の膜を除去する方法を提案している。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】しかし、上記の特開平
10−275369号公報の指向性を高めた成膜方法
は、成膜速度が遅くなるという問題がある。それに対し
て、従来のマグネトロンスパッタ法とエッチングを利用
した方法は成膜速度では問題がない。
【0010】上記のエッチングにより傾斜部の膜を除去
する方法の一つとして、出願番号、特願平11−347
547号公報に開示されているように、記録膜を形成し
た後、ランド部と溝部の膜がミリングにより除去されな
いためにマスク層を形成し、その後、Arイオンによる
イオンミリングを行い、実質的に溝傾斜部の記録膜を除
去するという方法がある。その後、所定の保護層、放熱
層あるいは反射層を形成し図5に示すような所望の情報
記録媒体を作成していた。しかし、ランド/グルーブ記
録のように高密度化した情報記録媒体の記録において
は、記録するトラック同士が非常に近くなるため、隣接
トラックからの浮遊磁界により記録する磁区、特に移動
する磁壁が影響を受けて、エッジの位置が不安定にな
り、ジッターが悪くなったり、エッジシフトが起こると
いう問題があった。また、磁壁を移動しやすくするため
に、膜の組成としてこの浮遊磁界が小さくなるような補
償組成付近を選択する必要があった。この補償組成は極
めて狭い範囲であり、組成を調整してもスパッタの経時
変化により特性が変化してしまうという問題があった。
【0011】本発明は上記の諸問題に鑑みてなされたも
のであり、単純な記録方式でヒートモードによる記録を
行っても、形成されるマーク列の幅が情報パターンによ
らず一定となり、再生エラーレートを低減させることが
可能な情報記録媒体を提供することを目的としている。
【0012】また、情報トラック間の間隔を狭めても、
クロスライトやクロスイレーズを生じにくい情報記録媒
体の提供することを別の目的としている。
【0013】さらに、特開平6−290496号公報等
に提案されている超高密度記録再生方法において、媒体
の製造工程を複雑化することなく再生特性を向上させる
こと、および、ランド(Land)/グルーブ(Gro
ove)記録方式の適用を可能にしてトラック密度を向
上させることを別の目的としている。
【0014】
【課題を解決するための手段】上記の目的は下記に示す
本発明の情報記録媒体によって達成される。即ち、本発
明の情報記録媒体は、情報トラックとなる領域、および
その領域の両側にあってその領域面に対して非平行な面
を有する傾斜部を有する基板上に、少なくとも1層の記
録膜を含む複数の層が設けられた情報記録媒体におい
て、その傾斜部に存在する記録膜を含む上側の層をイオ
ンミリング法により除去した後、室温において面内磁化
となっている磁性膜が情報トラックとなる領域、および
傾斜部に形成されていることを特徴とする。
【0015】傾斜部に存在する記録膜が除去されている
ので、前後の磁壁が完全に分離され単純な記録方式でヒ
ートモードによる記録を行っても、形成されるマーク列
の幅が情報パターンによらず一定となり、再生エラーレ
ートが低減する。
【0016】また、傾斜部に存在する記録膜が除去され
ているので、傾斜部での記録膜中での熱伝導が著しく抑
制されるので隣接するトラックが昇温しにくく、情報ト
ラック間の間隔を狭めても、クロスライトやクロスイレ
ーズを生じにくい。
【0017】さらに、室温において面内磁化となってい
る磁性膜が記録膜の上に形成されているので、隣接トラ
ックからの浮遊磁界がこの磁性膜を通るため、浮遊磁界
の影響が殆どなくなり所望の特性が得られる記録膜を構
成する磁性膜の組成範囲を広くすることができ、製造工
程を複雑化することなく再生特性を向上させ、ランド/
グルーブ記録方式の適用が可能となるのでトラック密度
が向上する。
【0018】
【発明の実施の形態】以下、本発明を適用した具体的な
実施の形態を図面に基づいて説明する。図1は本発明の
情報記録媒体の模式的部分断面図であり、2つのトラッ
クとそのトラックに挟まれたグルーブとを示している。
【0019】本発明の情報記録媒体は所定の傾斜角と深
さで溝が形成された基板11上に下地層121が形成さ
れている。下地層121の上には所定の構成の記録膜1
22が形成されているが、本発明の特徴であるイオンミ
リングによって溝傾斜部の記録膜122が除去されてい
る。記録膜122の上には全面に本発明の特徴である室
温で面内磁化となっている磁性膜124が形成され、磁
性膜124の上に保護・放熱膜123が形成されてい
る。
【0020】基板上に下地層、記録膜、保護・放熱膜を
形成する技術は公知の従来技術であり説明を省略し、本
発明の特徴であるイオンミリングにる溝傾斜部の記録膜
122の除去と室温で面内磁化となっている磁性膜12
4を中心に説明する。
【0021】イオンミリング装置による溝傾斜部の記録
膜122の除去に関する説明の前に、ミリングにより溝
傾斜部の記録膜を除去する原理と工程について説明す
る。
【0022】イオンミリングのミリングレート(膜除去
率)は、Ph.D.Brain N.Chapman著
「プラズマプロセッシングの基礎」P.228、図6
・53に示されるようにイオンの入射角度により異なっ
ている。ミリングレートは、入射角度が50〜70°で
最大となる。
【0023】出願番号、特願平11−347547号公
報に開示されているように、イオンは基板のランドおよ
び溝の情報トラック面に対して垂直に入射させる。この
時、溝傾斜部に対しては、上記のミリングレートが大き
くなる角度でイオンが入射する。この入射角度は、基板
11の溝傾斜部の角度、およびその上に形成された膜の
膜厚および付き方により決まる。基板11の溝傾斜部の
角度は、スタンパーと呼ばれている基板原盤作成の容易
さ、成形基板作成の容易さを考慮して決められるが、6
0°〜70°の角度が上記の効果が得られやすい。ま
た、高密度化の観点からは70°に近い角度の方が望ま
しい。基板の溝傾斜角が80°〜90°の場合には、マ
グネトロンスパッタ法により所定の膜を形成した場合
に、溝傾斜部膜表面の角度が90°となりミリングされ
ない個所が生じ、完全に溝傾斜部の記録膜122が除去
できず、結果として所望の情報記録媒体の特性が得られ
ない。
【0024】基板のミリングによりランド部および溝の
情報トラック面の記録膜122が除去されないようにす
るために、ミリングする記録膜122の上にマスク層と
して記録膜122の材料よりミリングレートが非常に遅
い材料を予め形成しておく。
【0025】マスク層の材料として好ましいのは、炭素
であるが、炭素以外の材料を選択しても構わない。形成
するマスク層の膜厚は、除去する層の膜厚、材料、傾斜
部の角度等を考慮して決められる。
【0026】ミリングレートのイオン入射角度依存性に
より、ミリングにより溝傾斜部のマスク層が除去されて
も、ランド部および溝トラック面のマスク層は残ってい
る。さらに継続してミリングを行うと、溝傾斜部の記録
膜等が除去されても、ミリングレートの材料による差に
よりランド部および溝トラック面の記録膜等は殆ど除去
されないで所望の厚さで残っている。
【0027】以上がミリング工程の内容であるが、ミリ
ングする際にイオンとしてArイオン、KrイオンやX
eイオン等の不活性イオンを用いることができる。
【0028】図2は、本発明の実施の形態で使用される
イオンミリング装置の模式的断面図である。使用するイ
オン種に対応したガスをガス導入部25からイオン化室
22に導入し、グリッド24にイオン引き出し用の負電
位を印加してイオンビーム27を基板21に向かって照
射する。グリッドは、一般にイオン引き出し用グリッド
24とイオンを閉じ込め用グリッド23の2枚から構成
されており、イオンが平行に照射されるように工夫され
ている。
【0029】照射するイオンのエネルギー、電流密度
は、基板21の温度上昇を考慮して選択される。エネル
ギーとしては、400〜1000eVが望ましい。基板
21はイオンが情報トラック面に垂直に入射するように
対向する位置に置かれるが、ミリングの均一性を考慮し
て回転させた方がよい。また、基板の温度上昇を抑える
ため、水冷された基板ホルダ(不図示)を使用すること
が望ましい。
【0030】このようにして、所定のミリングを行った
後、図1に示すように室温で面内磁化となっている磁性
膜124を形成する。この磁性膜124はミリングした
記録膜122に相接して形成してもよいし、熱的な観点
からSiN等の無機誘電体層を形成した後、その上にこ
の磁性膜124を形成してもよい。その後、所定の保護
層あるいは放熱層123を形成することにより所望の情
報記録媒体が得られる。
【0031】隣接するトラックからの浮遊磁界16が図
1に示すように室温で面内磁化となっている磁性膜12
4内を通るため、隣接トラックからの浮遊磁界の影響が
殆ど無くなる。そのため、所望の特性が得られる各磁性
層の組成範囲を従来より広くすることができる。
【0032】この得られた情報記録媒体は、溝傾斜部の
記録膜が除去されているため、両側の傾斜部にはみ出し
て情報トラックへの記録を行っても、傾斜部には実質的
に記録が行われない。従って、単純に情報に対応させた
加熱操作によって記録を行った場合であっても、情報の
パターンに関わらず、形成されるマークの幅を情報トラ
ック上に限定し、一定幅のマーク列にすることができ
る。また、記録・消去時の熱は主として記録膜中を伝導
して膜面方向に拡散していくが、本発明の製法による情
報記録媒体によれば、情報トラック間の傾斜部で記録膜
中の熱伝導が著しく抑制されるため、隣接トラックが昇
温しにくく、クロスライト/イレースが防止される。
【0033】さらに、本発明を特開平6−290496
号公報に提案されている記録媒体に適用した場合、傾斜
部の磁性膜は磁壁エネルギーを蓄積するような磁性を呈
さない膜にすることが可能であり、情報トラックとその
両側の傾斜部に跨る形で記録時の加熱領域を形成すれ
ば、磁区の側部に磁壁が存在せず前後の磁壁が実質的に
分離している磁区として記録マークを形成することがで
きる。
【0034】情報記録媒体の記録膜を構成する材料とし
ては、誘電体材料、アルミ等の金属材料、希土類−遷移
金属に代表される光磁気材料等公知の材料が使える。こ
れらの材料を用いた情報記録媒体の各層の形成方法は、
従来のマグネトロンスパッタ法や蒸着法、CVD法等の
公知の方法が使える。
【0035】室温で面内磁化を有する材料としては、G
dFe、GdFeCo、TbFe、TbFeCo、Pt
Co等の材料が組成を選択することにより使用可能であ
る。耐食性向上および磁気異方性およびキュリー温度等
を変えるために、Cr、Al、Nb等の元素を添加して
もよい。この室温で面内磁化となっている磁性膜は、ミ
リング後、垂直磁化膜に相接して形成してもよいし、熱
的観点からミリング後、SiN膜等の誘電体膜を形成し
た後、形成してもよい。また、記録時に磁界変調用磁気
ヘッドからの磁界を記録膜に印加するために、記録時の
温度においては磁化が消失することが望ましい。したが
って、キュリー温度としては記録膜のキュリー温度より
低い方がよい。
【0036】基板としては、PC等のプラスチック材料
やガラス、ガラスの上にフォトポリマーを形成したもの
が使える。溝幅や溝深さは再生時や記録時に使用するレ
ーザービームの波長、情報記録媒体の記憶容量、クロス
イレース/クロスライトのパワーマージン、クロストー
クのマージン、基板の製造マージン等を考慮して決めら
れる。
【0037】次に、本発明の情報記録媒体を用いた具体
的な実施例について説明する。 <実施例1>本発明の媒体を特開平6−290496号
公報に提案されている記録媒体に適用した例について説
明する。この場合、記録膜として少なくとも、第1、第
2、第3の磁性膜が上面から順次積層されている磁性多
層膜を用いる。第1の磁性膜は、周囲温度近傍の温度に
おいて、第3の磁性膜に比べて相対的に磁壁抗磁力が小
さい磁性膜からなり、第2の磁性膜は、第1および第3
の磁性膜よりもキュリー温度の低い磁性膜からなり、第
3の磁性膜は垂直磁化膜からなっている。第1の磁性膜
には第2の磁性膜側にキュリー温度が低下するように膜
厚方向にキュリー温度の勾配を付与してもよい。
【0038】グルーブのピッチを1.0μm、段差(深
さ)を0.16μmとし、グルーブ間のランド部とグル
ーブ部の底面部とにそれぞれ0.43μm幅の基板表面
に平行な平面を有するフラット部を設け、このランドと
グルーブとの間の傾斜部の基板表面に対する傾斜角度が
約70゜になるように成形した直径86mmの基板を、
マグネトロンスパッタ装置に装着した。装置内を到達真
空度:5.0×10-7Torr(6.65×10-5
a)以下に真空排気した後、シリコンターゲットを用い
て下地層であるSiN膜を基板を回転させながら、90
nm成膜した。引き続き真空を破らないでターゲットを
変えて各磁性膜の構成元素からなる合金ターゲットを用
いて磁性膜を成膜した。第1の磁性膜としてGdFeC
oCr層を30nm、第2の磁性膜としてTbFeCr
層を10nm、第3の磁性膜としてTbFeCoCr層
を80nm順次成膜した。
【0039】この後、マスク層として真空を破らないで
炭素ターゲットを用いて、炭素膜を50nm形成した。
【0040】上記の膜厚は、ランド部上の膜厚である。
各磁性膜の組成は、全て補償組成近傍になるようにCo
およびCrの量を調整し、キュリー温度は、第1の磁性
膜が210℃、第2の磁性膜が120℃、第3の磁性膜
が290℃程度となるように設定した。
【0041】このディスクを成膜チャンバーからイオン
ミリング装置に移し、真空に排気した。イオン引き出し
開口部の大きさは、Φ120mmである。その後、イオ
ン化室にArガスを導入し、イオンビーム電圧600
V、ビーム電流200mAで500secの間Arイオ
ンでミリングを行った。その後、同じチャンバー内で室
温で面内磁化となっている磁性膜で、且つキュリー温度
以上に補償温度を有するGdリッチのGdFeCo膜を
20nm形成した。この膜のキュリー温度は250℃で
ある。その後、保護膜としてSiNを50nm、放熱層
としてAlを30nm形成した。このディスクを成膜チ
ャンバーから取り出して膜面上にUV硬化樹脂保護コー
トを形成した。このようにして作成されたサンプルにお
いて、第1磁性膜の組成を最適組成からGd量を+/−
1atm%変えたサンプルを作成した。
【0042】このようにして作製した各サンプルをレー
ザー波長680nm、対物レンズNA0.55の光学ヘ
ッドを持つドライブ装置にセットし、線速1.5m/s
で回転させ、半径35mmの位置で記録特性の測定を行
った。摺動型磁気ヘッドにより磁界を5MHzで変調し
ながら、ランド上に記録用にDCレーザーを照射して、
マーク長0.15μmの繰り返しパターンを磁界変調記
録した。この信号を再生パワー2.5mWで再生し、ジ
ッターの記録パワー依存性を各サンプルについて比較し
た。ジッターの測定は、タイムインターバルアナライザ
ーを用いて行った。得られたアナログ信号波形をDCレ
ベルでスライスして2値化して、立ち上がりエッジのイ
ンターバルを測定した。そして、すべてのデータパター
ンに対する105 サンプルでの相対ジッター分布を導出
し、ジッターマージンの記録パワー依存性を各サンプル
について比較した。ここでは、通常の1ビーム光学系で
評価し、再生ビーム自身による加熱で、磁壁を移動させ
るための温度勾配を形成した。その結果、ジッターの値
は、最適組成からGd量を+/−1atm%変えたサン
プルにおいても最適組成と同等であった。従来の組成マ
ージンは+/−0.5atm%であった。上述の結果は
ランド上に記録し再生したものであるが、グルーブ上に
記録して再生した場合でも同様な結果であった。 <実施例2>実施例1において、室温で面内磁化となっ
ている磁性膜としてGdFeCo膜の代わりに同様な磁
気特性を有するTbリッチのTbFeCo膜を形成した
以外は、実施例1と同様な光磁気記録媒体を作成した。
これらのサンプルを実施例1と同様の評価システムで評
価した。その結果、ランドおよびグルーブともに第1磁
性層の組成マージンは+/−1atm%となり、改善さ
れていることがわかった。 <実施例3>実施例1において、室温で面内磁化となっ
ている磁性膜GdFeCo膜の代わりにPtCo膜10
nmをミリング後に直接形成し、その後、SiN膜を5
0nm、Al膜を30nm形成して本発明の光磁気記録
媒体を作成した。このサンプルを実施例1と同様の評価
システムで評価した。その結果、ランドおよびグルーブ
ともに第1磁性層の組成マージンは+/−1atm%と
なり、改善されていることがわかった。
【0043】
【発明の効果】以上詳細に説明したように、本発明の第
1の効果は、所望の特性が得られる組成マージンが実用
上問題の無いレベルで作成可能な情報記録媒体の提供が
可能となったことである。その結果、複雑なレーザー駆
動により記録補償を行うことなしに、望ましい記録マー
クが形成可能となり、良好な再生特性が得られる。
【0044】特に、マークエッジ記録を行った場合、検
出されるエッジ信号のジッターが抑制され、動作マージ
ンが拡大する。また、トラック間での動作時の熱的干渉
が抑制される。この結果として、高密度化が可能とな
り、また、媒体ならびに記録装置を低コスト化を図るこ
とができる。
【0045】別の効果は、単純な媒体製造方法により、
記録マークの前方境界部の磁壁と後方境界部の磁壁とを
分離独立して形成させることが可能となり、コストアッ
プすることなく、超高密度再生特性を向上させたことで
ある。またこれらの効果は本発明に例示した情報記録媒
体に限定されるものではない。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施の形態の情報記録媒体の模式的断
面図である。
【図2】本発明の実施の形態で用いられるイオンミリン
グ装置の模式図である。
【図3】従来のマグネトロンスパッタによる膜付着状態
を示す模式図である。
【図4】従来のマグネトロンスパッタによる深溝基板へ
の膜付着状態を示す模式図である。
【図5】従来の情報記録媒体の模式的断面図である。
【符号の説明】
11、21、31、41、51 基板 13、33、43、53 ランド 14、34、44、54 グルーブ 15、35、45、55 傾斜部 16、56 浮遊磁界 20 イオンミリング装置 22 イオン化室 23 閉じ込め用グリッド 24 イオン引出グリッド 25 ガス導入管 26 排風ポンプ 32、42、122、522 記録膜 121、521 下地層 123、523 保護・放熱膜 124 磁性膜
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) G11B 11/105 521 G11B 11/105 521E 546 546B

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 情報トラックとなる領域、および該領域
    の両側にあって該領域面に対して非平行な面を有する傾
    斜部を有する基板上に、少なくとも1層の記録膜を含む
    複数の層が設けられた情報記録媒体において、 該傾斜部に存在する前記記録膜を含む上側の層をイオン
    ミリング法により除去した後、室温において面内磁化と
    なっている磁性膜が前記情報トラックとなる領域、およ
    び前記傾斜部に形成されていることを特徴とする情報記
    録媒体。
  2. 【請求項2】 室温で面内磁化となっている前記磁性膜
    が、GdFeCo系、TbFeCo系、PtCo系の中
    から選択された材料から形成されていることを特徴とす
    る請求項1に記載の情報記録媒体。
  3. 【請求項3】 前記情報記録媒体における前記記録膜が
    少なくとも第1、第2の磁性膜からなり、該第1の磁性
    膜は、周囲温度近傍において該第2の磁性膜に比べて相
    対的に磁壁抗磁力が小さく磁壁移動度の大きな垂直磁化
    膜からなり、第2の磁性膜は垂直磁化膜であり、第1磁
    性膜および第2磁性膜は磁気的に結合していることを特
    徴とする請求項1に記載の情報記録媒体。
  4. 【請求項4】 前記情報記録媒体における前記記録膜が
    前記基板の反対側から順次積層されている少なくとも第
    1、第2、第3の磁性膜からなり、該第1の磁性膜は、
    周囲温度近傍において該第3の磁性膜に比べて相対的に
    磁壁抗磁力が小さく磁壁移動度の大きな垂直磁化膜から
    なり、該第2の磁性膜は、該第1の磁性膜及び第3の磁
    性膜よりもキューリ温度の低い磁性膜からなり、該第3
    の磁性膜は垂直磁化膜であり、第1磁性膜および第3磁
    性膜は磁気的に結合していることを特徴とする請求項1
    に記載の情報記録媒体。
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