JP2002042393A - 光磁気記録媒体の製造方法 - Google Patents

光磁気記録媒体の製造方法

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JP2002042393A
JP2002042393A JP2000227079A JP2000227079A JP2002042393A JP 2002042393 A JP2002042393 A JP 2002042393A JP 2000227079 A JP2000227079 A JP 2000227079A JP 2000227079 A JP2000227079 A JP 2000227079A JP 2002042393 A JP2002042393 A JP 2002042393A
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Kazuoki Motomiya
一興 本宮
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Abstract

(57)【要約】 【課題】レーザービームの照射加熱による記録を行って
もランド部およびグルーブ部の間で熱拡散が発生せず、
ランド部およびグルーブ部が磁気的に分断されている光
磁気記録媒体を製造する。 【解決手段】基板260を接地し、スパッタ原子250
を基板に対して垂直な指向性を有するように、RFバイ
アスを印加することなく飛行させ、基板上にスパッタ原
子を堆積して、所定の下地層や記録層を形成する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明はレーザーにより記録
および再生を行う光磁気記録媒体、更に詳しくは高密度
記録化が実現された光磁気記録媒体の製造方法に関す
る。
【0002】
【従来の技術】基板上に記録層が形成されてなる情報記
録媒体としては、種々の光記録媒体や磁気記録媒体が知
られている。光で検出可能な光学的状態の変化に対応さ
せて情報を記録および再生する光記録媒体は高密度化が
可能であり、光ディスクや光カードとして実用化されて
いる。光記録媒体上に形成される光学的状態の変化とし
ては、凹凸のビット、反射膜の有無や変形、屈折率変
化、磁化反転などがある。このうち、磁化反転は、反射
光の偏光状態の変化として検出され、この方式による光
記録媒体は光磁気記録媒体と呼ばれている。
【0003】光磁気記録媒体においては、記録や再生時
に光を所定の場所に導くためにトラッキング機構および
フォーカス機構が通常採用されおり、光磁気記録媒体の
基板には通常案内溝と呼ばれる溝(以降グルーブ部また
は凹部と記載することもある)が形成されている。従来
の光磁気記録媒体においては、情報はランド部(以降凸
部と記載することもある)に記録され、情報トラックと
してグルーブ部は使用されていなかった。
【0004】しかし情報をより高密度に記録するため、
特開平6−349073号公報に開示されているよう
に、グルーブ部にも情報を記録をするランド/グルーブ
記録方式が提案され、実用化されつつある。この場合、
グルーブ部の底面はランド部の表面および基板表面に対
して平行な平面であり、図5に示すとおり、グルーブ部
140は情報トラックが形成されているランド部130
から見て凹部となる。
【0005】情報トラックにレーザービームを照射し、
加熱により光学的状態の変化を誘発する記録モードにお
いては、形成される状態変化領域(記録マーク)の大き
さや形状は、局所的な加熱によって記録層上に誘起され
る温度分布に従って決定される。記録層上に誘起される
温度分布は層面方向への熱拡散の影響を受けるため、単
位時間当たりの入射熱量を一定にして一定走線速で加熱
領域を移動させた場合でも、移動距離や直前に加熱した
領域からの距離の違いによって、形成される温度分布は
複雑に変化する。
【0006】このため、レーザービームを用いて単純に
情報に対応させた加熱操作を行うと、情報パターンによ
って形成される記録マークの幅が変動してしまう。この
ような記録マーク列を光ビームの走査によって時系列的
に読み出すと、記録マーク検出のタイミングジッターが
増大するため、元の情報を正しく再生できない場合があ
る。この問題を回避するため、単位時間当たりの入射熱
量や加熱時間などを情報パターンに応じて調整する記録
補償方式が種々提案されている。
【0007】また特開平6−290496号公報におい
ては、磁気的に結合している第1および第2の磁性層を
少なくとも含む多層磁性層膜からなる記録層が形成され
た光磁気記録媒体により、再生信号振幅を低下させるこ
となく光学的な検出限界以下の周期の信号が高速で再生
可能となり、記録密度並びに転送速度を大幅に向上でき
ることが開示されている。
【0008】すなわち、付属の加熱装置により記録マー
クに温度分布をもたせ、この温度分布と記録マーク中の
磁壁エネルギーの温度依存性とにより、磁壁に再生光ス
ポット内へ移動する圧力が誘発される。
【0009】上記の磁気記録媒体においては、第1およ
び第2の磁性層はそれぞれ磁壁の移動層およびメモリ層
であり、スイッチング層である第3の磁性層を介して第
1および第2の磁性層は磁気的に結合(交換結合)して
いる。そして第3の磁性層(スイッチング層)のキュリ
ー温度近傍まで記録マークが昇温された場合、第1の磁
性層(移動層)と第2の磁性層(メモリ層)との磁気的
な結合(交換結合)が切断され、磁壁が瞬間的に再生ビ
ームスポット内へ移動する。その結果、再生ビームスポ
ット内の第1の磁性層(移動層)原子スピンの向きが反
転して全て一方向にそろい、記録マークが拡大される。
この拡大された記録マークを偏光レーザービームにより
検出する。従って、再生信号振幅は記録されている磁壁
の間隔(すなわち記録マーク長)によらず、常に一定か
つ最大の振幅になり、光学的な回折限界に起因した波形
干渉等の問題から完全に開放される。
【0010】以上の再生方法はDWDD(Domain
Wall Displacement Detect
ion)再生方式と呼ばれている。
【0011】
【発明が解決しようとする課題】高記録密度化のため
に、ランド部(凸部)130およびグルーブ部(凹部)
140のいずれも情報トラックとして使用する従来例
を、図5に示した。この場合、図6に示すように、従来
知られているマグネトロンスパッタ法を用いて下地層1
10および記録層120が基板100上に形成されるた
め、これらの層は膜面方向に一様に成膜され、図5中の
○で示したランド部およびグルーブ部の境界領域にも記
録層が形成され、ランド部およびグルーブ部は磁気的に
結合し得る構造となっていた。このため以下の問題が懸
念されていた。
【0012】第1の問題は、レーザービームによる情報
の記録に関する。すなわち、ランド部およびグルーブ部
の境界領域にも記録層が形成されているため、たとえ補
償方式による記録を行ったとしても、レーザービームの
照射熱が境界領域の記録層を経由して隣接する情報トラ
ックヘ拡散し、記録マークの幅が不均一となり、さらに
は隣接する情報トラック上に保存されていた情報を破壊
してしまう場合(クロスライト)があった。
【0013】この問題を解決する1つの方法として、ラ
ンド部とグルーブ部の段差を大きくすることが特開平9
−161321号公報に開示されている。しかしながら
本公報で開示される光磁気記録媒体を従来のマグネトロ
ンスパッタ法で作製すると、特に段差が大きくグルーブ
部が深い場合、グルーブ部の底面への記録層の付着が不
十分となる場合があった。このため、グルーブ部にラン
ド部と同等な特性を有する記録層を形成できなくなり、
グルーブ部を情報トラックとして使用できなくなる場合
があった。この結果、ランド/グルーブ記録方式が採用
できなくなる恐れがあった。
【0014】なお、ターゲットから発生したスパッタ原
子を実質的に垂直に基板に入射させることによりグルー
ブ部の底面に記録層を形成することが特開平10−27
5369号公報に開示されているが、従来の形状を有す
る基板上に本開示例に従って記録層を形成すると、グル
ーブ部の底部に十分量の記録層を堆積した場合、ランド
部とグルーブ部の境界領域にも記録層が形成されてしま
う恐れがあった。
【0015】第2の問題は、情報の再生に関する。第1
の磁性層の磁壁を温度勾配によって移動きせて、この磁
壁移動に伴う磁化反転を反射光の偏光状態の変化として
検出する上述のDWDD再生方式の場合、各情報トラッ
クが磁気的分断領域によってそれぞれ分断されているこ
と、すなわち、ランド/グルーブ記録方式の場合、ラン
ド部およびグルーブ部が境界領域において磁気的に分断
していることが、磁壁の移動を安定化し再生特性を向上
させる上で望ましい。
【0016】しかしながら、図5に示す従来の光磁気記
録媒体の場合、ランド部およびグルーブ部の記録層は境
界領域において接続されているため、ランド部およびグ
ルーブ部を磁気的に分断することが困難な場合があっ
た。
【0017】この問題を解決する1つの方法として、記
録層成膜後に情報トラックの両側を高出力のレーザービ
ームでアニールするなどして磁性膜を変質または消失さ
せる処理を行い、情報トラックを分断することが、例え
ば特開平6−290496号公報などに開示されてい
る。
【0018】しかしながら本方法では、ランド部に情報
トラックを形成した場合、グルーブ部が使用できなくな
る。また、グルーブ部に情報トラックが形成された場
合、ランド部が使用できなくなるため、ランド/グルー
ブ記録方式の適用が困難となることが予想される。
【0019】さらに第3の問題は、記録層の磁壁抗磁力
に関する。図6に示すとおり従来のマグネトロンスパッ
タ法では、RFバイアス印加部270により基板260
にはバイアスが印加され、スパッタ原子は基板に飛来す
る直前に加速されていた。このような方法で形成された
記録層の構造は均質で緻密となりすぎるため、磁壁は情
報トラック内を移動しやすくなり、磁壁抗磁力が不十分
となる場合があった。このため、大きな異方性を必要と
するTbFeCo膜などを用いた光磁気記録媒体におい
て、小さい記録マーク形状を安定かつ均一に保存できな
くなることがあり、このことは特に情報を保存する機能
を有する第2の磁性層(メモリ層)の性能を低下させる
場合があった。
【0020】本発明の目的は、基板上に形成されるラン
ド部およびグルーブ部の形状ならびに記録層の成膜条件
を制限して、ランド部およびグルーブ部の記録層を分断
することにより、レーザービームの照射加熱による記録
を行っても情報トラック間の熱拡散が発生せず、形成さ
れる記録マーク列の幅が情報パタ一ンによらず一定とな
り隣接する情報トラックの情報が破壊されることはな
く、また情報トラックは磁気的に分断されているため、
再生時には磁壁が安定に移動し再生性能に優れ、さらに
記録層をある程度不均質で疎な構造とすることにより、
十分な磁壁抗磁力を発生させ、記録マークを安定に保存
することができる光磁気記録媒体の製造方法を提供する
ことである。
【0021】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するため
の本発明によれば、ランド部(凸部)の下地層の厚さと
グルーブ部(凹部)の深さとの和が、グルーブ部の下地
層の厚さとグルーブ部の記録層の厚さとの和より大きい
光磁気記録媒体の製造方法であって、該ランド部(凸
部)および該グルーブ部(凹部)を基板上に交互に形成
する工程と、該基板を接地し、ターゲットに対して平行
に対向するようチャンバー内に配置する工程と、該チャ
ンバー内を高真空とし、該チャンバー内にArガス又は
Arを含むガスを導入する工程と、該ガスを、該ターゲ
ットの近傍に配置されたRFコイルに電力を印加するこ
とによりプラズマ化する工程と、該プラズマを該ターゲ
ットに衝突させることによってスパッタ原子を発生させ
る工程と、該スパッタ原子を該基板に対して垂直な指向
性を有するように、RFバイアスを印加することなく飛
行させる工程と、該基板上に該スパッタ原子を堆積し
て、所定の下地層や記録層を該基板上に形成する工程
と、を含むことを特徴とする光磁気記録媒体の製造方法
が提供される。
【0022】
【発明の実施の形態】本発明の製造方法によれば、図1
に示す様な、ランド部(凸部)およびグルーブ部(凹
部)が交互に配置されている基板上に、少なくとも下地
層および記録層がこの順に積層されてなる光磁気記録媒
体であって、ランド部の下地層の厚さとグルーブ部の深
さとの和が、グルーブ部の下地層の厚さとグルーブ部の
記録層の厚さとの和より大きいことを特徴とする光磁気
記録媒体を得ることができる。
【0023】従来法により製造された光磁気記録媒体に
おいては、図5に示す様に、a+d≦a’+b’となっ
ているため、図5中の○で示した部分、すなわちランド
部およびグルーブ部の境界領域において記録層120が
つながっている。
【0024】これに対し、図1の場合、a+d>a’+
b’となっているため、図1中の○で示した部分、すな
わちランド部およびグルーブ部の境界領域において記録
層120は分断されている。
【0025】このような構成は、本発明の製造方法によ
り実現することができる。すなわち本発明では、所定の
高周波電力がRFコイルに印加されるため、例えば0.
05Pa以上0.2Pa以下という高真空下でプラズマ
を発生することができる。このため、ターゲットから発
生したスパッタ原子とプラズマイオンとの衝突頻度は低
く、スパッタ原子の平均自由行程が長いため、スパッタ
原子を基板に対して垂直な指向性を有するように飛行さ
せることができる。この結果、ランド部およびグルーブ
部の境界領域では、記録層の成長が著しく低速となり、
a+d>a’+b’の場合、図1中の○で示した部分に
おいて、記録層は実質的に成長せず分断される。
【0026】なお図1及び2において、l1及びl2は、
ランド部およびグルーブ部の幅を、それぞれ表してお
り、それぞれの基板面に平行な平坦部の幅でである。こ
れらの値は、再生時や記録時に使用するレーザービーム
の波長、光磁気記録媒体の記憶容量、クロスイレース/
クロスライトのパワーマージン、クロストークのマージ
ン、基板の製造マージンなどを考慮して決定される。
【0027】また、スパッタ原子の指向性をさらに高
め、スパッタ原子の基板への垂直入射成分を増大するた
めに、基板とターゲットの間に穴を有するシールド板を
挿入したコリメートスパッタ法などを必要に応じて併用
することができる。
【0028】以上の様にして本発明の製造方法によれ
ば、ランド部(凸部)およびグルーブ部(凹部)の境界
領域に、記録層が実質的に存在しない構造を実現でき
る。
【0029】なお、ランド部(凸部)およびグルーブ部
(凹部)の間に、テーパ部が設けられていている場合、
テーパ角度を60度以上とすることが好ましい。ここ
で、テーパ角度とはランド部の側面と基板面のなす角度
のことを意味しており、図2に示すαおよびβのいずれ
もが60度以上であることが好ましく、70度以上がよ
り好ましい。テーパ角度がこの範囲内であれば、たとえ
テーパ部に記録層が形成されたとしても、スパッタ原子
に指向性を付与することにより、実質的に記録層が存在
しない程度にテーパ部の記録層を薄くすることができ
る。従って、可能な範囲でテーパ角は90度に近い方が
好ましい。
【0030】実質的に記録層が存在しないとは、境界領
域において記録層を介する熱や磁壁の拡散が発生しない
程度に記録層が薄いことを意味しており、15nm以下
が好ましく、10nm以下がより好ましい。十分薄い記
録層は垂直磁化膜を形成することができなくなる。この
ことは、ランド部およびグルーブ部が磁気的に分断され
ていることを意味している。
【0031】本発明において製造される光磁気記録媒体
では、ランド部およびグルーブ部の境界領域またはテー
パ部で記録層が分断されている。このため、レーザービ
ームの照射熱が隣接する情報トラックヘ拡散することは
なく、記録マークの幅が不均一となったり、隣接する情
報トラックが破壊されることは抑制される。また、ラン
ド部およびグルーブ部は磁気的に分断されているため、
磁壁の移動は安定し再生特性が向上する。
【0032】本発明の製造方法においては、スパッタ原
子は指向性を有し、スパッタ原子の基板への垂直入射成
分が増大されている。このため、グルーブ部が深い場合
においても、グルーブ部の底面への記録層の付着は十分
である。また、グルーブ部の底部に十分量の記録層を堆
積した場合においても、ランド部とグルーブ部の境界領
域に記録層が形成されることはない。
【0033】本発明で製造される光磁気記録媒体におい
ては、テーパ部が設けられていないか、設けられている
としても記録層は実質的には形成されていない。このた
め、ランド部に情報トラックを形成し、両側のテーパ部
にはみ出して情報トラックヘの記録を行った場合でも、
テーパ部に記録が行われることはない。従って、単純に
情報に対応させた加熱操作によって記録を行った場合で
あっても、情報のパターンに関わらず、形成されるマー
クの幅を情報トラック上に限定し、一定幅のマーク列を
形成することができる。また、情報トラック間で記録膜
中の熱伝導が著しく抑制されるため、隣接トラックが昇
温しにくく、クロスイレーズ/ライトが抑制される。
【0034】さらに、テーパ部の記録層は磁壁エネルギ
ーを蓄積するような磁性を呈さない程度の薄膜とするこ
とが可能であり、情報トラックとその両側のテーパ部に
またがる形で記録時の加熱領域を形成すれば、磁区の側
部に磁壁が存在せず前後の磁壁が実質的に分断している
磁区として、記録マークを形成することができる。
【0035】本発明の製造方法においては、チャンバー
内に配置された基板は接地され、RFバイアスを印加す
ることなく、マグネトロンスパッタ法を行う。
【0036】即ち、図4に示す通り、基板260は接地
されバイアスが印加されない。このため、スパッタ原子
は基板に飛来する直前に加速されることはなく、形成さ
れた記録層の構造はある程度不均質で疎となる。この結
果、磁壁の移動能が低下し磁壁抗磁力が向上する。よっ
て、大きな異方性を必要とするTbFeCo膜などから
なる記録層において、小さい記録マーク形状を安定かつ
均一に保存できるようになり、特に第2の磁性層(メモ
リ層)の性能が向上する。
【0037】なお、このようにして形成された記録層
は、層の成長方向を向く柱状構造が層面方向にスタック
されたハニカム様の構造を呈する場合がある。
【0038】また、基板にRFバイアスを印加しないた
め、スパッタ装置の構造が簡略化され、スパッタ装置の
製造コストが安価となる。その結果、光磁気記録媒体の
製造コストが下げられる。
【0039】加えて、スパッタ装置の構造が簡略化され
ることによりスパッタ装置のトラブルも少なくなり、装
置稼働率が向上する。
【0040】本発明の方法により製造される光磁気記録
媒体としては、記録層は下地層上に順次積層された少な
くとも第1および第2の磁性層を含んでなり、第1の磁
性層は周囲温度近傍の温度において第2の磁性層に比べ
て相対的に磁壁抗磁力が小さく磁壁移動度が大きな垂直
磁化膜からなり、第2の磁性層は垂直磁化膜からなり、
第1の磁性層および第2の磁性層は磁気的に結合してい
るものを例示することができる。
【0041】また、記録層は、下地層上に順次積層され
た少なくとも第1、第3および第2の磁性層を含んでな
り、第1の磁性層は、周囲温度近傍の温度において第2
の磁性層に比べて相対的に磁壁抗磁力が小さく磁壁移動
度が大きな垂直磁化膜からなり、第3の磁性層は、第1
の磁性層および第2の磁性層よりもキュリー温度の低い
磁性層からなり、第2の磁性層は垂直磁化膜である場合
もある。
【0042】以下、図4により、本発明の製造方法を更
に詳細に説明する。ターゲット200としてはマグネト
ロンが用いられる。ターゲット200直上にはRFコイ
ル220が設けられており、このコイルにはRF電力が
印加され、ターゲット200上にプラズマ230が形成
される。ターゲット200やRFコイル220に印加さ
れる電力は、成膜速度や膜質により選択される。
【0043】基板260は接地され、バイアスは印加さ
れない。基板の形状としては円形のディスクを例示する
ことができ、その表面にグルーブ部がスパイラル状また
は同心円状に形成されている。グルーブ部の間には基板
面に平行な平面を有するランド部が存在し、このランド
部を情報トラックとして使用することができる。また、
グルーブ部の底面を基板表面と平行な平面とすることに
より、グルーブ部を情報トラックとして使用することも
できる。さらに、ランド部およびグルーブ部の両者を情
報トラックとして使用することもできる。いずれの場合
にも、情報トラックの両側には基板面に対して非平行な
テーパ部が存在する場合もある。このような基板上に、
例えば誘電体層などの下地層、例えば磁性層が積層され
た記録層が順次形成される。
【0044】ターゲットとしては、誘電体材料、アルミ
などの金属材料、希土類や遷移金属に代表される光磁気
材料などを使用できる。
【0045】基板としては、ポリカーボネート(P
C)、ポリメチルメタクリレート(PMMA)、アモル
ファスポリオレフィン(APO)などのプラスチック材
料やガラス、ガラスの上にフォトポリマーを形成したも
のが使用できる。さらに紫外線硬化樹脂による、いわゆ
る2P成形基板を使用することもできる。
【0046】なお、第1、第3、第2の磁性層の各層の
上下に、必要な機能を有する他の層を形成することもで
きる。このような層の例としては、第1および/または
第2の磁性層の第3の磁性層とは反対の面に設けられる
誘電体層を挙げることができる。また他の例として、第
1と第3の磁性層の間に第4の磁性層として、第3の磁
性層よりも高く、第1の磁性層よりも低いキュリー温度
を有し、かつ少なくとも第3の磁性層のキュリー温度以
上の温度において、第2の磁性層に比べて相対的に磁壁
抗磁力が小さな垂直磁化膜が配される場合もある。さら
に必要に応じて、誘電体材料や金属材料などからなる保
護層や反射層、放熱層などが適当な位置に配される場合
もある。
【0047】以上の様な積層構造の例を、図3に示し
た。すなわち基板20上に下地層としての第1の誘電体
層21が形成されている。その上に、第1の磁性層11
と、第3の磁性層13と、第2の磁性層12とからなる
記録層が積層されており、その上に第2の誘電体層22
が形成されている。このような積層構造からなる記録層
を有する光磁気記録媒体はDWDD再生方式において、
好適に使用される。
【0048】磁性層の材料としては、例えば、Pr、N
d、Sm、Gd、Tb、Dy、Hoなどの希土類金属元
素の1種または2種以上が、好ましくは10at%以
上、より好ましくは15at%以上、好ましくは50a
t%以下、より好ましくは35at%以下と、Fe、C
o、Niなどの鉄族元素の1種または2種以上が、好ま
しくは50at%以上、より好ましくは65at%以
上、好ましくは90at%以下、より好ましくは85a
t%以下とを含んでなる希土類−鉄族非晶質合金を挙げ
ることができる。
【0049】また耐食性向上などを目的として、上記の
希土類−鉄族非晶質合金に、Cr、Mn、Cu、Ti、
Al、Si、Pt、Inなどの元素を少量添加する場合
もある。希土類−鉄族非晶質合金の飽和磁化は、希土類
元素と鉄族元素との組成比により制御することが可能で
ある。
【0050】磁壁抗磁力は飽和磁化の調整によって制御
できるが、本質的には材料元素の選択により垂直磁気異
方性を調整することによって制御される。一般に、Tb
系およびDy系の材料の垂直磁気異方性は大きく磁壁抗
磁力も大きいのに対し、Gd系の材料の垂直磁気異方性
は小さく磁壁抗磁力も小さい。また、非磁性元素の添加
により垂直磁気異方性は低下する。
【0051】キュリー温度も組成比により制御すること
が可能であるが、飽和磁化と独立に制御するためには、
鉄族元素としてFeの一部をCoで置き換えた材料を用
い置換量を変化させて、キュリー温度を制御することが
可能である。すなわち、Feの1at%をCoで置換す
ることにより、6℃程度のキュリー温度の上昇が見込め
るので、この関係を用いて所望のキュリー温度となるよ
うにCoの添加量を調整する。またCrやTiなどの非
磁性元素を微量添加することにより、逆にキュリー温度
を低下させることも可能である。あるいは、2種以上の
希土類元素を用いてそれらの組成比を調整することによ
っても、キュリー温度の制御が可能である。
【0052】
【実施例】以下に実施例により本発明をさらに詳細に説
明するが、本発明はこれらに限定されない。
【0053】(実施例1)光磁気記録媒体1の製造 深さ0.2μmおよび幅0.43μmのグルーブ部と、
幅0.43μmのランド部と、テーパ角度が70度のテ
ーパ部とが設けられた直径86mmの円形の基板を、誘
導結合RFプラズマ支援スパッタ装置の基板ホルダーに
取り付けた。このスパッタ装置には、ターゲット直上に
ターゲット囲むようにRFを印加するRFコイルが設け
られており、基板ホルダーは接地されており、RFバイ
アスは印加されない。ターゲットと基板との距離は約2
0cmである。
【0054】装置内を到達真空度6.65×10-6Pa
以下に真空排気した後、真空排気を継続した状態でシリ
コンターゲットに窒素を含むアルゴンを導入し、0.1
Paの動作圧力で干渉層としての下地層SiN膜を、基
板を回転させながら90nm成膜した。RFコイルに投
入したパワーは10Wとした。ターゲットには70Wの
DCパワーを投入した。引続き、真空を破らないでター
ゲットを変えてArガスのみを導入し、各磁性層の構成
元素からなる合金ターゲットを用いて磁性膜を成膜し
た。
【0055】第1の磁性層としてGdFeCoCr層を
30nm、第3の磁性層としてTbFeCr層を10n
m、第2の磁性層としてTbFeCoCr層を80nm
順次成膜した。最後に、保護層として前述と同様にSi
N層を50nm成膜した。これらの膜厚は、ランド部に
おける膜厚である。各磁性層の組成は、全て補償組成近
傍になるようにCoおよびCrの量を調整し、キュリー
温度は、第1の磁性層が210℃、第3の磁性層が12
0℃、第2の磁性層が290℃となるように設定した。
この基板を装置から取り出して、膜面上にUV硬化樹脂
保護コートを形成し、光磁気記録媒体1を作製した。
【0056】記録層の構造を電子顕微鏡で観察すると、
層の成長方向を向く柱状構造が層面方向にスタックした
構造をしていることが判明した。
【0057】(比較例1)光磁気記録媒体2の製造 基板にRFバイアスを印加して、基板上に基板面に垂直
な電界を生じさせた状態でスパッタ法を行った以外は、
光磁気記録媒体1と同様にして光磁気記録媒体2を作製
した。光磁気記録媒体2の記録層の構造を電子顕微鏡で
観察すると、均質で緻密な一様構造の膜が観察され、特
に特徴的な構造は観察されなかった。
【0058】(実施例2)光磁気記録媒体3の製造 磁性層が単層でTbFeCoからなり、磁性層の厚さが
約25nmで、SiN膜の上に反射膜としてアルミ層を
有すること以外は光磁気記録媒体1と同様に光磁気記録
媒体3を作製した。
【0059】(比較例2)光磁気記録媒体4の製造 磁性層が単層でTbFeCoからなり、磁性層の厚さが
約25nmで、SiN膜の上に反射膜としてアルミ層を
有すること以外は光磁気記録媒体2と同様に光磁気記録
媒体4を作製した。
【0060】以上のようにして作製した光磁気記録媒体
1及び2を、レーザー波長680nm、対物レンズNA
0.55の光学ヘッドを持つドライブ装置にセットし、
7.5Hzの一定周期で回転させ、半径31mmの位置
で記録特性の測定を行った。摺動型磁気ヘッドにより磁
界を7.5MHzで変調しながら、ランド部上に記録用
にDCレーザーを照射して、マーク長0.1μmの繰り
返しパターンを磁界変調記録した。この信号を再生パワ
ー2.5mWで再生し、C/Nの記録パワー依存性を光
磁気記録媒体1及び2について比較した。ここでは、通
常の1ビーム光学系で評価し、再生ビーム自身による加
熱で、磁壁を移動させるための温度勾配を形成した。
【0061】光磁気記録媒体2のC/N比は、光磁気記
録媒体1より3dB劣るものであった。この理由は、光
磁気記録媒体1と比較して、光磁気記録媒体2のノイズ
が高いためである。これは光磁気記録媒体2の第2の磁
性層の膜が均質および緻密でありすぎるため、磁壁抗磁
力が低下し記録マークのエッジ部分が不均一となり記録
マークの形状が乱れていることによるものである。ま
た、均質および緻密で膜面が平滑であるため、磁壁が移
動しやすいことも一因である。
【0062】次に、光磁気記録媒体3及び4をレーザー
波長680nm、対物レンズNA0.55の光学ヘッド
を持つドライブ装置にセットし、線速1.5m/sの一
定の速度で回転させ、ランド部上にトラッキングサーボ
をかけ、半径30mmの位置で記録特性の測定を行っ
た。記録バイアス磁界を24000A/mとし、記録パ
ワーを変えて、C/N比を測定した。マーク長は0.7
5μmになるようにした。
【0063】光磁気記録媒体4のC/N比は、光磁気記
録媒体3のC/N比より劣っていた。この原因は、キャ
リアレベルが同等であったことから、ノイズレベルの上
昇によるものである。このノイズが高い理由は、光磁気
記録媒体2の場合と同様であると考えられる。
【0064】以上の結果はランド部上で記録を行った場
合のものであるが、グルーブ部上に同様な条件で記録し
た場合についても同様な結果が得られ、ランド部とグル
ーブ部で同等の性能を有していることが分かった。
【0065】
【発明の効果】本発明において製造される光磁気記録媒
体では、基板上に形成されるランド部およびグルーブ部
の形状ならびに記録層の成膜条件を制限することによ
り、ランド部およびグルーブ部の境界領域に記録層が実
質的に存在しない。このため、レーザービームの照射加
熱による記録を行っても、ランド部およびグルーブ部の
間で熱拡散が発生せず、形成される記録マーク列の幅が
情報パタ一ンによらず一定となり、隣接する情報トラッ
クの情報が破壊されない。また、ランド部およびグルー
ブ部が磁気的に分断されているため、磁壁の移動が安定
し、再生性能に優れる。この結果、高密度のランド/グ
ルーブ記録方式を実現できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明における光磁気記録媒体の例を示す断面
模式図である。
【図2】本発明における光磁気記録媒体の他の例を示す
断面模式図である。
【図3】磁性層の積層構造よりなる記録層の例を示す断
面模式図である。
【図4】本発明の光磁気記録媒体の製造方法を説明する
ための模式図である。
【図5】従来の光磁気記録媒体を示す断面模式図であ
る。
【図6】従来の光磁気記録媒体の製造方法を説明するた
めの模式図である。
【符号の説明】
11 第1の磁性層 12 第2の磁性層 13 第3の磁性層 20 基板 21 第1の誘電体層 22 第2の誘電体層 100 基板 110 下地層 120 記録層 130 ランド部(凸部) 140 グルーブ部(凹部) 150 テーパ部 200 ターゲット 220 RFコイル 230 プラズマ 240 RF電力印加部 250 指向性スパッタ原子 260 基板 270 RFバイアス印加部

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 ランド部(凸部)の下地層の厚さとグル
    ーブ部(凹部)の深さとの和が、グルーブ部の下地層の
    厚さとグルーブ部の記録層の厚さとの和より大きい光磁
    気記録媒体の製造方法であって、該ランド部(凸部)お
    よび該グルーブ部(凹部)を基板上に交互に形成する工
    程と、該基板を接地し、ターゲットに対して平行に対向
    するようチャンバー内に配置する工程と、該チャンバー
    内を高真空とし、該チャンバー内にArガス又はArを
    含むガスを導入する工程と、該ガスを、該ターゲットの
    近傍に配置されたRFコイルに電力を印加することによ
    りプラズマ化する工程と、該プラズマを該ターゲットに
    衝突させることによってスパッタ原子を発生させる工程
    と、該スパッタ原子を該基板に対して垂直な指向性を有
    するように、RFバイアスを印加することなく飛行させ
    る工程と、該基板上に該スパッタ原子を堆積して、所定
    の下地層や記録層を該基板上に形成する工程と、を含む
    ことを特徴とする光磁気記録媒体の製造方法。
  2. 【請求項2】 前記ランド部(凸部)および前記グルー
    ブ部(凹部)の間に、60度以上のテーパ角度を有する
    テーパ部を設けることを特徴とする請求項1記載の光磁
    気記録媒体の製造方法。
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WO2003046905A1 (fr) * 2001-11-29 2003-06-05 Matsushita Electric Industrial Co., Ltd. Support d'enregistrement magneto-optique et procede de fabrication correspondant

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