JP2002163848A - 情報記録媒体の製造方法 - Google Patents

情報記録媒体の製造方法

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JP2002163848A
JP2002163848A JP2000359521A JP2000359521A JP2002163848A JP 2002163848 A JP2002163848 A JP 2002163848A JP 2000359521 A JP2000359521 A JP 2000359521A JP 2000359521 A JP2000359521 A JP 2000359521A JP 2002163848 A JP2002163848 A JP 2002163848A
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ion
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Kazuoki Motomiya
一興 本宮
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Canon Inc
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 単純な記録方式でヒートモードによる記録を
行っても、形成されるマーク列の幅が情報パターンに寄
らず一定となり、再生エラーレートを低減させることが
可能で安価な情報記録媒体を提供する。 【解決手段】 情報記録媒体の情報トラックの両側に、
該情報トラック面に対して非平行な面を有する傾斜部が
設けられた基板上に、少なくとも1層の記録層を含む複
数の層を形成する層形成工程と、該層形成工程において
形成され、該傾斜部に存在する記録層およびその上側の
層を、不活性軽イオンによりイオンミリングした後、不
活性重イオンによりイオンミリングすることにより除去
する除去工程を有する情報記録媒体の製造方法。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、基板上に記録膜を
形成してなる情報記録媒体の製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】基板上に記録膜を形成してなる情報記録
媒体として、種々の光記録媒体や磁気記録媒体が知られ
ている。光で検出可能な光学的状態の変化に対応させて
情報を記録する光記録媒体は高密度化が可能であり、光
ディスクや光カードとして実用化されている。光記録媒
体上に形成される光学的状態の変化としては、凹凸のビ
ット、反射膜の有無・変形、屈折率変化、磁化反転等が
ある。このうち、磁化反転は、反射光の偏光状態の変化
として検出され、その他の形態では、反射光量の変化と
して検出される。
【0003】また、このような光検出方式の場合、記録
や再生時に光を所定の場所に導くためにトラッキングと
フォーカスという機構が採用されている。その仕組みを
構成する要素として通常媒体上に案内溝と呼ばれる溝が
形成されている。この溝は通常記録には使われない。し
かし、近年高密度化するために特開平6−349073
に開示されているようにこの溝(グルーブと呼ぶ)にも
記録をすること(ランド/グルーブ記録方式と呼ぶ)が
提案されている。この場合、グルーブの底面はランド表
面及び基板表面に対して平行な平面である。溝は情報ト
ラックが形成されている側から見て凹となっている部分
をいう。さらに高密度化を図るためにトラックピッチを
小さくして狭トラックを図ることが考えられるが、その
際隣接するトラックのデータを破壊しないための工夫と
して特開平9−161321に開示されているようにラ
ンド部と溝部の段差すなわち溝深さを深くすることが提
案されている。
【0004】このような光学的状態の変化をレーザービ
ームの照射加熱により生起させる記録モードにおいて
は、形成される状態変化領域(記録マーク)の大きさや
形状は、局所的な加熱によって記録膜上に誘起される温
度分布によって決まる。記録膜上に誘起される温度分布
は膜面方向の熱拡散の影響を受けるため、単位時間当た
りの入射熱量を一定にして定線速で加熱領域を移動させ
た場合でも、移動距離や直前に加熱した領域からの距離
の違いによって、形成される温度分布は複雑な変化の仕
方をする。
【0005】このため、単純に情報に対応させた加熱操
作を行うと、情報パターンによって形成されるマークの
幅が変動してしまう。このようなマーク列を光ビームの
走査によって時系列的に読み出すと、マーク検出のタイ
ミングジッターが増大するため、元の情報を正しく再生
できない危険性がある。この問題を回避するため、単位
時間当たりの入射熱量や、加熱時間等を情報パターンに
応じて調整する記録補償方式が種々提案されているが、
この場合記録手段が複雑化するという問題がある。ま
た、高密度化のために情報トラック間の間隔を狭めた基
板上に従来知られているマグネトロンスパッタ法を用い
て記録膜を成膜して媒体を作製すると、図2に示すよう
に膜面方向には概ね一様な記録膜が形成されるため、当
該トラック上でレーザービームの照射加熱によって記録
若しくは消去を行ったときに隣接するトラックへの膜面
を通しての熱拡散によって、隣接するトラック上に保存
されていた情報ビットを破壊してしまうという、クロス
ライト若しくはクロスイレーズの問題が生じる。また、
情報トラックの両側のサーボ用の案内溝をも情報トラッ
クとして使用する方式(ランド/グルーブ記録方式)の
適用が、図3に示すように溝幅が狭く、溝深さが深くな
るほど溝底部への膜の付着量が少なくなり案内溝にラン
ドと同等な特性を有する記録膜を形成できないため困難
であるという問題があった。
【0006】さらに特開平6−290496において、
第1の磁性層、第2の磁性層、及び第3の磁性層が順次
積層され、第1の磁性層は、第3の磁性層に比べて相対
的に磁壁抗磁力が小さく、第2の磁性層は第1の磁性層
及び第3の磁性層よりもキュリー温度の低い光磁気記録
媒体、及びこの光磁気記録媒体を用いて記録マークの境
界部に存在する第1の磁性層の磁壁を温度勾配によって
移動させて、この磁壁移動に伴う磁化反転を、反射光の
偏光状態の変化として検出する高密度記録再生方法を提
案している。この方法においては、記録マークの前方境
界部の磁壁と後方境界部の磁壁とが分離独立して形成さ
れていることが、磁壁の移動を安定化し再生特性を向上
させる上で望ましい。
【0007】しかし、従来の基板上に記録膜を成膜して
この媒体を作製すると、膜面方向には概ね一様な記録膜
が形成されるため、前後の磁壁が完全に分離しているよ
うな記録マークを形成することは困難であった。このよ
うに膜面方向に一様な記録膜が形成される理由は、蒸発
源から飛び出した分子や原子が、基板に到達するまでに
お互いに衝突したり、蒸発させる際に使用する不活性ガ
ス原子と衝突するために、飛行する方向がランダムにな
り、色々な角度で基板に入射するためである。このた
め、記録膜の成膜後にトラックの両側を高出力のレーザ
ービームでアニールするなどしてトラック側部の磁性膜
を変質もしくは消失させる処理を行い、この処理部に跨
るように記録マークを形成することにより前後の磁壁を
分離させるようにしていた。また、案内溝をアニールす
るため情報トラックの両側のサーボ用の案内溝をも情報
トラックとして使用する方式(ランド/グルーブ記録方
式)の適用が、困難であるという問題があった。この理
由は、前述の基板に入射する原子の方向がランダムであ
ることにより、溝へ到達する前にランド部分に付着して
溝底部に付着する原子や分子の数が減少するためにラン
ド上と同じ特性及び膜厚が得られないためである。そこ
で、本発明者は特開平10−275369において、指
向性を高めた成膜方法により溝傾斜部に実質的に記録膜
が形成されず、上記溝及びランド部の特性が同じになる
ような方法を提案している。また、エッチングにより傾
斜部の膜をミリングする方法を提案している。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】上記指向性を高めた成
膜方法は、成膜速度が遅く、装置コストも高くなるとい
う問題がある。それに対して、従来のマグネトロンスパ
ッタ法とエッチングを利用した方法は前記問題がない。
【0009】上記エッチングにより傾斜部の膜を除去す
る方法の一つとして、本出願人により特願平11−34
7547号に提案されているように記録膜を形成した
後、ランド部と溝部の膜がミリングにより除去されない
ためにマスク層を形成し、その後、Arイオンによるイ
オンミリングを行い、実質的に溝傾斜部の記録膜を除去
するという方法がある。その後、所定の保護層や放熱
層、反射層を形成し所望の情報記録媒体を作成する。し
かし、該ミリングにArを用いると質量が軽く、イオン
半径が小さいためミリングされた膜表面や、溝傾斜部表
面が荒れるという現象がSEM(走査電子顕微鏡)観察
により認められることがある。そこで、Arより重たい
KrあるいはXeを用いてミリングしたところ、ミリン
グされた膜表面や溝傾斜部表面の荒れは小さくなった。
また、溝傾斜部の角度が急峻になった。ところが、これ
らKrあるいはXeは、Arに比べ非常に高価なガスで
あるため、常時使用するにはコストが係るという問題が
ある。
【0010】本発明は上記の諸問題に鑑みてなされたも
のであり、単純な記録方式でヒートモードによる記録を
行っても、形成されるマーク列の幅が情報パターンに寄
らず一定となり、再生エラーレートを低減させることが
可能で安価な情報記録媒体の提供を目的としている。ま
た、別の目的として、情報トラック間の間隔を狭めて
も、クロスライトやクロスイレーズを生じにくい安価な
情報記録媒体の提供がある。さらに別の目的は、特開平
6−290496等に提案されている超高密度記録再生
方法において、媒体の製造工程を複雑化することなく再
生特性を向上させること、また、ランド(Land)/グル
ーブ(Groove)記録方式の適用を可能にしてトラック密
度を向上させることを低コストで可能にすることであ
る。
【0011】
【課題を解決するための手段】上記の目的は下記に示す
本発明の情報記録媒体の製造方法によって達成される。
【0012】すなわち本発明は、情報記録媒体の情報ト
ラックの両側に、該情報トラック面に対して非平行な面
を有する傾斜部が設けられた基板上に、少なくとも1層
の記録層を含む複数の層を形成する層形成工程と、該層
形成工程において形成され、該傾斜部に存在する記録層
およびその上側の層を、不活性軽イオンによりイオンミ
リングした後、不活性重イオンによりイオンミリングす
ることにより除去する除去工程を有することを特徴とす
る情報記録媒体の製造方法である。
【0013】本発明において、層形成工程において形成
する複数の層とは、少なくとも下地層と記録層を含むも
のである。さらに再生層や、これらの補助層などを必要
に応じて形成することができる。
【0014】イオンミリングする対象となる層について
は、記録層が複数ある場合には、少なくとも一つの記録
層を除去する必要があるが、全ての記録層をミリングす
ることが好ましい。層形成工程において除去しようとす
る記録層より上側に記録層以外の層が形成される場合に
は、その層も含めて除去する。
【0015】不活性軽イオンとしてはHe、Neまたは
Arのイオンを、不活性重イオンとしてはKrまたはX
eのイオンを用いることができる。不活性軽イオンがA
rイオンであり、該不活性重イオンがXeイオンである
ことが好ましい。
【0016】該除去工程においては、該層形成工程にお
いて形成された層の上にマスク層を設けた後にイオンミ
リングを行うことが好ましく、マスク層が炭素からなる
層であることが好ましい。
【0017】前記複数の層が少なくとも第1、第2の磁
性層がこの順に形成されたものであり、該第1の磁性層
は周囲温度近傍において該第2の磁性層に比べて相対的
に磁壁抗磁力が小さく磁壁移動度の大きな垂直磁化膜か
らなり、該第2の磁性層は垂直磁化膜であり、該第1及
び第2の磁性層は磁気的に結合している情報記録媒体を
上記製造方法により好適に製造することができる。
【0018】以下、ミリングにより溝傾斜部の記録膜を
除去する原理について説明する。
【0019】イオンミリングのミリングレート(膜除去
率)は、Ph.D. Brain N.Chapman著 「プラズマプロ
セッシングの基礎」P.228、図6・53に示すようにイオ
ンの入射角度により異なっている。ミリングレートは、
入射角度が50〜70°で最大となる。特願平11−3
47547にも示されているようにイオンは基板のラン
ド及び溝の情報トラック面に対して、垂直に入射させる
ことが好ましい。この時、イオンは溝傾斜部に対して
は、上記ミリングレートが大きくなる角度で入射する。
この入射角度は、基板の溝傾斜部の角度及びその上に形
成された膜の膜厚及び付き方により決まる。
【0020】基板の溝傾斜部の角度は、スタンパーと呼
ばれている基板原盤作成の容易さ、成形基板作成の容易
さを考慮して決められるが、60°〜70°が上記効果
が得られやすい。また、高密度化の観点から、70°に
近い方が望ましい。基板の溝傾斜角が80°〜90°の
場合、マグネトロンスパッタ法により所定の膜を形成し
た場合、溝傾斜部膜表面の角度が90°となりミリング
されない個所が生じやすく、完全に溝傾斜部の記録膜を
除去するのが難しく、結果として所望の情報記録媒体の
特性が得にくいため、不利である。
【0021】ミリングによりランド部及び溝の情報トラ
ック面の記録層が除去されないようにするために、ミリ
ングする層の上にマスク層として記録層の材料より非常
にミリングレートの遅い材料を予め形成しておくことが
好ましい。マスク層の材料として好ましいのは、炭素で
あるが、炭素以外の材料を選択しても構わない。形成す
るマスク層の膜厚は、除去する層の膜厚、材料、傾斜部
の角度等を考慮して決められる。ミリングレートのイオ
ン入射角度依存性により、溝傾斜部のマスク層が除去さ
れても、ランド部及び溝トラック面のマスク層は、残っ
ている。さらに継続してミリングを行うと、ミリングレ
ートの材料による差により溝傾斜部の記録層等が除去さ
れても、ランド部及び溝トラック面の記録層等は殆ど除
去されないで所望の厚さで残っている。以上がミリング
工程の内容である。
【0022】ミリングする際にイオンとしてArイオン
を用いると、Arは原子半径が情報記録媒体の記録層に
使われている材料と同程度のため、ミリングする際にそ
の膜構造を反映したものになるものと考える。Arの他
に、NeやHeを用いてもよいが、Arよりミリングレ
ートが遅いので、Arを使用することが望ましい。一
方、KrやXeはArより原子半径が大きく、Arより
重たいので、ミリングする際に表面近傍の元素を弾き飛
ばすより打ち込む効果が出て、表面を平坦化する効果が
現れるものと考えられる。この効果はKrよりXeの方
が顕著である。そこで、ミリング初期からKrやXeで
ミリングを行ってもよいが、高価なガスであるため、本
発明者らは鋭意研究した結果、Arで最初にミリングし
た後、KrやXeに切り替えてミリングを行っても同等
な効果が得られることを見出し、本発明を考案するに到
った次第である。
【0023】Arイオン等の不活性軽イオンからKrイ
オンまたはXeイオンの不活性重イオンに切り替えるタ
イミングは、ミリングする層の材料、膜の構造、要求さ
れる表面状態、情報記録媒体の特性により決められる
が、Arのみでミリングする場合のミリング時間をTと
すると、不活性軽イオンのミリング開始後(2/3)T
〜(4/5)Tの時点で不活性重イオンに切り替えるこ
とが好ましい。Ne及びHeを除けばイオンの違いによ
るミリング時間の差は、あまりなくXeが少し長い程度
である。このようにして、所定のミリングを行った後、
所定の保護層あるいは放熱層を形成することにより所望
の情報記録媒体が得られる。
【0024】この得られた情報記録媒体は、溝傾斜部の
記録層が除去されているため、両側の傾斜部にはみ出し
て情報トラックへの記録を行っても、傾斜部には実質的
に記録が行われないようにすることができる。従って、
単純に情報に対応させた加熱操作によって記録を行った
場合であっても、情報のパターンに関わらず、形成され
るマークの幅を情報トラック上に限定し、一定幅のマー
ク列にすることができる。また、記録・消去時の熱は主
として記録膜中を伝導して膜面方向に拡散していくが、
本発明の製法による情報記録媒体によれば、情報トラッ
ク間の傾斜部で記録膜中の熱伝導が著しく抑制されるた
め、隣接トラックが昇温しにくく、クロスライト/イレ
ースが防止される。
【0025】さらに、本発明を特開平6−290496
に提案されている記録媒体に適用した場合、傾斜部の磁
性層は磁壁エネルギーを蓄積するような磁性を呈さない
膜にすることが可能であり、情報トラックとその両側の
傾斜部に跨る形で記録時の加熱領域を形成すれば、磁区
の側部に磁壁が存在せず前後の磁壁が実質的に分離して
いる磁区として記録マークを形成することができる。
【0026】
【発明の実施の形態】以下、本発明を適用した具体的な
実施形態を実施例により図面に基づいて説明する。
【0027】図1は、イオンミリング装置の一例の模式
図である。使用するイオン種に対応したガスをイオン化
室10に導入し、グリッドにイオン引き出し用の負電位
を印加してイオンを基板1に向かって照射する。グリッ
ドは、一般にイオン引き出し用グリッド11とイオンを
閉じ込め用グリッド12の2枚から構成されている。ま
た、イオンが平行に照射されるように工夫されている。
照射するイオンのエネルギー、電流密度は、基板温度上
昇を考慮して選択される。エネルギーとしては、400
〜1000eVが望ましい。イオンが基板にそのまま入
射すると基板が絶縁体の場合、チャージアップして継続
的にイオン照射が行われなくなる。そこで、図1には記
載していないが、イオン化室と基板の間にイオンを中性
化するためのニュートラライザーという電子放出源が設
けられている。基板はイオンが情報トラック面に垂直に
入射するように対抗する位置に置かれるが、ミリングの
均一性を考慮して回転させた方がよい。また、基板の温
度上昇を抑えるため、水冷された基板ホルダーを使用す
ることが望ましい。
【0028】情報記録媒体を構成する材料としては、誘
電体材料、アルミ等の金属材料、希土類−遷移金属に代
表される光磁気材料、GeSbTeに代表される相変化材料等
公知の材料が使える。これらの材料を用いた情報記録媒
体の各層の形成方法は、従来のマグネトロンスパッタ法
や蒸着法、CVD法等の公知の方法が使える。基板とし
ては、PC(ポリカーボネート)等のプラスチック材料
やガラス、ガラスの上にフォトポリマーを形成したもの
が使える。溝幅や溝深さは再生時や記録時に使用するレ
ーザービームの波長、情報記録媒体の記憶容量、クロス
イレース/クロスライトのパワーマージン、クロストー
クのマージン、基板の製造マージン等を考慮して決めら
れる。
【0029】図4に、本発明の層形成工程と除去工程を
終えた情報記録媒体の一形態の模式断面図を示す。基板
1はランド5とグルーブ3と、この間の傾斜部4を有す
る。傾斜部は情報トラック面に対する傾斜角度6を有し
ている。グルーブおよびランド上には所望の層を構成す
る膜を有するが、傾斜部の記録膜はイオンミリングによ
り除去されている。このような情報記録媒体上に、さら
に必要に応じて保護層や放熱層あるいは反射層等を形成
して、最終的な製品とすることができる。
【0030】
【実施例】以下、実施例により本発明について詳細に説
明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
【0031】<実施例1>本発明の製造方法を特開平6
−290496に提案されている記録媒体に適用した例
について説明する。この場合、記録膜として少なくと
も、第1、第2、第3の磁性層が順次積層されている磁
性多層膜を用いる。第1の磁性層は、周囲温度近傍の温
度において、第3の磁性層に比べて相対的に磁壁抗磁力
が小さい磁性膜からなり、第2の磁性層は、第1及び第
3の磁性層よりもキュリー温度の低い磁性膜からなり、
第3の磁性層は垂直磁化膜からなっている。第1の磁性
層には第2の磁性層側に構成部でキュリー温度が低下す
るように膜厚方向にキュリー温度の勾配を付与してもよ
い。
【0032】グルーブのピッチを1.0μm、段差(深
さ)を0.16μmとし、グルーブ間のランド部とグル
ーブ部の底面部とにそれぞれ0.43μm幅の基板表面
に平行な平面を有するフラット部を設け、このランドと
グルーブとの間の傾斜部の基板表面に対する傾斜角度が
約70゜になるように成形した直径86mmの基板を、
マグネトロンスパッタ装置に装着した。装置内を到達真
空度:5.0×10-7Torr(6.65×10-5Pa)以下に真
空排気した後、シリコンターゲットを用いて下地層であ
るSiN膜を基板を回転させながら、90nm成膜し
た。引き続き真空を破らないでターゲットを変えて各磁
性層の構成元素からなる合金ターゲットを用いて磁性膜
を成膜した。第1の磁性層としてGdFeCoCr層を
30nm、第2の磁性層としてTbFeCr層を10n
m、第3の磁性層としてTbFeCoCr層を80nm
順次成膜した。
【0033】この後、マスク層として真空を破らないで
炭素ターゲットを用いて、炭素膜を50nm形成した。
【0034】上記膜厚は、ランド部上の膜厚である。各
磁性層の組成は、全て補償組成近傍になるようにCoお
よびCrの量を調整し、キュリー温度は、第1の磁性層
が210℃、第2の磁性層が120℃、第3の磁性層が
290℃程度となるように設定した。このディスクを成
膜チャンバーからミリング装置に移し、真空に排気し
た。イオン引き出し開口部の大きさは、直径120mmで
ある。その後、イオン化室にArガスを導入し、イオン
ビーム電圧600V、ビーム電流200mAで350s
ecの間Arイオンでミリングを行った後、Arに代え
てXeをイオン化室に導入し、同じビーム電圧、ビーム
電流で150sec間Xeイオンミリングを行い、トー
タル500secのイオンミリングを行った。その後、
同じチャンバー内で保護膜としてSiNを50nm、放
熱層としてAlを30nm形成した。このディスクを成
膜チャンバーから取り出して膜面上にUV硬化樹脂保護
コートを形成した。
【0035】<比較例1>Xeイオンを用いないでAr
イオンのみで500secミリングを行い、それ以外は
実施例1と同様のサンプルを作製した。
【0036】<比較例2>Arイオンを用いないでXe
イオンのみで530secミリングを行い、それ以外は
実施例1と同様のサンプルを作製した。
【0037】このようにして作製した各サンプルをレー
ザー波長680nm、対物レンズNA0.55の光学ヘ
ッドを持つドライブ装置にセットし、線速1.5m/s
で回転させ、半径35mmの位置で記録特性の測定を行
った。摺動型磁気ヘッドにより磁界を5MHzで変調し
ながら、ランド上に記録用にDCレーザーを照射して、
マーク長0.15μmの繰り返しパターンを磁界変調記
録した。
【0038】この信号を再生パワー2.5mWで再生
し、ジッターの記録パワー依存性を各サンプルについて
比較した。ジッターの測定は、タイムインターバルアナ
ライザーを用いて行った。得られたアナログ信号波形を
DCレベルでスライスして2値化して、立ち上がりエッ
ジのインターバルを測定した。そして、すべてのデータ
パターンに対する105サンプルでの相対ジッター分布
を導出し、ジッターマージンの記録パワー依存性を各サ
ンプルについて比較した。ここでは、通常の1ビーム光
学系で評価し、再生ビーム自身による加熱で、磁壁を移
動させるための温度勾配を形成した。実施例1及び比較
例1、2のサンプルともに、記録パワーを4mW以上に
したとき、磁壁移動再生が行われた。
【0039】実施例1のサンプルのジッターは、比較例
1のサンプルに比べて0.5ns以上向上し8.5ns
であった。これは、比較例2のジッターと同等であっ
た。
【0040】また、実施例1、比較例1および2のラン
ド、グルーブおよび傾斜部における膜構造を観察したと
ころ、各例とも傾斜部の第1〜第3磁性層からなる記録
層は除去されていた。また、実施例1と比較例2のラン
ド及びグルーブの表面は、比較例1のそれぞれの表面よ
り平滑であった。また、実施例1及び比較例2の傾斜部
は同等であり、比較例1より荒れが小さくなっていた。
【0041】実施例1及び比較例1のサンプルともに、
所定パワー以上の記録パワーを照射して、記録トラック
とその両側の傾斜部にまたがる形で記録時の加熱領域を
形成しても磁性膜が溝側壁に存在しないため、磁区の側
壁に磁壁が存在せず、記録トラック上の前後の磁壁が実
質的に分離している磁区として記録マークを形成するこ
とができる。このために、記録トラック上の磁壁を温度
勾配によってトラック方向に安定に移動させることがで
きる。
【0042】上述の結果はランド上に記録し再生したも
のであるが、グルーブ上に記録して再生した場合、実施
例1のジッターの値としては、6.4nsで比較例2の
ジッターと同等であり、比較例1のジッターの値は7.
4nsであり、実施例1の方が1ns良くなっていた。
次に、クロスライトパワーマージンを測定した。ランド
及びグルーブ部のビットエラーレートを隣接トラックの
記録パワーを変えて測定し、1×10-3以下となる隣接
トラックの記録パワー範囲を求めた。その結果、実施例
1の情報記録媒体についてランド部が+/−20%以
上、グルーブ部が+/−26%以上で実用上十分なマー
ジンがあることがわかった。比較例2については同等な
結果である。比較例1についてはジッターの値が実施例
1より悪いのでランド部及びグルーブ部のそれぞれのマ
ージンが実施例1より5%小さくなった。
【0043】<実施例2、比較例3および4>実施例1
において、情報記録媒体を特開2000−187897
号公報に開示されているような光磁気記録媒体とした。
すなわち基板上に誘電体層、再生層、再生補助層、非磁
性層、記録層、保護層がその順で形成された光磁気記録
媒体とした。
【0044】これ以外は、実施例1と同様な製造方法で
サンプルを作製した。また比較例3として比較例1と同
様に、比較例4として比較例2と同様に、サンプルを作
製した。
【0045】これらのサンプルを実施例1と同様の評価
システムで評価した。但し、マーク長は、0.35μm
である。
【0046】まずランド上での評価を行った。再生パワ
ー1.5mWで再生し、得られたアナログ信号波形をD
Cレベルでスライスして2値化して、立ち上がりエッジ
のインターバルを測定した。実施例2のサンプルのジッ
ターは、比較例4と同等の値で、比較例3のジッターよ
り1nsよい結果であった。次にクロスライトに対する
効果を調べた。まずランド上にマーク長0.35μmの
繰り返しパターンを記録して初期のキャリアレベルを測
定し、その後、隣接するグルーブ上にトラッキングサー
ボをかけてDCレーザーを照射した後、ランド上にトラ
ッキングサーボを戻してキャリアレベルを測定した。こ
のときのキャリアレベルの初期レベルからの変化の、隣
接するグルーブ上で照射したDCレーザーパワーに対す
る依存性を調べた。実施例2のサンプルは、クロスライ
トに対するパワーマージンは実施例1と同様な評価をし
た結果、実用上問題無いレベルであった。比較例4につ
いては、実施例2と同等なパワーマージンであった。比
較例3については、実施例2よりパワーマージンが6%
小さくなっていた。
【0047】また、実施例2のグルーブ上にランド部と
同様な記録を行って、ジッターマージンやクロスライト
/クロスイレース、隣接トラックからのクロストークを
調べたが、ランドと同等で問題ないレベルであった。
【0048】また、実施例2、比較例3および4のラン
ド、グルーブおよび傾斜部における膜構造を観察したと
ころ、各例とも傾斜部の再生層から記録層までの4層が
除去されていた。また、実施例2と比較例4のランド及
びグルーブの表面は、比較例3のそれぞれの表面より平
滑であった。また、実施例2及び比較例4の傾斜部は同
等であり、比較例3より荒れが小さくなっていた。
【0049】<実施例3、比較例5および6>実施例1
において、基板のグルーブのピッチを0.9μmとし
て、下地層のSiNを40nm形成した以外は、実施例
1と同様な方法で実施例3と比較例5、6のサンプルを
作成した。実施例1で用いた評価機の代わりにレーザー
波長405nmの評価機を用いて、ジッターの記録パワ
ーマージン及びクロスライトパワーマージンを評価し
た。その結果、実施例1と同様に実施例3のサンプルは
比較例6と同等の特性であり、記録パワーマージン及び
クロスライトパワーマージンが比較例5に比べて向上し
ていた。
【0050】また、実施例3、比較例5および6のラン
ド、グルーブおよび傾斜部における膜構造を観察したと
ころ、各例とも傾斜部の第1〜第3磁性層からなる記録
層は除去されていた。また、実施例3と比較例6のラン
ド及びグルーブの表面は、比較例5のそれぞれの表面よ
り平滑であった。また、実施例3及び比較例6の傾斜部
は同等であり、比較例5より荒れが小さくなっていた。
【0051】なお、イオンミリングに要するコストにつ
いては、実施例1、2および3のコストは、Arのみ使
用した比較例の略40倍にとどまり、Xeのみを使用し
た比較例の略1/3程度であった。
【0052】
【発明の効果】以上詳細に説明したように、本発明の第
1の効果は、従来の製造設備を用い、安価な手段により
特性の改善された情報記録媒体の製造が可能なことであ
る。その結果、複雑なレーザー駆動により記録補償を行
うことなしに、望ましい記録マークが形成可能となり、
良好な再生特性が得られることにある。特に、マークエ
ッジ記録を行った場合、検出されるエッジ信号のジッタ
ーが抑制され、動作マージンが拡大する。また、トラッ
ク間での動作時の熱的干渉が抑制される。この結果とし
て、高密度化可能となり、また、媒体ならびに記録装置
を低コスト化することができる。
【0053】本発明の第2の効果は、特開平6−290
496に開示されている光磁気記録媒体と組み合わせた
場合において、単純な媒体製造方法により、記録マーク
の前方境界部の磁壁と後方境界部の磁壁とを分離独立し
て形成させることが可能となり、コストアップすること
なく、超高密度再生特性を向上させることである。ま
た、レーザー波長が短波長になった場合でも効果が得ら
れ、さらなる高密度化が可能である。
【図面の簡単な説明】
【図1】イオンミリング装置模式図である。
【図2】マグネトロンスパッタによる溝への膜付着模式
断面図である。
【図3】マグネトロンスパッタによる深溝への膜付着模
式断面図である。
【図4】本発明により製造される情報記録媒体の模式断
面図である。
【符号の説明】
1 基板 2 膜 3 グルーブ 4 傾斜部 5 ランド 6 傾斜角度 10 イオン化室 11 イオン引出しグリッド 12 イオン閉じ込めグリッド
フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) G11B 11/105 546 G11B 11/105 546G

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 情報記録媒体の情報トラックの両側に、
    該情報トラック面に対して非平行な面を有する傾斜部が
    設けられた基板上に、少なくとも1層の記録層を含む複
    数の層を形成する層形成工程と、該層形成工程において
    形成され、該傾斜部に存在する記録層およびその上側の
    層を、不活性軽イオンによりイオンミリングした後、不
    活性重イオンによりイオンミリングすることにより除去
    する除去工程を有することを特徴とする情報記録媒体の
    製造方法。
  2. 【請求項2】 該不活性軽イオンがArイオンであり、
    該不活性重イオンがXeイオンである請求項1に記載の
    情報記録媒体の製造方法。
  3. 【請求項3】 該除去工程において、該層形成工程にお
    いて形成された層の上にマスク層を設けた後にイオンミ
    リングを行う請求項1または2に記載の情報記録媒体の
    製造方法。
  4. 【請求項4】 該マスク層が炭素からなる層である請求
    項1〜3のいずれか1項に記載の情報記録媒体の製造方
    法。
  5. 【請求項5】 該複数の層が少なくとも第1、第2の磁
    性層がこの順に形成されたものであり、該第1の磁性層
    は周囲温度近傍において該第2の磁性層に比べて相対的
    に磁壁抗磁力が小さく磁壁移動度の大きな垂直磁化膜か
    らなり、該第2の磁性層は垂直磁化膜であり、該第1及
    び第2の磁性層は磁気的に結合している情報記録媒体を
    請求項1〜4のいずれかに記載の方法により製造するこ
    とを特徴とする情報記録媒体の製造方法。
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Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2015122473A (ja) * 2013-11-20 2015-07-02 東京エレクトロン株式会社 被エッチング層をエッチングする方法

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* Cited by examiner, † Cited by third party
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JP2015122473A (ja) * 2013-11-20 2015-07-02 東京エレクトロン株式会社 被エッチング層をエッチングする方法

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