JP2004127436A - 情報記録媒体及びその製造方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】表面記録再生方式において、反射層又は放熱層の膜の表面に形成される保護層又は記録層が疎な膜となって、光学特性や磁気特性等が変わり記録時や再生時にノイズの原因となったりするのを無くす。
【解決手段】ヘッダーとデータ記録再生を行うランド及びグルーブとを設けた基板1に、金属層2、第1保護層3、記録層4、第2保護層5をこの順に積層して多層膜を形成し、膜面側から記録再生を行う情報記録媒体の製造方法において、金属層2を形成した後、前記金属層2表面に電界により加速された粒子を照射した後、金属層2、第1保護層3、記録層4、第2保護層5を形成する。反射層又は放熱層としての金属層2の膜表面が平坦化され、その上に形成される保護層又は記録層が疎な膜となるのを防ぐことができる。
【選択図】 図1
【解決手段】ヘッダーとデータ記録再生を行うランド及びグルーブとを設けた基板1に、金属層2、第1保護層3、記録層4、第2保護層5をこの順に積層して多層膜を形成し、膜面側から記録再生を行う情報記録媒体の製造方法において、金属層2を形成した後、前記金属層2表面に電界により加速された粒子を照射した後、金属層2、第1保護層3、記録層4、第2保護層5を形成する。反射層又は放熱層としての金属層2の膜表面が平坦化され、その上に形成される保護層又は記録層が疎な膜となるのを防ぐことができる。
【選択図】 図1
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、情報記録媒体及びその製造方法に関し、特に光磁気記録媒体の両面に記録することを可能にし、記録磁区をより微小化して高い密度の記録容量を有する光磁気記録媒体とその製造方法を提供することに関する。
【0002】
【従来の技術】
光記録媒体は、大容量・高密度記録が可能な可搬型記録媒体であり、近年のマルチメディア化に伴うコンピュータやテレビ等における動画の大容量保存ファイルを記録する書き換え型媒体として広く使われている。従来の書き換え型光記録媒体は、一般に射出成形により得られた円盤状のプラスチック基板に記録層を含む多層膜を形成し、プラスチック基板側からレーザーを照射して、記録、再生、消去を行っていた。近年、記録層に光ヘッドを近づけて記録再生を行う、表面記録再生方式が高密度記録の手段として注目されている。この表面記録再生方式では、光学ヘッドを記録媒体に近づける必要があるために、従来の光記録媒体のように基板を通して記録層にレーザービームを照射するのではなく、基板を通さずに直接膜面側から記録層にレーザービームを照射する方法を用いる。
【0003】
すなわち、従来の光記録媒体では、多層膜の構成が、基板/第1保護層/記録層/第2保護層/反射層となっているのが一般的であるのに対して、表面記録媒体では例えば、基板/反射層/第2保護層/記録層/第1保護層という逆構成となっている。
【0004】
ところで、光記録媒体においては、記録や再生時に光を所定の場所に導くためにトラッキングとフォーカスという機構が採用されている。その仕組みを構成する要素として通常媒体上に案内溝と呼ばれる溝が形成されている。この溝は通常記録には使われない。しかし、近年高密度化するために特開平6−349073号公報に開示されているようにこの溝(グルーブと呼ぶ)にも記録をすること(ランド/グルーブ記録方式と呼ぶ)が提案されている。この場合、グルーブの底面はランド表面及び基板表面に対して平行な平面である。グルーブは情報トラックが形成されている側から見て凹となっている部分をいう。さらに高密度化を図るためにトラックピッチを小さくして狭トラックを図ることが考えられるが、その際隣接するトラックのデータを破壊しないための工夫として特開平9−161321号公報に開示されているようにランド部とグループ部の段差すなわち溝深さを深くすることが提案されている。
【0005】
また、媒体の高密度化の工夫としては、次のような提案がなされている。
【0006】
光学的状態の変化をレーザービームの照射加熱により生起させる記録モードにおいては、形成される状態変化領域(記録マーク)の大きさや形状は、局所的な加熱によって記録層上に誘起される温度分布によって決まる。記録層上に誘起される温度分布は膜面方向の熱拡散の影響を受けるため、単位時間当たりの入射熱量を一定にして定線速で加熱領域を移動させた場合でも、移動距離や直前に加熱した領域からの距離の違いによって、形成される温度分布は複雑な変化の仕方をする。
【0007】
このため、単純に情報に対応させた加熱操作を行うと、情報パターンによって形成されるマークの幅が変動してしまう。このようなマーク列を光ビームの走査によって時系列的に読み出すと、マーク検出のタイミングジッターが増大するため、元の情報を正しく再生できない危険性がある。この問題を回避するため、単位時間当たりの入射熱量や、加熱時間等を情報パターンに応じて調整する記録補償方式が種々提案されているが、この場合記録手段が複雑化するという問題がある。
【0008】
そこで、特開平6−290496号公報においては、第1の磁性層、第2の磁性層、及び第3の磁性層が順次積層され、第3の磁性層は、第1の磁性層に比べて相対的に磁壁抗磁力が小さく、第2の磁性層は第1の磁性層及び第3の磁性層よりもキュリー温度の低い光磁気記録媒体、及びこの光磁気記録媒体を用いて記録マークの境界部に存在する第3の磁性層の磁壁を温度勾配によって移動させて、この磁壁移動に伴う磁化反転を、反射光の偏光状態の変化として検出する高密度記録再生方法が提案されている。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
ところが、従来とは逆の順序で膜を形成すると、記録層に従来とは異なった現象が生じる。例えば、反射層又は放熱層を有する媒体の場合、反射層又は放熱層の材料として通常アルミ又はアルミ合金が用いられるが、これらの膜は、膜表面が粗くなりその上に形成される保護層又は記録層がその膜表面の状態を反映した疎な膜となる。そのため、保護層又は記録層の構造が疎な膜となり、膜の光学特性や磁気特性等が従来と異なり記録時や再生時にノイズの原因となったり、記録マークの形状が一様でなかったりして、記録再生特性が従来より悪くなったり、マージンが少ないという問題があった。また、保護層が疎な膜であるため、保護層の性能が従来より悪くなり耐久性に問題があった。
【0010】
そこで、本発明の目的は、表面記録再生方式において、反射層又は放熱層の膜の表面が粗くなりその上に形成される保護層又は記録層が疎な膜となるのを防ぐことにより、膜の光学特性や磁気特性等が変わり記録時や再生時にノイズの原因となったりするのを無くすことであり、また、保護層の性能が悪くなり耐久性が悪化することを防ぐ情報記録媒体及びその製造方法を提供することである。
【0011】
【課題を解決するための手段】
本発明者は、上記課題に鑑み、鋭意検討を重ねた結果、本発明を完成するに至った。すなわち、本発明の情報記録媒体は、ヘッダーとデータ記録再生を行うランド及びグルーブとを設けた基板に、少なくとも金属層、記録層、保護層をこの順に積層した多層膜が形成され、膜面側から記録再生を行う情報記録媒体において、膜面側の前記金属層表面は、電界により加速された粒子により照射された表面である。
【0012】
また、本発明の情報記録媒体の製造方法は、ヘッダーとデータ記録再生を行うランド及びグルーブとを設けた基板に、少なくとも金属層、記録層、保護層をこの順に積層して多層膜を形成し、膜面側から記録再生を行う情報記録媒体の製造方法において、金属層を形成した後、前記金属層表面に電界により加速された粒子を照射した後、記録層、保護層を形成する。
【0013】
【発明の実施の形態】
以下に、本発明の実施の形態について図面を参照して説明する。
【0014】
図1は、本発明の情報記録媒体としての光記録媒体の一例を示す模式断面図である。基板1の上に金属層2、第1保護層3、記録層4、第2保護層5をこの順に積層している。第1保護層3は、熱的特性の観点から設けられているが、なくてもよい。第2保護層5の上に、カーボンに水素や窒素を添加させたダイヤモンドライクカーボン等の固体潤滑層を積層してもよい。また、紫外線硬化樹脂接着層を介して、0.1mm等の薄いカバー層を設けてもよい。紫外線硬化樹脂のみの薄い層を設けてもよい。
【0015】
基板1は、ヘッダーとデータ記録再生を行うランド及びグルーブとが設けられており、材料として樹脂、ガラス、又は、金属板を用いることができる。樹脂としては、機械特性、転写性等の光ディスク基板の特性を満たす熱可塑性樹脂であれば、特に限定されず、例えば、ポリカーボネート、ポリメチルメタクリレート、アモルファスポリオレフィン等が使用可能である。金属板の場合は,光硬化型樹脂を用いて溝を形成してもよい。
【0016】
情報記録媒体を構成する材料としては、誘電体材料、アルミ等の金属材料、希土類−遷移金属に代表される光磁気材料、GeSbTeに代表される相変化材料等公知の材料が使える。これらの材料を用いた情報記録媒体の各層の形成方法は、従来のマグネトロンスパッタ法や蒸着法、CVD法等の公知の方法が使える。溝幅や溝深さは再生時や記録時に使用するレーザービームの波長、情報記録媒体の記憶容量、クロスイレース/クロスライトのパワーマージン、クロストークのマージン、基板の製造マージン等を考慮して決められる。
【0017】
また、電界による粒子を加速する手段としては、イオンミリングやイオンビーム発生に用いられているイオン源、RFバイアススパッタエッチングがある。このイオン源を用いる方法においては、基板表面の帯電を防止するために、イオンを中性化する方法が一般的である。基板表面における反応を起さないために、加速する粒子としては、Ar、Kr、Xe、Ne、He等の不活性元素が用いられる。イオンを照射する(ミリングと呼ぶ)際にイオンとしてArイオンを用いると、Arは原子半径が情報記録媒体の記録層に使われている材料と同程度のため、ミリングする際にその膜構造を反映したものになるものと考える。Arの他に、NeやHeを用いてもよいが、Arよりミリングレートが遅いので、Arを使用することが望ましい。さらに、KrやXeはArより原子半径が大きく、Arより重たいので、ミリングする際に表面近傍の元素を弾き飛ばすより打ち込む効果が出て、表面を平坦化する効果がある。この効果はKrよりXeの方が顕著である。金属材料の種類により、これらの不活性原子を適宜選択すればよい。本発明の目的の一つは、表面性の改善であるため,膜厚が熱的特性に影響を及ぼすほど照射する必要はない。イオンは、単体でもよいし、混合したものでもよい。基板の溝深さや溝形状によっては、指向性のないRFバイアススパッタエッチングを用いてもよい。その際のガス種は、上記と同様なものが使える。
【0018】
【実施例】
[実施例1]
基板表面にトラックピッチ0.45μmのランド/グルーブ部を有するφ86mmのポリカーボネート基板1上に、金属層2、第1保護層3、記録層4、第2保護層5を順次この順で積層した。溝深さは、100nmとした。金属層2として、膜厚50nmのAlCr合金をマグネトロンスパッタ装置により形成した後、イオンビームを用いて該AlCr膜表面をミリングした。用いたイオンは、Xeイオンである。イオン引き出し開口部の大きさは、直径120mmであり、イオンビーム電流は、200mA、ビーム電圧は600Vであった。照射時間は、20secであった。ビーム電流、ビーム電圧、照射時間は、膜表面のSEM観察やAFMによる観察及び磁気特性及び記録再生特性を評価して実験的に求められる。
【0019】
その後、この上に、第1保護層3として、Siターゲットを用いてArとN2の混合ガス雰囲気中でDCマグネトロンスパッタ法により、膜厚30nmのSiN膜を形成し、さらにこの上に形成される記録層4として膜厚25nmのTbFeCoをDCマグネトロンスパッタ法により形成した。その後、第2の保護層5として膜厚90nmのSiN膜を形成した。その後、紫外線硬化樹脂を用いて、0.1mmのポリカーボネートシートを貼り合わせた。比較例1として、AlCr膜表面をミリング処理しないで連続して実施例1と同様な第1保護層3、記録層4、第2保護層5を順次形成した光磁気記録媒体を作成した。これらの媒体を光ヘッドと磁気ヘッドコイルを一体にした光磁気ヘッドによって記録再生を行って評価、比較した。
【0020】
記録は、レーザービームを一定のパルス状に照射しながら外部磁界を記録信号に応じて変調させて記録を行う光磁界変調方式を用いて行った。レーザー波長は、650nm、NAは、0.85の光ヘッドを用いた。記録マーク長は、0.5μで行った。再生は同じヘッドを用い、CN比が最もよくなる再生パワーで行った。実施例1の媒体は、比較例1に比べて5dB以上良かった。
【0021】
[実施例2]
基板表面にトラックピッチ0.45μmのランド/グルーブ部を有するφ86mmのポリカーボネート基板1上に、金属層2、第1保護層3、記録層4、第2保護層5を順次この順で積層した。溝深さは、160nmとした。金属層2として、膜厚60nmのAlCr合金をロングスロースパッタ装置により形成した後、イオンビームを用いて該AlCr膜表面をミリングした。用いたイオンは、Xeイオンである。イオン引き出し開口部の大きさは、直径120mmであり、イオンビーム電流は、200mA、ビーム電圧は600Vであった。照射時間は、40secであった。この際、ランド部膜厚が、50nmとなるようにした。ビーム電流、ビーム電圧、照射時間は、磁気特性及び記録再生特性を評価して実験的に求められる。ミリングによる副次的効果として、溝傾斜部のAlCr膜厚が薄くなる。そのため、クロスライト、クロスイレースに対するパワーマージンが増える。
【0022】
その後、この上に、第1保護層3として、Siターゲットを用いてArとN2の混合ガス雰囲気中でロングスロースパッタ法により、膜厚30nmのSiN膜を形成し、さらにこの上に形成される記録層4として膜厚25nmのTbFeCoをロングスロースパッタ法により形成した。その後、第2の保護層5として膜厚90nmのSiN膜を形成した。その後、紫外線硬化樹脂を用いて、0.1mmのポリカーボネートシートを貼り合わせた。比較例2として、AlCr膜表面をミリング処理しないで連続して実施例2と同様な媒体を作成した。記録再生の評価は、実施例1と同様な条件で行ったが、クロスライトパワーマージンの評価を追加した。実施例2の媒体は、比較例2に比べてCN比が5dB以上良く、クロスライトパワーマージンも比較例2に比べて、+/−3%以上良かった。
【0023】
[実施例3]
図2は、本発明の実施例3,4の光記録媒体を示す模式断面図である。
【0024】
本実施例の製造方法を、特開平6−290496号公報に提案されている記録媒体に適用した例について説明する。
【0025】
この場合、記録層として少なくとも、第1、第2、第3の磁性層(4a,4b,4c)が順次積層されている磁性多層膜を用いる。第3の磁性層4cは、周囲温度近傍の温度において、第1の磁性層4cに比べて相対的に磁壁抗磁力が小さい磁性膜からなり、第2の磁性層4bは、第1及び第3の磁性層4a,4cよりもキュリー温度の低い磁性膜からなり、第1の磁性層4aは垂直磁化膜からなっている。第3の磁性層4cには第2の磁性層4b側に近いほどキュリー温度が低下するように膜厚方向にキュリー温度の勾配を付与してもよい。
【0026】
基板表面にランドのピッチが0.45μmのランド/グルーブ部を有するφ86mmのポリカーボネート基板1上に、金属層2からなる放熱層、第1保護層3、磁性層4a,4b,4c、第2保護層5を順次この順で積層した。溝深さは、40nmとした。金属層2として、膜厚50nmのAlCr合金をマグネトロンスパッタ装置により形成した後、イオンビームを用いて該AlCr膜表面をミリングした。用いたイオンは、Xeイオンである。イオン引き出し開口部の大きさは、直径120mmであり、イオンビーム電流は、200mA、ビーム電圧は600Vであった。照射時間は、20secであった。ビーム電流、ビーム電圧、照射時間は、磁気特性及び記録再生特性を評価して実験的に求められる。
【0027】
その後、この上に、第1保護層3として、Siターゲットを用いてArとN2の混合ガス雰囲気中でDCマグネトロンスパッタ法により、膜厚30nmのSiN膜を形成した。引き続き真空を破らないでターゲットを変えて各磁性層の構成元素からなる合金ターゲットを用いて磁性層を成膜した。第1の磁性層4aとしてTbFeCoCr層を80nm、第2の磁性層4bとしてTbFeCr層を10nm、第3の磁性層4cとしてGdFeCoCr層を30nm順次成膜した。
【0028】
上記膜厚は、グルーブ部上の膜厚である。各磁性層の組成は、全て補償組成近傍になるようにCo及びCrの量を調整し、キュリー温度は、第3の磁性層4cが210℃、第2の磁性層4bが120℃、第1の磁性層4aが290℃程度となるように設定した。その後、第2の保護層5として膜厚35nmのSiN膜を形成した。その後、紫外線硬化樹脂を用いて、0.1mmのポリカーボネートシートを貼り合わせた。比較例3として、AlCr膜表面をミリング処理しないで連続して実施例3と同様な第1保護層、磁性層、第2保護層を順次形成した光磁気記録媒体を作成した。これらの媒体を光ヘッドと磁気ヘッドコイルを一体にした光磁気ヘッドによって記録再生を行って評価、比較した。
【0029】
記録は、レーザービームを一定のパルス状に照射しながら外部磁界を記録信号に応じて変調させて記録を行う光磁界変調方式を用いて行った。レーザー波長は、410nm、NAは、0.85の光ヘッドを用いた。記録マーク長は、0.15μで行った。この際、ランド部をアニールすることにより磁壁移動による再生特性の最適化を図った。再生は同じヘッドを用い、CN比が最もよくなる再生パワーで行った。実施例3の媒体は、著しく高いCN比が得られた。それに対して、比較例3の媒体は、再生信号が不十分で実用レベルに達していなかった。比較例3の媒体は、マーク長0.4μ以上で実用レベルのCN比が得られた。
【0030】
[実施例4]
実施例3において、イオンミリングの代わりにXeガスを用い、RFバイアススパッタエッチングを行った以外は、実施例3と同様な光磁気記録媒体を作成した。エッチング条件は、RFパワー100w、圧力0.5Pa、時間は、60secであった。記録再生の評価結果は実施例3と同等であった。
【0031】
[実施例5]
基板表面にトラックピッチ0.45μmのランド/グルーブ部を有するφ86mmのポリカーボネート基板1上に、金属層2、第1保護層3、記録層4、第2保護層5を順次この順で積層した。溝深さは、100nmとした。金属層2として、膜厚150nmのAlCr合金をマグネトロンスパッタ装置により形成した後、イオンビームを用いて該AlCr膜表面をミリングした。用いたイオンは、Xeイオンである。イオン引き出し開口部の大きさは、直径120mmであり、イオンビーム電流は、200mA、ビーム電圧は600Vであった。照射時間は、20secであった。
【0032】
その後、この上に、第1保護層3として、ZnS:SiO2を20nm、記録層4としてGe22Sb25Te53を20nm、第2保護層5として、ZnS:SiO2を70nm形成した。その後、紫外線硬化樹脂を用いて、0.1mmのポリカーボネートシートを貼り合わせた。比較例4として、AlCr膜表面をミリング処理しないで連続して実施例5と同様な第1保護層、記録層、第2保護層を順次形成した相変化記録媒体を作成した。これらの媒体を相変化光ヘッドにより記録再生を行って評価、比較した。レーザー波長は、410nm、NAは、0.85の光ヘッドを用いた。記録マーク長は、0.15μで行った。実施例5の媒体は、比較例4に比べて3dB以上良かった。
【0033】
上記実施例は、本発明を適用した例の一部であり、他の構成の媒体に適用しても構わない。
【0034】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明の情報記録媒体及びその製造方法によれば、表面記録再生方式において、反射層又は放熱層の膜の表面が粗くなりその上に形成される保護層又は記録層が疎な膜となるのを防ぐことにより、記録時や再生時にノイズの原因となったり、記録マークの形状が一様でなかったりして、記録再生特性が従来より悪くなるということがなく、マージンが少ないということもなく、基板側記録再生方式と同等の性能を確保することができる。また、保護層の性能が悪くなり耐久性が悪化することを防ぎ、従来より高密度化された情報記録媒体及びその製造方法の提供が可能である。さらに、煩雑で特殊な工程を用いることなくコスト的に十分実用レベルである情報記録媒体及びその製造方法を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の光記録媒体を示す模式断面図
【図2】本発明の実施例3,4の光記録媒体を示す模式断面図
【符号の説明】
1 基板
2 金属層
3 第1保護層
4 記録層
4a 第1の磁性層
4b 第2の磁性層
4c 第3の磁性層
5 第2保護層
【発明の属する技術分野】
本発明は、情報記録媒体及びその製造方法に関し、特に光磁気記録媒体の両面に記録することを可能にし、記録磁区をより微小化して高い密度の記録容量を有する光磁気記録媒体とその製造方法を提供することに関する。
【0002】
【従来の技術】
光記録媒体は、大容量・高密度記録が可能な可搬型記録媒体であり、近年のマルチメディア化に伴うコンピュータやテレビ等における動画の大容量保存ファイルを記録する書き換え型媒体として広く使われている。従来の書き換え型光記録媒体は、一般に射出成形により得られた円盤状のプラスチック基板に記録層を含む多層膜を形成し、プラスチック基板側からレーザーを照射して、記録、再生、消去を行っていた。近年、記録層に光ヘッドを近づけて記録再生を行う、表面記録再生方式が高密度記録の手段として注目されている。この表面記録再生方式では、光学ヘッドを記録媒体に近づける必要があるために、従来の光記録媒体のように基板を通して記録層にレーザービームを照射するのではなく、基板を通さずに直接膜面側から記録層にレーザービームを照射する方法を用いる。
【0003】
すなわち、従来の光記録媒体では、多層膜の構成が、基板/第1保護層/記録層/第2保護層/反射層となっているのが一般的であるのに対して、表面記録媒体では例えば、基板/反射層/第2保護層/記録層/第1保護層という逆構成となっている。
【0004】
ところで、光記録媒体においては、記録や再生時に光を所定の場所に導くためにトラッキングとフォーカスという機構が採用されている。その仕組みを構成する要素として通常媒体上に案内溝と呼ばれる溝が形成されている。この溝は通常記録には使われない。しかし、近年高密度化するために特開平6−349073号公報に開示されているようにこの溝(グルーブと呼ぶ)にも記録をすること(ランド/グルーブ記録方式と呼ぶ)が提案されている。この場合、グルーブの底面はランド表面及び基板表面に対して平行な平面である。グルーブは情報トラックが形成されている側から見て凹となっている部分をいう。さらに高密度化を図るためにトラックピッチを小さくして狭トラックを図ることが考えられるが、その際隣接するトラックのデータを破壊しないための工夫として特開平9−161321号公報に開示されているようにランド部とグループ部の段差すなわち溝深さを深くすることが提案されている。
【0005】
また、媒体の高密度化の工夫としては、次のような提案がなされている。
【0006】
光学的状態の変化をレーザービームの照射加熱により生起させる記録モードにおいては、形成される状態変化領域(記録マーク)の大きさや形状は、局所的な加熱によって記録層上に誘起される温度分布によって決まる。記録層上に誘起される温度分布は膜面方向の熱拡散の影響を受けるため、単位時間当たりの入射熱量を一定にして定線速で加熱領域を移動させた場合でも、移動距離や直前に加熱した領域からの距離の違いによって、形成される温度分布は複雑な変化の仕方をする。
【0007】
このため、単純に情報に対応させた加熱操作を行うと、情報パターンによって形成されるマークの幅が変動してしまう。このようなマーク列を光ビームの走査によって時系列的に読み出すと、マーク検出のタイミングジッターが増大するため、元の情報を正しく再生できない危険性がある。この問題を回避するため、単位時間当たりの入射熱量や、加熱時間等を情報パターンに応じて調整する記録補償方式が種々提案されているが、この場合記録手段が複雑化するという問題がある。
【0008】
そこで、特開平6−290496号公報においては、第1の磁性層、第2の磁性層、及び第3の磁性層が順次積層され、第3の磁性層は、第1の磁性層に比べて相対的に磁壁抗磁力が小さく、第2の磁性層は第1の磁性層及び第3の磁性層よりもキュリー温度の低い光磁気記録媒体、及びこの光磁気記録媒体を用いて記録マークの境界部に存在する第3の磁性層の磁壁を温度勾配によって移動させて、この磁壁移動に伴う磁化反転を、反射光の偏光状態の変化として検出する高密度記録再生方法が提案されている。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
ところが、従来とは逆の順序で膜を形成すると、記録層に従来とは異なった現象が生じる。例えば、反射層又は放熱層を有する媒体の場合、反射層又は放熱層の材料として通常アルミ又はアルミ合金が用いられるが、これらの膜は、膜表面が粗くなりその上に形成される保護層又は記録層がその膜表面の状態を反映した疎な膜となる。そのため、保護層又は記録層の構造が疎な膜となり、膜の光学特性や磁気特性等が従来と異なり記録時や再生時にノイズの原因となったり、記録マークの形状が一様でなかったりして、記録再生特性が従来より悪くなったり、マージンが少ないという問題があった。また、保護層が疎な膜であるため、保護層の性能が従来より悪くなり耐久性に問題があった。
【0010】
そこで、本発明の目的は、表面記録再生方式において、反射層又は放熱層の膜の表面が粗くなりその上に形成される保護層又は記録層が疎な膜となるのを防ぐことにより、膜の光学特性や磁気特性等が変わり記録時や再生時にノイズの原因となったりするのを無くすことであり、また、保護層の性能が悪くなり耐久性が悪化することを防ぐ情報記録媒体及びその製造方法を提供することである。
【0011】
【課題を解決するための手段】
本発明者は、上記課題に鑑み、鋭意検討を重ねた結果、本発明を完成するに至った。すなわち、本発明の情報記録媒体は、ヘッダーとデータ記録再生を行うランド及びグルーブとを設けた基板に、少なくとも金属層、記録層、保護層をこの順に積層した多層膜が形成され、膜面側から記録再生を行う情報記録媒体において、膜面側の前記金属層表面は、電界により加速された粒子により照射された表面である。
【0012】
また、本発明の情報記録媒体の製造方法は、ヘッダーとデータ記録再生を行うランド及びグルーブとを設けた基板に、少なくとも金属層、記録層、保護層をこの順に積層して多層膜を形成し、膜面側から記録再生を行う情報記録媒体の製造方法において、金属層を形成した後、前記金属層表面に電界により加速された粒子を照射した後、記録層、保護層を形成する。
【0013】
【発明の実施の形態】
以下に、本発明の実施の形態について図面を参照して説明する。
【0014】
図1は、本発明の情報記録媒体としての光記録媒体の一例を示す模式断面図である。基板1の上に金属層2、第1保護層3、記録層4、第2保護層5をこの順に積層している。第1保護層3は、熱的特性の観点から設けられているが、なくてもよい。第2保護層5の上に、カーボンに水素や窒素を添加させたダイヤモンドライクカーボン等の固体潤滑層を積層してもよい。また、紫外線硬化樹脂接着層を介して、0.1mm等の薄いカバー層を設けてもよい。紫外線硬化樹脂のみの薄い層を設けてもよい。
【0015】
基板1は、ヘッダーとデータ記録再生を行うランド及びグルーブとが設けられており、材料として樹脂、ガラス、又は、金属板を用いることができる。樹脂としては、機械特性、転写性等の光ディスク基板の特性を満たす熱可塑性樹脂であれば、特に限定されず、例えば、ポリカーボネート、ポリメチルメタクリレート、アモルファスポリオレフィン等が使用可能である。金属板の場合は,光硬化型樹脂を用いて溝を形成してもよい。
【0016】
情報記録媒体を構成する材料としては、誘電体材料、アルミ等の金属材料、希土類−遷移金属に代表される光磁気材料、GeSbTeに代表される相変化材料等公知の材料が使える。これらの材料を用いた情報記録媒体の各層の形成方法は、従来のマグネトロンスパッタ法や蒸着法、CVD法等の公知の方法が使える。溝幅や溝深さは再生時や記録時に使用するレーザービームの波長、情報記録媒体の記憶容量、クロスイレース/クロスライトのパワーマージン、クロストークのマージン、基板の製造マージン等を考慮して決められる。
【0017】
また、電界による粒子を加速する手段としては、イオンミリングやイオンビーム発生に用いられているイオン源、RFバイアススパッタエッチングがある。このイオン源を用いる方法においては、基板表面の帯電を防止するために、イオンを中性化する方法が一般的である。基板表面における反応を起さないために、加速する粒子としては、Ar、Kr、Xe、Ne、He等の不活性元素が用いられる。イオンを照射する(ミリングと呼ぶ)際にイオンとしてArイオンを用いると、Arは原子半径が情報記録媒体の記録層に使われている材料と同程度のため、ミリングする際にその膜構造を反映したものになるものと考える。Arの他に、NeやHeを用いてもよいが、Arよりミリングレートが遅いので、Arを使用することが望ましい。さらに、KrやXeはArより原子半径が大きく、Arより重たいので、ミリングする際に表面近傍の元素を弾き飛ばすより打ち込む効果が出て、表面を平坦化する効果がある。この効果はKrよりXeの方が顕著である。金属材料の種類により、これらの不活性原子を適宜選択すればよい。本発明の目的の一つは、表面性の改善であるため,膜厚が熱的特性に影響を及ぼすほど照射する必要はない。イオンは、単体でもよいし、混合したものでもよい。基板の溝深さや溝形状によっては、指向性のないRFバイアススパッタエッチングを用いてもよい。その際のガス種は、上記と同様なものが使える。
【0018】
【実施例】
[実施例1]
基板表面にトラックピッチ0.45μmのランド/グルーブ部を有するφ86mmのポリカーボネート基板1上に、金属層2、第1保護層3、記録層4、第2保護層5を順次この順で積層した。溝深さは、100nmとした。金属層2として、膜厚50nmのAlCr合金をマグネトロンスパッタ装置により形成した後、イオンビームを用いて該AlCr膜表面をミリングした。用いたイオンは、Xeイオンである。イオン引き出し開口部の大きさは、直径120mmであり、イオンビーム電流は、200mA、ビーム電圧は600Vであった。照射時間は、20secであった。ビーム電流、ビーム電圧、照射時間は、膜表面のSEM観察やAFMによる観察及び磁気特性及び記録再生特性を評価して実験的に求められる。
【0019】
その後、この上に、第1保護層3として、Siターゲットを用いてArとN2の混合ガス雰囲気中でDCマグネトロンスパッタ法により、膜厚30nmのSiN膜を形成し、さらにこの上に形成される記録層4として膜厚25nmのTbFeCoをDCマグネトロンスパッタ法により形成した。その後、第2の保護層5として膜厚90nmのSiN膜を形成した。その後、紫外線硬化樹脂を用いて、0.1mmのポリカーボネートシートを貼り合わせた。比較例1として、AlCr膜表面をミリング処理しないで連続して実施例1と同様な第1保護層3、記録層4、第2保護層5を順次形成した光磁気記録媒体を作成した。これらの媒体を光ヘッドと磁気ヘッドコイルを一体にした光磁気ヘッドによって記録再生を行って評価、比較した。
【0020】
記録は、レーザービームを一定のパルス状に照射しながら外部磁界を記録信号に応じて変調させて記録を行う光磁界変調方式を用いて行った。レーザー波長は、650nm、NAは、0.85の光ヘッドを用いた。記録マーク長は、0.5μで行った。再生は同じヘッドを用い、CN比が最もよくなる再生パワーで行った。実施例1の媒体は、比較例1に比べて5dB以上良かった。
【0021】
[実施例2]
基板表面にトラックピッチ0.45μmのランド/グルーブ部を有するφ86mmのポリカーボネート基板1上に、金属層2、第1保護層3、記録層4、第2保護層5を順次この順で積層した。溝深さは、160nmとした。金属層2として、膜厚60nmのAlCr合金をロングスロースパッタ装置により形成した後、イオンビームを用いて該AlCr膜表面をミリングした。用いたイオンは、Xeイオンである。イオン引き出し開口部の大きさは、直径120mmであり、イオンビーム電流は、200mA、ビーム電圧は600Vであった。照射時間は、40secであった。この際、ランド部膜厚が、50nmとなるようにした。ビーム電流、ビーム電圧、照射時間は、磁気特性及び記録再生特性を評価して実験的に求められる。ミリングによる副次的効果として、溝傾斜部のAlCr膜厚が薄くなる。そのため、クロスライト、クロスイレースに対するパワーマージンが増える。
【0022】
その後、この上に、第1保護層3として、Siターゲットを用いてArとN2の混合ガス雰囲気中でロングスロースパッタ法により、膜厚30nmのSiN膜を形成し、さらにこの上に形成される記録層4として膜厚25nmのTbFeCoをロングスロースパッタ法により形成した。その後、第2の保護層5として膜厚90nmのSiN膜を形成した。その後、紫外線硬化樹脂を用いて、0.1mmのポリカーボネートシートを貼り合わせた。比較例2として、AlCr膜表面をミリング処理しないで連続して実施例2と同様な媒体を作成した。記録再生の評価は、実施例1と同様な条件で行ったが、クロスライトパワーマージンの評価を追加した。実施例2の媒体は、比較例2に比べてCN比が5dB以上良く、クロスライトパワーマージンも比較例2に比べて、+/−3%以上良かった。
【0023】
[実施例3]
図2は、本発明の実施例3,4の光記録媒体を示す模式断面図である。
【0024】
本実施例の製造方法を、特開平6−290496号公報に提案されている記録媒体に適用した例について説明する。
【0025】
この場合、記録層として少なくとも、第1、第2、第3の磁性層(4a,4b,4c)が順次積層されている磁性多層膜を用いる。第3の磁性層4cは、周囲温度近傍の温度において、第1の磁性層4cに比べて相対的に磁壁抗磁力が小さい磁性膜からなり、第2の磁性層4bは、第1及び第3の磁性層4a,4cよりもキュリー温度の低い磁性膜からなり、第1の磁性層4aは垂直磁化膜からなっている。第3の磁性層4cには第2の磁性層4b側に近いほどキュリー温度が低下するように膜厚方向にキュリー温度の勾配を付与してもよい。
【0026】
基板表面にランドのピッチが0.45μmのランド/グルーブ部を有するφ86mmのポリカーボネート基板1上に、金属層2からなる放熱層、第1保護層3、磁性層4a,4b,4c、第2保護層5を順次この順で積層した。溝深さは、40nmとした。金属層2として、膜厚50nmのAlCr合金をマグネトロンスパッタ装置により形成した後、イオンビームを用いて該AlCr膜表面をミリングした。用いたイオンは、Xeイオンである。イオン引き出し開口部の大きさは、直径120mmであり、イオンビーム電流は、200mA、ビーム電圧は600Vであった。照射時間は、20secであった。ビーム電流、ビーム電圧、照射時間は、磁気特性及び記録再生特性を評価して実験的に求められる。
【0027】
その後、この上に、第1保護層3として、Siターゲットを用いてArとN2の混合ガス雰囲気中でDCマグネトロンスパッタ法により、膜厚30nmのSiN膜を形成した。引き続き真空を破らないでターゲットを変えて各磁性層の構成元素からなる合金ターゲットを用いて磁性層を成膜した。第1の磁性層4aとしてTbFeCoCr層を80nm、第2の磁性層4bとしてTbFeCr層を10nm、第3の磁性層4cとしてGdFeCoCr層を30nm順次成膜した。
【0028】
上記膜厚は、グルーブ部上の膜厚である。各磁性層の組成は、全て補償組成近傍になるようにCo及びCrの量を調整し、キュリー温度は、第3の磁性層4cが210℃、第2の磁性層4bが120℃、第1の磁性層4aが290℃程度となるように設定した。その後、第2の保護層5として膜厚35nmのSiN膜を形成した。その後、紫外線硬化樹脂を用いて、0.1mmのポリカーボネートシートを貼り合わせた。比較例3として、AlCr膜表面をミリング処理しないで連続して実施例3と同様な第1保護層、磁性層、第2保護層を順次形成した光磁気記録媒体を作成した。これらの媒体を光ヘッドと磁気ヘッドコイルを一体にした光磁気ヘッドによって記録再生を行って評価、比較した。
【0029】
記録は、レーザービームを一定のパルス状に照射しながら外部磁界を記録信号に応じて変調させて記録を行う光磁界変調方式を用いて行った。レーザー波長は、410nm、NAは、0.85の光ヘッドを用いた。記録マーク長は、0.15μで行った。この際、ランド部をアニールすることにより磁壁移動による再生特性の最適化を図った。再生は同じヘッドを用い、CN比が最もよくなる再生パワーで行った。実施例3の媒体は、著しく高いCN比が得られた。それに対して、比較例3の媒体は、再生信号が不十分で実用レベルに達していなかった。比較例3の媒体は、マーク長0.4μ以上で実用レベルのCN比が得られた。
【0030】
[実施例4]
実施例3において、イオンミリングの代わりにXeガスを用い、RFバイアススパッタエッチングを行った以外は、実施例3と同様な光磁気記録媒体を作成した。エッチング条件は、RFパワー100w、圧力0.5Pa、時間は、60secであった。記録再生の評価結果は実施例3と同等であった。
【0031】
[実施例5]
基板表面にトラックピッチ0.45μmのランド/グルーブ部を有するφ86mmのポリカーボネート基板1上に、金属層2、第1保護層3、記録層4、第2保護層5を順次この順で積層した。溝深さは、100nmとした。金属層2として、膜厚150nmのAlCr合金をマグネトロンスパッタ装置により形成した後、イオンビームを用いて該AlCr膜表面をミリングした。用いたイオンは、Xeイオンである。イオン引き出し開口部の大きさは、直径120mmであり、イオンビーム電流は、200mA、ビーム電圧は600Vであった。照射時間は、20secであった。
【0032】
その後、この上に、第1保護層3として、ZnS:SiO2を20nm、記録層4としてGe22Sb25Te53を20nm、第2保護層5として、ZnS:SiO2を70nm形成した。その後、紫外線硬化樹脂を用いて、0.1mmのポリカーボネートシートを貼り合わせた。比較例4として、AlCr膜表面をミリング処理しないで連続して実施例5と同様な第1保護層、記録層、第2保護層を順次形成した相変化記録媒体を作成した。これらの媒体を相変化光ヘッドにより記録再生を行って評価、比較した。レーザー波長は、410nm、NAは、0.85の光ヘッドを用いた。記録マーク長は、0.15μで行った。実施例5の媒体は、比較例4に比べて3dB以上良かった。
【0033】
上記実施例は、本発明を適用した例の一部であり、他の構成の媒体に適用しても構わない。
【0034】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明の情報記録媒体及びその製造方法によれば、表面記録再生方式において、反射層又は放熱層の膜の表面が粗くなりその上に形成される保護層又は記録層が疎な膜となるのを防ぐことにより、記録時や再生時にノイズの原因となったり、記録マークの形状が一様でなかったりして、記録再生特性が従来より悪くなるということがなく、マージンが少ないということもなく、基板側記録再生方式と同等の性能を確保することができる。また、保護層の性能が悪くなり耐久性が悪化することを防ぎ、従来より高密度化された情報記録媒体及びその製造方法の提供が可能である。さらに、煩雑で特殊な工程を用いることなくコスト的に十分実用レベルである情報記録媒体及びその製造方法を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の光記録媒体を示す模式断面図
【図2】本発明の実施例3,4の光記録媒体を示す模式断面図
【符号の説明】
1 基板
2 金属層
3 第1保護層
4 記録層
4a 第1の磁性層
4b 第2の磁性層
4c 第3の磁性層
5 第2保護層
Claims (10)
- ヘッダーとデータ記録再生を行うランド及びグルーブとを設けた基板に、少なくとも金属層、記録層、保護層をこの順に積層した多層膜が形成され、膜面側から記録再生を行う情報記録媒体において、膜面側の前記金属層表面は、電界により加速された粒子により照射された表面であることを特徴とする情報記録媒体。
- 前記多層膜は、金属層、第1保護層、記録層、第2保護層をこの順に積層したものであることを特徴とする請求項1に記載された情報記録媒体。
- 前記記録層が少なくとも第1の磁性層、第2の磁性層、及び第3の磁性層が順次積層され、第3の磁性層は、第1の磁性層に比べて相対的に磁壁抗磁力が小さく、第2の磁性層は第1の磁性層及び第3の磁性層よりもキュリー温度の低い磁性層からなることを特徴とする請求項1に記載された情報記録媒体。
- 前記記録層が少なくともTbFeCoからなることを特徴とする請求項1に記載された情報記録媒体。
- ヘッダーとデータ記録再生を行うランド及びグルーブとを設けた基板に、少なくとも金属層、記録層、保護層をこの順に積層して多層膜を形成し、膜面側から記録再生を行う情報記録媒体の製造方法において、金属層を形成した後、前記金属層表面に電界により加速された粒子を照射した後、記録層、保護層を形成することを特徴とする情報記録媒体の製造方法。
- 前記多層膜は、金属層、第1保護層、記録層、第2保護層をこの順に積層して形成されることを特徴とする請求項5に記載された情報記録媒体の製造方法。
- 前記電界により加速された粒子が、不活性原子からなることを特徴とする請求項5に記載された情報記録媒体の製造方法。
- 前記不活性原子が、Xe原子であることを特徴とする請求項7に記載された情報記録媒体の製造方法。
- 前記粒子を加速する手段が、イオンビーム源であることを特徴とする請求項5に記載された情報記録媒体の製造方法。
- 前記粒子を加速する手段が、RFバイアススパッタエッチング法であることを特徴とする請求項5に記載された情報記録媒体の製造方法。
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