JP2003035757A - 磁界検出装置 - Google Patents

磁界検出装置

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JP2003035757A
JP2003035757A JP2001220725A JP2001220725A JP2003035757A JP 2003035757 A JP2003035757 A JP 2003035757A JP 2001220725 A JP2001220725 A JP 2001220725A JP 2001220725 A JP2001220725 A JP 2001220725A JP 2003035757 A JP2003035757 A JP 2003035757A
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JP2001220725A
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Yutaka Nonomura
裕 野々村
Hideya Yamadera
秀哉 山寺
Norikazu Ota
則一 太田
Yuji Nishibe
祐司 西部
Atsushi Tsukada
厚志 塚田
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Toyota Central R&D Labs Inc
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 検出精度のより良い磁界検出装置10を実現
する。 【解決手段】 磁界検出装置10は、大きく分けて、X
方向磁界を検出する2つのMI素子20a、20bとY
方向磁界を検出する2つのMI素子20c、20dを持
つ磁界センサ16と、磁界センサ16の4つのMI素子
20a〜20dを駆動する駆動部(方形波発振回路1
2、パルス電流調整回路14)と、磁界センサ16の4
つのMI素子20a〜20dのインピーダンスを検出す
る検出部(負荷抵抗28a〜28d、ピークホールド回
路30a〜30d、差分回路32a、32b)と、X方
向MI素子とY方向MI素子の少なくとも一方が所定の
強度以上の磁界を検出したかを判別する判別手段43
(整流回路38a、38bと、加算回路40と、判別回
路42)で構成されている。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】 本発明は、磁界検出技術に
関する。
【0002】
【従来の技術】 例えば、通過車両や停止車両等の移動
物体や静止物体の検出、あるいは、工作機械のアームの
回転等の物体の動きに関する量を検出する目的のため
に、磁界検出装置の開発が行われている。以下では、磁
界検出装置によって通過車両や停止車両を検出する場合
を例示する。車両は大部分が鉄等の強磁性体で構成され
ているため、外部の磁界によって着磁している。車両に
着磁した磁界による影響を検出することで、通過車両あ
るいは停止車両の有無等を検出することができるはずで
ある。しかし、車両に着磁した磁界強度は、通常は地磁
気程度の微小量であるため、微小な磁界強度を検出でき
るセンサが必要とされる。この要求を満たすセンサを実
現する素子として、特開平6−283344号公報等に
開示された磁気インピーダンス効果を利用する磁界検出
素子(磁気インピーダンス(Magneto−Impedance)素
子:以下では主に「MI素子」という)が知られてい
る。従来は、1つのMI素子を備えた磁界検出装置、即
ち、ある一定方向の磁界強度が検出できる磁界検出装置
によって、車両に着磁した磁界による影響を検出してい
た。この磁界検出装置によって、例えば車両の進行方向
に向かう磁界強度を検出すると、通過車両あるいは停止
車両の有無等をある程度は精度良く検出することができ
る。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】 しかしながら、従来
の磁界検出装置によると、通過車両あるいは停止車両の
有無等を精度良く検出するには限界があった。具体的に
は、1台しか車両が通過していないのに2台の車両が通
過したものと誤って検出してしまったり、あるいは、停
止車両が存在しているのにその存在を検出できないとい
った場合があった。この誤検出あるいは検出不能の原因
が、本発明者のその後の検討によって明らかになった。
即ち、車両に着磁した磁界による影響を受ける場所であ
りながら、磁界検出装置で測定している方向に沿った磁
界についてはゼロないしゼロに極めて近い値を示す場所
があるのである。このために、従来の磁界検出装置によ
って一方向の磁界を検出して通過車両を検出しようとす
ると、1台の車両の通過中に一時的にゼロの磁界を検出
することがあり、このために、2台の車両が通過したも
のと誤検出することがある。また、磁界検出装置で測定
している方向に沿った磁界がゼロないしゼロに極めて近
い値を示す位置関係で車両が停止されていると、停止し
ている車両が検出できないのである。上記した問題は車
両に限らず、他の物体等についても起こり得る。一方向
の磁界を検出するだけでは、物体の有無等を正しく検出
できないことが起こるのである。
【0004】本発明は、上記した問題を解決するために
なされたものであり、検出精度のより良い磁界検出装置
を実現することを目的とする。
【0005】
【課題を解決するための手段および作用と効果】 本発
明の磁界検出装置は、X方向の磁界強度を検出するX方
向磁界検出素子と、X方向に直交するY方向の磁界強度
を検出するY方向磁界検出素子と、X方向およびY方向
に直交するZ方向の磁界強度を検出するZ方向磁界検出
素子のうちの少なくとも2つの磁界検出素子を備え、さ
らに、少なくとも1つの磁界検出素子が所定強度以上の
磁界を検出したか否かを判別する判別手段を備えてい
る。ここで、「磁界検出素子」としては、上記で例示し
た磁気インピーダンス素子(MI素子)の他、フラック
スゲート型、Hall効果型、MR型、GMR型等の磁
界検出素子が挙げられる。本発明者のさらなる研究によ
って、1つの磁界検出方向でみると車両に着磁した磁界
から受ける影響がゼロないしゼロに極めて近い値を示す
位置であっても、その方向と直交する方向ではむしろ逆
に大きな磁界強度を示す場合が多いという知見を得た。
例えば、図1(a)に示すように、3つの磁石を直列に
配置した場合の周辺位置(例えば直線L上)での磁界強
度は、図1(b)に示すX方向の磁界だけでみると、A
点〜E点ではゼロとなるが、Y方向の磁界は、図1
(c)に示すように、A点〜E点では逆に大きな磁界強
度を示す。同様に、図1(c)に示すY方向の磁界だけ
でみると、F点〜I点ではゼロとなるが、X方向の磁界
は、図1(b)に示すように、F点〜I点では逆に大き
な磁界強度を示す。
【0006】1台について3箇所に着磁した車両が通過
する際の磁界をX方向で検出する場合には、通過中に3
回(B、C、Dの通過時)にゼロを検出して複数車両が
通過したと誤検出する可能性がある。同様に、Y方向磁
界で検出する場合には、通過中に4回(F、G、H、I
の通過時)にゼロを検出して複数車両が通過したと誤検
出する可能性がある。これに対して、X方向磁界強度と
Y方向磁界強度が共にゼロに近いという状態から、X方
向磁界強度とY方向磁界強度の少なくとも一方はゼロで
ないという状態を経て、X方向磁界強度もY方向磁界強
度も共にゼロに近い状態に戻るときに1台の車両が通過
したとする処理をすれば、B、C、D、F、G、H、I
の通過時に誤検出する可能性を低くすることができ、1
台の車両を複数台の車両と誤検出する可能性を低くする
ことができる。また、静止している車両に対して、セン
サがたまたまB、C、D、F、G、H、Iにあっても、
検出不能となる可能性を低くすることができる。
【0007】本発明によると、X方向磁界強度とY方向
磁界強度が共にゼロに近い場合と、X方向磁界強度とY
方向磁界強度の少なくとも一方が所定強度以上のである
場合を判別することから、上記した誤検出や検出不能が
生じる可能性を低くすることができるので、検出精度の
より良い磁界検出装置が実現される。また、X方向磁界
検出素子と、Y方向磁界検出素子に加えて、X方向およ
びY方向に直交するZ方向の磁界強度を検出するZ方向
磁界検出素子を備えることで、上記したX方向磁界強度
とY方向磁界強度に加えてZ方向磁界強度も検出可能と
なるため、検出精度がさらに向上した磁界検出装置を実
現できる。
【0008】この磁界検出装置の場合、各磁界検出素子
は、検出磁界に対する出力値の変化方向が互いに逆向き
となるように配置された2つの素子で構成し、さらに、
各磁界検出素子を構成する2つの素子の出力値の差をと
る回路群を備えることが好ましい。この場合、検出磁界
に対する出力値の変化方向が逆向きとなるように配置さ
れた2つの素子の出力値の差をとるために、1つの素子
を用いる場合に比較して検出磁界に対する出力値の変化
をほぼ2倍程度にすることができる。また、2つの素子
の出力値の差をとるために、温度等が素子出力に与える
影響をほぼ相殺することができる。即ち、温度補償しな
がら感度良く磁界を検出できる。
【0009】さらに、この磁界検出装置では、判別手段
は、各磁気検出素子の出力値を整流または自乗する回路
群と、各整流または自乗回路の出力値を加算する加算回
路と、加算回路の出力値が所定値以上であるか否かを判
別する判別回路を備えることが好ましい。各整流または
自乗回路は素子出力を整流または自乗して出力するため
に、磁界方向に関係なく同じ符号に揃えられる。即ち、
+X方向の磁界も−X方向の磁界もともに同じ符号に変
換され、このようにして符号が揃えられた上で、各方向
の出力が加算される。加算結果は、磁界方向に無関係
に、磁界強度の絶対値に良く相関し、これが所定値と比
較されるために、検出結果の精度が高められる。
【0010】本発明はまた新規な磁界センサを実現し
た。この磁界センサは、X方向の磁界強度を検出するX
方向磁界検出素子と、X方向に直交するY方向の磁界強
度を検出するY方向磁界検出素子と、X方向およびY方
向に直交するZ方向の磁界強度を検出するZ方向磁界検
出素子のうちの少なくとも2つの磁界検出素子を備え、
各磁界検出素子は、検出磁界に対する出力値の変化方向
が互いに逆向きとなるように配置された2つの素子で構
成されていることを特徴とする。このセンサを用いる
と、検出磁界に対する出力値の変化方向が逆向きとなる
ように配置された2つの素子の出力値の差をとることが
できるために、1つの素子を用いる場合に比較して検出
磁界に対する出力値の変化をほぼ2倍程度にすることが
できる。また、2つの素子の出力値の差をとることがで
きるために、温度等が素子出力に与える影響をほぼ相殺
することができる。
【0011】前記した磁界センサは、X方向磁界検出素
子を構成する2つの素子を原点を隔ててX軸上に配置
し、Y方向磁界検出素子を構成する2つの素子を原点を
隔ててY軸上に配置し、さらに、その4つの素子が配置
されたXY平面に接してXY平面内で伸びるバイアス磁
石が設けることで実現される。そのバイアス磁石は、原
点側で同一極に着磁され、周辺側で異極に着磁されてい
るものとする。この場合、X方向磁界検出素子を構成す
る2つの素子に対して、反対方向のバイアス磁界を印加
できる。X方向の2つの素子は、出力値の変化方向が互
いに逆向きとなるように配置されているので、結果とし
て2つの素子に対して出力値が同一方向に変化した(即
ち、同一符号の)バイアス磁界を印加できる。Y方向磁
界検出素子を構成する2つの素子についても同様であ
る。ここで、バイアス磁石は円形状の1個の磁石で構成
することもでき、4個の磁石を十字状に配置して構成す
ることもできる。
【0012】本発明はまた、X方向の磁界強度を検出す
るX方向磁界検出素子と、X方向に直交するY方向の磁
界強度を検出するY方向磁界検出素子を備えた磁界セン
サの新規な製造方法を提供する。この製造工程では、X
方向に対し約45度傾斜する方位を持つ磁場内で、X方
向に長い磁性膜とY方向に長い磁性膜を成膜する工程を
実行する。この方法によると、X方向磁界検出素子を構
成する磁性膜と、Y方向磁界検出素子を構成する磁性膜
が、それぞれの磁性膜の長さ方向に対して約45度傾斜
した方向に磁化容易軸を持った状態で成膜される。その
ために、その後に熱処理すると、磁性膜の形状磁気異方
性によって、磁化容易軸の向きがそれぞれの磁性膜の長
さ方向と平行になるように誘導される。この方法によれ
ば、X方向に磁化容易軸を持つX方向に長い磁性膜と、
Y方向に磁化容易軸を持つY方向に長い磁性膜を同時に
製造することができ、成膜形成工程が簡素化される。
【0013】前記工程の後に、回転磁場内で各磁性膜を
熱処理する工程を実行することが好ましい。この場合、
磁性膜の磁化容易軸を磁性膜の長手方向と平行になるよ
うに誘導するための時間を短縮することができる。
【0014】あるいは、回転磁場内でX方向に長い磁性
膜とY方向に長い磁性膜を成膜し、さらに、回転磁場内
でこれらの磁性膜を熱処理して磁界センサを製造するこ
ともできる。この方法によっても、磁化容易軸がX方向
に揃ったX方向に長い磁性膜と、磁化容易軸がY方向に
揃ったY方向に長い磁性膜を同時に成膜することができ
る。磁性膜の成膜工程が簡素化される。
【0015】本発明また、本発明の磁界検出装置または
磁界センサで検出可能な新規な磁気タグを実現する。こ
の磁気タグは、読出し開始部と、読出し開始部の着磁方
向と平行な方向に着磁された読出し終了部と、読出し開
始部および読出し終了部の着磁方向と直交する方向に着
磁されたデータ部を備える。この磁気タグを車両等に例
示される移動物体に取付け、磁界センサを道路鋲に取付
けることで、移動物体に取付けられた磁気タグの情報を
道路鋲の磁界センサで検出できる。この磁気タグは、読
出し開始部および読出し終了部と、データ部の着磁方向
が互いに直交しているので、磁気タグの存在自体の検出
と、磁気タグのデータの検出にあたって、誤検出や検出
不能といった問題が生じにくい。
【0016】本発明の磁界センサを利用することによっ
て、磁気通信装置が実現される。この磁気通信装置は、
送信側に、第1コイルと、第1コイルに直交する第2コ
イルと、第1コイルおよび第2コイルに直交する第3コ
イルのうちの少なくとも2つのコイルを持つコイル装置
と、各コイルに流す電流を信号変調する信号変調回路群
を備えている。それに対する受信側に、X方向の磁界強
度を検出するX方向磁界検出素子と、X方向に直交する
Y方向の磁界強度を検出するY方向磁界検出素子と、X
方向およびY方向に直交するZ方向の磁界強度を検出す
るZ方向磁界検出素子のうちの少なくとも2つの磁界検
出素子を持つ磁界センサを備えている。この装置を例え
ば車両等の移動物体と道路鋲のそれぞれに組込むこと
で、移動物体と道路鋲間で誤検出や検出不能といった問
題が生じにくい信頼性の高い通信を行うことができる。
【0017】
【発明の実施の形態】 本発明の実施例の磁界検出装置
を図を参照して説明する。図2に本実施例の磁界検出装
置の回路ブロック図を示す。図2に示す磁界検出装置1
0は、大きく分けて、X方向磁界を検出する2つのMI
素子(磁界検出素子の一例)20a、20bとY方向磁
界を検出する2つのMI素子20c、20dを持つ磁界
センサ16と、磁界センサ16の4つのMI素子20a
〜20dを駆動する駆動部(方形波発振回路12、パル
ス電流調整回路14)と、磁界センサ16の4つのMI
素子20a〜20dのインピーダンスを検出する検出部
(負荷抵抗28a〜28d、ピークホールド回路30a
〜30d、差分回路32a、32b)と、X方向MI素
子とY方向MI素子の少なくとも一方が所定の強度以上
の磁界を検出したかを判別する判別手段43(整流回路
38a、38bと、加算回路40と、判別回路42)で
構成されている。
【0018】方形波発振回路12は、非安定マルチバイ
ブレータ等で構成されており、所定のクロック周波数の
方形波パルスを発生する。パルス電流調整回路14は、
方形波発振回路12の出力端子に接続されている。パル
ス電流調整回路14は、バッファアンプ、抵抗、コンデ
ンサ等で構成されている。パルス電流調整回路14は、
各部品の種類や値を変えることでMI素子20a〜20
dに通電するパルス形状(パルス幅と高さ)を変えるこ
とができる。本実施例では、パルス幅が100ns(駆
動周波数10MHz)となるように調整している。な
お、方形波発振回路12に代えて、正弦波発振回路等を
用いてもよい。
【0019】磁界センサ16は、ガラスや柔軟性を有す
るポリイミドやシリコン等の材料で形成されている基板
18(図3、4参照)の表面側に、X方向MI素子20
a、20bと、Y方向MI素子20c、20dを持つ。
各MI素子20a〜20dの一方の端子(導体膜24a
〜24d)は、パルス電流調整回路14の出力端子に接
続されている。X方向MI素子20a、20bは、X方
向の磁界を検出する方位に配置されている。Y方向MI
素子20c、20dは、X方向に直交するY方向の磁界
を検出する方位に配置されている。X方向MI素子20
aと20bは、検出磁界に対する出力値の変化方向が逆
向きとなるように配置されている。Y方向MI素子20
cと20dは、検出磁界に対する出力値の変化方向が逆
向きとなるように配置されている。さらに、X方向のM
I素子20aと20bは間に空隙を設けて配置され、Y
方向のMI素子20cとMI素子20dも間に空隙を設
けて配置され、その空隙同士が一致するように配置され
ている。空隙中央に原点を持つX軸とY軸を考えると、
X方向磁気インピーダンス素子を構成する2つの素子2
0a、20bが原点を隔ててX軸上に配置され、Y方向
磁気インピーダンス素子を構成する2つの素子20c、
20dが原点を隔ててY軸上に配置されている。X方向
磁気インピーダンス素子20a、20bはX方向に長く
伸び、Y方向磁気インピーダンス素子20c、20dは
Y方向に長く伸びている。後述する製造方法によって、
X方向磁気インピーダンス素子20a、20bの磁化容
易軸はX方向に伸び、Y方向磁気インピーダンス素子2
0c、20dの磁化容易軸はY方向に伸びている。
【0020】図2および図2の磁界センサ16のIII−I
II線断面図である図3に示すように、磁界センサ16の
基板18の裏面側には、リング状に形成された薄板のバ
イアス磁石26が取付けられている。リング状のバイア
ス磁石26は、中央部がN極に着磁され、周縁部がS極
に着磁されており、平面視したときに、リング状磁石の
の中央部と、前記した空隙同士が重なる位置関係に配置
されている。4つの素子20a〜20dが配置されたX
Y平面に接してXY平面内で伸びるバイアス磁石26が
設けられており、そのバイアス磁石26は、原点側で同
一極に着磁され、周辺側で異極に着磁されているのであ
る。
【0021】なお、後記するように本実施例では、感度
向上と温度補償のためにX方向MI素子とY方向MI素
子をそれぞれ2つ用いているが、感度をそれほど向上さ
せる必要がなく、また、温度補償を必要としない程度の
精度でよい場合には、各方向について1個のMI素子を
用いればよい。この場合、X方向MI素子とY方向MI
素子をL字状あるいはT字状に配置することが好まし
い。また各MI素子20a〜20dは、その磁化容易軸
の方向を素子の幅方向に揃えてもよい。また、バイアス
磁石26は薄膜で形成されていてもよい。
【0022】各MI素子20a〜20dは、図4に示す
ように、素子の両端に1MHz以上の高周波の電流を通
電しているときに、素子の長さ方向に数Oeから数十O
eの低磁界が印加されると、素子の両端のインピーダン
スが約10%〜約80%と大きく変化するという磁気−
インピーダンス効果を有する素子である。このインピー
ダンス変化を検出器で検出することで印加された磁界強
度を検出するというのが基本原理である。各MI素子2
0a〜20dは、図4の斜視図に示すように、基板18
上に配置された下部磁性膜23と、下部磁性膜23上に
配置された導体膜24と、導体膜24を覆うように配置
された上部磁性膜22で構成されている。磁性膜22、
23はCoNbZr、FeCoSiB、CoSiB等の
アモルファス軟磁性体で形成されている。導体膜24は
磁性膜22、23より導電率が1桁ないし2桁低い材料
のCu、Al、Ag等で形成されている。磁性膜22、
23の膜幅は約1mm、膜高は約2μmである。導体膜
24の膜幅は約0.2mm、膜高は約3μmである。各
MI素子20a〜20dは、棒状の素子を3箇所で折返
したつづら折り状となっており、各MI素子20a〜2
0dの長さは約5mm、幅は約3mmである。なお、各
MI素子20a〜20dは棒状の素子をそのまま用いて
もよい。
【0023】なお、図5に示すように、円形のバイアス
磁石26の代わりに、基板18の表面側に十字状に配置
された各MI素子20a〜20dの各位置に対応する裏
面側に、それぞれ矩形状の薄板あるいは薄膜のバイアス
磁石126a〜126dを中心側がN極、周縁側がS極
となるように取付けてもよい。図5の各矩形状のバイア
ス磁石126a〜126dの長さは約7mm、幅は約5
mmである。なお、バイアス磁石126の長さあるいは
幅はMI素子の長さあるいは幅より1mm以上大きくす
ることが好ましい。また、図6に示すように、基板18
の表面側にMI素子20a〜20dを四角形状に配置
し、各MI素子20a〜20dの各位置に対応する裏面
側に、バイアス磁石126a〜126dを隣接する磁石
の極が同じ極となるように取付けてもよい。図5または
図6に示す場合、各バイアス磁石126a〜126dが
互いに吸着せずに反発し合うので、各バイアス磁石12
6a〜126dを取付け易い。また、各バイアス磁石1
26a〜126dからの磁束が互いに反発することによ
って、各MI素子20a〜20dにバイアス磁界が効果
的に印加されるという効果も得られる。
【0024】図2に示すように、各負荷抵抗28a〜2
8dの一端側は、各MI素子20a〜20dの他方の端
子(導体膜25a〜25d)に接続されている。各負荷
抵抗28a〜28dの他端側は接地されている。各MI
素子20a〜20dの他方の端子25a〜25dには、
ピークホールド回路30a〜30dが接続されている。
各ピークホールド回路30a〜30dは、各MI素子2
0a〜20dと各負荷抵抗28a〜28dの間の接点A
〜Dに現れた高周波パルス電圧のピーク値を保持する。
第1差分回路32aの2つの入力端子は、ピークホール
ド回路30aと30bの出力端子に接続されており、第
2差分回路32bの2つの入力端子は、ピークホールド
回路30cと30dの出力端子に接続されている。各差
分回路32a、32bは差動増幅器によって構成されて
いる。第1差分回路32aは、ピークホールド回路30
aと30bの出力電圧の差をとって増幅する。第2差分
回路32bは、ピークホールド回路30cと30dの出
力電圧の差をとって増幅する。
【0025】素子の長さ方向に磁化容易軸を揃えたとき
の磁界−インピーダンス曲線を図8に示す。図2に示す
ような円形のバイアス磁石26を配置すると、X方向M
I素子を構成する2つの素子20a、20bに対して、
反対方向のバイアス磁界を印加できる。X方向の2つの
素子20a、20bは、出力値の変化方向が互いに逆向
きとなるように配置されているので、図8に示すように
結果として2つの素子20a、20bに対して出力値が
同一方向に変化した(即ち、同一符号の)バイアス磁界
Hbを印加できる。Y方向MI素子を構成する2つの素
子20c、20dについても同様である。外部磁界He
xが印加されると、X方向の2つの素子20a、20b
は、出力値の変化方向が互いに逆向きとなるように配置
されているので、一方のMI素子20aは外部磁界He
xによって出力インピーダンス値が図示右方向(A点:
磁界Hb+Hex)に移動し、他方のMI素子20bは
外部磁界Hexによって出力インピーダンス値が図示左
方向(B点:磁界Hb−Hex)に移動する。2つのM
I素子20aと20bの出力インピーダンス値の差ΔZ
1をとることで、1つのMI素子だけを用いる場合に比
較して、検出磁界に対する出力インピーダンス値の変化
をほぼ2倍程度にすることができる。また、温度が変化
して磁界−インピーダンス曲線が図8の点線のように変
化した場合でも、2つのMI素子20aと20bの出力
値(C点とD点)の差ΔZ2をとることで、温度が変化
する前の出力インピーダンスの差ΔZ1とほぼ同様の値
を得ることができる。
【0026】検出磁界に対する出力値の変化方向が互い
に逆向きとなるように配置された2つの素子で、X方向
磁気インピーダンス素子とY方向磁気インピーダンス素
子ののそれぞれを構成し、X方向磁気インピーダンス素
子を構成する2つの素子の出力値の差をとる回路と、Y
方向磁気インピーダンス素子を構成する2つの素子の出
力値の差をとる回路を設けると、X方向磁界とY方向磁
界を感度良く、しかも、温度による影響を受けないよう
にしながら測定することができる。
【0027】各差分回路32aと32bの出力端子は分
岐しており、一方はそのまま端子34aと34bより出
力を取出すことができ、他方は後述する各整流回路38
a、38bに接続されている。なお、この端子34aと
34bは、後述する磁気タグを用いる場合や磁気通信装
置に組込まれる場合に使用される。端子34aはX方向
磁界強度を示す電圧を出力し、端子34bはY方向磁界
強度を示す電圧を出力する。
【0028】1台の車両が通過した場合の第1差分回路
32aの出力電圧の一例と、第2差分回路32bの出力
電圧の一例をそれぞれ図7(a)と図7(b)に示す。
図7(a)と図7(b)に示すように、X方向あるいは
Y方向の一方だけをみると、1台の車両が通過している
間でもすべての時間に亘ってある大きさの磁界強度が検
出されるわけではなく、一時的に磁界強度がゼロとなる
時があることがわかる。また、X方向の出力電圧がゼロ
のときはY方向の出力電圧は逆に比較的大きな値を示
し、一方、Y方向の出力電圧がゼロのときはX方向の出
力電圧は逆に比較的大きな値を示すことがわかる。
【0029】図2に示すように、第1整流回路38aの
入力端子は第1差分回路32aの出力端子に接続され、
第2整流回路38bの入力端子は第2差分回路32bの
出力端子に接続されている。各整流回路38a、39b
は、全波整流回路によって構成されている。各整流回路
38aと38bは、それぞれ図7(c)と図7(d)に
示すように、各差分回路32aと32bの出力電圧を全
波整流してゼロ以上の値の電圧波形を出力する。なお、
整流回路38は半波整流回路で構成されていてもよい
し、あるいは整流回路38に代えて自乗検波回路を用い
てもよい。加算回路40の2つの入力端子は、各整流回
路38aと38bの出力端子に接続されている。加算回
路40は、図7(e)に示すように各整流回路38a、
38bの出力電圧を加算した電圧値を出力する。判別回
路42の入力端子は、加算回路40の出力端子に接続さ
れている。
【0030】図7(a)と図7(b)に示したように、
X方向またはY方向の一方だけに着目すると、1台の車
両が通過している間に一時的に磁界強度がゼロとなる時
がある。しかしながら、X方向とY方向のうちの一方の
磁界強度がゼロのときには、他方の磁界強度はむしろ大
きい値を示すことから、整流回路38a、38bの出力
電圧を加算した値は、1台の車両が通過している間は、
常時ある大きさ以上の値となる。判別回路42は、加算
回路40の出力電圧が所定のしきい値に達しているか否
かを判別し、所定のしきい値Vthに達している間は、
図7(f)に示すような信号を出力する。加算回路40
の出力は1台の車両が通過している間はある大きさ以上
の値となることから、車両が磁界検出装置10の周辺を
通過しているときは、常時判別回路42からオン信号が
出力される。このために、図7(a)または(b)の一
方向の磁界強度で通過台数を計数する場合に比較して、
車両の通過速度が遅い場合でも、1台しか車両が通過し
ていないのに複数台の車両が通過したとする計数ミスを
起こす可能性を低くすることができる。
【0031】次に、磁界センサ16の製造方法を図9を
参照して説明する。図9(a)に示すように、2つのS
mCo磁石50、50を対向して配置して形成したX方
向に対し45度傾斜する方位を持つ静磁場内で、X方向
に長い下部磁性膜23a、23bと、Y方向に長い磁性
膜23c、23d(図4参照)を同時に成膜する。その
後、各MI素子20a〜20dを構成する導体膜24a
〜24d(図4参照)を同時に成膜する。その後、下部
磁性膜23と同様にして各MI素子20a〜20dを構
成する上部磁性膜22a〜22d(図4参照)を同時に
成膜する。なお、成膜は、真空蒸着法やスパッタリング
法等の薄膜作成技術によって行えばよく、各膜のパター
ン形成には、微細なメタルマスクを用いたり、エッチン
グを行ったり、あるいはエッチングが不可能な薄膜の場
合にはリフトオフ法によって形成してもよい。このよう
にして成膜すると、下部磁性膜23a〜23dと上部磁
性膜22a〜22dの磁化容易軸は、2つの磁石50、
50で形成される磁場方向に揃い、結果としてX方向と
Y方向に45度傾斜する。
【0032】その後に、回転磁場内で熱処理を行う。具
体的には、図9(b)に示すように、真空チャンバ52
内の2つの対向するSmCo磁石56、56の間に配置
された回転テーブル54上に基板18を載置し、その回
転テーブル54を回転させながらヒータ58によって熱
処理を行う。この結果、図9(c)に示すように、磁性
膜の形状磁気異方性によって、各素子20a〜20dを
構成する各磁性膜の磁化容易軸は各磁性膜の長手方向に
揃う。下部磁性膜23a、23bと上部磁性膜22a、
22bの磁化容易軸はX方向を向き、下部磁性膜23
c、23dと上部磁性膜22c、22dの磁化容易軸は
Y方向を向く。熱処理に先立って、下部磁性膜23a〜
23dと上部磁性膜22a〜22dの磁化容易軸が、X
方向からも45度傾斜し、Y方向からも45度傾斜して
いる状態で成膜されているから、磁性膜の形状磁気異方
性が効果的に作用する。
【0033】また、図9(a)に示した工程に代えて、
図10に示すように、図9(b)で説明したような回転
磁場内で、各MI素子20a〜20dを構成する下部磁
性膜23a〜23dを同時に成膜し、その後に、各MI
素子20a〜20dを構成する導体膜24a〜24dを
同時に成膜し、さらにその後に、各MI素子20a〜2
0dを構成する上部磁性膜22a〜22dを同時に成膜
してもよい。このようにしても、下部磁性膜23a、2
3bと上部磁性膜22a、22bの磁化容易軸がX方向
を向き、下部磁性膜23c、23dと上部磁性膜22
c、22dの磁化容易軸がY方向を向くようにすること
ができる。
【0034】なお、図9(a)に示した工程に代えて、
図11(a)に示すように、2つのSmCo磁石51、
51を対向して配置して形成した静磁場内で、磁場の方
向に対し成膜後のX方向MI素子20a、20bの長さ
方向が平行となるようにX方向MI素子20a、20b
を構成する下部磁性膜23a、23bを同時に成膜し、
その後に、図11(b)に示すように、磁石51、51
あるいは基板18を90度回転させて、磁場の方向に対
し成膜後のY方向MI素子20c、20dの長さ方向が
平行となるようにY方向MI素子20c、20dを構成
する下部磁性膜23c、23dを同時に成膜してもよ
い。同様のことを、上部磁性膜22a〜22dにも実行
することによって、下部磁性膜23a、23bと上部磁
性膜22a、22bの磁化容易軸がX方向を向き、下部
磁性膜23c、23dと上部磁性膜22c、22dの磁
化容易軸がY方向を向くようにすることができる。
【0035】次に、本実施例の磁界検出装置10によっ
て検出可能な磁気を発生する磁気タグを図12と図13
を参照して説明する。図12(a)に磁気タグの一例を
示す。図12(a)の磁気タグは、着磁方向がY方向の
磁石(データ部)62群と、その磁石62群の長さ方向
の両端に配置された着磁方向がX方向の磁石(読出し開
始部)60および磁石(読出し終了部)64を備えてい
る。図12(a)の磁気タグを、車両の進行方向と磁気
タグのX方向が平行となり、かつ、車両の幅方向と磁気
タグのY方向が平行となるように車両本体の下面に取付
ける。すると、磁気タグの直下の位置では、大まかにモ
デル化して示すと、X方向磁界が図12(b)、Y方向
磁界が図12(c)のように現れる。このため、車両の
直下に位置すると想定される道路鋲に磁界検出装置10
を組込むことで、磁気タグから発生するX方向磁界とY
方向磁界を検出することができる。ここで、道路鋲上を
車両が通過すると、まず、磁石60によりX方向の磁界
が図12(b)のように変化する。これにより、車両に
関するデータ(緊急車両等の車両の種類等)の読出しが
開始される。次に、磁石62群によりY方向の磁界が図
12(c)のように変化する。これにより、その車両に
関するデータが読出される。次に、磁石64によりX方
向の磁界が図12(b)のように変化する。これによ
り、車両に関するデータの読出しが終了される。なお、
読出し開始部60と終了部64をY方向(車両の幅方
向)に着磁し、データ部62をX方向(車両の長さ方
向)に着磁してもよい。ただし、上記のようにデータ部
62をY方向(車両の幅方向)に着磁させた方がデータ
の記録密度を上げることができる。また、磁界検出装置
10を車両本体に組込み、磁気タグを道路鋲側に組込む
ことによっても、磁界検出装置10によって磁気タグを
精度良く検出できる。
【0036】上記の例のように、磁気タグを車両に組込
み、磁界検出装置10を交差点の道路鋲に組込むと、道
路鋲の磁界検出装置10はデータ部62の情報を読み取
ることができ、交差点側は緊急車両等の特別車両が近づ
いたこと等を認識できる。あるいは逆に、磁気タグを交
差点の道路鋲に組込み、磁界検出装置10を車両に組込
むと、車両側で特定の交差点に近づいたこと等を認識で
きる。
【0037】図13(a)に磁気タグの他の一例を示
す。図13(a)の磁気タグは、着磁方向がY方向の磁
石68群と、その磁石68群の両側に配置され、着磁方
向がX方向の磁石66群および磁石70群を備えてい
る。図13(a)の磁気タグを、車両の進行方向と磁気
タグのX方向が平行となり、かつ、車両の幅方向と磁気
タグのY方向が平行となるように車両本体の下面に取付
ける。すると、磁気タグ(磁石68群)の直下の位置で
は、大まかにモデル化して示すと、X方向磁界が図13
(b)、Y方向磁界が図13(c)のように現れる。こ
こで、道路鋲上を車両が通過すると、まず、磁石66に
よりX方向の磁界が図13(b)のように変化する。こ
れにより、車両に関するデータの読出しが開始される。
同時に、磁石68群によりY方向の磁界が図13(c)
のように変化する。これにより、その車両に関するデー
タが読出される。図13(a)の磁気タグは、X方向に
着磁された磁石が磁気タグの長さ方向に亘って配置され
ているから、車両の通過速度が速くても車両(磁気タ
グ)の存在を高い確率で検出できる。また、磁石68の
両側に着磁方向がX方向(車両の進行方向)の磁石6
6、70が配置されているから、X方向磁界の磁界強度
を検出することで中央からのずれの検出が容易である。
このため、このずれを補正することで磁界検出装置10
によって常時高い精度で磁気タグを検出できる。
【0038】次に、本実施例の磁界検出装置10を組込
んだ磁気通信装置を図14と図15を参照して説明する
図14には、車両側の磁気通信装置72と、道路鋲側の
磁気通信装置172が示されている。各磁気通信装置7
2、172は、送信のために、第1のコイル78aおよ
び第1のコイル78aに直交する第2のコイル78bを
持つコイル装置(直交コイル)78と、第1のコイル7
8aに流す交流電流を発生させる第1の交流電流発生器
74aと、第1の交流電流発生器74aからの電流を信
号変調する第1の信号変調回路76aと、第2のコイル
78bに流す交流電流を発生させる第2の交流電流発生
器74bと、第2の交流電流発生器74bからの電流を
信号変調する第2の信号変調回路76bを備えている。
また、受信のために、直交交流磁界を検出する磁界検出
装置10と、検出した直交交流磁界を復調する復調器8
9を備えている。また、道路鋲側の磁気通信装置172
は、ネットワーク82からサーバ84を介してセンタ8
6に接続可能となっている。
【0039】車両側の磁気通信装置72では、交流電流
発生器74aからの交流電流を信号変調回路76aで変
調する。交流電流発生器74aから発生する交流電流は
低周波に設定されており、変調信号も低周波となる。こ
の低周波変調信号には、車両の通過に関するデータが乗
せられている。車両側の磁気通信装置72では、交流電
流発生器74bからの交流電流を信号変調回路76bで
変調する。交流電流発生器74bから発生する交流電流
は高周波に設定されており、変調信号も高周波となる。
この高周波変調信号は、車両の特定データや外部と通信
を行うための種々のデータが乗せられている。第1コイ
ル78aに低周波変調信号を流し、第2コイル78bに
高周波変調信号を流す。コイル装置78には、車両の通
過に関するデータと外部と通信を行うための種々のデー
タ等が直交して重畳された交流磁界が発生する。ここ
で、各変調信号は、磁気の極性が上向き(1)、下向き
(−1)、無し(0)の3値を情報として伝送できる。
このため、コイル装置78を用いることで、単位信号当
たり3×3=9値の情報量を有する信号を送ることがで
きる。
【0040】この交流磁界を道路鋲側の磁気通信装置1
72での磁界検出装置10で検出する。検出した交流磁
界は復調器80で復調して情報を取出す。図15(a)
は、図14のA点を流れている低周波変調信号を示した
波形であり、図15(b)は、図14のB点を流れてい
る高周波変調信号を示した波形であり、復調器80で復
調されるべき信号波形である。図15(a)に示す検出
のし易い低周波変調信号によって時間T1の間に低速で
車両を検出し、車両を検出したら、図15(b)に示す
ように高周波変調信号によって時間T2の間に高速で種
々のデータ通信を行う。その後、時間T3の間に低周波
変調信号によって低速で車両の通過終了を検出する。道
路鋲側の装置172は、ネットワーク82からサーバ8
4を介してセンタ86に接続可能となっているから、セ
ンタ86に各車両に関する情報を集約させることができ
る。
【0041】以上、本発明の実施例について説明した
が、本発明の適用範囲は上記の実施例になんら限定され
るものではない。すなわち、本発明は、当業者の知識に
基づいて種々の変更、改良を施した形態で実施すること
ができる。例えば、上記実施例では、各差分回路32a
と32bの出力端子を各整流回路38a、38bの入力
端子に接続しているが、例えば、各差分回路32aと3
2bの出力端子にそれぞれ判定回路の入力端子を接続し
て、2つの判定回路の出力端子にOR回路を接続するよ
うな構成であってもよい。この構成によると、判定回路
32aと32bのいずれかの出力がオンしているとき
は、OR回路の出力もオンされるので、上記実施例の装
置と同様により高い精度で物体の動きあるいは存在の有
無を検出できる。
【0042】また、上記実施例では、X方向とY方向の
2軸の磁界を検出する場合を例にして説明したが、より
検出精度を良く、安定した検知をするためには、3軸目
のZ方向の磁界検出素子を備えて、Z方向の磁界を検出
することがさらに望ましい。この場合、Z方向の磁界検
出素子(MI素子等)は、XY平面に垂直なZ方向に配
置し、検出磁界に対する出力値の変化方向が互いに逆向
きとなるように配置された2つの素子で構成し、差動型
とする。バイアス磁石は、原点側に他の2軸と同じ磁極
(例えば図2の場合はN極)とし、周辺側(原点から離
反する側)を異なる磁極(例えば図2の場合はS極)と
する。さらに図2を例にすると、パルス電流調整回路1
4からの出力を分岐してZ方向磁界検出素子の2つの素
子に入力する。このZ方向磁界検出素子には、X方向、
Y方向磁界検出素子と同様に、負荷抵抗28、ピークホ
ールド回路30、差分回路32、整流回路38が備えら
れ、接続される。Z方向磁界検出素子に接続された整流
回路38の出力は各方向の整流回路38の出力(3つの
出力)を加算できる加算回路40によって加算される。
この結果、判別回路42によって車両通過あるいは車両
の有無を判別することができる。なお、Z方向磁界検出
素子は、X方向、Y方向磁界検出素子とは別に製造し、
X方向、Y方向磁界検出素子が設けられた素子基板に追
加して装着する。
【0043】また、上記実施例では、磁界検出素子とし
て薄膜MI素子を用いた場合を例にして説明したが、本
発明の適用範囲はこれに限られない。例えば、ワイヤー
形状のMI素子を用いても、上記実施例の差分回路3
2、整流回路38、加算回路40、判別回路42等によ
る着磁物体、あるいは磁気発生物体の検知・判別を行う
ことができる。同様に、上記実施例で説明したような磁
気タグ、磁気通信装置にも適用可能である。また、上記
で例示した磁気インピーダンス素子(MI素子)の他、
フラックスゲート型、Hall効果型、MR型、GMR
型等の磁界検出素子を用いても、上記実施例の差分回路
32、整流回路38、加算回路40、判別回路42等に
よる着磁物体、あるいは磁気発生物体の検知・判別を行
うことができる。同様に、上記実施例で説明したような
磁気タグ、磁気通信装置にも適用可能である。
【図面の簡単な説明】
【図1】3つの磁石を直列に配置した場合に磁石群の長
さ方向に平行な方向(X方向)とこれに直交する方向
(Y方向)の磁界強度分布を示した図。
【図2】磁界検出装置の回路ブロック図。
【図3】磁界センサの断面図。
【図4】磁界センサの拡大斜視図。
【図5】他の磁界センサの平面図。
【図6】他の磁界センサの平面図。
【図7】各回路の出力電圧を示した図。
【図8】磁界−インピーダンス曲線を示した図。
【図9】磁界センサの製造方法の説明図。
【図10】磁界センサの他の製造方法の説明図。
【図11】磁界センサの他の製造方法の説明図。
【図12】磁気タグの一例を示した図。
【図13】磁気タグの他の一例を示した図。
【図14】磁気通信装置を示した図。
【図15】図14のA点とB点を流れている変調信号の
波形を示した図。
【符号の説明】
10:磁界検出装置 12:方形波発振回路 14:パルス電流調整回路 16:磁界センサ 18:基板 20:磁気インピーダンス素子(磁界検出素子の一例) 22:磁性膜 24、25:導体膜 26:バイアス磁石 28:負荷抵抗 30:ピークホールド回路 32:差分回路 38:整流回路 40:加算回路 42:判別回路
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 太田 則一 愛知県愛知郡長久手町大字長湫字横道41番 地の1 株式会社豊田中央研究所内 (72)発明者 西部 祐司 愛知県愛知郡長久手町大字長湫字横道41番 地の1 株式会社豊田中央研究所内 (72)発明者 塚田 厚志 愛知県愛知郡長久手町大字長湫字横道41番 地の1 株式会社豊田中央研究所内 Fターム(参考) 2G017 AA01 AA03 AC09 AD51 BA05

Claims (10)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 X方向の磁界強度を検出するX方向磁界
    検出素子と、X方向に直交するY方向の磁界強度を検出
    するY方向磁界検出素子と、X方向およびY方向に直交
    するZ方向の磁界強度を検出するZ方向磁界検出素子の
    うちの少なくとも2つの磁界検出素子を備え、 少なくとも1つの磁界検出素子が所定強度以上の磁界を
    検出したか否かを判別する判別手段を備えた磁界検出装
    置。
  2. 【請求項2】 各磁界検出素子は、検出磁界に対する出
    力値の変化方向が互いに逆向きとなるように配置された
    2つの素子で構成され、 さらに、各磁界検出素子を構成する2つの素子の出力値
    の差をとる回路群を備えた請求項1に記載の磁界検出装
    置。
  3. 【請求項3】 判別手段は、各磁界検出素子の出力値を
    整流または自乗する回路群と、各整流または自乗回路の
    出力値を加算する加算回路と、加算回路の出力値が所定
    値以上であるか否かを判別する判別回路を備えることを
    特徴とする請求項1または2に記載の磁界検出装置。
  4. 【請求項4】 X方向の磁界強度を検出するX方向磁界
    検出素子と、X方向に直交するY方向の磁界強度を検出
    するY方向磁界検出素子と、X方向およびY方向に直交
    するZ方向の磁界強度を検出するZ方向磁界検出素子の
    うちの少なくとも2つの磁界検出素子を備え、 各磁界検出素子は、検出磁界に対する出力値の変化方向
    が互いに逆向きとなるように配置された2つの素子で構
    成された磁界センサ。
  5. 【請求項5】 X方向磁界検出素子を構成する2つの素
    子が原点を隔ててX軸上に配置され、Y方向磁界検出素
    子を構成する2つの素子が原点を隔ててY軸上に配置さ
    れ、 その4つの素子が配置されたXY平面に接してXY平面
    内で伸びるバイアス磁石が設けられており、そのバイア
    ス磁石は、原点側で同一極に着磁され、周辺側で異極に
    着磁されていることを特徴とする請求項4に記載の磁界
    センサ。
  6. 【請求項6】 X方向の磁界強度を検出するX方向磁界
    検出素子と、X方向に直交するY方向の磁界強度を検出
    するY方向磁界検出素子を備えた磁界センサの製造方法
    であって、 X方向に対し約45度傾斜する方位を持つ磁場内で、X
    方向に長い磁性膜とY方向に長い磁性膜を成膜する工程
    を有することを特徴とする磁界センサの製造方法。
  7. 【請求項7】 請求項6に記載の工程の後、回転磁場内
    で各磁性膜を熱処理する工程を実行することを特徴とす
    る磁界センサの製造方法。
  8. 【請求項8】 X方向の磁界強度を検出するX方向磁界
    検出素子と、X方向に直交するY方向の磁界強度を検出
    するY方向磁界検出素子を備えた磁界センサの製造方法
    であって、 回転磁場内でX方向に長い磁性膜とY方向に長い磁性膜
    を成膜する工程と、回転磁場内でこれらの磁性膜を熱処
    理する工程を実行することを特徴とする磁界センサの製
    造方法。
  9. 【請求項9】 X方向の磁界強度を検出するX方向磁界
    検出素子と、X方向に直交するY方向の磁界強度を検出
    するY方向磁界検出素子と、X方向およびY方向に直交
    するZ方向の磁界強度を検出するZ方向磁界検出素子の
    うちの少なくとも2つの磁界検出素子を備えた磁界セン
    サで検出可能な磁気タグであって、 読出し開始部と、読出し開始部の着磁方向と平行な方向
    に着磁された読出し終了部と、読出し開始部および読出
    し終了部の着磁方向と直交する方向に着磁されたデータ
    部を備えた磁気タグ。
  10. 【請求項10】 送信側に、第1コイルと、第1コイル
    に直交する第2コイルと、第1コイルおよび第2コイル
    に直交する第3コイルのうちの少なくとも2つのコイル
    を持つコイル装置と、各コイルに流す電流を信号変調す
    る信号変調回路群を備え、 受信側に、X方向の磁界強度を検出するX方向磁界検出
    素子と、X方向に直交するY方向の磁界強度を検出する
    Y方向磁界検出素子と、X方向およびY方向に直交する
    Z方向の磁界強度を検出するZ方向磁界検出素子のうち
    の少なくとも2つの磁界検出素子を持つ磁界センサを備
    えた磁気通信装置。
JP2001220725A 2001-07-19 2001-07-19 磁界検出装置 Withdrawn JP2003035757A (ja)

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