JP7203598B2 - 磁気センサおよび磁気センサの製造方法 - Google Patents

磁気センサおよび磁気センサの製造方法 Download PDF

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Description

本発明は、磁気センサおよび磁気センサの製造方法に関する。
公報記載の従来技術として、非磁性基板上に形成された硬磁性体膜からなる薄膜磁石と、前記薄膜磁石の上を覆う絶縁層と、前記絶縁層上に形成された一軸異方性を付与された一個または複数個の長方形状の軟磁性体膜からなる感磁部とを備えた磁気インピーダンス効果素子が存在する(特許文献1参照)。
特開2008-249406号公報
ところで、磁気インピーダンス効果により磁界を感受する感受素子を備えた磁気センサでは、感受素子に供給する電流が高周波領域である場合に感度が低下する場合がある。例えば、磁気インピーダンス効果により磁界を感受する感受素子を備えた磁気センサでは、感度を向上させるために、感受素子の長さを長くしたり、感受素子の数を多くしたりする場合がある。しかしながら、磁気センサ感受素子の長さを長くしたり、数を多くしたりしても、低周波領域での感度は向上するものの、高周波領域での感度が低下し、所望とする感度が得られない場合がある。
本発明は、磁気インピーダンス効果を用いた磁気センサにおいて、供給する電流が高周波領域である場合の感度の低下を抑制することを目的とする。
本発明が適用される磁気センサは、非磁性の基板と、前記基板上に積層される複数の軟磁性体層と、複数の当該軟磁性体層の間に積層され当該軟磁性体層と比べて導電性が高い導電体層とを備え、長手方向と短手方向とを有し、当該長手方向と交差する方向に一軸磁気異方性を有し、磁気インピーダンス効果により磁界を感受する感受素子と、前記感受素子の前記長手方向の端部に対向するように当該感受素子と同一平面上に形成された一対の平板状のヨークとを備え、前記ヨークは、複数の前記軟磁性体層と当該軟磁性体層の間に積層される前記導電体層とを備える
ここで、前記感受素子および前記ヨークは、それぞれの前記軟磁性体層が、Ru又はRu合金から構成される反磁界抑制層による反強磁性結合構造を有していることを特徴とすることができる。
また、前記感受素子は、前記導電体層を複数有することを特徴とすることができる。
さらに、前記基板と前記感受素子の前記軟磁性体層との間に積層され、硬磁性体で構成され面内方向に磁気異方性を有する薄膜磁石をさらに備え、前記感受素子は、前記長手方向が前記薄膜磁石の発生する磁界の方向を向くことを特徴とすることができる。
さらにまた、前記磁気センサの側面には、前記薄膜磁石のN極およびS極が露出していることを特徴とすることができる。
また、他の観点から捉えると、本発明が適用される磁気センサの製造方法は、非磁性の基板上に、Coを含む硬磁性体からなり、磁気異方性が面内方向に制御された薄膜磁石を形成する薄膜磁石形成工程と、前記基板上に複数の軟磁性体層と、当該軟磁性体層と比べて導電性が高い導電体層とを交互に積層し、前記薄膜磁石の発生する磁束が透過する方向と交差する方向に一軸磁気異方性を有する感受素子を形成する感受素子形成工程と、前記感受素子と同一平面上に、前記薄膜磁石の発生する磁束を当該感受素子に誘導する、一対の平板状のヨークを形成するヨーク形成工程とを含み、前記ヨーク形成工程は、前記複数の前記軟磁性体層と当該軟磁性体層の間に積層される前記導電体層とを備える前記ヨークを形成する
本発明によれば、磁気インピーダンス効果を用いた磁気センサにおいて、供給する電流が高周波領域である場合の感度の低下を抑制することができる。
(a)~(b)は、実施の形態1が適用される磁気センサの一例を説明する図である。 磁気センサの感受部における感受素子の長手方向に印加された磁界と感受部のインピーダンスとの関係を説明する図である。 一層の軟磁性体層から構成される従来の磁気センサについて、供給する電流の周波数と、磁界Hの変化量ΔHに対するインピーダンスZの変化量ΔZ(ΔZ/ΔH)との関係を示した図である。 本実施の形態の磁気センサによる作用を説明するための図であって、本実施の形態の磁気センサについて、供給する電流の周波数と、磁界Hの変化量ΔHに対するインピーダンスZの変化量ΔZ(ΔZ/ΔH)との関係を示した図である。 (a)~(e)は、磁気センサの製造方法の一例を説明する図である。 (a)、(b)は、実施の形態2が適用される磁気センサの一例を説明する図である。 (a)、(b)は、実施の形態3が適用される磁気センサの一例を説明する図である。
以下、添付図面を参照して、本発明の実施の形態について説明する。
[実施の形態1]
(磁気センサ1の構成)
図1(a)~(b)は、実施の形態1が適用される磁気センサ1の一例を説明する図である。図1(a)は、平面図、図1(b)は、図1(a)におけるIB-IB線での断面図である。
図1(b)に示すように、実施の形態1が適用される磁気センサ1は、非磁性の基板10上に設けられた硬磁性体(硬磁性体層103)で構成された薄膜磁石20と、薄膜磁石20に対向して積層され、軟磁性体(下層軟磁性体層105a、上層軟磁性体層105b)および軟磁性体層105と比べて導電性の高い導電体(導電体層106)で構成されて磁場を感受する感受部30とを備える。以下の説明では、二層の軟磁性体層(下層軟磁性体層105a、上層軟磁性体層105b)をそれぞれ区別しない場合には、単に軟磁性体層105と表記する。
なお、磁気センサ1の断面構造については、後に詳述する。
ここで硬磁性体とは、外部磁界によって磁化されると、外部磁界を取り除いても磁化された状態が保持される、いわゆる保磁力の大きい材料である。一方、軟磁性体とは、外部磁界によって容易に磁化されるが、外部磁界を取り除くと速やかに磁化がないか又は磁化が小さい状態に戻る、いわゆる保磁力の小さい材料である。
なお、本明細書においては、磁気センサ1を構成する要素(薄膜磁石20など)を二桁の数字で表し、要素に加工される層(硬磁性体層103など)を100番台の数字で表す。そして、要素の数字に対して、要素に加工される層の番号を( )内に表記する。例えば薄膜磁石20の場合、薄膜磁石20(硬磁性体層103)と表記する。図においては、20(103)と表記する。他の場合も同様である。
図1(a)により、磁気センサ1の平面構造を説明する。磁気センサ1は、一例として四角形の平面形状を有する。ここでは、磁気センサ1の最上部に形成された感受部30及びヨーク40を説明する。感受部30は、平面形状が長手方向と短手方向とを有する短冊状である複数の感受素子31と、隣接する感受素子31をつづら折りに直列接続する接続部32と、電流供給のための電線が接続される端子部33とを備える。ここでは、4個の感受素子31が、長手方向が並列するように配置されている。また、本実施の形態の磁気センサ1では、感受素子31が、磁気インピーダンス効果素子である。
感受素子31は、例えば長手方向の長さが約1mm、短手方向の幅が数100μm、厚さ(軟磁性体層105と導電体層106とを合わせた厚さ)が0.5μm~5μmである。感受素子31間の間隔は、50μm~150μmである。
接続部32は、隣接する感受素子31の端部間に設けられ、隣接する感受素子31をつづら折りに直列接続する。図1(a)に示す磁気センサ1では、4個の感受素子31が並列に配置されているため、接続部32は3個ある。感受素子31の数は、感受(計測)したい磁界の大きさなどによって設定される。よって、例えば感受素子31が2個であれば、接続部32は1個である。また、感受素子31が1個であれば、接続部32を備えない。なお、接続部32の幅は、感受部30に流す電流によって設定すればよい。例えば、接続部32の幅は、感受素子31と同じであってもよい。
端子部33は、接続部32で接続されていない感受素子31の2個の端部にそれぞれ設けられている。端子部33は、感受素子31から引き出す引き出し部と、電流を供給する電線を接続するパッド部とを備える。引き出し部は、2個のパッド部を感受素子31の短手方向に設けるために備えられている。引き出し部を設けずパッド部を感受素子31に連続するように設けてもよい。パッド部は、電線を接続しうる大きさであればよい。なお、感受素子31が4個であるため、2個の端子部33は図1(a)において左側に設けられている。感受素子31の数が奇数の場合には、2個の端子部33を左右に分けて設ければよい。
そして、感受部30の感受素子31、接続部32及び端子部33は、二層の軟磁性体層105(下層軟磁性体層105a、上層軟磁性体層105b)と導電体層106とにより一体に構成されている。軟磁性体層105及び導電体層106は、導電性であるので、一方の端子部33から他方の端子部33に、電流を流すことができる。
なお、感受素子31の長さ及び幅、並列させる個数など上記した数値は一例であって、感受(計測)する磁界の値や用いる軟磁性体材料などによって変更してもよい。
さらに、磁気センサ1は、感受素子31の長手方向の端部に対向して設けられたヨーク40を備える。ここでは、感受素子31の長手方向の両端部に対向してそれぞれが設けられた2個のヨーク40a、40bを備える。なお、ヨーク40a、40bをそれぞれ区別しない場合には、ヨーク40と表記する。ヨーク40は、感受素子31の長手方向の端部に磁力線を誘導する。このため、ヨーク40は磁力線が透過しやすい軟磁性体(軟磁性体層105)を含んで構成されている。この例では、感受部30及びヨーク40は、二層の軟磁性体層105(下層軟磁性体層105a、上層軟磁性体層105b)と導電体層106とにより構成されている。なお、感受素子31の長手方向に磁力線が十分透過する場合には、ヨーク40を備えなくてもよい。
磁気センサ1の大きさは、平面形状において数mm角である。なお、磁気センサ1の大きさは、他の値であってもよい。
次に、図1(b)により、磁気センサ1の断面構造を説明する。磁気センサ1は、非磁性の基板10上に、密着層101、制御層102、硬磁性体層103(薄膜磁石20)、絶縁層104、軟磁性体層105と導電体層106とからなる感受部30及びヨーク40が、この順に配置(積層)されて構成されている。
基板10は、非磁性体からなる基板であって、例えばガラス、サファイアといった酸化物基板やシリコン等の半導体基板、あるいは、アルミニウム、ステンレススティール、ニッケルリンメッキを施した金属等の金属基板等が挙げられる。
密着層101は、基板10に対する制御層102の密着性を向上させるための層である。密着層101としては、Cr又はNiを含む合金を用いるのがよい。Cr又はNiを含む合金としては、CrTi、CrTa、NiTa等が挙げられる。密着層101の厚さは、例えば5nm~50nmである。なお、基板10に対する制御層102の密着性に問題がなければ、密着層101を設けることを要しない。なお、本明細書においては、Cr又はNiを含む合金の組成比を示さない。以下同様である。
制御層102は、硬磁性体層103で構成される薄膜磁石20の磁気異方性が膜の面内方向に発現しやすいように制御する層である。制御層102としては、Cr、Mo若しくはW又はそれらを含む合金(以下では、制御層102を構成するCr等を含む合金と表記する。)を用いるのがよい。制御層102を構成するCr等を含む合金としては、CrTi、CrMo、CrV、CrW等が挙げられる。制御層102の厚さは、例えば10nm~300nmである。
薄膜磁石20を構成する硬磁性体層103は、Coを主成分とし、Cr又はPtのいずれか一方又は両方を含む合金(以下では、薄膜磁石20を構成するCo合金と表記する。)を用いることがよい。薄膜磁石20を構成するCo合金としては、CoCrPt、CoCrTa、CoNiCr、CoCrPtB等が挙げられる。なお、Feが含まれていてもよい。硬磁性体層103の厚さは、例えば1μm~3μmである。
制御層102を構成するCr等を含む合金は、bcc(body-centered cubic(体心立方格子))構造を有する。よって、薄膜磁石20を構成する硬磁性体(硬磁性体層103)は、bcc構造のCr等を含む合金で構成された制御層102上において結晶成長しやすいhcp(hexagonal close-packed(六方最密充填))構造であるとよい。bcc構造上にhcp構造の硬磁性体層103を結晶成長させると、hcp構造のc軸が面内に向くように配向しやすい。よって、硬磁性体層103によって構成される薄膜磁石20が面内方向に磁気異方性を有するようになりやすい。なお、硬磁性体層103は結晶方位の異なる集合からなる多結晶であり、各結晶が面内方向に磁気異方性を有する。この磁気異方性は結晶磁気異方性に由来するものである。
なお、制御層102を構成するCr等を含む合金及び薄膜磁石20を構成するCo合金の結晶成長を促進するために、基板10を100℃~600℃に加熱するとよい。この加熱により、制御層102を構成するCr等を含む合金が結晶成長しやすくなり、hcp構造を持つ硬磁性体層103が面内に磁化容易軸を持つように結晶配向されやすくなる。つまり、硬磁性体層103の面内に磁気異方性が付与されやすくなる。
絶縁層104は、非磁性の誘電体で構成され、薄膜磁石20と感受部30との間を電気的に絶縁する。絶縁層104を構成する誘電体としては、SiO2、Al23、TiO2等の酸化物、又は、Si34、AlN等の窒化物等が挙げられる。また、絶縁層104の厚さは、例えば0.1μm~30μmである。
感受部30における感受素子31は、長手方向に交差する方向、例えば直交する短手方向(幅方向)に一軸磁気異方性が付与されている。なお、長手方向に交差する方向とは、長手方向に対して45°を超えた角度を有すればよい。
感受素子31を構成する軟磁性体(下層軟磁性体層105a、上層軟磁性体層105b)としては、Coを主成分とした合金に高融点金属Nb、Ta、W等を添加したアモルファス合金(以下では、感受素子31を構成するCo合金と表記する。)を用いるのがよい。感受素子31を構成するCo合金としては、CoNbZr、CoFeTa、CoWZr等が挙げられる。感受素子31を構成する軟磁性体(下層軟磁性体層105a、上層軟磁性体層105b)の厚さは、例えば、それぞれ0.2μm~2μmである。図1(b)に示す例では、下層軟磁性体層105aの厚さと上層軟磁性体層105bの厚さが互いに等しいが、互いに異なっていてもよい。
感受素子31を構成する導電体(導電体層106)としては、導電性が高い金属または合金を用いることが好ましく、導電性が高く且つ非磁性の金属または合金を用いることがより好ましい。具体的には、感受素子31を構成する導電体(導電体層106)としては、アルミニウム、銅、銀等の金属を用いるのがよい。感受素子31を構成する導電体(導電体層106)の厚さは、例えば、10nm~500nmである。感受素子31を構成する導電体(導電体層106)の厚さは、後述する感受素子31の抵抗Rや感受する磁界の値等が所望の値となるよう、軟磁性体層105として用いる感受素子31を構成するCo合金や導電体層106として用いる導電体の種類等によって変更できる。
密着層101、制御層102、硬磁性体層103、及び絶縁層104は、平面形状が四角形(図1(a)参照)になるように加工されている。そして、露出した側面のうち、対向する二つの側面において、薄膜磁石20がN極(図1(b)における(N))及びS極(図1(b)における(S))となっている。なお、薄膜磁石20のN極とS極とを結ぶ線が、感受部30における感受素子31の長手方向に向くようになっている。ここで、長手方向に向くとは、N極とS極とを結ぶ線と長手方向とがなす角度が45°未満であることをいう。なお、N極とS極とを結ぶ線と長手方向とがなす角度は、小さいほどよい。
磁気センサ1において、薄膜磁石20のN極から出た磁力線は、一旦磁気センサ1の外部に出る。そして、一部の磁力線が、ヨーク40aを介して感受素子31を透過し、ヨーク40bを介して再び外部に出る。そして、感受素子31を透過した磁力線が透過しない磁力線とともに薄膜磁石20のS極に戻る。つまり、薄膜磁石20は、感受素子31の長手方向に磁界を印加する。
なお、薄膜磁石20のN極とS極とをまとめて両磁極と表記し、N極とS極とを区別しない場合は磁極と表記する。
なお、図1(a)に示すように、ヨーク40(ヨーク40a、40b)は、基板10の表面側から見た形状が、感受部30に近づくにつれて狭くなっていくように構成されている。これは、感受部30に磁界を集中させる(磁力線を集める)ためである。つまり、感受部30における磁界を強くして感度のさらなる向上を図っている。なお、ヨーク40(ヨーク40a、40b)の感受部30に対向する部分の幅を狭くしなくてもよい。
ここで、ヨーク40(ヨーク40a、40b)と感受部30との間隔は、例えば1μm~100μmであればよい。
(磁気センサ1の作用)
続いて、磁気センサ1の作用について説明する。図2は、磁気センサ1の感受部30における感受素子31の長手方向に印加された磁界と感受部30のインピーダンスとの関係を説明する図である。図2において、横軸が磁界H、縦軸がインピーダンスZである。感受部30のインピーダンスZは、2個の端子部33間に高周波電流を流して測定される。
図2に示すように、感受部30のインピーダンスZは、感受素子31の長手方向に印加する磁界Hが大きくなるにしたがい大きくなる。しかし、印加する磁界Hが感受素子31の異方性磁界Hkより小さい範囲において、磁界Hの変化量ΔHに対してインピーダンスZの変化量ΔZが急峻な部分(ΔZ/ΔHが大きい)を用いれば、磁界Hの微弱な変化をインピーダンスZの変化量ΔZとして取り出すことができる。図2では、ΔZ/ΔHが大きい磁界Hの中心を磁界Hbとして示している。つまり、磁界Hbの近傍(図2で矢印で示す範囲)における磁界Hの変化量(ΔH)が高精度に測定できる。磁界Hbは、バイアス磁界と呼ばれることがある。
ところで、磁気インピーダンス効果素子として一層の軟磁性体層から構成される感受素子を備える従来の磁気センサでは、供給する電流の周波数が高いと、磁界Hの変化量ΔHに対するインピーダンスZの変化量ΔZ(ΔZ/ΔH)が低下する場合がある。言い換えると、従来の磁気センサでは、供給する電流の周波数が高いと、磁界Hの変化に対する感度が低下する場合がある。
図3は、一層の軟磁性体層105から構成される(すなわち、図1(b)に示した導電体層106を有していない)従来の磁気センサ1について、供給する電流の周波数と、磁界Hの変化量ΔHに対するインピーダンスZの変化量ΔZ(ΔZ/ΔH)との関係を示した図である。なお、以下では、従来の磁気センサ1についても、図1(a)~(b)に示した本実施の形態の磁気センサ1と同様の構成については、同じ符号を用いて説明を行う。
図3では、感受素子31の長手方向に沿った長さ(以下、単に長さと表記する。)、および並列させる感受素子31の個数を異ならせた3種類の磁気センサについて、供給する電流の周波数と、磁界Hの変化量ΔHに対するインピーダンスZの変化量ΔZ(ΔZ/ΔH)との関係を示している。
具体的には、図3の従来例1(1mm、12個)は、長さ1mmの感受素子31を、並列に12個有している磁気センサ1に関するグラフである。また、図3の従来例2(1mm、30個)は、長さ1mmの感受素子31を、並列に30個有している磁気センサ1に関するグラフである。さらに、図3の従来例3(2mm、30個)は、長さ2mmの感受素子31を、並列に30個有している。なお、従来例1~従来例3に示した磁気センサ1のそれぞれの感受素子31は、Co85Nb12Zr3からなり、幅20μm、厚さ1.5μmである。従来例1~従来例3に示した磁気センサ1は、感受素子31の長さ、および並列させる感受素子31の個数以外の構成は互いに等しい。
図3に示すように、一層の軟磁性体層105から構成される(すなわち、図1(b)に示した導電体層106を有していない)従来の磁気センサ1では、感受素子31に流す電流の周波数が低い場合(例えば100MHz未満)には、周波数が高くなるにつれて磁界Hの変化量ΔHに対するインピーダンスZの変化量ΔZ(ΔZ/ΔH)が大きくなる一方で、感受素子31に流す電流の周波数が高い場合(例えば100MHz以上)には、磁気センサ1の感度が低下する傾向がある。この傾向は、図3の従来例2や従来例3のように、感受素子31の長さが長いほど、または並列させる感受素子31が多いほど顕著である。
このような高周波電流を供給した場合の磁気センサ1の感度の低下は、並列する感受素子31同士の間隙や、感受素子31(感受部30)とヨーク40との間隙で生じる浮遊容量の影響によるものと推測される。付言すると、磁気センサ1におけるインピーダンスZのうち、虚部の容量性成分(容量性リアクタンス)が大きくなることの影響によるものと推測される。
そして、磁気センサ1において、感受素子31の長さを長くしたり、並列させる感受素子31の個数を多くしたりすると、感受素子31同士の間隙や感受素子31(感受部30)とヨーク40との間隙が多くなるため、浮遊容量の影響が大きくなりやすい。この結果、磁気センサ1の感度の低下が顕著になるものと考えられる。
ここで、磁気センサ1において感受素子31の抵抗をR、浮遊容量をCとし、感受素子31を抵抗Rと浮遊容量Cとの並列回路とすると、この磁気センサ1の緩和周波数f0は、以下の式(1)のように表される。ここで、緩和周波数f0は、インピーダンスZの実部(レジスタンス)が減衰し且つ虚部(リアクタンス)が極小値をとる周波数であって、感受素子31の感度が低下し始める周波数に相当する。
0=1/2πRC …(1)
式(1)によれば、磁気センサ1の高周波領域での感度を向上させるためには、すなわち、緩和周波数f0を大きくするためには、感受素子31の抵抗Rまたは浮遊容量Cを小さくする必要がある。
これに対し、本実施の形態の磁気センサ1では、感受素子31が、軟磁性体層105と、軟磁性体層105と比べて導電性の高い導電体層106とが積層された構成となっている。これにより、感受素子31が導電体層106を備えない場合と比べて、感受素子31の抵抗Rが低くなり、磁気センサ1の高周波領域での感度を向上させることができる。
図4は、本実施の形態の磁気センサ1による作用を説明するための図であって、本実施の形態の磁気センサ1について、供給する電流の周波数と、磁界Hの変化量ΔHに対するインピーダンスZの変化量ΔZ(ΔZ/ΔH)との関係を示した図である。
図4において、供給する電流の周波数と、磁界Hの変化量ΔHに対するインピーダンスZの変化量ΔZ(ΔZ/ΔH)との関係を示す本実施の形態の例1および例2の磁気センサ1は、感受部30(感受素子31)が導電体層106を備える以外は上述した従来例1の磁気センサ1と同様の構成を有している。
具体的には、例1の磁気センサ1は、感受部30(感受素子31)が、厚さ0.75μmのCo85Nb12Zr3からなる下層軟磁性体層105aと上層軟磁性体層105bとの間に、厚さ100nmのアルミニウムからなる導電体層106を積層した構造を有している。また、例2の磁気センサ1は、感受部30(感受素子31)が、厚さ0.5μmのCo85Nb12Zr3からなる下層軟磁性体層105aと上層軟磁性体層105bとの間に、厚さ100nmのアルミニウムからなる導電体層106を積層した構造を有している。
ここで、軟磁性体層105(感受素子31を構成するCo合金)の一例であるCo85Nb12Zr3の電気抵抗率は、約250μΩ・cmであり、導電体層106(感受素子31を構成する導電体)の一例であるアルミニウムの電気抵抗率は、約2.5μΩ・cmである。
これにより、例1および例2に示す本実施の形態の磁気センサ1では、感受部30(感受素子31)が厚さ100nmのアルミニウムからなる導電体層106を備えることで、導電体層106を備えない従来例1の磁気センサ1と比べて、感受素子31の抵抗Rが10分の1程度に低下する。
この結果、本実施の形態の磁気センサ1では、式(1)で示した緩和周波数f0が上昇し、図4に示すように、感受素子31に流す電流の周波数が高い場合(例えば100MHz以上)であっても、磁界Hの変化量ΔHに対するインピーダンスZの変化量ΔZ(ΔZ/ΔH)の低下が抑制される。言い換えると、本実施の形態の磁気センサ1では、感受素子31に流す電流の周波数が高い場合(例えば100MHz以上)であっても、感度の低下が抑制される。
また、図示は省略するが、本実施の形態の磁気センサ1では、感受素子31が導電体層106を備え抵抗Rが低下することで、感受素子31が導電体層106を備えない場合と比べて、高周波領域においてインピーダンスZの実部(レジスタンス)および虚部(リアクタンス)が上昇する。このため、本実施の形態の磁気センサ1では、高周波電流を供給した場合の表皮効果をより強めることができる。
なお、上述した式(1)によれば、感受素子31の抵抗Rを小さくする他、感受素子13の浮遊容量Cを小さくすることによっても、緩和周波数f0を大きくし、高周波領域での磁気センサ1の感度を向上させることができる。
しかしながら、感受素子31の浮遊容量Cを小さくするためには、例えば隣接する感受素子31同士の距離や感受部30とヨーク40との距離、並列させる感受素子31の個数等を変更する必要がある。言い換えると、磁気センサ1の平面形状等を大きく変える必要がある。
これに対し、本実施の形態によれば、磁気センサ1の平面形状等を変更せずに、感受素子31の積層構造のみを変更することで、磁気センサ1の高周波領域での感度を向上させることができる。
(磁気センサ1の製造方法)
次に、磁気センサ1の製造方法の一例を説明する。
図5(a)~(e)は、磁気センサ1の製造方法の一例を説明する図である。図5(a)~(e)は、磁気センサ1の製造方法における工程を示す。なお、図5(a)~(e)は、代表的な工程であって、他の工程を含んでいてもよい。そして、工程は、図5(a)~(e)の順に進む。図5(a)~(e)は、図1(a)のIB-IB線での断面図に対応する。
基板10は、前述したように、非磁性材料からなる基板であって、例えばガラス、サファイアといった酸化物基板やシリコン等の半導体基板、あるいは、アルミニウム、ステンレススティール、ニッケルリンメッキを施した金属等の金属基板である。基板10には、研磨機などを用いて、例えば曲率半径Raが0.1nm~100nmの筋状の溝又は筋状の凹凸が設けられていてもよい。なお、この筋状の溝又は筋状の凹凸の筋の方向は、硬磁性体層103によって構成される薄膜磁石20のN極とS極とを結ぶ方向に設けられているとよい。このようにすることで、硬磁性体層103における結晶成長が、溝の方向へ促進される。よって、硬磁性体層103により構成される薄膜磁石20の磁化容易軸がより溝方向(薄膜磁石20のN極とS極とを結ぶ方向)に向きやすい。つまり、薄膜磁石20の着磁をより容易にする。
ここでは、基板10は、一例として直径約95mm、厚さ約0.5mmのガラスとして説明する。磁気センサ1の平面形状が数mm角である場合、基板10上には、複数の磁気センサ1が一括して製造され、後に個々の磁気センサ1に分割(切断)される。図5(a)~(e)では、中央に表記する一個の磁気センサ1に着目するが、左右に隣接する磁気センサ1の一部を合わせて示す。なお、隣接する磁気センサ1間の境界を一点鎖線で示す。
図5(a)に示すように、基板10を洗浄した後、基板10の一方の面(以下、表面と表記する。)上に、密着層101、制御層102、硬磁性体層103及び絶縁層104を順に成膜(堆積)して、積層体を形成する。
まず、Cr又はNiを含む合金である密着層101、Cr等を含む合金である制御層102、及び、薄膜磁石20を構成するCo合金である硬磁性体層103を順に連続して成膜(堆積)する。この成膜は、スパッタリング法などにより行える。それぞれの材料で形成された複数のターゲットに順に対面するように、基板10を移動させることで密着層101、制御層102及び硬磁性体層103が基板10上に順に積層される。前述したように、制御層102及び硬磁性体層103の形成では、結晶成長を促進するために、基板10を例えば100℃~600℃に加熱するとよい。
なお、密着層101の成膜では、基板10の加熱を行ってもよく、行わなくてもよい。基板10の表面に吸着している水分などを除去するために、密着層101を成膜する前に、基板10を加熱してもよい。
次に、SiO2、Al23、TiO2等の酸化物、又は、Si34、AlN等の窒化物等である絶縁層104を成膜(堆積)する。絶縁層104の成膜は、プラズマCVD法、反応性スパッタリング法などにより行える。
そして、図5(b)に示すように、感受部30が形成される部分及びヨーク40(ヨーク40a、40b)が形成される部分を開口とするフォトレジストによるパターン(レジストパターン)111を、公知のフォトリソグラフィ技術により形成する。
続いて、図5(c)に示すように、感受素子31を構成するCo合金である下層軟磁性体層105a、軟磁性体層105と比較して導電性の高い導電体である導電体層106、及び感受素子31を構成するCo合金である上層軟磁性体層105bを順に成膜(堆積)する。軟磁性体層105(下層軟磁性体層105a、上層軟磁性体層105b)及び導電体層106の成膜は、例えばスパッタリング法を用いて行える。
次に、図5(d)に示すように、レジストパターン111を除去するとともに、レジストパターン111上の軟磁性体層105(下層軟磁性体層105a、上層軟磁性体層105b)及び導電体層106を除去(リフトオフ)する。これにより、軟磁性体層105及び導電体層106により構成される感受部30及びヨーク40(ヨーク40a、40b)が形成される。つまり、感受部30とヨーク40とが、軟磁性体層105及び導電体層106の成膜により同時に形成される。
この後、軟磁性体層105には、感受部30における感受素子31の幅方向に一軸磁気異方性を付与する。この軟磁性体層105への一軸磁気異方性の付与は、例えば3kG(0.3T)の回転磁場中における400℃での熱処理(回転磁場中熱処理)と、それに引き続く3kG(0.3T)の静磁場中における400℃での熱処理(静磁場中熱処理)とで行える。この時、ヨーク40を構成する軟磁性体層105にも同様の一軸磁気異方性が付与される。しかし、ヨーク40は、磁気回路としての役割を果たせばよく、一軸磁気異方性が付与されていても、一軸磁気異方性が付与されていなくてもよい。
次に、薄膜磁石20を構成する硬磁性体層103を着磁する。硬磁性体層103に対する着磁は、静磁場中又はパルス状の磁場中において、硬磁性体層103の保磁力より大きい磁界を、硬磁性体層103の磁化が飽和するまで印加することで行える。
この後、図5(e)に示すように、基板10上に形成された複数の磁気センサ1を個々の磁気センサ1に分割(切断)する。つまり、図1(a)の平面図に示したように、平面形状が四角形になるように、基板10、密着層101、制御層102、硬磁性体層103、絶縁層104、軟磁性体層105及び導電体層106を切断する。すると、分割(切断)された硬磁性体層103の側面に薄膜磁石20の磁極(N極及びS極)が露出する。こうして、着磁された硬磁性体層103は、薄膜磁石20になる。この分割(切断)は、ダイシング法やレーザカッティング法などにより行える。
なお、図5(e)の複数の磁気センサ1を個々の磁気センサ1に分割する工程の前に、基板10上において隣接する磁気センサ1の間の密着層101、制御層102、硬磁性体層103、絶縁層104、軟磁性体層105及び導電体層106を、平面形状が四角形(図1(a)に示した磁気センサ1の平面形状)になるようにエッチング除去してもよい。そして、露出した基板10を分割(切断)してもよい。
また、図5(a)の積層体を形成する工程の後に、密着層101、制御層102、硬磁性体層103、絶縁層104を、平面形状が四角形(図1(a)に示した磁気センサ1の平面形状)になるように加工してもよい。
なお、図5(a)~(e)に示した製造方法は、これらの製造方法に比べ、工程が簡略化される。
このようにして、磁気センサ1が製造される。なお、軟磁性体層105への一軸異方性の付与及び/又は薄膜磁石20の着磁は、図5(e)の磁気センサ1を個々の磁気センサ1に分割する工程の後に、磁気センサ1毎又は複数の磁気センサ1に対して行ってもよい。
なお、制御層102を備えない場合には、硬磁性体層103を成膜後、800℃以上に加熱して結晶成長させることで、面内に磁気異方性を付与することが必要となる。しかし、第1の実施の形態が適用される磁気センサ1のように、制御層102を備える場合には、制御層102により結晶成長が促進されるため、800℃以上のような高温による結晶成長を要しない。
また、感受部30の感受素子31への一軸異方性の付与は、上記の回転磁場中熱処理及び静磁場中熱処理で行う代わりに、感受素子31を構成するCo合金である軟磁性体層105の堆積時にマグネトロンスパッタリング法を用いて行ってもよい。マグネトロンスパッタリング法では、磁石(マグネット)を用いて磁界を形成し、放電によって発生した電子をターゲットの表面に閉じ込める(集中させる)。これにより、電子とガスとの衝突確率を増加させてガスの電離を促進し、膜の堆積速度(成膜速度)を向上させる。このマグネトロンスパッタリング法に用いられる磁石(マグネット)が形成する磁界により、軟磁性体層105の堆積と同時に、軟磁性体層105に一軸異方性が付与される。このようにすることで、回転磁場中熱処理及び静磁場中熱処理で行う一軸異方性を付与する工程が省略できる。
[実施の形態2]
続いて、本発明の実施の形態2について説明する。図6(a)、(b)は、実施の形態2が適用される磁気センサ2の一例を説明する図である。図6(a)は、平面図、図6(b)は、図6(a)のVIB-VIB線での断面図である。ここでは、図1(a)、(b)に示した磁気センサ1と同様の構成については同様の符号を用い、詳細な説明は省略する。
実施の形態2の磁気センサ2は、実施の形態1の磁気センサ1と同様に、感受部30およびヨーク40が、軟磁性体層105(下層軟磁性体層105a、上層軟磁性体層105b)および導電体層106を有している。
また、実施の形態2の磁気センサ2は、下層軟磁性体層105aおよび上層軟磁性体層105bの厚さ方向の中央部に、反磁界抑制層107(下層反磁界抑制層107a、上層反磁界抑制層107b)を有している。具体的には、磁気センサ2では、下層軟磁性体層105aは、下層反磁界抑制層107aにより厚さ方向に分割されている。同様に、磁気センサ2では、上層軟磁性体層105bは、上層反磁界抑制層107bにより厚さ方向に分割されている。以下の説明では、二層の反磁界抑制層107(下層反磁界抑制層107a、上層反磁界抑制層107b)をそれぞれ区別しない場合には、単に反磁界抑制層107と表記する。
反磁界抑制層107は、Ru又はRu合金により構成される。ここで、Ru又はRu合金からなる反磁界抑制層107(下層反磁界抑制層107a、上層反磁界抑制層107b)の膜厚を、それぞれ0.4nm~1.0nm又は1.6nm~2.6nmの範囲とする。これにより、反磁界抑制層107(下層反磁界抑制層107a、上層反磁界抑制層107b)により分割される下層軟磁性体層105aおよび上層軟磁性体層105bのそれぞれが、反強磁性結合(AFC:Antiferromagnetically Coupled)構造となる。この結果、反磁界が抑制され、感受素子31の感度が向上する。
実施の形態2の磁気センサ2では、実施の形態1の磁気センサ1と同様に、感受部30(感受素子31)が導電体層106を有することで、導電体層106を備えない場合と比べて、感受素子31の抵抗Rが低下する。これにより、感受素子31に流す電流の周波数が高い場合(例えば100MHz以上)であっても、磁界Hの変化量ΔHに対するインピーダンスZの変化量ΔZ(ΔZ/ΔH)の低下が抑制される。
[実施の形態3]
続いて、本発明の実施の形態3について説明する。図7(a)、(b)は、実施の形態3が適用される磁気センサ3の一例を説明する図である。図7(a)は、平面図、図7(b)は、図7(a)のVIIB-VIIB線での断面図である。ここでは、図1(a)、(b)に示した磁気センサ1と同様の構成については同様の符号を用い、詳細な説明は省略する。
実施の形態3の磁気センサ3は、感受部30およびヨーク40が、四層の軟磁性体層105(第1軟磁性体層105c、第2軟磁性体層105d、第3軟磁性体層105e、第4軟磁性体層105f)と、三層の導電体層106(第1導電体層106a、第2導電体層106b、第3導電体層106c)を備えている。具体的には、磁気センサ3の感受部30およびヨーク40は、第1軟磁性体層105c、第1導電体層106a、第2軟磁性体層105d、第2導電体層106b、第3軟磁性体層105e、第3導電体層106cおよび第4軟磁性体層105fが、順に積層されている。
以下の説明では、四層の軟磁性体層105(第1軟磁性体層105c、第2軟磁性体層105d、第3軟磁性体層105e、第4軟磁性体層105f)をそれぞれ区別しない場合には、単に軟磁性体層105と表記する。同様に、三層の導電体層106(第1導電体層106a、第2導電体層106b、第3導電体層106c)をそれぞれ区別しない場合には、単に導電体層106と表記する。
実施の形態3の磁気センサ3では、実施の形態1の磁気センサ1と同様に、感受部30(感受素子31)が導電体層106を有することで、導電体層106を備えない場合と比べて、感受素子31の抵抗Rが低下する。これにより、感受素子31に流す電流の周波数が高い場合(例えば100MHz以上)であっても、磁界Hの変化量ΔHに対するインピーダンスZの変化量ΔZ(ΔZ/ΔH)の低下が抑制される。
なお、実施の形態3の磁気センサ3において、軟磁性体層105および導電体層106の層数は特に限定されるものではない。すなわち、感受部30の最下層および最上層が軟磁性体層105により構成されていれば、軟磁性体層105及び導電体層106はそれぞれ5層以上および4層以上であってもよい。
以上、本発明の実施の形態について説明したが、本発明は本実施の形態に限定されるものではない。本発明の趣旨に反しない限りにおいては様々な変形や組み合わせを行っても構わない。
1、2、3…磁気センサ、10…基板、20…薄膜磁石、30…感受部、31…感受素子、32…接続部、33…端子部、40、40a、40b…ヨーク、101…密着層、102…制御層、103…硬磁性体層、104…絶縁層、105…軟磁性体層、106…導電体層、107…反磁界抑制層

Claims (6)

  1. 非磁性の基板と、
    前記基板上に積層される複数の軟磁性体層と、複数の当該軟磁性体層の間に積層され当該軟磁性体層と比べて導電性が高い導電体層とを備え、長手方向と短手方向とを有し、当該長手方向と交差する方向に一軸磁気異方性を有し、磁気インピーダンス効果により磁界を感受する感受素子と、
    前記感受素子の前記長手方向の端部に対向するように当該感受素子と同一平面上に形成された一対の平板状のヨークと
    を備え
    前記ヨークは、複数の前記軟磁性体層と当該軟磁性体層の間に積層される前記導電体層とを備える磁気センサ。
  2. 前記感受素子および前記ヨークは、それぞれの前記軟磁性体層が、Ru又はRu合金から構成される反磁界抑制層による反強磁性結合構造を有していることを特徴とする請求項1に記載の磁気センサ。
  3. 前記感受素子は、前記導電体層を複数有することを特徴とする請求項1または2に記載の磁気センサ。
  4. 前記基板と前記感受素子の前記軟磁性体層との間に積層され、硬磁性体で構成され面内方向に磁気異方性を有する薄膜磁石をさらに備え、
    前記感受素子は、前記長手方向が前記薄膜磁石の発生する磁界の方向を向くことを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項に記載の磁気センサ。
  5. 前記磁気センサの側面には、前記薄膜磁石のN極およびS極が露出していることを特徴とする請求項に記載の磁気センサ。
  6. 非磁性の基板上に、Coを含む硬磁性体からなり、磁気異方性が面内方向に制御された薄膜磁石を形成する薄膜磁石形成工程と、
    前記基板上に複数の軟磁性体層と、当該軟磁性体層と比べて導電性が高い導電体層とを交互に積層し、前記薄膜磁石の発生する磁束が透過する方向と交差する方向に一軸磁気異方性を有する感受素子を形成する感受素子形成工程と、
    前記感受素子と同一平面上に、前記薄膜磁石の発生する磁束を当該感受素子に誘導する、一対の平板状のヨークを形成するヨーク形成工程と
    を含み、
    前記ヨーク形成工程は、前記複数の前記軟磁性体層と当該軟磁性体層の間に積層される前記導電体層とを備える前記ヨークを形成する磁気センサの製造方法。
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