JP7259293B2 - 磁気センサおよび磁気センサの製造方法 - Google Patents
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Description
本発明は、感受素子と薄膜磁石との間に絶縁層を有する場合と比較して、磁界の変化量に対するインピーダンスの変化量が大きい磁気センサを提供することを目的とする。
このような磁気センサにおいて、前記基板上に積層され、前記感受素子とそれぞれの前記薄膜磁石との間に設けられ、当該薄膜磁石により発生する磁束が当該感受素子を前記長手方向に透過するように誘導する一対のヨークをさらに備えることを特徴とすることができる。
また、このような磁気センサにおいて、前記ヨークは、前記感受素子の前記長手方向に対向する前記薄膜磁石の磁極に接触していることを特徴とすることができる。
さらに、このような磁気センサにおいて、前記ヨークは、前記感受素子とそれぞれの前記薄膜磁石との間から当該薄膜磁石上に連続して設けられていることを特徴とすることができる。
さらにまた、このような磁気センサにおいて、前記感受素子は、Ru又はRu合金から構成される反磁界抑制層を挟んで反強磁性結合した複数の軟磁性体層から構成されることを特徴とすることができる。
また、他の観点から捉えると、本発明が適用される磁気センサの製造方法は、非磁性の基板上に、磁気異方性が面内方向に制御され、異なる磁極が間隙を介して対向する一対の薄膜磁石を形成する薄膜磁石形成工程と、前記基板上に、一対の前記薄膜磁石により発生する磁束が透過する方向と交差する方向に一軸磁気異方性を有し、磁気インピーダンス効果により磁界を感受する感受素子を含む感受部を形成する感受部形成工程と、前記薄膜磁石形成工程の前に、前記基板上に、前記薄膜磁石の磁気異方性が面内方向に発現しやすいように制御する制御層を形成する制御層形成工程とを含み、前記薄膜磁石形成工程は、前記制御層形成工程により前記基板上に形成された前記制御層上に、前記薄膜磁石を構成する硬磁性体層を成膜する工程、および当該硬磁性体層を着磁する工程を含み、前記制御層は、Cr、Mo若しくはW又はそれらを含む合金で、bcc構造を有する。
以下、添付図面を参照して、本発明の実施の形態について詳細に説明する。
(磁気センサ1の構造)
図1(a)、(b)は、本実施の形態が適用される磁気センサ1の一例を説明する図である。図1(a)は、磁気センサ1の平面図であり、図1(b)は、図1(a)におけるIB-IB線での断面図である。
図1(a)、(b)に示すように、本実施の形態が適用される磁気センサ1は、非磁性の基板10と、基板10上に設けられ反磁界抑制層106を挟んで設けられる二層の軟磁性体(下層軟磁性体層105a、上層軟磁性体層105b)で構成されて磁場を感受する感受部30を備える。また、磁気センサ1は、基板10上に設けられ反磁界抑制層106を挟んで設けられる2層の軟磁性体(軟磁性体層105a、105b)で構成されて感受部30の後述する感受素子31の長手方向に対向するヨーク40を備える。以下の説明では、二層の軟磁性体(下層軟磁性体層105a、上層軟磁性体層105b)をそれぞれ区別しない場合には、単に軟磁性体層105と表記する。さらに、磁気センサ1は、基板10上に設けられ硬磁性体(硬磁性体層103)で構成され感受部30の感受素子31にバイアス磁界を印加する薄膜磁石20を備える。
なお、磁気センサ1の断面構造等については、後に詳述する。
上述したように、磁気センサ1は、感受部30を備える。感受部30は、平面形状が長手方向と短手方向とを有する短冊状である複数の感受素子31と、隣接する感受素子31をつづら折りに直列接続する接続部32と、電流供給のための電線が接続される端子部33とを備える。ここでは、4個の感受素子31が、長手方向が並列するように配置されている。また、本実施の形態の磁気センサ1では、感受素子31が、磁気インピーダンス効果素子である。
感受素子31は、例えば長手方向の長さが約1mm、短手方向の幅が数100μm、厚さ(軟磁性体層105と反磁界抑制層106とを合わせた厚さ)が0.5μm~5μmである。隣接する感受素子31間の間隔は、50μm~150μmである。
なお、感受素子31の長さ及び幅、並列させる個数など上記した数値は一例であって、感受(計測)する磁界の値や用いる軟磁性体材料などによって変更してもよい。
なお、薄膜磁石20a、20bをそれぞれ区別しない場合には、薄膜磁石20と表記する。同様に、硬磁性体層103a、103bをそれぞれ区別しない場合には、硬磁性体層103と表記する。
感受素子31を構成する軟磁性体(下層軟磁性体層105a、上層軟磁性体層105b)としては、Coを主成分とした合金に高融点金属Nb、Ta、W等を添加したアモルファス合金(以下では、感受素子31を構成するCo合金と表記する。)を用いるのがよい。感受素子31を構成するCo合金としては、CoNbZr、CoFeTa、CoWZr等が挙げられる。感受素子31を構成する軟磁性体(下層軟磁性体層105a、上層軟磁性体層105b)の厚さは、例えば、それぞれ0.2μm~2μmである。
そして、薄膜磁石20a、20bは、異なる磁極が、ヨーク40及び感受部30を介して長手方向に対向するようになっている。この例では、薄膜磁石20aのN極と、薄膜磁石20bのS極とが、ヨーク40及び感受部30を介して長手方向に対向するようになっている。付言すると、薄膜磁石20aのN極と薄膜磁石20bのS極と結ぶ線が、感受部30の感受素子31の長手方向に向くようになっている。なお、長手方向に向くとは、N極とS極とを結ぶ線と長手方向とのなす角度が0°以上且つ45°未満であることをいう。なお、N極とS極とを結ぶ線と長手方向とのなす角度は、小さいほどよい。
なお、薄膜磁石20a、20bのN極とS極とをまとめて両磁極と表記し、N極とS極とを区別しない場合には、磁極と表記する。なお、ここでは、図1(a)、(b)において薄膜磁石20aおよび薄膜磁石20bの右側をN極、左側をS極として説明するが、N極とS極とを入れ替えてもよい。
また、ヨーク40(ヨーク40a、40b)と薄膜磁石20(薄膜磁石20a、20b)との間隔は、例えば1μm~100μmとすることができる。ヨーク40(ヨーク40a、40b)と薄膜磁石20(薄膜磁石20a、20b)とは、互いに接触していてもよい。
続いて、本実施の形態の磁気センサ1の作用について説明する。図2は、磁気センサ1の感受部30における感受素子31の長手方向に印加された磁界と感受部30のインピーダンスとの関係を説明する図である。図2において、横軸が磁界H、縦軸がインピーダンスZである。感受部30のインピーダンスZは、2個の端子部33間に高周波電流を流して測定される。
そして、磁気センサ3では、感受部30に供給された高周波電流がコンデンサに使用される結果、磁界Hの変化量ΔHに対するインピーダンスZの変化量ΔZが低下する場合がある。
また、磁気センサ1では、薄膜磁石20と感受部30とを絶縁するための絶縁層が不要となるため、磁気センサ1の構成を簡素化することができる。
次に磁気センサ1の製造方法の一例を説明する。
図3(a)~(c)、図4(a)~(d)は、磁気センサ1の製造方法の一例を説明する図である。図3(a)~(c)、図4(a)~(d)は、磁気センサ1の製造方法における工程を示す。なお、図3(a)~(c)、図4(a)~(d)は、代表的な工程であって、他の工程を含んでいてもよい。そして、工程は、図3(a)~(c)、図4(a)~(d)の順に進む。図3(a)~(c)、図4(a)~(d)は、図1(a)のIB-IB線での断面図に対応する。
具体的には、Cr又はNiを含む合金である密着層101、Cr等を含む合金である制御層102、及び薄膜磁石20を構成するCo合金である硬磁性体層103を順に連続して成膜(堆積)する。この成膜は、スパッタリング法などにより行うことができる。それぞれの材料で形成された複数のターゲットに順に対面するように、基板10を移動させることで密着層101、制御層102及び硬磁性体層103が基板10上に順に積層される。前述したように、制御層102及び硬磁性体層103の形成では、結晶成長を促進するために、基板10を例えば100℃~600℃に加熱するとよい。
そして、図4(b)に示すように、感受素子31を構成するCo合金である下層軟磁性体層105a、Ru又はRu合金である反磁界抑制層106、及び感受素子31を構成するCo合金である上層軟磁性体層105bを順に成膜(堆積)する。軟磁性体層105(下層軟磁性体層105a、上層軟磁性体層105b)及び反磁界抑制層106の成膜は、例えばスパッタリング法を用いて行える。
なお、上述した薄膜磁石20を構成する硬磁性体層103を成膜する工程、および硬磁性体層103を着磁する工程は、磁気異方性が面内方向に制御された薄膜磁石20を形成するための工程であるから、これらを併せて、薄膜磁石形成工程と呼ぶことがある。
なお、図3(a)~(c)、図4(a)~(d)に示した製造方法は、このような製造方法に比べ、工程が簡略化される。
(磁気センサ2)
図5(a)、(b)は、変形例である磁気センサ2の一例を説明する図である。図5(a)は、平面図、図5(b)は、図5(a)のVB-VB線での断面図である。ここでは、図1(a)、(b)に示した磁気センサ1と同様の構成については同様の符号を用い、詳細な説明は省略する。
図1(a)、(b)に示した磁気センサ1では、感受部30およびヨーク40が、反磁界抑制層106で挟んで設けられた二つの軟磁性体層105(下層軟磁性体層105a、上層軟磁性体層105b)により構成されている。また、図1(a)、(b)に示した磁気センサ1では、基板10上において、感受部30と薄膜磁石20(薄膜磁石20a、20b)との間に、ヨーク40(ヨーク40a、40b)が配置されている。
また、磁気センサ2では、図5(a)、(b)に示すようにヨーク41(ヨーク41a、41b)は、感受素子31の長手方向の端部に対向する位置から薄膜磁石20(薄膜磁石20a、20b)の上面まで連続して形成されている。付言すると、磁気センサ2では、ヨーク41(41a、41b)は、薄膜磁石20(薄膜磁石20a、20b)の感受素子31に対向する側面、および上面に接触するように設けられている。
また、図4(b)に示した下層軟磁性体層105a、上層軟磁性体層105b及び反磁界抑制層106を成膜する工程に代えて、一層の軟磁性体層105を成膜するように変更する。これにより、レジストパターン112の開口に対応する基板10上及び硬磁性体層103上に、一層の軟磁性体層105が成膜される。
以上の工程により、図5(a)、(b)に示した磁気センサ2が製造される。
また、磁気センサ2は、他の製造工程を用いて製造されてもよい。
Claims (6)
- 非磁性の基板と、
前記基板上に成膜され、軟磁性体で構成され、長手方向と短手方向とを有し、当該長手方向と交差する方向に一軸磁気異方性を有し、磁気インピーダンス効果により磁界を感受する感受素子と、
前記基板上に成膜され、前記感受素子を挟んで前記長手方向に対向して配置され、当該感受素子の当該長手方向に磁界を印加する一対の薄膜磁石と、
前記基板と前記薄膜磁石との間に成膜され、当該薄膜磁石の磁気異方性が面内方向に発現しやすいように制御する制御層とを備え、
前記制御層は、Cr、Mo若しくはW又はそれらを含む合金で、bcc構造を有する、
磁気センサ。 - 前記基板上に積層され、前記感受素子とそれぞれの前記薄膜磁石との間に設けられ、当該薄膜磁石により発生する磁束が当該感受素子を前記長手方向に透過するように誘導する一対のヨークをさらに備えることを特徴とする請求項1に記載の磁気センサ。
- 前記ヨークは、前記感受素子の前記長手方向に対向する前記薄膜磁石の磁極に接触していることを特徴とする請求項2に記載の磁気センサ。
- 前記ヨークは、前記感受素子とそれぞれの前記薄膜磁石との間から当該薄膜磁石上に連続して設けられていることを特徴とする請求項3に記載の磁気センサ。
- 前記感受素子は、Ru又はRu合金から構成される反磁界抑制層を挟んで反強磁性結合した複数の軟磁性体層から構成されることを特徴とする請求項1に記載の磁気センサ。
- 非磁性の基板上に、磁気異方性が面内方向に制御され、異なる磁極が間隙を介して対向する一対の薄膜磁石を形成する薄膜磁石形成工程と、
前記基板上に、一対の前記薄膜磁石により発生する磁束が透過する方向と交差する方向に一軸磁気異方性を有し、磁気インピーダンス効果により磁界を感受する感受素子を含む感受部を形成する感受部形成工程と、
前記薄膜磁石形成工程の前に、前記基板上に、前記薄膜磁石の磁気異方性が面内方向に発現しやすいように制御する制御層を形成する制御層形成工程と
を含み、
前記薄膜磁石形成工程は、前記制御層形成工程により前記基板上に形成された前記制御層上に、前記薄膜磁石を構成する硬磁性体層を成膜する工程、および当該硬磁性体層を着磁する工程を含み、
前記制御層は、Cr、Mo若しくはW又はそれらを含む合金で、bcc構造を有する、
磁気センサの製造方法。
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