JP2003034510A - 窒化ガリウム結晶超微粒子とその製造方法 - Google Patents

窒化ガリウム結晶超微粒子とその製造方法

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JP2003034510A JP2002122980A JP2002122980A JP2003034510A JP 2003034510 A JP2003034510 A JP 2003034510A JP 2002122980 A JP2002122980 A JP 2002122980A JP 2002122980 A JP2002122980 A JP 2002122980A JP 2003034510 A JP2003034510 A JP 2003034510A
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博 山村
Katsuyoshi Kakinuma
克良 柿沼
Manabu Kawa
学 加和
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Abstract

(57)【要約】 (修正有) 【課題】窒化ガリウム結晶のバルク状態でのバンドギャ
ップに相当するエネルギーよりも大きなエネルギーの波
長領域に発光帯を与える紫外発光体を提供する。 【解決手段】 200nm〜300nmの波長範囲の励
起光の照射により発光強度極大をバルク状態におけるバ
ンドギャップに相当する波長以下の波長を有する発光帯
を与えることを特徴とする窒化ガリウム結晶超微粒子。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、窒化ガリウム結晶
超微粒子とその製造方法に関する。本発明の窒化ガリウ
ム結晶超微粒子は、窒化ガリウム結晶のバルク状態での
バンドギャップに相当するエネルギーよりも大きなエネ
ルギーの波長領域に発光帯を与える紫外発光体であるの
で、例えば、コンパクトディスク(CD)やデジタルビ
デオディスク(DVD)等の各種光ディスク類の信号の
読み書き用光源、あるいはディスプレイ用紫外線バック
ライト等に利用される。
【0002】
【従来の技術】窒化ガリウム結晶は、バルク状態(量子
効果を発現しない状態)において近紫外域に該当するエ
ネルギーのバンドギャップを有する半導体であり、近紫
外域での発光体としての利用が期待される材料である。
特に、量子効果による吸発光波長の制御が可能となる程
度の粒径の超微粒子として窒化ガリウム結晶を利用する
ことは、近紫外発光ダイオードや近紫外レーザー等の発
光材料としての応用が期待される技術である。
【0003】半導体結晶超微粒子を生成可能な従来の真
空製造プロセス、例えば分子線エピタキシー法(MBE
法)、有機金属気相成長法(MOVPE法)、あるいは
原子層エピタキシー法(ALE法)等により前記量子効
果を発現する窒化ガリウム結晶の超微粒子を高い純度で
合成可能であるが、生成する超微粒子は基板上に強固に
付着した状態でしか得られず溶媒や高分子等の媒質に自
由に分散利用できるものではなかった。また、かかる真
空製造プロセスは、ガリウム金属、トリメチルガリウム
等の有機ガリウム化合物類、あるいは塩化ガリウム等の
ハロゲン化ガリウム類といった高価かつ化学的安定性に
劣る原料を必要とする点、高度の真空制御を要する点、
及び合成速度の点において、必ずしも満足できる工業的
製造方法ではなかった。
【0004】一方、比較的簡便な液相反応による窒化ガ
リウム結晶超微粒子の合成は、例えばC.H.Y.Wa
llaceら;Chem.Mater.,11巻,22
99−2301(1999)やG.Caoら;Mod.
Phys.Lett.B,14巻,583−588(2
000)に報告されているが、不純物準位や結晶格子欠
陥準位等が関与する可視領域波長での発光帯を与えるも
のであり、紫外領域の発光帯を与えるものではなかっ
た。実際、例えばJ.L.Cofferら;Chem.
Mater.,9巻,2671-2673(1997)
には可視短波長領域に発光帯ピークを有する窒化ガリウ
ム結晶超微粒子をフッ化水素酸で処理すると該発光帯の
半値幅が顕著に小さくなることから、結晶表面構造に由
来するエネルギー準位が関与した発光機構が論じられて
いる。また、A.Manzら;Adv.Mater.,
12巻,569−573(2000)にはアジド基を含
有する有機ガリウム化合物の熱分解を利用する方法が報
告されているが、得られる窒化ガリウム超微粒子は結晶
性が不十分であり紫外領域での発光能にも欠けるという
課題を残していた。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】前記の従来技術に鑑
み、本発明は、窒化ガリウム結晶が本来有する紫外領域
での発光能を保持した超微粒子を、溶媒や高分子等の媒
質に分散して利用可能な粉末状態で、化学的安定性に優
れる原料を用いかつ真空プロセスを使用せずに効率的に
製造することを目的とするものである。
【0006】
【課題を解決するための手段】本発明者らは前記課題を
解決するために、安価かつ汎用的な窒素源であるアンモ
ニアを利用してガリウム塩類等の比較的安価かつ化学的
安定性に優れる無機ガリウム化合物を窒化する反応につ
いて鋭意系統的な検討を行った結果、固相の該無機ガリ
ウム化合物を効率的に窒化することが可能であり、こう
して得る窒化ガリウムは高度の結晶性を有し、しかもバ
ルク状態におけるバンドギャップに相当する波長(36
6nm)よりも短波長領域に発光能を有する超微粒子で
あることを見出して、本発明を完成するに至った。
【0007】即ち、本発明の第1の要旨は、200nm
〜300nmの波長範囲の励起光の照射により発光強度
極大をバルク状態におけるバンドギャップに相当する波
長以下の波長に有する発光帯を与え、且つ数平均粒径が
0.01〜10μmの粉末状であることを特徴とする窒
化ガリウム結晶超微粒子に存する。本発明の第2の要旨
は、ガリウム化合物をアンモニア存在下600℃以上の
温度範囲で熱処理することを特徴とする窒化ガリウム結
晶超微粒子の製造方法に存する。
【0008】
【発明の実施の形態】以下、本発明を詳細に説明する。 [窒化ガリウム結晶超微粒子]本発明の窒化ガリウム結
晶超微粒子は、200nm〜300nmの波長範囲の励
起光の照射により発光強度極大をバルク状態におけるバ
ンドギャップに相当する波長(366nm、温度は30
0K)以下の波長に有する発光帯を与えることを特徴と
し、数平均粒径が一次粒子として0.01〜10μmの
粉末状のものである。かかる粉末状であるため、適当な
粉砕や表面処理を必要に応じて行った上で、溶媒や高分
子等の媒質に分散して利用可能であることが、本発明の
窒化ガリウム結晶超微粒子の特徴の1つである。該粉末
状態を規定する前記数平均粒径は分散性の点では小さい
ほど好ましいが、その上限は好ましくは5μm、更に好
ましくは1μm程度である。かかる粒径は光学顕微鏡や
電子顕微鏡により測定可能であり、ボールミル、ジェッ
トミル、あるいは乳鉢等の任意の粉砕方法によりその粒
径を調整してもよい。
【0009】本発明の窒化ガリウム結晶超微粒子は粉末
状であるが、バルク状態におけるバンドギャップに相当
する波長以下の波長に発光強度極大を有するという特徴
を有する。かかる特徴が現れる機構は定かでないが、1
つには量子効果に起因すると考えられるので、後述する
ようにかかる量子効果が顕著となる粒径を有する1次粒
子が凝集して形成されているものとも考えられる。もう
1つの可能性は、後述するような酸素や炭素等の純粋な
窒化ガリウム(GaN)組成にない他元素が含まれるこ
とにより上記特徴を有する発光準位が形成される機構で
ある。
【0029】該発光強度極大を与える波長(以下「ピー
ク波長」と呼ぶ)は、通常250nm〜350nmの波
長範囲に存在し、量子効果による波長制御性の点で好ま
しくは270nm〜330nm、更に好ましくは290
nm〜320nmの波長範囲である。また、前記の励起
光は200nm〜300nmの波長範囲の一部又は全部
を含むものであれば制限はなく、例えば回折格子等によ
り単色化されたものであっても構わない。代表的な該励
起波長範囲は例えば230nm〜280nmであり、発
光効率の点で好ましくは250nm〜280nm程度で
ある。
【0010】前記のピーク波長の測定は、窒化ガリウム
結晶超微粒子に前記の励起光が照射される限りにおいて
その試料の状態に制限はなく、例えば該超微粒子の粉末
やこれをペレット状に押し固めた状態、あるいはポリメ
チルメタクリレート等のアクリル樹脂に代表される適当
な非晶性バインダー中に分散した状態であってもよい。
また該測定の温度条件は15℃〜30℃程度の室温と
し、代表的には23℃である。
【0011】本発明の窒化ガリウム結晶超微粒子の粒径
に関しては前記のピーク波長の条件を満足する限りにお
いて制限はないが、透過型電子顕微鏡(TEM)で観察
される1次粒子(最小の粒子単位)の数平均粒径は通常
1nm〜50nm程度であり、発光強度や該ピーク波長
の制御性の点でこの数平均粒径は好ましくは2nm〜3
0nm程度、更に好ましくは3nm〜20nm程度であ
る。
【0012】かかる1次粒子は互いに凝集した2次粒子
等の凝集粒子を形成していてもよい。かかる凝集粒子の
粒径には制限はないが、分散液の塗布による塗膜等の成
形加工性等の都合により該凝集粒子粒径を小さくする及
び/又は該粒径分布を小さくすることが望ましい場合に
は、粉砕や破砕等の適当な解粒操作及び/又は分級操作
を施してもよい。実用的に好ましい該凝集粒子粒径の数
平均は、例えば10nm〜10000nm程度、好まし
くは10nm〜1000nm程度である。
【0013】[窒化ガリウム結晶超微粒子の化学組成]
本発明の窒化ガリウム結晶超微粒子は、窒化ガリウム組
成(GaN)を主体とするものであるが、前記の発光能
及び数平均粒径を有する限りにおいて酸素や炭素等の他
元素をその化学組成に含有していてもよい。例えば、エ
ックス線光電子分光法(XPS)により、酸素とガリウ
ムの存在比O/Gaが0〜0.7の範囲で検出される化
学組成、同じく炭素とガリウムの存在比C/Gaが0〜
0.3の範囲で検出される化学組成等が可能である。こ
れらの他元素の存在状態に制限は特になく、例えば窒化
ガリウム結晶格子中に不純物として含有されていてもよ
く、又は窒化ガリウム結晶格子とは別に存在して混入し
ていてもよい。上記酸素とガリウムの存在比O/Ga
は、量子効果による発光波長制御性の点で好ましくは0
〜0.6、更に好ましくは0〜0.5である。上記炭素
とガリウムの存在比C/Gaは、量子効果による発光波
長制御性の点で好ましくは0〜0.2、更に好ましくは
0〜0.1である。
【0014】本発明の窒化ガリウム結晶超微粒子は、窒
化ガリウム組成(GaN)を主体とするものであるが、
前記の発光能及び数平均粒径を有する限りにおいて、金
属状態(0価)ガリウムを含有していてもよい。0価ガ
リウムの存在は、エックス線光電子分光法で検出される
Ga3d光電子ピークにおいて、3価ガリウムに帰属さ
れる主成分のピーク位置に対して1〜3eV低束縛エネ
ルギー側に副成分の準ピークとして確認される。副成分
は明瞭なピークとして検出される場合もあるが、ピーク
をデコンボリュージョンして定量されるピークショルダ
ーとして検出される場合もある。こうして定量される0
価ガリウムの全ガリウムに対する割合は、通常0〜20
%、発光能の点で好ましくは5〜15%、更に好ましく
は5〜10%である。
【0015】[窒化ガリウム結晶超微粒子の結晶性]か
かる窒化ガリウム結晶超微粒子の結晶性は、例えばエッ
クス線回折法で確認される。即ち、銅のKα線をエック
ス線源とするエックス線回折スペクトルにおいて、回折
角2θが32.3〜32.5度(窒化ガリウム結晶の
(100)面からの回折線に相当)、34.3〜34.
7度(同じく(002)面からの回折線に相当)、3
6.7〜37.0度(同じく(101)面からの回折線
に相当)、47.5〜48.1度(同じく(102)面
からの回折線に相当)、57.7〜57.9度(同じく
(110)面からの回折線に相当)、及び63.3〜6
3.6度(同じく(103)面からの回折線に相当)の
いずれかの領域に回折ピークを有することが結晶性の点
で好ましい条件である。本発明の窒化ガリウム結晶超微
粒子の望ましい結晶性は、例えば前記の(110)面か
らの回折線の半値幅が、回折角2θとして1.2度以下
であることで特徴づけられ、この半値幅は発光強度の点
で好ましくは0.9度以下、更に好ましくは0.6度以
下である。
【0016】[窒化ガリウム結晶超微粒子の製造方法]
本発明の窒化ガリウム結晶超微粒子の製造方法は、ガリ
ウム化合物をアンモニア存在下600℃以上の温度範囲
で熱処理して窒化反応せしめることを特徴とするもので
ある。かかる窒化反応において、該ガリウム化合物を好
ましくは固相で反応せしめ、固相のガリウム化合物の表
面積を増やして反応速度を上げる必要がある場合には、
固相のガリウム化合物を乳鉢や粉砕器等で十分に粉砕し
て微粉状にしておくことが望ましい。かかる微粉状のガ
リウム化合物の粒径に制限はないが、数平均として例え
ば二次粒子として0.01〜20μm、好ましくは0.
01〜10μm程度とする。かかる微粉状のガリウム化
合物は、アンモニア存在下での熱処理後のハンドリング
を容易にする目的等で、あらかじめ、原料となるガリウ
ム化合物に有機系のバインダーを混合、数mm以上程度
の大きさに成形した後に熱処理に供することができる。
この場合においても、加熱処理後は所望の粒径を有する
窒化ガリウム結晶が得られる。有機系バインダーとして
は、粘度が高くある程度の親水性を有する液体が好まし
いが限定されない。具体的な化合物としては、メチルセ
ルロース、ヒドロキシルプロピルメチルセルロースなど
のセルーロース類、ポリビニルアルコール、ポリエチレ
ンオキシド、ポリアクリル酸、ポリアクリルアミド、澱
粉、小麦粉やポリビニルブチラール、ポリエチレン、エ
チレン−酢酸ビニル共重合体、ポリスチレン、ポリアク
リル系樹脂、ポリアミド樹脂、ポリメタクリル酸系樹
脂、フェノール樹脂、変性ワックス、多糖類、グリセリ
ン、ポリアルキレンエーテルグリコール、ジブチルフタ
レートなどが使用できる。低い温度で炭化しないで飛散
するバインダーが好適である。また、成形においては、
必要に応じて適切な溶剤、可塑剤、分散剤を選択、使用
することもできる。同様に原料となるガリウム化合物を
加圧成形してペレット状とし、アンモニア存在下の熱処
理に供することも可能である。加圧成形には金型プレス
の他、冷間等方圧プレス(CIP)や熱間等方圧プレス
(HIP)を使用することもできる。
【0017】本発明の製造方法において、前記ガリウム
化合物に炭素単体及び/又は炭素原子を含有する化合物
を共存させると、生成する窒化ガリウム結晶超微粒子の
結晶性や発光能を向上させることができる場合がある。
ここでいう共存とは、ガリウム化合物と予め混合してお
く方法、気体状態で反応器内に導入してガリウム化合物
と接触させる方法などが例示されるが、炭素単体及び/
又は炭素原子を含有する化合物がガリウム化合物と接触
可能である限りにおいてその方法に制限はない。
【0018】上記炭素単体及び/又は炭素原子を含有す
る化合物の共存効果の機構は定かでないが、その還元力
によるものとも考えられる。炭素単体及び/又は炭素原
子を含有する化合物の添加量は、ガリウム化合物と合わ
せた総重量に対して通常0〜50重量%、好ましくは0
〜40重量%、更に好ましくは0〜30重量%、最も好
ましくは0〜20重量%である。
【0019】上記で使用可能な炭素単体としては、カー
ボンブラック、黒鉛、C60やC70等のフラーレン類、カ
ーボンナノチューブ等が例示され、炭素原子を含有する
化合物としては、ペンタン、ヘキサン、オクタン、デカ
ン、ペンタデカン等の脂肪族炭化水素類、ベンゼン、ト
ルエン、キシレン、トリクレン、ナフタレン等の芳香族
炭化水素類、メタノール、エタノール、プロパノール、
ブタノール、ヘキサノール、オクタノール、トリエチレ
ングリコールモノメチルエーテル、プロパギルアルコー
ル、アセトール等のアルコール類、エチレングリコー
ル、トリエチレングリコール、1,4−ジヒドロキシブ
タン、グリセリン等の多価アルコール類、フェノール、
レゾルシノール、ヒドロキノン、ビスフェノールA等の
フェノール類、ホルムアルデヒド、アセトアルデヒド、
ベンズアルデヒド等のアルデヒド類、アセトン、メチル
エチルケトン、アセトフェノン、ベンゾフェノン等のケ
トン類、蟻酸、酢酸、プロパン酸、ブタン酸、ヘキサン
酸、オクタン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、オレイ
ン酸、シュウ酸、マロン酸、コハク酸、安息香酸、フタ
ル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、1,3,5−ベン
セントリカルボン酸、無水フタル酸、アクリル酸、メタ
クリル酸、フマル酸、マレイン酸、無水マレイン酸、ク
エン酸、酒石酸、アスコルビン酸等のカルボン酸類、蟻
酸メチル、酢酸エチル、酢酸ブチル、酢酸フェニル、酢
酸ベンジル、ブタン酸メチル、シュウ酸モノメチル、シ
ュウ酸ジメチル、マロン酸ジエチル、コハク酸ジブチ
ル、安息香酸メチル、フタル酸ジメチル、イソフタル酸
ジエチル、テレフタル酸ジメチル、テレフタル酸モノメ
チル等のカルボン酸エステル類、ジブチルエーテル、ジ
フェニルエーテル、メチルベンジルエーテル、ジベンジ
ルエーテル、テトラヒドロフラン等のエーテル類、ヘキ
シルアミン、オクチルアミン、ヘキサデシルアミン、ベ
ンジルアミン、フェニルアミン等の1級アミン類、ジブ
チルアミン、ジデシルアミン、ジフェニルアミン等の2
級アミン類、トリブチルアミン、トリフェニルアミン等
の3級アミン類ヒドロキシアミンのような無機アミン類
およびその塩、ヒドラジンのような無機ヒドラジン類お
よびその塩、ピリジン、メチルピリジン、キノリン等の
含窒素芳香族化合物類、ホルムアミド、アセトアミド、
アクリルアミド、N,N−ジメチルホルムアミド、N,
N−ジメチルアセトアミド、N−メチルピロリドン等の
カルボン酸アミド類、ジメチルスルホキシド、ジブチル
スルホキシド等のスルホキシド類、あるいは炭酸アンモ
ニウム、蟻酸アンモニウム、酢酸アンモニウム、シュウ
酸アンモニウム、コハク酸アンモニウム等の炭酸又はカ
ルボン酸類のアンモニウム塩等が例示される。これらの
うち好ましく用いられるのは、メタノール、エタノー
ル、プロパノール、ブタノール、ヘキサノール、オクタ
ノール、トリエチレングリコールモノメチルエーテル等
のアルコール類、エチレングリコール、トリエチレング
リコール、1,4−ジヒドロキシブタン、グリセリン等
の多価アルコール類、フェノール、レゾルシノール、ヒ
ドロキノン、ビスフェノールA等のフェノール類、ホル
ムアルデヒド、アセトアルデヒド、ベンズアルデヒド等
のアルデヒド類、蟻酸メチル、酢酸エチル、酢酸ブチ
ル、酢酸フェニル、酢酸ベンジル、ブタン酸メチル、シ
ュウ酸モノメチル、シュウ酸ジメチル、マロン酸ジエチ
ル、コハク酸ジブチル、安息香酸メチル、フタル酸ジメ
チル、イソフタル酸ジエチル、テレフタル酸ジメチル、
テレフタル酸モノメチル等のカルボン酸エステル類、ヘ
キシルアミン、オクチルアミン、ヘキサデシルアミン、
ベンジルアミン、フェニルアミン等の1級アミン類、ジ
ブチルアミン、ジデシルアミン、ジフェニルアミン等の
2級アミン類、ピリジン、メチルピリジン、キノリン等
の含窒素芳香族化合物類、炭酸アンモニウム、蟻酸アン
モニウム、酢酸アンモニウム、シュウ酸アンモニウム、
コハク酸アンモニウム等の炭酸又はカルボン酸類のアン
モニウム塩等であり、中でもフェノール、レゾルシノー
ル、ヒドロキノン、ビスフェノールA等のフェノール
類、アセトン、メチルエチルケトン、アセトフェノン、
ベンゾフェノン等のケトン類、ホルムアルデヒド、アセ
トアルデヒド、ベンズアルデヒド等のアルデヒド類、炭
酸アンモニウム、蟻酸アンモニウム、酢酸アンモニウ
ム、シュウ酸アンモニウム、コハク酸アンモニウム等の
炭酸又はカルボン酸類のアンモニウム塩等はより好まし
く、蟻酸アンモニウム、酢酸アンモニウム、シュウ酸ア
ンモニウム、コハク酸アンモニウム等の炭酸又はカルボ
ン酸類のアンモニウム塩は更に好ましく、熱分解温度の
点でシュウ酸アンモニウムは最も好ましい。還元性を有
する物質を用いる方法としては、上記に例示した化合物
を単独で用いる方法のみならず、複数を併用する方法も
挙げられる。還元性を有する物質の共存方法については
とくに制限はないが、粉体どうしを物理混合させる方法
が簡便に用いられる。ガリウム化合物と還元性を有する
化合物を粉砕混合するの方法が好ましい。ガリウム化合
物が溶媒に溶解する場合は、還元性を有する物質を溶解
混合し、乾燥して均一な混合物を得る方法も用いられ
る。液状媒体中で例えばシュウ酸のようなガリウム化合
物を金属ガリウムに還元しない程度の還元性を有する物
質を用いるのが好ましい。
【0020】前記のアンモニア存在下におけるガリウム
化合物の熱処理温度範囲は使用するガリウム化合物の熱
分解温度により調整されるが、生成物の粒径の制御性や
結晶性、あるいは製造に要する加熱を経済的に行う点で
通常600℃〜1200℃、好ましくは700℃〜11
00℃、更に好ましくは750℃〜1050℃程度であ
る。この温度が低すぎると窒化反応の進行や窒化ガリウ
ムの結晶性が極端に阻害される場合がある。かかる加熱
は、反応器に原料として使用するガリウム化合物を入れ
ここにアンモニアを導入し所定温度まで昇温して行われ
る。かかる昇温の速度には特に制限はないが、例えば1
〜50℃/分、生産性と昇温制御性の点で好ましくは3
〜30℃/分、更に好ましくは5〜20℃/分程度であ
る。熱処理時間は通常0.1〜15時間程度である。本
発明においては、必要に応じて多段でアンモニア存在下
の熱処理を施してもよい。その際、段によって、アンモ
ニア濃度、熱処理温度などが異なる多段熱処理も好適に
用いられる。
【0021】本発明においては、好ましくない反応を抑
制する点において純度が高いアンモニアが好適に使用さ
れる。好ましくは99.8%以上、さらに好ましくは9
9,99%以上、特に好ましくは99.999%以上で
ある。本発明において使用されるアンモニアの形態につ
いては特にこだわらないが、通常アンモニアを含有する
気体が好適に用いられる。該気体中のアンモニア含有量
は通常10〜100モル%、反応速度の点で好ましくは
30〜100モル%、更に好ましくは50〜100モル
%程度であり、アンモニアと混合する気体としては本発
明の製造方法の窒化反応に好ましくない影響を与える化
学反応を起こさないもの、具体的には窒素ガスやアルゴ
ンガス等の不活性気体の使用が望ましい。また、不純物
としての酸化物の生成を抑制するためには該アンモニア
を含む気体中の酸素濃度を可及的小さくすることが望ま
しく、この濃度は例えば10ppm以下好ましくは1p
pm以下、更に好ましくは0.1ppm以下程度であ
る。加熱によってアンモニアを発生する炭酸アンモニウ
ムやカルバミン酸アンモニウム、尿素なども好適に用い
られる場合がある。本発明において使用するアンモニア
を含む気体は、反応器内部を流通する気流とすることが
好ましい場合がある。気流の流量については、反応器の
形状にもよるので一概にはいえないが、通常30scc
mから10000sccm、好ましくは50sccmか
ら5000sccmである。アンモニアを含む気体の気
流を用いる場合の反応器内の圧力については特にこだわ
らないが、通常ゲージ圧で−0.05〜1MPa、好ま
しくは−0.07〜0.2MPaである。
【0022】該ガリウム化合物は、600℃以上の温度
においてアンモニア存在下における熱処理を受ける限り
において制限はないが、例えば周期表の第15族あるい
は第16族に属する元素を含有する陰イオンのガリウム
塩類やガリウムカルコゲニド類等が代表的なものとして
挙げられ、これらは結晶水を含有したものでもよいが無
水物が望ましい。具体的には、硫酸ガリウムや硝酸ガリ
ウム等の強酸陰イオンのガリウム塩類、亜硫酸ガリウム
や亜硝酸ガリウム等の低酸化度陰イオンのガリウム塩
類、あるいは酸化ガリウム等のガリウムカルコゲニド類
等が例示され、硫酸ガリウムと酸化ガリウムは生成物の
結晶性の点で好ましく用いられ、中でも好適な熱分解温
度の点で更に好ましく用いられるのは硫酸ガリウムであ
る。
【0023】かかるガリウム化合物の熱分解温度は、前
記の熱処理温度範囲内にあることが好ましく、例えば硫
酸ガリウムのように600℃〜1000℃程度の温度範
囲内に熱分解温度を有するガリウム化合物が本発明にお
いて好ましく用いられる。この熱分解温度のより好まし
い範囲は650℃〜900℃程度、更に好ましくは70
0℃〜850℃程度である。なおここで言う熱分解温度
とは、結晶水や吸着水等の低分子含有物質が除去された
状態での全重量の50%が空気中での加熱により失われ
る温度として定義する。
【0024】また、前記のガリウム化合物は含水率が小
さいものが本発明においては好ましく、例えば結晶水や
吸着水等いかなる形式の水分子にせよこれを可及的含ま
ないものを原料として使用することが望ましい。含水率
が大きい場合には生成物の結晶性や純度が極端に低下す
る場合がある。従って、ガリウム化合物中の含水率は、
含有されるガリウムの元素としての重量に対する水の重
量として通常3倍以下、好ましくは2倍以下、更に好ま
しくは1.6倍以下程度である。また、アンモニア存在
下でで処理する前にあらかじめ熱処理をほどこし、原料
中の含水率をガリウム元素の重量に対する水の重量とと
して3倍以下にすることも好適に用いられる
【0025】前記のアンモニアの供給量と速度に制限は
なく原料として使用するガリウム化合物の量や反応容器
の断面積等により調整されるが、通常該ガリウム化合物
のガリウム原子に対して過剰当量のアンモニア分子を供
給することが反応速度と反応の完結の点で望ましい。な
お、前記の窒化反応の進行状況の確認は、例えば、銅の
Kα線をエックス線源とするエックス線回折法による生
成物の結晶構造解析により、原料のガリウム化合物と生
成する窒化ガリウムのそれぞれの結晶構造に由来する既
知の回折パターンの比較により可能である。熱処理後、
不純物を取り除くための洗浄、乾燥する方法も好適に用
いられる。洗浄の手段としては液相法が好適に用いら
れ、洗浄溶媒としては、各種水溶液、塩酸などの酸類、
アミンなどの有機溶媒が用いられる。熱処理後、用途に
より粉砕、混練、成形、含浸、分級、造粒、などの後処
理を施しても良い。熱処理の方法としては、特に制限は
ないが、管型容器および管型炉が好適に用いられる。キ
ルン焼成炉、流動焼成炉、噴霧熱分解法等も好適に用い
られる。
【0026】[窒化ガリウム結晶超微粒子の組成物と応
用形態]本発明の窒化ガリウム結晶超微粒子、あるいは
本発明の製造方法で得られる窒化ガリウム結晶超微粒子
は、例えば透明樹脂に分散した組成物として好適に実用
利用可能である。かかる利用に先立ち、該窒化ガリウム
結晶超微粒子をあらかじめ粉砕あるいは分級する操作を
行っても構わない。前記の透明樹脂としては、例えばポ
リメチルメタクリレート(通称PMMA)等のアクリル
樹脂、ポリスチレン等のスチレン樹脂、ポリエチレンテ
レフタレート等のポリエステル樹脂、ポリプロピレン等
のポリオレフィン樹脂、ビスフェノールAポリカーボネ
ート等の芳香族ポリカーボネート樹脂、ポリシクロオレ
フィン樹脂(例えばJSR社製アートン等、アートンは
登録商標)等の合成樹脂が挙げられる。かかる透明樹脂
と前記の窒化ガリウム結晶超微粒子との混合方法に制限
はないが、例えば該透明樹脂を溶解する溶媒(例えばテ
トラヒドロフラン、塩化メチレン、クロロホルム、トル
エン等)中で両者を混合した溶液を基板に塗布し乾燥す
る等の手段で該溶媒を除去する方法(以下「溶液混合
法」と呼ぶ)、合成樹脂の溶融温度以上の温度条件にお
いて必要に応じてせん断を加えながら練り込む方法(2
軸押し出し機等を用いるいわゆる溶融混練法)等が使用
可能である。
【0027】かかる組成物の用途としては蛍光体の原
料、光触媒活性成分の原料、磁性半導体の原料が挙げら
れる。さらに、薄膜状成形体として、例えばバックライ
ト等の紫外線発光体、あるいは薄膜光導波路等として特
に好適に応用され、またファイバー状に成形すれば光増
幅器等の光導波路等としても利用される。かかる組成物
の成形体の製造方法に制限はないが、例えば、前記の溶
液混合法での溶液を適当な基板(材質として例えばガラ
ス、樹脂、半導体、金属、セラミクス等が挙げられる)
の上に塗布流延し次いで溶媒を除去して前記の薄膜状成
形体が得られる。かかる薄膜状成形体は組成物をTダイ
押し出し成形等の方法で溶融成形しても得られる。前記
のファイバー状成形体は、前記の溶液混合法での溶液か
らの紡糸、あるいは組成物の溶融押し出し等の公知の高
分子ファイバーの製造方法を利用して得られる。
【0028】
【実施例】以下に、実施例により本発明の具体的態様を
更に詳細に説明するが、本発明はその要旨を越えない限
り、これらの実施例によって限定されるものではない。 [試薬と溶媒]以下の実施例で、硝酸ガリウム5水塩G
a(NO33・5H2O(純度99.9%)、硫酸ガリ
ウム12水塩Ga2(SO43・12H2O(純度99.
99%)、硫酸ガリウム無水塩Ga2(SO43(純度
99.99%)、及び酸化ガリウムGa23(純度9
9.9%)は、いずれも高純度化学研究所(株)から供
給されるものを使用した。精製トルエンは、純正化学
(株)から供給されるものを、濃硫酸、水、飽和重曹
水、水(2回)で順に洗浄し、無水硫酸マグネシウム上
で乾燥し、濾紙で濾過し、五酸化二リンを加えて大気圧
で蒸留して調製した。
【0029】[測定装置と条件等] (1)熱重量分析・・・セイコー電子工業(株)製TG
/DTAシステム(22システム、SSC5100ディ
スクステーションプログラムを搭載)を使用し、α−ア
ルミナを標準試料とし、空気中で測定した。昇温速度は
10℃/分とした。
【0030】(2)粉末エックス線回折・・・理学電機
(株)製ガイガーフレックス2028及びマルチフレッ
クスを使用した。試料はめのう製乳鉢にて粉砕したもの
を使用した。エックス線源は銅のKα線(CuKα線)
を用い、測定条件は、ガイガーフレックス2028で
は、ゴニオメータは広角、発散スリットと散乱スリット
はともに0.5度、受光スリットは0.15mm、スキ
ャンスピードは4.0度/分、スキャンステップは0.
010度、走査軸は2θ/θ、走査範囲は10.00〜
80.00度とし、マルチフレックスでは、ゴニオメー
タはMultiFlexゴニオメータ(シャッターな
し)、発散スリットと散乱スリットはともに1度、受光
スリットは0.15mm、スキャンスピードは4.0度
/分、スキャンステップは0.020度、走査軸は2θ
/θ、走査範囲は10.00〜80.00度とした。
【0031】(3)エックス線光電子分光分析(XP
S)・・・XPSの測定方法はPHI-ESCA5500MCを用い、
Al-Kα(14kV-150W)、Mg-Kα(15kV-300W)をX線源と
して使用した。Arイオンを用いて約20分間(SiO
2換算値で約100Aの深さまで)エッチング処理した
後、スペクトルを測定した。OとGaの元素比、CとG
aの元素比は、前者はMg-Kα線を用いたO1sとGa3d
のピーク面積より、後者はAl-Kα線を用いたC1sと
Ga3dのピーク面積より感度係数で補正して算出する。
用いた感度係数はF1sが1のとき、O1sは0.71
1、C1sは0.296、Ga3dは0.399であ
る。さらにGa3dピークのデコンボリュージョンは以下
のように行った。Mg-Kα線を用いて測定したGa3dナ
ロースペクトルに対して、Shirley法によりバックグラ
ウンドを差し引いた後、酸素1sピークの束縛エネルギ
ーを531.25eVとしてスペクトルをエネルギー軸
補正し、ガウシアン−ローレンツィアンの混合関数、あ
るいはガウシアン関数を用いて2つのピークとしてカー
ブフィッティングした。
【0032】(4)発光スペクトル・・・(株)日立製
作所製F−2500型蛍光光度計を使用し、23℃で測
定した。条件は、励起側スリットと蛍光側スリットはと
もに5nm、ホトマル電圧は400V、スキャンスピー
ドは60nm/分とした。
【0033】実施例1〜5 原料のガリウム化合物(下記表1に記載)0.2〜3g
程度を秤量し、めのう製乳鉢で粉砕し、バインダーとし
てグリセリン(0〜0.1g以下程度)を添加して練り
合わせ、一軸加圧法(60kgf/cm2、1分)によ
り直方体に成形し、アスピレータで0〜50時間程度減
圧乾燥した。こうして得た原料成形体を炭素るつぼに入
れ、シリコニット電気炉(シリコニット高熱工業(株)
製VTSH−520S型)に装入し、市販のアンモニア
ガスボンベからのアンモニアガス気流(100mL/
分)中で約30分電気炉内部雰囲気を空気からアンモニ
アガスに置換した後、PID制御計を用いた温度制御に
より5℃/分の昇温速度で室温から加熱を開始し、所定
の処理温度(下記表1に記載)で所定の処理時間(下記
表1に記載)加熱保持することにより窒化ガリウム結晶
を生成させた。なお、使用したアンモニアガスは、酸素
ガスセンサーにより酸素分圧(PO2)をチェックしたと
ころlog[PO2(気圧)]が−6〜−8であったので
酸素濃度は1ppm〜0.01ppm程度であることが
わかった。いずれの合成品も、前記のエックス線光電子
分光分析により不純物の固溶が実質的にないことを確認
した。また、前記の粉末エックス線回折により、窒化ガ
リウム結晶の(100)面、(002)面、(101)
面、(102)面、(110)面、及び(103)面か
らの回折線に相当する回折ピークを明瞭に観測したこと
からその結晶性が確認された。走査型電子顕微鏡観察か
ら、いずれの生成物も数平均粒径が1〜10μmの範囲
内であった。
【0034】一方、合成した窒化ガリウム結晶超微粒子
の発光スペクトルは、以下のように測定した。実施例で
合成した窒化ガリウム結晶超微粒子をめのう製乳鉢で粉
砕した粉末(10mg弱)を、東京化成(株)より供給
されたポリメチルメタクリレート(略称PMMA;重合
度7000〜7500)を精製トルエン中に20.7重
量%濃度で溶解した溶液に混合し、超音波照射を室温で
60秒行って分散した。この超音波分散により、該超微
粒子成分が数時間は沈殿しない程度に懸濁分散した。懸
濁分散液を約5滴、あらかじめ洗浄・乾燥したスライド
グラス(水、アセトン、純水の順で洗浄、次いで大気中
でふき取り・風乾)上に流延し、ドライヤーで加熱しな
がら大半のトルエンを除去した。こうして得たPMMA
中にサンプル粒子が分散したフィルムは真空デシケータ
中で一晩乾燥後、前記の発光スペクトル測定装置により
サンプルホルダーに固定した塗布面方向から励起光を入
射して測定を行った。下記表1中の実施例1〜5のいず
れの窒化ガリウム結晶超微粒子においても、250nm
〜270nm程度の任意の波長範囲の励起光(代表的に
は例えば263nm)の照射により、305nm付近及
び/又は315nm付近にピーク波長を有し400nm
程度に向かって減衰する発光帯を与えた。また、励起波
長範囲を240nm〜260nm程度で任意の変化させ
ると、285nm付近にピーク波長を有する明瞭な発光
帯も観測された。一方励起スペクトルは、該305nm
付近の発光ピーク波長を観測波長として測定すると、2
60nm付近にピーク波長を有するスペクトルを与え
た。代表的な発光スペクトルとして、実施例1の場合を
下記図1に示した。但し、図1中の実線のスペクトルは
263nmで励起した場合の発光スペクトルを、破線の
スペクトルは306nmでの発光を観測した励起スペク
トルである。また、実施例1で得た窒化ガリウム結晶の
粉末エックス線回折スペクトルと各回折ピークが由来す
る結晶面の帰属とを図2に示した。
【0035】
【表1】 *1半値幅とは、2θとして57.7〜57.9度付近に
観測される(110)面からの回折線に相当するピーク
の半値幅である。
【0036】実施例6:含水率の高い原料の使用 前記表1中の実施例2において、吸湿した硫酸ガリウム
12水塩を原料として使用すると、粉末エックス線回折
スペクトルにおいて特に(100)、(002)、及び
(101)の各結晶面からの回折ピーク強度が小さくな
ったことから、含水率の大きなガリウム原料を用いると
窒化ガリウム結晶超微粒子を得ることはできるが同じ処
理温度と処理時間でも結晶性に劣る生成物を与えること
がわかった。
【0037】実施例7:シュウ酸アンモニウムを共存さ
せた合成(その1) 実施例1の合成手順において、シュウ酸アンモニウム粉
末を硫酸ガリウム無水塩中に10重量%となるよう加え
て原料として使用し、加熱条件を950℃で12時間と
した他は同様の操作を行ったところ、粉末エックス線回
折スペクトルにおいて同様の諸回折ピークが観測され
た。(110)面からの回折線に相当するピークの半値
幅は0.3度であったことから、実施例1の生成物より
も結晶性が向上していることがわかった。この生成物の
数平均粒径は走査型電子顕微鏡観察から約9μであり、
実施例1の場合同様に発光波長ピークが300〜320
nm付近にある紫外領域での発光能を有していた。
【0038】実施例8:シュウ酸アンモニウムを共存さ
せた合成(その2) 実施例7において、シュウ酸アンモニウム粉末を硫酸ガ
リウム無水塩中に20重量%となるよう加えて同様の操
作を行ったところ、粉末エックス線回折スペクトルにお
いて同様の諸回折ピークが観測された。(110)面か
らの回折線に相当するピークの半値幅は0.4度であっ
たことから、実施例1の生成物よりも多少結晶性が向上
していることがわかった。この試料のXPSから、酸素
とガリウムの存在比O/Gaは0.60、炭素とガリウ
ムの存在比C/Gaは0.06であった。この生成物の
数平均粒径は走査型電子顕微鏡観察から約6μであり、
実施例1の場合同様に発光波長ピークが300〜320
nm付近にある紫外領域での発光能を有していた。
【0039】実施例9:シュウ酸アンモニウムを共存さ
せた合成(その3) 実施例7において、シュウ酸アンモニウム粉末を硫酸ガ
リウム無水塩中に30重量%となるよう加えて同様の操
作を行ったところ、粉末エックス線回折スペクトルにお
いて同様の諸回折ピークが観測された。(110)面か
らの回折線に相当するピークの半値幅は0.5度であっ
たことから、実施例1の生成物よりも多少結晶性が向上
していることがわかった。この試料のXPSから、酸素
とガリウムの存在比O/Gaは0.49、炭素とガリウ
ムの存在比C/Gaは0.26であった。また、主成分
ピーク(3価ガリウム)のエネルギー位置は20eV、副
成分ピーク(0価ガリウム)のエネルギー位置18eV
として、前者はガウシアン80%ローレンツィアン20
%の混合関数で、後者はガウシアン80%ローレンツィ
アン20%の混合関数でカーブフィッティングした。ピ
ーク面積から各々の割合を求めたところ、0価ガリウム
の全ガリウムに対する割合は16%であった。実施例9
のXPSスペクトルを図3として下記に示す。この生成
物の数平均粒径は走査型電子顕微鏡観察から約4μであ
り、実施例1の場合同様に発光波長ピークが300〜3
20nm付近にある紫外領域での発光能を有していた。
【0040】比較例1:低い処理温度での合成 前記の表1中の実施例2において、処理温度を550℃
とすると処理時間を12時間程度まで延長しても、粉末
エックス線回折スペクトルにおいて各結晶面からの回折
ピークの強度小さくかつブロードなピークとなることか
ら、結晶性が極端に劣る生成物を得ることがわかる。
【0041】
【発明の効果】(1)本発明の窒化ガリウム結晶超微粒
子は、従来にない媒質への分散性と紫外領域の発光能を
兼ね備えるものであり、例えばPMMA等の光学的に重
要な樹脂材料にも分散して使用可能なものであるので、
新しい紫外発光体として利用されるものである。 (2)本発明の窒化ガリウム結晶超微粒子の製造方法に
よれば、従来の真空プロセスのような高度の真空制御を
必要とせず、硫酸ガリウム等の化学的に安定な原料とア
ンモニアのような汎用原料を使用して数時間程度の比較
的短い製造時間で効率的に前記の特性を有する窒化ガリ
ウム結晶超微粒子を製造可能であり、こうして得る窒化
ガリウム結晶超微粒子は結晶性に優れたものとなる。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施例1において得られた窒化ガリウム結晶超
微粒子の発光スペクトル図。
【図2】実施例1において得られた窒化ガリウム結晶超
微粒子の粉末エックス線回折スペクトル図。
【図3】実施例9において得られた窒化ガリウム結晶超
微粒子のXPSスペクトル図。
フロントページの続き (72)発明者 加和 学 神奈川県横浜市青葉区鴨志田町1000番地 三菱化学株式会社横浜総合研究所内

Claims (15)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 200nm〜300nmの波長範囲の励
    起光の照射により発光強度極大をバルク状態におけるバ
    ンドギャップに相当する波長以下の波長に有する発光帯
    を与え、且つ数平均粒径が0.01〜10μmの粉末状
    である窒化ガリウム結晶超微粒子。
  2. 【請求項2】 エックス線光電子分光法(XPS)で検
    出される酸素とガリウムの存在比O/Gaが0〜0.7
    である請求項1に記載の窒化ガリウム結晶超微粒子。
  3. 【請求項3】 エックス線光電子分光法で検出される炭
    素とガリウムの存在比C/Gaが0〜0.3である請求
    項1又は2に記載の窒化ガリウム結晶超微粒子。
  4. 【請求項4】 エックス線光電子分光法で検出されるガ
    リウム3d光電子ピークが、低束縛エネルギー側の準ピ
    ークを含有することを特徴とする請求項1〜3のいずれ
    かに記載の窒化ガリウム結晶超微粒子。
  5. 【請求項5】エックス線光電子分光法で検出されるガリ
    ウム3d光電子ピークにおける主成分ピークに対して、
    1〜3eV低束縛エネルギー側に準ピークを有すること
    を特徴とする請求項4に記載の窒化ガリウム結晶超微粒
    子。
  6. 【請求項6】 エックス線光電子分光法で検出されるガ
    リウム3d光電子ピークにより帰属される3価ガリウム
    を含む主成分と、該主成分のピーク位置より1〜3eV
    低束縛エネルギー側の準ピークにより帰属される0価ガ
    リウムを含む副成分とを含み、該副成分の含量が、全体
    の0.01〜20%であることを特徴とする請求項5に
    記載の窒化ガリウム結晶超微粒子。
  7. 【請求項7】 銅のKα線を線源とするエックス線回折
    スペクトルにおいて、回折角2θが32.3〜32.5
    度、34.3〜34.7度、36.7〜37.0度、4
    7.5〜48.1度、57.7〜57.9度、及び6
    3.3〜63.6度のいずれかの領域に回折ピークを有
    するものである請求項1〜6のいずれかに記載の窒化ガ
    リウム結晶超微粒子。
  8. 【請求項8】 ガリウム化合物をアンモニア存在下60
    0℃以上の温度範囲で熱処理することを特徴とする窒化
    ガリウム結晶超微粒子の製造方法。
  9. 【請求項9】 ガリウム化合物が、周期表の第15族あ
    るいは第16族に属する元素を含有する陰イオンのガリ
    ウム塩類又はガリウムカルコゲニド類から選ばれるもの
    である請求項8に記載の窒化ガリウム結晶超微粒子の製
    造方法。
  10. 【請求項10】 ガリウム化合物が、600℃以上の熱
    分解温度を有するものである請求項又は8または9に記
    載の窒化ガリウム結晶超微粒子の製造方法。
  11. 【請求項11】 ガリウム化合物の含水率が、ガリウム
    元素の重量に対する水の重量として3倍以下である請求
    項8〜10のいずれかに記載の窒化ガリウム結晶超微粒
    子の製造方法。
  12. 【請求項12】予め水分含量をガリウム元素の重量に対
    する水の重量として3倍以下に調整してから、アンモニ
    アとの熱処理に供給することを特徴とする請求項8〜1
    1のいずれかに記載の窒化ガリウム結晶超微粒子の製造
    方法。
  13. 【請求項13】 ガリウム化合物が硫酸ガリウムである
    請求項11又は12に記載の窒化ガリウム結晶超微粒子
    の製造方法。
  14. 【請求項14】 還元性化合物を共存させることを特徴
    とする請求項8〜13に記載の窒化ガリウム結晶超微粒
    子の製造方法。
  15. 【請求項15】還元性化合物が水素、一酸化炭素、炭
    素、炭化水素化合物、アルコール類及びカルボン酸類か
    らなる群より選ばれる少なくとも一つ以上の物質である
    ことを特徴とする請求項14記載の窒化ガリウム結晶超
    微粒子の製造方法。
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