JP2003028898A - サンプラーおよび計測方法 - Google Patents

サンプラーおよび計測方法

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Abstract

(57)【要約】 【課題】 測定ジッターが小さく、測定周波数、測定精
度が高く、かつ低コストのサンプラーおよび計測方法を
提供する。 【解決手段】 測定タイミングを決定するトリガー電流
Itrを、被測定信号電流Isよりサンプラーチップ1
1上で作り、コンパレータ回路20は、トリガー電流I
tr入力時のフィードバック電流If等の電流和が、コ
ンパレータ回路20の閾値より大きければ、SFQパル
スを出力する。そして、一定時間内におけるコンパレー
タ回路20からの出力SFQパルス数をもとに被測定信
号の波形観測をする。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、繰り返し発生する
電気信号波形を測定するサンプラーおよび計測方法に関
し、特に、超伝導体を用いた高時間分解能の電気信号波
形観測のためのサンプラーおよび計測方法に関するもの
である。
【0002】
【従来の技術】「アイ・イー・イー・イー・トランザク
クション・オン・アプライド・スーパーコンダクティビ
ティー」(第9巻、第4081頁)に記載の超伝導サン
プラーは、高時間分解能の電気信号波形観測回路として
知られている。図13の(a)は、この文献に掲載され
た超伝導サンプラーの回路図であり、同図の(b)は、
その回路に供給する電流および出力電圧の波形を示す図
である。以下、図13を参照して、超伝導サンプラーに
よる電流波形の計測方法について説明する。
【0003】まず、図13の(a)に示す第1の入力端
子101からフィードバック電流Ifが供給され、次
に、被測定電流Isが入力される。あるタイミングで第
2の入力端子102からトリガー電流Itrが供給され
ると、第1のジョセフソン接合103がスイッチ・オン
となり、第1のジョセフソン接合103、第2のジョセ
フソン接合104、第3のジョセフソン接合105、第
1のインダクタンス108を含む第1の超伝導ループ
に、単一磁束量子SFQ(Single Flux Quantum) が侵入
し、それに伴い、第1の超伝導循環電流が第1の超伝導
ループに流れる。
【0004】また、第1のジョセフソン接合103、第
2のインダクタンス109を含む第2の超伝導ループに
は、上記とは反対向きのSFQが侵入する。
【0005】第2のジョセフソン接合104の臨界電流
値を、第1の超伝導循環電流よりも低く設定しておく
と、第2のジョセフソン接合104を流れる電流は、立
ち上がりの途中で第2のジョセフソン接合104のスイ
ッチにより立ち下がり、結果として、パルス電流Ipが
発生し、第3のジョセフソン接合105に流れ込む。
【0006】この第3のジョセフソン接合105は、コ
ンパレータ接合と呼ばれる。この接合には、既にIfと
Isが流れているため、If,Is,Ipの3つの電流
が加算される。これら3つの電流の和が、第3のジョセ
フソン接合105の臨界電流値以上であれば、第3のジ
ョセフソン接合105はスイッチ・オンとなり、第3の
ジョセフソン接合105、第3のインダクタンス11
0、読み出しSQUID(Superconducting Quantum Int
erference Device:超伝導量子干渉素子) との結合イン
ダクタンス111を含む第3の超伝導ループに、第3の
超伝導循環電流が流れる。
【0007】上記第3の超伝導循環電流は、第4のジョ
セフソン接合106、第5のジョセフソン接合105を
含む読み出しSQUIDの両端に電圧を発生させる。も
し、上記3つの電流の和が第3のジョセフソン接合10
5の臨界電流値以下であれば、第3のジョセフソン接合
105はスイッチ・オンとならず、読み出しSQUID
の両端にも、電圧は発生しない。
【0008】また、第2の超伝導循環電流、第3の超伝
導循環電流は、各測定サイクルの最後にマイナスの電流
を流し、それぞれ第1のジョセフソン接合103、第3
のジョセフソン接合105をスイッチすることにより、
リセットする。
【0009】以上の操作を、Ifの値を変えて繰り返
し、出力電圧が現れる最小のIfの値を求める。そし
て、この値を、Is=0のときの出力電圧が現れる最小
のIfの値と比較することにより、Ipが発生したタイ
ミングにおけるIsの値を知ることができる。
【0010】次に、Itrを供給するタイミングを変え
て、Ipの発生するタイミングをずらし、同様の測定を
行うための操作を繰り返す。このように、図13の
(a)に示す超伝導サンプラーを用いて、Isの波形を
測定することができる。
【0011】図14は、図13の(a)に示した超伝導
サンプラー回路への電流供給、および出力電圧の処理を
行うための周辺機器の構成を示すブロック図である。図
14において、サンプラーチップ120は、超伝導回路
が動作する低温状態にあり、3本の入力ライン121,
122,123から電流が供給される。すなわち、被測
定信号発生源125で発生した被測定信号電流Isは、
第1の入力ライン121を通って、サンプラーチップ1
20に入力される。
【0012】一方、被測定信号電流Isと同期し、か
つ、大幅に分周した信号を制御コンピュータ126で作
り、この信号を高速パルス発生器127に送る。これに
よって、高速パルス発生器127は、立ち上がり時間が
数10ピコ秒の高速パルスを発生する。そして、制御コ
ンピュータ126によって遅延時間を制御できる可変遅
延ライン128を用いて、高速パルス発生器127から
の高速パルスを、所望の時間、遅延させた後、可変アッ
テネータ129によって、そのパルスを所望の大きさに
調節することによって、トリガー電流Itrを作る。こ
のトリガー電流Itrは、第2の入力ライン122を通
って、サンプラーチップ120に供給される。
【0013】フィードバック電流Ifは、制御コンピュ
ータ126によって、その値がデジタル値で決められ、
D/Aコンバータ130でアナログ値に変換された後、
第3の入力ライン123を通して、サンプラーチップ1
20に入力される。
【0014】超伝導サンプラーの出力電圧Voutは、
通常、100マイクロボルト程度であるため、増幅器1
31を用いて、それを1000倍程度、増幅する。そし
て、増幅した信号を、A/Dコンバータ132でデジタ
ル値に変換した後、制御コンピュータ126に入力し、
所定の処理を行う。
【0015】
【発明が解決しようとする課題】上述した超伝導サンプ
ラーで測定が行われるタイミングは、トリガー電流It
rがサンプラー回路に入力され、第1のジョセフソン接
合103がスイッチ・オンすることによってSFQパル
スが発生し、それが第3のジョセフソン接合105に流
れ込んだ瞬間である。
【0016】ここで、SFQパルスが発生してから、そ
れが第3のジョセフソン接合105に流れ込む時間は、
1ピコ秒以下である。そのため、測定タイミングは、ト
リガー電流Itrの到達時間と、そのトリガー電流It
rが到達してから第1のジョセフソン接合がスイッチす
るまでの時間に影響を受ける。
【0017】図14に示す周辺機器では、トリガー電流
Itrは、サンプラーチップ120外で発生されるた
め、それがサンプラーチップ120に到着する時間に、
数ピコ秒から数10ピコ秒程度のずれが生じる。高速パ
ルス発生器127で発生した直後のトリガー電流Itr
は、立ち上がり時間が数10ピコ秒であるが、可変遅延
ライン128、可変アッテネータ129を通過する間
に、立ち上がり時間が劣化し、結果的に立ち上がり時間
が100ピコ秒を越える場合もある。
【0018】なお、これら高速パルス発生器127、可
変遅延ライン128、可変アッテネータ129は、立ち
上がり時間が数10ピコ秒の高速パルスに適用できる高
周波部品であるため、非常に高価であり、これが機器の
コストを引き上げる原因となっている、という問題があ
る。
【0019】また、ジョセフソン接合の電流閾値である
臨界電流は、熱ノイズによってゆらぐことが知られてお
り、トリガー電流Itrの立ち上がりが鈍いと、第1の
ジョセフソン接合103がスイッチ・オンするタイミン
グが、この熱ノイズによってばらつきやすくなる。
【0020】例えば、トリガー電流Itrの立ち上がり
時間が200ピコ秒のとき、40K動作の高温超伝導サ
ンプラー回路では、第1のジョセフソン接合103がス
イッチ・オンするタイミングのばらつきは、40ピコ秒
程度と見積もられる。これらのことから、トリガー電流
Itrを、サンプラーチップ120外から入力すること
に起因して、測定タイミングのばらつき(いわゆる、ジ
ッター)が発生することが分かる。
【0021】時間分解能の高い超伝導サンプラーは、1
00GHz以上の帯域を持つことが期待されているが、
このような高周波を観測するためには、ジッターは、数
ピコ秒以下となる必要がある。この要求は、上述した従
来技術のように、サンプラーチップ120外からトリガ
ー電流Itrを供給する方法では、満足することはでき
ないという問題がある。
【0022】また、超伝導サンプラーは、高い時間分解
能を有しているため、ギガヘルツ以上の帯域の被測定信
号電流Isも測定可能であるが、図14に示す制御コン
ピュータ126等の半導体デバイスを使用した機器で
は、このような高速動作ができない。特に、増幅器13
1、A/Dコンバータ132の動作速度がボトルネック
となって、現在までに実現できている測定周波数は、1
00KHz程度である。さらに、現在、市販されている
可変遅延ライン128は、その遅延時間を変更するため
に、0.5秒ほどの時間を必要とするという問題もあ
る。
【0023】超伝導サンプラーは、1つの点を測定する
ために、非常に多い回数(例えば、10000回)の試
行を必要とし、また、遅延時間を少しずつ変えながら、
多数の点(例えば、500点)を測定するために、1つ
の波形測定に数分といった、長い測定時間が必要とな
る。
【0024】また、測定される電流値の精度は、その測
定において行う平均化回数の平方根に比例するため、測
定周波数を上げて、平均化回数を増すことにより、測定
精度を向上することが望まれている。
【0025】本発明は、上述の課題に鑑みなてされたも
のであり、その目的とするところは、被測定信号電流の
波形測定の際におけるジッターの発生を大幅に低減する
サンプラーおよび計測方法を提供することである。
【0026】また、本発明の他の目的は、被測定信号電
流の測定周波数を向上して、測定時間の短縮、および測
定精度を向上できるサンプラーおよび計測方法を提供す
ることである。
【0027】本発明のさらなる目的は、コストのかかる
高周波部品を使用せず、装置全体のコストを削減するサ
ンプラーおよび計測方法を提供することである。
【0028】
【課題を解決するための手段】上記の目的を達成するた
め、本発明は、所定の電気信号波形を測定するサンプラ
ーにおいて、被測定信号電流を第1の電流と第2の電流
とに分岐する分岐手段と、上記第1の電流の入力により
単一磁束量子(SFQ)パルスを発生するSFQパルス
発生手段と、上記SFQパルスの伝搬時間を制御して、
そのSFQパルスをトリガー電流として出力する遅延手
段と、上記トリガー電流と、上記第2の電流と、所定の
フィードバック電流とを入力し、上記トリガー電流の入
力時に上記第2の電流の値と上記フィードバック電流の
値とに応じてスイッチ動作を行うコンパレータ手段と、
上記スイッチ動作によって出力されるSFQパルスを分
周する後置分周手段と、上記分周後のSFQパルスを所
定レベルの電圧に変換する電圧変換手段とを備え、上記
変換で得られた電圧をもとに上記電気信号波形の測定を
行うサンプラーを提供する。
【0029】他の発明は、所定の電気信号波形を測定す
るサンプラーにおいて、被測定信号電流を第1の電流と
第2の電流とに分岐する分岐手段と、上記第1の電流の
入力により単一磁束量子(SFQ)パルスを発生するS
FQパルス発生手段と、上記SFQパルスを分周する前
置分周手段と、上記分周後のSFQパルスの伝搬時間を
制御して、そのSFQパルスをトリガー電流として出力
する遅延手段と、上記トリガー電流と、上記第2の電流
と、所定のフィードバック電流とを入力し、上記トリガ
ー電流の入力時に上記第2の電流の値と上記フィードバ
ック電流の値とに応じてスイッチ動作を行うコンパレー
タ手段と、上記スイッチ動作によって出力されるSFQ
パルスを所定レベルの電圧に変換する電圧変換手段とを
備え、上記変換で得られた電圧をもとに上記電気信号波
形の測定を行うサンプラーを提供する。
【0030】また、他の発明によれば、所定の電気信号
波形を測定するサンプラーにおいて、被測定信号電流を
第1の電流と第2の電流とに分岐する分岐手段と、上記
第1の電流の入力により単一磁束量子(SFQ)パルス
を発生するSFQパルス発生手段と、上記SFQパルス
を分周する前置分周手段と、上記前置分周手段で分周後
のSFQパルスの伝搬時間を制御して、そのSFQパル
スをトリガー電流として出力する遅延手段と、上記トリ
ガー電流と、上記第2の電流と、所定のフィードバック
電流とを入力し、上記トリガー電流の入力時に上記第2
の電流の値と上記フィードバック電流の値とに応じてス
イッチ動作を行うコンパレータ手段と、上記スイッチ動
作によって出力されるSFQパルスを分周する後置分周
手段と、上記後置分周手段で分周後のSFQパルスを所
定レベルの電圧に変換する電圧変換手段とを備え、上記
変換で得られた電圧をもとに上記電気信号波形の測定を
行うサンプラーが提供される。
【0031】好ましくは、本発明に係るサンプラーは、
上記後置分周手段に代えて、上記SFQパルスを計数す
るカウンターを備える。また、上記分岐手段、SFQパ
ルス発生手段、遅延手段、コンパレータ手段、前置分周
手段、後置分周手段、電圧変換手段、およびカウンター
がサンプラー回路を構成し、これらの手段が同一チップ
上に配されている。
【0032】好適には、上記分岐手段、SFQパルス発
生手段、遅延手段、コンパレータ手段、前置分周手段、
後置分周手段、電圧変換手段、およびカウンターの全部
あるいは一部に超伝導体が用いられている。また、好ま
しくは、上記遅延手段は、バイアス電流値によって、上
記SFQパルスがジョセフソン伝送線路(JTL)を伝
搬する速度を制御し、そのJTLを構成する各ジョセフ
ソン接合が抵抗によりシャントされている。
【0033】また、他の発明によれば、被測定信号電流
を第1の電流と第2の電流とに分岐するステップと、上
記第1の電流を入力して単一磁束量子(SFQ)パルス
を発生するステップと、上記SFQパルスの伝搬時間を
制御して、そのSFQパルスをトリガー電流として出力
するステップと、上記トリガー電流と、上記第2の電流
と、所定のフィードバック電流とを入力し、上記トリガ
ー電流の入力時に上記第2の電流の値と上記フィードバ
ック電流の値とに応じてスイッチ動作を行うステップ
と、上記スイッチ動作によって出力されるSFQパルス
を分周する後置の分周ステップと、上記分周後のSFQ
パルスを所定レベルの電圧に変換するステップと、上記
変換で得られた電圧をもとに、所定時間内における上記
SFQパルスの計数を行うステップとを備え、上記伝搬
時間を変えながら上記ステップを繰り返すことで、上記
被測定信号電流の電気信号波形の測定を行う計測方法が
提供される。
【0034】また、他の発明によれば、被測定信号電流
を第1の電流と第2の電流とに分岐するステップと、上
記第1の電流を入力して単一磁束量子(SFQ)パルス
を発生するステップと、上記SFQパルスを分周する前
置の分周ステップと、上記分周後のSFQパルスの伝搬
時間を制御して、そのSFQパルスをトリガー電流とし
て出力するステップと、上記トリガー電流と、上記第2
の電流と、所定のフィードバック電流とを入力し、上記
トリガー電流の入力時に上記第2の電流の値と上記フィ
ードバック電流の値とに応じてスイッチ動作を行うステ
ップと、上記スイッチ動作によって出力されるSFQパ
ルスを所定レベルの電圧に変換するステップと、上記変
換で得られた電圧をもとに、所定時間内における上記S
FQパルスの計数を行うステップとを備え、上記伝搬時
間を変えながら上記ステップを繰り返すことで、上記被
測定信号電流の電気信号波形の測定を行う計測方法が提
供される。
【0035】さらなる発明によれば、被測定信号電流を
第1の電流と第2の電流とに分岐するステップと、上記
第1の電流を入力して単一磁束量子(SFQ)パルスを
発生するステップと、上記SFQパルスを分周する前置
の分周ステップと、上記前置の分周ステップで分周後の
SFQパルスの伝搬時間を制御して、そのSFQパルス
をトリガー電流として出力するステップと、上記トリガ
ー電流と、上記第2の電流と、所定のフィードバック電
流とを入力し、上記トリガー電流の入力時に上記第2の
電流の値と上記フィードバック電流の値とに応じてスイ
ッチ動作を行うステップと、上記スイッチ動作によって
出力されるSFQパルスを分周する後置の分周ステップ
と、上記後置の分周ステップで分周後のSFQパルスを
所定レベルの電圧に変換するステップと、上記変換で得
られた電圧をもとに、所定時間内における上記SFQパ
ルスの計数を行うステップとを備え、上記伝搬時間を変
えながら上記ステップを繰り返すことで、上記被測定信
号電流の電気信号波形の測定を行う計測方法が提供され
る。
【0036】好ましくは、上記計測方法に係る発明は、
上記後置の分周ステップに代えて、上記SFQパルスの
計数を行うステップを備える。
【0037】
【発明の実施の形態】以下、添付図面を参照しながら、
本発明の実施の形態を詳細に説明する。 [実施の形態1]図1は、本発明の実施の形態1に係る
超伝導サンプラーの構成を示すブロック図である。同図
に示す超伝導サンプラー(以下、単にサンプラーともい
う)の超伝導サンプラー回路は、サンプラーチップ11
上に形成されている。すなわち、超伝導サンプラー回路
は、分岐部13、SFQパルス発生回路16、遅延部1
7、コンパレータ回路20、後置分周回路22、SFQ
/電圧変換回路23によって構成される。
【0038】信号入力線12から入力された被測定信号
電流Isは、分岐部13によって、第1の電流路14を
通る第1の電流Is1と、第2の電流路15を通る第2
の電流Is2とに分流される。これらの内、第1の電流
Is1は、SFQパルス発生回路16に入力され、そこ
で、1個のSFQパルスが発生する。そして、このSF
Qパルスに対して、遅延部17により、一定時間の遅延
が与えられ、パルス状のトリガー電流Itrとなって、
コンパレータ回路20に入力される。
【0039】遅延部17における遅延時間は、制御コン
ピュータ19によって決定され、遅延制御線18を通し
て、遅延部17に伝えられる。また、コンパレータ回路
20では、上記のトリガー電流Itr、第2の電流Is
2、フィードバック電流路21を通して、制御コンピュ
ータ19から供給されるフィードバック電流Ifが加算
される。そして、トリガー電流Itr入力時の電流の和
が、コンパレータ回路20の閾値より大きければ、コン
パレータ回路20は、SFQパルスを1個、出力する。
なお、ここでのトリガー電流Itrは、上述した従来技
術におけるパルス電流Ipと同じ働きをする。
【0040】コンパレータ回路20から出力されたSF
Qパルスは、後置分周回路22において、室温環境下に
ある制御コンピュータ19で処理できる速度まで、その
周波数が分周された後、SFQ/電圧変換回路23で、
一定レベルの電圧に変換される。その結果は、出力電圧
Voutとして、出力線24を通して、サンプラーチッ
プ11外に出力される。
【0041】超伝導SFQ回路からの出力は、通常、数
百マイクロボルトと、室温環境下にある半導体機器で処
理するには小さ過ぎるため、一般に増幅器を用いて所望
の大きさに増幅される。すなわち、上記の出力電圧Vo
utを増幅器25で増幅して得られた電圧は、カウンタ
ー26で計数される。これにより、一定時間内にコンパ
レータ回路20から出力されたSFQパルスの数が測定
される。
【0042】上記の測定結果は、制御コンピュータ19
に送られ、その値が、あらかじめ設定されている期待値
と比較して小さければ、制御コンピュータ19は、フィ
ードバック電流Ifの値を増加して、再度、測定を行
う。しかし、測定値が期待値を上回った場合には、その
時点のフィードバック電流Ifの値と、被測定信号電流
Isがゼロの時にカウントされたSFQパルス数が期待
値を上回る最小のフィードバック電流Ifの値とを比較
することにより、遅延部17で決められた時刻におけ
る、第2の電流Is2の値を測定することができる。
【0043】なお、第2の電流Is2と被測定信号電流
Isの比は、分岐部13の構成により一定であるため、
第2の電流Is2の値をもとに、上記の時刻における被
測定信号電流Isの値を知ることができる。
【0044】以降、遅延部17における遅延時間を変え
ながら、上記と同様の測定を行うことにより、被測定信
号電流Isの波形を観測することができる。
【0045】以上説明したように、本実施の形態1によ
れば、トリガー電流Itrを被測定信号電流Isよりサ
ンプラーチップ11上で作るとともに、このトリガー電
流Itrが、コンパレータ回路20まで、パルス幅が数
ピコ秒のSFQパルスで伝搬していくので、従来技術に
おいて問題とされた、測定時におけるジッターの発生を
非常に小さくすることができる、という効果がある。
【0046】また、被測定信号電流Isの周期ごとに測
定が行われるため、測定周波数が非常に大きくなり、測
定時間の短縮や測定精度の向上が期待でき、さらには、
コストのかかる(つまり、部品そのものの価格が高い)
高周波部品を、超伝導回路で作製できるため、装置全体
の低コスト化を図ることができるという利点がある。
【0047】[実施の形態2]以下、本発明の実施の形
態2について説明する。図2は、本実施の形態2に係る
超伝導サンプラーの構成を示すブロック図である。な
お、同図において、図1に示す、上記実施の形態1に係
るサンプラーと同一構成要素には同一符号を付し、ここ
では、それらの説明を省略する。
【0048】本実施の形態2に係る超伝導サンプラーに
特徴的なこと、つまり、実施の形態1に係るサンプラー
と異なる点は、後置分周回路を削除し、遅延部17の前
段に前置分周回路27を挿入したことである。この構成
により、トリガー電流Itrの発生頻度を下げ、コンパ
レータ回路20からの出力周波数を、室温環境下にある
半導体機器で直接、処理できる速度(周波数)まで落と
すことができる。
【0049】また、トリガー電流Itrの発生頻度が十
分低いので、被測定信号電流Isの周波数が高い場合で
も、遅延時間を十分大きく取ることによって、長時間に
わたる波形観測が可能となる。
【0050】なお、上記実施の形態2において、遅延部
17を前置分周回路27よりコンパレータ回路20に近
い側に配したが、位置関係はこれに限定されず、これら
を逆にしてもよい。
【0051】以上説明したように、本実施の形態2によ
れば、遅延部の前段に前置分周回路を挿入して、トリガ
ー電流Itrの発生頻度を下げる構成をとることで、測
定ジッターが小さく、かつ、低コストの超伝導サンプラ
ーを実現できる。また、同時に、長時間にわたる波形観
測が可能になる。
【0052】[実施の形態3]以下、本発明の実施の形
態3について説明する。図3は、本実施の形態3に係る
超伝導サンプラーの構成を示すブロック図である。な
お、図3においても、図1に示す、上記実施の形態1に
係るサンプラーと同一構成要素には同一符号を付し、こ
こでは、それらの説明を省略する。
【0053】図3に示す、本実施の形態3に係るサンプ
ラーは、図1に示す、上記実施の形態1に係るサンプラ
ーに対して、遅延部17の前段に前置分周回路27を挿
入した点において異なる。
【0054】すなわち、前置分周回路27がない場合、
その超伝導サンプラーで測定可能な被測定信号電流Is
の周期は、1つだけである。しかし、前置分周回路27
を設けて、それによる分周率をnとすると、トリガー電
流Itrの周期は1/nとなり、n周期の被測定信号電
流Isを測定することが可能となる。
【0055】なお、本実施の形態3においては、遅延部
17を、前置分周回路27よりコンパレータ回路20に
近い側に配置したが、この位置関係は、逆にすることも
できる。
【0056】以上説明したように、本実施の形態3によ
れば、遅延部17の前段に前置分周回路27を挿入する
ことで、その分周周期を逆にした周期の被測定信号電流
Isを測定できるため、測定ジッターが小さく、高速、
高精度、かつ低コストのサンプラーが実現できる。同時
に、被測定信号電流Isの複数周期にわたる測定が可能
となる。
【0057】[実施の形態4]以下、本発明の実施の形
態4について説明する。図4は、本実施の形態4に係る
超伝導サンプラーの構成を示すブロック図である。な
お、同図において、図1に示す、上記実施の形態1に係
るサンプラーと同一構成要素には同一符号を付し、ここ
では、それらの説明を省略する。
【0058】図4に示す、本実施の形態4に係るサンプ
ラーは、後置分周回路22に代えて超伝導カウンター2
8を挿入した点において、上記の実施の形態1に係るサ
ンプラーと異なる。このため、室温環境下に置かれたカ
ウンター26(図1参照)は、通常、不要になる。
【0059】新たに設けた超伝導カウンター28からの
出力線は、複数のビットに対応するため複数となり、そ
れぞれの出力線に対してSFQ/電圧変換回路23と増
幅器25が設けられる。
【0060】かかる超伝導カウンター28を用いること
で、コンパレータ回路20から出力されるSFQパルス
の数を、高速で計数することが可能となる。この超伝導
カウンター28による計数結果は、上述のように多ビッ
トであるため、出力が1ビットだけの後置分周回路22
に比べて、コンパレータ回路20のスイッチ回数を、よ
り正確に測定できる。よって、測定精度が向上すること
になる。
【0061】このように、本実施の形態4によれば、後
置分周回路22の代わりに超伝導カウンター28を配す
ることで、その出力線数が多くなり、測定ジッターが小
さく、高速、かつ低コストのサンプラーを実現できるだ
けでなく、より高精度の測定が可能となる。
【0062】[実施の形態5]以下、本発明の実施の形
態5について説明する。図5は、本実施の形態5に係る
超伝導サンプラーの構成を示すブロック図である。な
お、同図においても、図1や図3に示す、上記実施の形
態1,3に係るサンプラーと同一構成要素には同一符号
を付し、ここでは、それらの説明を省略する。
【0063】図5に示すように、本実施の形態5に係る
サンプラーは、図3に示す、上記の実施の形態3に係る
サンプラーに対して、後置分周回路22の代わりに超伝
導カウンター28を配した点で異なる。このため、室温
環境下に置かれたカウンター26(図1参照)は、通
常、不要になる。
【0064】実施の形態4においても説明したように、
超伝導カウンター28からの出力線は、複数のビットに
対応するため複数となり、それぞれの出力線に対してS
FQ/電圧変換回路23と増幅器25が設けられてい
る。
【0065】このような超伝導カウンター28を用いる
と、コンパレータ回路20から出力されるSFQパルス
の数を、高速で計数できる。かかる超伝導カウンター2
8による計数結果は、多ビットである。そのため、出力
が1ビットだけの後置分周回路22に比べて、コンパレ
ータ回路20のスイッチ回数を、より正確に測定できる
ので、測定精度が向上する。
【0066】なお、上記の実施の形態5において、遅延
部17を前置分周回路27よりコンパレータ回路20に
近い側に配したが、位置関係はこれに限定されず、それ
らを互いに逆に配置してもよい。
【0067】以上説明したように、本実施の形態5によ
れば、遅延部17の前段に前置分周回路27を挿入し、
さらに、後置分周回路22の代わりに超伝導カウンター
28を配した構成とすることで、カウンターからの出力
線数が多くなり、測定ジッターが小さく、高速、かつ低
コストのサンプラーを実現できる。また、被測定信号電
流Isの波形を複数周期、測定できるだけでなく、より
高精度の測定が可能となる。
【0068】[サンプラーの内部構成]本発明の実施の
形態に係る超伝導サンプラーの具体的な内部構成につい
て、より詳しく説明する。なお、ここでは、図3に示
す、上記実施の形態3に係る超伝導サンプラーの構成を
例にとる。
【0069】図6は、本発明の実施の形態に係る超伝導
サンプラーの回路構成を示している。同図において、図
3に示す、上記実施の形態3に係る超伝導サンプラーの
構成と対応する部分には、同一符号を付してある。
【0070】図6に示すサンプラーでは、被測定信号電
流Isとして、光通信に用いられる40Gbps(ギガ
ビット毎秒)デジタル信号を、外部固定アッテネータに
より超伝導回路に適した値(例えば、0.6mA)まで
減衰したものを想定している。また、このデジタル信号
は、“101010”(2進)が繰り返されており、従
って、20GHzの周期で、0.6mAと0mAが繰り
返されるものとする。
【0071】図6に示すように、信号入力線12は、分
岐部13により、第1の電流路14と第2の電流路15
に別れる。ここで、分岐部13は、図示するように、配
線を2つに分岐したものである。そして、分岐した第1
の電流路14と第2の電流路15のインピーダンスを等
しくしておくと、被測定信号電流Isは、第1の電流I
s1と第2の電流Is2とに2等分される。
【0072】SFQ発生回路16は、2個のジョセフソ
ン接合で構成される。図6では、ジョセフソン接合を×
印で表す。第1の電流Is1が、臨界電流値が0.2m
Aである第1のSFQパルス発生用接合31に供給され
ると、その第1のSFQパルス発生用接合31はスイッ
チ・オンし、再スイッチ防止用インダクタンス32を含
む超伝導ループに、反時計回りのSFQが侵入し、第2
のSFQパルス発生用接合33を含む超伝導ループに、
時計回りのSFQが侵入する。
【0073】第2のSFQパルス発生用接合33を含む
ループのインダクタンスを5pHとすると、SFQの侵
入により、このループに約0.4mAの電流が流れよう
とする。このとき、第2のSFQパルス発生用接合33
の臨界電流値を0.2mAとすると、電流立ち上がり時
に、第2のSFQパルス発生用接合33はスイッチし、
SFQは、ループ外に出ていく。これに対応して、第2
のSFQパルス発生用接合33を流れる電流は急激に減
少し、結果として、パルス状の電流(SFQパルス電
流)が発生する。
【0074】再スイッチ防止用インダクタンス32は、
第2のSFQパルス発生用接合33がスイッチした後、
電流が第1のSFQパルス発生用接合31に流れ込み、
第1のSFQパルス発生用接合31が、再度、スイッチ
をするのを防止するためのものである。再スイッチ防止
用インダクタンス32の値は、4pHである。
【0075】被測定信号電流Isが0mAになると、再
スイッチ防止用インダクタンス32を含む超伝導ループ
に侵入したSFQにより、第1のSFQパルス発生用接
合31に、前とは逆向きに約0.4mAの電流が流れ、
第1のSFQパルス発生用接合31はスイッチして、こ
のSFQは放出される。
【0076】このようにして発生したSFQパルスは、
前置分周回路27に入力される。前置分周回路27は、
図6に示すように、超伝導トグルフリップフロップ回路
(TFF)34を2段、直列に接続したものである。T
FFは、2回の信号入力に対して1回の出力を行う回路
である。
【0077】カウンターの基本構成要素としての超伝導
TFF34には、例えば、図7に示す構成を有するもの
がある。これは、「アイ・イー・イー・イー・トランザ
クション・オン・アプライド・スーパーコンダクティビ
ティー」(第1巻、第3頁)に記載された、SFQを用
いた超伝導TFFである。図7において、入力端子41
から入力されたSFQパルスは、第1のTFF接合42
と第2のTFF接合43に流れ込む。
【0078】入力されたSFQパルスの電流値を0.2
mA、第1のTFF接合42と第2のTFF接合43の
臨界電流値を、それぞれ0.3mAとすると、入力され
たSFQパルスだけでは、第1のTFF接合42と第2
のTFF接合43は、スイッチしない。
【0079】このとき、反時計回りのSFQが、第1の
TFF接合42と第2のTFF接合43を含む超伝導ル
ープに保持されており、その電流値が0.2mAである
とすれば、第1のTFF接合42では、入力されたSF
Qパルスと、保持されているSFQによる電流が加算さ
れる。そのため、第1のTFF接合42はスイッチし、
第1の出力端子46にSFQパルスが出力されるととも
に、第1のTFF接合42と第2のTFF接合43を含
む超伝導ループに、時計回りのSFQが保持される。
【0080】第1のTFF接合42がスイッチすると、
この第1のTFF接合42に流れていたSFQパルス
が、第2のTFF接合43を含むパスに流れ込むが、第
4のTFF接合45が第2のTFF接合43よりも先に
スイッチすることによって、第2のTFF接合43がス
イッチすることが防止される。
【0081】時計回りのSFQパルスが保持された状態
で、入力端子41より、次の入力信号が入力されると、
第2のTFF接合43において、入力されたSFQパル
スと、保持されているSFQによる電流が加算される。
その結果、第2のTFF接合43がスイッチし、第2の
出力端子47に、SFQパルスが出力されるとともに、
第1のTFF接合42と第2のTFF接合43を含む超
伝導ループに、反時計回りのSFQが保持される。
【0082】第2のTFF接合43がスイッチすると、
この第2のTFF接合43に流れていたSFQパルス電
流が、第1のTFF接合42を含むパスに流れ込むが、
第3のTFF接合44が、第1のTFF接合42よりも
先にスイッチすることによって、第1のTFF接合42
がスイッチすることは、防止される。
【0083】このように、図7に示すTFF回路では、
一方の出力端子からは、入力端子41にSFQパルスが
2回入力されるごとに、1回、SFQパルスが出力され
る。つまり、TFFは、1/2分周回路となる。
【0084】図6に示す前置分周回路27は、上述のよ
うなTFFを2段、直列に接続することにより、1/4
分周回路を構成している。このため、前置分周回路27
により、入力されたデジタル信号は、5GHzに分周さ
れる。また、前置分周回路27から出力されるSFQパ
ルスは、被測定信号電流Isの4周期の間に1回、発生
する。このため、このSFQパルスを用いて被測定信号
電流Isを4周期分、測定することが可能である。な
お、図7に示すTFFには、バイアス入力端子48が設
けられている。
【0085】前置分周回路27から出力されたSFQパ
ルスは、図6に示すように、遅延部17に入力される。
この遅延部17の具体的な構成としては、「アイ・イー
・イー・イー・トランザクション・オン・アプライド・
スーパーコンダクティビティー」(第1巻、第3頁)に
記載の、SFQを用いたジョセフソン伝送線路(JT
L)が知られている。
【0086】図8は、5段のJTLの回路構成例を示す
図である。JTLは、ジョセフソン接合を含む超伝導ル
ープを、図8に示すようにつなげたものであり、そこに
使用されるジョセフソン接合の臨界電流値Icと、ルー
プのインダクタンスLの積が、磁束量子よりも小さいこ
とを特徴としている。その典型的な値は、Ic=0.3
mA,L=4pHである。
【0087】JTLにおいて、その入力端子51からS
FQパルスが入力されると、第1のJTL接合52がス
イッチし、SFQが、第1のJTL接合52、第2のJ
TL接合53、第1のJTLインダクタンス54からな
る超伝導ループに侵入する。
【0088】ここで、この超伝導ループのLIc積は、
磁束量子よりも小さいため、SFQを、このループに保
持することができず、第2のJTLループ53がスイッ
チすることにより、SFQは、次の超伝導ループに侵入
する。この動作が繰り返されて、SFQは、出力端子5
5の方向へ伝搬される。
【0089】「アプライド・フィジックス・レターズ」
(第76巻、第3820頁)に記載されているように、
JTLにおけるSFQパルスの伝搬時間は、バイアス電
流によって制御できることが知られている。従って、バ
イアス入力端子56から供給するバイアス電流を制御す
ることによって、JTLがSFQを伝搬する時間、すな
わち、SFQの遅延時間を制御できる。
【0090】JTL抵抗57は、各JTL接合がスイッ
チしたときに、他の接合に与える影響を低減するために
設けられている。図6に示すサンプラーでは、その遅延
部17は、20段のJTL35によって構成されてい
る。JTL各段の遅延時間を最大10ピコ秒とすると、
20段で最大200ピコ秒の遅延を作ることができる。
これは、被測定信号電流Isの4周期分に相当する。
【0091】なお、遅延部17における遅延時間の制御
は、遅延制御線18を通して、制御コンピュータ19か
ら供給されるJTLのバイアス電流を制御することによ
って行われる。
【0092】超伝導サンプラーを用いて時間分解能の高
い測定を行うには、ジョセフソン接合の臨界電流Icと
ノーマル抵抗Rnの積であるIcRnが大きいことが望
ましい。しかし、IcRn積の大きいジョセフソン接合
を用いたJTLは、伝搬するSFQパルスの幅が狭いた
め、バイアス電流により制御できる遅延時間が小さくな
る。
【0093】図9は、IcRn積が0.7mVのジョセ
フソン接合を用いた10段のJTL遅延時間のバイアス
電流依存性を示すシミュレーション結果である。同図よ
り、バイアス電流に対して遅延時間が線形に変化する領
域では、遅延時間は、バイアス電流によって約20ピコ
秒しか制御できないことが分かる。従って、例えば、2
00ピコ秒の遅延を発生させるためには、100段のJ
TLが必要になる。
【0094】これに対処するため、図8に示すJTLで
は、後述するように、そのJTLを構成するジョセフソ
ン接合53がシャント抵抗58で分流(シャント)され
ている。
【0095】図10は、シャント抵抗(Rs)がない場
合(Rs=∞)、Rs=1オームの場合、Rs=0.2
オームの場合それぞれにおける、遅延時間のバイアス電
流依存性を示したシミュレーション結果である。ここで
の接合のIcRn積は、いずれの場合も0.7mVであ
る。
【0096】シャント抵抗58を付加してジョセフソン
接合のIcRn積を下げることで、図10に示すよう
に、バイアス電流で制御できる遅延時間が増加すること
が分かる。例えば、シャント抵抗が0.2オームの場
合、バイアス電流に対して遅延時間が線形に変化する領
域を使用した10段のJTLで、約100ピコ秒の遅延
を発生することができる。従って、200ピコ秒の遅延
を発生するには、20段のJTLで十分であり、回路規
模の大幅な縮小が可能になる。
【0097】一方、シャント抵抗58を使用したJTL
を伝搬したSFQパルスは、ジョセフソン接合のIcR
n積が等価的に低くなるため、そのパルス幅が広くな
り、時間分解能の高い測定には適さなくなる。そのた
め、ここでは、シャント抵抗58を使用したJTLと、
後述するコンパレータ接合36との間に、シャント抵抗
を用いない第2のJTL59を配置して、SFQパルス
を整形し、SFQパルス幅をもとに戻す。
【0098】第2のJTL59のバイアス電流は、遅延
時間を制御するバイアス入力端子56とは別の、第2の
バイアス入力端子60から供給する。この第2のJTL
59は、遅延時間によって変化するバイアス入力端子5
6からの電流値がコンパレータ接合36に流れ込まない
ようにするためのバッファの役割も果たす。
【0099】遅延部17から出力されたSFQパルス
は、コンパレータ回路20に入力される。コンパレータ
回路20は、例えば、1個のジョセフソン接合からなる
コンパレータ接合36と電流パルス発生用接合37で構
成される。電流パルス発生用接合37は、その臨界電流
値が0.2mAであり、遅延部17から出力されるSF
Qパルスでスイッチし、パルス状の電流をコンパレータ
接合36に供給する。
【0100】コンパレータ接合36の臨界電流値は、
0.5mAと大きく、上記パルス状の電流だけではスイ
ッチしない。コンパレータ接合36には、図6に示すフ
ィードバック電流路21から供給されるフィードバック
電流Ifと、第2の電流路15から供給される第2の電
流Is2が流れ込んでいる。
【0101】このコンパレータ接合36に、遅延部17
から、トリガー電流ItrとしてSFQパルスが入力さ
れたとき、これら3つの電流の和が、コンパレータ接合
36の臨界電流値より大きい場合には、コンパレータ接
合はスイッチして、SFQパルスを1個、出力する。
【0102】一方、上記3つの電流の和がコンパレータ
接合36の臨界電流値より小さい場合は、コンパレータ
接合36はスイッチしない。従って、コンパレータ接合
は、SFQパルスを出力しない。
【0103】コンパレータ回路20から出力されたSF
Qは、後置分周回路22に入力される。後置分周回路
は、例えば、図7に示すTFF34の第1の出力端子4
6と、次段の入力端子41を直列に多段接続して構成さ
れる。図6に示す例では、TFFは7段であるため、コ
ンパレータ回路20から入力されたSFQパルスは、1
/128分周される。このため、後置分周回路22から
出力されるSFQパルスの周波数は、最大で約39メガ
ヘルツとなる。
【0104】後置分周回路22からの出力は、SFQ/
電圧変換回路23に入力される。SFQ/電圧変換回路
23として、例えば、上記の文献「アイ・イー・イー・
イー・トランザクション・オン・アプライド・スーパー
コンダクティビティー」(第1巻、第3頁)に記載され
た、図6に示すSFQ/DC変換回路が使用される。
【0105】SFQ/電圧変換回路23は、第1の変換
接合38と第2の変換接合39を除くと、図7に示すT
FFと同じである。このため、SFQパルスが1回、入
力されるごとに、下側の超伝導ループ(図7において、
第1のTFF接合42と第2のTFF接合43からなる
超伝導ループに相当)には、時計回り、および反時計回
りのSFQが交互に保持される。
【0106】これら第1の変換接合38と第2の変換接
合39は、インダクタンスが非対称な超伝導量子干渉計
(SQUID)を構成しており、時計回りのSFQが保
持されているときは、上記2つの接合の中点に電圧が発
生するが、反時計回りのSFQが保持されているとき
は、電圧はゼロである。このため、このSFQ/電圧変
換回路23の出力線24には、SFQパルスが1回、入
力されるごとに、ゼロ電圧と、ある一定の出力電圧Vo
utとが交互に現れる。なお、出力電圧Voutの典型
的な値は、0.2mV程度である。
【0107】上記の出力電圧Voutを、室温環境下に
ある半導体機器で処理するには、その電圧を100倍以
上、増幅する必要がある。しかし、出力電圧Voutの
周波数は、上述のように39メガヘルツ程度まで低下し
ているため、通常の室温増幅器でも十分増幅できる。
【0108】増幅された出力電圧Voutは、室温環境
下にあるカウンター26で計数される。1回の計数は、
例えば、コンパレータ回路20の10万回の試行に対し
て行う。このように多数回にわたって、コンパレータ回
路20の試行に対して計数を行うことで、熱雑音等のノ
イズの影響を低減できる。
【0109】ここでは、上記10万回の試行によって、
例えば、500回以上、出力電圧Voutの変化が計数
できた場合、制御コンピュータ19は、コンパレータ回
路20がスイッチしたとの判断を下す。
【0110】図6に示す回路構成を用いた例では、20
GHzの入力に対して、4周期ごとにコンパレータ回路
20による測定を行い、コンパレータ回路20の10万
回の動作ごとにスイッチの判定を行っている。そのた
め、フィードバック電流Ifは、50キロヘルツの周波
数で、その値を切り替えればよい。
【0111】また、フィードバック電流Ifの値を、平
均して50回変えることによって、コンパレータ回路2
0がスイッチする最小のフィードバック電流Ifの値が
見つかるとした場合、遅延部27に与えるバイアスの切
替えは、1キロヘルツの周波数でよい。
【0112】このため、フィードバック電流Ifや遅延
時間の制御は、室温環境下にある半導体機器を用いて
も、十分行うことができる。この測定によって、“10
1010…”と続く40Gbpsデジタル波形の4周期
分を1000点、サンプリングする観測を、1秒間で行
うことができる。
【0113】なお、図3に示す、上記実施の形態3に係
るサンプラーと同様、図6において、コンパレータ回路
20に近い側に配した遅延部17と、前置分周回路27
との位置関係は、逆にしてもよい。さらには、上記実施
の形態4,5で述べたように、図6の後置分周回路22
を、超伝導カウンター28で置き換えることもできる。
【0114】図9は、図7に示す超伝導TFFを用いた
超伝導カウンター28の一構成例を示している。このカ
ウンターが、上記の分周回路と異なる点は、分周回路
は、最終段の出力だけが外部に取り出されるのに対し
て、カウンターは、図9に示すように、各段から出力を
取り出せることにある。
【0115】図9に示す超伝導カウンターでは、入力端
子61から第1のTFF62に入力されたSFQパルス
は、第1のビット63にSFQパルスを出力する。次に
入力されたSFQパルスは、SFQパルスの出力先を、
第1のビット63から第2のTFF64に切り替える。
この動作を繰り返すことにより、入力したSFQを、2
進法で計数することができる。
【0116】上述した超伝導カウンター28を用いるこ
とにより、コンパレータ回路20でのスイッチ回数を、
後置分周回路22を用いた場合より、正確に計数するこ
とができ、その測定精度も向上する。
【0117】超伝導カウンター28の各ビットの出力を
するには、それぞれSFQ/電圧変換回路23と増幅器
25が必要となる。そのため、全ビットを出力しようと
すると、必要な部品点数が増加する。また、下位ビット
ほど、周波数が高くなり、室温環境下の増幅器では対応
が困難になってくる。
【0118】さらに、測定において重要なのは上位ビッ
トであり、常に下位ビットまで全て出力する必要はな
い。これらのことを考え合わせると、上位の数ビットだ
けを利用し、下位ビットは利用しないことも選択でき
る。例えば、図12に示すように、上位4ビットだけを
利用すれば、増幅器の帯域は、最高320メガヘルツで
すむ。
【0119】なお、上記の超伝導サンプラーは、ニオブ
や窒化ニオブ等の金属超伝導体を用いても作製できる
が、例えば、イットリウム・バリウム・銅・酸化物(Y
Ba2Cu3 Ox)等の酸化物超伝導体を用いて作製す
れば、動作温度を30K以上、高くすることができる。
その結果、冷却の負担が軽くなり、より安価で、より簡
便な超伝導サンプラーを提供できる。
【0120】
【発明の効果】以上説明したように、本発明によれば、
測定タイミングを決定するトリガー電流を、コンパレー
タ手段と同一チップ上で被測定信号電流により発生する
(被測定信号電流をもとにサンプラーチップ上でトリガ
ー電流を発生する)ので、トリガー電流の到着時間のゆ
らぎや立ち上がりの劣化を最小限に抑制でき、ジッター
発生の小さい超伝導サンプラーを構成できる。
【0121】すなわち、サンプラーチップ上に分岐手
段、SFQパルス発生手段、前置分周手段、遅延手段、
コンパレータ手段、後置分周手段、電圧変換手段からな
るサンプラー回路を形成することで、測定タイミングを
決める信号をオンチップで作ることができ、結果的に測
定ジッターが小さく、測定周波数が高く、かつ、低コス
トのサンプラーを実現できる。
【0122】また、他の発明によれば、トリガー電流の
遅延やサンプラーからの出力の初段処理を高速の超伝導
体を使用した回路で行うので、測定周波数を大幅に向上
でき、測定時間の短縮、測定精度の向上を図ることもで
きる。
【0123】さらに、他の発明によれば、高速パルス発
生器や可変遅延線等の高周波機器を使わず、これらコス
トの高い高周波部品を超伝導回路で置き換えることによ
り、高価な高周波周辺回路が不要となり、装置全体のコ
ストを削減することも可能となる。
【0124】さらには、遅延手段において、ジョセフソ
ン接合にシャント抵抗を付加して、その電流・抵抗積を
下げることで、バイアス電流で制御できる遅延時間が増
加し、少ない段数のJTLで十分な遅延が得られるた
め、回路規模の大幅な縮小が可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施の形態1に係る超伝導サンプラー
の構成を示すブロック図である。
【図2】本発明の実施の形態2に係る超伝導サンプラー
の構成を示すブロック図である。
【図3】本発明の実施の形態3に係る超伝導サンプラー
の構成を示すブロック図である。
【図4】本発明の実施の形態4に係る超伝導サンプラー
の構成を示すブロック図である。
【図5】本発明の実施の形態5に係る超伝導サンプラー
の構成を示すブロック図である。
【図6】実施の形態に係る超伝導サンプラーの回路構成
を示す図である。
【図7】超伝導TFFの回路構成を示す図である。
【図8】5段構成のJTLの回路例を示す図である。
【図9】10段のJTL遅延時間のバイアス電流依存性
について、そのシミュレーション結果を示す図である。
【図10】値の異なるシャント抵抗それぞれにおける、
遅延時間のバイアス電流依存性についてのシミュレーシ
ョン結果を示す図である。
【図11】図7の超伝導TFFを用いた超伝導カウンタ
ーの構成例を示す図である。
【図12】上位4ビットだけの出力を行う超伝導カウン
ターの構成を示すブロック図である。
【図13】従来の超伝導サンプラーの回路構成を示す図
である。
【図14】従来の超伝導サンプラー回路への電流供給、
および出力電圧処理のための周辺機器の構成を示すブロ
ック図である。
【符号の説明】
11 サンプラーチップ 12 信号入力線 13 分岐部 14 第1の電流路 15 第2の電流路 16 SFQパルス発生回路 17 遅延部 18 遅延制御線 19 制御コンピュータ 20 コンパレータ回路 21 フィードバック電流路 22 後置分周回路 23 SFQ/電圧変換回路 24 出力線 25 増幅器 26 カウンター 27 前置分周回路 28 超伝導カウンター 31 第1のSFQパルス発生用接合 32 再スイッチ防止用インダクタンス 33 第2のSFQパルス発生用接合 34 超伝導TFF 35 超伝導JTL 36 コンパレータ接合 37 電流パルス発生用接合 38 第1の変換接合 39 第2の変換接合 41,51,61 入力端子 42〜45 TFF接合 46,47,55,65 出力端子 48,56 バイアス入力端子 52〜54 JTL接合 54 JTLインダクタンス 57 JTL抵抗 58 シャント抵抗 59 第2のJTL 60 第2のバイアス入力端子 101,102 入力端子 103〜107 ジョセフソン接合 108〜110 インダクタンス 111 結合インダクタンス 120 サンプラーチップ 121〜123 入力ライン 124 出力ライン 125 被測定信号発生源 126 制御コンピュータ 127 高速パルス発生器 128 可変遅延ライン 129 可変アッテネータ 130 D/Aコンバータ 131 増幅器 132 A/Dコンバータ
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Claims (17)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 所定の電気信号波形を測定するサンプラ
    ーにおいて、 被測定信号電流を第1の電流と第2の電流とに分岐する
    分岐手段と、 前記第1の電流の入力により単一磁束量子(SFQ)パ
    ルスを発生するSFQパルス発生手段と、 前記SFQパルスの伝搬時間を制御して、そのSFQパ
    ルスをトリガー電流として出力する遅延手段と、 前記トリガー電流と、前記第2の電流と、所定のフィー
    ドバック電流とを入力し、前記トリガー電流の入力時に
    前記第2の電流の値と前記フィードバック電流の値とに
    応じてスイッチ動作を行うコンパレータ手段と、 前記スイッチ動作によって出力されるSFQパルスを分
    周する後置分周手段と、 前記分周後のSFQパルスを所定レベルの電圧に変換す
    る電圧変換手段とを備え、 前記変換で得られた電圧をもとに前記電気信号波形の測
    定を行うことを特徴とするサンプラー。
  2. 【請求項2】 所定の電気信号波形を測定するサンプラ
    ーにおいて、 被測定信号電流を第1の電流と第2の電流とに分岐する
    分岐手段と、 前記第1の電流の入力により単一磁束量子(SFQ)パ
    ルスを発生するSFQパルス発生手段と、 前記SFQパルスを分周する前置分周手段と、 前記分周後のSFQパルスの伝搬時間を制御して、その
    SFQパルスをトリガー電流として出力する遅延手段
    と、 前記トリガー電流と、前記第2の電流と、所定のフィー
    ドバック電流とを入力し、前記トリガー電流の入力時に
    前記第2の電流の値と前記フィードバック電流の値とに
    応じてスイッチ動作を行うコンパレータ手段と、 前記スイッチ動作によって出力されるSFQパルスを所
    定レベルの電圧に変換する電圧変換手段とを備え、 前記変換で得られた電圧をもとに前記電気信号波形の測
    定を行うことを特徴とするサンプラー。
  3. 【請求項3】 所定の電気信号波形を測定するサンプラ
    ーにおいて、 被測定信号電流を第1の電流と第2の電流とに分岐する
    分岐手段と、 前記第1の電流の入力により単一磁束量子(SFQ)パ
    ルスを発生するSFQパルス発生手段と、 前記SFQパルスを分周する前置分周手段と、 前記前置分周手段で分周後のSFQパルスの伝搬時間を
    制御して、そのSFQパルスをトリガー電流として出力
    する遅延手段と、 前記トリガー電流と、前記第2の電流と、所定のフィー
    ドバック電流とを入力し、前記トリガー電流の入力時に
    前記第2の電流の値と前記フィードバック電流の値とに
    応じてスイッチ動作を行うコンパレータ手段と、 前記スイッチ動作によって出力されるSFQパルスを分
    周する後置分周手段と、 前記後置分周手段で分周後のSFQパルスを所定レベル
    の電圧に変換する電圧変換手段とを備え、 前記変換で得られた電圧をもとに前記電気信号波形の測
    定を行うことを特徴とするサンプラー。
  4. 【請求項4】 前記後置分周手段に代えて、前記SFQ
    パルスを計数するカウンターを備えることを特徴とする
    請求項1または3記載のサンプラー。
  5. 【請求項5】 前記カウンターは、全出力ビットの内、
    所定の上位ビットを出力することを特徴とする請求項4
    記載のサンプラー。
  6. 【請求項6】 前記分岐手段、SFQパルス発生手段、
    遅延手段、コンパレータ手段、前置分周手段、後置分周
    手段、電圧変換手段、およびカウンターがサンプラー回
    路を構成し、これらの手段が同一チップ上に配されてい
    ることを特徴とする請求項1乃至5のいずれかに記載の
    サンプラー。
  7. 【請求項7】 前記前置分周手段、後置分周手段、およ
    びカウンターは、SFQトグルフリップフロップ(TF
    F)で構成されていることを特徴とする請求項6記載の
    サンプラー。
  8. 【請求項8】 前記分岐手段、SFQパルス発生手段、
    遅延手段、コンパレータ手段、前置分周手段、後置分周
    手段、電圧変換手段、およびカウンターの全部あるいは
    一部に超伝導体が用いられていることを特徴とする請求
    項7記載のサンプラー。
  9. 【請求項9】 前記超伝導体は、酸化物超伝導体である
    ことを特徴とする請求項8記載のサンプラー。
  10. 【請求項10】 前記コンパレータ手段は、ジョセフソ
    ン接合より構成されていることを特徴とする請求項1乃
    至9のいずれかに記載のサンプラー。
  11. 【請求項11】 前記遅延手段は、バイアス電流値によ
    って、前記SFQパルスがジョセフソン伝送線路(JT
    L)を伝搬する速度を制御し、そのJTLを構成する各
    ジョセフソン接合が抵抗によりシャントされていること
    を特徴とする請求項1乃至9のいずれかに記載のサンプ
    ラー。
  12. 【請求項12】 前記抵抗の値が、前記ジョセフソン接
    合のノーマル抵抗値よりも小さいことを特徴とする請求
    項11記載のサンプラー。
  13. 【請求項13】 前記抵抗によりシャントされたジョセ
    フソン接合を有する前記JTLと前記コンパレータ手段
    との間に、シャント抵抗のないJTLが配されているこ
    とを特徴とする請求項11記載のサンプラー。
  14. 【請求項14】 被測定信号電流を第1の電流と第2の
    電流とに分岐するステップと、 前記第1の電流を入力して単一磁束量子(SFQ)パル
    スを発生するステップと、 前記SFQパルスの伝搬時間を制御して、そのSFQパ
    ルスをトリガー電流として出力するステップと、 前記トリガー電流と、前記第2の電流と、所定のフィー
    ドバック電流とを入力し、前記トリガー電流の入力時に
    前記第2の電流の値と前記フィードバック電流の値とに
    応じてスイッチ動作を行うステップと、 前記スイッチ動作によって出力されるSFQパルスを分
    周する後置の分周ステップと、 前記分周後のSFQパルスを所定レベルの電圧に変換す
    るステップと、 前記変換で得られた電圧をもとに、所定時間内における
    前記SFQパルスの計数を行うステップとを備え、 前記伝搬時間を変えながら前記ステップを繰り返すこと
    で、前記被測定信号電流の電気信号波形の測定を行うこ
    とを特徴とする計測方法。
  15. 【請求項15】 被測定信号電流を第1の電流と第2の
    電流とに分岐するステップと、 前記第1の電流を入力して単一磁束量子(SFQ)パル
    スを発生するステップと、 前記SFQパルスを分周する前置の分周ステップと、 前記分周後のSFQパルスの伝搬時間を制御して、その
    SFQパルスをトリガー電流として出力するステップ
    と、 前記トリガー電流と、前記第2の電流と、所定のフィー
    ドバック電流とを入力し、前記トリガー電流の入力時に
    前記第2の電流の値と前記フィードバック電流の値とに
    応じてスイッチ動作を行うステップと、 前記スイッチ動作によって出力されるSFQパルスを所
    定レベルの電圧に変換するステップと、 前記変換で得られた電圧をもとに、所定時間内における
    前記SFQパルスの計数を行うステップとを備え、 前記伝搬時間を変えながら前記ステップを繰り返すこと
    で、前記被測定信号電流の電気信号波形の測定を行うこ
    とを特徴とする計測方法。
  16. 【請求項16】 被測定信号電流を第1の電流と第2の
    電流とに分岐するステップと、 前記第1の電流を入力して単一磁束量子(SFQ)パル
    スを発生するステップと、 前記SFQパルスを分周する前置の分周ステップと、 前記前置の分周ステップで分周後のSFQパルスの伝搬
    時間を制御して、そのSFQパルスをトリガー電流とし
    て出力するステップと、 前記トリガー電流と、前記第2の電流と、所定のフィー
    ドバック電流とを入力し、前記トリガー電流の入力時に
    前記第2の電流の値と前記フィードバック電流の値とに
    応じてスイッチ動作を行うステップと、 前記スイッチ動作によって出力されるSFQパルスを分
    周する後置の分周ステップと、 前記後置の分周ステップで分周後のSFQパルスを所定
    レベルの電圧に変換するステップと、 前記変換で得られた電圧をもとに、所定時間内における
    前記SFQパルスの計数を行うステップとを備え、 前記伝搬時間を変えながら前記ステップを繰り返すこと
    で、前記被測定信号電流の電気信号波形の測定を行うこ
    とを特徴とする計測方法。
  17. 【請求項17】 前記後置の分周ステップに代えて、前
    記SFQパルスの計数を行うステップを備えることを特
    徴とする請求項14または16記載の計測方法。
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