JP2003028820A - 熱分析評価用試料容器及び熱分析評価方法 - Google Patents

熱分析評価用試料容器及び熱分析評価方法

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JP2003028820A
JP2003028820A JP2001216543A JP2001216543A JP2003028820A JP 2003028820 A JP2003028820 A JP 2003028820A JP 2001216543 A JP2001216543 A JP 2001216543A JP 2001216543 A JP2001216543 A JP 2001216543A JP 2003028820 A JP2003028820 A JP 2003028820A
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positive electrode
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Makoto Iizuka
飯塚  誠
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Sumitomo Metal Mining Co Ltd
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  • Investigating Or Analyzing Materials Using Thermal Means (AREA)
  • Battery Electrode And Active Subsutance (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【課題】 測定時に気化や反応によりガスが発生する試
料の熱分析において、発熱曲線のピークが明瞭で再現性
が良く、容器の破裂を防止することができ、高価な測定
装置が損傷等を受ける恐れがなく、安全に分析操作を実
施することのできる熱分析評価用試料容器を提供する。 【解決手段】 試料を充填する有底円筒形の容器本体1
と、容器本体1の上端開口を封止する蓋体2とからな
り、蓋体2に直径0.2mm以下の貫通穴3が設けてあ
る。蓋体2の外周部2aを容器本体1の鍔部1aと加締
めることにより、貫通穴3以外は密封された状態で使用
される。非水電解液系二次電池用正極材料の示差走査熱
量測定などにおいて、容器の破裂なしに非水電解液の気
化雰囲気を保持でき、正極活物質との反応挙動を再現性
良く解析評価することができる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、示差熱分析、熱重
量分析、示差走査熱量分析等の熱分析に使用する試料容
器であって、特に非水電解液系二次電池用正極材料の熱
分析評価に使用される熱分析用試料容器に関するもので
ある。
【0002】
【従来の技術】近年、携帯電話やパソコン等の小型高性
能化とコードレス化が進み、これら携帯可能な電子機器
の駆動電源として、高エネルギー密度を有し、且つ軽量
な電池が求められている。このような要求を満たす電池
として、負極に金属リチウムを使用した非水電解液系一
次電池や、リチウムイオン電池に代表される非水電解液
系二次電池がある。
【0003】リチウムイオン電池等の非水電解液系二次
電池は、リチウム含有複合酸化物を含む正極を備えてい
る。その正極活物質としては、組成式LiMO又は
Li (ただし、Mは遷移金属、0≦x≦1、
0≦y≦2)で表されるリチウム含有複合酸化物のほ
か、トンネル状の空孔を有する酸化物、層状構造の金属
カルコゲン化物等を用いることができる。その具体例と
しては、LiCoO、LiNiO、LiMn
、LiMn、MnO、FeO、V
、V13、TiO、TiS等が挙げられ
る。
【0004】非水電解液系二次電池の負極材料は、リチ
ウム金属やリチウム合金、リチウムイオンを吸蔵放出で
きる炭素材料等からなる。具体的には、Al、Si、P
b、Sn、Zn、Cd等とリチウムとの合金、LiFe
、WO、MoO等の遷移金属酸化物、グラフ
ァイトやカーボン等の炭素質材料、Li(LiN)等
の窒化リチウム、若しくは金属リチウム箔、又はこれら
の混合物が挙げられる。
【0005】また、非水電解液系二次電池では、非水溶
媒にリチウム塩が溶解されてなる非水電解液が使用され
る。非水溶媒としては、エチレンカーボネート、プロピ
レンカーボネート、ジメチルカーボネート、ジエチルカ
ーボネート、γ−ブチロラクトン、スルホラン、ジメチ
ルスルホキシド、アセトニトリル、ジメチルホルムアミ
ド、ジメチルアセトアミド、1,2−ジメトキシエタ
ン、1,2−ジエトキシエタン、テトラヒドロフラン、
2−メチルテトラヒドロフラン、ジオキソラン、メチル
アセテート等の極性溶媒、又はこれらの混合物が使用さ
れている。また、非水溶媒に溶解するリチウム塩として
は、LiPF、LiClO、LiBF、LiAs
、LiCFCO、LiCFSO、LiN
(SOCF) 、LiN(SOCFCF)、L
iN(COCF)、LiN(COCF CF)等の
塩、若しくはこれらの混合物が用いられている。
【0006】非水電解液系二次電池の正極と負極を分離
する隔離体としては、絶縁性のポリエチレン微多孔膜に
電解液を含浸したものや、高分子固体電解質、高分子固
体電解質に電解液を含有させたゲル状電解質等が使用さ
れている。また、絶縁性のエチレン微多孔膜と高分子固
体電解質等とを組み合わせて用いる場合もある。
【0007】このような構成を有する非水電解液系二次
電池では、電池を満充電状態で高温環境下に放置すると
正極活物質が分解し、例えばLiCoOでは本来の結
晶格子に配列しているLiが満充電状態で抜けた状態で
あるため壊れて分解する。この分解の際に酸素が放出さ
れるが、放出された酸素は非水電解液と反応してガスを
発生させるため、電池の内部圧力が上昇し、最悪の場合
には電池が爆発する危険があることが指摘されていた。
【0008】そこで従来から、このような危険を防止す
るため、非水電解液系二次電池用の正極活物質にアルミ
ニウム等の異種元素を添加するなど、正極活物質の分解
を抑制する試みがなされている。その一方で、示差走査
熱量分析装置、示差熱分析装置、又は重量変化量−示差
熱分析装置などの熱分析装置を用いた熱分析により、正
極活物質の分解や正極活物質と非水電解液との反応挙動
を解析して、電池の安全性を評価することが行なわれて
いる。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】熱分析法による非水電
解液系二次電池の安全性の評価は、非水電解液を含浸し
た正極活物質を試料容器内に充填し、示差走査熱量分析
装置などの熱分析装置内に設置して、昇温速度5〜20
℃/分で300〜400℃まで加熱昇温し、正極活物質
の分解や非水電解液との反応による発熱量及び発熱開始
温度を計測することによって行なわれる。尚、市販の試
料容器は、通常、内径が4〜7mm及び高さが2〜5m
m程度の有底円筒形の金属製容器本体と、この容器本体
を気密に封止する金属製の蓋体とで構成されている。
【0010】この非水電解液系二次電池の熱分析評価に
おいては、容器本体と蓋体の外周部を密閉用加締め装置
で加締めることにより、試料容器内を気密に封止した状
態とする。完全に密閉された試料容器を使用するのは、
測定時に試料の一部である非水電解液が気化するため、
密閉されていない簡易型の容器では気化した非水電解液
が容器外に拡散してしまい、正極活物質と非水電解液と
の反応挙動を解析評価することができないからである。
【0011】しかしながら、上記した密閉型の試料容器
を用いて示差走査熱量測定などの熱分析を行なうと、所
定温度での測定時における非水電解液の気化や、正極活
物質と気化した非水電解液との反応で生成するガスによ
って、密閉された容器内の内圧が高くなって破裂するこ
とがあり、また容器の破裂により測定装置に被害が及べ
ば高額な損害となる恐れがあった。尚、破裂を防止する
ためにSUS製の試料容器を用いることもできるが、一
般的なアルミニウム製の容器に較べ20倍以上も高価で
あるという問題があった。
【0012】そこで従来から、非水電解液系二次電池用
正極材料の熱分析評価においては、試料容器内に充填す
る試料の重量を経験的に0.7mg又はそれ以下とし、
気化する非水電解液の量及び反応生成するガス量を低減
させることにより容器の破裂を防いでいる。しかし、試
料重量が0.7mgと非常に少ないため、示差走査熱量
測定等における発熱曲線のピークが小さく不明瞭になる
ため、信頼性の高い測定データを得ることが困難であっ
た。
【0013】本発明は、このような従来の事情に鑑み、
気化や反応により測定時にガスが発生する試料の熱分析
評価に用いる試料容器であって、発熱曲線のピークが明
瞭で再現性が良く、信頼性の高い測定データが得られる
と同時に、試料容器の破裂を防止することができ、高価
な測定装置が損傷等を受ける恐れがなく、安全に分析操
作を実施することのできる熱分析評価用容器を提供する
こと、及びこの試料容器を用いた、安全で、信頼性の高
い非水電解液系二次電池用正極材料の熱分析評価方法を
提供することを目的とする。
【0014】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するた
め、種々研究を進めた結果、非水電解液系二次電池用正
極材料の示差走査熱量測定などの熱分析に使用される試
料容器においては、蓋体に貫通穴を設けることにより測
定時に容器内にかかる内圧を除去できること、しかも貫
通穴の直径を制御することによって、試料から気化した
非水電解液や反応生成ガスの容器外への拡散を最小限に
抑え、正極活物質との反応状態を正確に且つ再現性良く
解析評価することが可能であることを見出した。
【0015】即ち、本発明が提供する熱分析評価用試料
容器は、測定時にガスが発生する試料の熱分析評価に用
いる試料容器であって、試料を充填する有底円筒形の容
器本体と、容器本体の上端開口を封止する蓋体とからな
り、該蓋体に直径0.2mm以下の貫通穴が設けてあ
り、容器本体と蓋体とを加締めて貫通穴以外は密封され
た状態で使用されることを特徴とする。
【0016】上記本発明の熱分析評価用試料容器におい
ては、前記容器本体が厚さ10〜300μm、内径4〜
7mm、及び高さ2〜5mmの有底円筒形であって上端
部に鍔部を有し、該容器本体の鍔部に厚さ10〜300
μmの蓋体の外周部を加締めて密封固定するものであ
る。また、前記熱分析評価用試料容器の容器本体及び蓋
体は、共にアルミニウムからなることを特徴とする。
【0017】また、本発明が提供する熱分析評価方法
は、上記した本発明の熱分析評価用試料容器を用い、試
料として非水電解液系二次電池用正極材料を充填した容
器本体を蓋体で加締めて貫通穴以外は密封された状態と
し、示差走査熱量分析装置、示差熱分析装置、又は重量
変化量−示差熱分析装置により熱分析することを特徴と
するものである。
【0018】
【発明の実施の形態】本発明による熱分析評価用試料容
器は、加熱による気化や反応によって測定時にガスが発
生する試料、例えば非水電解液系二次電池用正極材料の
熱分析評価に用いるため、試料充填後に容器本体と蓋体
とを加締めて密封状態で使用する容器であるが、その容
器本体を封止する蓋体に直径0.2mm以下の貫通穴が
穿設してある。即ち、本発明の試料容器では、試料を充
填した容器本体と蓋体とを加締めることにより、貫通穴
以外は密封された状態(密閉型であるが貫通穴のみで連
通した状態)で使用される。
【0019】この試料容器では、熱分析の測定時に、正
極材料中の非水電解液の気化や、正極活物質の分解によ
る酸素の放出、及びこの酸素と気化した非水電解液との
反応等によってガスが発生しても、蓋体に設けた直径
0.2mm以下の貫通穴により容器内にかかる内圧が除
去され、容器の破裂を防ぐことができる。しかも、貫通
穴の直径を0.2mm以下とすることによって、測定時
に試料の一部である非水電解液が気化しても、この貫通
穴を通して容器外に排出されることが殆どなく、非水電
解液の気化雰囲気を保持できるため、完全密封型の試料
容器と同様に、正極活物質と非水電解液との反応による
発熱曲線のピークを正確に且つ再現性良く検出し得るこ
とが分かった。
【0020】また、破裂の恐れがない本発明の試料容器
では、従来のごとく容器本体に充填する試料の量を少な
くする、例えば0.7mg以下に制限する必要がない。
そのため、正極活物質の分解や正極活物質と非水電解液
との反応による発熱量及び発熱開始温度を明瞭に測定す
ることが可能であり、より信頼性の高い熱分析データを
得ることができる。
【0021】ただし、蓋体に穿設する貫通穴の直径が
0.2mmを超えると、気化した非水電解液の容器外へ
の排出が無視できない程度に大きくなるため、非水電解
液の気化雰囲気を保持する効果が不十分となり、正極活
物質と非水電解液との反応による発熱量及び発熱開始温
度の測定そのものが不明瞭となる。尚、蓋体に設ける貫
通穴の直径は、加工が可能である限り下限に制限はない
が、通常の場合0.05mmまでの直径が加工コスト的
にも有利である。
【0022】試料容器の具体的な形状は、例えば図1〜
2に示すように、容器本体1が厚さ10〜300μm、
内径4〜7mm、及び高さ2〜5mmの有底円筒形であ
り、上端部に幅0.5〜2mm程度の鍔部1aを有する
ものが好ましい。一方、蓋体2は厚さ10〜300μm
の円板形であり、その外周部2aを容器本体1の鍔部1
aに加締めて密封固定できる形状とする。例えば、蓋体
2の外周部2aまでの直径は、加締めるべき鍔部1aの
直径よりも0.5〜2mm程度大きくすることが好まし
い。蓋体2のほぼ中央には、貫通穴3がルーマー型ドリ
ル等を用いて穿設されている。また、試料容器の材質
は、従来から一般に使用されている加締め可能な金属で
あれば何ら制限はないが、価格及び加締め加工の容易さ
からアルミニウムが好ましい。
【0023】上記した本発明の熱分析評価用試料容器
は、一般に販売されている熱分析装置で使用可能であ
り、例えば示差熱分析装置(DTA)、重量変化量−示
差熱分析装置(TG/DTA)、示差走査熱量分析装置
(DSC)等の熱分析装置で好適に使用することができ
る。
【0024】特に、試料容器に非水電解液系二次電池用
正極材料を充填し、容器本体を蓋体で加締めて貫通穴以
外は密封された状態として、上記のDTA、TG/DT
A、DSCにより熱分析を行なう場合、蓋体に貫通穴が
あっても、試料容器内の非水電解液の気化雰囲気を保持
する効果があるため、正極活物質の分解や非水電解液と
の反応挙動を熱的に測定することが可能である。しか
も、蓋体に貫通穴が設けてあるため、測定時における容
器内圧の過度な上昇を防ぐことができ、容器の破裂を防
止して、高温までの測定が可能となる。
【0025】
【実施例】熱分析評価用試料として、非水電解液系二次
電池用正極材料を以下のごとく準備した。即ち、正極活
物質であるコバルト酸リチウム(LiCoO)粉末
を、カーボンとバインダーPVDF(ポリフッ化ビニリ
デン)の混合物と、重量比70:30でノンバブリング
ニーダーを用いて30秒間ずつ2回混合することによ
り、正極合剤とした。
【0026】この正極合剤を用い、負極として金属リチ
ウム箔、非水電解液として過塩素酸リチウムを溶解した
EDEC(エチレンカーボネート(沸点238℃)とジエ
チルカーボネート(沸点127℃)の1:1混合物)、隔
離体として電解液を含浸した絶縁性のポリエチレン微多
孔膜を使用して、CR2032型電池を作製した。この
電池を充放電試験器によって満充電した後、分解して正
極及び非水電解液を取り出して、熱分析評価用試料とし
た。
【0027】熱分析評価用の試料容器として、図1に示
すように、内径5.2mm及び高さ2.6mmの有底円筒
形で上端部に鍔部1aを有する容器本体1と、この容器
本体1の鍔部1aに加締め加工可能な蓋体2とからな
る、厚さ200μmのアルミニウム製の容器を準備し
た。この蓋体2のほぼ中央部に、高速卓上ボール盤を用
いて、ルーマー型ドリルにより貫通穴3を穿設した。そ
の際、試料容器1〜4ごとに、貫通穴3の直径を0.2
mm、0.3mm、0.49mm、0.79mmに変えて
穿設した。また、参考のため、蓋体がなく容器本体のみ
の完全解放の容器5と、蓋体に貫通穴を設けていない完
全密閉の容器6も準備した。
【0028】これらの各試料容器1〜4の容器本体1
に、上記のごとく準備した熱分析評価用試料4.2mg
を秤量して充填し、それぞれ貫通穴3を穿設した蓋体2
を載せた後、熱分析装置に付属の密閉用シーラーによっ
て容器本体1と蓋体2を加締めて密着固定した。尚、完
全解放した容器5については試料5mgを充填し、蓋体
に貫通穴のない完全密閉型の容器6には、容器の破裂を
防止するため0.7mgの試料を充填した。
【0029】このように試料を充填した各容器1〜6に
ついて、熱分析装置として示差走査熱量計(DSC−1
0A;理学電機(株)製)を用い、発熱量の測定をそれぞ
れ2回(2サンプル)行った。測定雰囲気は大気中と
し、昇温は10℃/分で室温から305℃まで行った。
得られたDSC測定結果を、容器1〜6(各2サンプル
ずつ)ごとに図3〜8に示した。尚、容器1〜5は途中
で破裂することなく測定を行なうことができたが、完全
密閉の容器6は試料量が0.7mgと少ないにもかかわ
らず、途中で容器が破裂した。
【0030】図3に示す容器1(貫通穴の直径0.2m
m)の発熱曲線から、220℃付近で正極活物質の分解
により酸素が発生し、この酸素が容器内で気化した非水
電解液と反応していること、270℃付近では非水電解
液自身の分解が起っていることが分かる。また、2サン
プルの発熱曲線のピークは大きく明瞭で且つ正確に重な
っており、信頼性の高い測定データが再現性良く得られ
ることが分かる。
【0031】また、図4に示す容器2(貫通穴の直径
0.3mm)の発熱曲線では、220℃付近での正極活
物質の分解が2サンプルで認められるが、そのピークは
ずれている。また、270℃付近の非水電解液の分解に
ついては、片方のサンプルではピークが認められるが、
他方のサンプルではピークが認められない。従って、貫
通穴の直径が0.3mmに大きくなると、測定データに
再現性が得られなくなることが分かる。
【0032】図5に示す容器3(貫通穴の直径0.49
mm)、図6に示す容器4(貫通穴の直径0.79m
m)、及び図7に示す容器5(完全開放)の発熱曲線で
は、230〜250℃の間に正極活物質の分解を示すと
みられるピークが存在するが、270℃付近の非水電解
液の分解に関するピークは全く認められない。これらの
容器では、蓋体がないか又は貫通穴が大き過ぎるため
に、容器内から非水電解液が蒸発散逸してしまい、正極
活物質と非水電解液の反応が起こらなかったものと考え
られる。
【0033】更に、図8に示す容器6(完全密閉)の場
合、250℃付近に正極活物質の分解を示すとみられる
ピークが認められるが、試料が0.7mgと少ないた
め、ピークが小さく不明瞭である。また、その後の非水
電解液との反応により内圧が上昇し、300℃に至る前
に容器が破裂したことが、発熱曲線にも発熱量の急激な
低下として現れている。
【0034】
【発明の効果】本発明によれば、測定時に気化や反応に
よりガスが発生する試料について、正確で再現性の良い
熱分析が可能であると同時に、容器の破裂を防止するこ
とができ、高価な測定装置が損傷等を受ける恐れがな
く、安全に分析操作をすることのできる熱分析評価用試
料容器を提供することができる。しかも、容器の破裂が
ないため試料の量を多くすることができ、発熱曲線のピ
ーク等を明瞭に再現性よく測定することができるうえ、
アルミニウム製の容器とすることで非常に安価な測定が
可能となる。
【0035】また、本発明の熱分析評価用試料容器を用
いることにより、測定時に気化や反応によりガスが発生
する試料、例えば非水電解液系二次電池用正極材料を、
安全に、しかも高い信頼性をもって熱分析することがで
き、二次電池の安全性について正確に評価することが可
能となった。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の試料容器の一具体例を示す斜視図であ
る。
【図2】図1の試料容器を封止した状態を示す断面図で
ある。
【図3】直径0.2mmの貫通穴を有する容器の発熱曲
線を示すグラフである。
【図4】直径0.3mmの貫通穴を有する容器の発熱曲
線を示すグラフである。
【図5】直径0.49mmの貫通穴を有する容器の発熱
曲線を示すグラフである。
【図6】直径0.79mmの貫通穴を有する容器の発熱
曲線を示すグラフである。
【図7】完全開放の容器の発熱曲線を示すグラフであ
る。
【図8】完全密閉の容器の発熱曲線を示すグラフであ
る。
【符号の説明】
1 容器本体 1a 鍔部 2 蓋体 2a 外周部 3 貫通穴
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き Fターム(参考) 2G040 AB05 AB11 CA02 EB05 EC09 FA01 5H050 AA13 BA15 CA02 CA08 CA09 CA11 CB01 CB02 CB03 CB07 CB08 CB12 EA02 EA08 EA11 EA21 EA23 EA24

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 測定時にガスが発生する試料の熱分析評
    価に用いる試料容器であって、試料を充填する有底円筒
    形の容器本体と、容器本体の上端開口を封止する蓋体と
    からなり、該蓋体に直径0.2mm以下の貫通穴が設け
    てあり、容器本体と蓋体とを加締めて貫通穴以外は密封
    された状態で使用されることを特徴とする熱分析評価用
    試料容器。
  2. 【請求項2】 前記容器本体が厚さ10〜300μm、
    内径4〜7mm、及び高さ2〜5mmの有底円筒形であ
    って、上端部に鍔部を有し、該容器本体の鍔部に厚さ1
    0〜300μmの蓋体の外周部を加締めて密封固定する
    ことを特徴とする、請求項1に記載の熱分析評価用試料
    容器。
  3. 【請求項3】 前記容器本体及び蓋体が共にアルミニウ
    ムからなることを特徴とする、請求項1又は2に記載の
    熱分析評価用試料容器。
  4. 【請求項4】 請求項1の熱分析評価用試料容器を用
    い、試料として非水電解液系二次電池用正極材料を充填
    した容器本体を蓋体で加締めて貫通穴以外は密封された
    状態とし、示差走査熱量分析装置、示差熱分析装置、又
    は重量変化量−示差熱分析装置により熱分析することを
    特徴とする熱分析評価方法。
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Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
EP2549267A1 (de) 2011-07-21 2013-01-23 SWISSI Process Safety GmbH Probengefäss für kalorimetrische Messungen
CN107228807A (zh) * 2016-03-25 2017-10-03 日本株式会社日立高新技术科学 试样容器以及热分析装置

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