JP2003027169A - アルミニウム合金およびアルミニウム合金鋳物品 - Google Patents
アルミニウム合金およびアルミニウム合金鋳物品Info
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Abstract
(57)【要約】
【課題】 引張り強度、0.2%耐力、伸び等の機械特性を
向上させたアルミニウム合金、およびアルミニウム合金
鋳物品を提供する。 【解決手段】アルミニウム合金の組成を重量基準で8.5
〜9.5%のSiと、0.20%以下のCuと、0.20〜0.40%のMgと、
0.6%以下のFeと、0.30〜0.50%のMnと、0.05〜0.15%のTi
と、0.01〜0.025%のSrと、0.15%以下のZnとを含むと共
に、残部にAlを含む組成とすることによって達成され
る。
向上させたアルミニウム合金、およびアルミニウム合金
鋳物品を提供する。 【解決手段】アルミニウム合金の組成を重量基準で8.5
〜9.5%のSiと、0.20%以下のCuと、0.20〜0.40%のMgと、
0.6%以下のFeと、0.30〜0.50%のMnと、0.05〜0.15%のTi
と、0.01〜0.025%のSrと、0.15%以下のZnとを含むと共
に、残部にAlを含む組成とすることによって達成され
る。
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】この発明は、アルミニウム合
金およびそれより製造される鋳物品に関するものであ
る。さらに詳しくは、強度と靱性を必要とする自動車や
二輪車の車体部品等の材料として有効に使用されうる高
強度高靱性を有するアルミニウム合金およびそれより製
造されるアルミニウム合金鋳物品に関するものである。
金およびそれより製造される鋳物品に関するものであ
る。さらに詳しくは、強度と靱性を必要とする自動車や
二輪車の車体部品等の材料として有効に使用されうる高
強度高靱性を有するアルミニウム合金およびそれより製
造されるアルミニウム合金鋳物品に関するものである。
【0002】
【従来の技術】従来から、鋳物品用のアルミニウム合金
としては、たとえば、JIS ADC3が知られており、その組
成は重量基準で9.0〜10.0%と、0.6%より少ないCuと、0.
4〜0.6%のMgと、1.3%より少ないFeと、0.3%より少ないM
nと、0.5%より少ないZnと、0.5%より少ないNiと、残部
がAlである。このJIS ADC3の合金の内ある範囲のものは
JASO規格(二輪自動車技術基準)を満足するものであ
る。
としては、たとえば、JIS ADC3が知られており、その組
成は重量基準で9.0〜10.0%と、0.6%より少ないCuと、0.
4〜0.6%のMgと、1.3%より少ないFeと、0.3%より少ないM
nと、0.5%より少ないZnと、0.5%より少ないNiと、残部
がAlである。このJIS ADC3の合金の内ある範囲のものは
JASO規格(二輪自動車技術基準)を満足するものであ
る。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、より過
酷な使用環境においても破壊に耐えられるよう、強度が
高く、且つ靱性の高い材料が一方では求められている。
本発明においては、係る要求を満足できる機械的な強度
に加えて、靱性を高めたアルミニウム合金、およびアル
ミニウム合金鋳物品を提供することを課題としている。
酷な使用環境においても破壊に耐えられるよう、強度が
高く、且つ靱性の高い材料が一方では求められている。
本発明においては、係る要求を満足できる機械的な強度
に加えて、靱性を高めたアルミニウム合金、およびアル
ミニウム合金鋳物品を提供することを課題としている。
【0004】
【課題を解決するための手段】かかる課題を達成するた
めに、請求項1に記載の発明は、重量基準で8.5〜9.5%
のSiと、0.20%以下のCuと、0.20〜0.40%のMgと、0.6%以
下のFeと、0.30〜0.50%のMnと、0.05〜0.15%のTiと、0.
01〜0.025%のSrと、0.15%以下のZnとを含むと共に、残
部にAlを含むことを特徴とするアルミニウム合金とする
ことによって、従来合金であるJIS ADC3と比較し、引張
り強度や耐力等の強度に優れ且つ靱性を大幅に向上させ
たアルミニウム合金を得ることができる。
めに、請求項1に記載の発明は、重量基準で8.5〜9.5%
のSiと、0.20%以下のCuと、0.20〜0.40%のMgと、0.6%以
下のFeと、0.30〜0.50%のMnと、0.05〜0.15%のTiと、0.
01〜0.025%のSrと、0.15%以下のZnとを含むと共に、残
部にAlを含むことを特徴とするアルミニウム合金とする
ことによって、従来合金であるJIS ADC3と比較し、引張
り強度や耐力等の強度に優れ且つ靱性を大幅に向上させ
たアルミニウム合金を得ることができる。
【0005】また、本発明の請求項2によれば、重量基
準で8.5〜9.5%のSiと、0.20%のCuと、0.20〜0.40%のMg
と、0.6%以下のFeと、0.30〜0.50%のMnと、0.05〜0.15%
のTiと、0.01〜0.025%のSrと、0.15%以下のZnとを含む
と共に、残部にAlを含むアルミニウム合金を用いてダイ
キャスト法により鋳造することにより、高強度高靱性を
有し、湯流れ性(湯回り性)が良く、連続鋳造時の金型
への焼き付き性が少なく、鋳造品の割れの少ないアルミ
ニウム合金鋳物品を得ることができる。
準で8.5〜9.5%のSiと、0.20%のCuと、0.20〜0.40%のMg
と、0.6%以下のFeと、0.30〜0.50%のMnと、0.05〜0.15%
のTiと、0.01〜0.025%のSrと、0.15%以下のZnとを含む
と共に、残部にAlを含むアルミニウム合金を用いてダイ
キャスト法により鋳造することにより、高強度高靱性を
有し、湯流れ性(湯回り性)が良く、連続鋳造時の金型
への焼き付き性が少なく、鋳造品の割れの少ないアルミ
ニウム合金鋳物品を得ることができる。
【0006】
【発明の実施の形態】以下、この発明の実施の形態につ
いて説明する。
いて説明する。
【0007】本発明のアルミニウム合金およびアルミニ
ウム合金鋳物品の組成は、重量基準で8.5〜9.5%のSi
と、0.20%以下のCuと、0.20〜0.40%のMgと、0.6%以下の
Feと、0.30〜0.50%のMnと、0.05〜0.15%のTiと、0.01〜
0.025%のSrと、0.15%以下のZnとを含むと共に、残部にA
lを含むものである。
ウム合金鋳物品の組成は、重量基準で8.5〜9.5%のSi
と、0.20%以下のCuと、0.20〜0.40%のMgと、0.6%以下の
Feと、0.30〜0.50%のMnと、0.05〜0.15%のTiと、0.01〜
0.025%のSrと、0.15%以下のZnとを含むと共に、残部にA
lを含むものである。
【0008】本発明のアルミニウム合金に使用されるSi
は鋳造性特に湯流れ性の改善のためには必要不可欠の元
素である。第1図は本発明において検討を行ったアルミ
ニウム合金中のSiの含量と、アルミニウム合金の湯流れ
性(流動性)を表す流動長さとの関係を示したものであ
る。Siの含量は重量基準である(以下特に断らない限り
各成分の含量は重量基準で示す)。第1図からわかるよ
うに、重量基準でSi含量が8.5%より少ないと流動性が悪
くなり湯回り不良となり易い。
は鋳造性特に湯流れ性の改善のためには必要不可欠の元
素である。第1図は本発明において検討を行ったアルミ
ニウム合金中のSiの含量と、アルミニウム合金の湯流れ
性(流動性)を表す流動長さとの関係を示したものであ
る。Siの含量は重量基準である(以下特に断らない限り
各成分の含量は重量基準で示す)。第1図からわかるよ
うに、重量基準でSi含量が8.5%より少ないと流動性が悪
くなり湯回り不良となり易い。
【0009】第2図はアルミニウム合金中のSiの含量と
アルミニウム合金の機械的強度の一尺度である引張り強
度、および伸びとの関係を示したものである。第2図か
らわかるように、Si含量の増加と共に引張り強度が漸増
するが9.5%付近で飽和する傾向がある。一方靱性を表す
伸び特性についてはSi含量が9.5%を越えると低下する。
アルミニウム合金の機械的強度の一尺度である引張り強
度、および伸びとの関係を示したものである。第2図か
らわかるように、Si含量の増加と共に引張り強度が漸増
するが9.5%付近で飽和する傾向がある。一方靱性を表す
伸び特性についてはSi含量が9.5%を越えると低下する。
【0010】また、Siが8.5%より少ないと強度および靱
性の点で従来合金のJIS ADC3より優れているものの湯流
れ性の点において若干悪くなる。従って鋳物品を連続鋳
造する場合には、8.5%〜9.5%の範囲のSiを用いることが
望ましい。
性の点で従来合金のJIS ADC3より優れているものの湯流
れ性の点において若干悪くなる。従って鋳物品を連続鋳
造する場合には、8.5%〜9.5%の範囲のSiを用いることが
望ましい。
【0011】Cuについては、不純物扱いとするが、多く
含まれると耐食性を害するおそれがあるので、0.20%以
下とする。
含まれると耐食性を害するおそれがあるので、0.20%以
下とする。
【0012】第3図にアルミニウム合金中のMg含量と引
張り強度、0.2%耐力および伸びとの関係を示す。Mgにつ
いては、引っ張り強さと耐力を向上させるために添加す
る。Mgの添加量の増加にともない、引張り強度と0.2%耐
力は増加するが、靱性の尺度である伸びは減少する。従
って靱性を高く維持するためには適量成分を選定するこ
とが重要である。0.20%より少ないとその効果が少な
く、0.40%を越えると靱性が低下する。そのためMgの添
加量は0.20〜0.40%とする。
張り強度、0.2%耐力および伸びとの関係を示す。Mgにつ
いては、引っ張り強さと耐力を向上させるために添加す
る。Mgの添加量の増加にともない、引張り強度と0.2%耐
力は増加するが、靱性の尺度である伸びは減少する。従
って靱性を高く維持するためには適量成分を選定するこ
とが重要である。0.20%より少ないとその効果が少な
く、0.40%を越えると靱性が低下する。そのためMgの添
加量は0.20〜0.40%とする。
【0013】第4図にアルミニウム合金中のFeの含量と
アルミニウム合金の伸び特性すなわち靱性との関係を示
す。Feについては、特にダイカスト鋳造時における型へ
の焼き付き防止に必要な成分である。しかし、第4図か
ら分かるように、多く添加すると靱性が低下するので0.
6%以下とする。
アルミニウム合金の伸び特性すなわち靱性との関係を示
す。Feについては、特にダイカスト鋳造時における型へ
の焼き付き防止に必要な成分である。しかし、第4図か
ら分かるように、多く添加すると靱性が低下するので0.
6%以下とする。
【0014】Mnについては、Al-Si-Feの3元化合物の生
成を抑制し、靱性を確保するために添加するものであ
り、0.30%より少ないとその効果が少なく、0.50%を越え
ると抑制効果が飽和し、より以上の効果は少ない。第5
図にアルミニウム合金中のFeとMnの合計含量とアルミニ
ウム合金の伸びの関係を示す。第5図から分かるよう
に、FeとMnの合計含量が増すと得られるアルミニウム合
金の伸びは低下する。これらの結果からMnの含量は0.30
〜0.50%とする。
成を抑制し、靱性を確保するために添加するものであ
り、0.30%より少ないとその効果が少なく、0.50%を越え
ると抑制効果が飽和し、より以上の効果は少ない。第5
図にアルミニウム合金中のFeとMnの合計含量とアルミニ
ウム合金の伸びの関係を示す。第5図から分かるよう
に、FeとMnの合計含量が増すと得られるアルミニウム合
金の伸びは低下する。これらの結果からMnの含量は0.30
〜0.50%とする。
【0015】Tiについては、アルミニウム合金の結晶粒
を微細化し靱性を高める効果が有り、0.05〜0.15%を添
加する。
を微細化し靱性を高める効果が有り、0.05〜0.15%を添
加する。
【0016】Srについては、共晶シリコンを球状化し靱
性を高める効果があるために添加する。第6図にアルミ
ニウム合金中のSrの含量と得られるアルミニウム合金の
引張り強さ、0.2%耐力および伸びとの関係を示す。第6
図から分かるように、その含有量が0.01%より少ないと
その効果が少ない。逆に0.025%以上ではAl-Si-Sr3元化
合物を生成し過改良となる。従って、Srの含有量は0.01
〜0.025%の範囲とする。
性を高める効果があるために添加する。第6図にアルミ
ニウム合金中のSrの含量と得られるアルミニウム合金の
引張り強さ、0.2%耐力および伸びとの関係を示す。第6
図から分かるように、その含有量が0.01%より少ないと
その効果が少ない。逆に0.025%以上ではAl-Si-Sr3元化
合物を生成し過改良となる。従って、Srの含有量は0.01
〜0.025%の範囲とする。
【0017】Znについては、Cuと同じく不純物扱いとす
るが、多いと耐食性を損なうために0.15%以下とする。
るが、多いと耐食性を損なうために0.15%以下とする。
【0018】なお、使用するアルミニウムの材質につい
ては特に限定はないが、精製を十分にすると高強度高靱
性なアルミニウム合金を得やすい。しかし、精製にはコ
ストがかかることから、その他の不可避的不純物が含ま
れていてもよい。
ては特に限定はないが、精製を十分にすると高強度高靱
性なアルミニウム合金を得やすい。しかし、精製にはコ
ストがかかることから、その他の不可避的不純物が含ま
れていてもよい。
【0019】本発明のアルミニウム合金の鋳物品は、従
来公知のダイキャスト法により製造することができる。
来公知のダイキャスト法により製造することができる。
【0020】
【実施例】以下実施例を用いてより詳細に発明の内容を
説明する。
説明する。
【0021】表1に異なる組成についての従来例および
本発明の組成範囲を、また、実施例および比較例のそれ
ぞれの合金の組成を示した。また、表2には従来合金、
実施例および比較例のそれぞれについて、同一金型を用
いダイキャスト法によって得られた鋳造品からテストピ
ースを切り出して、確性値として引張り強度、0.2%耐力
および破断時伸びを測定した結果を示した。表2の値は
それぞれ各5ヶのテストピースを用いて測定した平均値
である。
本発明の組成範囲を、また、実施例および比較例のそれ
ぞれの合金の組成を示した。また、表2には従来合金、
実施例および比較例のそれぞれについて、同一金型を用
いダイキャスト法によって得られた鋳造品からテストピ
ースを切り出して、確性値として引張り強度、0.2%耐力
および破断時伸びを測定した結果を示した。表2の値は
それぞれ各5ヶのテストピースを用いて測定した平均値
である。
【0022】別に、連続鋳造時の湯回り性、金型への焼
付き性および鋳造品の割れについて評価した結果も表2
に併せて示した。
付き性および鋳造品の割れについて評価した結果も表2
に併せて示した。
【0023】
【実施例1】実施例1のアルミニウム合金組成を表1に示
した。表2に評価した確性値を示した。従来合金である
JIS ADC3の伸びが3.7%と低いのに対し、実施例1は8.9%
となり、靱性が大きく改善されている。また、引張り強
度および0.2%耐力の値は従来合金のそれぞれ235N/mm2、
130N/mm2の値であるのに対し、261N/mm2および148N/mm2
と改善されている。さらにまた、鋳造の際の湯回り性も
よく、連続鋳造時の焼付きもなく、また、鋳造品の割れ
も見られず、良好な鋳造特性を示した。
した。表2に評価した確性値を示した。従来合金である
JIS ADC3の伸びが3.7%と低いのに対し、実施例1は8.9%
となり、靱性が大きく改善されている。また、引張り強
度および0.2%耐力の値は従来合金のそれぞれ235N/mm2、
130N/mm2の値であるのに対し、261N/mm2および148N/mm2
と改善されている。さらにまた、鋳造の際の湯回り性も
よく、連続鋳造時の焼付きもなく、また、鋳造品の割れ
も見られず、良好な鋳造特性を示した。
【0024】
【実施例2】実施例1よりCuおよびZnの含量を本発明の
組成範囲の上限近くまで増量した。表2に記したように
伸びについては実施例1とほぼ同レベルであり従来合金
であるJIS ADC3の3.7%と比較し8.8%と高い値を示してい
る。また、引張り強さおよび0.2%耐力についても、実施
例1と比較しそれぞれ252N/mm2および140N/mm2と若干低
い値であるが、従来合金よりもそれぞれ高い値を示し
た。さらにまた、実施例1と同様に、鋳造の際の湯回り
性がよく、連続鋳造時の焼付きもなく、また、鋳造品の
割れも見られず、良好な鋳造特性を示した。従来合金の
JIS ADC3に比較し引張り強度および0.2%耐力が改良され
ており、特に伸び特性は実施例1と同様大幅に改良され
ている。
組成範囲の上限近くまで増量した。表2に記したように
伸びについては実施例1とほぼ同レベルであり従来合金
であるJIS ADC3の3.7%と比較し8.8%と高い値を示してい
る。また、引張り強さおよび0.2%耐力についても、実施
例1と比較しそれぞれ252N/mm2および140N/mm2と若干低
い値であるが、従来合金よりもそれぞれ高い値を示し
た。さらにまた、実施例1と同様に、鋳造の際の湯回り
性がよく、連続鋳造時の焼付きもなく、また、鋳造品の
割れも見られず、良好な鋳造特性を示した。従来合金の
JIS ADC3に比較し引張り強度および0.2%耐力が改良され
ており、特に伸び特性は実施例1と同様大幅に改良され
ている。
【0025】
【比較例1】実施例2に比較しSiの含量が7.38%と少ない
含量組成である。得られた鋳造品の伸び、引張り強度お
よび0.2%耐力は、それぞれ9.1%、245N/mm2および137N/m
m2と従来合金であるJIS ADC3より高い値を示している。
但し、鋳造時の湯回り性がやや悪く、得られた鋳造品に
ショットブラストを実施するとショットメクレ(表面に
薄皮が剥がれたようになる)を起こすことがあった。
含量組成である。得られた鋳造品の伸び、引張り強度お
よび0.2%耐力は、それぞれ9.1%、245N/mm2および137N/m
m2と従来合金であるJIS ADC3より高い値を示している。
但し、鋳造時の湯回り性がやや悪く、得られた鋳造品に
ショットブラストを実施するとショットメクレ(表面に
薄皮が剥がれたようになる)を起こすことがあった。
【0026】
【比較例2】実施例2に比較しSiの含量が10.25%と多く、
また、Feの含量が実施例2の0.44%に比較し0.24%と少な
い含量組成である。得られた鋳造品の伸びは7.4%であり
実施例2の8.8%より低い値であるが、従来合金であるJIS
ADC3の伸び3.8%よりかなり高い値を示した。引張り強
度および0.2%耐力はそれぞれ258N/mm2および145N/mm2と
実施例2よりさらに高い値であった。しかし、鋳造時に
型ゲート近傍にしばしば焼付きが発生し、連続鋳造に支
障を来すことがあった。
また、Feの含量が実施例2の0.44%に比較し0.24%と少な
い含量組成である。得られた鋳造品の伸びは7.4%であり
実施例2の8.8%より低い値であるが、従来合金であるJIS
ADC3の伸び3.8%よりかなり高い値を示した。引張り強
度および0.2%耐力はそれぞれ258N/mm2および145N/mm2と
実施例2よりさらに高い値であった。しかし、鋳造時に
型ゲート近傍にしばしば焼付きが発生し、連続鋳造に支
障を来すことがあった。
【0027】
【表1】
【0028】
【表2】
【0029】
【発明の効果】以上説明してきたように、請求項1に記
載された発明によれば、重量基準で8.5〜9.5%のSiと、
0.20%以下のCuと、0.20〜0.40%のMgと、0.6%以下のFe
と、0.30〜0.50%のMnと、0.05〜0.15%のTiと、0.01〜0.
025%のSrと、0.15%以下のZnとを含むと共に、残部にAl
を含む合金組成とすることにより、引張り強度、0.2%耐
力および伸び特性等の機械的強度を従来のアルミニウム
合金であるJIS ADC3より格段に向上させることができ
る。このため、二輪自動車や自動車の部品用として、よ
り過酷な使用環境においても従来合金であるJIS ADC3よ
りもさらに破壊に耐え得るアルミニウム合金を提供する
ことができる。
載された発明によれば、重量基準で8.5〜9.5%のSiと、
0.20%以下のCuと、0.20〜0.40%のMgと、0.6%以下のFe
と、0.30〜0.50%のMnと、0.05〜0.15%のTiと、0.01〜0.
025%のSrと、0.15%以下のZnとを含むと共に、残部にAl
を含む合金組成とすることにより、引張り強度、0.2%耐
力および伸び特性等の機械的強度を従来のアルミニウム
合金であるJIS ADC3より格段に向上させることができ
る。このため、二輪自動車や自動車の部品用として、よ
り過酷な使用環境においても従来合金であるJIS ADC3よ
りもさらに破壊に耐え得るアルミニウム合金を提供する
ことができる。
【0030】請求項2に記載の発明によれば、重量基準
で8.5〜9.5%のSiと、0.20%以下のCuと、0.20〜0.40%のM
gと、0.6%以下のFeと、0.30〜0.50%のMnと、0.05〜0.15
%のTiと、0.01〜0.025%のSrと、0.15%以下のZnとを含む
と共に、残部にAlを含むアルミニウム合金とすることに
より、鋳造型への焼付きが少なく、連続鋳造時の湯回り
性が良好であり、且つ鋳造品の割れも少なく、また、引
張り強度、0.2%耐力および伸び特性等の機械的強度を従
来のアルミニウム合金であるJIS ADC3より格段に向上さ
せたアルミニウム合金鋳物品ができる。このため、二輪
自動車や自動車用として、より過酷な使用環境において
も破壊に耐え得るよう強度が高く、且つ靱性の高いアル
ミニウム合金鋳物品を提供することができる。
で8.5〜9.5%のSiと、0.20%以下のCuと、0.20〜0.40%のM
gと、0.6%以下のFeと、0.30〜0.50%のMnと、0.05〜0.15
%のTiと、0.01〜0.025%のSrと、0.15%以下のZnとを含む
と共に、残部にAlを含むアルミニウム合金とすることに
より、鋳造型への焼付きが少なく、連続鋳造時の湯回り
性が良好であり、且つ鋳造品の割れも少なく、また、引
張り強度、0.2%耐力および伸び特性等の機械的強度を従
来のアルミニウム合金であるJIS ADC3より格段に向上さ
せたアルミニウム合金鋳物品ができる。このため、二輪
自動車や自動車用として、より過酷な使用環境において
も破壊に耐え得るよう強度が高く、且つ靱性の高いアル
ミニウム合金鋳物品を提供することができる。
【図1】図1は、アルミニウム合金中のSi含有量とアル
ミニウム合金の流動長との関係を示すグラフ図である。
ミニウム合金の流動長との関係を示すグラフ図である。
【図2】図2は、アルミニウム合金中のSi含有量とアルミ
ニウム合金の引張り強さおよび伸びとの関係を示すグラ
フ図である。
ニウム合金の引張り強さおよび伸びとの関係を示すグラ
フ図である。
【図3】図3は、アルミニウム合金中のMg含有量とアルミ
ニウム合金の引張り強さ、耐力および伸びとの関係を示
すグラフ図である。
ニウム合金の引張り強さ、耐力および伸びとの関係を示
すグラフ図である。
【図4】図4は、アルミニウム合金中のFe含有量とアルミ
ニウム合金の伸びとの関係を示すグラフ図である。
ニウム合金の伸びとの関係を示すグラフ図である。
【図5】図5は、アルミニウム合金中のFe+Mn含有量とア
ルミニウム合金の伸びとの関係を示すグラフ図である。
ルミニウム合金の伸びとの関係を示すグラフ図である。
【図6】図6は、アルミニウム合金中のSr含有量とアルミ
ニウム合金の引張り強さ、耐力および伸びとの関係を示
すグラフ図である。
ニウム合金の引張り強さ、耐力および伸びとの関係を示
すグラフ図である。
Claims (2)
- 【請求項1】重量基準で8.5〜9.5%のSiと、0.20%以下の
Cuと、0.20〜0.40%のMgと、0.6%以下のFeと、0.30〜0.5
0%のMnと、0.05〜0.15%のTiと、0.01〜0.025%のSrと、
0.15%以下のZnとを含むと共に、残部にAlを含むことを
特徴とするアルミニウム合金。 - 【請求項2】重量基準で8.5〜9.5%のSiと、0.20%以下の
Cuと、0.20〜0.40%のMgと、0.6%以下のFeと、0.30〜0.5
0%のMnと、0.05〜0.15%のTiと、0.01〜0.025%のSrと、
0.15%以下のZnとを含むと共に、残部にAlを含むアルミ
ニウム合金を用いてダイキャスト法により鋳造されたこ
とを特徴とするアルミニウム合金鋳物品。
Priority Applications (1)
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