JP2003025746A - 熱転写シート - Google Patents

熱転写シート

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JP2003025746A
JP2003025746A JP2001219199A JP2001219199A JP2003025746A JP 2003025746 A JP2003025746 A JP 2003025746A JP 2001219199 A JP2001219199 A JP 2001219199A JP 2001219199 A JP2001219199 A JP 2001219199A JP 2003025746 A JP2003025746 A JP 2003025746A
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thermal transfer
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thermal
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JP2001219199A
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English (en)
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Tadahiro Ishida
忠宏 石田
Katsuyuki Oshima
克之 大嶋
Kozo Odamura
耕造 小田村
Takayuki Imai
貴之 今井
Etsuo Takasaki
悦生 高崎
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Dai Nippon Printing Co Ltd
Original Assignee
Dai Nippon Printing Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 過酷な使用条件においても、熱転写画像の各
種耐久性に優れ、保護層の被転写体への転写の際に膜切
れが良好である、転写性保護層を有する熱転写シートを
提供することを目的とする。 【解決手段】 基材シート2上に、熱転写性保護層6を
設けた熱転写シート1において、該熱転写性保護層6
が、少なくとも耐擦傷性層4とその他の層で形成され、
該耐擦傷性層4の大きさが被転写体の転写される面の大
きさAよりも小さい面積で、基材シート2上に1画面単
位に一つずつ、耐擦傷性層4を繰り返し設けた。これに
より、保護層を被転写体へ転写する時に、耐擦傷性層内
で膜切れを生じることなく、膜切れ性の良好なその他の
層で膜が切れて被転写体へ転写され、保護層の転写性を
良好にさせている。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、基材シート上に熱
転写性保護層を設けた熱転写シートに関し、より詳しく
は得られる印画物の過酷な使用条件においても、熱転写
画像の各種耐久性に優れ、保護層の被転写体への転写の
際の膜切れが良好である熱転写シートに関するものであ
る。
【0002】
【従来の技術】従来、簡便な印刷方法として熱転写方法
が広く使用されるようになってきた。熱転写方法は、基
材シートの一方の面に色材層が設けられた熱転写シート
と、必要に応じて画像受容層が設けられた熱転写受像シ
ートを重ね合わせ、サーマルヘッド等の加熱手段により
熱転写シートの背面を画像状に加熱して、色材層に含ま
れる色材を選択的に移行させて、熱転写受像シート上に
画像を形成する方法である。
【0003】熱転写方法は、溶融転写方式と昇華転写方
式に分けられる。溶融転写方式は顔料等の色材を熱溶融
性のワックスや樹脂等のバインダーに分散させた熱溶融
インキ層をPETフィルム等の基材シートに担持させた
熱転写シートを用い、サーマルヘッド等の加熱手段に画
像情報に応じたエネルギーを印加し、紙やプラスチック
シート等の熱転写受像シート上に、色材をバインダーと
共に転写する画像形成方法である。溶融転写方式による
画像は、高濃度で鮮鋭性に優れ、文字等の2値画像の記
録に適している。
【0004】一方、昇華転写方式は主に昇華により熱移
行する染料を樹脂バインダー中に溶解或いは分散させた
染料層をPETフィルム等の基材シートに担持させた熱
転写シートを用い、サーマルヘッド等の加熱手段に画像
情報に応じたエネルギーを印加し、紙やプラスチック等
の基材シートに必要に応じて染料受容層を設けなる熱転
写受像シート上に、染料のみを転写移行させる画像形成
方法である。昇華転写方式は、印加されるエネルギー量
に応じて染料の移行量を制御できるため、サーマルヘッ
ドのドット毎に画像濃度を制御した階調画像の形成を行
なうことができる。また、使用する色材が染料であるた
め、形成される画像には透明性があり、異なる色の染料
を重ねた場合の中間色の再現性が優れている。したがっ
て、イエロー、マゼンタ、シアン、ブラック等の異なる
色の熱転写シートを用い、熱転写受像シート上に各色染
料を重ねて転写する際にも、中間色の再現性に優れた高
画質な写真調フルカラー画像の形成が可能である。これ
らの熱転写方法では、各種の画像を簡便に形成すること
ができるので、印刷枚数が比較的少なくてもよい印刷
物、例えば身分証明書等のIDカードの作成に利用され
るようになっている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】以上のような熱転写シ
ートで、身分証明書等のIDカードを作成する場合、溶
融転写方式は、文字や数字等の2値画像の形成は容易で
あるが、顔写真等の高画質が要求される画像の形成には
不適当である。また得られた画像は耐久性、特に耐摩擦
性に劣るという欠点がある。一方、昇華転写方式は顔写
真等の階調性画像を形成するのに適しているが、得られ
た画像は、印刷インキと異なりビヒクルがないため、耐
光性、耐候性等の耐久性に劣るという欠点がある。上記
の欠点を解決する方法として、形成された画像面に透明
フィルムをラミネートする方法が行なわれているが、こ
の方法は操作が煩雑であると共に、被転写体全体にラミ
ネートする為、被転写体にカールが生じたり、更にラミ
ネートの操作上あまり薄いフィルムを使用できず、した
がって印画物全体が厚くなるという問題点が生じる。
【0006】また、これらの欠点を解決する手段とし
て、基材フィルム上に転写性樹脂層(保護層)を設けた
保護層転写シートを用い、この転写性樹脂層を転写し
て、得られた画像上の少なくとも一部に保護層を設ける
ことが提案されている。この方法を用いれば耐薬品性、
耐光性等の耐久性をある程度向上させることはできる
が、実用上、過酷な条件で使用された場合には、熱転写
画像の耐久性は、まだ完全なものではない。また、保護
層転写シートは、転写する保護層(樹脂層)の大きさを
適宜変えられる自由度がある反面、保護層を転写する処
理の高速化の中で、保護層転写の際の膜切れを良くする
ことが難しい状況となっている。また、保護層の耐熱性
等の耐久性を向上させると、保護層転写の際の加熱によ
る膜切れ(転写)性が低下しやすく、問題が多い。した
がって、本発明は上記のような問題点を解決し、過酷な
使用条件においても、熱転写画像の各種耐久性に優れ、
保護層の被転写体への転写の際に膜切れが良好である、
転写性保護層を有する熱転写シートを提供することを目
的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】上述の目的を達成するた
めに、本発明は、基材シート上に、熱転写性保護層を設
けた熱転写シートにおいて、該熱転写性保護層が、少な
くとも耐擦傷性層とその他の層で形成され、該耐擦傷性
層の大きさが被転写体の転写される面の大きさよりも小
さい面積で、基材シート上に1画面単位に一つずつ、耐
擦傷性層を繰り返し設けたことを特徴とする。上記の被
転写体の転写される面の大きさとは、言い換えれば被転
写体へ転写された熱転写性保護層の外形の大きさでもあ
る。前記の熱転写性保護層が、基材シート側から、剥離
層、耐擦傷性層、接着層の順に形成されることが好まし
い。また、前記の基材シート上に、少なくとも1色以上
の熱転写性色材層を設け、その後に熱転写性保護層を設
けた一単位を繰り返し、面順次に形成することが好まし
く、保護層を転写するための熱転写シートと、熱転写画
像を形成するための熱転写シートの2種類の熱転写シー
トを用意することなく、1つの熱転写シートのみで熱転
写画像形成と保護層の転写が行なえ、非常に効率的とな
り、熱転写シートの製造コストを低減できる。また、前
記の電離放射線硬化樹脂がウレタン変性アクリル系樹脂
であることが好ましく、さらにウレタン変性アクリル系
樹脂100重量部当たりオリゴマーを5〜40重量部含
有していることが特に好ましく、保護層としての柔軟性
をもち、また得られる熱転写画像を有する印画物の耐薬
品性、耐光性や耐候性等の耐久性が優れたものとなる。
【0008】
【作用】基材シート上に、熱転写性保護層を設けた熱転
写シートにおいて、該熱転写性保護層が、少なくとも耐
擦傷性層とその他の層で形成され、該耐擦傷性層の大き
さが被転写体の転写される面の大きさよりも小さい面積
で、基材シート上に1画面単位に一つずつ、耐擦傷性層
を繰り返し設けた。これにより、保護層を被転写体へ転
写する時に、耐擦傷性層内で膜切れを生じさせずに、そ
の他(剥離層、接着層等)の層で膜切れを起こして、保
護層の転写性を良好にさせている。上記耐擦傷性層を電
離放射線硬化樹脂から構成することが好ましく、それに
より、耐擦傷性層が紫外線照射又は電子線照射されて架
橋し、強固で各種耐久性に優れた3次元網目構造を有す
る皮膜となる。そして、その耐擦傷性層内で膜切れを生
じることなく、膜切れ性の良好な剥離層、接着層で保護
層の膜が切れて被転写体へ転写される。このようにした
本発明の熱転写シートを用いることにより、過酷な使用
条件においても、熱転写画像の各種耐久性に優れ、保護
層の被転写体への転写の際に膜切れが良好となる。
【0009】
【発明の実施の形態】以下、本発明の熱転写シートにつ
いて、図面を参照しながら説明する。図1は、本発明の
熱転写シート1である一つの実施形態を示す概略断面図
であり、基材シート2上に、剥離層3、耐擦傷性層4、
接着層5をこの順に形成している。この場合は、基材シ
ート2上に、剥離層3、耐擦傷性層4、接着層5からな
る3層が熱転写性保護層6を構成し、つまり、熱転写性
保護層6が耐擦傷性層4と、剥離層3と接着層5のその
他の層から構成されている。また、同時にその熱転写シ
ート1は、耐擦傷性層4の大きさが被転写体の転写され
る面の大きさAよりも小さい面積で、基材シート2上に
1画面単位に一つずつ、耐擦傷性層4を繰り返し設けて
いる。保護層6を被転写体へ転写する時に、耐擦傷性層
4が膜切れをせずに、接着層5(及び剥離層3)で膜切
れを起こして、保護層の転写が良好に行なわれる。尚、
図示はしていないが、基材シート2の熱転写性保護層6
の設けてある面と反対側の面に、サーマルヘッドやヒー
トロール等の熱によるスティッキングやシワ等を防止す
るために、耐熱滑性層を設けることができる。
【0010】図2は、本発明の熱転写シート1である他
の実施形態を示す概略平面図であり、基材シート2上
に、イエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)の
各熱転写性色材層7を設け、その後に熱転写性保護層6
を設けた一単位(U)を繰り返し、面順次に形成した構
成を示している。尚、図示したものは平面図であり、断
面図ではないため、示されていないが、熱転写保護層
は、少なくとも耐擦傷性層とその他の層で構成されてい
る。
【0011】図3は、本発明の一つの実施形態である熱
転写シート1を用いて、被転写体8上に保護層6を熱転
写する実施形態を示す概略説明図であり、基材シート2
上に、イエロー、マゼンタ、シアンの少なくとも3色の
熱転写性色材層7を設け、その後に熱転写性保護層6を
設けた一単位を繰り返し、面順次に形成した熱転写シー
ト1を用いて、被転写体8に該熱転写シート1の色材層
7をサーマルヘッド10により熱転写して画像9を形成
し、該画像9上に、熱転写シート1から保護層6を少な
くとも印画された部分を覆うようにサーマルヘッド10
により熱転写し、その後に基材シート2を被転写体8か
ら剥離している状態を示した概略図である。尚、熱転写
保護層の層構成を示していないが、被転写体8へ熱転写
された保護層6の大きさと比べ、耐擦傷性層の大きさは
小さくなっていて、印画された画像を覆っている。
【0012】図4は、本発明の熱転写シートを用いて、
熱転写画像の形成された被転写体上に、熱転写保護層を
転写した後の例である状態を示す概略断面図である。被
転写体8上には予め受容層12を形成しておき、その受
容層上に、基材上に熱転写色材層を設けた熱転写シート
を用いて、熱転写画像9を形成する。その後に、熱転写
画像9を覆うように、熱転写性保護層6を設けた本発明
の熱転写シートを用いて、保護層6を転写する。熱転写
画像9と接する位置に、接着層5が転写され、その接着
層5の上に耐擦傷性層4が接着層5の転写サイズよりも
小さい状態で積層されている。
【0013】<熱転写シート> (基材シート)本発明の熱転写シートに用いる基材シー
トと2しては、従来から公知のある程度の耐熱性と強度
を有するものであれば、いずれのものでもよく、例え
ば、グラシン紙、コンデンサ紙、パラフイン紙等の薄葉
紙、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタ
レート等のポリエステル、ポリプロピレン、セロハン、
ポリカーボネート、酢酸セルロース、ポリエチレン、ポ
リ塩化ビニル、ポリスチレン、ナイロン、ポリイミド、
ポリ塩化ビニリデン、アイオノマー等のプラスチックフ
ィルムが挙げられる。この基材シートの厚さは、その強
度及び耐熱性等が適切になるように、材料に応じて適宜
変更することが出来るが、その厚さは、2〜100μ
m、好ましくは、10〜80μm程度である。保護層転
写後の印画物の表面光沢性を調整するために、マットタ
イプのポリエチレンテレフタレートフィルムを基材シー
トとして使用しても良い。そのマット化の形成手段とし
ては、サンドブラスト、練り込み、内部発泡等が挙げら
れる。
【0014】(剥離層)本発明の熱転写シートは、基材
シート上に剥離層3を介して、耐擦傷性層を設けること
が好ましい。この剥離層を有していることにより、その
熱転写シートから耐擦傷性層を確実に、かつ容易に被転
写体へ転写させることができる。剥離層は、例えば、マ
イクロクリスタリンワックス、カルナバワックス、パラ
フィンワックス、フィッシャートロプシュワックス、各
種低分子量ポリエチレン、木ロウ、ミツロウ、鯨ロウ、
イボタロウ、羊毛ロウ、セラックワックス、キャンデリ
ラワックス、ペトロラクタム、一部変性ワックス、脂肪
酸エステル、脂肪酸アミド等のワックス類や、シリコー
ンワックス、シリコーン樹脂、フッ素樹脂、アクリル樹
脂、ポリエステル樹脂、ポリウレタン樹脂、セルロース
樹脂、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体、硝化綿等の熱
可塑性樹脂を用いて形成することができる。
【0015】また、剥離層はバインダー樹脂と離型性材
料とから形成できる。そのバインダー樹脂としては、熱
可塑性樹脂であるポリメタクリル酸メチル、ポリメタク
リル酸エチル、ポリアクリル酸ブチル等のアクリル系樹
脂、ポリ酢酸ビニル、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合
体、ポリビニルアルコール、ポリビニルブチラール等の
ビニル系樹脂、エチルセルロース、ニトロセルロース、
酢酸セルロース等のセルロース誘導体、あるいは熱硬化
型樹脂である不飽和ポリエステル樹脂、ポリエステル樹
脂、ポリウレタン樹脂、アミノアルキッド樹脂等が使用
できる。また、離型性材料としては、ワックス類、シリ
コーンワックス、シリコーン系樹脂、メラミン樹脂、フ
ッ素系樹脂、タルクやシリカの微粉末、界面活性剤や金
属セッケン等の潤滑等が使用できる。剥離層は、上記の
必要な材料を適当な溶剤により、溶解または分散させて
剥離層用塗工液を調製し、これを基材シート上にグラビ
ア印刷法、スクリーン印刷法またはグラビア版を用いた
リバースコーティング法等の手段により塗布、乾燥して
形成することができる。その乾燥後の厚さは、通常0.
1〜10g/m2である。
【0016】(耐擦傷性層)本発明の熱転写シートは、
基材シート上に、熱転写性保護層として、少なくとも耐
擦傷性層とその他の層を設けた構成である。この熱転写
性保護層における熱転写画像に対する各種耐久性を付与
させる機能を主に発揮させるものが、耐擦傷性層4であ
る。この耐擦傷性層は、電離放射線硬化樹脂からなるこ
とが好ましく、具体的には以下に示す通りである。電離
放射線硬化樹脂としては、分子中に(メタ)アクリロイ
ル基、(メタ)アクリロイルオキシ基((メタ)アクリ
ロイルとは、アクリロイル又はメタアクリロイルの意味
で用い、以下(メタ)は同様の意味とする)等の重合性
不飽和結合、又はエポキシ基を有するプレポリマー、オ
リゴマー、及び/又は単量体を適宜混合した組成物が用
いられる。これらのプレポリマー、オリゴマーとして
は、ウレタン(メタ)アクリレート、ポリエステル(メ
タ)アクリレート、エポキシ(メタ)アクリレート等の
アクリレート、シロキサン等の珪素樹脂、不飽和ポリエ
ステル、エポキシ等が挙げられる。
【0017】単量体の例としては、スチレン、αーメチ
ルスチレン等のスチレン系単量体、(メタ)アクリル酸
メチル、(メタ)アクリル酸ー2ーエチルヘキシル、ジ
ペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、ジ
ペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、ト
リメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、及び
/又は、分子中に2個以上のチオール基を有するポリオ
ール化合物、例えばトリメチロールプロパントリチオグ
リコレート、トリメチロールプロパントリチオプロピレ
ート、ペンタエリスリトールテトラチオグリコール等が
ある。以上の化合物を必要に応じ、1種もしくは2種以
上混合して用いるが、樹脂組成物に通常の塗工適性を付
与するために、前記プレポリマー又はオリゴマーを5重
量%以上、前記単量体及び/又はポリチオールを95重
量%以下とすることが好ましい。
【0018】単量体の選定に際して、硬化物の可撓性が
要求される場合は、耐擦傷性層の各種耐久性の点や、塗
工適性上支障のない範囲で、単量体の量を少なめにした
り、1官能又は2官能アクリレート単量体を用い比較的
低架橋密度の構造とする。また、硬化物の耐熱性、硬
度、耐溶剤性等を要求される場合には、塗工適性上支障
のない範囲で単量体の量を多めにしたり、3官能以上の
アクリレート系単量体を用い高架橋密度の構造とするの
が好ましい。1、2官能単量体と3官能以上の単量体を
混合し、塗工適性と硬化物の物性とを調整することもで
きる。
【0019】以上のような1官能アクリレート系単量体
としては、2ーヒドロキシアクリレート、2ーヘキシル
アクリレート、フェノキシエチルアクリレート等が挙げ
られる。2官能アクリレート系単量体としては、エチレ
ングリコールジアクリレート、1,6ーヘキサンジオー
ルジアクリレート等、3官能以上のアクリレート系単量
体としては、トリメチロールプロパントリアクリレー
ト、ペンタエリスリトールヘキサアクリレート、ジペン
タエリスリトールヘキサアクリレート等が挙げられる。
【0020】また、硬化物の可撓性、表面硬度等の物性
を調整するために、前記プレポリマー、オリゴマー、単
量体の少なくとも1種に対して、以下のような電離放射
線非硬化性樹脂を1〜50重量%程度混合して用いるこ
とができる。電離放射線非硬化性樹脂としては、ウレタ
ン系、繊維素系、ポリエステル系、アクリル系、ブチラ
ール系、ポリ塩化ビニル、ポリ酢酸ビニル等の熱可塑性
樹脂を用いることができる。本発明の熱転写シートの耐
擦傷性層は、各種耐久性に優れ、適度な可撓性(転写後
の印画物の取扱いやすさ、外観等に影響する)を有する
ため、ウレタン変性アクリル系樹脂の電離放射線硬化樹
脂により構成することが好ましい。さらに、そのウレタ
ン変性アクリル系樹脂100重量部当たりオリゴマーを
5〜40重量部含有している電離放射線硬化樹脂が好適
である。ウレタン変性アクリル系樹脂は、アクリル系樹
脂中に存在している水酸基(−OH)と、イソシアネー
ト(−NCO)とが反応して、樹脂中にウレタン結合を
有するもので、そのウレタン変性アクリル系樹脂100
重量部当たりに、オリゴマーを5〜40重量部の割合で
含有させることが好ましく、それにより保護層としての
柔軟性と、耐久性を合わせもつ優れた機能をもつことが
できる。尚、上記の表現では、オリゴマーだけの添加と
考えがちであるが、オリゴマーだけではなく、モノマー
を添加していても良いことは当然である。オリゴマーの
使用量が少ない場合、得られる樹脂層の強度、耐久性等
が十分ではなく、またオリゴマーの量が多すぎると、樹
脂層の表面のタックが高くなり、ブロッキッグが生じや
すくなる等、好ましくない。
【0021】以上のような電離放射線硬化樹脂を電離放
射線照射で硬化させる際、透明な樹脂を使用する必要が
ある。また、前記電離放射線硬化樹脂組成物に光重合開
始剤として、アセトフェノン類、ベンゾフェノン類、ミ
ヒラーベンゾイルベンゾエート、αーアミロキシムエス
テル、テトラメチルメウラムモノサルファイド、チオキ
サントン類、及び/又は光増感剤として、nーブチルア
ミン、トリエチルアミン、トリーnーブチルホスフィン
等を混合して用いることもできる。また、離型性を考慮
して、シリコーン樹脂、ワックス、フッ素樹脂、メラニ
ン樹脂、界面活性剤等を混合することが望ましい。
【0022】本発明においては、電離放射線硬化樹脂を
含む樹脂組成物により、基材シートに形成された熱転写
樹脂層を完全に硬化させる方法として、紫外線が主なも
のであるが、電磁波又は荷電粒子線のうち分子を重合、
架橋し得るエネルギー量子を有する電離放射線で、可視
光線、γ線、X線も使用可能である。電離放射線照射装
置としては、通常、紫外線照射装置が使用される。紫外
線照射装置としては、超高圧水銀灯、高圧水銀灯、低圧
水銀灯、カーボンアーク、ブラックライト、メタルハラ
イドランプ等の光源が使用される。その装置により、1
00〜1000KeV、好ましくは100〜300Ke
Vのエネルギーを持つ電子を照射する。照射線量として
は、通常、5〜300KGy(キログレイ)程度であ
る。
【0023】耐擦傷性層は、上記に記載した電離放射線
硬化樹脂を含む、耐擦傷性層の組成物を、適当な溶剤に
より、溶解又は分散させて、熱転写樹脂層形成用インキ
を調製し、これを、上記の基材シートに、例えば、グラ
ビア印刷法、スクリーン印刷法、グラビア版を用いたリ
バースコーティング法等の形成手段により塗布し、乾燥
して形成することができる。耐擦傷性層は基材シート上
に、任意の厚みに形成することが可能であるが、乾燥後
の厚みで0.1〜50g/m2であり、好ましくは1〜
20g/m2程度である。
【0024】(接着層)また、本発明の熱転写シートの
熱転写性保護層の表面に、被転写体である印画物への転
写性、接着性を良好にするために、接着層5を設けるこ
とができる。この接着層は、従来公知の粘着剤や感熱接
着剤がいずれも使用できるが、ガラス転移温度(Tg)
が50℃〜80℃の熱可塑性樹脂から形成することが好
ましく、例えば、ポリエステル樹脂、塩化ビニル−酢酸
ビニル共重合体樹脂、アクリル樹脂、ブチラール樹脂、
エポキシ樹脂、ポリアミド樹脂、塩化ビニル樹脂等の如
く熱時接着性の良好な樹脂から、適当なガラス転移温度
を有するものを選択することが好ましい。また、接着性
や、サーマルヘッド等の加熱手段にて全面ではなく一部
がパターン形成される場合には、前記に挙げたような樹
脂は分子量の小さい方が好ましい。上記のような接着層
を構成する樹脂に必要に応じて、無機または有機フィラ
ー等の添加剤を必要に応じて加えた塗工液を、上記熱転
写樹脂層の場合と同様の形成手段で、塗布及び乾燥する
ことによって、乾燥時で好ましくは0.5〜10g/m
2程度の厚みに形成する。
【0025】本発明の熱転写シートは、熱転写性保護層
の設けてある側の最表面、あるいはその反対側の裏面の
最表面、または熱転写シート両面の最表面に帯電防止層
を設けてもよい。帯電防止層は、帯電防止剤である、脂
肪酸エステル、硫酸エステル、リン酸エステル、アミド
類、4級アンモニウム塩、ベタイン類、アミノ酸類、ア
クリル系樹脂、エチレンオキサイド付加物等を溶剤に溶
解又は分散させたものを塗工して、形成することができ
る。形成手段は、上記の耐擦傷性層の場合と同様のもの
があげられる。帯電防止層の塗工量は、乾燥時0.00
1〜0.1g/m2が好ましい。
【0026】また、剥離層と耐擦傷性層の間、あるいは
耐擦傷性層と接着層の間に、各種の樹脂からなる中間層
を設けることができる。但し中間層は熱転写画像が観察
できるように、透明性を有することが望ましい。この中
間層に様々な役割をもたせることで、熱転写シートに優
れた機能を付加させることができる。例えば、クッショ
ン性を付与させる樹脂として、弾性変形や塑性変形の大
きな樹脂、例えば、ポリオレフィン系樹脂、ビニル系共
重合体樹脂、ポリウレタン系樹脂、ポリアミド系樹脂等
を用いることができる。さらに、中間層に、帯電防止能
力を付与させるために、上記クッション性を付与させる
樹脂に、前記の帯電防止剤を添加し、溶剤に溶解又は分
散させたものを塗工して、中間層を形成することもでき
る。
【0027】本発明の熱転写シートでは、必要に応じ
て、基材シートの裏面、すなわち熱転写性保護層の設け
てある面と反対面に、熱転写手段としてのサーマルヘッ
ドやヒートロール等の熱によるスティッキングやシワな
どの悪影響を防止するため、耐熱滑性層を設けることが
できる。耐熱滑性層を形成する樹脂としては、従来公知
のものであればよく、例えば、ポリビニルブチラール樹
脂、ポリビニルアセトアセタール樹脂、ポリエステル樹
脂、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体、ポリエーテル樹
脂、ポリブタジエン樹脂、スチレン−ブタジエン共重合
体、アクリルポリオール、ポリウレタンアクリレート、
ポリエステルアクリレート、ポリエーテルアクリレー
ト、エポキシアクリレート、ウレタン又はエポキシのプ
レポリマー、ニトロセルロース樹脂、セルロースナイト
レート樹脂、セルロースアセトプロピオネート樹脂、セ
ルロースアセテートブチレート樹脂、セルロースアセテ
ートヒドロジエンフタレート樹脂、酢酸セルロース樹
脂、芳香族ポリアミド樹脂、ポリイミド樹脂、ポリカー
ボネート樹脂、塩素化ポリオレフィン樹脂、塩素化ポリ
オレフィン樹脂等が挙げられる。
【0028】これらの樹脂からなる耐熱滑性層に添加、
あるいは上塗りする滑り性付与剤としては、燐酸エステ
ル、シリコーンオイル、グラファイトパウダー、シリコ
ーン系グラフトポリマー、フッ素系グラフトポリマー、
アクリルシリコーングラフトポリマー、アクリルシロキ
サン、アリールシロキサン等のシリコーン重合体が挙げ
られるが、好ましくは、ポリオール、例えば、ポリアル
コール高分子化合物とポリイソシアネート化合物及び燐
酸エステル系化合物からなる層であり、更に充填剤を添
加することがより好ましい。耐熱滑性層は、上記に記載
した樹脂、滑り性付与剤、更に充填剤を、適当な溶剤に
より、溶解又は分散させて、耐熱滑性層形成用インキを
調製し、これを、上記の基材シートの裏面に、例えば、
グラビア印刷法、スクリーン印刷法、グラビア版を用い
たリバースコーティング法等の形成手段により塗布し、
乾燥して形成することができる。
【0029】(熱転写性色材層)本発明の熱転写シート
における基材シート上に設ける熱転写性色材層7は、主
に昇華により熱移行する染料を樹脂バインダー中に溶
解、或いは分散させた染料層の場合と、顔料、染料等の
色材を熱溶融性のワックスや樹脂等のバインダーに分散
させた熱溶融性インキ層の2通りのいずれでも使用で
き、また例えばイエロー、マゼンタ、シアンの色材層は
昇華型の染料層にして、ブラックの色材層は熱溶融性イ
ンキ層を面順次に設けて、両者を組み合わせて使用する
ことも出来る。
【0030】熱転写性色材層である染料層は、染料を任
意のバインダー樹脂で担持させた層である。使用する染
料としては、従来公知の熱転写シートに使用されている
染料は、いずれも有効に使用可能であり特に限定されな
い。例えば、いくつかの好ましい染料としては、マゼン
タ染料として、MS RedG、MacrolexRe
d Violet R、CeresRed7B、Sam
aron RedHBSL、Resolin RedF
3BS等が挙げられ、又、イエローの染料としては、ホ
ロンブリリアントイエロー6GL、PTY−52、マク
ロレックスイエロー6G等が挙げられ、又、シアン染料
としては、カヤセットブルー714、ワクソリンブルー
AP−FW、ホロンブリリアントブルーS−R、MSブ
ルー100等が挙げられる。
【0031】上記の如き染料を担持する為のバインダー
樹脂としては、従来公知のものがいずれも使用出来、好
ましいものを例示すれば、エチルセルロース、ヒドロキ
シエチルセルロース、エチルヒドロキシセルロース、ヒ
ドロキシプロピルセルロース、メチルセルロース、酢酸
セルロース、酢酪酸セルロース等のセルロース系樹脂、
ポリビニルアルコール、ポリ酢酸ビニル、ポリビニルブ
チラール、ポリビニルアセタール、ポリビニルピロリド
ン、ポリアクリルアミド等のビニル系樹脂、ポリエステ
ル等が挙げられるが、これらの中では、セルロース系、
アセタール系、ブチラール系及びポリエステル系等が耐
熱性、染料の移行性等の点から好ましいものである。更
に染料層中にはその他必要に応じて従来公知の各種の添
加剤も包含し得る。
【0032】このような染料層は、好ましくは適当な溶
剤中に前記の昇華性染料、バインダー樹脂及びその他の
任意成分を加えて各成分を溶解又は分散させて染料層形
成用塗料又はインキを調製し、これを上記の基材フイル
ム上に面順次に塗布及び乾燥させて形成する。このよう
にして形成する染料層は乾燥時で0.2〜5.0g/m
2程度、好ましくは0.4〜2.0g/m2程度の厚さで
あり、又、染料層中の昇華性染料は、染料層の重量の5
〜90重量%、好ましくは10〜70重量%の量で存在
するのが好適である。
【0033】また、熱転写性色材層である熱溶融性イン
キ層としては、着色剤とバインダーからなり、必要に応
じて任意の添加剤を加えてもよい。上記の着色剤として
は、有機または無機の顔料、もしくは染料のうち、記録
材料として良好な特性を有するもの、例えば、十分な着
色濃度を有し、光、熱、温度などにより変褪色しないも
のが好ましい。着色剤としては、ブラック、シアン、マ
ゼンタ、イエローなどの色相のものが用いられる。使用
するバインダーとしては、ワックスを主成分として、そ
の他に乾性油、樹脂、鉱油、セルロースおよびゴムの誘
導体などの混合物が用いられる。
【0034】ワックスとしては、マイクロクリスタリン
ワックス、カルナバワックス、パラフィンワックス等が
ある。更に、フィッシャートロプシュワックス、各種低
分子量ポリエチレン、木ロウ、ミツロウ、鯨ロウ、イボ
タロウ、羊毛ロウ、セラックワックス、キャンデリラワ
ックス、ペトロラクタム、ポリエステルワックス、一部
変性ワックス、脂肪酸エステル、脂肪酸アミド等、種々
のワックスが用いられる。また、熱溶融性インキ層の使
用するバインダーとしては、塩化ビニル・酢酸ビニル共
重合体樹脂、またはアクリル樹脂、またはアクリル樹脂
に塩化ゴム、塩化ビニル・酢酸ビニル共重合体樹脂、セ
ルロース系樹脂等を使用することができる。上記の着色
剤、バインダーに必要に応じて、添加剤等を加えた熱溶
融性インキ層組成物を用いて、ホットメルトコート、ホ
ットラッカーコート、グラビアコート、グラビアリバー
スコート、ナイフコート、エアコート、ロールコート法
等により、熱溶融性インキ層は乾燥時で厚さは1〜8g
/m2程度で形成することができる。
【0035】本発明の熱転写シートを用いて、被転写体
に熱転写画像とその画像上に保護層が転写された印画物
を得るための、画像形成方法について、説明する。ま
ず、基材シートに熱転写性色材層を有する熱転写シート
を用いて、被転写体に、その色材層から色材を熱転写し
て、画像を形成し、次に、基材シート上に熱転写性保護
層を剥離可能に設けた熱転写シートを用いて、該画像上
に、保護層を少なくとも印画された部分を覆うように熱
転写し、その後に基材シートを剥離するものである。被
転写体への画像形成する熱転写記録方式は、画像信号に
より制御された熱エネルギーをサーマルヘッドで発生さ
せ、インク等の記録材料の活性化エネルギーとして用い
て記録する方式で、基材シート上に熱転写性色材層を設
けた熱転写シートを記録紙に重ね、適度な加圧状態にあ
るサーマルヘッドとプラテンとの間を通し、通電により
昇温したサーマルヘッドにより、記録材は活性化され、
プラテンの圧力に助けられて、記録紙に転写される。こ
の方式の転写記録方式には、熱熱昇華型と溶融型があ
り、いずれのものでも、本発明の印画物の画像形成に用
いることができる。また、熱昇華型と溶融型の記録を組
合わせて、例えば、階調画像部を熱昇華型熱転写記録方
式で行ない、文字部分を熱溶融型熱転写記録方式で行な
う等を実施することができる。また、熱転写記録は、上
記のサーマルヘッド方式だけではなく、レーザー照射に
よる加熱の熱転写手段でも適用可能である。
【0036】また、本発明では、保護層を熱転写する手
段は、サーマルヘッドとプラテンの間に印画物と、基材
シート上に熱転写性保護層を有する熱転写シートを挟み
込み、サーマルヘッドからの加熱を行なったり、ヒート
ロール方式(市販されているラミネーターがこのタイプ
のものが多く、一対のヒートロールで熱プレスする方
式)や、加熱した平板と平板で挟み込んだり、加熱した
平板とロールで挟んで、熱プレスしたり、あるいはレー
ザー照射による加熱の熱転写手段でも適用可能である。
上記の保護層の熱転写手段として、サーマルヘッドを用
いる場合、画像形成の時に用いたサーマルヘッドと同一
のものを使用したり、別のサーマルヘッドを用いても良
い。但し、基材シート上に、少なくとも1色以上の熱転
写性色材層と熱転写性保護層を面順次に、繰り返し形成
した熱転写シートを用いて、被転写体に対し、画像形成
の熱転写手段と、保護層の熱転写手段を一つの熱転写プ
リンターによりインラインで行なうことが効率的であ
り、好ましい。
【0037】以上の本発明の熱転写シートを用いて保護
層を被転写体へ転写するには、被転写体に対して、定め
られた被転写体の熱転写画像の上に保護層を転写形成す
るものであるが、その熱転写画像の上に、特に耐擦傷性
層が位置するように、位置合わせを正確に行なう必要が
ある。そのために、保護層転写の際の位置検出のための
従来から使用されている検知マークを、本発明の熱転写
シートに設けて、検出器で検知し、熱転写装置と連動さ
せて、被転写体と保護層の転写位置合わせを行なうこと
が好ましい。
【0038】
【実施例】次に実施例を挙げて、本発明を更に具体的に
説明する。尚、文中、部または%とあるのは、特に断り
の無い限り、重量基準である。 (実施例1)厚さ12μmのポリエチレンテレフタレー
トフィルム(ルミラー、東レ(株)製)を基材シートと
し、その一方の面に下記組成の剥離層用塗工液をグラビ
アコート法で塗布し、乾燥時の塗布量が1.0g/m2
の剥離層を形成し、その剥離層の上に、下記組成の耐擦
傷性層用塗工液を図1に示すような配置で、1画面単位
に一つずつ、グラビアコート法で塗布し、乾燥時の塗布
量が4.0g/m2の耐擦傷性層を形成し、さらにその
耐擦傷性層と剥離層の上に、図1に示すように、下記組
成の接着層用塗工液をグラビアコート法で塗布して乾燥
時の塗布量が1.0g/m2の接着層を形成し、実施例
1の熱転写シートを作製した。
【0039】但し、上記熱転写シートの各層の塗工後に
おける乾燥は、通常使用される熱風乾燥であるが、耐擦
傷性層の場合は塗工後、熱風乾燥し、次に紫外線照射装
置(オゾン使用した、出力120W/cmの高圧水銀灯
を使用したもの)で紫外線を照射した。尚、基材シート
の他方の面(背面側)には、下記組成の耐熱滑性層塗工
液を乾燥時の塗工量が2.0g/m2の耐熱滑性層をグ
ラビアコート法で予め形成し、また耐熱滑性層は塗工
後、加熱熟成して硬化処理を実施済みである。
【0040】 (剥離層用塗工液) アクリル系樹脂(メチルメタクリレート) 80部 ポリエステル樹脂 4部 メチルエチルケトン 100部 トルエン 100部
【0041】 (耐擦傷性層用塗工液) ウレタン系アクリル樹脂 100部 多官能ウレタンアクリレート 20部 メチルエチルケトン 100部 トルエン 100部
【0042】 (接着層用塗工液) 塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体 20部 (1000ALK、電気化学工業(株)製) メチルエチルケトン 40部 トルエン 40部
【0043】 (耐熱滑性層用塗工液) ポリビニルブチラール樹脂 3.6部 (積水化学工業(株)製、エスレックBX−1) ポリイソシアネート 19.2部 (大日本インキ化学工業(株)製、バーノックD750−45) リン酸エステル系界面活性剤 2.9部 (第一工業製薬(株)製、プライサーフA208S) リン酸エステル系界面活性剤 0.3部 (東邦化学(株)製、フォスファノールRD720) タルク(日本タルク(株)製) 0.2部 メチルエチルケトン 33部 トルエン 33部
【0044】(実施例2)実施例1で作製した熱転写シ
ートと同様の基材シート上に、実施例1と同様の剥離層
/耐擦傷性層/接着層からなる熱転写性保護層を図2に
示すような配置で形成した。もちろん、熱転写性保護層
の各層の塗工面積は、耐擦傷性層の大きさを、剥離層、
接着層の大きさよりも小さくした。また、耐擦傷性層の
大きさは被転写体の転写される面の大きさよりも小さ
い。そして、図2に示すような、イエロー、マゼンタ、
シアンの各熱転写性色材層として、VDS製カードプリ
ンターCP510用スタンダードの染料層を設け、実施
例2の熱転写シートを作製した。
【0045】(比較例1)実施例1で作製した熱転写シ
ートの熱転写樹脂層を下記組成の熱転写樹脂層用塗工液
に変更し、その他は実施例1と同様にして、比較例1の
熱転写シートを作製した。 (熱転写樹脂層用塗工液) ポリエステル樹脂(U−18、荒川化学(株)製) 20部 メチルエチルケトン 50部 トルエン 50部
【0046】次に、以下の条件にて、評価用の印画物を
用意した。下記組成のカード基材からなる被転写体に、
カード用サーマルプリンター(カードプリンターCP5
10・VDS製)を用いて、VDS製カードプリンター
CP510用スタンダードの染料層を設けた熱転写シー
トを用いて、顔写真を色分解して得たイエロー、マゼン
タ、シアンそれぞれの画像情報に従って、各染料を被転
写体に転写して、フルカラーの顔写真画像を形成した。
但し、実施例2では、作製した熱転写シートに熱転写性
色材層(染料層)があるため、それを用いた。 <カード基材の材料組成> ポリ塩化ビニルコンパウンド(重合度800) 100部 (安定化剤等の添加剤を約10%含有) 白色顔料(酸化チタン) 10部 可塑剤(DOP) 0.5部
【0047】そして、上記に得られた印画物の画像上
に、上記に用意した熱転写シートを用いて、上記と同じ
カード用サーマルプリンターで(同一のサーマルヘッド
を用いて)、熱転写性保護層を図4に示すように画像を
覆うように、転写した。
【0048】(評価結果)実施例1、2で得られた保護
層を画像上に有する印画物は、耐光性、耐薬品性、耐可
塑剤性、耐溶剤性や耐候性等の各種耐久性について、過
酷な使用条件を想定した条件でも、非常に優れたもので
あった。また、実施例1、2において、保護層を被転写
体の画像上に転写する際に、膜切れが良好であり、均一
な保護層が転写され、転写された保護層の端は直線状で
あった。尚、実施例2では使用した熱転写シートが、熱
転写性色材層と熱転写性保護層が同一基材シート上に面
順次に繰り返し形成されていたため、被転写体に画像形
成を行ない、続けて(熱転写シートを別のものに交換す
ることなく)保護層を画像上に転写して印画物を得るこ
とができ、手間が省け、効率的に行なえた。それに対し
て、比較例1で得られた保護層を画像上に有する印画物
は、耐光性、耐薬品性、耐可塑剤性、耐溶剤性や耐候性
等の各種耐久性は、過酷な使用条件を想定した条件では
満足できるものではなかった。
【0049】
【発明の効果】以上説明したように、本発明によれば、
基材シート上に、熱転写性保護層を設けた熱転写シート
において、該熱転写性保護層が、少なくとも耐擦傷性層
とその他の層で形成され、該耐擦傷性層の大きさが被転
写体の転写される面の大きさよりも小さい面積で、基材
シート上に1画面単位に一つずつ、耐擦傷性層を繰り返
し設けた。これにより、保護層を被転写体へ転写する時
に、耐擦傷性層内で膜切れを生じさせずに、その他(剥
離層、接着層等)の層で膜切れを起こして、保護層の転
写性を良好にさせている。上記耐擦傷性層を電離放射線
硬化樹脂から構成することが好ましく、それにより、耐
擦傷性層が紫外線照射又は電子線照射されて架橋し、強
固で各種耐久性に優れた3次元網目構造を有する皮膜と
なる。そして、その耐擦傷性層内で膜切れを生じること
なく、膜切れ性の良好な剥離層、接着層で保護層の膜が
切れて被転写体へ転写される。このようにした本発明の
熱転写シートを用いることにより、過酷な使用条件にお
いても、熱転写画像の各種耐久性に優れ、保護層の被転
写体への転写の際に膜切れが良好となった。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の熱転写シートである一つの実施形態を
示す概略断面図である。
【図2】本発明の熱転写シートである他の実施形態を示
す概略平面図である。
【図3】本発明の一つの実施形態である熱転写シートを
用いて、被転写体上に保護層を熱転写する実施形態を示
す概略説明図である。
【図4】本発明の熱転写シートを用いて、熱転写画像の
形成された被転写体上に、熱転写保護層を転写した後の
例である状態を示す概略断面図である。
【符号の説明】
1 熱転写シート 2 基材シート 3 剥離層 4 耐擦傷性層 5 接着層 6 熱転写性保護層 7 熱転写性色材層 8 被転写体 9 画像 10 サーマルヘッド 11 プラテンロール 12 受容層
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 小田村 耕造 東京都新宿区市谷加賀町一丁目1番1号 大日本印刷株式会社内 (72)発明者 今井 貴之 東京都新宿区市谷加賀町一丁目1番1号 大日本印刷株式会社内 (72)発明者 高崎 悦生 東京都新宿区市谷加賀町一丁目1番1号 大日本印刷株式会社内 Fターム(参考) 2H111 AA10 AA26 AA27 BA02 BA04 BA14 BA53 BA61

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 基材シート上に、熱転写性保護層を設け
    た熱転写シートにおいて、該熱転写性保護層が、少なく
    とも耐擦傷性層とその他の層で形成され、該耐擦傷性層
    の大きさが被転写体の転写される面の大きさよりも小さ
    い面積で、基材シート上に1画面単位に一つずつ、耐擦
    傷性層を繰り返し設けたことを特徴とする熱転写シー
    ト。
  2. 【請求項2】 前記の熱転写性保護層が、基材シート側
    から、剥離層、耐擦傷性層、接着層の順に形成されたこ
    とを特徴とする請求項1に記載する熱転写シート。
  3. 【請求項3】 前記の基材シート上に、少なくとも1色
    以上の熱転写性色材層を設け、その後に熱転写性保護層
    を設けた一単位を繰り返し、面順次に形成したことを特
    徴とする請求項1または2に記載する熱転写シート。
  4. 【請求項4】 前記の耐擦傷性層が電離放射線硬化樹脂
    からなることを特徴とする請求項1〜3のいずれか一つ
    に記載する熱転写シート。
  5. 【請求項5】 前記の電離放射線硬化樹脂がウレタン変
    性アクリル系樹脂であることを特徴とする請求項4に記
    載する熱転写シート。
  6. 【請求項6】 前記の電離放射線硬化樹脂がウレタン変
    性アクリル系樹脂100重量部当たりオリゴマーを5〜
    40重量部含有していることを特徴とする請求項5に記
    載する熱転写シート。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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JP2008094057A (ja) * 2006-10-16 2008-04-24 Toppan Printing Co Ltd カード用転写フィルム

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