JP2003025294A - プリーツ生地の切断装置 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【課題】 折り畳んだ状態のプリーツ生地を、折り線と
直交する方向へ真直ぐに切断できる切断装置を提供す
る。 【解決手段】 プリーツ生地３を水平姿勢で支持するテ
ーブル１を有し、テーブル１の一側に切断機構２を配置
する。切断機構２は、直交座標系で前後および上下に駆
動される刃物台８、および昇降台９を有し、昇降台９に
固定した上下一対のアーム１１の間に、生地切断用の発
熱線１２を垂直に張設する。刃物台８を一方向へ移動さ
せながら、昇降台９を上下に往復駆動することにより、
発熱線１２を波形の切断軌跡に沿って移動させてプリー
ツ生地３を熱切断する。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【発明の属する技術分野】この発明は、プリーツ生地を
プリーツの折り線と交差する方向に切断するための切断
装置に関する。

【０００２】

【従来の技術】プリーツ生地の多くは、プリーツの折り
線方向の長さが一定に調整された状態で供給されてお
り、従ってプリーツ生地を２次加工する際の裁断は、縫
製業者などの２次加工業者が行っている。因みに、本発
明者等は、二重窓の内部に配置されたプリーツカーテン
に関して、その開閉構造に関する出願を先に提案してお
り（特開平２０００−１４６８７７号公報）、そこで
は、二重窓の上下高さ寸法に応じて、既成のプリーツ生
地をプリーツの折り線と直行する方向へ正確に切断する
必要がある。なお、生地を熱切断する装置は、例えば特
許第２９５８０２２号公報にみることができる。

【０００３】

【発明が解決しようとする課題】上記のように、既にプ
リーツ加工が施されたプリーツ生地を、そのプリーツの
折り線と直交する方向へ手作業で正確に切断するには、
多くの手間が掛かる。切断縁にほつれを生じやすい不利
もある。因みに、切断縁における生地のほつれは、プリ
ーツカーテンの開閉時に窓ガラスと接触して摩擦抵抗を
生じてしまう。

【０００４】そこで自動切断が可能な装置を探したが見
つからず、止む無く新規に開発することを余儀なくされ
た。開発の過程で試行錯誤を重ねた結果、生地を所定寸
法に切断したのち、プリーツ加工を施すと、プリーツの
折り線と直交する生地両端縁、即ちプリーツカーテンと
して使用する際の上下縁が波状に湾曲するうえ、上下幅
にばらつきを生じ、カーテンとして使用するのに必要な
上下寸法精度が得られないことが判った。また、既にプ
リーツ加工が施された生地は、プリーツの折り線を折り
畳んだ状態で超音波切断すると、プリーツ生地を展開し
た状態において、切断面が真直ぐにならないうえ、隣接
する切断縁どうしが融着することが判った。

【０００５】この発明の目的は、プリーツ生地をプリー
ツの折り線と交差する方向へ真直ぐに、しかも隣接する
切断縁どうしが融着するのを防止しながら自動切断でき
るプリーツ生地の切断装置を提供することにある。この
発明の目的は、プリーツ生地を折り畳んだ状態のままで
正確に自動切断でき、切断と同時に切断縁を溶融させて
糸のほつれを防止できるプリーツ生地の切断装置を提供
することにある。この発明の目的は、構造が簡単で全体
コストが少なくて済むプリーツ生地の切断装置を提供す
ることにある。

【０００６】

【課題を解決するための手段】この発明の切断装置は、
図１に示すごとく折り畳んだ状態のプリーツ生地３を支
持するテーブル１と、テーブル１の一側に設けられる切
断機構２と、プリーツ生地３の切断縁の近傍に配置され
て隣接する切断縁を分離保持する整形体４とを備えてい
る。プリーツ生地３を熱切断する切断要素１２を含む切
断機構２と、テーブル１とは、切断要素１２がプリーツ
生地３を相対横断する向きと、プリーツ生地３の厚み方
向へ上下する向きにそれぞれ相対駆動可能に構成する。
以て、切断要素１２がプリーツ生地３に対して波型の切
断軌跡を描きながらプリーツ生地３を熱切断する点に特
徴を有する。

【０００７】切断機構２は、刃物台８と、プリーツ生地
３を横断する向きに刃物台８を往復駆動する台駆動機構
７と、刃物台８で上下動可能に支持される昇降台９と、
昇降台９を往復駆動する昇降機構１０と、昇降台９に固
定される上下一対のアーム１１と、両アーム１１の突端
に張設されて電気的に加熱される発熱線１２とを含む。
そして、刃物台８と昇降台９とを同時に駆動して、発熱
線１２を波型の切断軌跡に沿って駆動しながらプリーツ
生地３を熱切断することができる。

【０００８】整形体４は、帯板状のベース２８と、ベー
ス２８の片面に一定間隔おきに固定された一群の櫛歯２
９とで構成し、プリーツ生地３の隣接する折山３ａどう
しを櫛歯２９群で分離した状態で熱切断することができ
る。

【０００９】切断要素１２の切断進行方向下手側には、
切断後の不要生地を強制的に分離する分離刃１３を配置
することができる。

【００１０】

【発明の作用効果】本発明の切断装置によれば、切断機
構２とテーブル１とは、切断要素１２がプリーツ生地３
を相対横断する向きと、プリーツ生地３の厚み方向へ上
下する向きにそれぞれ相対駆動されて、切断要素１２が
プリーツ生地３に対して波型の切断軌跡を描きながらプ
リーツ生地３を熱切断する。従って、プリーツ生地３を
プリーツの折り線と交差する方向へ真直ぐに切断できる
し、プリーツ生地３の隣接する折山３ａの切断縁どうし
が融着することも解消して、プリーツ生地３を自動的に
切断できる。

【００１１】切断機構２が、台駆動機構７、刃物台８、
昇降台９、昇降機構１０、上下一対のアーム１１、およ
び両アーム１１の間に張設される発熱線１２などで構成
され、刃物台８と昇降台９とを同時に駆動して、発熱線
１２を波型の切断軌跡に沿って駆動しながらプリーツ生
地３を熱切断する切断装置によれば、折り畳まれた生地
を、あたかも展開した状態で切断するように切ることが
できる。従って、機械的な切断を行うにも拘らず、プリ
ーツ生地３を所定の方向へ真直ぐに切断できる。プリー
ツ生地３を折り畳んだ状態のままで正確に自動切断でき
るうえ、切断と同時に切断縁を溶融させて糸のほつれを
防止できる。また、レーザー切断機を切断要素１２とす
る場合に比べて、切断装置の構造を簡素化して、全体コ
ストを削減化できる。

【００１２】整形体４が帯板状のベース２８と一群の櫛
歯２９とで構成され、プリーツ生地３の隣接する折山３
ａ間に櫛歯２９を差し込んだ状態で熱切断すると、発熱
線１２の前進力を受けて折山３ａが変形したり、密着す
るのを確実に防止するので、切断線の真直度やそのばら
つき幅などの切断精度を向上できる点で有利であり、切
断直後に折山３ａの切断縁どうしが融着するのを防止し
て、後処理の不要な熱切断を行える。

【００１３】切断要素１２の切断進行方向下手側に分離
刃１３が配置されていると、図７に示すように、生地切
断と同時に分離刃１３の楔部分が切断された生地の間に
入り込んで、テーブル１側の生地部分と切り落とされる
側の生地部分とを強制的に分離するので、各生地部分の
切断面どうしが融着することを確実に防止でき、シャー
プな切断面が得られる。

【００１４】

【実施例】図１ないし図７は、この発明に係る切断装置
の実施例を示す。図１ないし図３において切断装置は、
水平に配置されるテーブル１と、テーブル１の一側に配
置される切断機構２と、プリーツ生地３の隣接する折山
３ａどうしを分離するための整形体４などで構成されて
いる。切断対象のプリーツ生地３は、化学繊維製の生地
にプリーツ加工を施して形成してあり、その折り線方向
の長さが２〜３ｍに調整された状態で供給される。プリ
ーツ生地３を折り畳んだ状態の折山３ａの高さは８〜１
０mmである。このプリーツ生地３を折り線と直行する方
向へ切断することにより、二重窓の内部に配置されるカ
ーテン生地を得るにある。

【００１５】切断機構２は、上下面が開口するフレーム
６を基体にして、そのテーブル１側の縦壁内面に沿って
配置した台駆動機構７と、台駆動機構７で前後方向へ往
復駆動される刃物台８と、刃物台８で上下動可能に支持
される昇降台９と、昇降台９を往復駆動する昇降機構１
０と、昇降台９に固定される上下一対のアーム１１と、
両アーム１１の突端に垂直に張設されて電気的に加熱さ
れる発熱線（切断要素）１２、および発熱線１２よりも
切断進行方向の下手側に配置される分離刃１３などで構
成する。

【００１６】台駆動機構７は、先の縦壁に固定される正
逆転可能なギヤードモーター（モーター）１５と、モー
ター１５で回転駆動されるねじ軸１６と、ねじ軸１６で
往復操作される雌ねじブロック１７と、ねじ軸１６の両
端を軸支する軸受１８などで構成されている。符号１９
はカップリングである。雌ねじブロック１７の上方には
刃物台８を固定してある。モーター１５を正転駆動する
と、刃物台８は図１に向かって左側へ移動し、逆転駆動
すると右端のホーム位置へ復帰移動する。図３におい
て、刃物台８は、縦壁に固定したガイドレール２０で左
右スライド自在に案内支持されている。

【００１７】図４において昇降台９は、刃物台８の縦壁
８ａに固定した前後一対のガイドレール２１で昇降自在
に案内支持されており、縦壁８ａの上部に固定したモー
ター２２の動力で上下に駆動操作される。図３において
昇降機構１０は、ギヤードモーター（モーター）２２
と、その出力軸に固定した円盤２３と、円盤２３と昇降
台９とを連結する連結ロッド２４とからなり、円盤２３
と連結ロッド２４とでモーター２２の回転動力を往復動
作に変換して昇降台９を上下方向に駆動する。

【００１８】昇降台９は絶縁板からなり、その表面に上
下一対のアーム１１を固定してあり、上下のアーム１１
間に分離刃１３がねじ軸１６と平行に固定されている。
アーム１１は銅棒で形成してあって発熱線１２の導通材
を兼ねる。発熱線１２はニクロム線で形成されており、
アーム１１を介して供給される電流によって所定の温度
に加熱されて、プリーツ生地３を熱切断する。発熱線１
２を常に緊張状態に維持するために、その一端とアーム
１１との間には図７に示すごとく、引張りばね２６が介
装してある。分離刃１３は、先端が楔状にとがった帯状
の金属棒からなり、発熱線１２に追随移動して、熱切断
された直後の生地を左右に分け、テーブル１側に残る生
地部分と、切り落とされる生地部分との切断面を強制的
に分離する。

【００１９】図５において整形体４は、帯板状のベース
２８と、ベース２８の片面に一定間隔おきに突設した一
群の櫛歯２９とで構成されている。図６において、各櫛
歯２９は、プリーツ生地３の隣接する折山３ａの間に差
し込まれて折山３ａどうしを分離し、さらに熱切断が完
了するまでの間、プリーツ生地３を押さえ保持する。櫛
歯２９が各折山３ａに入り込んでいるのを確認するため
に、整形体４は透明プラスチック材で形成してある。

【００２０】次に、切断装置の使用手順とその動作を説
明する。プリーツ生地３を切断する場合には、図６およ
び図７に示すように、テーブル１上にプリーツ生地３を
折り畳んだ状態で載せ、整形体４の櫛歯２９をプリーツ
生地３の折山３ａに差し込む。整形体４とプリーツ生地
３の上面に押え板３０を載せて、プリーツ生地３を遊動
不能に押さえ保持する。フレーム６の上面に受板３１を
載せて、切り落とされる側の生地部分を受け止める。受
板３１には、アーム１１および発熱線１２の移動軌跡に
対応して逃げ溝３２が形成されている。

【００２１】上記の準備作業の後、図外のヒータースイ
ッチをオン操作して発熱線１２を加熱し、その後にモー
タースイッチをオン操作して、台駆動機構７のモーター
１５と、昇降機構１０のモーター２２とを起動する。こ
れにより、刃物台８がホーム位置から他端側へ向かって
一定速度で移動し、同時に昇降台９が上下に駆動され
る。その結果、発熱線１２は周期が短いサインカーブを
描くようにして駆動されながらプリーツ生地３を切断す
る。つまり、発熱線１２は櫛歯２９で保持された折山３
ａの外郭線に沿うようにして、線表面に接触した生地を
切断する。このとき、折山３ａには発熱線１２の前進力
が作用するが、折山３ａは櫛歯２９で押さえられている
ので、隣接する折山３ａどうしが発熱線１２に押されて
密着することはない。

【００２２】また、生地切断と同時に、分離刃１３の先
端の楔部分が切断された生地の間に入り込んで、テーブ
ル１側の生地部分と、受板３１側の生地部分とを押し分
けるようにして強制的に分離するので、切断面どうしが
融着することはなく、恰も刃物で切ったような平坦な切
断面が得られる。生地を構成する化学繊維は、発熱線１
２の熱を受けて溶融したのち、すぐに固化するので、繊
維屑が切断面に飛び出したり、糸がほつれることもな
い。その結果、プリーツ生地３をその折線と直交する方
向に真直ぐに切断でき、上下長さにばらつきのないプリ
ーツカーテンが得られる。切断終了後には、プリーツ生
地３を切断位置から離して、モーター１５を逆転させ、
切断機構２の全体をホーム位置へ戻す。プリーツ生地３
の折線方向と平行な方向の生地切断は、超音波切断によ
って、あるいは刃物を用いて物理的に切断する。

【００２３】上記の実施例では、切断要素として発熱線
１２を用いたが、レーザー切断機を切断要素としてもよ
く、その場合には昇降台９を省略して、レーザー切断機
を刃物台８に固定して切断することができる。なお、レ
ーザー切断機を切断要素１２とする切断装置において
は、プリーツ生地３を非接触状態で切断できるので、プ
リーツ生地３を遊動不能に確保さえしておけば、切断線
のばらつきを最小限化して真直ぐな切断線が得られるの
で、プリーツ生地３の切断作業が正確にしかも迅速に行
える。上記の切断装置は、プリーツ生地３を折り線と交
差する方向、つまり折り線に対して斜めに交差する方向
へ生地切断を行う場合にも、支障なく切断作業を行うこ
とができる。

【図面の簡単な説明】

【図１】切断装置の正面図である。

【図２】切断装置の平面図である。

【図３】切断装置の側面図である。

【図４】図１におけるＡ−Ａ線断面図である。

【図５】整形体の斜視図である。

【図６】プリーツ生地の切断状態を示す一部破断正面図
である。

【図７】プリーツ生地の切断状態を示す斜視図である。

【符号の説明】

１ テーブル ２ 切断機 ３ プリーツ生地 ３ａ 折山 ４ 整形体 ７ 台駆動機構 ８ 刃物台 ９ 昇降台 １０ 昇降機構 １１ アーム １２ 発熱線（切断要素） １３ 分離刃

フロントページの続き Ｆターム(参考） 3C021 EA05 3C027 GG04 3C060 AA03 BD01 BE07 CF01 CF04 CF05

Claims (4)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 折り畳んだ状態のプリーツ生地３を支持
   するテーブル１と、テーブル１の一側に設けられる切断
   機構２と、プリーツ生地３の切断縁の近傍に配置されて
   隣接する切断縁を分離保持する整形体４とを備えてお
   り、 プリーツ生地３を熱切断する切断要素１２を含む切断機
   構２と、テーブル１とは、切断要素１２がプリーツ生地
   ３を相対横断する向きと、プリーツ生地３の厚み方向へ
   上下する向きにそれぞれ相対駆動可能に構成されてお
   り、 切断要素１２がプリーツ生地３に対して波型の切断軌跡
   を描きながらプリーツ生地３を熱切断することを特徴と
   するプリーツ生地の切断装置。
2. 【請求項２】 切断機構２が、刃物台８と、プリーツ生
   地３を横断する向きに刃物台８を往復駆動する台駆動機
   構７と、刃物台８で上下動可能に支持される昇降台９
   と、昇降台９を往復駆動する昇降機構１０と、昇降台９
   に固定される上下一対のアーム１１と、両アーム１１の
   突端に張設されて電気的に加熱される発熱線１２とを含
   み、 刃物台８と昇降台９とを同時に駆動して、発熱線１２を
   波型の切断軌跡に沿って駆動しながらプリーツ生地３を
   熱切断する請求項１記載のプリーツ生地の切断装置。
3. 【請求項３】 整形体４が、帯板状のベース２８と、ベ
   ース２８の片面に一定間隔おきに固定された一群の櫛歯
   ２９とを含み、 プリーツ生地３の隣接する折山３ａどうしを櫛歯２９群
   で分離した状態で熱切断するようにした請求項１記載の
   プリーツ生地の切断装置。
4. 【請求項４】 切断要素１２の切断進行方向下手側に、
   切断後の不要生地を強制的に分離する分離刃１３が配置
   されている請求項１記載のプリーツ生地の切断装置。