JPH0523333Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 ［産業上の利用分野］ この考案は、製造会社名、製造番号、製造年月
日やベルトサイズなどの表示を、熱転写用のマー
ク紙を用いて、無端ベルト又は所定幅に裁断する
前の筒状ベルト材（以下、単に無端ベルトともい
う）に熱転写するための装置に関するものであ
る。

［従来の技術］ 上記のような表示の無端ベルトへの熱転写は、
該表示をあらかじめ熱転写可能に印刷したマーク
紙を用いて行われている。ベルトには多種類の表
示を施こすことが多いので、通常は種類の異なる
複数枚のマーク紙が用いられる。ベルトへの熱転
写は、幅が広いベルトの場合はそのベルトに、ま
た幅が狭いベルトの場合は所定幅ごとに裁断する
前の筒状のベルト材に、それぞれ行われている。
このため、ベルト材に熱転写するときは、表示す
る文字の大きさを、最終製品としての無端ベルト
の幅よりもかなり小さくし、また裁断した後で各
無端ベルトに、完全な表示が少なくとも一行は転
写されるように、同一の表示を何行も並べて行な
うようにしている。

ところで、上記のような表示を行うための熱転
写装置しては、従来、下記の構造の装置が用いら
れていた。すなわち、第６図に示すように、回転
自在なベルト掛けロール２′に、無端ベルトＡを
その被印刷面を表側にして掛けた後、ベルト掛け
ロール２′上のベルトＡを、熱ロール６′により挟
み込んで一定の圧力Ｐで加圧し、熱ロール６′を
一定の遅い速度で回転してベルトＡをゆつくりと
回転させる。そして、熱ロール６′とベルトＡと
の接触面の間に、マーク紙Ｂを挿入して通過さ
せ、マーク紙Ｂに印刷されている表示をベルト面
に熱転写するようになつていた。

［考案が解決しようとする課題］ 上記した従来の熱転写装置では、作業者がマー
ク紙を熱ロールとベルトの接触面間に手差しで挿
入しなければならず、また通常は複数枚のマーク
紙が用いられるので、作業者は熱転写作業が終わ
るまで、熱転写装置についていなければならなか
つた。したがつて、その間は、次のベルトに転写
するためのマーク紙を準備するなどの他の作業を
することができず、作業能率が非常に悪かつた。
しかも、熱ロールとベルトとが回転している状態
でマーク紙を手差しするので、マーク紙の向きが
揃わなかつたり、マーク紙が皺になつたりして、
ベルトに斜めの表示や不鮮明な表示が、転写され
ることがあつた。また、作業者が熱ロールとベル
トとの間に手を挟まれる危険性があり、作業の安
全上からも問題があつた。更に、手差し後のマー
ク紙は、熱ロールとベルト間を通過すると地上に
落下するの、使用済みのマーク紙を回収しなけれ
ばならず、その回収にも手間がかかつていた。

この考案は上述の点に鑑みなされたもので、無
端ベルトとマーク紙をセツトするだけで、その向
きが揃い皺ができないように熱ロールとベルト間
に自動的に挿入されてベルトへ確実に熱転写され
ると共に、熱転写後のマーク紙の回収が容易であ
り、また熱転写作業中に作業者は熱転写装置から
離れて他の作業をすることができて作業能率の高
い、ベルト用マークの熱転写装置を提供すること
を目的としている。

［課題を解決するための手段］ 上記した目的を達成するためにこの考案ぼベル
ト用マークの熱転写装置は、被印刷面を表側にし
て無端ベルトが取り外し可能に掛けられる、回動
自在なベルト掛けロールと、該ベルト掛けロール
に対して接離自在に配備された、回動自在な熱ロ
ールと、該熱ロールを挟むように間隔をあけて相
平行して配設された一対の支持アームと、これら
の支持アーム間に跨つてマーク紙を張り渡して取
り付けるための固定具をもち、前記熱ロールの前
後方向に往復移動自在なマーク紙支持体とを備
え、前記熱ロールを加圧装置によりベルト掛けロ
ール上のベルト上に圧接させた状態で、熱ロール
を回転させる駆動装置により、前記マーク紙支持
体を、熱ロールの周速度と同一の速度で、前記熱
ロールとベルトとの接触面における熱ロールの接
線方向に移動させるようにしている。

また、前記駆動装置に、所定角度の範囲で往復
回転する揺動モータを使用し、該揺動モータによ
り、熱ロールを往復回転させると共に、熱ロール
の回転に同期してマーク紙支持体を往復移動させ
るようにすることが好ましい。

〔作用〕

上記の構成を有するこの考案の熱転写装置によ
れば、作業者が前記ベルト掛けロールに、無端ベ
ルトを被印刷面を表側に向けて掛けた後、マーク
紙支持体の一対の支持アーム上の固定具間にマー
ク紙を張り渡して取り付ける。この状態で熱転写
装置を作動させると、熱ロールがベルト掛けロー
ルのベルトに接近し、マーク紙支持体も熱ロール
とともにベルト掛けロールに接近する。そして熱
ロールがベルトに接触をすると、ベルトを一定圧
力で加圧する。このとき、マーク紙支持体は、熱
ロールとベルトの接触面における接線上に位置す
る。続いて、熱ロールが駆動装置により特定方向
に回転を開始し、ベルトもベルト掛けロールとと
もに回転を始める。同時に、マーク紙支持体が熱
ロールの周速と同じ速度で移動し、マーク紙が熱
ロールとベルトとの接触面間に挿入されてその接
線方向へ通過し、ベルトの被印刷面にマーク紙の
表示が熱転写される。熱転写作業が終了すると、
熱ロールの回転が停止し、同時にマーク紙支持体
の移動も止まつた後、熱ロールがマーク紙支持体
とともに、ベルト掛けロール上のベルトから離間
する。この後、作業者は、ベルト掛けロールから
マーク紙を取り出し、またマーク紙支持体からマ
ーク紙を取り外せばよい。したがつて、作業者は
作業開始前にベルトとマーク紙をセツトすれば、
その後は熱転写装置から離れてたの作業をするこ
とができる。

また、請求項２記載の熱転写装置によれば、マ
ーク紙の表示がベルトに熱転写された後、揺動モ
ータが逆方向へ所定角度回転し、前記熱ロールが
元の回転開始位置まで逆転するとともに、マーク
紙支持体は元の作動開始位置へ戻されて、熱ロー
ルの回転とマーク紙支持体の移動が停止する。し
たがつて、熱転写作業終了後に次の熱転写作業を
開始する際に、マーク紙支持体に対するマーク紙
の着脱が一層便利になる。

［実施例］ 以下、この考案の熱転写装置の実施例を図面に
基づいて説明する。

第１図は熱転写装置の正面図、第２図は第１図
の−線矢視図である。

第１図及び第２図において、支持フレーム１内
のほぼ中間位置に、ベルト掛けロール２が、間隔
をあけて立設された一対の支柱３の上端部間に回
動自在に配設されている。ベルト掛けロール２
は、第３図のように、支軸２ａに対して回動自在
に支承されており、支軸２ａの一端部が、一方の
支柱３の上端部に水平回転可能に枢着されてい
る。また、支軸２ａの他端部は、他方の支柱３の
上端部に装着されたコの字状の係合部材３ａに、
係脱可能に取り付けられており、筒状のベルト材
Ａをベルト掛けロール２に掛ける際に、ベルト掛
けロール２の一端側を開放できるようになつてい
る。なお、ベルト掛けロール２にベルト材Ａを挿
入して掛けることができるものであれば、上記の
構造でなくてもよい。例えば、ベルト掛けロール
２の支軸２ａの両端を、支柱３の上端部（係合部
材３ａ）から取り外せるような構造にすることも
できる。

支持フレーム１の上端面の中央部に、加圧装置
としてのエアシリンダ４が下向けに配設され、シ
リンダロツド４ａがフレーム１を貫通して下方に
伸縮できるようになつている。そして、シリンダ
ロツド４ａの下端に、下方を開放した支持枠５が
吊設されている。支持枠５の下端部間に軸受６ｂ
を介して、熱ロール６の支軸６ａが回動自在に配
設されており、熱ロール６は前記ベルト掛けロー
ル２に対向して、エアシリンダ４により昇降する
ように構成されている。なお、熱ロール６の内部
には、その円周面に沿つて複数本の棒状電熱ヒー
タ（図示せず）が等間隔に配備され、100〜250℃
の範囲で温度調節できるようになつている。

前記支持枠５の下端より下向きに補助枠５ａが
延設され、この補助枠５ａに一対のガイドレール
７が、前記熱ロール６の下方両側に相平行して前
後方向にそれぞれ固設されている。

前後ガイドレール７上に、第４図のように前方
を開放した枠状のマーク紙支持体８が、前後方向
に摺動自在に配装されている。この支持体８は、
ガイドレール７に沿つた一対の支持アーム９と、
支持アーム９に平行で、上面にラツク１０ａを形
成したラツクアーム１０とを備えている。また、
各支持アーム９上には、その長手方向に間隔をあ
けて複数個（ここでは３個）の、マーク紙固定具
１１が取り付けられている。固定具１１として
は、第４図のようにマーク紙Ｂの両側に開けた穴
を挿入して固定するピン状のものや、第５図のよ
うにマーク紙Ｂを差し込んで固定するクリツプ状
のものなどが用いられるが、マーク紙Ｂを前記支
持アーム９間に張り渡せて、着脱自在に固定でき
るものであればどのような形式のものでもよい。

第１図に示すように、前記熱ロール６の回転用
と支持体８の摺動用に、共通の油圧式揺動モータ
１２が用いられている。このモータ１２は所定角
度（例えば120°）の範囲で正逆方向には往復回転
するので、モータの回転範囲を定めて往復回転さ
せるためのリミツトスイツチなどの制御手段が不
要になる。揺動モータ１２は、前記支持枠５の一
側面の上部に支持金具５ｂによつて配設されてい
る。また、揺動モータ１２の駆動軸１２ａと熱ロ
ール６の支軸６ａとが、減速歯車１３を介して接
続され、揺動モータ１２により熱ロール６が往復
回転するようになつている。更に、前記支軸６ａ
の一端部にはピニオン１４が一体回転可能に取着
され、前記ラツク１０ａに噛合させてある。した
がつて、熱ロール６が回転するときに、その回転
がピニオン１４とラツク１０ａとによつて直線運
動に変換されて、同時に支持体８が前記ガイドレ
ール７に沿つて移動する。また、支持体８の移動
速度が、熱ロール６の周速度と等しくなるよう
に、本実施例ではピニオン１４の径を熱ロール６
の径と同一に設定しているが、増速歯車（図示せ
ず）を支軸６ａとピニオン１４との間に介設し
て、ピニオン１４の径を図示のものより小さくし
てもよい。

次に、上記した実施例の熱転写装置についてそ
の作動態様を説明する。

第１図において、作業開始時には、熱ロール６
及び支持体８は、ベルト掛けロール２のやや上方
の位置にある。作業者は、ベルト掛けロール２の
支軸２ａの一端を前方に回転させて開放し、その
開放端から筒状ベルト材Ａを、その被印刷面を表
側にしてベルト掛けロール２に挿入して掛けた
後、ロール２の支軸２ａの一端を後方に回転させ
て係合部材３ａに係合させて固定する。また、マ
ーク紙支持体８の一対の支持アーム９上の固定具
１１間に、第４図又は第５図のように複数枚のマ
ーク紙Ｂを張り渡して取り付ける。

この状態では、作業者が熱転写装置を作動させ
ると、後は下記の要領で自動的に転写作業が行わ
れる。すなわち、エアシリンダ４のシリンダロツ
ド４ａが下方へ伸長して、熱ロール６がベルト掛
けロール２のベルト材Ａ上に下降して接近し、同
時にマーク紙支持体８も下降してベルト掛けロー
ル２に接近する。そして、熱ロール６がベルト材
Ａに接触すると、エアシリンダ４によりベルト材
Ａに一定の圧力が加えられ、その加圧状態が維持
される。またこの状態で、マーク紙支持体８は、
ベルト掛けロール２上のベルト材Ａと熱ロール６
との接触面における接線上に位置する。続いて、
揺動モータ１２が回転を開始し、熱ロール６は第
２図で時計方向に回転を始め、ベルト掛けロール
２上のベルト材Ａもロール２とともに回転する。
また同時に、熱ロール６の回転に伴つてピニオン
１４が回転し、ラツク１０ａを介してマーク紙支
持体８が、熱ロールの周速と同じ速度でガイドレ
ール７上を前方（第２図で左方向）へ摺動する。
これにより、支持体８に取り付けられている複数
枚のマーク紙Ｂが、熱ロール８とベルト材Ａの接
触面間に順に挿入され、その接線方向へ通過す
る。そして、通過する際に、マーク紙Ｂは熱ロー
ル６により加熱・加圧され、ベルト材Ａに対し複
数枚のマーク紙Ｂの表示が順に熱転写されてい
く。こうして、総てのマーク紙Ｂの表示がベルト
材Ａに熱転写されると、揺動モータ１２の回転が
停止し、熱ロール６の回転およびマーク紙支持体
８の摺動が止まる。ほぼ同時に、エアシリンダ４
のシリンダロツド４ａが上方に収縮して、熱ロー
ル６がマーク紙支持体８とともに上昇して、ベル
ト掛けロール２上のベルト材Ａから離れる。続い
て、揺動モータ１２が逆回転を始め、熱ロール６
が元の回転開始位置まで逆転するとともに、マー
ク紙支持体８が後方へ摺動して元の作動開始位置
へ戻される。この状態で、揺動モータ１２が停止
し、熱ロールの回転とマーク紙支持体の摺動が止
まり、一連の熱転写作業が終了する。

したがつて上記した熱転写作業の終了後に、作
業者が、上記と逆の要領でベルト掛けロール２か
らベルト材Ｂを取り出し、またマーク紙支持体８
からマーク紙Ｂを取り外せばよい。なお、熱転写
済みのベルト材Ａは、後の裁断工程で所定幅に裁
断され、最終製品としての無端ベルト（図示せ
ず）に仕上げられる。また、幅の広いベルトの場
合は、裁断後のベルト（図示せず）に熱転写され
る。

ところで、上記実施例では熱ロール６の回転と
マーク紙支持体８の移動に揺動モータ１２を用い
て、１回の熱転写作業ごとに両者６及び８を同期
して往復回転又は往復移動させるようにしたが、
１回目の作業では熱ロール６とマーク紙支持体８
が一方へ回転又は移動し、２回目の作業で熱ロー
ル６とマーク紙支持体８が逆方向へ回転又は移動
して元の位置に戻るようにしてもよい。また、揺
動モータ１２の代わりに、往復回転可能な電動モ
ータを用いてリミツトスイツチによりモータを往
復回転させるようにしてもよい。更に、熱ロール
６をマーク紙支持体８とともに、ベルト掛けロー
ル２に対して水平方向あるいは斜め方向から接離
させるようにすることもできる。

［考案の効果］ 以上説明したことから明らかなように、この考
案の熱転写装置は下記の効果を奏する。

(1) 作業者は無端ベルトとマーク紙をセツトすれ
ば、熱ロールとベルト間にマーク紙が自動的に
挿入されてベルトに確実にマークが熱転写され
るので、作業者は熱転写装置から離れて他の作
業をすることができ、作業能率が向上する。し
かも、複数枚のマーク紙をマーク紙支持体の固
定具間にセツトするだけで、それらの向きが揃
い、皺ができないように熱転写できるので、作
業が簡単で熟練を要さず、また従来のように熱
ロールとベルト間に手を挟まれることもないの
で、作業の安全性が高い。更に転写後のマーク
紙の回収が容易である。

(2) 請求項２記載の熱転写装置によれば、所定の
角度範囲で往復揺動する揺動モータを用いて、
熱ロールとマーク紙支持体を往復駆動させるよ
うにしたので、熱転写作業終了後にマーク紙支
持体が元の位置に戻るため、次の熱転写作業を
開始する際のマーク紙支持体に対するマーク紙
の着脱が便利なうえに、リミツトスイツチなど
の制御手段が不要で、装置全体の構造が簡単に
なり、製造コストも低減できる。

【図面の簡単な説明】

第１図はこの考案の熱転写装置の実施例を示す
正面図、第２図は第１図の−線矢視図、第３
図はベルト掛けロールの斜視図、第４図はマーク
紙支持体の平面図、第５図はマーク紙支持体の他
の実施例を示す斜視図である。第６図は従来の熱
転写装置の概要を示す斜視図である。 １……支持フレーム、２……ベルト掛けロー
ル、４……エアシリンダ、６……熱ロール、７…
…ガイドレール、８……マーク紙支持体、９……
支持アーム、１０ａ……ラツク、１１……固定
具、１２……揺動モータ、１４……ピニオン、Ａ
……ベルト材、Ｂ……マーク紙。

Claims (1)

1. 【実用新案登録請求の範囲】 １ 被印刷面を表側にして無端ベルトが取り外し
   可能に掛けられる、回転自在なベルト掛けロー
   ルと、 該ベルト掛けロールに対して接離自在に配備
   された、回動自在な熱ロールと、 該熱ロールを挟むように間隔をあけて相平行
   して配設された一対の支持アームと、これらの
   支持アーム間に跨つてマーク紙を張り渡して取
   り付けるための固定具をもち、前記熱ロールの
   前後方向に往復移動自在なマーク紙支持体とを
   備え、 前記熱ロールを加圧装置によりベルト掛けロ
   ール上のベルト上に圧接させた状態で、熱ロー
   ルを回転させる駆動装置により、前記マーク紙
   支持体を、熱ロールの周速度と同一の速度で、
   前記熱ロールとベルトとの接触面における熱ロ
   ールの接線方向に移動させるようにしたことを
   特徴とするベルト用マークの熱転写装置。 ２ 前記駆動装置に、所定角度の範囲で往復回転
   する揺動モータを使用し、 該揺動モータにより、熱ロールを往復回転さ
   せると共に、熱ロールの回転に同期してマーク
   紙支持体を往復移動させるようにした請求項１
   記載のベルト用マークの熱転写装置。